黒紫

1 名前： ◆fPATcHE/tU ：2009/09/20(日) 19:47:35: 黒の戦士と紫の魔女以外の立ち入りを禁ず。
21 名前： ◆XovfKnNero ：2009/10/04(日) 21:34:43: 「これが本当に桜の季節過ぎた頃の霊峰の姿かよ…辺り一面が最早白銀の異世界だぜ」

それがフェルムの丘を経由し、第2採掘場を抜けて直ぐに零れた俺の、
霊峰ラーミナを目にした時の所感だった。
22 名前：ネロ ◆XovfKnNero ：2009/10/04(日) 21:34:51: ―――事の発端は4月の下旬。

とある人災からそれなりに復興は遂げつつあるここフォルトゥナでも桜の季節も少し過ぎた頃。
しかしＴＶの気象情報によると霊峰ラーミナでは最近、中旬辺りから
雪が激しくなりつつあるらしい。
幾ら年中雪が積もっているといっても本来この季節はそこまでひどくならない筈。
というより日を重ねるごとに更に激しさを増すとはどうした事か。

「嫌な予感がするな。まさか…」
木材に鋸の刃を立てながら傍目でＴＶを観ていた俺は呟く。
「考え過ぎよ、ネロ。幾ら変な事が起こってるからって何でも悪魔の仕業にするのもどうかと思うわ」
「それもそうだな…」
キッチンで鍋と向き合うキリエの言葉に取り敢えず相槌を打ってみる。

そもそもこういう、元を辿れば空の衛星から送られてくる情報だけで
判断する事自体考えものなのだが。

…そういえば雪が降り出した頃からフォルトゥナ城の管理局から連絡がハタと途絶えたらしい。
それに連なり、霊峰ラーミナへ登山に向かった住民ならびに観光客が次々消息を絶つという事件が
フォルトゥナを駆け巡った。
何しろこの街は小さい。街の周囲並びに住民に何か起こればそれはすぐに住民全体の知る処となる。
まして、この街に観光客が訪れること自体が稀とあれば。
当然、便利屋的側面を持つ俺の事務所「Devil May Cry」に調査の依頼が舞い込むまでに
まるで時間はかからなかった。

「やっぱり悪魔絡みみたいだな…なら俺の出番って訳だ」

何しろラーミナに季節外れの大雪が降るという案件は一度出くわしている。
その時はやはり悪魔絡みだった。
ただ、それだけの力を持つ上級悪魔を召喚する為の地獄門は既にすべて破壊されており、
このフォルトゥナには最早人間界に残留した微力な勢力しか残っていない筈だが…
何れにしろこのまま放っておけばこのフォルトゥナ全体が
異常気象に見舞われかねないと考えた方がよさそうだ。
それに、デビルハンターの俺なら遭難の心配など粗不要だと思っていい。

背中に剣を、コートの内に銃をそれぞれ収め俺は一路ラーミナへ向かう―――
23 名前：ネロ ◆XovfKnNero ：2009/10/04(日) 21:35:14: ―――更に消息不明の原因がただの吹雪による遭難で無い事に気づいたのは
足を踏み入れて数10mと経っていないその時だった。

右腕が突如輝き、疼き出したのだ。
悪魔と化した俺の右腕は近くに悪魔が寄るとこういった反応を見せる。
それにしてもあまりに早過ぎる気がするが…

そうした思案の暇も許さぬが如く、前方からから何かが迫ってくる。

―――光！？いや雪か！！

光る雪とも呼ぶべきそれはやがて、俺の身体に覆いかぶさらんとしていた。

よく解らないがこの右腕が反応してる以上、悪魔が絡んでいるに違いない…
ならばこの悪魔の右手で薙ぎ払うだけだ！
すると右手を覆う魔力に当てられ、先程まで俺を覆いかけていた光る雪は跡形もなく消滅した。

「雪自体が悪魔だったってわけかよ…」

今思った事だが、もしかすると消息を絶った連中は
この一種の悪魔と思しい光る雪を受けてしまったということだろうか？
となればこの異常な吹雪も…自然そこに連なる事になる。

更に進行の途中で判明したことは、この光る雪はある程度積もった場所に人間が近寄ると
それに反応して光が波の様に伝播してくるようなのだ。
そしてその伝播元は見た所あのフォルトゥナ城と見える。

迂闊に疾走して光に集られたら堪ったものではない。
徒歩で進行しつつ次々迫りくる光を―――

左―――
右―――
前―――
後―――

へと様々にかわし、または右手で払い除ける。
実に面倒くさいが、悪魔と解った以上万が一取りつかれるわけにはいかない。
その登山客の二の轍を踏みたくなければ。
更に途中の道は狭く、片側が断崖絶壁となっている以上は迂闊に大きく動けないのだ。
煩わしい極まりない。

そうした状況あって僅かずつしか進めない苛立たしい進行の果て、
遂にその光の伝播する中枢と思しい城まで辿り着く。
この怪しい雪の中心があの城だとしてあそこで一体何が起こっているというのだろうか？

そうした思案は一先ず他所にフォルトゥナ城の門を開け、いざ事件の中核たる城内へ―――
24 名前：ネロ ◆XovfKnNero ：2009/10/04(日) 21:43:21: 待たせたな。以上がこっちの大間かな導入だ。
オーダー通り城の正門に入るまでな。
とはいえやっぱり、本スレ投稿に当たってはもう少し肉付けはした方がいいかもなコレ…

文体は例によって小説版のヤツを流用してるわけだが…
どうもコレ、一人でいる時のセリフが書きにくい気はするな。
まあその分、前回の様に闘争になったら増えると見ているからあまり気にしちゃいないが。

あと、犠牲となった管理局の連中（偶々城の中に居たことにしてくれ）とか登山してきた住民や
観光客については…すまないが任されてくれ。
そもここで出てくるフォルトゥナ城管理局なんてもの自体、俺の捏造設定だし（愚
色んな処理に困ったらその都度修正受け付ける。
これ以上長引かせてグリグリ下書きを弄ってもより良いものが書ける自信が無くてね。
25 名前：パチュリー・ノーレッジの手記 ◆fPATcHE/tU ：2009/10/09(金) 15:43:54: 某年一月某日

舞台の把握を完了した。

この城は中々私好みの構造をしている。蔵書室が広いのがいい。
（紅魔の図書室（　　　　う　　ち　　　　）ほどではないけれど）
城の地下には、何か魔術的な―私の知る物にも、外の世界の物にも似ている―実験施設の
跡があった。
何かに使えるかもしれない。記憶の隅にとどめておく事にする。

さあ、始めよう。彼女の真似事を。
この実験が私にとって、実りあるものになる事を祈る。
26 名前：小悪魔 ◆fPATcHE/tU ：2009/10/09(金) 15:48:50: 「You're welcome!（ど　う　い　た　し　ま　し　て　！）」

開かれた門。常人には一仕事であろうそれを一息で成した青年を迎えたのは、やや調子外れ
のアイリッシュイングリッシュ。
それを発したのは、ピシリとしたYシャツに黒のベスト、そして黒いスカートに赤い長髪の少
女だった。
一見すれば、ホテルへと入った客を迎える従業員……といった風情。

「ってああ！　間違えました！？　私のバカー！」

彼女の言い間違いと、もう一つの事以外は。

「あ、改めまして……Welcome,the guest!（　よ　う　こ　そ　お　　客　　様　！）　お待ちしておりました！」

そう言って彼女は、背中と頭部に生えた蝙蝠のごとき翼をはためかせ（　・　・　・　・　・　・　・　・　・　・　・　・　・　・　・　・　・　・　・　・　・　・）、
一礼した。
それはあたかも、自分が人外の者である事をひけらかすかのように。

