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■ 【Cobalt】円盤皇女ワるきゅーレ総合【27番目】
916 名前:
ヒートアイランド―風と緑が熱汚染を防ぐ
:2008/08/04(月) 17:27:48
JR東京駅に立つデパート「大丸」の解体工事が昨秋、始まった。高さ約60メートル。東京湾からの海風を妨げるというのが主な理由だ。デパート自体は北側のビルに移った。解体が終われば、皇居の森へ涼風が通るようになる。これによって、皇居手前のビル街の風速が3割増すという。
ヒートアイランド現象を和らげる日本の「風の道」第1号といえる計画だ。大阪市も、大阪湾からの海風を中心街に導き、都市を冷ます計画に今年、初めて予算をつけた。
■温暖化との「二重苦」
ヒートアイランド。直訳すれば「熱の島」。郊外に比べ、都市中心部の気温がポツンと浮かんだ島のように高くなる現象だ。日本ではほとんど手付かずに残されたことから、「最後の公害」ともいわれる。
こうした「熱汚染」は、熱がたまるコンクリートの建物やアスファルト道路で地表面を覆ってしまったことが大きな原因だ。建物や自動車からの排熱も高温化に拍車をかける。暑くなれば冷房を強め、その排熱でさらに暑くなる。熱の捨て場所を考えずに進んできた都市開発のつけが、そこにある。
地球温暖化だけでも難敵なのに、ヒートアイランドが火に油を注ぐ。この100年の間に、東京の平均気温は3度上がった。うち1度が地球温暖化、2度が熱汚染の影響といわれる。大阪では最低気温が25度以下にならない熱帯夜が、ひと夏に50日近くある。
健康被害も深刻だ。昨夏、東京では熱中症で病院に運ばれた人が1200人を超えた。環境省の調査では、夜の平均気温が30度を超えると、半数が夜中に目覚める。都心を襲う豪雨の多発も、熱汚染と無関係ではないようだ。
■ドイツの試みに学ぶ
この災厄にどう立ち向かうか。「風の道」計画は都市の熱を冷ます試みのひとつで、ドイツのシュツットガルトにモデルがある。
ベンツやポルシェといった自動車会社の本社がある人口60万の都市だ。東京や大阪とは、都市の規模や森の広さが大きく違うが、それでも学ぶべきことはたくさんある。
高台から見下ろすと、緑の帯が山から、すり鉢状の盆地へ向かって何本も続く。この「風の道」が山の冷気を森林を伝って市街地に導くのだ。
もともとは、盆地にたまる大気汚染物質を吹き飛ばす対策として100年前から取り入れられてきた。03年の熱波で欧州全土で多くの人が亡くなり、「風の道」はヒートアイランド対策として注目されるようになった。市役所は気流や気温、排熱分布などを記した地図をつくり、市街地に次々と「風の道」の線を引いた。指定されると、そこでの建築は許可されない。
都市を冷ますため、風とともに注目されるのが緑の効果だ。
100ヘクタールを超える皇居の森は、周辺市街地と比べ夏の温度が約2度低い。国土交通省のビルの屋上の実験では、真夏の日中、芝生を敷いた場合とタイルでは温度差が20度あった。ちょっとした屋上の緑が冷却効果を発揮することが実証されている。
シュツットガルトでは、公共のために私権を制限し、市街地の樹木は大きさを決めて伐採を禁じている。その結果、緑地率は6割を超える。
日本の緑地は減り続け、首都圏では都市化が進んだこの40年で琵琶湖3個分の緑が失われた。シュツットガルトのように、開発規制という手法を使ってでも、緑を復元すべきではないか。
東京都は、東京五輪の開催をめざす16年までに公立の小中学校の校庭を芝生化し、樹木を100万本に倍増させる計画を立てている。大阪市も風の道計画で緑を帯状につなぎたいという。
問題は、民間の開発にどう緑化を義務づけるかだ。
その点で、この秋から始める名古屋市の対策に注目したい。原則として敷地面積が300平方メートル以上ある新築の建築物に10〜20%の緑化を義務づける条例を施行する。守らなければ建設を許可しない。こうした強制力のある緑化対策を他都市もまねるべきだ。
■新たな街づくりを
東京電力の管内では、30度を超える真夏の日中に気温が1度上がれば、170万キロワットの電力が必要になる。これは大規模な火力発電所2基分に当たる。ピーク時の電力需要を下げれば、それだけ国内の発電設備が少なくてすむ。熱汚染対策は、CO2を減らす温暖化対策にも通じてくる。
東京駅の「風の道」計画を提唱してきた早稲田大学名誉教授の尾島俊雄さんは「この40年で、都市は車とビルのために区画整理された。これからの40年は、風と緑のための区画整理が必要だ」と語る。最近は中国から講演に招かれることも多く、上海などの大都市が日本の試みに注目しているという。
鎌倉時代、吉田兼好は徒然草にこう書き記した。「家の作りやうは、夏をむねとすべし」
夏の蒸し暑さに加え、現代では温暖化とヒートアイランド現象。一朝一夕にはいかないだろうが、風と緑、排熱を減らす技術を駆使して、街全体のつくりを変えていけないか。
総合的なヒートアイランド対策を進めれば、都市化が進むアジア諸国の今後の発展モデルになる。数々の公害を克服した経験を生かし、「最後の公害」対策に踏み出したい。
ttp://www.asahi.com/paper/editorial20080804.html
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