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■ 『王の矜持/凶事』

1 名前:◆vOzBAMUTHU :2007/07/29(日) 00:51:440




   『これは始まりであり、終わりである』

2 名前:◆vOzBAMUTHU :2007/07/29(日) 00:55:230

 ※注意!
 関係者以外が立ち寄ると死にます。

3 名前:『不死者王』ブラムス@レス:不死者王 ◆vOzBAMUTHU :2007/07/29(日) 00:57:090
『不死者王』対『英雄王』


―――――即ち、そういう事なのだろう。


神々の黄昏、ラグナロク。
その時代を体験した王にとっては、かつて起こったと記憶する現実である。
だが、幾多もの創造を経て変容した世界は、それを認めはしなかった。

過去の実存は神秘へ。
神々は現象へ。
そして――――歴史は幻想へ。
それが今在る『世界』の選択であり絶対宣告。

『世界』は神霊の所有を認めない。
其れは既に力ある現象であり、人々の信仰を集める偶像なのだ。
その定められた因果律に例外があってはならない。



―――そして、こういう事なのだろう。


『世界』とは因果であり法であり、律。
望む結果を絶対とするため、執行者は常に必勝の存在が選ばれる。
絶対の勝利者。
今の世において人はそれを『抑止力』と呼ぶ。



――――故に。

不死者王の魔城。
ノルンの三女を封ぜし、この玉座の間。
旧き主神、オーディンと比肩する不死者王ブラムスと対峙しているのだ。


新しき世が生み出した『原初の王』――――金色の英雄王が。
 

4 名前:『不死者王』ブラムス@レス:英雄王 ◆vOzBAMUTHU :2007/07/29(日) 00:59:330

―――――世界は彼を選んだ。

 黄金の王は一歩、また一歩と玉座に歩みを進める。
 足首まで埋まりそうな真紅の絨毯が、蝋燭の微かな明りと月の昏い光に照らされるその
様は、血の河を歩んでいると錯覚してしまいそうなほど―――――美しい。
 酷く幻想的で、夢幻の中に居るような雰囲気。
 彼の王だけが、酷く現実的で、生々しい。

 彼が目指すは―――玉座。
 王は、一人でいい。

 いや、王は一人でなくてはならない。
 その分類(カテゴリー)がなんであれ、絶対者として君臨する王は、ただ一人。


 ―――――世界は彼を選んだ。


 退廃的な城。
 人在らざるモノが住まう、異界の魔窟。
 その住人達は、今は姿も見せない。
 声を殺し、息を殺し、ただ『侵入者』の闊歩を見守る臣下のようだ。

 化生としての本能すら畏怖させる、絶対的な存在感。
 彼の王の前に出たとしても、歯牙にも掛からない、取るに足りぬ存在。

――――それが、完全なる王。
      それが、絶対なる王―――――


   ―――――世界は彼を選んだ。


 一歩、また一歩と歩を進め、ついには玉座の前へ。

「下郎、其処は―――――我の席である」

 金色の鎧を身に纏う王は、にべもなく言い放つ。
 それが当然であるかのように。

5 名前:『不死者王』ブラムス@レス:不死者王 ◆vOzBAMUTHU :2007/07/29(日) 01:04:320

――――<ruby><rb>世界</rb><rt>民</rt></ruby>のために<ruby><rb>神</rb><rt>王</rt></ruby> は在る。


「――――我の、と来たか」

不死者王が笑ったのは、気が触れたというわけでは決してない。
元は旧き時代、その知恵と勇猛さによって『賢王』とまで称えられた古代
ディパンの王こそがブラムスだ。
たとえ魂を冒涜する不死者となっても、その強靭なる理性は健在である。
悠久の時を経ようと、人の心を失うような脆弱さは存在しない。

ならば何故に笑うか?
問いの答えは明快に過ぎる。
今や世界に使役されるだけの、この死霊戦士――――
英霊が、まだ己を支配者などと思っているからに他ならぬ。

「神に報いることなく運命を狂わされたまま生を終え、存在すら自己のものですらなき『英霊』……
 新たなる世界の道具に過ぎぬものが、何かを所有する権利などあるのか?」

さも当然、という口ぶり。
十二の試練を踏破した大英雄にも劣らぬ体躯。
その全身から静かな、だが揺るぎ無い強大な気を放散させながら言い放つ。


  ――――<ruby><rb>神</rb><rt>王</rt></ruby>のために<ruby><rb>世界</rb><rt>民</rt></ruby>は在るのではない。


「お前はもはや王ではない。民も国もなく―――――何よりも、何人にも屈さぬ誇りを失った。
 今、ここに――――抑止の尖兵として立っているのがその証だ」

かつて、世界こそ我が物と宣言した大神オーディン。
金色を鎧(よろう)この王に、ブラムスは仇敵の影を重ねた。
世界の理が分からぬ、傲慢な愚か者――――だが、この男はそれ以下だ。

「子供でも分かる理を解せず、いまだ生前のごとく振舞うとは…愚かだな『英雄王』。
 いや――――」


  ――――だが、世界が神の傲慢を以って奪うのならば


玉座のはるか上、眠るのは魔術の晶石にて封じられしノルンの三女。
旧き真の名をシルメリア。神の所業に怒り、志を同じくした戦乙女。
今の新しき世界は知らない。
かつて、神の傲慢を正すため共に戦い―――そして、王を庇ったが故に封ぜられた真実を。
忘れてはいない、いまだ封印の解けぬ彼女への誓い。
オーディン亡きラグナロクの後。全ての決着をつけ、必ず姉妹たちの下へ送り出す。

自身を神の手より助けた恩義は、未だ何も返してはいないのだ。
もし阻むものがいるならば―――――

「―――新しき最古の王、ギルガメッシュよ」

玉座を離れ、黄金に輝く王の前―――はだかる様に不死者王が立つ。
黒の蓬髪、巌色の肌、そして神々をも屠り大地を歪ませる黒き闘気を立ち昇らせて。


  ――――我は、全霊を以ってそれに反逆する。 

6 名前:『不死者王』ブラムス@レス:不死者王 ◆vOzBAMUTHU :2007/07/29(日) 01:09:130

―――――<ruby><rb>我</rb><rt>オレ</rt></ruby>のために世界は在る。


 大気は停滞し、生ける者は既になく、朽ちるのを待つだけの城で、相打つ王。
 誰も知るコトのない戦いは、かつて聖杯を求めた戦いに似ている。
 だが―――――決定的に何か異なるコトは、英雄王にはマスターが居ないコトだろう。

 マスターからのバックアップを受け振舞う英霊(サーヴァント)ではなく、世界が作り出したシステムから
外れた者を葬る抑止の守護者(サーヴァント)。

「ハッ―――――」

 自嘲から零れる笑みではなく、侮蔑の成分を多く含んだ、禍々しいまでの笑み。


 ―――――世界は<ruby><rb>我</rb><rt>オレ</rt></ruby>のために在る。


「今更なにを云うのかと思えば―――――<ruby><rb>我</rb><rt>オレ</rt></ruby>は<ruby><rb>我</rb><rt>オレ</rt></ruby>だ。
 確かにこの身は座からの移し身に過ぎぬが―――――こうして現界した以上、<ruby><rb>我</rb><rt>オレ</rt></ruby>は<ruby><rb>我</rb><rt>オレ</rt></ruby>で
あり、世界も、民も、全て我に所有する権利がある。いや―――――義務が在る」

 それが、彼の王の在り方。

「一度現界すればこの世の全てを背負う。
 それができずして―――――なにが王か、なにが英雄か」

 この世の全てを背負い、天上天下唯我独尊の如く振る舞い、全ての責を誰に譲るでもなく
その身に背負う―――――金色の王。
 ただの独占欲や支配欲。それだけでは決してないからこそ―――――


   ―――――だからこそ、世界は例外的に<ruby><rb>我</rb><rt>オレ</rt></ruby>を選んだ。


「よかろう―――――『不死者の王』。
 我が御前にて膝を着き、赦しを請うコトにてその不遜な口の聞きかたは赦してやる」

 眼前には十と二つの試練を潜りぬけた英霊にも勝るとも劣らない巨躯。
 されども、黄金の王の前に立つには役者不足。

 十と二つの試練では足りぬ。
 この世全ての試練を集めてまだ足りぬ。

―――――無音の緊張感が張り詰めていた空間に、乾いた指を弾く音が響く。

 目の前の全ては武具となり、武具の数だけ絶望が生まれる。
 必殺ならぬ、必滅の具現。
 果てのない戦いの火蓋は、斬って落とされた。


    ―――――世界は彼を選んだ。
 

7 名前:◆vOzBAMUTHU :2007/07/29(日) 01:09:590
>>6
訂正→レス:英雄王

8 名前:『不死者王』ブラムス@レス:不死者王 ◆vOzBAMUTHU :2007/07/29(日) 01:13:100

 ―――――発現するは破滅の軍勢。


「…世界総てを自らの財として有する。
 ならば、一切の責も我が身に負う……座に属して尚、そうあると?」

世界の道具と化して尚、失わぬ自我と矜持。
度量の広さ、受け入れる器の大なる事こそは王が王たる資格である。
英雄王の、一切を呑み込み喰い尽くさんと在る信念。

「ならば認識を改めよう、貴様は道具ではない。
 世界に組み込まれなお魂を失わぬ、紛れなき英雄の王だ」

肥大化した自我の為す業なのは確かだが、この男は我が物として背負うといっているのだ。
即ち世界の狭量も非情の謗りも、己だけのものとして。
『世界』も無粋なだけではないということか―――不死者王は内心でそう得心した。
倒すに手段は選ぶまい、屠るに欠片の慈悲もあるまい。
だが、少なくとも奸智で陥れる外道ではない。
真っ向からの戦を好む不死者王に世界がこれほどの王を遣わせたというのなら、それは
敵対者に送る最大の礼節とさえいえよう。


