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■ <剣聖>と「呪われし公子」の会議場 〜機械庭園のカフェテラスにて〜

36 名前:<呪われし公子>ゲイナー ◆/GAynorYPA :2011/08/04(木) 00:53:38
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 爆発によって巻き上げられた粉塵がゆっくりと晴れていく。
 その中より現れたのは、数多の色に輝く鎧を身に着けた騎士の姿。

 あの爆発に飲み込まれてなお、彼は傷一つ負わぬ姿でその場に在った。
 それは混沌に属する魔術を用い瞬時に多重展開された防御障壁、<地獄の鎧>と<地獄の楯>のおかげであり、また何より彼の身を包む上方世界の鎧のおかげだ

 だが無傷であるはずの<呪われし公子>は、疲れはてたかのような緩慢な動作で首を振る。理由は間断なくこみ上げてくる鬱病めいた発作だ。魔術を使用した後はいつもこうだった。分裂した自我の再統合が完全でない反動か、それとも彼が天秤の騎士であった頃の良心の咎めのせいか、はたまた彼の本質が混沌よりも法寄りの存在であるゆえの拒絶反応であるからなのか、理由は自身にもわからない。
 先の様な四大の精霊に属する魔術や動物や植物の精霊王に関する魔術ならばまだましだが、今のように混沌に属する魔術を使った場合はことにその反動が酷い。

 <呪われし公子>は、憂鬱の発作に苛まれながらも<剣聖>の姿を探す。手応えはあった。少なからぬダメージを与えているはずだが・・・・・・。
 探し求めた姿はすぐに見つかった。その姿を目の当たりにした。頭上にあるキャットウォーク。爆発の衝撃で半壊し不安定なソレの上に立つ<剣聖>の姿を。 高速で再生していくその肉体を。彼がかつて訪れた、混沌積層都市で目にした吸血種の様な超常の再生復元現象を。

 ・・・・・・なるほど。無限寿命者であるだけでなく超恒常性も持ち合わせているというわけか。あれほどの剣技とこれほどの再生能力、そして気高き意志の力が在れば語り継がれる<剣聖>の伝説も頷けるというものだ。

 手に持った錬金術師の剣をもとの場所へと転移させ戻す。剣聖の恒常性がただの過剰な再生能力ならばこの剣も効果があるだろうが、元ある姿へ戻ろうとする因果の逆転、復元能力ならばこの剣の魔力は何の意味もない。たとえ直接その肉体に突き立てスライムのような異形へと変貌させようと、すぐさまもとのあるべき姿へと回帰することだろう。

 効果の不確かな武器を使うのは止めだ。わずかな隙が命取りになる相手と戦わねばならぬ以上、不確かな手で一手無駄にするのはリスクが高すぎる。

 故に使うのは錬金術師の剣ではなく、魂を喰らい、上方世界の神々ですら放逐する神殺しの魔剣。借り物ではない彼自身の魔剣だ。

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