「寒かったでしょう？　お茶とかお出ししてもいいんですが……欲しくなさそうですね。残念です」

そういうと、少女はくるりと青年に背を向けた。そしてそのまま歩きだす。

「分かってますよ。お目当てはご主人様（マ　ス　タ　ー）でしょう？
ご案内します。ついて来てください」

……と、少女は足を止め、首だけ青年を振りかえった。

「そういえば、お名前をお伺いしていませんでしたね、お客様？」

その顔に敵意はなく。その顔に悪意もなく。
ご丁寧にウィンクまでして。
27 名前：“動かない大図書館”パチュリー・ノーレッジ ◆fPATcHE/tU ：2009/10/09(金) 15:51:59: ものすごいミスがあるけれど、頭の中で変換してくれると助かるわ。

【小悪魔：初めての大殲登場がこんなのでいいんでしょうか、私……】

大丈夫よ、雑魚役だから。

【小悪魔：ひどっ！？】

そういうわけで、あなたは小悪魔についていってもいいし小悪魔を切り倒してもいい。
対応はお任せよ。
ちなみに、小悪魔の外見はこれの右側よ。
http://izayoinet.info/scs/koumakyou-img/unnamed06.html
28 名前：“動かない大図書館”パチュリー・ノーレッジ ◆fPATcHE/tU ：2009/10/09(金) 20:36:24: 【小悪魔：よく考えたら、大殲登場初めてじゃなかったですよ、私。
　レミリアお嬢様がちょっと前に闘争してたじゃないですか。その時にいいキャラ出してましたよね】

それは「私」の出したあなたじゃないからノーカウント。

【小悪魔：わーん！？】

……ま、本当は度忘れしてただけだけれど。
29 名前：ネロ ◆XovfKnNero ：2009/10/09(金) 21:10:49: 妖しく光る雪を超え城に踏み入った俺の前に現れたのは、タイトなYシャツに
黒のベストとスカートに身を包んだ赤い長髪の少女だった。

その少女は何やら聴き慣れない調子の英語で挨拶を掛けようとするが、
何やら間違えたらしい。

何を間違えたんだと苦笑いする俺の前で少女は頭部と背中に
蝙蝠の翼をはためかせつつ挨拶を訂正する。
その姿はどうみても童話やマンガ等に出てくる「悪魔」の姿と呼ぶにふさわしかった。
いや、こうも小さいと「小悪魔」とでも呼ぶべきか。

ご丁寧にお茶とやらを勧めようとする。
どうせ余計なものでも入れてるんだろう。その姿を顕す以上そう取るのが普通だ。
パスさせてもらう。

ところでコイツに対する俺の右手の反応は極薄めだ。
間違いなく黒幕はコイツではないだろう。

更に俺に背を向けどこかへ歩き出そうとする小悪魔の少女。
「ご主人様(マスター)」とやら―恐らくはこの事件の黒幕と思しい者―の所まで案内するそうだ。
これは恐らくそのマスターとやらの意向なのだろう。

この雪を超えてこれたヤツを、俺の右手に僅かな反応しか促さない程度な力の
この小悪魔でどうにかできるとは最初から思っていないらしい。
だからそう云うヤツは自分で迎え撃つ…成程、中々に計算高い。
と同時に自分の力量に大層な自信も持ち合わせているともとれる。

別に案内されなくともコイツを斬り捨てて自分で探しても問題無い。
何しろこれで彼是3度踏み入った場所だ。勝手知ったるノリで歩いていける。
が、極力面倒は省きたいのも本音だ。
斬り捨てるのは怪しい素振りを見せた時でも別段遅くないだろう。
案内できるという事はそれなりにこの城について掌握していると見ていい。

急に足を止めたと思ったら、妙に悪意の見えないキュートそうな態度で
頭だけ振り向き様に俺の名前を訊いてくる。
コイツ、本当に悪魔の眷属か？とりあえず仇敵に対してその行為に意味はあるのか？
まあ道案内の礼がてら教えてやるとするか。

「ネロ(黒)だ」

まあそもそも適当に付けられた名前だしな。
30 名前：ネロ ◆XovfKnNero ：2009/10/09(金) 21:20:35: 「内容を薄めてでも速筆優先」のスタイルに切り替えてみる。
濃い内容を求める余り変に時間掛けると途中で異物が混入したりして
流れが歪みそうでね。

モブの小悪魔は別に斬り捨てて自分でアンタを探しに行ってもよかったんだが…
某所での扱いが結構アレだったんでね。
以上、私情。

【妹君やメイド長の所参照】

それにしても実験施設って…そこに籠りだしたら益々どっかのアゴみたいだぜ（酷
31 名前：パチュリー・ノーレッジの手記 ◆fPATcHE/tU ：2009/10/14(水) 15:54:02: 某年一月某日

実験の初動は順調。

フラスコ内部での実験で、あの時閃いた理論が正しい事を確かめた。
雪という媒体は、その理論を確かめることにも有効だったようだ。
形状が同じならば成功している事が分かるので、確かめやすい。
つくづく、物事という物は閃きと偶然で構築されているのだと思い知る瞬間である。

次は、この現象が発生しやすい状況を設定することに腐心しよう。
32 名前：小悪魔 ◆fPATcHE/tU ：2009/10/14(水) 15:56:21: 「ネロ（　暴君　）様ですか。いいお名前ですね」

少女は笑う。
その言葉のどこまでが本気なのか、判断はつかない。

「お聞きしておいてなんですけど、私の方の名前は言えないんです。
　ご主人様（マ　ス　タ　ー）との契約の一環でして。私の真の名はあの方だけの物。
　それ以外の方には、大体小悪魔（Little Devil）と呼ばれています」

小悪魔は笑う。
その笑みには一片の邪気もなく、おもわず自称とは逆の存在なのではないかと錯覚して
しまいそうになるほどである。

古びた小部屋のような渇ききった通路を通り、階段を上って、吹抜けにかけられた
粗末な板の橋を渡り（飛べばよさそうなものだが、小悪魔は慣れた様子で歩いて渡った）、
大きな穴のあいた誰かの馬鹿でかい肖像画の前を通り抜けてしばらく進むと、絵画が
幾つも掲げられた部屋にたどりついた。さしずめ美術室と言ったところだろうか。

「私の案内はここまで。ご主人様（マ　ス　タ　ー）はこの先にいらっしゃいます。
　騒音が嫌いな方ですから、できるだけお静かに願いますね？」

そう言って小悪魔は、部屋の奥にある扉を示した。

その先に待つのは、彼女の言うご主人様（マ　ス　タ　ー）か、それとも……。
33 名前：“動かない大図書館”パチュリー・ノーレッジ ◆fPATcHE/tU ：2009/10/14(水) 16:00:16: ……毎度のごとく自分の遅筆が嫌になるわね。

【小悪魔：その分内容で勝負ですよっ】

その内容で自分が前面に出てきているからいい気になっているのね。

【小悪魔：う゛　そ、そんなことないですよっ】

目を見なさい。
ともあれ、小悪魔のターンはこれで終了。
最後でぼかしてあるけれど、私はちゃんと扉の奥（蔵書室）にいるから心配しないで頂戴。

……微妙に伏線を仕込んでみたけれど、拾うかどうかは謎ね。
34 名前：“動かない大図書館”パチュリー・ノーレッジ ◆fPATcHE/tU ：2009/10/14(水) 16:04:22: ああ、書き忘れたわ。進んだルートは、そちらの本編の3面の通りだと思って頂戴。
ただ、あの妙な障壁は解除されてるから、肖像画の前は素通り。外に出る事はないわ。
……動画を何回も見たけれど、あの吹き抜けを通らないで正門から蔵書室に行けるルートが見つからなかったのよね……
どういう構造なのやら。

それ以外で、確認したい事があれば可能な限りこたえるわ。
35 名前：“動かない大図書館”パチュリー・ノーレッジ ◆fPATcHE/tU ：2009/10/14(水) 16:49:05: ………