  ――――相対するは覇者の財宝。


眼前に展開された刀槍の数々は、何れも伝説に名を連ねうる威力を秘めている。
数多の恐れなき英雄を率いているようなものだ。必滅の具現といっても過言ではない。
成る程、確かに武具のみならば繰り出される攻めに曇りは生じない。
刃そのものは恐れも躊躇も抱くことなど皆無、自在に操れるならばこれ以上の軍勢もないだろう。

無造作にその脚が動く。
一歩、また一歩と緩慢にすら思える―――しかし、力強い前進。

「だが―――赦すのは私の方だ、『英雄王』。
 我が渇き、貴様の財と命にて癒すことを不死者王の名において赦そう」

好機は一瞬。
限界まで張られた弦が弾ける、その寸毫の刹那を待つ。
僅かに間合いが近づく度、容赦なく向けられた切っ先の数々が熱を増し――――

「そして」


  ―――――武具より疾きは、不死の王。


足運びと重心の移動、そして人智の域を越えた化生の脚力。
膨大な力に精緻の技巧が加わったとき、神業を凌ぐ魔技が天地に顕現する。

まるで駆ける大地を縮めるように。
発動にいたる合切の気配を殺し、刹那に満たぬ間に彼我の距離を詰める。
音なき強襲。
王の立ち姿を虚像と見抜き、横に抜ける残像を認識したときにはもう遅い。

「新たな敗北、その双肩に負うがいい」

駆け抜ける勢いを利用しての左裏拳。
率いる兵は心を持たぬ武具、ならば将の首級を挙げれば終わる。
一切の驕りも遊びもない。
その首を刈り取るべく、金色王の背後から必殺の紅蓮が閃く。


   ――――王を狙うは、魔王の一閃。
 

9 名前:『不死者王』ブラムス@レス:英雄王 ◆vOzBAMUTHU :2007/07/29(日) 01:15:580

―――――これは、『軍勢』対『個』

 全包囲において展開される破滅と終末を司る軍勢。
 忠実にして冷徹な、凶悪無比と言う名を冠するに相応しい兵士達は沈黙を守り続ける。
王の号令を、王の勅命を一言一句たりとも聞き逃さないために。

 沈黙は続く。
 永遠とも思える沈黙は嵐の前の静けさに過ぎず、天を突き地を割るほどの轟音と共に
打ち破られる。

 ―――――兵力に勝る王と、兵の質に勝る王。

 堤防の決壊にも似た轟音。
 その殺意、その狂気は、まさしく大河の氾濫。
 それもただの大河ではなく、血と怨念に塗れた、幾つもの怨嗟が積み上がり生まれた河。

 そんなモノを、誰かがために積み上げたよう筈もなく、まさしくそれは不死の王がその身に
背負う業と―――――黄金の王が背負う業。

 この世全ての業を集めたところで、足りよう筈もない―――――業。

 その業と共に繰り出される、不死の王の一撃は正に必殺。
 生半可な不死では十度死んでもまだ足りず、百度死んでもまだ足りぬ。

 その身に背負う誇りと、信念。折れぬ牙が宿る容赦も慈悲もない、滅殺の拳。

 生ける者を骸と還し、死せる者を灰燼へと還す。
 例えるならばそれは神の怒り。

 だが―――――

   ―――――駒を有する将と、一騎当千の猛者。

「―――――その程度で我を殺せるとでも思ったのか?
 ハッ……笑わせてくれるな、『不死の王』よ」

 両者の間に浮かぶは白銀の剣。
 過度な装飾もなければ、取り立てて眼を見張るような魔力も感じられない。
 当然のように、不死の王の一撃を受け、刃は毀れ、剣としての用をなさなくなる。

「しかし―――――我の財に傷を付けるとはな。
 些か侮りすぎていたようだが……よかろう―――――」

 しかし毀れた刃は徐々に徐々にと復元される。
 そう、これはどれだけ斬ったとしても、切れ味が鈍る事もなく刃が毀れるコトもない。
 これはそんな、伝承の原典となった剣。

「貴様を、我が『敵』として認識しよう―――――『不死の王』」

 乾いた、指を鳴らす音が、静寂と停滞が支配する空間に木霊する。
 しかしそれは破滅への号令。

 剣という剣。槍という槍。
 おおよそ武器と呼べる物の全てが不死の王へと向かい牙を剥き、全てを喰らい尽く
さんばかりの勢いで進軍する―――――!

   ―――――一度命が下れば統べてのものを殲滅する軍勢と、単騎で駆ける強者。

「死に物狂いで踊れ―――――!」
 

10 名前:『不死者王』ブラムス@レス:不死者王 ◆vOzBAMUTHU :2007/07/29(日) 01:24:530

 ―――――背後より迫るは伝説の軍勢


「―――私に二度同じセリフを言わせたいようだな、英雄王。
 財と自我に溺れる余りに局面の見方も忘れたか」

英雄王の嗤いを背に、不死王が漏らすのもまた嗤い。
前者が相手の不足を嘲るものならば、後者のそれは浅慮を哂う。
生を死に、屍を塵に変える覇王の号令を前にしても。


                         魔剣、名剣、帝剣、裂刀―――――


                誓剣、霊刀、恐剣、霊剣―――――


    名槍、魔槍、剛槍、裂槍―――――

主の勅を受け、縛解かれ驀進する武具の団。
微塵の死角すら無き包囲陣、敵将の一点目掛け殺到する神代の牙を前にしながら尚、不死王は怯まぬ。

しかし距離は一足一刀。


  ―――――沈む王の体躯。

            大気を裂き飛来する壊剣、聖剣、豪剣、兇剣――――

初手が防がれるのは想定の内。
戦とは常に二手、三手先を読むものだ。
無論不死王が、その不文律、兵法の王道を知らぬ道理などない。

そう、互いの距離は一足一刀。


  ―――――背(せな)が捩れ軋みを上げる。

               刺し穿たんと襲来する閃槍、黒剣、宝剣、妖剣―――――
背負うのならば知らねばならぬ。
天の機を知り地の相を読む―――――何よりも多く、誰よりも早く。
我が物と決めた世界を思うがままに繰りたいのなら、王は、その為の手管を識らねばならぬ。

<ruby><rb>そう</rb><rt>、、</rt></ruby>、<ruby><rb>敵は王の懐に。</rb><rt>、、、、、、、</rt></ruby>

         ――――力が弾け

              到達する軍勢は――――



「兵力に頼るは勝手だが―――小枝で城は崩せぬぞ?」


    ――――それは如何な怪異であろうか。

城内に生じた其れは『渦』である。
魔力のみならず膂力、勁力―――急激な回転により生じた『力』の流れに呑まれ
或るものは根元より砕け、また或るものは嵐に揺られる枝のごとく翻弄される。
最古の王が遣わした恐怖の軍勢、古今に名だたる武威の象徴たちが、かくも悉くにだ。


    ――――昇る拳風は螺旋を生み

誰が知ろうか。
王の武具、暴威の数々が敵へと到達した瞬間を。
先端が触れるは一瞬。
その僅かという言葉すら及ばぬ、刃が力を発揮する拍子を見切り、体躯を捻じり逸らすことで
受け、直撃を流す。従来ならば為しえぬ防御、叶わぬ幻想。
世界の摂理を破るがごとき現象同然の技を、螺旋の動きと積んだ経験が可能にしていた。

剣群が魔城の夜に舞う。
今このときは槍も槌も斧すらも、颶風の渦を形づくる糧でしかなく。
そして何より、不死王が為した挙動は次なる糧に過ぎない。


      ――――其の『王』は軍勢を破り、城を崩した。

                     ――――神々の軍を屠り、天地をも揺るがした。
全ては刀槍が螺旋を舞うと同じく。
地より天。
剣と打ち合えば剣を砕き、兵諸共を木っ端に断つ。それ程の牙が潜むは渦の中心。
英雄王の懐深くへ一筋の魔拳、更なる滅殺の災禍が轟く。


   ――――昇る拳閃は天地を奔る。

                     ――――其の『王』は、独りで大軍を打ち破った。
 

11 名前:『不死者王』ブラムス@レス:英雄王 ◆vOzBAMUTHU :2007/07/29(日) 01:28:260

 吹き荒れる破壊の嵐。
 伝承として名を残す数多の武具は、壊れ、毀れ―――――武器としての役目を終え、王の
手駒としての価値さえ失われる。
 例えるならばその様は―――――

―――――数多の英雄が倒れ、朽ち果てていくのと同義。
―――――数多の兵が死に、屍の弔いもされぬまま進軍するのと同義。
―――――道具は道具としての役目を果せば、ゴミとして扱われるのと同義。

「ほう……」

 感嘆とも驚嘆とも付かぬ声を上げる黄金の王。
 よもやあのような防がれかたをするとは想像もしなかったのか。
 それとも―――――純粋にこの様を愉しんでいるのか。


―――――広がっていく破壊の痕

        今では玉座すら影も形もなく―――――


 しかし、愉しむ間すらないほど、容赦なく迫る致死量を超えた、絶死の一撃。
 例えるならばそれは、天翔ける龍が閃光で描く軌跡。
 本来視覚に訴えるはずもない大気中の魔力さえ、不死者王から溢れ出す魔と闘気に共鳴
するかのごとく、光を生む。

 その拳は大気すら切り裂き、地を断ち割り、空をも穿ち、『セカイ』に風穴を開けるに相応しい。
 人は死に絶え、神すら葬り、『セカイ』すら破壊する―――――昇竜。
 今では見るコトも叶わなくなった幻想種だが、暴虐なる幻想の王すら消飛ばすほど、鍛えら
れた拳。裏打ちされる経験もまた脅威ではあるが、純粋で純然な暴力の前には理論などあって
なきが如しである。

「それにしても―――――馬鹿の一つ覚えか? 前進するだけならば畜生にもできると云うもの。
 猪突猛進は大いに結構だが―――――退屈だ」

 暴力は更なる暴力によって飲み込まれるのは当然の摂理。
 弱肉強食が支配するこの世界の掟でもある。

 暴風は暴風を生み、黄金の王が繰り出す数多の武具は、更なる勢いで射出され続ける―――。
 その様は正に絶望の具現。数えることすら厭になるほどの、武具の嵐。必滅の嵐。
 嵐を大嵐で飲み込まんとする英雄王ではあるが、不死者王の一撃をその身で受ける気はない
らしく、一旦両者の間は開く。
 とは云えどちらにしても、彼我の距離など些細なコト過ぎないのは云うまでもない。


 英雄王にはこの世全ての財があり―――――
  不死者王にはこの世全ての武があるのだから―――――

「余興にもならん。
 少々テンポを上げるぞ」

 全包囲に展開される武具はその密度を更に増し、不死者王を包囲する。
 逃れる術を探す方が困難なほど、武具の数は膨れ上がり、不死者王を目指し進軍する―――!


