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■ 「陰陽頭」と「堕ちた天秤の騎士」の会議場

1 名前:◆GAinErMg8k :2011/07/03(日) 21:54:17

 この場は余と柳生友景以外の立ち入りは認めぬ。
 汝の頭が飾りでないならば理解するがよい。

90 名前:柳生友景 ◆YAGYUbJ766 :2011/10/14(金) 22:40:22
三千大千世界のいずこでも、浮世は世知辛きものにて候わば。
こちらはお気になさいますな。
 
また、フリメルダどのとの闘争が再開しそうならば、そちらを優先して頂いて
構いませんよ。

91 名前:<堕ちた天秤の騎士>ゲイナー ◆/GAynorYPA :2011/10/24(月) 22:01:14
>>

「なるほど。貴様はこの世界を憂うもの(ルシファー)より使わされた存在か。」

 そうつぶやくと、問いかけられた天秤の騎士は、その問いには直接答えず囁くようにして言
葉を告げる。

「おまえは己の住む世界を見てどう思う?これが素晴らしき世界だと言い切れるか?天秤によっ
て均衡を保たれたこの世界が。どちらかに傾きすぎぬよう、法と混沌が永遠に争い続けるこの
世界が。争いの絶えぬ、差別や暴力に満ちた、かくも無慈悲なこの世界が。」

 おれはそう思わんよ。そう言外ににおわせながら、呪われし公子は美しき陰陽師の瞳を覗き
込む。

「おれはかつて天秤の理こそが完全な物だと考えていた。ゆえに何も疑うことなく天秤に仕え、
その見返りとして天秤の安息の中におれはいた。それは素晴らしいものだった。完全な安息だ。
楽園と呼ぶにふさわしい物だった。あの様な安らぎをおれはもう二度と得ることは出来ないだ
ろうな。」

 懐かしむ様な切なげな顔でかつての天秤の騎士はそうつぶやく。

「そう、おれは天秤それ自体を否定している訳ではない。それどころかむさぼるごとく愛して
いる。・・・だが、同時に完全に肯定している訳でもないのだ。法と混沌がその覇権を争い戦
い続けるという、この多元宇宙の多様性と適応性にはかねてから不満を抱いていた。おれは天
秤を愛している。その有り様を肯定している。だからこそ、その不完全性には不満を持ち、お
れならばもっと巧くできるはずだとも思っているのだ」

 そこでいったん言葉を区切ると、剣を押し上げる諸手に己の内の激情のままに更なる力を込
めながら先を続ける。

「故におれは愛する天秤に対し反旗を翻したのだ。それ頃が天秤のためであるとも信じてな!
かねてよりその理念に共感を感じていた法の力を後ろ盾にして、ゲイナー大公としてこの世界
に君臨せんとな。自らの手によって世界を治め、不完全な世界を完全に作り替えるために!」

 叫ぶようにしてそういうと、呪われし公子はふと黙り込んだ。その口元に苦々しげなものが
浮かんでいる。

「・・・だがそれは失敗し、おれは天秤の安息を失った」

 先達と同じようにな。手の中の「白の剣(ライトブリンガー)」に一瞬だけ目を落としなが
ら、苦笑まじりにそういう。

「その後はしばらく法に仕えていたが・・・いや、それはどうでもいい話だ。大事なことはお
れはまだ諦めていないということだ。次こそはやり遂げてみせよう。そのための将門の力よ!
平新皇将門が力もって、いま一度天秤に挑み今度こそ、その支配権を手にしてみせよう。それ
が叶わぬならこの身に永遠の死を!」

 慟哭とともに吐き捨てる。

「おれが望むのはただ二つだ。完全な世界かさもなくば死か。それが叶うなら世界の一つや二
つ、滅び去ろうが安い物よ!」

92 名前:<堕ちた天秤の騎士>ゲイナー ◆/GAynorYPA :2011/10/24(月) 22:03:19
 大幅に遅くなったがなんとか返した。拙いな箇所も多々あるため後々修正するつもりだが、
とりあえずはこんなところだ。

