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■ 日守 秋星 vs 後藤
- 17 名前:日守 秋星 ◆g.FomaLl7. :2008/12/02(火) 01:30:02
- 街を見下ろす高い塔という物は権力の象徴。
見下ろす事でしか己を確認出来無い哀れな為政者たちは常に其処を求めて来た。
だが、それとは別の理由で其処を求める者も居る。
それは煙と同列に扱われる程の軽薄さと、煙と同列に扱われる程の自由を持つ者。
すなわち――
「あとは、こう――観客の目に焼きついて毎晩悪夢に見ながら憧れてしまうようなポーズと名乗り上げですよ」
――バカである。
煙とバカは高い所へ登ると言うが、その通り日守秋星は高い所が大好きだった。
高い所に昇れば他人を見下ろせるから気持ち良い。ははは人がゴミのようだー!
などという理由ではなく、この雄大な景色に比べれば人間なんてちっぽけなモノだぜー。とか。
あまつさえ、空がこんなに近いの!ふふふ鳥になったみたいだわ!なんて理由でもない。
ただ単に、高い場所は他に視界を遮るものがなく――■が良く見える。
「やっぱ、何度でも蘇るって台詞は必須ですよー」
この街でも高いビルの集まる辺りで、一際高い高層ビル。
その屋上の、さらに出来るだけ高くと言う事で、給水タンクの上……
の更に上。タンク内に藻が生えないように太陽光を遮る為のカバーを組む鉄骨の上に腰掛たりしながら、
鼻歌で『今日もどこかでデビルマン』などを歌いながら、バカは■を見る。
「こう、オレのアイデンティティ……アイディンテイテ?なんかそう言うのに関るって言うかー」
バカはバカらしく、鼻歌交じりにバカな悩みを真剣に考えながら独り言をブツブツと呟き、その間中ずっと――
■を見ていた。
例えば、このビルにも■は見える。
震度7の地震に耐え、長周期地震動すら考慮された最新の耐震免震技術を投入されたビルでさえ、
存在している限り■はある。
当然、不死を謳う日守秋星自身にも■はある。
このビルの■が現出すれば、その上にいる自分は当然のように■ぬだろうし、
眼下に広がる街も■で溢れるだろう。
「カッコよく名乗りたいしー、ここはオレじゃなくて我とか言った方がいいかも。うんいいな!」
ビルの下を歩く人たちに、崩れたコンクリートが降り注ぎ、潰されて■人が出る。
割れたガラスが落下して、不運な通行人を切り裂き、また■ぬ。
破片に衝突した車が歩行者に突っ込み■ぬ。
その衝撃で運転手が■ぬ。ああ、シートベルトをしてるから■なないか?
でも、エンジンが燃えて、火に包まれて、やっぱり■ぬ。
横倒しに倒壊したビルが他のビルを押し倒し、さらに■は拡大していく。
ああ、世の中はこんなにも■に易い。
日守秋星は常に、0.2秒先の■を夢想していた。
そんな彼の脳内妄想に比べれば、目の前にある■なんて比べるべくもない。
ビル倒壊なんて言う大災害に比べれば、女が一人食われるのなんて騒ぐこともない事だ。
だから。
「それに『血』ってキーワードは外せまセン!」
日守秋星はあくまでマイペースにバカをしながら、死を見つめていた。
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