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■ 『円盤皇女ワるきゅーレ』総合★推定25代スレッド
595 名前:
真田
◆yb.9FoxHds
:2007/08/20(月) 06:08:11
今朝もまた蝉が死んでます。いったい何匹の蝉が死んでいるんでしょう。
道端に点々と、もう動かなくなった蝉や幽かに足を動かしている蝉がいっぱい。
やたら踏んづけてもアレですので、ワタクシ毎朝箒で集めてお庭に埋めていたものでございます。
中には穴に落としても、ミイミイジイジイとか細い声をあげるものもありますが、
いずれにしてももう寿命の尽きた廃用身、土に埋めて蟻さんや蚯蚓さんに食べてもらうが良いと、はい。
ちょっと可哀そう?ええ、一回だけ、手向けになればと思ってポケットにあった飴玉を入れてあげた事がございましたっけ。
でも、ね、今はもう埋められないんですよ〜。ってゆうか、もう触れなくなっちゃいました。実は先日・・・
その日ワタクシお買い物にまいりましたところ、
にわかに雲が湧きあがりまして何だかあたりが薄暗く黄色っぽくなってまいりました。
雷でも鳴って来そうな凄い雰囲気。しかも低気圧の所為でしょうか、少し頭痛も起こりまして。
気は急くんですけど何だか足が進まずに、とうとう雨が降り始めました。しかも雷まで!
怖いよう、雷怖いよう、とあたりを見回しますと駄菓子屋さんが目に留まりました。
あそこで雨宿りをさせてもらおう、家の中に入れば雷も大丈夫でしょうと引き戸を開けて飛びこみましたところ、
薄暗くて狭い店内の、住居との間の柱にうずくまるようにおばあさんが一人。こちらに背を向けてじっと動きません。
ワタクシ、心配になりまして「こんにちは、あの、お加減でも悪いんですか?」と声をかけました。
すると何だか奇妙にビブラートの利いた甲高い声で「いえ大丈夫ですよ。こうしていると落ち着くのです。」と。
「雷が怖いんですか?実はワタクシもそうでして〜。しばらく雨宿りさせていただいていただけませんでしょうかあ?」
「ああ、いいですとも。あなたも怖いのならこうしてご覧なさい。私の背中に手を当てて顔を伏せて。」
「はあ。こ、こうですか?」とおばあさんの背中に手を当てたら、カサッ、って感触がしたんですよ。
肌が乾ききって空洞ができてしまっているような微妙な感覚。あわてて手を放そうとしたら・・・手が離れないんです。
どう踏ん張っても手が離れないというか、体に力が入らないんです〜。
助けを呼ぼうと口を開けたら、何かが飛び込んでまいりまして、それもバサバサガサガサ羽ばたくものが。
苦しくって吐き気がして、薄れていく意識の中でワタクシ、自分が土中に引きずり込まれていくのを感じました。
そしてキチキチと蠢く固いものが体中を這いずりまわり、手と言わず足と言わず引っ掻くのでございます。
やがて周りから鳴き声が上がり始めました。ミンミンジイジイと、やがて耳を弄するばかりの大音声に。
ワタクシもうだめかと思いまして、ただただ、姫様・・・姫様・・・と念じておりました。
と、その時急に、口の中の羽ばたくものが形を変え、丸くて甘い・・飴玉になりました。
同時にワタクシ物凄い勢いで上昇いたしまして、気がついたら駄菓子屋さんの店先に佇んでおりました。
あたりは雲ひとつない晴天の真昼間。駄菓子屋さんは引き戸とカーテンをぴったりと閉めきって閉店状態でした。
口の中の飴玉を美味しく舐めながら、キツネにつままれたような気持ちで帰宅いたしましたのでございます。
で、数日後判明したのですが、その駄菓子屋のおばあさんは亡くなっていたのです。
それもワタクシが雨宿りをするよりもよっぽど前に。
発見されたとき、おばあさんはカラカラに干からびて柱の所にうずくまってらっしゃったそうでございます。
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