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■ 饒舌な傭兵が子持ちの人妻(予定)と密kもとい殺し合う予定のスレ

1 名前:デッドプール ◆zZQX9NVr63/V :2018/04/03(火) 00:11:37
しゃあっデップー神影流奥義会議スレ立て打ち!
え、そんな流派はない?
っかしーなー、マーベル本社に設定資料と嘆願書を65365通送らせたはずなんだけど。

ま、それはともかくこのスレは俺ちゃんと式っちが殺し合ったり打合せをするようなおっかねえスレだ。
部外者は立ち入り禁止というか立ち入ったら巻き添えで死ぬから近寄らない方がいいぜ!

2 名前:両儀式 ◆w7RsINNERs :2018/04/03(火) 01:12:43
オーケー、確認した。お疲れさん。
今日はもう遅いから、顔だけ出しに来た。

で、時系列としてはどの辺がご希望だ?
キレッキレの状態がお好みなら、アレだ。
矛盾螺旋直前の、浅上藤乃と巫条霧絵をはっ倒した後あたりのオレがオススメだけど。

3 名前:デッドプール ◆zZQX9NVr63/V :2018/04/03(火) 01:27:32

と、こう見切り発車で建てるのが俺ちゃんのいい所だ。
…いや、この場合悪いのか?ともかく問題だったら管理に沈めてもらうか。


それはともかく(二度目)、場所は大殲でいいとして後はレギュとかそういうのだな。
で、実は俺ちゃんこう見えて(割と近年だが)吸血鬼と関係があったりする。
というのも俺ちゃんの世界のドラキュラが嫁…今は元嫁だが、まあ彼女に政略結婚仕掛ける気だったのを
俺ちゃんが掻っ攫った形になってね。
それ以来、うちのドラキュラとその一派に付け狙われる羽目になってるわけだ。


――――とはいえ、今回このネタは使わない。
何故なら俺ちゃんと式っちのに関しては、闘争の『純度』…っていうのかな、そういうのが濁ると考えてるからだ。
ここは俺ちゃんの一番尖ってた――そう、饒舌なサイコキラーとさえ呼ばれていた頃。
そんなイカレてた時代の血まみれの狂気一本でやって行こうと思う。


とまあ前置きが長くなったし、ここからは舞台とおおまかな要点を上げておくね!


・舞台は建設中の高層ホテル……の最上階。
 展望レストランが出来る予定のエリア(ビルの出来具合は応相談)
 実は外資を気取って利権乗っ取りにやって来たマフィアの物件。なので後腐れなく好きにしてよい。
 

・大まかなあらすじとしては俺ちゃんが式っちにふっかける形。
 正確には招待状を送る。え、これハタシジョーってルビが振ってある?
 導入でそこまでの経緯(舞台作り)をちょろちょろとやる予定。
 具体的には上で言ったマフィアが一人一人死ぬ。何で死ぬのかはお楽しみ。
 あとモチベ上げの為に人質とか使うかもシレマセンネー。人質って誰なんでしょーかネー?



・先にネタバレしておくと、俺ちゃんの闘争理由はただ一つ。

 『死にたい、正確には最高の殺し合いをして死にたい』


 〜マーベル昔ばなし〜


 昔々、といっても90年代末くらいの昔。


 あるところに不死身で饒舌で、顔と全身がやけただれ、世の中が嫌になって死にたいと思ってる傭兵がいました。
 しかし、彼は酷いくらい不死身です。
 自殺しようにも再生能力で死ねず、それを無効化しても不死の呪いで結局死ねません。
 じゃあどうするか。呪いごと殺せる方法をオカルト方面に求めた俺ち……傭兵はとある魔術師に会いました。
 何かもったいぶったような言葉を使いそうな片腕の魔術師です。 

 そして知りました。傭兵を完全に殺せるかもしれない直死の魔眼とその持ち主のことを。
 そして何より望みました。最期にその『彼女』と最高の殺し合いをして完全に死にたいと。

 傭兵は心に決めました。
 その最高の舞台、いや『最後の晩餐』のため、あらゆる手間を惜しまないと。
 この場合の手間というのは、それはそれはおぞましい意味合いのことに違いありません。


 因みに魔術師にはお礼として咄嗟に口を塞ぎ、お腹を刺してあげました。 
 実は匿名の女子高生から暗殺の依頼を受けていたのです。後はそのまま女子高生が魔術師をめった刺しです。
 こうして原作と映画版の帳尻は合いました。抑止力バンザイです。

 
 〜めでたし、めでたくもなし〜




え、最後のがやけに長い?オレチャンニポンゴワカリマセンネー?(紙芝居を仕舞いながら)

……ま、とりあえずはこんな感じさ。
俺ちゃんは最高の殺し合いで死にたいからあんたを狙う。あんたなら俺を殺せると信じてな。
簡単に言えばこれだけの話。

で、一先ずは俺ちゃんの導入待ちだな。そこでようやく話の流れが生まれるし指針にもなるだろ。なったらいいネ!
どうにか頑張って書き上げておくから、待っててちょーだいな♪

4 名前:デッドプール ◆zZQX9NVr63/V :2018/04/03(火) 01:43:31
よし、説明をあ−だこーだ悩んでてたら本人来てた!ハズカシイ!

それはともかく遅くなったがようこそウエルカム!
この宇治茶はサービスだからまず飲んで落ち着いて欲しい。
あ、顔出しだけ?じゃあテイクアウトでもオーケーよ?


で、時系列か。俺ちゃんが想定してるのはそうだなー。
>3で言ってたネタにも被るんだけど、1999年―――忘却録音から
殺人考察(後)の間、もしくはその後くらいで考えてる感じだな。

というのも縁もゆかりもない俺ちゃんがあんたを知った理由が(映画版で死ななかった)某魔術師経由が
妥当かなってのと、クライマックスは刀持った本気モードのあんたとやり合いたいんでね。
なにせ刀もとっておきのを用意してある……ヒントを言えば、一週間スレで話題に出してたやつさ。


あとほら。
ちょっと平穏の味を知って鈍ったかな、ってのが迫りくる危機で再びあの時のケモノに舞い戻る!
てな感じのシチュって何か燃えるじゃん?

【最後すごい個人の願望だな!?】


5 名前:両儀式 ◆w7RsINNERs :2018/04/03(火) 21:16:21

 ……そうだ、映画版じゃ死なないんだったアイツ。
 盲点だった。そこから繋げてくるんだな、なるほど。
 時系列は了解。最後の事件の前あたりなら、点火するにはうってつけだろうな。

 つーか人質って……とことん殺し合いしたいんだなお前。ちょっとズルいぞ。
 そんなの心当たりは一つしか無いし、使われたら殺しに行く以外の選択がなくなっちまう。
 刀まで持ち込むなんて―――本当、イカれてる。
 ああ、そうだな。その時のオマエなら間違いなく殺せるよ。……本当に殺せるかは分からないけど。
 まあ、オレの目は概念とか普通は視えないモノでも死が視えたりするから―――そうだな。
 不死の原因ごと殺しきれるかは気合とノリ次第だな。

【それでいいのか】

 導入に関しても分かった。こっちはそっちに合わせる事にする。
 お先にどうぞ、ってヤツだ。


 レギュレーションは……オレの場合はちょっとグレーかも。
 吸血鬼が出てくるのは月姫の方だしなぁ。つーかリメイクまだなのかと(ry
 でもまあ、現状は堅い事いいっこなし、ってことで。
 ギリギリの殺し合いの一点勝負で行くとしようぜ。


6 名前:デッドプール ◆zZQX9NVr63/V :2018/04/09(月) 23:26:43

導入




         “Mise en place”




*   *   *   *   *   *   *   *   *


――――あーあーテステステス、ただいまカメラのテスト中。
映ってるか映ってるな?イエーイ、俺ちゃん見てるー?声聞こえてるー?
外付けマイクの調子はと…あ、いっぺん全部切らなきゃ駄目だクソ。

オ−ケーバッチシ!流石メイドインジャパンは品質が違うネ!
ま、という訳でさ。折角だからメモリアルっていうの?
Xデイまでの準備中、俺ちゃんの姿をVTRに撮っとく事にした。
これから死ぬのに意味がないってロマンも分かってない奴らは言うかもしれないがさ、
こういうのは残しておくことにおいギャーギャーギャーうるせえぞ!!
ボイルされてる程度で喚き散らしやがってそれでもマフィアの幹部サマかよテメエはさァ!
James Hookのロブスターを見習えよてめえはロールの材料役も出来ねえのか!!


*   *   *   *   *   *   *   *   *


いや、昨日は散々だった。
口をテープでグルグル巻きしてたにも関わらずうるさいのなんの。
生きたままやろうってのが駄目だったのかね。
ま、幸いこの国は料理大国だ。本にテレビ番組と参考になるもんは一杯ある。
レシピを守ればなんと三分でクッキング出来ちまうらしい、東洋の神秘だな。

というわけで今日は日本の知恵イケジメに挑戦〜♪
この新鮮なマフィアの子飼いチーマー君と、失敗しても大丈夫なようにサブリーダー君も
連れてきました〜♪ 
ほいルックアットミー、こっちを見ろ……LOOK AT ME(こっちを見ろつってんだろ)!!



あ、首までいっちまった。


*   *   *   *   *   *   *   *   *


ジョー・メセニーの話じゃないけどさ、ほら人肉バーガーってあるじゃん?
人間をミンチメーカーにぶち込んで作るようなやつ。
ネタに困ったタブロイドが紙面埋めるのに時折入れたりするあれ。
ふと思ったんだけど、あれスパイ映画とかでやったらロックじゃないか?
組織のボスがさ、ミスした部下を処刑だーってミンチ製造機にぶち込むの。
で、その肉でハンバーガー作って部下に振る舞う。最高に悪趣味でクール。
これでボスがコッテコテのビーガンだったりしたらロック過ぎるよな?

ただ、折角のディナーがハンバーガーってのはやっぱナシだよな。
てな訳で、今日作ったこれはボツってことで。


*   *   *   *   *   *   *   *   *


ザックギュルザック、ザックギュルザック…♪
ナイフは刺したら抉りこめ♪抜いたら刺して繰り返し♪実感なくても繰り返せ♪
いやーこうナイフで刺してると思い出すね。ターニングポントってやつ?

