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■ 「陰陽頭」と「堕ちた天秤の騎士」の会議場
- 25 名前:柳生友景:2011/08/14(日) 01:39:44
- >>24 続き
時の車輪を数刻、遡る――。
同じ闇の中に、友景と崇徳上皇はいた。座して相対している。
現在――寛永元年、西紀に直せば1624年という暦も、この場では半ば意味を成さない。
なぜなら此処は現世と隔絶した異空間――魔界であるからだ。
日本国の妖魔が棲まいし常闇の封土、その最深部に設えられし内裏(だいり)であった。
その主人たるが、優雅な笑顔をたたえている崇徳上皇である。
かつて保元の乱にて後白河天皇に敗れ、讃岐に配流された果てに凄惨極まる最期を遂げた
崇徳院の亡霊は、その無限の怨念断ち難く、全ての魔怪化生を従える大魔縁へと堕したものの
――その後、数百年を経て二度目の「転向」を果たすことになる。
友景も係わったさる一件により、妄執満ち満ちる己が浅ましさを自覚した上皇は、なんと正道
に立ち返ったのである。正気に戻ったといっていい。
あまつさえ闇と寒さを支配する大魔王の立場から一転、日本の守護神たるを宣して、配下の
魔物どもを困惑せしめたものだった。
新生したこの崇徳上皇の意を受け、鎮護国家の任を賜ったのが、誰あろう柳生友景であった。
柳生友景。またの名を幸徳井(こうとくい)友景。南都の人。
剣名一世を風靡した柳生新陰流の太祖・石舟斎の甥である。新陰流の中でも一といって二と
ない大剣士である彼には、今一つ類い稀なる天稟が備わっていた。
霊的能力である。
よくする陰陽道の実力は、養子に入った幸徳井家を、斯界の名門・土御門家の代わりに陰陽
頭(おんみょうのかみ)の地位へ就かしめる事に成功する。後水尾天皇の宮中にあって、彼は
全ての陰陽師の統帥となったのである。
こうして魔界の内裏に平然と参内しているのは、しかし持って生まれた霊能だけによるもので
はない。
崇徳上皇へ仕える過程で、友景はその眷属たる魔界衆三万六千と五百二十九匹と交合した。
そのおぞましき結縁は、美しき肉体を半人半魔の夜族へと変生させたのだった。
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