93 名前:柳生友景 ◆YAGYUbJ766 :2011/10/25(火) 02:08:36
>>
 
 血を搾らんばかりに吼える外法の騎士を、友景は冬の湖面のような眼差しで見つめる。
 何か言おうと開いた朱唇は少しく震え、すぐに閉じられた。鍔競り合いの均衡は揺るがない。
 再び開いた口からは「憐れな」という声がひそやかに洩れた。
 
「そなたの魂は、何物によっても満ち足ることはなかろう。例え己が渇望せし、完全なる世界とやら
を手にしたとしても」
 
 かつての比類なき勇者が陥った魂の孤独≠、友景はそう切って捨てた。
 
 
「……わたしの時代では建ったばかりの千代田の城も、三百年近くを経た今≠ナはその屋台骨
を揺るがせていると耳にした。江戸幕府を滅ぼす大いくさが始まるだろう、とも。
 成る程、我々は修羅の巷から抜け出せはせぬ。後三百年が経とうが、人は変わるまい。人が作る
世もまた変わるまい」
 
 徳川の平和(パクス・トクガワーナ)¥I焉の時にやって来た過去人は、静謐に続けた。
 
「素晴らしき世界などと、とても呼べぬ。――わたしのいる世界は左様な所だ。恐らくいかなる<層>
も、<天秤>の均衡が保たれゆく世界は、斯くの如き場所ならん。
 だが其処でこそ、生はまことの意味で生たるのだ。
 そなたが厭う多様性と適応性と不完全性の狭間から、喜びと絶望と悲しみが生じる。それらはまた
新たなる愛を生み、かくて命は縷々として紡がれる。
 故に、我らは生きぬきそして地獄に堕ちて暗黒の曠野をさまようのだよ」
 
 傾いだ刃の十文字を形作る二振りの刀剣へ、友景の声は深々と降りてゆく。
 
「ゲイナー。美しいものを美しいままで終わらせたいなどと希(ねが)うは、そなたの小さき業に過ぎぬ。
それによって御されし完全世界など、<法>と<混沌>相争うこの地獄相とは比べ物にならぬ真の
地獄であろう。
 知れ、この醜くも美しき六道の貴(たっと)きを。そして生きよ、堕ちよ」

94 名前:柳生友景 ◆YAGYUbJ766 :2011/10/25(火) 02:10:57
では、このように。
 
何やら全般的に、坂口安吾からの下手な剽窃が見受けられる。
まあ「堕落」した騎士へ表する敬意という事で、御寛恕あれ。

95 名前:<堕ちた天秤の騎士>ゲイナー ◆/GAynorYPA :2011/11/06(日) 21:41:56
>>

「お前の様な能力の在る者ですら、現状に甘んじただただ運命を受け入れるか。」

 摩耗しきり疲れ果てた声で、天秤の騎士はそうつぶやいた。

「・・・いつもそうだ。何故お前は、何故お前らは、宿業に挑む力を持ち合わせていながら、
すぐに運命を受け入れ疑問にも思わぬのだ!この、ありのままの世界を見よ!素晴らしい素質
を、才能を持ちながら、それを発揮することの出来る環境がないばかりに、無為に過ごす者の
なんと多いことか。卑しく貧しい生まれだからという理由で、食うものにも事欠き、病を患っ
ても医者にも見てもらえず幼くして命を失う者のいかに多いことか!」

 慟哭するようにして、呪われた公子は語る。

「この残酷な運命(かみ)の支配する世界を見よ!そんな世界に対し僅かでも疑問や憤りを感
じるならば、この世界にたちむかえ!結末の定められた運命など否定しろ!己の手で自分の進
む道を切り開け!運命(フェイト)に挑め!」

 法の神剣を押し上げながら、雄叫び(ウォークライ)のようにゲイナーは叫ぶ。

「たとえ百万回負けようと、百億の昼と千億の夜を惨めったらしく生かされ続けようと、おれ
は天秤の運命に挑み続けよう!それでも決して満たされぬというならば、百万世界もろともの
死を願おう!そしてその邪魔をする者は、一片の慈悲なく切り捨てよう!」

96 名前:<堕ちた天秤の騎士>ゲイナー ◆/GAynorYPA :2011/11/06(日) 21:47:43
 遅れた上に納得のいく出来映えではないが、ひとまずは返した。
後々修正するかもしれんがな。

