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■ 日守 秋星 vs 後藤
- 33 名前:日守 秋星 ◆g.FomaLl7. :2008/12/17(水) 01:21:06
- >>31
「食欲だけが生ではない。運動も必要だ。それにしても、大きく出たな。」
言うや否や後藤のスーツが弾け、左腕が在った筈の場所から飛来する刃が三つ。
獰猛な毒蛇が獲物に飛襲する様に伸びたそれは、伸長と言うより飛翔に近い。
それが三つ。
それぞれが別方向へと伸長し同時に襲い掛かるのだ。
どれほどの反射神経を持ってしても、その全てを回避するのは不可能だろう。
当たれば死を招き、回避し難い攻撃……
人はそれを必殺と言う。
――しかし。
「――――ハッ!」
日守秋星は笑っていた。
自らに向けられた確実に死を与える必殺の攻撃を前に、いつものように――
いつもより、さらに口の端を吊り上げ、不敵に嗤っていた。
いつもと変わらぬ危機感のない装丁で、迫り来る三つの刃を見つめる。
達人のみが至る境地。
一瞬である筈の時間が数分に匹敵するほど伸びた世界で、
迫り来る刃のそれぞれの軌道を読み、半瞬先の到達点を予測する。
足、胴、頭の三箇所に分散した同時攻撃のごく僅かな到達時間の差を確認。
その針の先のような極瞬に――――
「ひぎぃぃぃぃぃぃぃぃ――ッ!?」
ものの見事に全てを喰らって、鉄骨から転がり落ちた。ドサッ!
「なんだよーソレ反則だろーハズレのくせにそんなの反則だろー」
頭から赤い噴水をだし、左の大腿から下は真っ赤に染まり、腹からだくだくと流れるモノを左手で押さえながら、
右手に持った得物を支えになんとか立ち上がる秋星。
強がって減らず口を叩いていても、まさに満身創痍。
なのに、まだ――――
「ダメだぜ、お兄ちゃん。野生の動物は食後の運動なんかしまセン!余計な運動して無駄なカロリー消費するのは人間のする事だ――って人間か」
後藤の異様を目の当たりにし、それによって瀕死の重傷を負いながらも、
まだ狩り取る相手ではない、ただの人間と言う。
「でもまあ、こっちは余計なカロリー消費したくないんで――――」
死にかけた身体を押して片手で得物を構える。
――ギチリ――
と全身の筋肉を撥条にして狙いを定めるそれは、
野生の肉食動物が獲物に飛び掛る準備の撥条ようと言うより、
はじけた瞬間の弾機。
「ここらでサヨナラです!」
その相反する静と動が正しく動へと移行した。
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