―――――露になるなにかは、

           誰の目にも明らかに移る、麗しの女神―――――
 

12 名前:『不死者王』ブラムス@レス:不死者王 ◆vOzBAMUTHU :2007/07/29(日) 01:33:350

    ―――――護らねばならぬ。

                     我が身に代えても、彼女だけは―――――


(外した――――いや、外されたのか?)

最古の王ギルガメッシュは半神の英雄。
強大なる膂力は大地を割り、振るう剣は風を切り裂いた伝承を王は知る。
そして己の敵である対手は力の行使に一切の枷なく、完全無比なる姿で現界している。
数多の強大な魔獣を討ち、バビロニアの神々に比肩したかつての強さの侭として。

(元より、楽には勝たせてくれぬという訳か…)

軍を破り、城を穿ち、竜をも狩る昇竜の拳―――一つの拳が起すには強大に過ぎる旋風は、しかし、
上昇の頂点を以って終となる。その終点を間隙なく攻め立てるのは驟雨のごとく飛来する英雄王の軍団であり、
すなわち洋の東西、神話伝承の古今を問わぬ刀槍剣矛の容赦なき群。

「良かろう、元よりその程度は覚悟している。ならば――――」

刃金の軍勢が殺到する。
正に一分の隙間なく展開され、全てを呑み込む津波を思わせる迫るそれは、無論実体ある“物”である。
エーテルで構成され、神秘によって存在せしめられるも、確たる物質として現界している。
無限の剣。無尽の槍。
当然として全てに刃があり、腹が、柄が有る。

相対する不死の王。
抜山蓋世の巨山の姿を幻視させる体には、だが山には無きモノがある。
巌で出来ているかと思わせる両の腕(かいな)。金剛石よりも尚硬く、鋼より柔軟なる拳腕。
巨木を削りだしたかのごとき二つの脚――――獣を遥かに凌いでしなやかなる、俊敏に並ぶものなき剛脚。

―――故に。

        ―――――災禍の型を紡ぎだす宝具の大群

                  その中の、或る切先の一群を逃す道理は無く―――――



「―――付いて来い。付いて来られればの話だがな」

旋風一閃。
呑みこまんと迫る武具を文字通り蹴散らし、
無影乱脚。
地へ落ちるより早くそれらを足場とすることで宙空を駆け、
そして一陣、疾風怒濤。
更に天井を蹴り、壁を走り抜け天地の別なく踏破せしめるなどという真似は――――地上天上、
全ての武を有す『王』にとっては容易き所業。


        ――――肩を貫く一条は、我が身を盾にした代価

                それは今までの攻勢にて負った、唯一つの――――


片方の拳で飛来する矢を弾き、 / 堅牢無比なる防御は、先陣を余さず叩き伏す重戦士達の様に
残る掌で灼熱の魔力を撃ち、 / 終わりなき攻撃は、間断なく矢雨を浴びせる弓兵隊と同じく
縦横無尽に天地を駆ける。 / 止まぬ疾駆は、自在に荒野を馳せ巡る騎兵団のごとく

一拍子に弾き、撃ち、走る。
一体の攻防を展開する腕は寸毫の速さで交互に役目を変え、互いの飛び交う光条は幾重に連なり、轟音が木霊する。
もはや一所には留まらぬ、神速にして無限の交差。
時には十字、時には稲妻。天から、地から、右翼、左翼、あらゆる方向で武具が弾け魔力が奔り、
朧な闇に描かれるのは、不死王が燃やす双眸と魔力による紅の軌跡。

見よ、近代の世にも劣らぬ戦の光景。
『財』に拠る軍と『武』に因る軍。
これが一対一の決闘だと世界の誰が理解かるか、認めようか。
全方位に展開された弾雨と爆音、この戦場の交響曲を形成するのはあろう事か只二人。

「―――財を出し惜しんでいるのか?
 これでは余興にもならぬぞ、『英雄王』よ」

戦火の中、言の葉が風に流れる。
轟音にさえ掻き消される事なく確かに響く、不死者王の確かな言が。


         ――――未だ知られてはならぬ。

                 我が望みが達せられるには、未だ――――


13 名前:『不死者王』ブラムス@レス:英雄王 ◆vOzBAMUTHU :2007/07/29(日) 01:35:010

「減らず口もそこまで叩けるのならば、まだ余裕か―――――」

 腕を組み、まるで此処が何も起こっていないかのように振舞う王。
 足元で、眼前で、何処に目を向けても繰り広げられている戦争すら気にならぬかのように。
 悠然と余裕ある態度を崩さぬ英雄の祖。

 煌く光芒、鼓膜を破らんとする爆音。
 破壊の後は刻一刻と拡がり、今では城としての機能すら果すコトはなくなった、伽藍の堂で
繰り広げられる、『世界』と彼等だけが知る戦争。
 互いが互いを貪り尽くすまで終わるコトのない舞踏。

 カデンツァの調は熱を増していく―――ように思えた。

 ピタリと、王の武具の数々は動きを止める。
 獲物目掛けて駆けるだけが能であった猟犬は、王を守護する猛犬となる。

「貴様はこれを、城攻めだといったな」

 不死者王から放たれる魔力波と言う名の必滅の光は、黄金の王の下へ、何の障害もなく
突き進む。
 されど、その光が黄金の王に届くコトはない。
 黄金の王の傍らに、盾とも胸当てとも取れる形状をしたモノが寄り添う限り。

 あらゆる邪悪、あらゆる脅威を祓うそれは、とある伝承の原典。
 如何に不死者王の繰る魔力が強力で強大であろうとも、この神秘を打ち崩すには些か弱い。
 幻想はより強力な幻想によって打ち砕かれるのだから――――!

「たかだか『城壁』風情を崩すのに、王たる我が出るのは大人気ないが―――――」

 手には一振りの剣。
 後に『王の怒り』との意味を持つ剣は、彼の心境を表しているかは定かではない。

「黎明までにこの辛気臭い墓標から出ねば、我の気が滅入る」

 手にした剣を振るえば、地は裂け風は荒れ狂う。
 見上げればそこには真円を描く月が浮かび、空は未だ陽光を向かえる準備は出来ていない。

「征くぞ―――――」

 不死者王の疾駆にも劣らぬ速度で駆ける英雄王。
 彼は有する武具の『担い手』ではないだけであって、剣の扱いを知らぬわけではない。弓も、
槍も、全てを存分に使いこなすコトなど、英雄の王足る彼には造作もないコトだ。
 だからこそその一撃もまた―――――必殺。

 しかし不死者王とて木人形ではない。
 交響曲はカデンツァを挟み狂想曲となり、クレッシェンドでまだ続く。

 そう―――――王の思惑を隠したままに。
 

14 名前:『不死者王』ブラムス@レス:不死者王 ◆vOzBAMUTHU :2007/07/29(日) 01:36:460

夜気弾け、天地鳴動す。
月下に狂騒を奏でるのは交錯を重ねる刃と爪――――即ち、緋と金色の二輪。
一に轟くのは憤懣を隠さぬ王の剛剣。
ミッドガルドにおいてアース神の移し身であるエルフ―――後に、その王が所有していたと
伝わる『王の怒り』の原典により生ずる剣風は、英雄の膂力が加わることで暴風となる。
さながら『怒り』のみならず英雄王の有する暴虐をも体現した怒涛の剣を凌ぐのは、
あろうことか――――紅い燐光を纏い、五指を束ねて揮われる両の爪であった。

「『弾けて』、」

灯る赤光は不死王が込めた無尽の魔力。
先ほどまで無数の矢となり放たれていた『点』は凝縮され、より強固な『線』となり濃密に
編みこまれている。そして何よりも、神話の時代より旧き不死者王『自身』の纏う神秘こそが
この剣戟を可能としているのである。
鎚を拳で、剣を爪で、爪牙で砕く。それこそが不死者王の『伝承』であり、歩んだ暦程なのだから。
そして――――

「―――――『混ざれ!』」

中空、不死者王の目前。
全ては互いが跳躍から幾多に及び打ち合った後であり、互いの蹴りによって間合いが開いた正しく直後。
刹那の隙を逃さぬと刃を構える英雄王の鼻先に生じた―――“其れ”は、魔力を伴う爆発であった。
王の言霊はいわば引金。
弾丸は『王の怒り』の伝承が生まれた時代の剣――――『踊る炎』と称された剣であったモノ。
すなわち不死者王を貫いたまま残っていた武具が引き抜かれると同時、膨大なまでの魔力を流し込まれ
力ある言葉と共に投じられたのである。
その結果として武具は砕け散り、限界まで漲った力は熱風衝撃と変じて放出されたというのが事の真相だ。
無論だが尋常な業ではない。武具が宿した幻想を凌駕できるだけの魔力に加え、力を繰る知識がなくば到底叶わぬ。
これも強大無比な力はもとより――――その叡智。
神代より遥かに遡る生前。魔導国家ディパンにおいて『賢王』の号で呼ばれ、死後も衰えぬ智を持つから
こそ為しえた、これもまた幻想と呼べる代物であろう。


―――――爆風は続く。

爆風を受け、地に降りた王の向こうで。

―――――爆光は続く。

閃光に眼を灼かれまいと手をかざす王の前で。

―――――爆裂は終わる。

敵を探す王の目前。
“気”を消した不死王より突き出された腕は――――――




                         ずん、            と。


―――内部へ浸透する衝撃。
法外な魔力と膂力に因る『勁』の発動、気付いたときにはもう遅い。
 

15 名前:『不死者王』ブラムス@レス:英雄王 ◆vOzBAMUTHU :2007/07/29(日) 01:39:000

 音もなく吸い込まれる拳という名の兇器。
 それは英雄王の魔力の結晶たる金色の鎧を打ち抜き、穿ち、肉にまで達する。

―――――誰が想像しただろうか?