 さて、おれは先月末から少々忙しくなっている。20日過ぎれ
ばなんとか余裕も出そうなのだが、それまでは悪いが即座のレス
は不可能だと思ってもらいたい。

 昨日は北、今日は南、明日は西というようにいろいろ飛び回っているのだよ。

97 名前:柳生友景 ◆YAGYUbJ766 :2011/11/06(日) 23:14:22
ご事情は承って候。お察し申し上げます。
こちらは気にせず、返せる時に返して下さいませ。
わたしも今週、来週の末はおそらく返答が難しゅうござりますゆえ、お含みおき頂き
たく。
 
さて、今少し掛け合いを続けましょうか?
それとも鍔競り合いの展開を変えましょうか? 例えば>>88の例などの如く。
勿論他の案あらばそれにて。
わたしはいずれでも構いません。

98 名前:ゲイナー:2011/11/07(月) 21:07:58
そろそろ剣劇にもどるのも悪くなかろう。
おれはどちらでもかまわん。なんじに任せる。

99 名前:柳生友景 ◆YAGYUbJ766 :2011/11/07(月) 23:31:40
>>
 
 その絶叫の中から、ぎり、と鋼が軋む音が一度だけした。
 刃を交えた影ふたつは、表面上は美しき二体の塑像のように動かない。
 目視では判別できない程僅か、刀と剣の位置が上昇した時、「否(いな)」と抑えた声が応酬した。
 
「否否否、万遍否。そなたという飽くなき虚無の洞(うろ)を充たさんが為、三千大千世界(みちおほち)
の全てを捧げる訳にはゆかぬよ」
 
 膨れ上がる剣圧を渾身で御しつつ、塑像の片割れが念じるように言った。
 
「しかし――表面の綺麗ごとで真実の代償を求めることは無理であり、血を賭け、肉を賭け、真実の
悲鳴を賭けねばならぬ。……そなたの厭悪も判らぬではない。悲しいかな、人間の実相はここにある。
しかり、実に悲しいかな、人間の実相はここにある。
 さりとて運命はただの律にあらず。
 徒に甘んじるのではなく、赤子のように受け入れるのでもない。迷い、疑い、呻吟した果てに感得す
べき理こそそれだ。
 わたしはそうだった。そなたのかつての同胞、永遠ノ戦士≠ネる強者達もまた同じであったろう」
 
 そなたは、と続く己が言辞の残酷さを理解した上で、永遠(えたーなる)ならざる柳生の剣士(ちゃん
ぴおん)は冷然と評した。
 
  
「そなたは他者に嫁して己の不幸を呪っているにすぎぬ。――己の進む道は己で切り開き、己一人で
己が運命へと挑む。正しい。<堕ちた天秤の騎士>よ、その言は正しい。
 だがそれは躓き、泣きながら、各々が各々の手で掴み取るべき光。そなたから、完全な世界などと
いう結果として与えられるものなどでは断じてない。
 なれば、この度は南風競わず、何がしかの因子揃わざれば現界かなわぬ永遠ノ戦士≠轤ノ成り
代わりて、我と我が運命を果たそう。それが」
 
 そして柳生の陰陽師(ちゃんぴおん)は、とんでもない事実をさらりと述べた。
 
「それこそが、大魔王より――ルシファー猊下より授かりし秘命。先程そなたが喝破した通り、な」
 

100 名前:柳生友景 ◆YAGYUbJ766 :2011/11/07(月) 23:32:32
ふむ。振っておいて申し訳ないが、では今回は掛け合いの方で。
次れすで剣戟に戻りましょうか。
考えてみると、猊下の話をまだしておりませなんだゆえ。

101 名前:<呪われし公子>ゲイナー ◆/GAynorYPA :2011/12/04(日) 23:04:58
 しばらく放置してしまっていたが、明日からはまたこの闘争の続きを始めるつもりだ。
もう少々待ってくれ。

