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■ 日守 秋星 vs 後藤
- 42 名前:日守 秋星 ◆g.FomaLl7. :2009/01/07(水) 02:52:47
- >>40
その一生に一度あるか無いかという、たまたま運が良くて死を免れただけの回避に更に追い打ちがかけられる。
例えるなら自転車で爆走中に飛び出してきた老婦人の押す乳母車を咄嗟に避けたら、
避けた先が車道を走る自動車の前だったような……
それも昼間の国道。
走っていたのは大型ダンプカー。
しかも過積載の上に速度超過。
そして正面衝突。
もうブレーキをかけても無駄。避ける間もありません。
あと出来る事と言えば人生最後の瞬間を出来るだけ有意義にドラマティックな走馬灯を眺めて楽しむ事ぐらい。
その確実な死の直前に――――
―――― ギンッ ――――
異音。
宙を舞う赤い飛沫。
断ち切られた肉片がコンクリートに落ちる鈍い音。
そして静寂。
高層ビルの屋上を薙ぐ風すら凪いだような、完全なる無音の中、
百パーセント確実な死であった筈の後藤の刃は、
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
偶然ささっていた秋星の得物に当たり、なまじ高速で振られていた腕は自らの速度で両断されていた。
「ぅお!? これはラッキー!」
九死に一生についで十死に無生の奇跡の前にすら、まだとぼけた様子で喜ぶ秋星。
だが、人生楽ありゃ苦もあるのである。ピキキ
「え? ええぇぇぇっ!? ぅえええええええええぃ!?」
驚いている間にも後藤の刃に付けられた斬り込みから亀裂がピキっと走って。
ピキピキピキピキっと走り続けて給水タンク幾何学模様を描いていく。
それを、とう!とばかりに刺さっていた得物を引き抜いてトドメを刺し――――
直後、決壊したタンクからの大量の流水に飲まれていた。
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