■掲示板に戻る■ 全部 1- 101- 201- 301- 401- 501- 601- 最新50 read.htmlに切り替える ファイル管理
■ RHマイナス板専用テストスレッド

360 名前:青銅名無し客:2005/09/09(金) 20:02:08
人に向けて本気の剣を振るった事ならもちろんあった。
稽古と言えど手を抜いた事など無かったし、試合でなら尚更。
けれど、それは全て剣道と言う約束事の内での事。
防具もつけていない相手の面を本気で打つ、などと言う事は間違ってもした事が無い。

「あ……?」

……いいや、無かった。
だから私は、私の剣で血を流す人を見て――――



          その紅い視線に、魂を絡め取られた。



声だけが頭に響く。
名を問われた。「支倉令」と答えた。
夢を問われた。「皆と、ずっと幸せに過ごしたい」と答えた。
帰りを待つ人はいるかと問われた。「妹と、一緒に来た親友がいる」と答えた。
重ねられた問いには、頷いて返した。

その全てを、完全に否定された。

その言葉が、どうしようもない事実だと分かる。
魂を縛られていても、体が代わりに泣いてくれた。
痛みは無い。
ただ、血の流れていく感覚だけが、遠のいていく意識を満たしていた。


現在地:C-1「崖」

805KB
新着レスの表示

掲示板に戻る 全部 前100 次100 最新50 read.htmlに切り替える ファイル管理

名前: E-mail(省略可)
画像:

削除パス:
img0ch(CGI)/3.1.10