 世界から無尽蔵と言えるほどの魔力のバックアップを受け、生前と何ら変わらぬ力を
振るう彼に、一太刀と言えども傷を負わせるなどと。
 彼にとってこれは余興―――確かにそう言う面もあった。攻めも単調であり、守りすら
疎かな、ただ殺す為の『狩り』に過ぎない戦い。
 しかし両者の実力は拮抗し、あくまで余興に過ぎない彼と並び立つに足る不死者王に
は、そのような愉しみがあるはずもなく―――――その僅かな差によって別たれた明暗。

「ク、ハ―――――」

 闇と朧な月に照らされた空間に拡がる鮮血は、さながら大輪の華。
 その華は芳香で死者を滾らせ、鮮やか過ぎる色味に妬みすら覚えるほどに咲き誇り、
生者であればその鮮やかさは眼に毒なほど―――死の色に満ちた紅。

「―――――ハ、ハ、ハ」

                                                  笑う。

「ハハ、ハ、ハ、ハ―――――」

                                                 嘲笑う。

「クハハハハハハハハハハハハハハハハッ―――――!!」

                                                 狂笑う。

「斯様に脆弱な鎧など―――――要らぬ」

 金色の鎧は露と消え、戦化粧が施された素肌を晒す。
 それと同時に絶死を司る数多の武具の数は更に増え、零距離から『倒すべき者』に
狙いを定め弦を引き絞る。

「―――――『城門』は開かれたぞ、不死者王」

 手に取った一振りの名もない槍―――後に『貫く』と名を持つ―――を持つと同時に
襲い掛かる、有象無象を全て飲み込む剣林弾雨。
 その多くは不死者王の下へと襲い掛かるが、幾つかは狙いを大きく外し、不死者王が
常にその背に守り通していた『モノ』へと牙を剥く。

 そう―――――これは『攻城戦』。
 不死者王は相手陣営に最大の打撃を与えると同時に、最大の愚を犯してしまったのだ。

 この城攻めとはつまり、如何にして門を開けるか。それに尽きた。
 分厚い城門、城壁を崩し、城の中に到り、城主を落とせば勝利は決するのである。
 今まさにその『城門』は、図らずも英雄王を前に開かれてしまった。

 千載一遇の好機に釣られ。

 だからこそ、『城主』は無防備にその姿を晒し―――――

「―――――これで詰み(チェック)だ」

 英雄王は逡巡なく投擲する。
 後にその名が示す通り、寸分違わず心の臓貫き、絶命させる為に―――――。
 

16 名前:『不死者王』ブラムス@レス:不死者王 ◆vOzBAMUTHU :2007/07/29(日) 01:46:110

                       『何故、私を助けた?』

            悪辣な主神に討たれる寸前を、彼は其の女神に助けられ―――――


―――知らなかったわけではない。
世界の抑止が何を望むか。

―――読めなかった訳ではない。
狙われる矛先が何処であるか。

              『神としての命令ではない、世界を憂う同志として……お願い、力を貸して』

              ―――――神の傲慢を正すため、彼は彼女を、彼女は彼を


故に先んじて揮われた王の一手。
手刀の一閃が衝撃を生み、予見していた剣群を裂く。
それでも尚止まらぬ剣林槍雨を拓いて、駆ける。
背に足に、腕に突き立つ刃金などに目は暮れぬ、否、暮れる道理など今の王にない。
爆ぜた金剛杵が臓腑を掻こうと。
かわしきれぬ鉤剣が深々と再生適わぬ疵を負わせようと。
冷艶鋸が首筋を、方天戟が掠め、迫る三国英傑の槍衾が全身を引き裂こうとも。

疾風とそれより疾き影が。
例え天地が牙を向こうと疾走を止める理由は存在せず、それはただ一つの理由のために。
氷壁を思わせる晶石、未だ眠るシルメリアの御前。
獣じみた巨大なる“気”は体躯と共に躍り出て―――――――





                                         『貴方は、私が護る』
「――――今度は、私がお前を護る番だ」

――――――心臓を貫く両刃の大槍。
神々の至宝、天地の安定を司る四宝の一を雛形とし、後に『大神宣言』と呼ばれる宝具の原型。
“貫く”という結果のみを導く呪槍を防ぐには己が身を盾とするより他はなく―――――


            左眼を貫く魔剣グラム。

                      横腹を深くに削るバルムンク。

        ミョルニルの迅雷が砕いた骨肉を灼き、

                                  黄金の鍔持つ剣は脇腹を、
    心臓を更に抉るレギンの剣。

           その流血に牽かれ突き立つダインスレイブ。

                                  右脚を食い破り地に根を張るはミストルテイン。


                       巨人を屠った剣。
                       竜を討った刃。
                       神の揮った武威の象徴。

―――――其れは“神々の黄昏”。
大神の宣言を狼煙として奔るのは、神を殺し竜を殺し巨人を殺した最精鋭と呼ぶべき数々。
神が有し神が繰り神を殺す。神霊を殺す。
その為に生まれた宝具、神域の破滅はその為だけに射出され続ける。
東西問わぬ神々の軍勢として。

すなわち光の戦輪は闇に躍り/轟雷と共に喰らい散らすはブリューナク/海神の鉾が破壊の波紋を生み/
光速で穿つ魔弾タスラム/破壊神の三叉が雷光を奔らせ/クラウソラスは魔魂を浄化せんと輝きを増し/
ルーンの毒槍は肉体を腐らせる/アキレウスの巨槍は不死による再生を否定/アグニの投槍は不浄を滅する/
そして九頭の命を塵にするダグザの棍棒が、不死をも砕かんと唸りを上げる。

生を砕き死を砕き不死をも砕く破滅の怒涛。
だが―――かつて陥った、オーディンとの戦を思い起こさせる―――危機に瀕し、尚。
不死者王は腕を組み、自らを不動の山として地に聳え立つ。


                   ――――渡せない、この最後の女神の魂だけは。


封じられし女神の御前。
崩れつつある不死と巨躯を盾にして。
その爛と紅く光る単眼で、世界よりの簒奪者を睨みつけるのみ。
 

17 名前:『不死者王』ブラムス ◆vOzBAMUTHU :2007/07/29(日) 01:53:150

……一先ずは此処までか。
ルビタグは此方では使えんようだ。

>英雄王
思うところあり、先に代貼りをさせてもらった。
先ずはお前の到来を待つ。此方は、お前が来た時を見計らい参じよう。

18 名前:ギル様:2007/07/30(月) 00:03:360
―――――死よりも遠い生への距離。
―――――死してなお足掻く生への距離。

 息をつかせる間もないほどの投擲、掃射。
 生あるものを全て無へと還す為の疾走は止まる事を知らず、速度を上げ、歓喜を謳う。
 剣は剣としての勤めを全うし、槍は槍としての役割を果たし、武具と言う武具は生者を
滅するために駆け抜ける―――――。

 しかし相対するは死者。
 決して滅びるコトを知らず、生を置き去りにし死を忘れた亡者。
 時の流れに背き、時の狭間に埋もれ行く―――――不死者。
 水晶の如く澄んだ柩に納められた麗しの女神に迫る、黄金の王の従者達は、一人の
騎士によって、たった一人の従者によって、進行を妨げられる。

 その身を呈した決死の防戦は、褒められた行為とは言えまい。
 迫り行く軍勢は今は万を超え、致死を運ぶ死神の列。
 その軌跡の後には草の一本すら生存するコトを赦されはしない。
 だが―――――彼の王は立つ。


―――ただひたすらに。
     信念を折られぬ限り。
       守るべき者がある限り。
         それが誇りだと言わんばかりに―――


「未だ足掻くか―――――」

 黄金の王が手に取る魔剣。
 それは『害為す魔杖』と呼ばれる―――――否、呼ばれていた魔剣。
 神代は一度終わりを向かえ、今廻り続ける世界がある。

 千の昼を迎え、千の夜を迎えた世界。
 千と一日目の昼間を迎えるコトなく、千と一日目の夜を迎えるコトがなかった世界。

 だがそれは―――――

「―――――そのまま、狂い死ね」

                               ―――――かつて存在した世界。

                                            『王』は知る。
                                           『王』は知った。
 手にした魔剣は煌々と光を放ち、
                                  全ては起こったコトなのだと。
 昼を焼き、夜を消し去る。
                                全ては起こっていたコトなのだと。

