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■ 『王の矜持/凶事』

6 名前:『不死者王』ブラムス@レス:不死者王 ◆vOzBAMUTHU :2007/07/29(日) 01:09:130

―――――<ruby><rb>我</rb><rt>オレ</rt></ruby>のために世界は在る。


 大気は停滞し、生ける者は既になく、朽ちるのを待つだけの城で、相打つ王。
 誰も知るコトのない戦いは、かつて聖杯を求めた戦いに似ている。
 だが―――――決定的に何か異なるコトは、英雄王にはマスターが居ないコトだろう。

 マスターからのバックアップを受け振舞う英霊(サーヴァント)ではなく、世界が作り出したシステムから
外れた者を葬る抑止の守護者(サーヴァント)。

「ハッ―――――」

 自嘲から零れる笑みではなく、侮蔑の成分を多く含んだ、禍々しいまでの笑み。


 ―――――世界は<ruby><rb>我</rb><rt>オレ</rt></ruby>のために在る。


「今更なにを云うのかと思えば―――――<ruby><rb>我</rb><rt>オレ</rt></ruby>は<ruby><rb>我</rb><rt>オレ</rt></ruby>だ。
 確かにこの身は座からの移し身に過ぎぬが―――――こうして現界した以上、<ruby><rb>我</rb><rt>オレ</rt></ruby>は<ruby><rb>我</rb><rt>オレ</rt></ruby>で
あり、世界も、民も、全て我に所有する権利がある。いや―――――義務が在る」

 それが、彼の王の在り方。

「一度現界すればこの世の全てを背負う。
 それができずして―――――なにが王か、なにが英雄か」

 この世の全てを背負い、天上天下唯我独尊の如く振る舞い、全ての責を誰に譲るでもなく
その身に背負う―――――金色の王。
 ただの独占欲や支配欲。それだけでは決してないからこそ―――――


   ―――――だからこそ、世界は例外的に<ruby><rb>我</rb><rt>オレ</rt></ruby>を選んだ。


「よかろう―――――『不死者の王』。
 我が御前にて膝を着き、赦しを請うコトにてその不遜な口の聞きかたは赦してやる」

 眼前には十と二つの試練を潜りぬけた英霊にも勝るとも劣らない巨躯。
 されども、黄金の王の前に立つには役者不足。

 十と二つの試練では足りぬ。
 この世全ての試練を集めてまだ足りぬ。

―――――無音の緊張感が張り詰めていた空間に、乾いた指を弾く音が響く。

 目の前の全ては武具となり、武具の数だけ絶望が生まれる。
 必殺ならぬ、必滅の具現。
 果てのない戦いの火蓋は、斬って落とされた。


    ―――――世界は彼を選んだ。
 

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