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■ 「陰陽頭」と「堕ちた天秤の騎士」の会議場
- 46 名前:柳生友景 ◆YAGYUbJ766 :2011/09/05(月) 00:35:10
- >>
一颯の風が流れた。小指の先程もない、ささやかな紫電も。
絶え間ない断末魔のような暴風も、降り注ぐ雷雨の狂奔も、これらとは関係はなかった。
なぜなら、この風を起こし、この雷を発せしめた源は、現世の何処でもなかったから。
時ならぬ魔の嵐に音を立てて軋む神田明神、その社殿裏手の一隅である。
と、件の風雷は爆発した。高く床板を張った回廊の下方、地面と接する辺りだ。
上空のそれにも引けを取らぬ青白い呪的電荷(プラズマ)が幾条も弾け、うねる。
異様な雷の中心で、突如黒い点が生じた。
米粒ほどのそれは、紙上に垂らした墨汁のようにその奇怪な領域を広げ、瞬く間に直径数メ
ートルもの完全な球体を成す。
黒き球は、だが現れた時と同じ様に不意に消えた。
同時に風も雷も止んだ。空で暴れ散らしている同類は、まるで治まる気配はなかったが。
黒き球と接していた地面や社殿の床板の一部が、綺麗な弧を描いて削り取られている。消え
去る際、まるで球体がその空間ごと毟っていったかのようであった。
この怪球が消失した跡地に、一人の人影がうずくまっている。
駆け巡る稲光が、縹(はなだ)色の直衣と、冠で揺れる垂纓(すいえい)とを照らし出した。
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