                      かつて在った戦い。
                  かつて存在した―――――戦争。


                  全てを終わりとする為の剣が征く。
                     全ての終わりを見る為に。


19 名前:ギル様:2007/07/30(月) 00:06:010
 恐らくキャップは使えんのでな。
 我であるコトは我自身が証明して見せよう。

―――――フン、それにしても、随分と時間が経った。

 まあ、よい。
 終焉は直ぐそこだ。もう暫くだけ付き合ってやろう。

20 名前:『不死者王』ブラムス ◆vOzBAMUTHU :2007/07/30(月) 00:45:590

>>

―――――「死」が、目前にある。
かつてオーディンとの戦にて感じた魂の死、限りなき消滅の警鐘。
それは神霊の強固な霊的因子、概念構成すらも破壊する幻想の数々。
そして対界の宝具『害為す魔杖(レヴァンテイン)』。
かつて巨人族の王スルトが欲し、後に彼が揮ったと歪め伝えられた魔焔の剣(つるぎ)。
対界の灼熱を撒き散らすその力だけは、威力だけは、不死者王の知る歴史と同じく変わることはない。
すなわち彼と比肩する、天地の一角を支えると同じだけの”力”。
切り裂いた大気を燃やして迫る炎剣は、吸い込まれるように眉間を貫き―――――

               穢れなき白、色彩なき色彩が奔る。
               今ある世界をキャンバスに走る筆、描かれる絵画の名は黄昏の終焉。
               広がる焦熱は合切を塗り潰す白。
               伽藍の城は、逃げ惑う従者も塗り潰される風景のように。


                         ――――燃えて、潰える。


いまや『炎の園』は顕現した。
三千里を焼き尽くす真なる名の発動には遠かれど、ただ一人を滅するには十分に過ぎる劫火を以って。
広がる億度の灼熱は視える光景も、聞こえる阿鼻も叫喚も全て呑み込み、その焼却をして存在そのものを否定する。

天には熱と光の限りなき死風。
其は何も残さぬ。
地には対界を灼き落す焔の大海。
其は何も許さぬ。
人ならぬヒトを呑み込む烈火の洪水。
其が望むのは無のみ。
何もかも、許さずして赦さぬ。
生も死も。
不死も不浄も。
王も神も魔を女を男を城を民を空を山を地を夜を彼らを彼女らを――――すなわち世界の例外を。

―――消えて逝く、彼の不死が。
翳した腕も垂れ下がり、全身を無戮の業火に晒されるは無冠の王。
なおも沸き立つ火勢は中へ。肉を焦がし血を燃やし魂を焼く。
原初の死者から王へ、王から霊兵へ、霊兵から不死者に還った不死の王。
その神代創生から続く幻想を滅するまで“これ”は止まらぬ。四宝の残骸が発する、この神をも凌駕する神威は。

灼熱の中に王は立つ。
知らなかったわけではない、
世界の抑止が何を望むか。

そう、消滅の危機を前に王は立つ。
読めなかった訳ではない。
狙われる矛先が何処であるか。

そして、その目は前だけを見ている。
破滅の足音は厳粛に。
終焉の鐘の音は荘厳に。
終幕への秒読みは無情に。

そして―――――――。

 

21 名前:『不死者王』ブラムス ◆vOzBAMUTHU :2007/07/30(月) 00:47:290


         ――――かつて其の王は、至宝に代わり“世界”を支えた。



「―――――あの男、ようやく“道”を見つけたか」


次瞬。
憮然と漏らした王の後方。
水晶より力ある光芒が湧き上がった。



        一時“世界”と共に在った王は、故に“世界”の理を識った――――

王は。
王の目は“前”だけを見ている。
 

22 名前:『不死者王』ブラムス ◆vOzBAMUTHU :2007/07/30(月) 00:50:160
>>

王は“此れ”を知っている。
切り開く鍵は此処に。
黒と蒼穹、浅黄に輝く紋様はまぎれなく魔道の方陣。
―――――『王呼の秘法』。
かつて運命の三女神、魂を選定する戦乙女の召喚に使われたヴァルハラの秘術。
創世の神オーディンが作り上げたノルンの鎖、失われた神々の魔法。

王は“其れ”を識っている。
扉へと至る道は彼方に。
呼び声は王が良く知る本来の歴史、幾千にも分かたれた岐路の先、創生神によって新生された世界。
―――――『第二魔法』。
神秘が駆逐された現世に今なお残る、根源に至る魔法の一。
人は言う。因子の解、可能性の数だけ世界が在ると。その遥かにして近き世界を運営せしめる万華鏡の秘儀。
王が若造と呼ぶ、かの魔導元帥が到達した神の技術。

知らなかったわけではない。
世界の抑止が何を望むか。/故に分かっていた。何が出来、何をすべきか。
そう、読めなかった訳ではない。
狙われる矛先が何処であるか。/故にこそ、打つべき最善の手を尽くした。

世界があって王が在る。王が在って世界があるのではない。
其れは神でさえ例外にあらず――――その、自らの信念が事実であったことを王は五味五体にて知った。
かつて幻想の時代、世界を支える竜玉の至宝が失われたとき。
その、至上の神秘に匹敵する自らの魂で世界を支え、世界と感覚を共有したその時に。
統べる者がゆえに王は世界を識る。天地の摂理、万象を万象たらしめる因果の法を。
摂理犯すものを排する抑止の概念。
本質としてそれが世から失せさえすれば、世界の望みは達成されたコトに成る。
摂理として察知してから発動するのが理(ことわり)なれば、それは常に後手となる。

故に探した、王と世界、相反する互いの望みが達成される摂理の穴、その抜け道となる業を。
故に託した。未だ神秘と幻想が現世にあった時代。
王が神代より知る朱い月の魔王と、そしてそれを義憤ゆえに砕いた魔導師の戦より程なく。
死闘の果てに不死者となった魔導師に。
頼みは一つ。女神を姉妹の下へ返却したい。彼女がいるべき本来の世界へと。
託した術式は只一つ。異なる世界への“経”を繋ぐための発動式。

そして/
      奇跡と呼べるものではない
その意気は/
      同じく義憤を知る者同士
志士に通じ/
      故に帰結は一つ以外になく――――――


「―――――我が力は」

もはや加減の必要、なし。
いまだ我が身は満神(身)創痍、かつて瀕した滅びの淵に在る。
尚も全身を抉る神々の威光は不死者王の体を貪り、御霊を侵食し、その魂(まぶい)を砕き尽くさんと猛り続けている。
だが、それは既に潜った道だ。神と闘争を繰り返した歴史の中で、王が既に体験したものだ。
そして故にこそ、正に皮一枚で致命を免れる術を会得している。
緻密な術式と膨大に荒れ狂う魔力流を制御し、一重に威力を殺し己が魂の命をつなぐ。
ただ闇を統べる絶対の異能のみならず。培われた経験と知識、無限に等しい対処術、そして不死者となって尚、
決して失わぬ魂の輝き。其れこそが王の不死。ブラムスという王が持つ力。

尚も炎上する体躯に死の影は濃く。
置き去ったはずの「痛み」を、彼方に忘れて久しい「死」を感じる。
正しく身を削る激痛と苦痛。だが、王の顔には笑みがあった、不敵なまでの笑みだけがあった。
全ての欠片(ピース)が埋まったという確信。
女神を送呈する道は拓かれた、あとは彼女がこの世界から消える送迎の時を稼ぐのみ。
自らの不死なる魂――――その、世界すら支えた神秘である命を削り燃やせばよい。
確信は決意となり、鋼の決意は言霊となって心身に力を喚ぶ。
いざ十字の防御は解かれ、腰は低く、力強く両足は石畳を踏みしめる。
突き出された右腕。両の手は共に拳を形つくり、深き紅蓮の魔力が宿る。

―――この閃光に等しい瞬発力の爆発も。
神々という幻想を屠り、神々に狙われた神秘の具現。世界の陰に拠り生まれた不死王という“幻想”の力。
――――この炎上と光芒が躍る、刹那の空白を突いた肉薄も。
天地創造に匹敵し、崩壊する大地を支えたそれを、ただ眼前の一体に威力として叩きつける。
―――――この彼我の距離を三度埋め、顎へ吸い込まれるように走った拳も。
獣の型と吶喊より生まれるものこそ、いわば不死者王ブラムスの『宝具(ノウブル・ファンタズム)』。


「虐げられし者の剣―――――――!」


昇る不死王の拳は、王の体躯を天高くへと打ち上げた。


世界は教える。
今この眼前の王を斃さねば、英雄の王は何も出来ぬまま、死ぬと。

23 名前:『不死者王』ブラムス ◆vOzBAMUTHU :2007/07/30(月) 01:12:460

――――確かに、掛かった。
全てはこの一瞬に繋ぐためのものだ。
シルメリアを本来いるべき世界に送り出す。
その都合の良いなどと言う域を越えた幻想を、どうにか納得できる形にする為のな。
とはいえ……それとて、お前にとっては関わり無きこと。


―――ここより先は益体のある話をしよう。
此方が仕掛けるのは我が奥義、お前たちの流儀でいえば私の『宝具』が発動という事になる。
それは打ち上げるだけで終わりではない。

ttp://www.nicovideo.jp/watch/1175615265
(※上の5:40辺り)

これは観られるか?
説明だけすれば、打ち上げた後に
「空中での乱打(オラオラ)→打ち下ろし(ドラゴンボール)→追い討ち(ドラゴンry)」を叩き込む。<奥義
そして此処からが本題だが、その局面でお前が撃つだろう全宝具(最大の切り札を除く)との真っ向から……
という勝負を私としては望む。
要はお前に最後の切り札を切らせるため、それ以外の手札を全て無くすという算段だ。

無論、レスとは要望と状況に応じ千変万化さえするもの。
受ける受けぬの権利はお前の側にある。
英雄王よ、返答は如何に?