102 名前:<堕ちた天秤の騎士>ゲイナー ◆/GAynorYPA :2011/12/06(火) 20:56:15
>>

「なるほど。貴様はこの世界を憂うもの(ルシファー)より使わされた存在か。」

 そうつぶやくと<堕ちた天秤の騎士>は、しばしの間、つばぜり合いのまま考え込むか
の様に黙す。そして改めて、強い意志を感じさせる双眸で柳生の妖剣士をにらむ。

「よかろう、言葉もって語る時間はもう終わりだ。己の行いを悔い、大いなるものとの和
解を求める軟弱な堕天使よ、お前のやり方で世界の痛みを癒せるものなら癒してみせるが
いい。御使いの妖剣士よ、永遠の戦士ならざるものよ。天秤の騎士でも永遠の戦士でもな
いその有限寿命者の身で、このおれをこの世界より放逐できるというならばするがいい。
 それが出来ぬのならば、おれの執念を、百万年もの妄執を、内なる虚無を、孤独を、怨
嗟を、果つること無き呪いとともに、その身に刻み死ぬがいい!」

 そう吠えると同時に、言葉と平行して練り上げていた魔術の構成を展開。『強化(ブー
スト)』。魔力によって動作と耐久力を強化するという基本的な魔術だ。『反応速度増強
(ヘイスト)』や「身体能力強化(フィジカルエンチャント)」に比べれば遥かに単純で
性能も低いが、それはあくまで並のと使い手の場合だ。<呪われし公子>の圧倒的な魔力
容量があれば、その威力は絶大なものとなる。

 さらに。

「宵の明星(ライトブリンガー)!」

 己の振るいし剣の銘を呼ぶ。すると瞬く間に、剣が纏う輝きがいっそうまばゆくなり、
激しさすら感じさせるものとなる。

「地獄に堕ちて、大魔王(ルシファー)に使命を果たせなかったと詫びるがいい!!」

 その言葉とともに握りつぶさんばかりの力で柄を握りしめ、魔力によって強化された力
と、銘を呼ばれ解放された聖剣の力もって、対手の刀ごと断ち切らんと、己の剣を押し上げた。

103 名前:<堕ちた天秤の騎士>ゲイナー ◆/GAynorYPA :2011/12/06(火) 20:58:48

 一ヶ月ぶりとなったが返したぞ。聖剣の真銘解放と魔力によって強化した逆流れ改(仮名
による一撃だ。

それと、

 >>91 
「なるほど。貴様はこの世界を憂うもの(ルシファー)より使わされた存在か。」

これを 

「なるほど。貴様は<宇宙の天秤>の均衡を保つためにより使わされた存在か。」

へと変更する。そちらの>>99のレスで初めてルシファーの名が明らかになった方が効果的だ
ろうからな。

104 名前:<堕ちた天秤の騎士>ゲイナー ◆/GAynorYPA :2011/12/06(火) 22:24:09
>>103 修正

「なるほど。貴様はこの世界を憂うもの(ルシファー)より使わされた存在か。」

 そうつぶやくと<堕ちた天秤の騎士>は、しばしの間、つばぜり合いのまま考え込むか
の様に黙す。そして改めて、強い意志を感じさせる双眸で柳生の妖剣士をにらむ。

「よかろう、言葉もって語る時間はもう終わりだ。己の行いを悔い、大いなるものとの和
解を求める軟弱な堕天使よ、お前のやり方で世界の痛みを癒せるものなら癒してみせるが
いい。御使いの妖剣士よ、永遠の戦士ならざるものよ。天秤の騎士でも永遠の戦士でもな
いその有限寿命者の身で、このおれをこの世界より放逐できるというならばするがいい。
 それが出来ぬのならば、おれの執念を、百万年もの妄執を、内なる虚無を、孤独を、怨
嗟を、果つること無き呪いとともに、その身に刻み死ぬがいい!」

 そう吠えると同時に、言葉と平行して練り上げていた魔術の構成を展開。『強化(ブー
スト)』。魔力によって動作と耐久力を強化するという基本的な魔術だ。『反応速度増強
(ヘイスト)』や「身体能力強化(フィジカルエンチャント)」に比べれば遥かに単純で
性能も低いが、それはあくまで並のと使い手の場合だ。<呪われし公子>の圧倒的な魔力
容量があれば、その威力は絶大なものとなる。

