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■ RHマイナス板専用テストスレッド

500 名前:なめんなよ、この名無し:2006/11/24(金) 16:18:36
 銃を抜く暇も与えられず蜂の巣にされたSP/相手は、日頃の訓練が一切通用
せん相手だと知り、狂騒のままに喉元を喰い千切られた警備員/持ち前の騎士
道を発揮させて、本物のゲルマン騎士に頭蓋を噛み砕かれた青年実業家/
「私はドイツ人だ。当時は国防陸軍に従軍していた」―――老獪な航空会社
名誉会長は「敗北主義者」の誹りとともに短剣を刺し込まれた/ハリウッド
スターは「俺様ちゃんの○○と結婚して離婚したから」という理由でヤン・
ヴァレンタインに殺され/スーツに唾がついたという理由で副操縦士はルーク
・ヴァレンタインに殺された/レップとタッツェルヴェルムに挑んだ警備員は
自分が如何に無謀だったかを知る前に殺された。

 狂騒/パニック/慈悲の叫び/怒声/懇願/悲鳴/混乱/パニック/
 パニック/銃声/絶叫/銃声/銃声/銃声銃声/銃声銃声銃声銃声銃声。
 一秒単位で増えゆく死体。金持ちは死んだ。金を持たぬ者も死んだ。
 狂おしき人類平等の到来―――賓客達はやがて学んだ。
 彼等は誰にでも平等だ、と。彼等の前では誰もが平等に死ぬ。
 生きるための条件。目に付かぬこと。騒がぬこと。喋らぬこと。死体と自分
―――その差を無くすこと。自分達が死体ほどに静かであれば、彼等は命を奪
わない。
 彼等は自分達を人質とすら見なさない。その程度の価値すら与えてくれない。
 なんて屈辱。だがその屈辱に耐えてでも賓客達は生きたかった。
 だから彼等達は黙った。それだけが生きるための道だった。

 混沌/騒乱はやがて制圧され、狂騒に変わって押し殺された恐怖が飛行船を
支配する。賓客達の学習―――彼等は生きるために死ぬことにした。
 速やかに実行される戦後処理。片付けられる死体。黙々と作業に没頭する夜
の眷属達―――近付くエンジン音。俄に船内が騒がしくなってきた。
 今度は賓客共の狂乱ではなく、兵士達の怒声。

「連隊指揮官殿が到着された!」
「手が空いているものは回廊に集まれ!」
「整列、整列だ!」
「良いか、決してSS大佐殿の右眼を見るなよ!」
「死体を片付けろ。血糊を拭け。速く!」

 接近するメッサーシュミットMe323ギガント―――ギガントの名を冠する
輸送機も、全長1キロに及ぶ飛行船の前ではただのグライダーに過ぎない。
 メッサーシュミットが速度を緩める。飛行船の尻に取り付いた。
 ごうん―――音を立てて、再度前部ハッチが開放される。
 吐き出される新戦乙女隊/第一戦闘航空団リヒトホーフェン・サーカス/
合計16機のルフトヴァッフェ。―――散会。
 新戦乙女隊は哨戒/索敵のために飛行船周辺を縦横無尽に飛び回る。
 サーカス―――飛行服を着たガーゴイル達は、スパンダウ機関銃の代わりに
手にした工具で早速ハッチと飛行船甲板を繋ぐ架橋作業に取りかかった。

 ブリッツクリークの基本―――橋を破壊される前に敵を駆逐せよ。
 もしも破壊工作を許してしまった場合は、速やかに架橋/追撃の再開。
 ただし今回の架橋場所はドナウ川ではなく南極の大空だ。

 リヒトホーフェン兄弟を抜かした6人の飛行士による突貫の架橋作業―――
五分とかからずに結ばれるツェッペリンとメッサーシュミット。
 だが、その繋がりはあまりに脆弱だ。
 ツェッペリンとメッサーシュミット―――曲芸じみた飛行速度のシンクロ。
 どちらが少しでも速度計算を誤れば、即座に橋は瓦解する。

 だが前部ハッチから姿を現した無数の人影は、臆することなくパレードを
開始した。手すりすらない空中の架け橋―――風に煽られて足を踏み外すのが
落ちだ。人間なら誰もがそう思う光景だった。

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