24 名前:ギル様:2007/07/30(月) 01:18:360

 まあ、よかろう。
 総てではないかもしれんが、鬼札を出す条件には揃えてやる。

 とは言え――今宵はタイムリミットだ。
 明日の夜には上げてやる。それで我慢せよ。


25 名前:ギル様:2007/07/30(月) 23:10:580

 星が輝く夜空に王は舞う。重力と言う名の枷から開放された上昇は留まるコトを知らず、上り、昇り、空の
頂を貫かんばかりに昇り続け―――――兇器<狂気>もそれに伴い空へと駆ける。
 千載一遇の好機を逃す武人はいない。畳み掛けるコトが出来る時には確実に畳み掛けるコトこそが常勝
への布石に違いがないからだ。

 だがしかし―――――だが、しかし。好機の中にこそ、最大の敗因が潜んでいる。
 全てに対の概念は存在する。どちらか片方にだけ寄り過ぎたものは存在できないのだから―――――。
 自らにとっての好機であれば、相手にとっても好機であるコトに間違いはない。

「王たる我に二度も泥を塗るとは―――――覚悟は良いな、疾く死ぬがよい」


 迫り来る拳足に抗う一騎当千の猛者達。流れるように集い、圧殺せんばかりの勢いで数は増え続ける。
十で駄目ならば百。百で駄目ならば千。千で駄目ならば万。無尽蔵に限りなく増え続けて行く武具の数々。
一つ一つが城を落とし、数多の兵を撃ち殺し、打ち滅ぼし、森を焼き、平野を砂漠と変える。
 生在るモノに死を。死したモノに死を。聖者を愚者に。愚者には死を。天使を貶め悪魔とし、悪意ばら撒く
それに死を。殉教者に死を持って哀悼とし、背教者には断罪を。宣教師に死を。教徒に死を。預言者に死の
予言を。神罰を代行せよ。全ては平伏し、畏怖を持って死を敬い、死して尚死に焦がれ、死を愛し、死に殉じ、
死に興じ、死の愉悦に浸る。

 数多、数多、数多。
 亡骸に一瞥を。

 死の氾濫=死の叛乱。

 既に何度となく死に絶え、しかし死に耐える両者が掴む光明は未だ遠く。
 蜘蛛の糸よりも脆弱で細い、死線を渡る綱渡り。一呼吸でもズレたとしたならば、それは結果を計算するま
でもなく弾き出される単純解に到達するだろう。

 等しく両者の天秤は揺れている。どちらに傾く事もなく、静かに。
 静かに。
 静かに。

 それはそういうモノなのだ。
 いつでも唐突に、逡巡する間もなく、躊躇の二文字を挟む暇もなく、突然に狂い出す。

 昏い檻の中で、灼熱の炎は滾り続ける。
 血の一滴すら残さぬ侭に、灰すら残さず。

 残るものは―――――。

26 名前:ギル様:2007/07/30(月) 23:11:470
 こんなところであろう。
 貴様の思うように動け、それに合わせて我も鬼札を用いる。

27 名前:『不死者王』ブラムス ◆vOzBAMUTHU :2007/10/21(日) 00:20:04
>>
 
     『―――る我に』
 
        ――――語る(騙る)に、能わず。
  
昇る二度目の拳風は、絶叫の高周波場ごとオハンの盾を打ち砕く。
それに守護された螺旋剣を。ゲイ・ジャルグを。クラウソラス、大怒と小怒、ゲイ・デルグ、槍の御子、
紅き死棘の槍を。フィアナ騎士団とクランの両雄=世代と禍根を越えたケルト神話の最強軍をも諸共に。
                                      
                                          8/10
     『―――を塗るとは』
    
           此処より先こそ、真に王の戦(いくさ)なれば――――
 
―――更なる高みへと打ち上げる拳撃。
その追撃の打、対軍の一撃を振るう度、迫る『死』は砕け、奔る『滅』は潰える。
三の打で雷名高き蜀の五虎将、曹魏の五将、孫呉の三代、中原の飛将、
三国無双と謳われた豪傑達の武威は夢幻の如く破れ、
  
                                         22/110 
  
     『覚悟は良いな』

――――王と王、刹那に満たず駆け上がる。
四は死に通じる告死、即ち鎌剣より始まる魔獣殺しの概念六剣。
蛇の麁正、竜種を屠った霊剣七つ。鬼種退治の髭切、雷切に蜘切、怪異退く秋水六振り。
悪神ラーヴァナに番えた陽弓、魔神を滅した摂理の三器。
東西を問わぬ英雄怪異魔神幻獣を非情に断つ『死』は悉くが例外なく無情の最期を遂げること余儀なくされ、
五にして神の使徒、十二勇将が誇る名剣全ては、対となる形で顕現した円卓が刃と共に不朽の概念を伏された。
 
                                         69/110                                                                                      
      『疾く』       
   
―――そして、白炎に染まる天高く。
迫る暴威は更に増え/立ち向かう王が臨むは 
天下五剣、大帝の三刀六剣、越王勾践八卦の八剣、千一夜を越えて在るジンの宝刀、海神を仕留めた「追放」と「撃退」/
右と左の拳と拳、紅蓮の煌き纏いて吼える
己が秘めたる全力で、対手の総てを、
 
      『死ぬがよい』
       討てばよし。
 
 
                                         84/110

28 名前:『不死者王』ブラムス ◆vOzBAMUTHU :2007/10/21(日) 00:21:15
>> 続き
   
   72柱の一、触れたものを腐り落とす架空元素の凍結剣、 
   エチオピア王の敗北を決定づけた暗き死の剣が、          ――――絶対零度は撃破され。 
   凍てつき輝くオルクリストの青き刀身が。              87/110 
 
                         猛る火と輝く氷の剣と、
                      ―――両の拳打が打ち砕く―――
                            貫きの小剣   
                        光と闇を宿した双剣を境界に、
                                         90/110                      
                               
                             智天使の炎剣、熾天使の炎扇、竜をすら絡め取る護封剣の守りを。
      ――――焔獄熱土を突破する。            架空元素の一柱、魂を焦がし尽くすアンドラスの灼熱剣。
                                             白炎により燃え光るグラムドリングの刀身を。          
                                         95/110                                    
  