そう、フーインシテーとかいう魔術師に会ったのがついこの前、ここ日本でだ。
日本に一か月で二度も来るなんて俺ちゃんも凄いよな、前の仕事と合わせればどんだけ
日本好きだって話だよ。けど仕方ない。最初に相談したストレンジに文字通り一蹴、
みごと蹴り出されちゃ他の魔術師を探して津々浦々、東へ西へどこでもござれだ。

そういや魔術師の名前はクロギリ…なんだっけな?ユミヅカ?まあとにかく、そんな名前の
片腕が駄目になってるボンクラメガネだったのは覚えてる。
が大切なのはそんな事じゃない。
あいつが教えてくれたベイベとそのパワーだ、あれを思い出したら今でも感動で体が震えちまう。
俺が今こんな下ごしらえをしてるのは、そもそも愛すべき“彼女”の存在を知ったからだからな。

けどあいつ、少女にあんなにメッタ刺しされるとかどんな犯罪やらかしたんだろうなー。
いや殺すの手伝えって依頼受けたの俺だけどさ。
指示通り変な事しゃべる前に口塞いでグサー!から依頼人にザックザックさせたけど、
魔術師ってあんなんで死ぬんだよなーとんだモヤシ野郎だぜまったく。


*   *   *   *   *   *   *   *   *


この卑しいロシアン家畜め!!家畜め!!家畜め!!
アニモー!イングリッシュだとアニモー!!アニモーアニモー!!

……ったくブヒブヒうるせーなー、何だよハンマーが痛いのか?
え、タタキってこういうのだろ違うのか?
じゃあ予定を変更して今度はツルシギリってのやってみるわ。
おたく、コールドスチール社のCMって見た事ある?
実は予備であそこのカタナ持ってきてるんだよ。
ああ痛かったら言ってくれよウルセエってブン殴るから♡

え、なんで地元のヤクザじゃなくてこっちを狙うのかって?
そりゃ半分お仕事だからだよ。お前んとこのボス、脅迫にガキ拉致ってレイプしてバラしただろ。
それもなんて事のない、現場を見たかも分からないカタギのガキを。

だから下準備ついでにボランティアってやつ?もう金は受け取れないけどこういうのも悪くない。
後お前んとこの建設中のホテル、あそこ俺ちゃんのステージに丁度いいんだ。
ボスも丁度来てるんだろ?よりによってパニッシャーに追われて日本に逃げ込んできたんだってな?
平和ボケした国の地方ヤクザならどうにかなるとか思った?チョーウケる。
本国にもホームにも帰れないってねえ今どんな気持ち?なあどんな気持ち?

ああ?そうだよ、それだけに決まってるじゃん。
うっせーなー、アンコウがうだうだ騒ぐんじゃねえよ。あ、そうだよお前アンコウじゃん。
じゃ今からツルシギリのお時間なー?痛かったら手を上げてーってホラスッパリー!


*   *   *   *   *   *   *   *   *


最初に探したのはヒーリングファクターを無効化できる武器だった。
ムラマサブレード。噂だけは聞いてた不死身殺しの妖刀、ステンレス合金のカタナなんざ
足元にも及ばない最強最悪の日本刀だ。
噂を頼りに方々を回って幸運にも手に入れることが出来た、途中でカタギ悪党問わず随分
と殺したけどな。だが、俺の幸運はここまでだった。

最初にセップクを試した。腹をかっさばいて次に首、火事場のクソ力で残り皮一枚まで刃を
押し込んだ。けどそこで止まりだ。
確かに再生能力は無効化できた。だがそこまでだ。刃の通ってる間は再生しちゃいなかったが、
目が覚めたらそこはデスのいる死の世界じゃあない。
俺がさっきまで派手にセップクショーをしてた、血まみれの単なるボロ家だ。

不死の呪い。
俺に嫉妬する宇宙の大馬鹿野郎がかけた、文字通り死ななくなる呪いだ。
俺はブチ切れた。叫んで何度も自分をブッ刺した。何度も何度も自分の体を刻んで、心臓を刺して
肝臓を刺して肺を刺して喉を刺して目を刺してそこから脳をかきまぜた。
それでも結局その度に気を失って、目覚めるたびに元通りになってる自分を見て、泣いた。

俺を殺すには再生能力を殺すだけじゃだめだ。
この呪いをどうにかしなくちゃならない。だが、これを掛けた奴は宇宙の彼方。
例え会えたとしても、俺にはそいつをどうにかする力はない。
元凶を無視して、呪いを解く方法が必要になった。







因みに今日のBGMはワム!でケアレス・ウィスパー。
日本でカバー曲出すのは良いけどさ、『抱きしめてジルバ』って馬鹿じゃねえの?


*   *   *   *   *   *   *   *   *


そういやさ、トマス・ハリスの新作って今年出るって話なんだよな。
なんとあの羊たちの沈黙の続編が11年ぶりの刊行。
まあ俺ちゃんはその前に死ぬ予定だけど、そこだけがちょっと気掛かりだ。

それはそれとして今日のメニューは子羊の脳ミソをソテー。
俺ちゃん特訓のおかげかで料理の腕も随分と上達した、今日はかなりの自信作だ。
なんせ、材料のマフィアン羊ちゃんから生きたまま脳の一部を切り取るとこまで
バッチシだったからな。
つっても俺ちゃんはこんなの食いたくないし、これは当人と連れの豚みたいな
用心棒にでも食わせようと思う。

さあ羊ちゃんと豚ちゃん、エサもといディナーの時間だよ?
おやおや食わず嫌いは良くないでちゅねー、とっても美味しいでちゅよー多分。
君の母も言うだろう。新しいものを食べてみることが大事なのよ、てな?


*   *   *   *   *   *   *   *   *


オハヨーゴザイマス…って日本じゃこうヒソヒソ声でやるんだっけか?
それはともかく、今日の朝は一杯のコーヒーと新聞からスタートだ。
さてさて今日の世界情勢は、と……。

っておいおい。何だよこれ。
俺ちゃんの殺しが載ってる、それはいい。けど何で肝心のラブコールが載ってねえんだよ!?
これじゃ散々拉致ってバラしてる意味ねえじゃねぇか!
このクソ(ピー)マスゴミがジャーナリズムのJの字もねえのかよこの××××!!

たくしょうがねえ、これ無しじゃそもそも始まらないからな。
足が付く可能性があるのはキツいが、ここはリークしとくしかないか。


*   *   *   *   *   *   *   *   *



「運命の人 俺をその青い眼で見て そして殺して殺しあって 

                        親愛なるウィルソンより」



よし、今日もメッセージが上手に出来ましたー♪
見てくれよこの記念写真、今日は実業家気取りのフライも添えてベストの一枚だ。
ソースにも使った血のインクがとってもクール!
アメリカで撮ったらピューリッツァー賞も狙えたのが少しだけ残念なところだな。

で、ここに取り出したるはジャパンの週刊誌。
きっちりバッチリ、俺ちゃんのメッセージ付きの写真が載ってる辺り実にいい仕事してる。
ジャーナリズムってのはこうでないとな。用心しながらしリークした甲斐があったってもんだ。
テレビでも頻繁に取り上げ始めたし、そろそろ仕上げに取り掛かろうとするかね。


*   *   *   *   *   *   *   *   *

7 名前:デッドプール ◆zZQX9NVr63/V :2018/04/09(月) 23:29:53


*   *   *   *   *   *   *   *   *



俺の名前はウェイド・ウィルソン。
生まれはオハイオ、後にクソな実家を出て軍に、その後は傭兵やら殺し屋をしてカナダ国籍に。
末期ガンになった俺はXウェポン計画に志願、一旦は失敗作扱いされて死んだが生き返った。
ヒーリングファクターと嫉妬で食らった不死の呪いのダブルパンチでな。

今の俺は全身がガン細胞だ、顔も醜く焼けただれてる。
笑っちまうだろ?顔をマスクで覆わないと俺は電話にすら出れやしない。

正直なハナシ、生きる実感なんてものが俺にはない。
刺激を求めたら少しはマシになるかと思った、だからどんな危険なヤマにも手を出した。
だがそんなのはドラッグと同じだ。やってる最中はハイになるが、終われば決まってウツになる。
当然のように依存とエスカレートのコースを辿ったが、結果なんて言うまでもないよな?

そんな俺の人生は当然のように孤独で、最低で、最悪で、クソ同然で、将来を約束してた女は
俺を利用してただけのクソコピー女だった。
俺を理解してくれようとした女もいた、けど、やっぱり上手くいかなかった。
俺が身も心も醜く腐り果ててるからだ。だが、だからこそ俺にはどうしようもない。


正直、もう限界だ。
俺にとって、この世は結局クソ溜めだ。ピンクとマーブルのユニコーンが頭の周りを回ってる。
一回だけ人気者になろうとした。自分なりにボランティアもやってみた。悪党を格安でぶち殺しもした。
だが決まって俺は嫌われてそっぽを向かれる。ヒーローにも市民にもそうどいつもこいつもだ。
レンガこそ投げられないが要は同じさ。仕返しされるのが怖いだけ、用が終わればツバを吐いて回れ右。
ドブネズミ扱いは慣れてはいた。が、ものには限度ってもんがある。


俺は死にたい。
どうやって?ああ、彼女が殺してくれる。
あの魔術師が教えてくれた。


          ―――『―――は』『君を』『殺す』。


俺は幸福になる。
どうやって?ああ、彼女は幸福の女神だ。
あの魔術師が教えてくれた。



          ―――『君は』『―――と』『殺し合う』。



何よりも力強い言葉だ、天啓だ、そして何よりの希望だ。


だから、俺はその瞬間の為に生きよう。
だから、俺はこの最期の為に捧げよう。
何もかも。努力を惜しまず全力を傾けよう。

そんな事は言ってない?ああ、だろうな。
けど俺にはこう聞こえたんだ。あの時、俺の頭の中で彼はそう言ったんだ。
だから、これは俺にとっての真実なんだ。



*   *   *   *   *   *   *   *   *





だから、最高の舞台を始めよう。

最後の晩餐を楽しもう。

招待状は送っておいた。とっておきの殺し文句さ。





*   *   *   *   *   *   *   *   *


さて、このVTRを見てるみんなに悪いお知らせがあります。
それは今日で俺ちゃんのこのインタビューも最終回だってこと。
ようやく全ての準備が整ったからね。名残惜しいが、これ以上は俺ちゃんも続ける必要がないんだ。

撮影の後、俺ちゃんはこれから素敵なディナーに出かけます。
最高で最後のめくるめくディナー。ダ・ヴィンチ風に言えば『最後の晩餐』ってやつ。
けどジーザスのように弟子とぞろぞろ飯を食いに行くわけじゃない。
これはディナーだ。となれば当然、お相手はそれはそれは素敵なレディーに決まってる。


さてここで意気消沈してるみんなに今度はいいお知らせ。
なんと今日は最初で最後のスペシャルゲストが来てらっしゃいまーーーす!!
ヤッフゥウウウウウウウドンドンドンパフパフー!!!

はい、そんなワケで今日の栄えあるゲストはK・Mさん!
俺ちゃんの足取りを掴んだばかりか潜伏先まで辿り着いちゃいましたスゲエエエ!!
イッツァミラクル!日本の優秀()なケイサツすら掴めなかった俺ちゃんの足取りを掴むとか!
実はあれだろ?ボンクラメガネと見せかけてとんだ名探偵とかそういうオチだろ?
日本って案外名探偵って多いとか聞くぜ?アカシヤサンマとか!