【小悪魔：書き終わった後で細かい雑談にレスしてないのに気がついて、レスしようかどうか迷った後
　書きこんだはいいけれどそれでもレスし忘れていてさすがにみっともなくて書けないと思いつつも
　書かないのはもったいないから書いている、の図ですね】

いちいち実況しない。

＞速レスモード！
見習いたいものね、本当に。

【小悪魔：向こうは正味五時間、こっちは五日ですからね……比べる気も失せちゃいます】

次回からはもう少し早くする事にするわ。
そう……一日ぐらいに。

【小悪魔：24時間は切れないんですね……】

＞いろんなところで大変なことになっていた小悪魔さん
別に、ここでひどい目にあってもよかったのだけれど。

【小悪魔：いきなりバッサリ切って捨てられました！？】

まあ、こうして気を使ってもらえるのは幸せなことよね。
苦労をしていたのは本当のようだし。

【小悪魔：ありがたい事ですー。まさに感謝感激。
　……ところで、なんで伝聞系なんですか？】

私、あの辺りの記録は斜め読みなのよ。時間が無くて。

【小悪魔：嫌なカミングアウトしないでください！？】

＞顎
……彼と面識はないけれど、あまり一緒にされたくはない類の人物のようね。

【小悪魔：パチュリー様は普段は図書館にこもりきりですから、いい勝負じゃないですか？】

それは否定できないけれども。まあ、籠ってるのは蔵書室だから問題ないわね。

【小悪魔：ないのかなあ……】
36 名前：ネロ ◆XovfKnNero ：2009/10/15(木) 18:51:45: ……全くもってこいつがよく解らない。
返す返すも本当に悪魔の類なのかと疑ってしまう。
それでもこっちは警戒心は緩めているつもりは毛頭無いが。

「暴君、ね…言い得て妙だな」

そう言えばキリスト教を迫害した古代ローマの暴君も俺と同じ名だった。
それが現代で大教団一つ潰した者の名でもあるとは傍から見れば因果なものだろう。
コイツが俺のそうした経緯を知っているかどうかは別として。

尚、コイツは真名を他者に告げる事はマスターに許されていないらしい。
契約主に自身の名を捧げる…黒魔術などではよくある儀式なのだろう。
まぁ別に興味無いが。
とりあえずこの自称小悪魔の後を追う形で黒幕たるマスターの根城まで案内させてもらうとする。

修練の塔と呼ばれたレンガ色の小部屋―――
オンボロの網橋（飛べばいいだろうに態々二足歩行するか）―――
相変わらずどこかやけに眩しい広間２階―――

どこも通り覚えのある場所ばかりだ。
特にその広間で目にした、大穴の開いた肖像画は懐かしさの余りついつい小笑いが零れた。
何しろその大穴をあけたのは、この俺だ。
あの力の抜けそうな老顔見てたらついついシャンデリアで突っ込みたくなったのさ。

辿り着いたのは美術作品で彩られた資料展望室。
相変わらず俺の趣味にはイマイチ合わない骨董モノばかりだ。

さて、小悪魔の案内はここまでとの事だ。
と云う事は根城はこの先の蔵書室、となる。
要するに黒幕は結構な勉強家、とでもいった所だろう。
37 名前：ネロ ◆XovfKnNero ：2009/10/15(木) 18:52:07: ここから先に進もうとした俺へ、小悪魔から注意喚起。

‘騒音が嫌いな方ですから…’

―――ニヤリ。

思わず口元が歪む。

こいつは今、確実に余計な一言を零した。
寧ろその一言さえなければ普通に静粛に殴りこんでいたものを。
何しろ俺はそういうことするなと言われるとどうも逆らわずに居られない。
要するに―――根ッからの不良。

このセリフをスイッチにコートの懐から取り出したるは、最新型のウォークマン。
マリンブルーに彩られ楕円形を象る平板型スピーカー。
それも通常のより若干大型。当社比1.5倍と言った所か。
輸入物な為少々値は張ったが、仕事をノリ良くする一環と思えば値段相応だ。

コントローラーとスピーカーを吊るせるストラップを首にかけつつスイッチON。

頭の芯まで強烈ノックアウトせんばかりの飛び切りノイジーなロックンロールナンバーをセレクト。

後はコントローラー、音量ボタンの「＋」を連打するだけ。終いにどれだけ押しても意味がなくなるまで。

「悪いな、俺は静かにしてるのが苦手なんだよ。
　ともあれ道案内は多謝だ、小悪魔さんよ」

明らかにこの古風でゴシックな城内には不協和音極まりないサウンドを全開でぶちまけつつ
特に意味も無くハンドポケットでぶっきら棒に扉を蹴飛ばして進めば、
後は件の蔵書室で呑気にふざけた実験に興じているであろう、
あの小悪魔のマスター―この事件の黒幕―の元へ―――

「お勉強の途中失礼するぜ。街の便利屋だ」

さてそこに待ち受けるは、どう見ても寝間着にしか見えない薄紫色の服と
三日月をあしらった同色のナイトキャップを被った紫髪の少女。

コイツがあのふざけた光る雪を降らせ何人も行方不明に陥れ、
正に今フォルトゥナを危機に陥れんとしている張本人ということか―――
38 名前：ネロ ◆XovfKnNero ：2009/10/15(木) 19:06:58: とりあえず小悪魔は最後まで生かしておいたままだぜ。
代わりに騒音公害を持ちこんだけどな。

【正に外道！】

因みにここで俺が持ち出したのはこういうタイプ。

ttp://www.koubou.com/asin/B001G79VDS

これのブルーで、1.5倍サイズにしたヤツな(実際にはそんなもの無いが）
インナーポケットに収めて持ち歩くには丁度いいぐらいだ。

尚、アンタに関する描写は当然ながら容姿だけ。
まあここで行動も描けと言われたら描いただろうがな。

それと…

×コントローラー
○本体

な。
これは本スレ投稿時に修正しとくとして。
39 名前：ネロ ◆XovfKnNero ：2009/10/15(木) 19:57:29: しかし、おあ…間違えた。パチュリーさんよ。
ラジオ体操軽くしただけでダウンってどんだけひ弱なんだよアンタ。
まったく教皇並みだな（酷

まぁこうやって速目に出てられんのも今のうちだろうさ。
徐々にペースが落ちていって終いには今のアンタの1/2のペース…ってなったりな。
まぁ最悪そんなとこまで落ちないように気をつけるが。
40 名前：パチュリー・ノーレッジの手記 ◆fPATcHE/tU ：2009/10/16(金) 17:11:09: 某年一月某日

属性のモーメントが定まる。

構成素材である水気に、吸収するモノの特性である火気を7:3程度でブレンドした状態が
もっとも侵蝕効率が良い事が分かった。詳細な設定は別記する。

単純に考えれば、火気を吸収するならば土気に近い性質の方がよいと思われる（実際、
多くの吸血種はそうなのであろう）が、そうでもないのが魔術の面白い所だ。

まあ、結局のところ、属性は本質ではないのであろう。
侵蝕と同化こそが、彼女らの本質なのだ。
41 名前：小悪魔 ◆fPATcHE/tU ：2009/10/16(金) 17:12:21: 資料展望室に鳴り響く現代的な騒音（ロックンロールミュージック）。白と言われれば黒と返す、黒い便利屋の所業。
慌てたのは小悪魔である。静かにしろと言ったのに！　いや、だからこそ？　ああ、もう！