 さらに。

「宵の明星(ライトブリンガー)!」

 己の振るいし剣の銘を呼ぶ。すると瞬く間に、剣が纏う輝きがいっそうまばゆくなり、
激しさすら感じさせるものとなる。

「大魔王(ルシファー)の使いよ!己が主の力にて死ぬがいい!!そして、地獄に堕ちて、
使命を果たせなかったと詫びるがいい!!」

 その言葉とともに握りつぶさんばかりの力で柄を握りしめ、魔力によって強化された力
と、銘を呼ばれ解放された聖剣の力もって、対手の刀ごと断ち切らんと、己の剣を押し上げた。

105 名前:柳生友景 ◆YAGYUbJ766 :2011/12/07(水) 01:23:56
>>

 ありとあらゆる昏き意思が籠められているとは信じ難い眩い光が、対手の剣から湧く。
 一刀ばかりか友景の五体が揺さぶられた。
 途轍もない圧であった。これまでで最大級の膂力だ。
 
 ――これが太古、光輝ある<上方世界>即ち天界をも呑み込まんとした明星の威か。
 畏敬に近い想いを抱きながら、最早鍔競り合いを支えるのは無理だと友景は判断する。
 ――やるか。
 秒那だけ逡巡し、同じく秒那で友景は決した。
 
 軽く息を吸う。
 脚、腰、胸、腕――爪先に端を発する円運動のエネルギーは、螺旋状に高まりながら友景の全身
を循環。瞬発力と律動により運動ベクトルは集中・加速され、かつ回転から直線へと変換される。そ
れは対手が押し上げて来る真芯を膺懲するカウンターとなり――
 
 
「柳生新陰流、裏奥義――」爛、と美々しき双眸が見開かれる。「逆風ノ太刀=v 
 
 
 その武名は、凄まじい斬撃が起こす剣風に乗せて、己に噴きつける返り血を逆に対手へと噴き返
させた故事による。
 完全武装した敵をその護りごと撫で斬りにする剛剣だ。甲(かぶと)を割り、鎧を通す破壊力は、近
代的な精妙を突き詰めた柳生新陰流にあっては寧ろ異端の剣である。
 そして剣を交えた零距離で揮われるそれは、鍔迫りの拮抗を押し崩す爆発力となる。
 
 
 筈であった。しかし――。
 

106 名前:柳生友景 ◆YAGYUbJ766 :2011/12/07(水) 01:25:39
>>
 
 鋭角的な残響が舞った。
 
 天に牙を剥き、天を斬る光明の剣(イルミナティ)から逃れ、柳生友景は後方五メートルをひと息に
跳んだ。
 友景の頭は何も被っていなかった。元いた場所で鴉の羽のように舞い落ちる黒い布切れは、垂纓
ごと二つに切り裂かれた冠だ。
 音も立てず地に降り立った美剣士を追うように、その足元に突き刺さったものがある。
 刀の切っ先だ。
 友景の右手にある愛刀は、刀身の中ほどで斬り落とされていた。
 
  
 無明の闇よりさかしまにいずる魔王の剣に、敗れたり柳生新陰流逆風ノ太刀=I
 
 
 折れた刀をそれでも青眼につけ、友景の面は蒼白に変じている。
 一髪の差で両断されるのだけは逃れたものの、神魔一如と化したゲイナーの剣技は、さしもの柳生
流秘伝に打ち勝ったのである。
 
「何とかならず、か」
 
 そっと呟く白皙の額から左眼、左頬にかけて、朱の糸が垂れ下がる。
 とろとろと流れる血の筋は、次第にその太さと数とを増していった。

107 名前:柳生友景 ◆YAGYUbJ766 :2011/12/07(水) 01:27:56
それでは、刀を折られて脳天に傷を。好きに攻めかかられて構いませぬ。
こちらはそろそろヒノカグツチを喚ぶ準備に入ろうかと思います。次れすで俗に言う「かぷせる怪獣」
的に式神でも出し、時間稼ぎをしようかと。
 