さて、ここで問題。
そんな“予定通り”俺ちゃんの懐にのこのこ来ちゃったKさんの命運はいかに?

正解はCMのあとで。
じゃ、チャオ♪



*   *   *   *   *   *   *   *   *

8 名前:デッドプール ◆zZQX9NVr63/V :2018/04/09(月) 23:31:06





「嗚呼 運命の人 あなたの想い人はどこにいる? 
 答えは満月の夜に 観布子ハイアットホテル最上階 ディナーの席は取ってある
 
                        ウィルソンより愛を込めて」





9 名前:デッドプール ◆zZQX9NVr63/V :2018/04/09(月) 23:57:39

よし、最初に謝罪か。謝罪だな!
俺ちゃんは(ここ数年は)こう見えて謝れる男マーベルランキング100くらいには入った男だ!
このジュージューと焼けた鉄板の上で伝説の焼き土下座を…え、いらない?


それはそれとして、先ずは一週間近くかかっちまって済まないとキチンと言っとくよ。
情けないことに、書くとこまでテンションを上げられたのが週末から今晩くらいのとこでね。
逆に言えば週末〜週明けには頑張れるから、遅くともその辺りには大体レス出来るとここで約束しとくよ。
因みにフラグにはならない、いや、シタクナーイ!?シニタクナーイ!いやシニタイ!

【どっちだよ】


という訳で俺ちゃんの謝罪と前置きはともかく、これが俺ちゃんサイドの導入だ。
うん、自撮り。この時代だからユーチューバーじゃなくてホームビデオみたいなノリだけど。

進出してきたロシアンマフィアを諸々の事情で拉致ってZANSATU
→式っちへのラブコールを添えて一部『料理』された惨死体と共にリリース!
たぶんSATUGAI現場は捜査かく乱のためヤサだったり他の場所だったり
まちまちなんじゃないかな、じゃないとあっさり捕まりそうだし。

ともあれ、マフィアが狙われる理由は大体俺ちゃんの勝手な都合だ。
舞台装置のモブだから最近実家の稼業がちょっときな臭くなってたレベルの
過ぎないと思う。まあ惨殺事件だから誰かさんは首を突っ込むだろーなーとか
そういう切欠になりもするんだが。



・Kさんについて
一言で言えば、さあどうなるんデショーネー?

【シュレディンガーの猫ならぬKさんか】

だな、悪いが今はそうだとしか言えねえ。
とりあえず、伏線的に不穏なことになったのなら俺ちゃん的には成功だ。

後は伽藍の堂に招待状が届く→建設中のホテルへGO!
な感じで来てくれれば俺ちゃんとしては助かる。
最上階でスタンバッてるんでね。
そこで俺ちゃんに声かけなりして、そこはターン交代だ。



とりあえず俺ちゃんとしては現状そんな所だ。
質問とかあれば遠慮なくしてくれよな!なんか分かりにくいとことかすげえありそうだし!

【そんなのばっかりだったら死にたくなるな?】

はははよせやい、割と凹むぜ。

10 名前:両儀式 ◆w7RsINNERs :2018/04/11(水) 22:09:46
ちょっと間が飽きそうなので現在執筆中とだけ連絡しとく。
今のところは問題ないよ。

11 名前:両儀式 ◆w7RsINNERs :2018/04/17(火) 03:32:51
>>6-8


 街頭のテレビ、週刊誌、人々の噂。その全てが猟奇連続殺人事件で賑わっていた。
 しかしそれは、私にはなんら関係のない話だ。
 何しろ、やり口がえげつない。シリアルキラー、あるいはサイコパスを連想させる死体
遊びはあまりにも苛烈で、人を人とも思わない所業だ。それは殺戮者であって殺人鬼では
ない。既にヒトを辞めてしまった―――ケダモノの仕業。

 断片的に甦った記憶は衝動と共に私を苛んでいるが、この連続殺人事件と共鳴すること
は無い。標的も現場もやり口も―――二年前のあの時とは何もかも違っている。両儀式は
狂気ではなく、正気のまま殺人衝動を抱えていて、こんなナニカが壊れてしまった殺し方
には共感も嫉妬もしなかった。

 だから、コレは警察とか公安とか、社会的な抑止力の仕事で。
 そのはずだったのだけど。

 ―――考えてみれば、危惧すべきだったのだ。

 アイツが、こんな事件を前にして、何もせずにはいられないはずがないと。
 あるいは―――こんな事件にこそ、アイツは巻き込まれてしまうのだと。
 鈍った意識と感覚でも、気付くべきだった。


 …


「黒桐幹也が誘拐された。恐らく、件の猟奇殺人の主犯によるものだ」

 渋い顔をした橙子が、私に封筒を差し出して、そう言った。
 はらわたが煮えくり返るかと思った。

「……落ち着け。とりあえず―――コイツはオマエを名指ししているようだぞ、式。何処
で知ったか知らないが、お前の『眼』の事までご存知らしい」

 発火寸前で真っ白に焼けている頭を宥めながら、封筒の中身―――手紙と、写真に目を
通す。私が冷静さを保てているのは、奇跡と言う他に言い様が無い。
 中身は短い文章と―――真紅に染まった、廃ビルと思しき一室。
 丁重に飾り立てられた、鮮血のディナータイムを切り取った一瞬。
 その非常識と狂気に彩られた世界の中で、無垢な赤子のように眠っている、幹也の姿。


「嗚呼 運命の人 あなたの想い人はどこにいる? 
 答えは満月の夜に 観布子ハイアットホテル最上階 ディナーの席は取ってある
 
                        ウィルソンより愛を込めて」



 メッセージは、招待状のようで、挑戦状のようでもあった。
 相手が何を求めているかは明確で、何を賭けに置いているかも明瞭だった。
 幹也を人質に―――そして、

「コイツは、何でオレを招待しようとしてるんだ」

 間違いなく、私と殺し合いになる事を分かった上で、誘っている。

「……幹也がある程度、調べを付けている。ウェイド・ウィルソン。渾名はデッドプール。
アメリカで行われた生体実験の犠牲者で、今は不死身のバケモノとなって世界各地に出没、
不定期に暴れているらしい」
「―――なんだ、それ。B級映画かよ」

 冗談のような話だったが、橙子の顔は冗談を言うような顔では無かった。
 非常識の塊みたいな魔術師が、こうまで言うのだ。なるほど、相手も非常識極まりない
のだろう。

 ―――既に、戻れなくなっている。

 自分も、相手も。
 どちらの意味でも、相手は一線を越えている。
 浅上藤乃とも、巫条霧絵とも、荒耶宗蓮とも、玄霧皐月とも違う、異常者。
 止まる理由は無かった。誰にも止められるはずがない。私は止まらない。

「さあな。ただ、何をしても死なないくらい不死身なのは事実だぞ。……皮肉なことに、
本人は死にたがっている、というのも付け加えておこうか。厄介な相手だ」
「知るか、そんな事。オレは行く、それだけだ」

 死にたがりに付き合う義理は無い。
 けれど、今回は、只では済まされない。

「式」
「ああ、殺すよ。……後の面倒な事は全部任せた」

 ―――いいだろう。顔も知らない不死身の殺戮者。
 生きているのなら、お前だって殺してみせる。


12 名前:両儀式 ◆w7RsINNERs :2018/04/17(火) 03:35:27
>>11


 ―――風が、唸っている。
 死んだように静かな夜は、造り損ないのビルでも変わらない。周囲が灯火を点けて彩り
を成す中で、ここだけが影絵のような真っ黒の姿に染まっている。
 まるで書割のようだ。ナイフでちょっと引っ掻いてしまえばあっさり崩れ落ちてしまう、
虚言のような脆い世界。実感のない生の中でも、ひときわ空虚な異常の空間があった。

 ナイフを抜いて、立入禁止のテープを切り裂く。構えたまま、ビルの中へ。
 足音一つ立てない。この状況、何処から何が来るか分からない。
 藍色の着物、赤いジャンパー、編上げのブーツ―――私はいつものような姿で、しかし
いつもとは違う意識と感覚で、暗闇の中を進んでいく。
 途中で通りがかった鏡には、蒼い瞳が映っていた。

 ぼんやりと浮かんでいる光の先には、鉄の箱と鉄の扉があった。幸いなことに、電源は
入っているらしい。エレベーターを使わなければ、長い階段を駆け上がる必要があった。
体力は極力温存すべきだ。

 最上階行きのスイッチを押すとごぉん―――と唸りを上げて箱が動く。薄暗い、小さな
密室の中で、殺意で研ぎ澄まされた意識だけが体内で渦巻いて、より鋭くなっていく。
 それはアクセルのようで、その実ブレーキでもあった。私は、息を整えて絶えず意識を
研ぎ澄ませておかないと、今は辺り構わず斬りつけかねないくらい苛立っている。それを、
殺意と衝動をただ一点に集中させることで押さえつけていた。
 どれもこれも―――アイツのせいで。

「この貸しは大きいからな、幹也」

 けれど、それでも―――奪い返さないといけなかった。
 それは―――両儀式が夢見たモノなのだから。


 …


 扉が開いた。
 かつん、と存在を確かにするように、足音を立てる。
 それは、この先に居るはずの相手に対する威嚇でもあり。私の我慢ならない意志が端的
に現れた苛立ちでもあった。
 開いた世界は書き割りを砕いて、その向こう側をみるようだった。高高度の吹き付ける
風はますます強い。この時期の風は骨に沁みるほど冷たいが、元より、寒暖の差など私に
とっては無に等しい。
 作りかけの壁面、突き出した鉄骨、天蓋のない天井―――その先の雲ひとつない夜に、
凍えるような月だけがあった。書割と世界の境目に居るような気分になった。

「―――」

 ナイフを構えたまま、息を吸って、告げる。

「いるんだろ、死にたがり。約束通り来たぞ」

 そして、一際強く意識する。焦点を切り替える。
 ―――世界中に、死が満ちた。


13 名前:両儀式 ◆w7RsINNERs :2018/04/17(火) 03:40:02

 ―――いささか遅くなっちまったな、悪い。
 思ったよりまとまった時間が取れなくてさ。

 状況としてはエレベーターを出て臨戦態勢、って感じ。
 最上階の描写は、やりやすいように書き換えていく予定だから仮置きってことで。
 そっちの情報を知る下りも、流石にこれだけじゃちょっと足りないから後で調べて加筆するつもりだよ。

 後は―――なんかリクエストがあるなら、出来る限り乗るぜ。
 訊きたいことがあるならそっちでもいい。


14 名前:デッドプール ◆zZQX9NVr63/V :2018/04/19(木) 03:00:01

オーケーオーケー、遅ればせながら俺ちゃんバッチ確認済みよ。

つかスゲエめっちゃカッコイイ!
想像以上に素敵なレス、俺ちゃんのハートにズキュンと来たぜ!?
マジで今の心臓ハート型!見てくれよってこれじゃ見えねえじゃねーか!
ジャックちゃん!?こういう時心臓を抜き出してくれるジャックちゃんはどこー!?
デップーママのお呼びでちゅよー!つかこの際呪腕のハサンでもいいから!
こうそのザバなんとかで綺麗にグイっとさ!