続く大通連/砕く/小通連/砕く/顕明連の三連星/砕く/硬きを泥土と堕とす青ス剣/右で/蒼天を貫く倚天剣/左で/
貫くのみを因果とする矛/通さず/泰山を断ち割る破山の剣/破り/千里を揺るがす雷公鞭/斃し/抜けば玉散る村雨丸
/散らす/巨剣の極/砕きて/山金造波文蛭巻大太刀の原典/潰え/千子の村正/打倒し/触れれば斬れる蜻蛉切/
討ち取り/一〇八星の豪傑/梁山泊/武具ことごとく/ここに散る/虎徹/砕きて/良兼/折りて/正宗/圧し折りて/それ
等を/業熱一閃/合わせた/斬鉄一刀/打ち砕く/封神された神仙達の宝“貝”/閃剣を弾き/乾坤を塵に/光刀を無に
/数二百を/尽く/超え/打ち破る/世界原初のダマスカス刀/411/1110/破砕/原罪の選定剣/粉砕/太陽
剣グラム/爆砕/迅雷の神性帯びる布都御霊/玉砕/一矢千殺の弓/撃砕/嵐神の弓矢/大破/星と竜の力を宿す七支
刀/壊滅/相対者の首を刎ねるビルティング/爆滅/骨喰薙刀藤四郎/破滅/鞘走る尾羽張の神刀/死滅/天の羽々矢/
滅殺/雷牙の投槍/消滅/無音で奔る退魔の矢/摩滅/謡う振動刃スクレップ/破断/一切の罪人を滅ぼす倶利迦羅剣/
殲滅/アグニの飛槍/撃破/太陽と月を射落とす弩の矢/撃墜/625/1110/稲妻を番える蛇の弓/溶断/破壊軍神
の寵愛を受けたアキナケスの剣/蹂躙/それぞれに異なる概念を宿す百本のクリス/全滅/水を兵を破る二筋の矢/失墜/
ダマスカス鋼にて造られた牛頭の鎚矛/全壊/屠殺者の名を持つ魔槍/両断/無限に敵を追尾する赤原猟犬/断裂/失わ
れた蒼の切っ先/爆裂/神を斬獲した咎人の剣/破裂/天使が836/1110用いた焔の剣/炸裂/雪解け水で鍛えた
刃/壊裂/聖嬰大王の火尖槍/砕く/青鋒/砕く/七星の剣に/砕く/宣花の斧/砕く/必殺の/砕く/神槍ヴァーサヴィー
/砕く/ヴィジャヤの/砕く/宝剣二十六本/砕く/即ちアースヤモーダカ/砕く/アーヤナ/砕く/アクシサンタルジャナ/
砕く/シュマヴァルジャ/砕く/砕く/アヨージャーラ/砕く/砕く1102/11110/砕く/アンタルダーナ/砕く/砕く/
砕く/砕く/インドラジャーラ/砕く/砕く/砕く/砕く/砕く/ヴァーヤヴィヤ/砕く/砕く/砕く/砕く/砕く/砕く/ヴァールナ
/砕く/砕く/砕く/砕く/砕く/砕く/砕く/ヴィショーシャナ/1437/11110/砕く/砕く/砕く/砕く/砕く/砕く/
剣を/カークディーカ/砕く/砕く/砕く/砕く/砕く/砕く/砕く/砕く/槍を/ゴーラ/砕く/砕く/砕く/砕く/砕く/砕く/
砕く/砕く/矛を/サウミヤ/砕く/砕く/砕く/砕く/砕く/砕1815/11110砕く/砕く/砕く/砕く/槌を/サウラサン
ターナ/砕く/砕く/砕く/砕く/砕く/砕く/砕く/砕く/砕く/砕く/盾を/サンモーハナ/砕く/砕く/砕く/砕く/砕く/砕く/
砕く/砕く/砕く/財を/シャブダヴェーディヤ/砕く/砕く/砕2183/11110/砕く/砕く/砕く/砕く/砕く/砕く/
王の/シャラヴァルジャ/砕く/砕く/砕く/砕く/砕く/砕く/砕く/砕く/砕く/力を/シャロールバナ/砕く/砕く/砕く/
砕く/力を/砕く/砕く/砕く/砕く/王の/シュカ/砕く/砕く2415/11110/砕く/砕く/砕く/砕く/砕く/砕く/
砕く/拳が/ストゥーナカルナ/砕く/ナーカ/砕く/ナルタナ/砕く/パールジャニヤ/砕く/バウマ/砕く/パシュパタ/砕
く/砕く/砕く/剣を/砕く/砕く/砕く、砕く、砕く、砕く、槍を、2747/11110、砕く、砕く、砕く、砕く、矛を、砕く、砕く、
砕く、砕く、刀を、砕く、砕く、砕く、砕く、砕く、砕く、砕く、砕く、砕く、盾を、砕く、砕く、砕く、砕く、砕く、砕く、砕く、砕く、鎧を、砕く、
砕く、砕く、砕く、砕く、砕く、砕く、砕く、槌を、砕く、砕く、砕く、剣3009/11110、砕く、砕く、砕く、砕く、砕く、砕く、砕く、刃を、
砕く、砕く、砕く、砕く、砕く、砕く、力を、砕く、砕く、砕く、砕く、財を、砕く、砕く、砕く、槍を、砕く、砕く、砕く、砕く、拳が、砕く、砕く、
砕く、砕く、砕く、砕く、砕く、砕く、砕く、雨を、砕く、砕く、砕く、罪3318/11110、砕く、砕く、砕く、砕く、砕く、砕く、砕く、砕く、
砕く、砕く、砕く、砕く、砕く、砕く、砕く、砕く、砕く、砕く、砕く、砕く、砕く、拳で、砕く、砕く、砕く、砕く、砕く、砕く、砕く、砕く、砕く、
砕く、砕く、砕く、砕く、砕く、砕く、砕く、砕く、砕く、刀を、砕く、砕3642/11110、砕く、砕く、砕く、砕く、砕く、砕く、砕く、砕く、
盾を、砕く、砕く、砕く、砕く、砕く、砕く、砕く、砕く、矛を、砕く、砕く、砕く、砕く、砕く、砕く、砕く、砕く、砕く、砕く、砕く、盾を、砕く、
砕く、砕く、砕く、砕く、砕く、砕く、砕く、剣を、砕く、砕く、砕く、砕3993/11110、砕く、砕く、拳が、砕く、砕く、砕く、砕く、砕く、
拳が、砕く、砕く、砕く、砕く、砕く、砕く、砕く、砕く、砕く、拳が、砕く、砕く、砕く、砕く、砕く、砕く、砕く、砕く、砕く、王の、砕く、砕く、
砕く、砕く、砕く、砕く、砕く、砕く、砕く、財を、砕く、砕く、砕く、砕4321/11110、砕く、砕く、拳が、砕く、砕く、砕く、砕く、砕く、
槍を、砕く、砕く、砕く、砕く、剣を、砕く、砕く、砕く、砕く、砕く、砕く、砕く、砕く、砕く、砕く、砕く、盾を、砕く、砕く、砕く、力を、砕く、
砕く、宝を、砕く、砕く、王の、砕く、砕く、剣を、砕く、力を、砕く、4685/11110、財を、砕く、砕く、砕く、砕く、砕く、砕く、砕く、
王の、砕く、砕く、砕く、砕く、砕く、砕く、砕く、拳が、砕く、砕く、砕く、砕く、砕く、砕く、砕く、砕く、砕く、剣を、砕く、砕く、砕く、砕く、
砕く、砕く、砕く、雨を、砕く、砕く、砕く、砕く、砕く、砕く、砕く、砕く、砕く、滝を、砕く、砕く、砕く、罪を、砕く、砕く、砕く、砕く、財を、
砕く、砕く、砕く、王の、砕く、砕く、砕く、砕く、力が、砕く、砕く、砕く、砕く砕く砕く砕く砕く砕く砕く砕く砕く砕く王の力が――――― !
            
                                      5200/11110
  
―――王の力が。
膨れること正に無数、数えることすら無意味に等しい那由他の兵。
その総てが東西に在って無敗であり、南北に於いて無敵。
かつて英雄を討ち、大軍を蹴散らし、城砦を落とした力。
天地に謳われ、歴史に刻まれ、幻想に昇華した剣という剣。槍という槍。武具という武具。
すなわち王の“財”という"財”。罪悪の塔バビロン、積み上げれば天空に届くおびただしい罪科。
山麓をも呑み込みうねる大河の氾濫、正しく終焉の災禍と呼ぶにふさわしき剣雨の怒涛。
果てなき驟雨の如く打ち付ける――――その、全てを。
                                      5892/11110
一騎当千の武に拠って。   
万夫不当の力持て。                    
只二つの握られた拳を繰り出し、攻めを砕きて護りを穿つ。 
爆炎を噴くアーグネーヤが爆ぜ、月の空間を歪曲させたガネシャの牙は蒸発し、
永遠に朽ちぬ緋々色の刃金は折れ、アキレウスの神造武具は砕け散り、
天の濡矛が創造侵食の術式もろともに粉砕される。
                                       6793/11110
―――狂的な均衡が展開されていた。
剣の護りを、刃の攻めを。正しく万軍の天秤を独りで支えて尚揺るがぬ。
肉が裂け、骨が砕けようと。そこに微塵の揺らぎも生まれはしない。        
不死者王はかつて神々の軍勢と戦った。節理を創る支配者と互角の争い、それを幾度と幾星霜と続けてきた。
王はかつて幻想と実存のセカイを支えた。
彼倒れれば崩れる天秤を、長きに渡り等しく留めた。留め続けた。
ゆえに、この王にとって全存在を掛けた天秤は危機にあらず。苦難なれど危機にはあらず。
強者を揺るがす死線をくぐり、糸より細き綱を進む心得を誰よりも知る。それこそが不死者王の辿った『道』なれば。

                                      7351/11110 
 
―――右の拳が罅割れる。
だが奔る拳打に怯みはない、己の死など恐れはしない。
そして今は到達すべき道がある、道標がある。
ならば感じる「痛み」に怯もうか、迫る「死」に恐れる道理があろうか。
なれば踏破する。危機ならん道を嬉々として。
絶命をもたらす魔槍魔剣の群れを、精霊の化身した凶器を、呪いを成就せんと迫る魔刃を、
僅かだが感じる骨肉の手ごたえ、徐々にだが通りゆく本陣への到達、その奥に在る英雄王の首級(みしるし)を、
 
                                      8082/11110  

     ――――展開される王の防壁/紅蓮が集束、両の拳を握り締め――――

                         熾天覆う円環(アイアス)の護りが七つ
       神々の揮った掛け値なしの神造武具、
                         原初の軍神突剣(グラディウス)による突貫
       不死王を阻むため顕現した幻想の頂点、
                         神聖(神性)の凝縮されたヘルメスの剛剣
       それら不滅不朽の合切を、
                         億度の陽光(アポロンの弓)による迎撃
       諸手を合わせた渾身の、
                         ゼウスの稲光る雷霆剣(ケラウノス)、      
       鉄槌剛拳振り下ろし、     
                         同じく轟く黄金剣(クリサオル)
       咆哮搏撃 
                         “力”を経絡と概念ごと刈取るサトゥルヌスの鎌、
       打ち砕く、                    
                         そして多元屈折すら凌ぐ防御防壁遮断の原典
                         先刻不死王の猛攻を阻み続けた『鎧の盾』アイギスの絶対防護
 
 
 
             ―――全て、残らず突破する。
                                      8090/11110

29 名前:『不死者王』ブラムス ◆vOzBAMUTHU :2007/10/21(日) 00:22:39
>> 続き
 
 
 『――――』
 
黄昏の戦場と化した天の頂より降る彗星は、臨界にまで紅く達した追撃の拳。
王より背後の光芒が一際に輝き、魔力が躍る。
女神が眠る魔晶石。稲穂のごとく輝く金砂の髪、鎧の浅葱に白絹の肌。
今、かの封印されしノルンは返還される。彼女が在るべき地平に、姉妹達が待つアスガルドに。
分岐した世界の彼方、王と女神が知る新生された世界に。
彼女は存在するべき世界に。本来いた、時代と世界に。
                                      8969/11110
 『――――』
 
尚も王に食い下がり勢いを増す、まさしく瀑布の逆流と化して迎撃の剣雨が昇る。
王の魂を揺さぶるのは死地に舞う戦士の歓喜か、修羅の狂喜か。
何れかであり、何れもであり―――――否、それらでなくてはならない。
女神の懇願は/盟友の呼びかけは/彼女の言葉は、届いていない。届いてはならない。
王は不死王(ノーライフキング)、不浄なる不死者の王。
かつて幾度もまみえたヴァルキュリア・長女アーリィの言葉――――神にとっての敵、魂の摂理を乱す仇敵なのだから。
たとえ、それが傲慢への義憤であったとしても。
王と女神の原初の願い、叶えられたというのなら――――。
                                      9503/11110

