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■ 『異聞』 〜定められた終幕(エピローグ)へと到る物語〜

96 名前:『道化』ケフカ@不在(M) ◆AAo1qoPdKCCx :2011/12/04(日) 01:08:12
>>(パチュリー)


かくて、混沌(そら)は此処にある。

『常闇の世界(ファシナトゥール)』の外にして裏側である、本来ならば観測されざる概念世界。
リージョンの海と呼称される次元の狭間に、視認可能にまで濃密な『力』の流動する様が重なった
まるで異なる二つの映像を合成したかのように存在する混沌の世界。

そして、その虚空(そら)には見える。

五行の叡智を結集した多世界横断円環魔法術式による膨大な魔力の流れと、ぽっかりと開いた穴から
何処かへと流れ落ちてゆく光景が。
それはまるで満天の星々が渦を巻きながら、ブラックホールへと吸い込まれてゆくように――――
壮大で、幻想的で、世界の終末を思わせるような光景だった。


「なんだ、やっと分かったんですか? 
 ……そうそう、その顔ですよ。そういう希望も自信も何もかも打ち砕かれた顔が見たかったんだ!
 その絶望を抱いたまま、己の愚かさを後悔して死んでいくがいい……?」

>>(エリ&フィオ)

だが、其処には終末に相応しくないものがあった。

道化の宣告を遮るように一条の火線が走る。
『超重力魔法(グラビデ)』で手足をもぎ取られようとしていた魔女を助けたのは、敵である筈の鉄機の銃火。
その行動はさながら今まで殺そうとしていた相手を助け、叱咤するかのように。
そして最後の最後まで勝利を信じるかのように。
諦めない人間どもと一体化した、鋼鉄の巨人が狂える神を睥睨する。


「おやおや……まぁ〜だ健気な抵抗を続ける気ですか?
 お前達の生存する可能性が、まさか250億に一つあるとでも?
 ――――いいだろう。貴様らのその精一杯の抵抗とやら、全部潰した上でじっくり嬲り殺してやるよ!」


故に、其処には終末に抗うものとそれを許さぬ神との戦いが始まる。

――――円を描く機動で12.7mm弾をバラまく。
戦端を開いた二筋の火砲を『遅延魔法(スロウ)』で一瞬だけ遅らせて敵の位置を確認し正面へと向き。

――――右腕のバルカンも火線に足して、真っ直ぐに突撃する。
『神聖魔法(ホーリー)』の過剰な魔力が、三つと増えた銃弾の渦を物質レベルから昇華させ。

――――超硬金属の杭を打ち込み、30mmカートリッジ六発を同時に撃発。
四十層に展開した『物理防護(プロテス)』が鉄騎の最大威力を防ぎ衝撃で割れる度その倍の防壁を再展開。


「ホァーッホッホッホッホ! 何それ? ホントウにナニそれ!?
 そんなんで今の僕ちんを如何にかできると思っちゃってるの? シンジラレナーイ!?」

だが、それらは全て徒労に等しい。
なぜなら神は死んだのだ、希望と言う名の神は。

鉄騎の全兵装を注ぎ込んだ渾身の猛撃(コンビネーション)は、空間に展開されていた狂える神の
魔法群(フルコース)にてその威力を阻まれる。
兵装の数を遥かに越える、発動寸前で行使を待つ夥しい数の呪わしき神威(フルコース)に。
必死の猛攻を繰り出す鉄騎の真正面、その至近距離から道化は無傷で笑い嘲弄する。


「よく頑張りましたと言いたい所だが残〜念〜でーしたーーー!!
 ――――もう飽きたから、その乗り物はぶっ壊れていいよ」


そう、奇跡は起きない。

―――パイルを引きざまに全速で後退。同時に主砲からHEを発射。
最後に至近距離からの砲弾を『核熱魔法(フレア)』の原子融合による熱で蒸発、
離脱した瞬間を『召隕魔法(メテオ)』による零距離からの隕石群で蹂躙、『転移魔法(テレポ)』で中身を
強制排出させ『腐敗魔法(バイオ)』と『自動治癒(リジェネ)』で腐敗させながらも即死しないよう処置、
じっっっっくりと悶え苦しむ様を堪能しながら魔女もろとも少しずつ少しずつ壊していこうと遊ぶことを決定



そう道化が選択しようとした、その時





                     ど ん




その時、鈍い音と共に。
満面の笑みを浮かべたままの、道化の右半分がはじけ飛ぶ。
張り巡らせていた一切の魔力/魔法の喪失と共に、消滅するはずの砲弾が己を貫いたのだ。

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