<首を出せ

げえっキングハサン!(ジャーンジャーンジャーン

【続かない】


それは兎も角、こっちは今んとこ問題はナッシング。
次は俺ちゃんが待ち構えててヨーイドン(比喩表現)ってとこかな。

具体的にはシャンパン開けて待ってる俺ちゃん(ディナーだからテーブルとイス完備)が
色々くっちゃべって(なんせお喋りな傭兵だからネ!)、切欠になるワードを言って闘争開始。
恐らく俺ちゃんが言い終えた瞬間に飛び掛かってくるレベルだろうから、
俺ちゃんが先制で仕掛ける(もち牽制だが)てのもテンポを考えればいいかもな。
その場合はテーブルを蹴り飛ばして発砲か、テーブルだけで様子見?みたいな感じで。


ビルに関しては了解、まあ俺ちゃんの事だから必要なもんはわざわざ持ち込んでても
おかしくはないけどな。
具体例はパッと出ないが何かそういうの良くやってる気がするぜ、イメージ的にも!
ああ、とりあえず鉄骨とクレーンはあった方がいいな。そこは重要なファクターだ。
あと質問が少しだけ、直死に関して少ーしだけある。

・無機物の「死」について
原作じゃよっぽど集中しないと見れないだった覚えがあるが、ちょっと確認しときたい。
ほら、今回テンションアゲアゲだから結構見れるとかありそうな気がしたんでね。 
刀モードはあれだ、今回ならもう大概行けるだろ。

【謎の信頼】

・俺ちゃんの「死」について
ぶっちゃけ俺ちゃんの「死」がどんな感じで見えるのか、というのだな。
一週間スレであったように滅茶グネって切りづらい感じなのか、普通に見えるのか。
それ如何でこっちも対処がちょっとだけ変わるんでね。いや結局対処の仕方は同じなんだけどさ。


リクエストに関しては、刀―――ムラマサブレードだな。
最初は俺ちゃんが装備してるけど、最終的にはブン取るなり拾うなりして式っちに使ってほしい。
そもそも使わせるために持ってきたブツだからネ!
クライマックスは刀vs刀の限界バトル、どういう流れになるかはお楽しみってことで?
ただまあ、そこに持ってくための「溜め」がちょっとあるかもだ。
流れを崩さないように気を付けとくけどな。

15 名前:デッドプール ◆zZQX9NVr63/V :2018/04/19(木) 03:05:32

あと、


>―――本当、イカれてる。

HAHAHA!何をポテサラ、もといイマサラ!
元々イカレてこその俺ちゃんことデッドプールてなもんでね。
血と狂気に関しちゃ、あのブレイドを押しのけて大殲向きじゃないかと思ったのが俺さ。
じゃなきゃあんな導入なんて書こうとも思わないつーかなんだよあのサイコな導入!
誰だよあのサイコ!って俺ちゃんだコレ!?俺ちゃんマジこええ!?

【何を今更過ぎる。
 けど、風向き一つであれくらいやりそうなのがこいつでもあるんだよな】


あー、パラレルだけどヒーローとか惨殺しまくってる話もあるからなー。
今度はうら若いニューフェイス(女子高生)までザックリ手に掛けるし。

【他人事かよ】

あと月姫R出ないのって、脚本出来ててもプログラマとか足らねえんじゃないk
……ンー何だよー、こんな時間に抑止力か?

じゃ、とりあえず週末〜週明けくらいには上げられるように頑張るから待っててくれな!


【ところで首ズレてるぞ、キングハサン来た辺りから】


え、マジ?
道理で首が左右に揺れると思ってたんだよなー。

16 名前:両儀式 ◆w7RsINNERs :2018/04/19(木) 22:06:16
 あの導入はインパクトあったし対抗しようかと思ったんだけどな。
 ―――こう、オレの場合だとどうしても冗長になりがちだからさ。
 むしろ、対比的に下手に文章量を増やさずにシンプルにカチコミかけた方が良さそうなんだよな。
 難しいところだな、こういうのは。


>直死の魔眼

 まあ、そこは気になるところだよな。
 ……結論から言うと、視ようと思えば視える(と思う)。
 劇場版だと本当、色々ぶっ殺してるからなぁ。
 俯瞰風景で巫条ビル入り口のチェーンロックらしきものとか斬ってるのもそうだけど、橙子の義手も壊してるし、
矛盾螺旋だと人形どもをバラバラにしまくって、伽藍の洞じゃ死体や悪霊も斬ってるし、痛覚残留ではご存知の通り
魔眼の力だって殺してる。未来福音だと『未来視の結果』まで殺してるから、時間だって殺せるのは本当かもな。
我ながらちょっと何でもアリ過ぎないか、と少し思う。

 劇中の描写としては、建物や地形には線が見えなかったから、本来は見えないのかも知れないけど。
 オレは遠野の方と比べたら数段上の使い手、ってことだからな。
 意識の焦点を調節することで、見ないように出来るのかも知れない。
 ……知れないじゃアレだな、出来る、って事にしとくか。とりあえずこの戦いでは出来る。
 ただし、荒耶宗蓮の死を視ようとしたときと同じく、強く集中するか、現象を見慣れる必要がある、って感じで。


 >デッドプールの『死』

 まあ、あの時はそっちの方が面白そうだったから冗談めかして言ったんだけどさ。

【おい】

 でもそっちの事の経緯を考えると、死の結果を無理やり書き換えて生かしてる、みたいに思えるんだよな。
 だから、死の線は視えても、それを認めないように刻一刻と書き換えて死を発現させないようにしている
……って感じで、ぐにゃぐにゃに歪んで動き回って、ナイフで斬るのがとことん難しそうな描写にしてみようかと。
 喩えるなら、小説の一ページ目だけを延々書いては捨ててを繰り返せば物語の終わりは来ない、って事だな。
 まだそっちの事を調べてる途中だから間違ってる部分はあるかも知れないけど、この解釈はどうだろうか。


17 名前:デッドプール ◆zZQX9NVr63/V :2018/05/01(火) 02:09:45

>>11-12






              Aperitif/Amuse






―――――良い曲だ。実際聴くのは初めてだったが。


G線上のアリア。
お高く留まったハイソな場所でないと聴かないような、少なくとも俺の人生じゃ
一生聴くことはないと思っていたバッハの一曲。
シンプルながらも情緒のあるメロディライン、もの寂しさと穏やかなイメージが
得も言われぬマリアージュを醸し出す。脳内が程よいアルファ波で満たされる感覚。
レッドツェッペリンじゃこうは行かない、ビートルズでもここは流石に一歩譲る。
成る程、金持ちのジジババどもが聴きたがるのは見栄だけが理由じゃないってワケだ。


ソコに混ざるノイズ。いいや、こいつはアクセントさ。
これ見よがしに到来をアピールするハードな靴音。察するに、理由はズバリ威嚇に苛立ちってとこか。
カツンて足音一つには、それだけの怒気と敵意が込められてる。
ビルに仕込んだ監視カメラで誰かは分かってた、お目当てのバニーちゃんがようやくのお出ましだ。
それも只のバニーじゃない、とびきり残酷凶暴な首斬りバニー。

イイね、堪らない。ついついマスク越しに口元がニヤけちまう。
慎ましくも熱烈なアプローチ、ヤマトナデシコってこういうのをいうんだろうな。
普段なら最高にボッ●モノだが、生憎と今回ソイツはNG。
レディーを持て成す以上、たとえ俺ちゃんでも紳士に振る舞うのがマナーってもんだ。


「約束通りか、嬉しいね。
 なにせ俺の人生、約束は破られるのが常識だったものだからさ。
 ――――いらっしゃいませ、ファーストレディー。
 席はこちらで御座います……ってな?」


飛び起きるように席を立ち、恭しく一礼。
そこは絵に描いたような空に月、広がるのは無機質な空間。
幻想と写実が入り混じった光景は、さながらシックな現代劇の舞台のよう。
とはいえ、舞台のキモはそこじゃない。更にシュールのワンポイント。
そう、見れば分かる。
彼女のゾクゾクするような視線の先、つまりは俺のふんぞり返っていた所。


「いやさ、おかげでこっちの準備も無駄にならないで済んだよ。
 見てくれよこの豪勢なテーブルに並んだフルコース!
 調度品の一つからして高級品だ、態々注文したのを運んできたんだぜ?
 持て成しの心ってのは大切だからな。
 後あんたの好みが分からなかったんでね、食前酒はシンプルなシェリー酒にしてみたがいいかい?

 ああ、そこの吊るされてウーウー唸ってるバカは気にしないでくれ。
 ちょっとした乾杯前の景気づけだか、らっヒュウ!命題『ロシアの悪党は空を飛ぶか』?
 ……何だよ、やっぱ飛ばないでやんの。」


―――そう。
椅子にテーブル&テーブルクロス、カートにワゴンついでにレコードプレーヤーに
カメラ連動モニタ一式エトセトラエトセトラ……。
俺のいる一角だけがさながら高級リストランテの様相を呈している。
吊るしたマフィアのボスは、ああ、今ロープ切ったから墜ちてるに修正か。
まあこいつはただのアクセントだ。言うなればロシアントマトソースの実演パフォーマンスだな。


18 名前:デッドプール ◆zZQX9NVr63/V :2018/05/01(火) 02:13:52

>>


「……っておいおいおい、リアクション薄いなあ?
 そんなに恋人が気になるか?ったく少しは俺ちゃんの苦労も分かってもらいたいもんだね。
 こういうの、アレだろ?日本で言うところの『お前のために早起きしてお弁当作ってきたんだ』
 ていうムーブと同じだと思うんだけどな。折角お前さんとこのヤクザじゃなくて、外様の
 コナ掛けようとしてきた連中だけバラしてきたんだぜ?」


遠くなってく悲鳴をよそに、かぶりを振って再び椅子へ。
ふんぞり返るような元の姿勢。
だが視線はもちろん相対するベイベから外しちゃいない、何故なら外す理由がない。

切り裂くような刺し貫くような、一片の容赦もない冷酷な青い眼差し。
ツララどころか冷凍レーザーで貫かれたように感じる肌には、だが確かすぎる熱も感じる。
その原因は他でもない。こいつの煮えたぎった怒りと憎悪だ。
例えるなら表面張力。ギリギリまで水の入ったグラスと同じ。
ほんのちょっと……そう。本当に些細な、コイン一つぶんの切欠で見事に殺意が零れ落ちる。
むしろいきなり飛び掛からないのが不思議なくらい。
いわば奇跡的なバランス。
一見怒りに身を任せちゃいるが、そのじつ随分と理性が働いてるらしい。


―――つまりは最高の仕上がりだ。
薄氷を添えた煮えたぎるような、それでいて澄み切ったウォッカのよう。
スリルという名の素敵な食前酒は見事な出来栄えといえるだろう。