「ちょ、ちょっとネロさん、何してるんですか！　やめてください！
　ご主人様（マ　ス　タ　ー）が怒ります！　いやむしろ私が怒られます！
　だからやめ……」

てください、という言葉の末尾は、騒音と、ドアを蹴破る音にかき消された。
42 名前：“動かない大図書館”パチュリー・ノーレッジ ◆fPATcHE/tU ：2009/10/16(金) 17:13:37: その騒音が鳴り始めた時、パチュリー･ノーレッジは手記の最後の部分を記していた。
ため息をひとつついて、手記を記していた本―上質な紙を用いている―を閉じる。
それと同時に、ドアを蹴破る音が響き、同時に騒音の音量が一気に上がった。

そして、青年が無遠慮に書斎に進入してくる。後ろからは小悪魔が慌ててついて来ていた。
青年は名乗る。便利屋だと。
小悪魔は釈明する。自分はこのネロという青年の暴挙を止められなかったが、これは
自分に過失はなく、青年の気性自体が云々。
騒音のせいで聞きとるのも一苦労だが、二人は(主に小悪魔は)口々に喋っていた。

ため息をもう一つ。
そして、視線で―眼力がどうこうと言うより、ジト目の類だったが―小悪魔を黙らせた。
小悪魔は恐縮して、部屋の外に下がる。扉がギシギシいいながら（騒音で聞こえないが）閉まった。

蔵書室は、パチュリーと青年……ネロの二人が向かい合う形となった。
しばし両者は何も喋らず、騒音だけが鳴り響く。

パチュリーが口を開いた。

「まったく、人の書斎を訪ねる態度とは思えないわ。
　せめてもう少し静かにならないものかしらね、あなた。
　物事は何事も静粛に運ばないといけないのよ……こういうふうに（・　・　・　・　・　・　・）」
43 名前： ◆fPATcHE/tU ：2009/10/16(金) 17:14:58: もし、ネロが騒音を立てずに蔵書室へと入ったならば、あるいは気付いていたかもしれない。

蔵書室の天井付近に、幾人かのメイド姿の妖精がいた事に。
小悪魔が退出する際、あえて扉を閉じていき、退路を断っていた事に。
小悪魔が退出すると同時に、彼女らが一斉に六芒星の魔法陣を展開した事に。

そして、パチュリーの最後の一言と同時に、

それらから一斉に、強烈な光線が照射された事に。
44 名前：“動かない大図書館”パチュリー・ノーレッジ ◆fPATcHE/tU ：2009/10/16(金) 17:29:22: 【小悪魔：卑怯者ー。パチュリー様の卑怯者ー。】

褒め言葉よね。
というわけで、騒音に乗じて不意打ってみたわ。
騒音自体はイレギュラーだけれど、それがこちらが用意した策に有利に働いた、ってこと。
ええ、最初から不意打ちする気まんまんだったわ。小悪魔が出迎えてる以上、あなたが来ている事はこっちは知ってるわけで。

確定気味の描写だけれど、もちろんこれで終わるわけもなし。
察知してかわしたでも耐えきったでもこのあくまのみぎうでできみたちのこうげきはふせぐぞでも、お好きなようにして頂戴。

【小悪魔：……あの、最後のなんですか？】

リメイク記念。やったことはないけれど。

ちなみに、光線に関しては

ttp://www.youtube.com/watch?v=Gcxx2AgpDuw&feature=related

この動画の1:37近くを参照。これとは違って自機狙いだけど。

【小悪魔：実際にそんなの来たら相当外道ですよ……。
　あ、ちなみに！　私の活躍も1:00ぐらいから収録されてます！】

10秒たらずね。

【小悪魔：……うわーん！】

しかし、結構いいウォークマン持ってるのね。
確かにあなた（達、とつけようかしら）らしい一品だわ。

おあって……何故かたまにそう言い間違える人がいるのよねえ。理由が分からないわ。
私に理解できない法則（キ　ー　ボ　ー　ド　配　列　の　神　秘）があるのかしら。
虚弱体質は余計なお世話よ。生活には困ってないからいいの。いざとなったら魔法で補助できるし。

ま、そうならない事を祈ってるわ。お互い、早め早めにやっていきましょ。
45 名前：ネロ ◆XovfKnNero ：2009/10/16(金) 19:43:27: その黒幕らしき紫の少女は手記を書いている途中だった。
そいつのもとへ駆け寄り騒音の元凶を止められなかった事に必死に弁明する小悪魔。
が、敢え無く少女に睨まれてとぼとぼと部屋を退出する。
ちょいとアイツには悪いことしたかもな…けどもうやっちまったから。

さて、今この書物だらけの殺風景な部屋に残ったのはこの紫の少女―――そして
先刻から胸元でノイジービートを鳴らし続け、ただひたすら両足で小刻みにリズムを生み
また身体全体でビートを刻み続けるこの俺。
何、この程度の近距離騒音で破れるほどヤワな鼓膜じゃないさ。

因みに…伊達や酔狂（とコイツに対するイヤガラセ）だけで
このロックを掛けたなんて思ってもらっちゃ困る。
御存知の通り、音楽ってのは人の気分を左右する。
それに伴い、感覚や思考…本能さえも時に研ぎ澄ませたり鈍らせたり出来る。
哀しい時に静かな音楽を聴けば心は鎮まり、逆にイライラした時に
今俺が掛けてる様なノイジーなヤツを聴けば心は昂る。
因みにどっちにしてもスッキリできる。
要するに気分に合わせて聴くことで行動や思考を研ぎ澄ませられ、効果は抜群だ。

つまり…先刻ウォークマンのスイッチを掛けた時から今に至って
俺のハートはぶっちぎりで高揚し、俺の身体を構成する筋肉・骨格・血圧・神経―――
どれも既にテンション100%の戦闘フォームに入りつつあるって事だ。
46 名前：ネロ ◆XovfKnNero ：2009/10/16(金) 19:43:48: で、それがどんな結果をもたらすかって…？―――こういうことさ！

突如、天から俺を狙い降り注ぐ光―――光―――光！

まさか俺の地元に何時の間にかこんな仕掛けが施されてるなんてまるで思いもよらなかったぜ。
だが生憎と惜しかったな。
一足飛びで後方へ飛び退けば、レーザー群で焼かせてやるのは
さっきまで俺が立っていた空間と足場だけ。
件の気分高揚に伴って研ぎ澄まされた五感の元ならば皮一枚触れる事さえ許しやしない。

ふと天を見上げれば犯人は妖精のような羽の生えたメイド。
お前らそんなに俺の自慢のロックンロールがお気に召さないか？
そこまで趣味に合わなくて聴きたくなきゃ耳塞いで各々静かな世界に浸ってな。
それもイヤなら―――！

高揚の波に乗って懐から引っ張り出したるは‘世界最強のリボルバー’ブルーローズ。
花言葉は`不可能、有り得ない’。
デリンジャーのようなフォルムで上下同時二連射を可能とした世界唯一にして最強のリボルバー。

天へ向けてShoot！Shoot！Shoot！
弾が切れれば袖振り合うも弾倉の縁―――そしてまたもShoot！Shoot！Shoot！

「人の書斎、と来たよ…
　だいたい、ここは俺の地元だ。
　この街で俺を知らないヤツは一人もいない。同時に俺が知らないヤツもいない。
　それをお前の様なまるで見覚えのないツラがいきなり乗り込んできた揚句、
　然も自分の家や庭の様に振舞ってるなんて
　そっちの方がどう考えても何だよそれ？って話なんだがな！！」

ここまでの大まかな流れに合わせて啖呵を切りつつ最後に銃口と照星を合わせるは
眼前の紫―――

胸元のロック？止めてやんねェよ。
47 名前：ネロ ◆XovfKnNero ：2009/10/16(金) 19:50:02: 早いな…これがアンタの本来のペースってヤツか。

あー、すまん。
実はこの音楽で高揚してどうのこうのって件、結構後付けだったりして（愚
因みにこれがヘッドフォンだったら間違いなく喰らってる。
アレ対外感覚鈍らせるからな実際。