>>91の修正については、承り候。
こちらを慮って頂き、かたじけなく。

108 名前:<堕ちた天秤の騎士>ゲイナー ◆/GAynorYPA :2011/12/07(水) 23:03:47
 悪いが今日明日は返せそうにない。明後日の夜までにはなんとか返そう。
 行動だけ先に宣言しておく。先だってせっかくキタローの血を飲んだのでペルソナの召喚を行う。
ペルソナは審判のサタン。使用する能力は漆黒の蛇だ。
 適当にさばいて「ぽけもん」の召喚をおこなうがいい。
 そろそろ新たな血を飲んで世界の能力も使おうと思っている。「ぽけもん」はそれでしとめると
するか。

109 名前:柳生友景 ◆YAGYUbJ766 :2011/12/07(水) 23:33:26
承知仕りました。急がれず、お進め下さい。
ほほう、さたんですか。流石に濃い悪魔を選ばれる……。
ああ、こちらの「ぽけもん」はすぐ撃破して頂いて結構ゆえ。

110 名前:<堕ちた天秤の騎士>ゲイナー ◆/GAynorYPA :2011/12/09(金) 20:51:51

>>

 浅い。必殺を確信し振るった剣は、だがしかし、敵の息の根を止めるには至らなかった。
受け手たる柳生の妖剣士は、神魔人一体となった一撃を、人の業のみでいなしたのだ。げに
恐るべきは柳生新陰流、いや、柳生友景か。

 だがしかし、致命傷には遠いとはいえ、手傷をあたえ太刀は折った。いまここで、畳み掛
ければ勝利は堅い。だが、被我の距離は、剣の間合いにはやや遠い。そして、刀を失ったと
はいえ容易に踏み込んでいい相手ではない。ならば。

 呪われし公子は、左手を剣の柄からはなし、人差し指と親指をのばして、その他の指を握
り込んだ。そのようにして、手で拳銃の形を作り出した。だが、その銃口を向ける先は手負
いの柳生ではない。そう、その銃口(指先)が撃ちぬくのは敵ではない。では何か?その答
えはすぐに示された。
 呪われし公子は、その指先を己のこめかみへと向けた。そして、ぞっとする様な笑顔を作
りながら、脳内で銃の引き金を引く動作をイメージする。

「サタナエル!」

 その呼びかけとともに、ガラスの割れる様な音が響き渡り、そして、それが姿をあらわした。

 それは巨大な龍とも年経た蛇とも見える怪物であった。上半身はかろうじて人間めいた姿
をしていた。ただし、3対の乳房と3対の腕、そして昆虫めいたものや蝙蝠めいたものなど
計3対の翼がはえていることを除けばだが。下半身はムカデめいた蛇体であり、長く緩やか
にのたうっている。肌の色は嫌悪感をもよおすほどに青黒く、その顔は髑髏の様でもあり悪
鬼の様でもあった。
 
 あまりにも忌まわしく禍々しい姿の怪物。それは、それこそが。ああ!その名を口にする
事なかれ!ああ!その名に災いあれ!そは悪魔。そは神の敵対者。悪魔の代名詞たる魔王で
あり、また同時に裁きの大天使でもある存在。ルシファーと同一視されることも多い、悪魔
の中の悪魔。





 サタン。

111 名前:<堕ちた天秤の騎士>ゲイナー ◆/GAynorYPA :2011/12/09(金) 20:52:22
>>

 本来ならば高位の術者が長い年月をかけて儀式を行っても、やすやすと呼びだせる様な存
在ではない。だが<呪われし公子>はそれをやすやすとやってみせた。僅かな動作と呼びか
けだけで、忌まわしき存在を呼び出してみせた。それを可能にしたのもまた、先ほど飲んだ
血の力だった。

 人の魂は、22の類型に大別することが出来るという。それはすなわち、愚者、魔術師、
女教皇、女帝、皇帝、法王、恋人、戦車、正義、隠者、運命の輪、力、吊された男、死神、
節制、悪魔、塔、星、月、太陽、審判(永劫)、そして、世界(宇宙)。タロットの大アル
カナが示すかたち。そして、そのカードごとに、それぞれ違う可能性を秘めているという。

 <呪われし公子>が先ほど飲んだ血の持ち主は、一種の特異能力者であった。心の奥底に
ある可能性の扉を開き、神話や伝承に登場する偉人や天使、神々の姿かたちをとって、その
力を行使することが出来るのだ。それは己の魂を鋳型にして、そこに大いなる存在の力の一
部を降ろす降神の儀であるともいう。そして、その力をもちい、このたび呼び出したのが、
審判のアルカナに属するサタンであった。

