【Ｃｏｂａｌｔ】円盤皇女ワるきゅーレ総合【27番目】

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534 名前：名無し客：2008/05/30(金) 00:20:22: 　こんちんわ、りんですっ！
　新しいおうちにもだいぶ慣れてきました。今日はりんの家族を紹介したいと思います。
　パパはとってもやさしくて、頭が良い商社マンです。でした。前はお仕事が忙しくてあんまり遊んでくれなかったけど、引っ越してからは毎日おうちにいます。

「もうパパは働くのをやめたんだ」
　そう言って、いつも自分の部屋でパソコンをしています。
「どうして働くのをやめたの？」
「会社にいっぱいお金をもらったから、もう働かなくてもいいんだよ。ゲンユのサキモノで大儲けして、ボーナスが２億円も出たんだぜ」
　パソコンに向かい、超スピードでマウスをクリックしているパパ。のぞいてみると、マインスイーパのプレー中でした。地雷探しのミニゲームです。

「ゲンユのサキモノってそんなに儲かるの？　りんにもできる？」
「あははは、りんには難しいかな。でも、イラクとイランの情勢を見ていれば、相場が上がるのは誰でもわかったんだよ。なのに世の中の人たちは『ガソリンが高くなって大変だ』とか『あっちのガソリンスタンドのほうが５円安いぞ』とか、
そんなことばっかり気にして、自分で取り引きしようとしない」

　パパはたまに、りんを無視してひとりごと番長になります。りんも慣れているので気にしません。ひとりごとをしゃべると考えが整理されるから、ロンリートークしているだけなんだそうです。
「隣の町のガソリンスタンドに行くヒマがあったら、その間に５年分のガソリン代くらいは稼げたのにね。みんなお人好しで、ずるくないんだ」
　あっという間にマインスイーパが完成しました。

「じゃあ、パパはずるいの？」
「ちょっとだけな。ずるくはないけど、ずる賢いから、人よりお金を稼げてしまうんだ」
「わあ、すごい。ホリエモンみたい」
「こらこら、りん。そんな名前、どこで覚えてきたんだ。いっしょにしないでくれよ」
　パパはゲンコツを作って、ちょっと怒ったふりをしましたが、すぐにゲンコツを揺らして「五木ひろしです」とモノマネを始めました。困ったパパです。いちおう笑ってあげたけど、このパターンはもう飽きちゃったな。五木、知らないもん。

「パパにはね、夢があるんだ。毎日遊んでるわけじゃないんだぜ」
「夢？　もしかしてドリーム？」
「ああ。もしかしなくてもドリームだ。ママに内緒にするって約束してくれたら、りんにだけ教えてあげるぞ」
「りんだけ？」
「そうだ。ふたりだけの秘密だ」

　パパの目がキラキラしています。内緒どころか、誰かに聞いて欲しくてたまらないという表情です。わかりやすいパパ。わかりやすい大人。
「パパは小説家になる。もうお金には興味がない。会社を辞めて、今はその準備をしているんだ」

　遠くのほうで救急車のピーポーが鳴っています。りんがリアクションに困っていると、台所からママの声が聞こえてきました。
「ご飯ができたわよ。小説はいいから、早くこっちきて座って」

　はーい、すぐ行きますって、夢、バレてるぢゃん！　ていうか、もうママに話した後でしょ、パパ！

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