まぁでも、何かこうやって行き当たりバッタリで進めた方が
割と上手く話進む感じするんだよな。
生の感覚、っての？予定調和は今一ノリが悪いっていうかな。

ロックが無ければ即死だった的にレーザー回避した後、
上空のメイド妖精群へブルーローズ連射。
弾が切れたらワンハンドリロードでまた連射。
啖呵切った後アンタに向けてロックオン―――
で、未だにロックは掛けっ放し（酷
というか「袖振り合うも弾倉の縁」って我ながら意味不明だと思った。

因みにダンテはそう言うのを持ち歩くのは余り趣味で無いらしい。
アニメ第6話ではレコードでロック掛けながら戦ってたが（‘future in my hands’は神）

リメイクってアレの事か…実は未だに4本腕で詰まってたりして。

主に右手の小指のコントロールが上手くいかなくて（特に俺とか右手が例の有様だし）
一個分の位置を間違えて…ってヤツだろうな（何
48 名前：ネロ ◆XovfKnNero ：2009/10/18(日) 15:23:00: で、それがどんな結果をもたらすかって…？―――こういうことさ！

突如、天から俺を狙い降り注ぐ光―――光―――光！

まさか俺の地元に何時の間にかこんな仕掛けが施されてるなんてまるで思いもよらなかったぜ。
だが生憎と惜しかったな。
一足飛びで後方へ飛び退けば、レーザー群で焼かせてやるのは
さっきまで俺が立っていた空間と足場だけ。
件の気分高揚に伴って研ぎ澄まされた五感の元ならば皮一枚触れる事さえ許しやしない。

ふと天を見上げれば犯人は妖精のような羽の生えたメイド。
お前らそんなに俺の自慢のロックンロールがお気に召さないか？
そこまで趣味に合わなくて聴きたくなきゃ耳塞いで各々静かな世界に浸ってな。
それもイヤなら―――！

高揚の波に乗って懐から引っ張り出したるは‘世界最強のリボルバー’ブルーローズ。
花言葉は`不可能、有り得ない’。
デリンジャーのようなフォルムで上下同時二連射を可能とした世界唯一にして最強のリボルバー。

天へ向けてShoot！Shoot！Shoot！
弾が切れれば袖振り合うも弾倉の縁―――そしてまたもShoot！Shoot！Shoot！

そして最後に眼前の紫へLock―――部屋にはRock。

ただ、自慢のロックと云えどこうやっていつまでも胸元でプラプラさせとくのも流石にジャマくさげだ。
とりあえず右手でそこらに放り投げとく。

すると、そら―――ストラップが巧い具合にフラフープの様に柱のランプに引っ掛かった。
偶然？必然？どうでもいいだろ。

「人の書斎、と来たよ…
　だいたい、ここは俺の地元だ。
　この街で俺を知らないヤツは一人もいない。同時に俺が知らないヤツもいない。
　それをお前の様なまるで見覚えのないツラがいきなり乗り込んできた揚句、
　然も自分の家や庭の様に振舞ってるなんて
　そっちの方がどう考えても何だよそれ？って話なんだがな」
49 名前：ネロ ◆XovfKnNero ：2009/10/18(日) 15:23:16: 修正稿だ。
もし今執筆途中だったら申し訳ない。

首のウォークマンを柱のランプへ放り投げてストラップを引っ掛けておいた。
どうしてもこれは直しておきたかったんでね。
意味？特にない（愚
50 名前：パチュリー・ノーレッジの手記 ◆fPATcHE/tU ：2009/10/19(月) 17:00:22: 某年二月某日

魔術構築の目処が立つ。

もっとも、属性のモーメントが固まった時点でほぼ終わったようなものではあったが。
これ以降は、広域に展開するための術式の研究に力を注ぐことになる。

小悪魔が気になる事を伝えてくる。
地下の実験施設跡で、彼女の同族……悪魔を召喚するための装置の設計図（の一部）が
見つかったというのだ。
地下の実験施設の持ち主は、そのような研究をしていたらしい。
外の世界の魔法を使い、悪魔を召喚する研究。
幻想の潰えたはずの外の世界でも、そのような者がいたとは驚きだ。

その実験施設は、今は打ち捨てられ、無人となっている(城自体を管理している者はいるが、
その部分には手を出していないようだ)。
管理していた者が、研究を捨てて消えたのか。

それとも消された（・　・　・　・）のか。

興味が沸いた。小悪魔に調べさせるとしよう。
51 名前：“動かない大図書館”パチュリー・ノーレッジ ◆fPATcHE/tU ：2009/10/19(月) 17:01:27: ほう、とパチュリーは息を漏らす。
確かに元よりさして高等な罠ではないが、こうもあっさりと食い破られるとは思わなかった。

ネロの鳴らしていた騒音は、彼の精神に昂揚と集中力をもたらしていたようだ。
古代における戦太鼓（ウォードラム）のような物だろう。
普通、その手の物は昂揚から狂騒にいたり、冷静な判断力は失われるものだが……彼の場合
はそうはなっていないようだ。興味深い。

さらに、彼の手に持つ武器。
パチュリーも知識としては知っている。回転式連発拳銃（リ　　ボ　　ル　　バ　　ー）。
だが、彼女の知るそれは武器としては発展途上であり、そこまで警戒するべき物ではなかった。
……初弾から次弾までの間のインターバル数秒。銃身の短さから付随する命中射程の短さ、
命中精度の低さ。幻想郷で扱われる弾幕とは比べ物にならない、装弾数の少なさ。そして、
当たり所が良くて人の命を奪える程度しかない（・　・　・　・）威力……。
パチュリーの知るそれ（・　・　・　・　・　・　・　・　・）で、彼女達に挑むのはまさに無謀もいいところだったろう。

だが、彼の持つそれ（・　・　・　・　・　・）は違った。
初期の推進速度を上げてあるのか、それとも彼の腕がよいのか。通常のリボルバーならば
射程外であろう距離を浮遊していた妖精メイド達が、あるいは肩を、あるいは羽を、あるいは
脳天に風穴を穿たれ、蔵書室の床に墜落して赤い花を咲かせた。
上下二つ、二連装の銃口は寸分たがわず同じところを撃ち抜いている。相当な神技である事は
銃には門外漢であるパチュリーも認めざるを得なかった。
それが続けざまに……一刻の間も無しに行われていく。普通では考えられない連射速度。

……一掃射が終わった時、部屋には始めと同じく騒音のみが響き渡っていた。
52 名前：“動かない大図書館”パチュリー・ノーレッジ ◆fPATcHE/tU ：2009/10/19(月) 17:03:42: 騒音をまき散らす機械を傍らに放り投げ―運よくランプに引っ掛かったようで、音は続いた
ままだ―、ネロが話しかけてくる。
曰く、他所者はお前の方だ。人の書斎、などと言う言い分が通るわけはない……。

「なら、図書室で、とでも言った方がよかったかしら？
　どちらにしても、この場所を訪れる態度には見えないわね。
　ああもう、全く騒々しい（ N o i s y , n o i s y , n o i s y ）」

ため息をひとつ。

「ああ、それと。ここは確かに私が一時的に借りているだけよ。実験が終われば返すつもり。
　でも、それなら今の管理者は私ってことにならない？
　だって……今、ここは私たち以外に誰もいないのだもの（・　・　・　・　・　・　・　・　・　・　・　・　・　・　・）」

吐息をもう一つ。足踏みを数回。

「自己紹介がまだだったわね。私はパチュリー。パチュリー・ノーレッジ。
　しがない魔女よ、便利屋さん。
　よろしく」

笑みをひとつ、手を大仰に広げて一礼。
そしてまた足踏みをひとつ（・　・　・　・　・　・　・　・　・　・　・　・）。

それと同時に、床を突き破るかのようにいくつもの岩の槍がネロの周囲に浮かび上がり、
彼に狙いを定める。

「そして、さようなら」

槍が。
ネロに殺到した。
53 名前：“動かない大図書館”パチュリー・ノーレッジ ◆fPATcHE/tU ：2009/10/19(月) 17:11:41: 使った呪文はドヨースピアよ。