幸先は上々。
なら、後は乾杯のロックをぶち込むだけだ。
前置きが長いって?まあ待てって。これで完璧に始まるからさ。
ほらステージを見てみろよ。
俺ちゃんの席は奥、食卓を挟んで彼女は向こう。そして俺はこう言うのさ。


「しかし、もしかしてアレか?
 思ったより警戒してるってことは届いてないのか?
 ったく手違いかよ。日本の郵便は優秀だって聞いてたんだけどなー。
 分かりやすく手紙と一緒に送ったんだぜ?お前の彼氏ちゃんのああええとそう。
 
 ――――指とか」
 

瞬間、全力でテーブルを蹴り飛ばす。
吹っ飛ぶ椅子、シュートされるテーブル、飛び散る料理。
ついでに轟音とデザートイーグルのマグナム弾。どこまでもスムーズな抜き打ち一発。


食前酒にはアミューズが付き物だ。
殺意の酒には開幕の号砲が良く似合う。
そう、俺の最後で最高の晩餐にはお似合いさ。

19 名前:デッドプール ◆zZQX9NVr63/V :2018/05/01(火) 02:18:07

よっしゃあああああ遅くなったあああああぁぁぁぁ……↓

;y=ー(   )・∵. ターン -=≡゚д゚

【奇っ怪な自決するなや!?】
<顔文字で処理しないとグロいやつだなこれ>


よし、という訳でまずは謝罪な!
一言で言うとガチでまとまった時間が取れなかった。
どうにもこの時期は忙しくて困るぜ、フリーの傭兵稼業だってのにな。


・以下、デップーの説明タイム〜

で、大体は打合せの通り。
当然のようにディナースペースを設えて食前酒やレコードまで用意。
お喋りはギリギリのスリルを味わうため、イケニエのノーロープバンジーは気分
(ロープを切ったのは手持ちのナイフとかだと思いねえ)、
開始のワードは安直なやつだけど、式っちの精神状態を考えるとこれだけで十分だと思う。
因みにデザートイーグルは映画で俺ちゃんが使ってる銃。
劇中でも大型にも関わらず片手でポンポン撃ってるから気にしないように。

そして、こっから俺ちゃんは煽りながら戦う予定。
まあお喋りな傭兵の面目躍如ってやつ?ある意味俺ちゃんのアイディンテティーだからネ!


あー、後一つだけ。ネタバラシで言っとくとだ。  
人質の指は送ってない。要はフカシ。
ただ当人の安否に関しては……そうさな、ちと秘密で。
今回の闘争の裏テーマ?というか、進めてくうちに明らかになってく感じで。


ただやきもきする要素なのは確かだから、希望するならさっくりネタバラシするよ。
前そういうサプライズ狙ってちょっとやらかしちまったからな!
いや、あの時はちょっとマジで平身低頭だった。今でもちょっと死にたくなる。

【ポパイじゃないがホウレンソウは大事だな】
<まあこのやらかし話?自体えらいメタの話になるが>

20 名前:デッドプール ◆zZQX9NVr63/V :2018/05/01(火) 02:19:34
・続き

>ゴエモンインパクト

うん、まあ大体俺ちゃん(デッドプール)ならどんな導入になるか。
というかどういった形式が分かりやすく、かつアピールできるか。
とか色々考えたら思い付きでスイと出た。
元々一人称スタイルは外せないと思ってたからな、そんな感想を貰えたなら
成功だったってことだ。ありがとな!

まあ俺ちゃんもここからはシンプルめにテンポ良く行きたいところではある。
……油断すると変に長くなる病に掛かってるからなー俺ちゃんも。

直死についてはオーケー。
そこの線引きは確認したかったんでね、問題なしだ。
むしろ問題が出そうだったら俺ちゃんサイドで調整するから何も、問題は、ない。

【エロ光線?出ないよ】



>俺ちゃんの死


――――ライター、そこまで深く考えてるかな。

<―――野郎、タブー中のタブーに(ry>

とはいえそうだなー、大体式っちの解釈で問題はないと思う。
再生能力はいわゆる超速度の自然治癒(薬等で無効化できる、それを利用して自殺を図るエピソードも)
だけど、そこで二段構えのように不死の呪いが効いてくるんだよな。
再生能力に限界はあるが、呪いはその限界を超えたところから再生を促してるし。
(呪いのおかげで手首“だけ”の状態からもりもり復活したこともある)

まあ経緯からして不死の呪いは死なない、というより正に『死ねない』という形容が正しいから、
死の結果を書き換えてるっていうのは確かにそんな感がある。
絶対に俺ちゃんを死の女神に会わせない、そういうドロドロした嫉妬の塊みたいな呪いだからな!
だからどっちかというと宇宙ゴリラが「結末?ボツだボツ!」とページごと破って新しい白紙の
ページを用意する、そんなクソ編集部を常駐させてるみたいな。
……うん、自分で言うのもなんだけどとんだ陰険野郎だなあのゴリラ!


とりあえず、俺ちゃんはそっちの解釈―――線がすげえグニャってる――で構わない。
むしろそれを想定してたのもあるので是非その描写でお願いしたい。

まあダメージ描写は…よし、そこはライブ感でやってくか!
なあに、腕一本くらいならサノ公が不死の呪いパワーアップでどうにかしてくれるぜ!
最期で呪い編集部ごと殺せばイーブンだしな!

べ、別にラストで一刀vs二刀流やりたいから気になったわけじゃないんだからね!
勘違いしないでヨネ!

【やりたいなら素直に言えよ】
<こいつのツンデレは気持ち悪いな>

21 名前:両儀式 ◆w7RsINNERs :2018/05/11(金) 18:47:36
>>17-18

「なんだ、お前―――」

 知らず、顔をしかめる。
 ―――死が満ちた異常な世界で、さらに際立った異常が居た。
 見える線は薄い。しかしそれ以上に、のたうち回っている。
 赤黒く浮かぶ線は刻一刻とマーブリングのように混ざりあって、まるで大理石を人型に
削り出したような惨状を見せていた。当然だがその複雑怪奇な死の線は脳に負担をかける。
もっと強くもっと長く見極めなければコイツは殺せないだろう。なるほど、不死身という
のは伊達じゃない。

 だから―――テーブルが跳ねた瞬間に、私は跳んでいた。殺気が背筋を駆け抜けたのを
感じている。直感的な回避の直後、一瞬前を銃弾が命を断ち切るように通り抜け、後ろの
剥き出しになった鉄骨へ突き刺さって甲高い音を立てる。そこに遅れて、テーブルの上の、
冗談のように上等な料理や食器、酒瓶が中に飛び散って落ちて、耳障りな音を更に立てて、
せっかくのクラシックを台無しにしていく。

 ―――飛び道具とは厄介だ。そう何度も上手く避けられるものではない。そもそも私の
身体能力は銃弾を見てから避けられるようには出来ていない。刀を持っていたならば話は
別だったが、私のものだったアレはとうに失われている。今はこの手のナイフが頼りだ。

 思考というよりはイメージの速さで体が動く。フェイントを織り交ぜながら複雑に走り、
跳び、銃の狙いを狂わせながら進み―――柱の陰に滑り込みながらそれを拾い上げる。

 見惚れるくらいの艶やかなデザイン。磨き抜かれた刃は月を鏡のように映している。
 こんな状況で、こんな状態で、こんな挑発でなければ、コイツの戯言とディナーくらい
には付き合ってやったかも知れない。そんなコトを思わせるテーブルナイフだ。
 それをしっかりと持ち替えて、呼吸を瞬時に整える。

 ―――猟奇殺人なんてやらかした人物の心境なんて、そうそう聞ける機会なんて無い。
ジキルとハイドだとか、ジャック・ザ・リッパーだとか、その手の人物と同格な相手の話
なんて、貴重過ぎて私でさえ思わず食指を伸ばしかねない物事だ。本来ならば。
 関わり合いになる理由など無いが、そのくらいの、小さな興味はあったのだ。


22 名前:両儀式 ◆w7RsINNERs :2018/05/11(金) 18:50:36
>>



 ―――けれど、その可能性はもうない。
 コイツは、的確に私を発火させる言葉を発した。

 ビルから墜落死した見も知らぬマフィアなんてどうでもいい。
 コイツの生き死になんてどうでもいい。
 ―――アイツさえ居れば、他は本当にどうでもいい。
 そのはずだったのに。

 指なんて送られてこなかったのは知っている。徹頭徹尾、異様なほどに丁寧な挑戦状で、
無駄な要素なんて完璧に無かった。猟奇的な余分なんて必要なかった。
 けれど、そんな事を何でも無さそうに口にした、そのこと自体が我慢ならない。

 ……誰が、誰に、何をするって?

「―――本当に、死にたいらしいな」

 怒りで冷え切った声が無意識にこぼれた。

 瞬間、遮蔽から飛び出すと同時に弾丸にも負けない勢いでテーブルナイフを投擲する。
 数は三。一瞬前。一瞬後。さらに現在位置を同時に狙う。
 必中を期した古代の術理による投擲が、対象に迫る。

 それだけではない―――私は更に呼吸を詰めて柱を蹴り、パーティションや作りかけの
壁を走り、猛然と距離を詰める。もちろん接近戦も危険だ。あの背中に背負ったカタナは
ハッタリじゃないだろうが、それでも銃よりはずっと良い。この国じゃ全く馴染みのない
武器なんかより、良く見知った武器の方が戦いやすいからだ。

 距離を詰める―――残り三間。殺意の弾道を潜り抜け、ついに私の射程距離へ。

 あと三歩で届く。身体を沈め、呼吸を止め、獣のような身のこなしで大地を蹴る。

 あと二歩。右手のナイフを握りしめ、踏み込むと同時に下段に構える。

 一歩。―――直死。のたうつ死の線を視て。

 零―――そして、それを捉える。

 すれ違いざまにナイフを振り上げ―――斬った。
 狙いは銃を持った腕。
 肩ごと斬って、殺して弾き飛ばす。
 そのつもりだった。


23 名前:両儀式 ◆w7RsINNERs :2018/05/11(金) 19:29:57


 ―――何度か書き直してたら遅くなっちまった。悪いな。
 基本は描写そのまんまだ。
 ジグザグに走りながらナイフを拾って、投げつけた後に突進。すれ違いざまに腕の線狙い。

 銃撃に関しては一発くらいは喰らおうかなと思ってたんだけど、結局避けることにした。
 ……正直、受けるなら義手の左腕で、とも思ったんだけど。それはもうちょっと後回しにしたくなって。
 序盤は頭に血が上ってる状態だし、派手に暴れてその後にクールダウンを持っていきたいんだよな。
 それで、ダメージもその時と一緒に―――オレの場合、血が抜けたほうが冷静になれそうだし(何)

