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■ 【Cobalt】円盤皇女ワるきゅーレ総合【27番目】
686 名前:
『嗚呼、悲しきかな富山』
:2008/06/26(木) 17:12:37
これは、実際この夏に都内在住の会社員(29歳 男性)が、
富山出張の際に経験した、はかなくも美しい旅のお話である。
出張当日の朝、現地の天気を確認しようと天気予報を見るも、富山という文字がない。
仕方なくお隣の金沢の天気予報で我慢。
彼は、そのとき初めて富山という県が、この日本国から都市として認識されていないことを知る。
ちょうど正午を回った頃、富山市中心部に到着。
富山上空は、どんよりとした雲に覆われ昼間にも関わらず薄暗い。
さらに、街全体に昭和の陰気臭さが立ち込めている。
追い討ちをかけるように、人が全く歩いておらず、彼は今までに経験したことのない不安に襲われた。
気が付けば、取引先との約束の時間が迫っており、急いでタクシーを拾うことに…。
ところが、待てど暮らせど、一向にタクシーがつかまらない。
富山市中心部でありながら、タクシーが1台も走っていないのだ。
彼は、しばらくの間その場に立ち尽くした…。
その後、タクシーを諦め、路面電車で向かうことに。
彼にとって路面電車に乗るのは、ヨーロッパ旅行以来である。
またあの快適な乗り心地を味わえるのかと、胸を弾ませ待っていると、遠くから何か轟音が鳴り響いてくるではないか。
恐る恐る、その音がする方を見ると、塗装は剥れ落ち、車両全体が錆び朽ち果てた路面電車が、
大量の砂埃を撒き散らしながら、こちらに近づいてくるではないか。
彼は、恐る恐るその幽霊列車に乗り込んだ。
車内は、異様な空気が立ち込め、鼻を刺すような臭いが充満している。
乗客はボサボサの髪をした老婆が2人。
彼は、如何にも不潔そうなその2人を避け、一番奥の座席に腰を下ろした。
その直後、激しい揺れとけたたましい騒音が彼を襲ったのは言うまでもない…。
何とか約束の時間にも間に合い、会議室に通される。
その際、彼は自分の職場と地方の職場の温度差に愕然とした。
1分1秒を惜しんで働く東京では考えられない程、富山人の仕事振りはぬるいものだった。
居眠りする者、ネットを見ている者、そして、電話応対も接客マナーも何もかもが、なっていないのだ。
そして、最も彼を苦しめたのは、富山弁である。富山人は、関東からの客との取引中も富山弁なのである。
重要な取引にも関わらず、ほとんど何をしゃべっているのか聞き取れず、全て文書で確認せざるを得なかった。
富山弁のせいで予想以上の時間を食ってしまい、取引を終えた頃には、辺りはすっかり夜になっていた。
時計を見ると8時だ。しかし、富山の夜は暗い。ここは、中心部のオフィス街のはずでは…。
彼はそう思いつつも、とりあえず夕飯を食べる為、事前に調べておいた富山一の繁華街である総曲輪を目指した。
10分程歩いたところだろうか、総曲輪と書いた商店街の看板が目に飛び込んできた。
そして、そのすぐ下には、ローマ字でSOGAWAと書いてある。
彼は、そこで思わず吹き出してしまった。
なぜなら、彼は総曲輪(そうきょくりん)と読んでいたからだ…。
そんな笑いも束の間、彼の目から涙がこぼれた…。
富山の見てはいけないものを見てしまったという罪悪感に襲われたのだ。
彼が目にしたものは、8時過ぎだというのに、富山一の繁華街である総曲輪通りが、シャッター通りと化し、
人が1人も歩いていないという、あまりにも残酷な現実だった。
彼は、私にこの話をしている最中も、富山市民のことを考えると涙が止まらないと言い、その場で泣き崩れた…。 〜終わり〜
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