【小悪魔：以前紹介したttp://www.youtube.com/watch?v=s36Kf-A_4-E　では、8秒ぐらいで使ってますね】

本当は｢狙う｣呪文ではなくて「落ちる」呪文なのだけれど、そのあたりは臨機応変に。
会話の途中の細かい動作で、無音詠唱をした、って所ね。

【小悪魔：相変わらず小ずるいです……】

褒め言葉、褒め言葉。
普通に詠唱できる状態（銃口をポイントされたりしてない状態）にならないと、私には不利だからね。
常套手段よ。

ああ、修正は書いている最中に確認したから大丈夫。
無意味な行動って、よくとりたくなるわよね。

【小悪魔：本当に知識人なんでしょうか、この人……いや、この魔女……】
54 名前：ネロ ◆XovfKnNero ：2009/10/22(木) 21:53:45: 「実験…？
　じゃあやはり、あの妙な雪はお前が―――！」

などと問い詰めている内に、パチュリー・ノーレッジと名乗る紫の‘魔女’の挙動と一声と共に
突如地中から無数の槍が顕れる。
そしてその槍群は向きを変え―――当然、こいつ等の狙いは他ならぬこの俺。

どうする？360°左右前後上、ほぼ逃げ場無しか！？

―――否、一ヶ所だけあった。
この槍が俺に集中して向かおうとするならその瞬間、たった一ヶ所だけ隙間が出来る。

そう…この場合、それは―――下だ！

岩の槍群が俺を貫こうとする刹那の瞬間、咄嗟に身を屈めつつ流れ様に横転し
寸での所で集中砲火を逃れる。
本来狙うべき相手を見失い、相互にカチ合い粉々になっていく岩の槍。
咄嗟に気付かなければ今頃全身串刺しだっただろう。

とりあえず出会い頭にいきなりサヨナラはない。
そんな言葉を聴いてはい解りましたサヨナラなんて大人しく逝ってくれるヤツがいるとでも思っているのか。

とはいえ、伊達に‘魔女’を自称している訳ではなさそうだ。
今のコレに留まらず、恐らく魔術百般に長けていると見て損は無い。
ここに来る前までのあの妙な光る雪もそうだろうし。
55 名前：ネロ ◆XovfKnNero ：2009/10/22(木) 21:53:57: 「ヤりたい放題しゃぶり尽くしたら後はポイって訳かよ…ふざけやがって。
　これ以上俺の、俺達の街を―――テメェの遊び場なんぞにさせるかよ…！」

体勢を立て直せば既に愛銃は懐中。
代わりに今この左手にし地に突き立てるは、先程まで背負っていた紅の推進剣「レッドクィーン」。

本来は非力な者でも悪魔と渡り合えるように設計されたものだが、
生憎と俺ぐらいになると普通の推進剣ではまるで付いて来てくれない。
よって改修の結果、俺程のパワーでなければ使いこなせないような性能となった。

傍から見れば本末転倒な設計となっていると言っても過言ではない。
これは、飽く無き力を求め続けた俺の生き様の表れの産物なのだ。
そしてそれも…末端のモノに過ぎない。

地に突き立てつつハンドルを捻ればエンジンが燃焼し、噴射口から推進剤が炎となってブチまけられる。
恰も今の俺の怒りをそのまま表すが如く―――爆音が響く。

‘魔女’と聞けばそれを相手にヘタに距離を取ればロクな事が無い事は概ね想像がつく。
最初の罠といい、先程のアレといい。
なら―――イッキに飛び込んで勝負をかけるしかない！

「吹っ飛べッ！(Blast!)」

一足飛びで一気に踏み込み―――流れるように(ストリーク)内から外にかけて渾身の払い斬りを放つ。
その刀身に紅き灼熱を纏いながら。

今―――アクセルを解き放て！
56 名前：ネロ ◆XovfKnNero ：2009/10/22(木) 22:02:30: 内容の濃淡巧拙は敢えて振り返らない。
書き上がったものが完成品、と。丁度そんな心構えだ。

ともあれすまない、ちょいと色々落ち着きが悪くて遅れた。
こっから多分前までのペースでイケると思う。

岩の槍を低姿勢横転で間一髪かわした後、早速レッドクィーンのアクセルを捻り
イクシード発動させてストリーク（突進払い斬り）

後、これどこの2000の技のクワガタ戦士だよってのは禁句（何
57 名前：パチュリー・ノーレッジの手記 ◆fPATcHE/tU ：2009/10/29(木) 19:12:43: 某年二月某日

術の有効範囲の拡張がうまくいかない。

幾度も計算しなおすが、現在の根幹術式を維持したままでは、半径100m程度までの拡張が
限界のようである。さらに、現状のままでは『あれ』は術式の有効範囲外では活動を持続
できないので（範囲を外れた瞬間ただの雪となってしまう）、結果として非常に狭い範囲
でしか活動できない。
これでは、最初に想定した彼女の模倣など夢物語だ。文字通りフラスコの中の小人にしか
ならない。
かといって、術式の構成を変えすぎるわけにもいかない。今回の実験はそもそも今の構成
の可否を調べる物だからだ。変えすぎて別の実験になってしまっては元も子もない。
さて、どうすればよい？　検討を続けることとする。

小悪魔が、調べた結果をまとめて持ってくる。
彼女は従者としては一流だ。仕事にそつがない。
それによると、しばらく前までこの地は魔剣教団と呼ばれる組織が事実上支配し、統率し
ていたそうだ。魔王を裏切ったとある悪魔を神と崇めていた組織だと言う。

その悪魔の名は、スパーダ。

……懐かしい名前を聞いた。

さておき。その魔剣教団はしばらく前に崩壊し、今は普通の（と言うのも妙な話だが）
市民による統治がなされているという。
今の統治形態に興味はないが、問題はその教団が『崩壊』したという点だ。自律的に崩壊
する組織などそうそう無く、そこには何者かの意志が介在していると見ていいだろう。そ
の教団が悪魔召喚の研究をしていたというなら尚の事だ。
そう、悪魔召喚の研究をしていたのはほぼ間違いなくその教団だろう。この地を支配して
いたという事はこの城も例外ではないだろうし（ひょっとして、あの趣味の悪い巨大な肖
像画は教団の指導者の物だろうか）、ならばあの実験施設も彼らの手による物と考えるの
が妥当だ。
悪魔を祓った伝説の魔剣士を崇める教団が悪魔を召喚するとは本末転倒もいいところだが、
まあきっと彼らなりの理屈があるのだろう。
問題は、その研究をしていた彼らが崩壊させられたという事実だ。それは、一つの存在の
仮定を私に余儀なくさせる。つまり、悪魔狩人（デビルハンター　）の存在の仮定を。

もし、彼（彼女、あるいは彼ら）がまだこの近辺に存在するならば、実験の妨げとなって
しまうだろう。小悪魔にさらなる調査をさせる事とする。

もし、存在するならば。その狩人（ハンター）の性質にもよるが、あるいは……。
58 名前：“動かない大図書館”パチュリー・ノーレッジ ◆fPATcHE/tU ：2009/10/29(木) 19:15:38: 岩の槍（ドヨースピア）が凌がれた瞬間、パチュリーは次の呪文詠唱に移っていた。
それは、常人には到底聞き取れない速度で術式を構築し、完成させる。

『……吹き戦がせよ、春の時つ風（スプリングウインド　）』

それは攻撃ではなく、防御、あるいは切り返しの術式。
パチュリーを起点に吹いた突風は、ネロの作りだした流れ（ストリーク）とぶつかり合い、その勢いをわず
かに鈍らせる。それと同時に、パチュリー自身は高く舞い上がり、ネロの刃をかわした。