『――――――』
 
刹那に刹那を重ねた、寸毫という名の悠久に等しい刻。
収束された力と力は互いの勢いを緩めずに激突を繰り返し、だが地に進む王の肉薄を止めること叶わず。
王の力は緩める事なく。送還の秘術は留まることなく。突き出した腕の損傷は塞ぐことなく。
復元の呪いは既に停止し、不死の摂理は半壊し、自己という強大な魂は石火の勢いで削られてゆく。
膨大な魔力は攻撃に、赤熱を超えて融解を始めた拳になおも力を注ぎこむ。生死の天秤を走りきり、完成の時間を稼ぐ為に。
罅割れる肉体/生じる亀裂は走り続け。
加速し尽きゆく財と業/彼我の力の崩壊は進み。
刻一刻、終へ近づく術と業/声なき叫びと光芒は更に。
                                    10049/11110 
 

――――奇跡、ではない。
 
王の咆哮。力と加速し昇華する。 
再来するルーンの毒槍が、太陽弾タスラムが、チャクラムの光臨が、轟く五雷のブリューナクが。
ダグザの棍棒が内包する九の命を破壊され屑と消え三叉の鉾が超音の波を突破され藻屑となる。
粉砕されたミョルニルは紫電と散り、ダインスレイブは呪詛もろとも蒸発、ミストルテインは一握の灰と消ゆ。
――――再装填され射出された神々の武具が、かの不死者王を今度こそ滅する為に参じた精鋭が散華する。
誰も残らず、何も残さず。
神々の黄昏、その本来の意味として再現されるかのように。
かつて王が垣間見た、不死者すら死す虚無の荒野さながらに。力と力による破滅の天秤は傾くことなく終焉に向かう。
                                    11108/11110 
 
それは軍勢の総大将を成す最後の二振り、すなわち至宝(四宝)の二つすらも。
神界の具現グングニル/全てを貫くオーディンの神槍。
そして冥界の具現レーヴァテイン/竜珠の幻想が組み込まれ、世界すら焼き尽くす紅の魔剣。
これら再び迫る破滅の極点も例外になく―――相対した拳と財は、いとも容易く砕け散った。
一切の停滞もなく、永きに渡った仇敵の至宝と王の腕は互いを貫き。
合切の逡巡も無く、不死者すら死に瀕する魔杖剣の炎は互いの熱量を喰らい合い、灰にも成らず消滅した。
残るものは。
もはや残るものは。
残滓というには極大な衝撃、炎獄すら掻き消す爆風、天地を揺るがす轟音と―――――――。
 
                                 11110/11110  
 
 
 
 
 
  
 
「シルメリア……」

  
―――――全ては奇跡などではない。
薄闇に塗れた伽藍の堂。もはや夢の跡すら存在しない玉座の間。
在ってはならぬもの、消失すべきものを失い、広がる虚空を見るのは独り。
 
「私の手向けだ。せめて在るべき因果の彼方、姉妹仲良く暮らすが良い」
 
くず折れんとする残った上体の半身を支え、満身創痍。
体躯は今にも枯れ朽ちようとする巨木、今にも崩れる巌の如く。にも関わらずして傲然屹立するのは隻腕の王。
 
「そして待たせたな、此処からが私の戦だ」
 
そして、くれる言葉の相手は其処に。
背後に刺さる、竜すら射殺す蛇の眼差し。いざ向き直りて三度(みたび)相対する。
その者の名は――――。
 
 
 
 
「<RUBY><RB>原初の英雄</RB><RT>ギルガメッシュ</RT></RUBY>――――――武具の貯蔵は十分か?」

30 名前:『不死者王』ブラムス ◆vOzBAMUTHU :2007/10/21(日) 00:29:54
  
再び待たせたな英雄王。その一点は詫びよう。
……だが再び3レスとなった、そこは謝るわけにはいかん(何だと
   
ともかく、これでお前が鬼札を切る契機には、そして理由にはなった筈だ。
これからがお前と私の本当の勝負……王という衣を捨てた英雄としてのその力、今度こそ見せてもらおう。

31 名前:えーゆーおー:2007/11/08(木) 01:01:43
「言葉を解せぬようだな――我は疾く死ねと云ったのだ。逡巡を挟む間もなく、首を垂れ無様な屍を晒すのが
礼儀というものであろう」
 
 乾いた指の音と共に、再び集う王の軍勢。
 数多の破壊の痕すら埋め尽くさんばかりに、殺意と狂気の二文字を抱き、ただ進軍する為だけに集う精鋭。
 死に因る怯えはない。数多の同胞の死すら彼等には無意味。表情を変えないまま、一点の曇りすら見せず、
ただ王の勅を遂行する為に集う。
 
 彼等に意思はない。
 彼等に誇りはない。
 彼等に躊躇はない。
 
 道具として扱われ道具として散る為に、彼等は在る。
 
 仇為し害為し、等しく万物に忌み嫌われる伝承がある。
 多くの人を救う、誰もが朗らかに語らう英雄譚がある。
 この世には数多の伝承があり、多かれ少なかれ、その中には狂気<兇器>がある。
 
 数え切れぬほどの伝承は、財宝の礎。
 彼の王が持つ原典は、砂漠の砂のようなものなのだ。
 
 数えるのも馬鹿げている。
 その数の頂は何処にもない。
 
 今不死者の王が死力を賭け踏破した剣林弾雨ですら、その一端。
 留まる事を知らず、無限には届かずとも有限の極限には届くだろう。
 バベルの罪すら足元には及ばず、この世の罪<財>は彼の手中に在り。
 
 人の器に収まれず、神と呼ぶには欲深く、英雄と讃えるには罪深く。
 王であり、王でしかなく、王以外の何者でもない。
 
「―――――しかし、貴様が壊したものの代価は受け取らねばな」
 
 王に寄添うは一振りの剣。
 ただ一振りの―――――剣。
 
「我は物の名前などどうでもいいのだがな。二つだけ―――――名付けたものがある」
 
 かつて、「星」は死に溢れていた。
 生きるという事を全力で否定し、例えどんな生命であろうとも駆逐してきた絶対の死。
 思い出す事はないであろう、人の記憶の根源に刻まれた抗いようのない死のカタチ。
 人はその記憶に恐怖を抱いたまま、忘れ続けている。
 
「一つは我が生涯における、ただ一人の友と呼べる男―――――」
 
 王はその一振りの剣を手にする。
 数多の原典すら霞む、圧倒的な存在感を持つその剣は、過酷な星の意思。
 どのような生命すら生きる事を拒絶し、有機無機に関わらず、等しく万物に滅びを齎す災厄。
 
 まるで呼吸のように揺らぐ大気。
 その切先は既に、なにも捕らえていないにも拘らず、滅びの意思を溢れさせている。
 
「そして――これだ。我は「エア」と呼んでいる」
 
 それは呼びかけに応えるように、牙を剥く。
 王の意思に応えたか、はたまたその剣の意思か――定かではないが、確かに牙を剥いた。
 
 清らかに、高らかに響く破壊の音。
 

32 名前:えーゆーおー:2007/11/08(木) 01:06:14
 
 砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕
けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた
/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕
けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた
/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕
けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた
/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕
けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた
/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕
けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた砕けた/砕けた/砕けた
/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕
けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた
/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕
けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた
/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕
けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた
/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕
けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた
/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕け
た/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/
砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕け
た/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/
砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕け
た/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/
砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕け
た/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕
けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた砕けた/砕けた/
砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕け
た/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕
けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/
砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕け
た/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕
けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/
砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた
/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕け
た/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕
けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/
砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕け
た/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕
けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/
砕けた砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた
/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕け
た/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕
けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/砕けた/
 

33 名前:えーゆーおー:2007/11/08(木) 01:06:57
 
    世界を覆ってなお余りある――そう錯覚させるほどの軍勢は、ただ一振りの剣の咆哮によって塵芥。
 
                    見るも無残な地獄絵図。

                      崩壊への序曲。
         
                     繰り返される鎮魂歌。
 
 
                それは―――――ただ一振りの剣であった。
 
 
 
                      しかし―――――
 
 
                         地獄。
 
 
 

34 名前:えーゆーおー:2007/11/08(木) 01:12:35
              その剣は示した―――――
                万物が抗える筈のない死を/一切の停滞もなく、永きに渡った仇
                                    敵の至宝と王の腕は互いを貫き。
                し壊半は理摂の死不
                 し止停に既はい呪の元復/万物に待ち受ける最後の快楽
                                     それは最悪の責苦と共に   
                 るす絶拒を望希のて全
                   は厄災るれ訪し返り繰/刻いし等に久悠の名ういと毫寸
                                   たね重を那刹に那刹
            肉が裂け、骨が砕けようとそこに
             微塵の揺らぎも生まれはしない/生命の誕生と終焉
                                  人に刻まれた原初の罪過
                  生れ落ちた事が罪
                    死して償いきれぬ罪/彼倒れれば崩れる天秤を、長きに
                                   渡り等しく留めた。留め続けた。
                 てしと々嬉をんらな機危
                      るす破踏ばれな/ぬれわ救もってよに死
                                  ね重を罪おなで事るき生


                          「天地乖離す―――――」
 
 
                  集う事で滅びは始まる
                     め集を塵め集を灰/存在しない玉座の間
                                  らす跡の夢やはも
                        ずさ残も何
                         誰も残らず/生命の拒絶
                                  絶根の生誕
                   破棄し感情の一切
                    謳う生再への序曲/王の隻腕する
                                 俄然の屹立は
               独り見るのは失消空虚を
                   すべきものを広がる/皆無この世だ
                                  悪ばかり失うものは
 
                          「―――――開闢の星」
 
 
 

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