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■ RHマイナス板専用テストスレッド

505 名前:なめんなよ、この名無し:2006/11/24(金) 16:21:16
「極点での豪奢な遊覧を愉しむ諸君」

 スピーカーが震えた。

「まず、突然の非礼を詫びさせてもらおう。私は本作戦の指揮を務めるグル
マルキン・フォン・シュティーベルSS連隊指揮官だ。SS戦闘部隊の特別部に
所属している。部隊名は極秘事項のため明かせないが、私もまた偉大なる総統
閣下に永遠の忠誠を誓ったゲルマン騎士であることはお分かり頂けるはずだ」

 グルマルキンは冷徹な面持ちのまま、淡々と語った。

「私がこの映像を持って諸君等との接触を求めたのは、我々に対して抱く誤解
を解き、我々の行動―――本船の接収を理解してもらうためだ。
 せっかくの遊覧――新たな時代のツェッペリン。素晴らしい船だ――を阻害
してしまったことは私も悲しく思う。情報伝達の混乱により命を落とした乗客
が幾人かいるみたいだが、そのことについては我々親衛隊が一切の責任を取る。
被害者はみなしっかりと『立って歩ける身体』に戻すため、諸君等の不安は
杞憂に過ぎないとここで保証しよう。
 また、一部の先走った愚か者のせいで本船は我々にハイジャックされたなど
という馬鹿げた勘違いをしている輩もいるみたいだから、その過ちもここで正
させてもらおう。いま現在行われている我々の行動は、全て然るべき権力機構
からの保証を受けており、ハイジャックやテロ行為などという―――忌々しい
レジスタンスどもが行う卑劣な違法行為とは、まったく趣を異にするものだ」

「ここに」
 漆黒の魔女は、マントの内側から一枚の書類を取り出し、カメラに向けた。
「我々の行為の正統性を保証する文書がある」

 カメラがアップになり、書類―――命令書の文字が視認できる距離まで近付
いた。命令書の上部には国章である鷲の印と金色の鉄十字章が印刷されている。
 10秒ほど命令書をアップで映すと、カメラは再びグルマルキンを映す。

「ドイツ語が読めぬ奴も多いだろう。私が諸君等にも分かるよう、英語で訳して
やる。つまりは、こういう意味なのだ。

     総統兼首相より

―極秘―
 グルマルキン大佐は、私の直接かつ個人的命令に基づき、ドイツ帝国にとって
極めて重大な任務に服している。 彼女は私に対してのみ責任を有する。
 軍、民を問わず、階級に関わりなく関係者全員が彼女の必要を満たすべく、
最大限の協力をすることを要求する。

                           アドルフ・ヒトラー
                          
 ―――理解できたかね?」

 ここで初めて、グルマルキンの凍て付いた表情に狂相が浮かんだ。

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