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■ ヴェドゴニア vs 摩夜 闘争会議スレ

6 名前:伊藤惣太 ◆amVJEDOGOs :2008/04/26(土) 05:43:32
 夥しい殺戮と血の香り――死臭が立ちこめていた。
 周囲ところ構わず積み上げられている屍に、もはや命は残滓すらも残っちゃいない。
 その異常に、人と吸血鬼の狭間にある精神が常人でも吸血鬼でもあり得ない激情を呼び起こす――――。
 理性は怒りと闘争本能に漂白され、血臭に酔いそうな自我は無意識の深層へと叩き込まれる。
 渇きと拮抗してる暇はない。目の前にいる『アレ』はそれだけの脅威だと闘争本能が警鐘を鳴らす。
 
 そのターゲットが、無駄に金のかかってそうな椅子から傲岸不遜に立ち上がる。
 
 ――――その、立ち上がり際を狙わせてもらった。
 夜の世界に卑怯もクソもねェ、それに道を外れたバケモノに外道のほどを罵られる筋合いもない。
 右手の中で翻る歪で禍々しい、殺傷に特化したナイフ――サド侯爵の愉悦。
 夜闇に沈んでなお存在を主張する凶刃を握りしめ、俺は一足飛びに摩夜との距離を詰めた。
 人ならざる肉体が可能とする超跳躍は、彼我の距離を一瞬で限りなくゼロとする。
 
 そんな暇すらもどかしいとばかりに呼吸を忘れた肉体が、裂帛の初撃を繰り出す。
 並の相手ならこの刹那で間違いなく致死の一撃が、幕を切って降ろす合図となった。
 
「余裕こいてんじゃねェよフリークス!」
 
 まずは、この一撃――と嘲弄――への対応で敵の力量を計るとしようか。

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