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■ RHマイナス板専用テストスレッド

561 名前:イグニス ◆IgnisC3BW6 :2007/05/03(木) 23:20:260

 ――ひゅん。
 音にすれば、その程度のものだ。
 その音とともに奔った銀閃は、その音に合わせたようにあっさりと――そう、至極あっさりと、
場に立ちふさがる巨躯を通り抜けた。

「――え?」

 それは、いったい誰の言葉だったのか。
 声を発した当人さえ自覚してはいないだろう。

 だが、本来ならば、この御前試合を首尾良く――悪くかもしれないが――勝ち進んだ勝者
に立ちふさがる、その筈だった夜族は、突如として眼前に現れた焔に、何が起こったのかわ
からない、という表情を浮かべ……

 そして、浮かべたまま凍り付いた表情は、ころん、という音が似合うそんな具合に首の上か
ら転がり落ち、床に叩きつけられ、そのまま灰と散った。
 その瞬間、己が斬られたのだ、という事実に行き着いた胴は、盛大に天井に向けて鮮血の
噴水を吹き上げるとぐらり、と重心を崩し、首と同じように灰となって周囲へとまき散らされた。

 照明を受けて鈍く光を返す漆黒の刀身を一振りし、血と灰を払う。
 周囲へと詰めかけていた愚か者どもに視線を移す。恐らくは観戦と洒落込むつもりだったの
だろう、低級の化け物たち。

 ぽかん、と間の抜けた面を覗かせるそれらに、彼女はにぃ、と微笑を浮かべ、

「ああ。せっかくのお楽しみのところ、非常に申し訳ないが」

 それ自体が刃であるかのような、確定された運命を口にする。

「――皆殺しだ」

 処刑場に焔が奔る。
 ”人類の守護者”による、殺戮が始まった――――

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