 ああ、こっちからの指定は特にない。
 好きに暴れ返してもらっていいぜ。
 再生前提で攻撃してるところもあるし、本当に不死身ってことをぜひとも思い知らせて欲しい。


>再生能力とか不死の呪いとか

 ―――いや、本当になんというか、陰険野郎としか言いようがないよな。迷惑な話だ。
 死後の世界があるとしたなら、本当にタチの悪い呪いになるよな、こういうのって。

 あ、そういえば。不死の呪いを斬ったら呪いをかけた本人にダメージって入るんだろうか?
 巫条霧絵の二重身体を斬った時とか、未来福音の未来測定を斬った時とかはそれっぽいんだけど。
 ……なんでこんなコトを聞くかって?
 その方が面白くなりそうだからな(何)


24 名前:両儀式 ◆w7RsINNERs :2018/05/11(金) 19:34:56

 あ、余談だけど初手で首を狙わなかったのは―――まあ、まだ躊躇いがあるってことで。
 ―――何度も描写されてきてるけど、オレは殺せない殺人鬼だからな。
 もう少しこう、何かあってから覚悟完了する方が面白くなる気がするからさ。
 相手を理解するにしても、バケモノ認定するにしても。


 後は―――うん、やっぱり映画とか観たほうが良いよな。
 週末中にどうにかして観ることにする。百聞は一見に如かずって奴だ。


25 名前:デッドプール ◆zZQX9NVr63/V :2018/06/05(火) 01:16:36
>>




        hors d'oeuvre / Soupe et salade  




「Shock Slash with a knife fortified by lies♪
 Shock! A city that gulps down dreams is glittering!」


バンと一発ニヤッと笑ってバンバン二射で鼻歌交じり。いや実際歌ってるな。
アミューズからのオードブルはスムーズに、つまりはデザートイーグル50AE弾
計8発×2のフル掃射。
ああ当然だが当てる気はない。俺にしちゃ随分を狙いを雑に撃っている。
牽制と様子見?おいおいロマンてもんが分かってないな、こいつはレディへの心を砕いた
エスコートだ。
本当はもうちょいアモの食べ放題とブチ撒けたいところだが殺し合いは始まったばかり、
胃もたれは宜しくないだろう。


「Sharpen your body with hatred and strife♪
 They're coming to attack you secretly in the middle of the night!」


その証拠に見てみろよ?
フェイント/右の踏み込みを見せて左へ、ジグザク/狙いを絞らせない左右の軌道。
ジャンプ/更に前転側転宙返りと三角飛びの三次元コラボレート。
一見雑だがご丁寧なまでに模範的な対飛び道具の機動、こいつが丁寧なエスコートの
成せる技でなくて何て呼ぶよ?
慣れないフレンチスタイルで良かった、得意のメキシカンだったらこの時点でノッて
手足の一本は吹っ飛ばしてるかもだからな。



「――――そりゃ、死にたいさ」


――――Break out.
自分でもびっくりするほど低い声。
次の歌詞を紡ごうとして無意識にその言葉を拾い、そして返した。
見れば飛んでくる銀色の光が三つ、俺が誂えたブランドもののテーブルナイフだ。
確かフランス製のラギなんとか、先が尖って殺人にも使える芸術品。
そいつが三本絶妙にタイミングをズラして飛んでくる。
どっかの騎士様のごとき正確さと速射性、さながら俺はレッドアリーマーってか?
当たりをつけるに狙いは手、心臓、それと目か。
手裏剣術まで披露するとはさながら女ニンジャだ。これで網タイツにスパッツの
恰好なら最高にソソったんだが。


お生憎。俺は仕事柄、忍者の相手も慣れている。
かく乱する動きに対しては目移りせず、無駄に動かず。
要は冷静に対処するのがセオリーだ。少なくとも俺に関しちゃ特にそう。
相手の攻撃に対して、つまり飛んでくる得物に対しても。
何をするって?逆だよ、何かする必要なんてない。/ああ、『そっち』はな。


前に出る、無造作に。
除けも払いもせず一本目を腕で、二本目を心臓で、三本目を眉間で。
僅かにズレるが三連続で等しく命中拍手喝采、見事三つの柄が生える。
生じる熱と痛み、熱はキラキラ綺麗なステンレス製の刀身が奪って冷やす寸法さ。
/さて、ここで伏線。俺ちゃんは今何をしようとしてるでしょう?

トリガー、AE50弾最後の一発。
息が詰まる。相手の目線は一瞬カタナへ。
ピッチを上げて、ピョンピョン飛んで壁を走ってラピッドラビットタンタンと。
距離が詰まる。円の動き、左に回って一直線にナイフが迫る。
狙いは右腕、肩ごとスパっと切り飛ばす。そうして刃ごと相手とすれ違――――




「――――ったと思ったかよ?
 そりゃ、『そのつもりだった』って続くよなお嬢ちゃん?」



26 名前:デッドプール ◆zZQX9NVr63/V :2018/06/05(火) 01:19:58
>> 続き


ハハハおい見ろほら見ろ見ろ見ろ見ろ見てみろってアイツのツラ!!
俺の真ん前チョー肉薄して冷え切ってるとか言いながら今にもフットー
しそうなツラをさぁ!
まるで電子レンジにブチ込んで派手に破裂したオハギのようだよ!


「HAHAHA!もしかして怒ってる?チョー怒ってる!?
 けどさあそんなジロジロ目を凝らされちゃ狙いなんて丸分かりだってよ!
 腕狙いの一直切り上げとか素人でも分かる動きだぜいやマジだって!」


そりゃそうだ!
だって振り上げられたナイフはものの見事に途中で止められてんだからな!
何故って?言わすなよ、そりゃ銃から持ち替えた釵(サイ)の、その刃を
絡めとる独特の形状をした鍔(アーチ)によってに決まってる。
どうやったかって?そりゃ簡単なトリックさ、伏線も見せただろ?
仕方ないな、じゃあ俺の解説付きでもう一度だ。


―――シーン18、最後の銃撃前後。
そも右の銃はとっくに撃ち切り、左には残り一発。
さて、そこで腰のポーチにご注目。
光を吸い込む黒塗りの十手のごとき二本の得物、こいつがサイだ。
で、銃撃直後。
正確には同時、二丁撃ちの構え。空っぽな右の銃を先に手放し、手はポーチに。
何十回何百回いや何千回と手慣れた動作、ブラインドタッチでブツを引っ張り
出して隠し持つ。そう、彼女の体が沈んだ瞬間にはもう手の中に。
そこからはチキンレースの要領だ。
相手の踏み込み、その修正不可かつ対応可能なギリギリのタイミングを見計らい
ジャストで残った銃を手放すと同時にパス、得物をキャッチ。
後は間合いを合わせて逆手構えで向こうのナイフを絡めて留める。
―――解説終了。な、簡単だろ?


「因みに刀はまだ使ってやらない。メインデッシュはもうちょい先だ。
 ああ、それにしてもだ。
 ――お嬢ちゃんさあ、『目は口程に物を言う』ってコトワザ知らないワケ?」


そうして今はギリギリギリギリキリキリと上から下へ。
ナイフもろとも相手の動きを力で抑え、重心をギリ変えてこのギリギリの
トークを楽しむ。
が、流石にちと辛い。
止めてるナイフを通じて伝わる力の絶妙な崩し加減、つまりこいつの重心
移動は思った以上に巧みってことだ。

このまま膠着が続けば仕切り直し、確実にいなされ返しの刃が飛んでくる。
二本目を出して更に絡め取るか?ノン、このタイミングじゃただの隙だ。
甘いチャンスをくれてやるほど今の俺は甘くない。
ハナから二本使えって?バカ言え、こういうスリルが良いんだろうが。


オーケーオーケー。機敏さと刃物の扱いはそっちがやや上、認めてやるよ。
―――だが、まだ合格点じゃない。
そう『まだ』だ。
むしろここに来て落第点だ、バカ丁寧にナイフ握ったままなのはどういう事だよ。
この距離で得物を即手放さずに鍔迫り合い。この愚直さは頭に血でも登ったか?
ああ、キュートだな。キスしたい。思い切りぶん殴りたい。
この大舞台に何チョンボこいてんだド素人が、許すさムカツク可愛いザケんな
愛くるしいリードするさクソがお喋りしようぜ一回殺そう殺す殺すか。


「こうも視線をムキダシにされちゃどんな動きされても狙いがモロバレなんだよ。  
 だって目の動きを読めばいい。しかも何だよ、さんざん目が泳いでブレて素人かっての!
 あ、もしかして実はマジで未経験(ヴァージン)?
 散々殺す殺す言っといて誰も殺したことがないってやつ?
 殺しの味も知らない乙女ってワケ!?それなのに背伸びしてあっちこっちお耳を
 ピョコピョコお目目を凝らして一生懸命、とってもカワイイね! 死ねよ」


笑いと指摘と煽りと怒り、雑多に混ざった言葉のサラダ。
最後に添えた氷点下の殺意と引っ掛けていた刃を軸に。

サイを手元で一回転。グルっと回してザクリと刺す。
不意の回転で力の向きを先に崩して、ナイフを絡めたまま俺の体に。
肋骨の隙間/深々と刺さる黒塗りのサイ/肝臓にドンピシャ。
通常なら致命傷だ。そう俺以外はな。
そのまま巻き込むように飛び回転蹴り/こめかみ狙い実質フェイク/当たるとは思っちゃいない。
本命はヒップホルスター/1911ガバメント/変則の背面撃ち。
射撃までは0.18秒/回避予測込み=早撃ちで置くようなバースト3点。
ボブ・マンデンより遅い?/実戦なら十二分。


言葉のサラダに鉄と血のスープ。ここからは本気の仕掛けだ。
こんな前菜で死んでくれるなよバニーちゃん。じゃないとブチ殺しちゃうぜ?