はず、だったが。

「あら」
意外そうな声。
パチュリーの衣装の脇腹の部分がわずかに裂け、小さな炎を上げていた。
本人に傷はない。炎も、パチュリーが小さく指を振るえば消えて失せる。
それでもこの一合で、パチュリーは己の相手を侮っていた事を認識せざるを得なかった。

「別にふざけたつもりはないのだけれどね……私はいつだって大真面目よ。ついでに言うな
ら遊びでもない」
わずかな……２ｍほどの高みからネロを見下ろしながら、パチュリーはつぶやく。
それはほとんど騒音（ロック）にかき消されるが、それでも呟く。
「私は、いつでも真剣に理を求めつづけているわ（・　・　・　・　・　・　・　・　・　・　・）」
呟きと共に、パチュリーの周囲に金属製のナイフのような刃が精製されてゆく。
一つ、二つ、三つ。
「だから」
五つ、六つ、九つ十。
最後に、パチュリーが差し出した手の先に出現して十と一つ。

「邪魔をしないで」

刃たちが一気に射出された。
59 名前：“動かない大図書館”パチュリー・ノーレッジ ◆fPATcHE/tU ：2009/10/29(木) 19:28:43: 一週間か……私にふさわしい遅れ方ね。

【小悪魔：いや、素直に謝りましょうよ。ほんと、ご迷惑をおかけします】

Bで出すスプリングウインドは出がけに打撃無敵があるのよ（聞いてない）
後、ラストで使った呪文はオータムエッジ。映像資料は……「パチュリー・ノーレッジ攻略wiki」でぐぐると出るわ。

【小悪魔：ついにグーグル先生に頼り始めましたっ！？
　ところで、本当は11枚出すのは最大レベルまで上昇させてないといけないし、空中では撃てないじゃないですか……】

気にしないが吉。
しかし、締め方が前回と似通ってしまったわね……ちょっと考えないと。

後、劇中では書いてないけれど、オータムエッジのうち一つはウォークマンを狙っているわ。
いい加減、同じBGMだと観衆が飽きそうだし。

【小悪魔：いらん気を使ってますね。
　さて、それじゃ私はそろそろ……（いそいそ）】

どこに行くのかしら……ま、いいわ。
ある程度巻いていきたいし、もう数レス経ったら別の戦場に移ろうかしら？
60 名前：ネロ ◆XovfKnNero ：2009/10/30(金) 20:01:06: 灼熱を纏う渾身の払い斬り（ストリーク）は、敢え無く何時の間にか纏われていた風に受け流される。
恰も風に流されて舞う木の葉の如く。

結局、俺の刃は僅かにヤツの衣類を掠めたに留まる。

まさか、これもヤツの魔術の一つだと言うのか…？
あの岩の槍を撃ち放った際に既にあの魔術の準備に入っていた、とでも言うのか―――？

などと逡巡している間も許さぬが如く、僅かに舞い上り高みから俺を見下ろす魔女（パチュリー・ノーレッジ）の手からナイフが現れ、
一斉に俺に向けて放たれる。

「―――こんなものでェッ！」

一度にかわし切れるとは思わないので、レッドクィーンの腹を向けつつ正面で構えて
一瞬で一旋回させ一気に薙ぎ払う。

幾つもの尖った音を立てながら地を転がるナイフ群。
ただしその内一本ほど弾き損ない、左頬から鮮血が零れる。
流石に少々ムチャだったかもしれない。

ところで今投げられたナイフのうち、一本は何気に先刻ランプに引っ掛けたウォークマンに突き刺さっており
その瞬間、俺のお気に入りのノイジービートは敢え無く室内から立ち消えてしまった。

やってくれる。高かったんだぜ、それ？
その一本はある意味、身体に受ける以上のダメージだ。主に金銭面において。
かくて戦場は静寂で彩られる。
61 名前：ネロ ◆XovfKnNero ：2009/10/30(金) 20:01:27: さて、一気に詰め寄っても例のアレで凌がれる…
かと言ってブルーローズの装弾数であの岩の槍だナイフの雨霰だと張り合えるとは
考えない方がいいらしい…

なら、これ（・・）はどうだ―――――！

「どっちだっていいさ、そんなこと。大事なのは―――…」

蒼の外殻に覆われた俺の右腕が青白いオーラに纏われ、掌を開き
一気に突き出すモーションを取ればそれに連なってその右腕を模した魔力のオーラが大型化し、
同様の動きで一気に魔女へ掴み掛る。恰も猛獣の顎（あぎと）の如く―――

「俺が―――今ここでお前をブッ倒すって事だ！」

何時かの日、俺に突如顕れた力…悪魔の右腕（デビルブリンガー）。

当初はただの人間だと思っていた俺には忌まわしかった悪魔の力。
それまで俺の中で眠っていた―というより俺自身も長い事知らなかった―伝説の魔剣士の血の覚醒の産物。
そして―――俺の揺ぎ無き力への意思の、在らぬ形で顕れた結晶体―――

それが今、ここに動く。

ただ…俺の愛するこの街を、今正に凌辱し蹂躙せんとする眼前の敵を討つ為に―――
62 名前：ネロ ◆XovfKnNero ：2009/10/30(金) 20:18:54: 本来なら昨日の内、若しくは日を跨ぎながらでも返すところだったんだが…
どうしても一つ、付けておきたいケジメってのがあったんでね。

さて…漸くここで俺の目玉ファクター、悪魔の右腕「デビルブリンガー」登場。
今回のは右腕から飛び出た魔力体部分で敵を掴む技「スナッチ」。
俺のコンボ使用に於いて重要な繋ぎになる技だ。
尚、こっちに引き寄せられない相手に対してはこっちから右腕もろとも跳び寄ってくる
「ヘルバウンド」になる。

因みに、そっちの呟きはBGMの上からでも微かに聴こえてるが詠唱は流石に全く聴こえてない。
都合良過ぎだな…いや、悪過ぎか？俺にとって（何

ところで最近、そちらのアニメとやらを拝見させてもらったが。

赤白の巫女に賽銭箱盗んだと何の脈絡も無く濡れ衣着せられた揚句
（しかもコイツ、アンタがそれを本棚にしようとしてるなんて思ってるし）本ぶつけられて…
アンタもたいがい悲惨だな。
そりゃ必殺技の一発もブッ放したくもなるわな…

あぁそれにしても、俺のロックンロールが…くそー弁償しろー（真っ白
63 名前：ネロ ◆XovfKnNero ：2009/11/03(火) 19:56:09: さて、一気に詰め寄っても例のアレで凌がれる…
かと言ってブルーローズの装弾数であの岩の槍だナイフの雨霰だと張り合えるとは
考えない方がいいらしい…

なら、コレ（・・）はどうだ―――――！

「コトワリ、と来たよ…長い事そうやって引き籠って本ばかり相手にしてると
　人様への迷惑すら理屈で捉えるほど頭デッカチになる…ってか？

　じゃあ教えてやるよ。人様に迷惑掛けるようなマネをすると―――…」

蒼の外殻に覆われた俺の右腕が青白いオーラに纏われ、掌を開き
一気に突き出すモーションを取ればそれに連なってその右腕を模した魔力のオーラが大型化し、
同様の動きで一気に魔女へ掴み掛る。恰も猛る獣の顎（あぎと）の如く―――

「―――こういうことになるって事をな！」

何時かの日、俺に突如顕れた力…悪魔の右腕（デビルブリンガー）。

当初はただの人間だと思っていた俺には忌まわしかった悪魔の力。
何でも、それまで俺の中で眠っていた―というより俺自身も長い事知らなかった―
伝説の魔剣士の血の覚醒の産物らしい。

