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■ 【鉄人!・・じゃないけど】円盤皇女ワるきゅーレ総合【28号】

765 名前:銀行マン「貸したいけど貸せない」 ノルマ抱え板挟み:2008/12/03(水) 16:54:34
 「何であかんのや。ここ毎月、きちんと返しとるやないか。『貸し渋り』やないか」

 9月、大阪市内にある金属部品メーカーの事務所で、社長が運転資金2千万円の追加融資を求め、気色ばんだ。

 「今は借り入れを増やす時期ではありません。御社のためになりません」。関西に拠点を置く地方銀行の支店で営業を担当する男性(34)は貸せない「理由」をこう繰り返した。

 「どないせえ言うねん」

 「メーンバンクの定期預金を取り崩してはどうですか」。なお融資を迫る社長を懸命になだめた。

 2年前に5千万円を融資した。残高が3千万円に減ったところで、元の5千万円まで借りたいという。融資を増やすノルマがある営業担当として、ありがたい申し入れに違いなかった。

 「今期は減収減益の厳しい状況だが、独自の技術力、人脈の広い社長の営業力を考えれば、来期には持ち直す」――。男性行員が出したこんな申請書は、審査部に一喝された。「よそが減らしているのに、何でうちが増やすんだ」。メーンバンクは貸出額を減らしていた。

 メーンバンクの減額について、社長は「態度が悪いので、こっちから断ったんや」と言う。だが、こちらが知らない「貸せない理由」をメーンバンクが握っているのでは――。こんな疑念が頭から離れず、社長の言葉をうのみにはできなかった。

 車で得意先を1日十数件回る。「融資案件はありませんか」と社長や経理担当者と雑談をしながら、売り上げ、他行の取引状況などに変化がないかもそれとなく探る。9月中旬、米大手証券リーマン・ブラザーズが破綻(はたん)すると、本部から、関連する債権などを持っている得意先がないかすぐに調べるよう指示があった。

 10月末、男性行員は大阪府中小企業信用保証協会を訪ねた。政府の経済対策でこの日から始まった「緊急保証制度」を申し込むためだった。審査に通れば、信用保証協会が融資の「保証人」になってくれるので、融資実績が上がる一方で、貸し倒れリスクはない。これなら審査部もノーとは言わない。十数社の事前相談書を抱え、仮申し込みをした。「借金を増やす時期でない」と断った会社も含まれていた。

 窓口では協会職員に「緊急の融資ですから。厳選してくださいね」とくぎをさされた。メガバンクの行員が段ボール箱いっぱいの事前相談書を持ち込んできて困っているという。

 制度融資で無理に貸し付けた結果、かえって資金繰りが悪化し、返済が滞る企業をいくつも見てきた。でも、「ノルマをこなすには仕方ない」。

 不動産や建設会社の相次ぐ倒産で、自分の銀行も今年上半期の中間決算は損益ぎりぎり。近畿2府4県に本店を置く地銀の数は95年以降、9行減の12行になった。吸収合併の危機をひしひしと感じる。

 「吸収されたら、自分が残れるかどうかは分からない」。2年前に再就職のあっせん会社に登録し、何社か面接も受けた。11月中旬、銀行からメーカーに転職した大学の先輩から「地方銀行は厳しい。動くなら早い方がいい」と電話をもらった。

 冬のボーナスは、15%ダウンの見通しだ。



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