27 名前:デッドプール ◆zZQX9NVr63/V :2018/06/05(火) 01:21:39



      ある日、レス待ちだった両儀式に
       手紙が届きました・・・
          _____
         / ヽ____//
         /   /   /
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       /    ̄ ̄ ̄ ̄      /_____
       /              /ヽ__//
     /     死にます      /  /   /
     /              /  /   /
    /   ____     /  /   /
   /             /  /   /
 /             /    /   /
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄/   /   /





よし!
釜茹でボイルされながら謝罪も考えたがこの時期暑そうなだけで不快感しかねえ!
そう思ったからシンプルに手紙で今の心を表してみたぜ俺ちゃん!
あと公開中の映画でやった自殺方法とかも考えたがネタバレになるしな。
原作でハリポタのネタバレする奴をころころした身としてはそんな真似をするわけにもいかねえ。


うん、という訳で随分待たせたが俺ちゃんようやく返せたんだ。
都合三週間ってなんだよと思うが、俺ちゃん自身も自分でかかりすぎだテメーと思ってるので謝罪する。
……まあ、許してもらえるとは自分でも思ってないからな。
こういう時のBUZAMAは誠意とレスで返すものよって映画のヴァネッサも言ってた。


で、今更ながら俺ちゃんのアドバンテージを考えたらだ。

・直死が決まりにくいレベルの不死性
・歴戦の傭兵としての高い技量
・カタナに銃など、ナイフよりリーチ・レンジに秀でた武装

うん、ゴドワさんとかと別ベクトルで式っちにとって相性の悪い相手だと今更ながら実感した。
そこで好き勝手苦心もしながら書いたのが今回のレス。

その1、ナイフは全部食らうよ!死なないからね!
その2、刀の出番はもうちょい後!サイでテクニカルに受けてみた!
その3、なんか感情がグチャグチャになりながらサイを自分に刺して
    ナイフを固定!
    動きが欲しいから回転蹴り!更に本命の早抜き背面撃ち!
    むやみに2段構え!やけに不意打ち!無駄に正確!あとなんかクランチ!
    自分の不死身っぷりと技術をふんだんに使ってみた(チャンネル登録、高評価、コメントお願いします


そしてマニフェスト通りに煽り前回のお喋り開始。
陽気に褒めるトーンから急落してドスを効かせる俺ちゃんオリジナル技法で〆てみた。

【いやおい、これどっかで見t】

俺ちゃんのオリジナル技法だ。
全年齢だからな、つまり俺ちゃんのオリジナルだ。オリジナルなんだ。
※大切なことなので何回も(ry




え、それはそれとして長い?クドい?
HAHAHA、ごめん死ぬね……。



───┐
□□□│ミ ζ゚   < チミチャンガス!!!
□□□│
□□□│
□□□│
□□□│
□□□│
□□□│
□□□│
 ._.  │
 | | |  │
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

28 名前:デッドプール ◆zZQX9NVr63/V :2018/06/05(火) 01:23:24



・続いた

で、そちらの頭に血が登ってる状態てのを拾わせてもらった。
俺ちゃんもなんか滅茶苦茶煽ってるが、要は躊躇いがあるのを見抜いてるってことで。
あと不意打ち気味の銃撃とか、義手で受けるには打って付けの展開かな、カナ?
丁度ナイフも固定されたしな。隠し武器とか使うなら丁度いいんじゃないかな知らねえけど!

【うわすげえ白々しい】

再生を見せつけるのは次で、というか無駄にアクロバティックな動きしたから
流石に次の攻撃を全部いなすのは俺ちゃん、無理ゲーだと思うんだ。
なので今度こそ腕を飛ばそう、ロケットパンチだ。
そしてそろそろメイン料理!つまり刀!しかし只の剣戟じゃない!タブンネー。


ところで俺ちゃんの映画は見てくれたかな!
第一作はラブストーリーだから思った以上にすんなり見れるって評判さ!
因みに今超絶公開中の2はファミリー映画、是非ともご家族で見に行ってほしいね。
R15指定だけどなHAHAHA!
…まあ、実際1を見てくれたのなら損はさせないと思うぜ?
向こう(米国)の小ネタ多いけど。

映画はデスや不死の呪いは出てこないけど、大体の感じは掴めると思う。
やってる事はコミックの方が(パラレルだけど)ヒーロー皆殺しにしたりおったまげてるが、そこは余談だな。
個人的には一番イメージしやすくなると助かるのが、声。
アニメやらで俺ちゃんのCVは色々あるが、今回は映画版ヴォイスでイメージしながらレスを書いてる。
元は「退廃かつ狂気なノリならこっちの声が合うかな?」くらいの感じだったんだが。
つまり今回の闘争は、俺ちゃん的には坂本まーやvs加瀬=サンと言っても差し支えない。
むしろufotableのハイクオリティアニメのイメージで書いてるといっても過言じゃあない。


うん、あとこうね、子安ボイスだとちょっと渋みがこう足らなくてね。ハイテンション過ぎてね。
いやギャグ路線なら問題なかったんだけど今回根がシリアスだから。ファラオになっちゃうし。

29 名前:デッドプール ◆zZQX9NVr63/V :2018/06/05(火) 22:13:38
>>26 一部修正



ハハハおい見ろほら見ろ見ろ見ろ見ろ見てみろってアイツのツラ!!
俺の真ん前チョー肉薄して冷え切ってるとか言いながら今にもフットー
しそうなツラをさぁ!
まるで電子レンジにブチ込んで派手に破裂したオハギのようだよ!


「HAHAHA!もしかして怒ってる?チョー怒ってる!?
 けどさあそんなジロジロ目を凝らされちゃ狙いなんて丸分かりだってよ!
 腕狙いの一直切り上げとか素人でも分かる動きだぜいやマジだって!」


そりゃそうだ!
だって振り上げられたナイフはものの見事に途中で止められてんだからな!
何故って?言わすなよ、そりゃ銃から持ち替えた釵(サイ)の、その刃を
絡めとる独特の形状をした鍔(アーチ)によってに決まってる。
どうやったかって?そりゃ簡単なトリックさ、伏線も見せただろ?
仕方ないな、じゃあ俺の解説付きでもう一度だ。


―――シーン18、最後の銃撃前後。
そも右の銃はとっくに撃ち切り、左には残り一発。
さて、そこで腰のポーチにご注目。
光を吸い込む黒塗りの十手のごとき二本の得物、こいつがサイだ。
で、銃撃直後。
正確には同時、二丁撃ちの構え。空っぽな右の銃を先に手放し、手はポーチに。
何十回何百回いや何千回と手慣れた動作、ブラインドタッチでブツを引っ張り
出して隠し持つ。そう、彼女の体が沈んだ瞬間にはもう手の中に。
そこからはチキンレースの要領だ。
相手の踏み込み、その修正不可かつ対応可能なギリギリのタイミングを見計らい
ジャストで残った銃を手放すと同時にパス、得物をキャッチ。
後は間合いを合わせて逆手構えで向こうのナイフを絡めて留める。
―――解説終了。な、簡単だろ?


「因みに刀はまだ使ってやらない。メインデッシュはもうちょい先だ。
 ああ、それにしてもだ。
 ――お嬢ちゃんさあ、『目は口程に物を言う』ってコトワザ知らないワケ?」


そうして今はギリギリギリギリキリキリと上から下へ。
ナイフもろとも相手の動きを力で抑え、重心をギリ変えてこのギリギリの
トークを楽しむ。
が、流石にちと辛い。
止めてるナイフを通じて伝わる力の絶妙な崩し加減、つまりこいつの重心
移動は思った以上に巧みってことだ。

このまま膠着が続けば仕切り直し、確実にいなされ返しの刃が飛んでくる。
二本目を出して更に絡め取るか?ノン、このタイミングじゃただの隙だ。
甘いチャンスをくれてやるほど今の俺は甘くない。
ハナから二本使えって?バカ言え、こういうスリルが良いんだろうが。


オーケーオーケー。機敏さと刃物の扱いはそっちがやや上、認めてやるよ。
―――だが、まだ合格点じゃない。
そう『まだ』だ。
むしろここに来て落第点だ、バカ丁寧にナイフ握ったままなのはどういう事だよ。
この距離で得物を即手放さずに鍔迫り合い。この愚直さは頭に血でも登ったか?
ああ、キュートだな。キスしたい。思い切りぶん殴りたい。
この大舞台に何チョンボこいてんだド素人が、許すさムカツク可愛いザケんな
愛くるしいリードするさクソがお喋りしようぜ一回殺そう殺す殺すか。


「こうも視線をムキダシにされちゃどんな動きされても狙いがモロバレなんだよ。  
 だって目の動きを読めばいい。しかも何だよ、さんざん目が泳いでブレて素人かっての!
 あ、もしかして実はマジで未経験(ヴァージン)?
 散々殺す殺す言っといて誰も殺したことがないってやつ?
 殺しの味も知らない乙女ってワケ!?それなのに背伸びしてあっちこっちお耳を
 ピョコピョコお目目を凝らして一生懸命、とってもカワイイね! 死ねよ」


笑いと指摘と煽りと怒り、雑多に混ざった言葉のサラダ。
最後に添えた氷点下の殺意と引っ掛けていた刃を軸に。

サイを手元で一回転。グルっと回してザクリと刺す。
不意の回転で力の向きを先に崩して、ナイフを絡めたまま俺の体に。
肋骨の隙間/深々と刺さる黒塗りのサイ/肝臓にドンピシャ。
通常なら致命傷だ。そう俺以外はな。
そのまま巻き込むように飛び回転蹴り/こめかみ狙い実質フェイク/当たるとは思っちゃいない。
本命はヒップホルスター/1911カスタム/変則の背面撃ち。
0.18秒の早撃ち/回避予測込み=置くようにバーストじみた3連射。
ボブ・マンデンより遅い?/実戦なら十二分。


言葉のサラダに鉄と血のスープ。ここからは本気の仕掛けだ。
こんな前菜で死んでくれるなよバニーちゃん。じゃないとブチ殺しちゃうぜ?


30 名前:デッドプール ◆zZQX9NVr63/V :2018/06/05(火) 22:27:08

〜デップーからのお知らせ〜

うん悪いね、ちょっと銃の描写に間違ってるとこがあったから急ぎ修正。

・ガバメントでバースト射撃(フルオート)なんざ出来ねえよ!頭ロブ(TFの作画ばりに間違えるマーベルの描く人)かよ!
 (例えるなら火縄銃で弾が何十発も撃てるようなもの)
  ↓
・調べたら改造で出来ると判明、ただし命中率はクソ。レスは正確な射撃してるジャン!
  ↓
・精度が下がらず連射もしやすいカスタム仕様にボカし…変更。描写も少し分かりやすく←今ここ


いやー、ピストルの描写ってムズカシーネー。

【歴戦の傭兵だろお前】

31 名前:両儀式 ◆w7RsINNERs :2018/07/08(日) 22:05:55
>>

 血は流れなかった。代わりに火花が散った。
 同時―――首筋を刺激する悪寒。嘲る声に込められた殺意。
 読まれていた―――この一瞬で? どうやって?