いや、血筋などどうでもいい…大事なのは―――
これが俺の揺ぎ無き力への意思の、在らぬ形で顕れた結晶体だと云う事―――

それが今、ここに動く。

ただ…俺の愛するこの街を、今正に凌辱し蹂躙せんとする眼前の敵を討つ為に―――
64 名前：ネロ ◆XovfKnNero ：2009/11/03(火) 19:58:16: セリフが何か味気なさげだったんで若干味付け。
どうも描く際に若干情動分が足りてなかったらしい。

てかこれからまたこういうの多くなりそうだな。ちょいヤバイ…
65 名前：パチュリー・ノーレッジの手記 ◆fPATcHE/tU ：2009/12/13(日) 03:48:26: 某年三月某日

相変わらず、術式の範囲拡張の問題で立ち止まっている。

試行錯誤を繰り返す事で、ある程度問題の輪郭は見えてきた。
つまり、雪という構造体自体が内包している問題なのだ。

それらは一繋がりでいるように見えて、実は一つ一つがばらばらである。所謂「雪の結晶」だ。
質の均質化については完全に同質の構造を取らせる事で補っている（これは今回の問題の顕
現前に行っておいた。何事も念を入れておくものだ）が、それでも統合する物の個数が増え
る事は避けられない。
故に、一つの塊として見る事の出来る水や金属、岩などと同じように扱う事は難しいのだ。

分かってみれば単純な問題だが、それだけに根は深い。単純な魔術式の書き換えでどうにか
なる物ではないからだ。術式の構造自体をある程度抜本的に見直す必要がある。

どうしたものか。思案は続く。

小悪魔がしばらく帰ってこない。調査が難航しているのだろうか。
サボっているようなら、灸をすえなければならないが……。
66 名前：“動かない大図書館”パチュリー・ノーレッジ ◆fPATcHE/tU ：2009/12/13(日) 03:49:39: 放たれた刃。狙いは二つ。
一つは小成功。ネロの防御を少しだけ突き崩し、小さな損傷を与える。
まあ、こんなものか。
もう一つは大成功。狙い違わず音響装置を撃ち抜き、騒音を止める。
正直、ほっとした。

生まれた一瞬の隙。
その間隙を縫うかのような攻撃は、狩人の狙い通りか、それとも強運か。

ともかく、異形の右腕から放たれた一　　撃(デビルブリンガー)は、見事にパチュリーを捕らえた。

「かふっ……！」

掴まれる感触。吐き出される息。
虚を突かれた驚愕。さらに一瞬の間隙。
その隙に、“悪魔の右腕”はさらに彼女を引きずりこむ。

不味い。
この状態を打開する手は、一つ。
それも通じるか分からないが……このままではチェック（　王　　　　手　）だ。
ならば、その手を打つしかない……！

「ワイプ( 拭　い　去　れ )……」

懐から抜き出される札。
切り札(スペルカード)ではなく、持ち札(スキルカード)。
それは余裕か、それともこれで切り抜けられるという、一瞬の慧眼か。

「……モイスチャー(　　水　　　　を　　)！」

札は炎に包まれ、パチュリーの前面を薙ぐ。
腕に引きずり込まれるままの体の前面は、敵(ネロ)……！
67 名前：“動かない大図書館”パチュリー・ノーレッジ ◆fPATcHE/tU ：2009/12/13(日) 22:55:55: ………。

【小悪魔：2009/10/29(木) 19:28:43、から、2009/12/13(日) 03:48:26】

……ええと。

【小悪魔：１ヶ月と１３日と８時間１９分４３秒です、パチュリー様】

……ちょっと怖いわよ、小悪魔。
ともあれ、お詫びの言葉もないわ。今後はこんな事もない……はずよ。多分、きっと。

【小悪魔：いや、そこはいい切りましょうよ、ちゃんとっ】

大人って難しいのよ。色々と。

状況は大体見たままね。一瞬気の抜けた私がデビルブリンガーに掴まれて、引きずられつつ反撃、と。
ワイプモイスチャーは私唯一の接近戦対応スキルだから、こういう時にでも使っておかないとね。
見た目はこんな感じ。

ttp://www21.atwiki.jp/patchouli_hitensoku/?plugin=ref&serial=125

劇中の私はほぼ牽制のつもりで放っているけれど（セリフに入れ損ねたけれど、チェックされたら当然それに対応しないと負けだからね）
どういう風に対応するかはお任せするわ。意表をついてもろに食らうもよし。

【小悪魔：どんな意表の突き方ですか……豆腐で死ぬどこかの人じゃないんですから】

冗談よ。

＞アニメ
あれを見たのね……。
出来は結構いいのだけれど、私の扱いには納得いかないわ。

【小悪魔：完全に噛ませ扱いですものねえ……何故かロイヤルフレアの威力も控えめですし】

まあ、二次創作だから（そう、あれも二次創作なのよ。驚くところよね）解釈は人それぞれ、でいいのだけれどね。
紅魔館が魔法の森と混じってたり、地下図書館がヴワル魔法図書館だったりするミスは何とかしてほしいものだわ。

ああ、弁償はしないわよ。

【小悪魔：酷い……】

【小悪魔：……という事を書いてからすでに１９時間近く経ったわけですが】

書いておいて投稿が遅れるって……よくあるわよね。
68 名前：ネロ ◆XovfKnNero ：2009/12/21(月) 21:28:29: 右腕で見事に捕捉（スナッチ）。
相手の体躯はただバキュームの如く右腕で此方に吸い寄せられるのみ。

さあ、こうなればこっちのフィールドだ。このまま一閃と―――

―――……炎！？

微かな囁き声とともにそれが放たれたと気づいた時には既に遅し。
空かさず近距離からの炎により両断の刃は中途で遮られしまったばかりか、

「ごォッ―――！？」

逆に俺が質量を伴った炎を浴びせられ大きく吹き飛ばされる破目に。
そのダメージで思わず右手の力が緩んでいた為に、折角引き寄せた身体を手放す事態。
背後の本棚が強か打った俺の背中で崩壊し、
バラバラと崩れ落ちた書物の群れが俺の身体を半分埋める。

全身が焦げ付き気味だが、少しばかり気張ればアクションに支障はない。
髪までブスブス焦げてるのは少々勘弁だが。若い内から頭髪とオサラバはさすがに御免だ。

寄ればこっちのものだ、と踏んだが…そうそう巧くはいかせてくれないらしい。

今はただこの身体を埋める書物の瓦礫を振り払い、体勢を立て直すのみ。
再び地に突き立てた剣のアクセル噴かせ、相手の出方を見る。

こちら右には悪魔、左には刃か銃。
対してあちらの手札は未知数。

だが、こちらも手札はまだ全部使い切ったわけじゃないし、何より手数だけが勝負じゃない―――
69 名前：ネロ ◆XovfKnNero ：2009/12/21(月) 22:24:46: やっぱボス敵に生でデビルブリンガー出しても弾かれるだけだよな、的な。

炎喰らって吹っ飛ばされて（しかも折角掴んだのに手放す）態勢立て直し。
それ以上何もしてない。
1週間待たせておいてこれだけだ。やれやれ。
偶にはこういうターンも必要だろうとはいえ、な。

基本的にマクロ視点というかあまり細かく突っ込むの向いてないんだよな、俺って。
まあ二次創作の上色々アレな所があったにせよ、
アニメーションで動くアンタらが観れたのは良かったと思うんだよ。

しっかし、被ダメージの加減って存外難しいな…
70 名前：名無し子猫：2018/01/07(日) 21:23:07: ε(*´・ω・)з゛
71 名前：名無し子猫：2018/01/07(日) 21:25:50: 8-◥(*ﾉﾟ∀ﾟ)ﾉｶﾞｫ-

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