「漆黒の蛇!」

 呪われし公子は、現れた御姿を後ろ盾にし、聖剣を掲げ、力ある言葉を叫ぶ。
 突如、闇が訪れた。いや、漆黒の光がその場に降り注いだ。黒い光球が虚空よりいくつも
現れ、掲げられた聖剣へと引き寄せられていく。そして、数瞬の後、ひときわまばゆく輝き、
黒い光が世界を満たした。

 昏(くらい)光はすぐに掻き消えた。光の消えた後、そこに魔王の姿はない。術式の成立
とともにサタンの姿は消え去り、あとには魔術の結果(成果)のみが残る。

 <呪われし公子>の掲げし聖剣を見よ。そこには稲光の様な、細長い闇色の光りが、さな
がら漆黒の蛇のように輝ける刀身にからみついていた。

「裁きの天使の神威をその目に焼き付けるがいい!」
 
 言葉とともに、掲げていた剣を両手で大上段へと構え直し、一直線に振り下ろした。輝け
る剣から漆黒の蛇は解き放たれ、のたうちながら宙を飛び、柳生の剣士へと襲いかかった。

112 名前:<堕ちた天秤の騎士>ゲイナー ◆/GAynorYPA :2011/12/09(金) 20:54:21
予定通り「漆黒の蛇」を放った。多少アレンジしているがな。好きにさばいてくれて構わん。

113 名前:柳生友景 ◆YAGYUbJ766 :2011/12/10(土) 01:05:55
承知致しました。
所用これあるにつき、今宵は返答できませぬ仕儀をお許しあれ。
日付変わりましたる今夜にて返答致しますれば、御寛恕ありたし。

114 名前:柳生友景 ◆YAGYUbJ766 :2011/12/10(土) 21:35:50
>>>>

 それには六つ指が生えた六本の腕があり、六枚の翼と六つの乳房があった。
 それは蛇で、龍で、男で、女で、罪で、罰で――その何れでもあり、そしてその何れでもなかった。
 
 ――ゆらぎのように現れて消えた悪魔王の威容は、当代一流の術客すら顔色をなからしめる程であ
った。蛇体を取って襲来するその超絶な魔力も。
 頭部の傷の痛みも忘れ、友景は呻く。
 
「これほどの神霊力を喚ぶとは……!」
 
 回避は間に合わなかった。真黒き長虫は友景が常時張り巡らせている魔術的防御を歯牙にもかけ
ず、その美身を打擲した。
 釁(ちぬ)られた叫びが上がった。
 破壊的な魔力の奔流は、友景の体を物理的・霊的に灼いたのである。
 
 口元で鮮血があふれる。
 猶も黒き魔力に蹂躙されながら、友景は折れた刀を逆手に持ち替える。歯を食いしばり、柄を前へ
突き出した。柄に編み込まれた小亀の紋様が、燐光めいた瑠璃色の輝きを帯びる。

「されど、こちらの手札はまだある。――出でよ、牙瑪嵐帝(ガメランテ)」
 
 
 不意に、小亀の紋様から強烈な閃光が生じた。
 眼を奪う程の光量は即座に霧消し、友景はよろめきながら後退った。その身には黒き蛇の力は届
いていない。
 友景の目の前に巨大な影が出現していた。
 恐るべき闇黒の魔力(ダークマター)は、鉄塞の如くそびえ立つその影に阻まれているのだ。
 
 全体的なシルエットは――海亀だ。黒に近い濃緑色の。
 だが、世にこんな亀が在り得るか。巨体の全長は数メートル、四肢はヒレではなく陸棲種のような
形状である。そのずんぐりとした後ろ肢で立ち、爪も鋭い前肢で襲い来る大魔力を防ぎ止めている。
 背の甲羅を形成するのは刺々しい鱗のような甲板だ。
 右眼は潰れている。左の隻眼は、下顎から上向きに生えた二本の牙は、等しく凶暴な光を湛えて
いた。
 
