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■ 【三十一】円盤皇女ワるきゅーレ総合【31】

265 名前:日本以外ありえない 「一気に全曲」演奏、なぜ挑む:2009/12/05(土) 17:53:02
(前略)なぜ、こんなことが起きているのか。明治の西洋文化導入期から「教養」としてクラシックを植え付けられてきた日本人。作曲家を「イコン(聖像)」としてリスペクトする気持ちを、引きずっているのは確かだ。

 だが、それだけではなさそうだ。この秋、名古屋でベートーベンの全32曲のピアノソナタを5日がかりで弾いた若林顕さんは「楽器の制約を超え、音楽そのものに肉薄できた。演奏家人生にターニングポイントをつくることができ満足」と語る。演奏家たちが自らの音楽人生に意味を見いだすきっかけを探している、という現状もある。

 一方で、格闘技に挑む選手たちを眺めるのと同様の熱狂を、聴衆がアーティストに求め始めたことも一因、とピアニストの中村紘子さんは読み解く。

 一昨年、ベートーベンのピアノ協奏曲全5曲を1日で演奏した。「すべての曲に一気に『対面』する面白さには、演奏家として代え難いものがあったが、同時に聴衆に刺激やスリルを求められているとも感じた。コンクールでの優勝や波乱の人生。ドラマのあるスターを求める風潮と無関係ではないのかも」

 いずれの公演でも、聴衆の拍手はあまねく温かい。ハプニングや失敗をあげつらう声も少ない。「完奏」のあかつきには、約束された感動を皆と共有できる。箱根駅伝を皆で見るのに近い感動を、クラシックも担う時代が来たのだろうか。

 今月7日にバッハの無伴奏チェロ組曲全6曲を演奏するチェリストの木越洋さんはこう語る。「聴衆も覚悟を決めてきてくれるから、コミュニケーションが充実する。間口を広げようと軽い演奏会を増やしている業界の思惑以上に、一般の聴衆はより奥深いクラシックの世界を我々に求めているんだ、と弾くたびに感じずにいられません」



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