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■ RHマイナス板専用テストスレッド
- 382 名前:カサンドラ・ジル・ウォーロック(M) ◆CASAWrQoKs :2005/09/10(土) 02:44:13
- >>191
力場思念の手で男の手を掴み、牽制したまま、銀髪の彼女に歩み寄る。
表情にはありありと思考と困惑の色。やすやすとは従うまい。
やれやれ、仕方ない。
強引なのは趣味じゃないけど、この際視経侵攻で一気に――そう思った、矢先。
>>181
「………っ!!?」
突如彼女に向けて真っ逆様に、稲光が閃く。
普段なら何でもなく対処できるはずだったのだが――
至近距離で、しかも視経侵攻の為に目を見開いていたのがまずかった。
「チッ、しまった……!」
雷という名の目くらましによって、視界を奪われ反応が遅れる。
視力が回復する頃には、彼女は既に灯台の中に駆け込むところだった。
「あーあ、逃げられたか……やっぱりゴリ押しだけというのも考え物だね。
さて……」
力場思念で掴み続けていた男のほうに振り向き――そこで驚くべき光景が目に飛び込む。
めきめき、みちみち。
ぶちぶち、べきべき。
まず意識に入ってきたのは、そんな音。
肉がちぎれ、
皮が裂け、
骨が割れ、
血がしぶき―――
そして、ボン! という音とともに。
男の腕が半ばから爆ぜ、引きちぎれる。
爆発の根元は私の力場思念が掴んでいた場所だ。
「なら……まずはキミを頂いてからでいいのかな」
そのあまりにも――吸血鬼の常識からしても――常識外れな光景に、私が唖然としている最中。
逃げ出したお姫様の思念が、私の脳裏にやってくる。
“――ところで………私を口説こうって言うのなら、まず名乗って頂けませんか?”
“――名前も知らない方に、私の血はあげられませんし。
それに、お二方とも………朝は私より苦手ですよね?”
ここまで来て、自己紹介を忘れていたことに気付かされる。
そういえば共闘している間にも、目の前の彼にも、思念の先の彼女にも、名乗ってなんかいなかった。
少しでも友好的な関係を気付くには、自己紹介は不可欠だというのに。 私としたことが失敗失敗。
「頂く……? これはこれはお戯れを。
私はただ、君のダンスの誘いを聞いていただけさ。それにその物言い、主客が逆になってやしないかな?」
心中で舌を出す間にも、腕を砕いた青年は私に近づく。
「失礼したね、レディ。確かに声をかけた以上、きちんと最後まで踊らねば、な」
そして殺気やら闘志やら怒りやらといった凶々しい念を、
優雅さで完全に糊塗し尽くした見事な礼で、高らかに名乗りを上げる。
「私はアドルフ、アドルフ・ヒトラーという。よしなに」
恐怖とも歓喜とも闘争心ともつかない、
あるいはそれらが渾然一体となった武者震いという奴を体感しつつ。
その威風堂々たる暴君の名乗りに、私も黙ってはいられなかった。
「……これはしたり。
よもやあのナチスドイツの偉大なる総統殿と、ここにてお目通りが叶おうとは!」
こうなるともう止まらない。私の悪い癖だが知ったことか。
こちらも最大限に芝居がかった、時代がかった大仰なそぶりで、朗々と声を張り上げる。
目の前の、若く美しき覇王に。 塔の中の、白く可憐な姫君に。
「かの覇王殿の腕一本を使った剛毅な名刺、頂けた事は光栄の極み!
なればこちらも名乗るのが礼儀というもの。
御機嫌よう、アドルフ・ヒトラー! かの大戦の英雄にして、暴威を振るった一代の覇王。
手前はカサンドラ・ジル・ウォーロック。
『魔女モーガン』の血統にして、九龍王の庇護を受けし者。
恐れながら魔導士の端くれとして、奇門遁甲の域に至った御身に、畏敬と感嘆とこんちくしょうを申し上げるっ。
こちらから引きとめた手前、大変なご苦労をおかけしたようだが――やはり獲物は共通と見える。
それともあの姫よりも、私との舞踏をご所望ですかなっ」
ハイになった頭で、気勢に対抗すると同時に交渉を仕掛ける。
焚きつけた手前、先方が大人しくするとも思えまいが――その時はその時だ。
“――あと………壁の花ってどういう意味ですか?”
“――その質問には、降りてきたら答えてあげるよ。ヒントは…『今は君がその状態』。
それより自己紹介、今度は君の番じゃないのかな?”
目の前に怒れる覇王を見据え。
脳裏に帰ってきたのんきな思念に受け答えしながら、私は伸びる己の牙を舐めた。
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