 友景は折れた刀を鞘に納め、右手で刀印を結ぶ。印の切っ先を<呪われし公子>へと向け、

「ゆけ、牙瑪嵐帝!」
 
 巨大亀――友景が使役する式神・牙瑪嵐帝は怪鳥のような喚き声を上げた。
 
 
 魔力に灼かれ、主人に代わって魁偉な巨体を爛れさせながら、玄武は口を大きく開いた。頭が軽く
仰け反り、前方へ突き出される。
 口腔内から横殴りの火柱が噴き上がった。
 牙瑪嵐帝は焔を吐いたのだ。呪的電荷(プラズマ)が火球の形を取った超高熱は、闇黒の渦を断ち
割ってゲイナーへと襲い掛かる。
 
 その牙瑪嵐帝の背後で、友景はふうわりと優雅に動いた。
 胸元まで大きく上げた足を踏み下ろす。極端に踵を摺る。くるくると旋転し、両袖を翼の如くはためか
せる。
 剣の足捌きとは全く別個の、奇怪とも瓢げた(シリー)ともつかぬ歩み(ウォーク)であった。 

115 名前:柳生友景 ◆YAGYUbJ766 :2011/12/10(土) 21:37:08
遅くなりました。
漆黒の蛇を受けつつ、ガメラ型の式神に援護防御させ、何とやら火球ですか、それを吐いています。
この牙瑪嵐帝は「竹島御免状」にて私の曾孫が使う式神にて。
火球は軽くさばいて、牙瑪嵐帝もさっくり倒して頂きたい。料理の仕方もお好みで、必要なら
死亡描写もそちらでやってしまって構いませんよ。
 
反閇している私の方は、次れすでヒノカグツチを呼び出しましょう。地面を割る感じで。

116 名前:<堕ちた天秤の騎士>ゲイナー ◆/GAynorYPA :2011/12/11(日) 00:29:50
 確認した。今宵は1時半頃まで推敲するが、それまでに返せなかったら明日の夜に返す。
 ふたたび、行動だけ先に宣言しておく。

 新たにDIOの血を飲み<世界>を発現
      ↓
 「ザ・ワールド!」
      ↓
 火球をかわしつつ魔力のこもった無数のナイフ(or魔剣)を亀めがけて投擲
      ↓
「そして時は動き出す」
 
 といったところか。その後、「無駄無駄(以下略」と亀に無数の連打を叩き込んでもいい。

 それとそちらがヒノカグツチを召喚する前にこちらはペルソナ4の伊邪那美大神(イザナミ)
の魔術である。「幾千の呪言」を使用したい。その効果は「地から湧き出した黒い腕が対象一
体を底なし沼の様な闇へと引きずり込む」といったものだが、襲いかかられた瞬間にでも地を
割って召喚したヒノカグツチで撃退してくれて構わない。所詮はイベント技だからな。

 いや、むしろヒノカグツチを召還後に「幾千の呪言」を使用して闇に引きずり込む、
産声を上げ生まれ出るようにヒノカグツチで闇(イザナミ)を引き裂き中から現れる。
といった方がモチーフ的には原型に近いか?

117 名前:柳生友景 ◆YAGYUbJ766 :2011/12/11(日) 00:55:28
承知しました。お急ぎあるな、ごゆるりとなされませ。――ああ、成る程、これは、
「スットロいぞッ! 貴様は亀を握りつぶすようにグチャグチャにしてくれようッ!」
という状況になるのですね。ははは、自分で亀を出しておきながら、気がつかなんだ。
 
「襲いかかられた瞬間にでも地を割って召喚」、
「ヒノカグツチで闇(イザナミ)を引き裂き中から現れる」
の二通りの状況が考えられる訳ですか。ふむ、どちらも美味しいしちゅえーしょんではある。
後者の方が、仰る様にまさに神話的な情景ではあります。
 
私としてはどちらでも構いませぬよ。

118 名前:<堕ちた天秤の騎士>ゲイナー ◆/GAynorYPA :2011/12/12(月) 22:50:31
現在立て込んでいてあと2〜3日かかりそうだ。すまんな。
なるべく速く返すが、気長に待ってもらいたい。

119 名前:柳生友景 ◆YAGYUbJ766 :2011/12/12(月) 23:49:22
時はまさに師走。
仰せの如く気長に待ち候わば、ご案じなさいますな。

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