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■ 日守 秋星 vs 後藤
- 23 名前:田村玲子 ◆bOIWj9Hr0g :2008/12/05(金) 00:09:00
「ところで、今気がついたんだが、あの人は人間か?」
広川は、給水タンクの上を見上げ、ポツリと呟いた。
「人間だ。」
「おかわり、かな。」
「違う。結果的にはそうなるだろうがな。おれよりも先に居た。」
「さっさと処理してくれないと困るな。ここから逃げられないにしろ、携帯電話で通報されたらどうする気だ。」
「電話を取り出す前に仕留めるさ。それに、あいつは110番などできんよ。」
「なぜ?」
「ここからでは顔までは見えんか?指名手配犯だ。あの顔は交番で見かけた。容疑は殺人が20件ほど。」
広川が思考巡らすと一人の名前が浮かんできた。
「……日守 秋星?」
「そうだ。」
「殺人犯がこんなところで何をしているんだ?」
後藤は残った掌を一口で飲み込み、ガリガリと噛み砕く。
「知るか。人間の事はあんたの方がずっと詳しいだろう。」
「どうかな。」
「……やはりよく分からんな。人間は。」
後藤はそう一言漏らし、立ち上がって鉄骨に腰掛けながら独り言を喋る男を見据えた。
「同族が食われるのを見て、全く動じないとは、なかなか大物だな。」
「いや、精神に異常をきたしてるのかも知れん。手配犯は普通、屋上のような逃げ場のない場所には立ち入らない。」
「あいつがもしドラックの使用者だったら処理を頼む。食いたくない。」
「分かった、君は気にせずやってくれ。」
広川が言葉を言い終わると、後藤は日守に向かってゆっくりと歩み始めた。
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