『―――死ねよ』

 疑問は本能が告げる危機感に上書きされて、咄嗟に左腕を盾にした。
 絡め取られた右手のナイフを手放し、更に後ろへ飛ぶ。
 それと同時―――体を内側から揺さぶるような重い衝撃が来た。強烈な回し蹴り。直撃
していれば内臓が破裂していたかも知れない。左腕を盾にして、更に自ら飛ぶことで衝撃
を打ち消していたから助かった。

 同時に―――自分の甘さと煮え切らなさに腹が立つ。
 あまりにも遅いが、ようやく理解できた。
 こいつは―――本物の殺し屋だ。
 ただ浮遊しているだけで、死に誘うだけだった巫条霧絵とも、殺戮に酔っていても臆病
だった浅上藤乃とも違う。ヒトを殺すために技術を磨き、殺意を研ぎ澄ませ、精神を適応
させてきた殺しのプロ。
 加えて、こいつは躊躇いなく自分を傷つけて攻撃の隙を作り出した。自らの狂気にさえ
適応して戦える存在―――間違いなく、今までで最強の敵だった。下手をすれば荒耶宗蓮
でも、コイツには及ばないかも知れない。殺すという行為にここまで特化したような存在
は、両儀式の経験には存在しなかった。

「お前、本当に―――!」

 ―――間違いなくバケモノだ。



32 名前:両儀式 ◆w7RsINNERs :2018/07/08(日) 22:06:53


 だから―――左腕を突き出した。次に何が来るか、予測したからだ。
 間合いは一瞬で離れ、こちらには使える武器がない。そして相手には武器がある。
 轟音が連なる。炎を吐き出す。四十五口径の殺意が私を狙っている。
 映画のような背面からのバースト射撃―――三発の銃弾が見えた。
 見えただけだ。銃弾に比する速度で動く術は両儀式には無い。
 だからこそ突き出した左腕は、射線を遮るように。
 後は、かろうじて身を捻って、投影面積を減らすことしか出来ない。
 一発が首筋を掠める。二発目は左腕で受け止めた。
 三発目―――脇腹を小指の先程度にえぐって通り過ぎる。

「―――ッ!」

 苦痛を飲み込んで、着地と同時に転がるように物陰へ。状況はまた振り出し―――否、
なお悪い状況だ。得物を失った上に手傷を負った。致命傷では無いが、痛みと出血は無視
するにしても限度がある。

(くそっ―――なんて無様)

 小声で毒づく。それは、鈍っていた自分への苛立ちだろう。
 着物には血が滲み、凄惨な絵柄を描き始めていた。帯を締め直して傷からの出血を少し
でも抑える。武器を失い、さらに血を失うのは痛手だ。
 だが、その方が良かった。血の上っていた頭が急速に冷えて、冷静さを取り戻す。それ
は今の両儀式が望んでいたモノだ。コイツを殺すにはそれが必要だったのだ。
 呼吸を整え、銃弾の衝撃で少し歪んだ左腕を変形させ、隠していたナイフを引き出す。
変形機構は正常に動作しているようで、手間取ることはなかった。流石、ゾウが踏んでも
壊れないだけはある。今はそれがありがたい。
 ……後は。私の殺意を研ぎ澄ませるだけ。

 自分の内側で脈打つ衝動に身を任せる。

 意識を集中させる。

 世界には綻びが満ちている。

 常に『死』が私の目の前にある。

「―――いいぜ、ギリギリの殺し合いがお望みなら、こっちも同じだ」



33 名前:両儀式 ◆w7RsINNERs :2018/07/08(日) 22:07:33


 ナイフを突き立てる。
 コンクリートの床に、バターのように突き刺さる、銀色の刃。
 そこにあったのは死の線だ。
 ―――万物には全て綻びがある。それは、ヒトもモノも関係ない。
 存在している限り、必ずそこには終わりがある。
 だから、そうすればどうなるか、分かっていた。

「お前なら、間違いなく殺してやれる」

 清冽な宣言。自分と、相手に対して。
 両儀式が殺人鬼であると証明するために。

 同時―――世界が崩壊した。

 線をなぞるように崩落するコンクリート。切り刻まれる鉄筋。
 全てが終わりを迎え、月明かりの下で死んでいく。
 その中を―――両儀式は走る。
 崩れ行く床を、柱を、蹴り渡り、銃弾を避けながら、稲妻のように突っ込んでいく。
 ―――狙いは首。ぎりぎりまで初動を抑え込んで、一瞬で斬り抜ける。
 自傷した部位は致命傷に見えたが、すでに治癒しているようだった。なるほど、不死身
というのは伊達じゃない。なら、間違いなく死ぬであろう一撃を叩き込むだけだ。
 身を捩るように死の線がのたうっている。それを突くのは至難の業だが―――いい加減、
見慣れてきたところだ。ある程度それにはパターンがある。タイミングを合わせて斬れば、
間違いなく殺せる確証があった。

 そして、それが読まれているだろうことも。
 アイツはこっちの『目』を見ていた。私の眼が特別であることも知っていた。なら、私
の魔眼の性質も当然知っているだろう。それでさっきは完全に読まれたのだろう。得物が
ナイフ一本なのも拙かった。アイツが取り出したあの独特の武器―――確か、サイとでも
言うのだったか、それとも相性が悪い。
 つまり、こっちが不利なのは変わらない。だが―――分かっていればやりようもある。

 再び弾丸を潜り抜けた。崩落するコンクリートの礫を避ける。
 再び、私の距離が近づく。
 再び―――そう、先程の繰り返し。

 ―――だが、私は目を閉じた。
 知っているか殺し屋。私の眼は、目を潰していても死を視てしまうモノだ。
 だから、お前の死はいつだって視えている。

 のたうつ『死』に向かってナイフが走る―――それを、サイが再び受け止める。渾身の
フェイントだったが、それでも相手が動いているのが分かる。ぎりぎりで追いつかれた。
凄まじい反応速度と直感だ。
 だから―――その瞬間、身を翻した。ナイフはギリギリ届かない。そしてそうなるなら
サイでは私を止められない。
 空中でコマのように回りながら―――左手を伸ばす。
 手刀の形をしたそれは、コイツの死の線をえぐり―――通り過ぎる。

 そしてもう一つ。
 別にナイフでなくても、線は斬れる。

 確かな手応えを感じ、そのまま走り抜けた。
 同時に、完全に床が抜ける。
 ちょうど、階段一階分をぶち抜いて、ようやく崩落が収まった。



34 名前:両儀式 ◆w7RsINNERs :2018/07/08(日) 22:13:18
 ああ、うん。そう来なくっちゃな。
 殺し屋の大先輩として遠慮なくやって欲しい。

 ―――で、反撃に悩んだ結果として全部盛ることにしたのがオレだ。

【何を言ってるんだオマエ】


 コンクリートの床を殺して足場を崩したあと、飛び石渡りに突っ込んでいって直前で目
閉じ+ナイフの二段構えのフェイントからの手刀で首刎ね。……正直ここまでやんないと
避けられそうな気がしてしょうがなかったんだよな。



 ともあれ、ずいぶん待たせちまったな、悪い。
 この時期は中の人が体調を崩しやすくてな……オレも異常に暑かったりかと思えば豪雨
だったりして流石に参る。引きこもってゴロゴロしてたい。

 今後は―――そうだな、生存報告くらいはしとく。その方が安心だと思うし。
 スレ立てて適当に何かやってても良かったんだけど―――ほら、中身が寝込んでたからさ(何)
 時期を逸した感じがあるんだよなー……。


35 名前:デッドプール ◆zZQX9NVr63/V :2018/07/11(水) 23:35:32
 
 〜これまでのあらすじ〜

 ・首輪とか薬とか暑さでヒーリングファクターとライターは不調になる、みんな知ってるね?
  あとインサガ始めました。ログイン勢レベルだけど。

 【あらすじじゃねーじゃねーか】
 <只の近況報告だな>


フキダシどもは後でシメるとして(返事も遅れたが)よっしゃあ待ってた!超待ってました!
なんか沈黙が長いから「…あれ、もしかして俺ちゃんなんかやっちゃった?」と
人知れず不安になってたり、暑さでヒーリングファクターとライターの野郎がバテたり、
クジクジをあおr、支援するのにインサガのネタでも振ろうかなーと調べものしたら
「えっ今インサガってメタルアルカイザーいんの!?メタルブラックも!?しかも超つええの!?デジマ!?」
ってなって3時間リセマラして超レアのメタルアルカイザーを気合で引き当てたり、
「それはそれとしてまだこないな…俺ちゃんやっぱ何か(ry」って不安に駆られながらも
一日千秋の思いで待ってた!そして待ったかいもあった!スゲエぜ明日はハンバーグだ!


という訳でいや参った、つかやられた。
さしもの俺ちゃんもフロア破壊とは思わなかったよ。素直に「そうきたかあ〜〜〜」と唸った。
フェイントもお見事、むしろ技量を見せつけられたら2段3段構えはそりゃやるよなと思った。
正に一本、素直に首を切られとくよ(不死の呪いブーストで多分すぐ引っ付くが)


じゃあ次でようやくメインディッシュ(カタナ+α)の出番、ステージは一階下の…そうだなー。
レスを考えてて「あつらえた調理場(上の料理はわざわざここで作った)」とか思いついたから
それで書いてみようと思う。用意してたネタもこっちの方が映えそうなんでね。
正にケガの功名ってやつだ。
とりあえず連休中に書き上げられるよう俺ちゃんも頑張るよ。
それでなくとも報告だけはしとく。


>適当に何かやっても
よし、なんなら週末に七夜マンの喫茶店でもくりだそうZE!
今なら俺ちゃんもメイド服をご披露!
映画がロングランなうえにアメリカで完全版公開とかやるしな!コラボ記念だ!!
日曜ちょっと早いから早めに落ちると思うけどな!

【おい馬鹿止めろ】
<というか早めとか実質出オチか>

36 名前:両儀式 ◆w7RsINNERs :2018/07/12(木) 23:38:58
 近況……といってもそんなしょっちゅうおもしろ案件は出てこないんだけどな。
 まあ、今のところはちょっと暑くて忙しいくらいで、何がヤバいってことも無いぜ。
 それと待たせてマジで悪かった(真顔)

 インペリアルサガか……名前だけは聞いてるけど、今けっこう頑張ってるのか?
 初期の頃は地獄みたいな話しか聞こえてこなくてスルーしちまったんだけど。
 ……ちょっと調べてみたらなかなか面白そうだなこれ。

 あ、余談だけどオレは沖田オルタ引けた。溜め込んだ石と呼符全部使い切った。(何の話だ)


>攻撃手段とか
 地形破壊自体はラスボス相手に食らわしてる色男がいたからな。
 ある意味で二番煎じだけど、称賛は素直に受け取っとく。序盤で出すのはちょっとどうかと思ったけど、
まあこれだけの大技を引き出した相手が巧かったってことで。
 一応、状態としては階下に落ちて着地、索敵中って感じになるかな。
 ただ、この辺はそっちの描写次第で変えても問題ない。引き続き自由にやってくれ。


>七夜のアレ
 確か14日か―――まあ、予定空いてるし、行けるか。
 いいぜ、行こう。たまには騒がしいのも悪くはない。
 日曜はちょっと来れるかわからないけど土曜はフリーだ。楽しもうか。

37 名前:デッドプール ◆zZQX9NVr63/V :2018/07/17(火) 00:14:13

 〜デップーからの業務連絡〜

どようは おたのしみ でしたね

【お前もな】
<他意はないんだな?>

よせやい、そこまで俺ちゃん無粋じゃないぜ。何せ愛の戦士(映画版は)だからな。
まあそんなツカミはともかく、うん、間に合わなかったんだ。
ちと暑さでライターがバテちまってね、半分まではさらっと行けたんだが。

そんな訳で、悪いがもうちょいだけ待っててくれると俺ちゃん嬉しい。
それでも今週末までにはどうにか上げとく。
メインデッシュ第一弾始まりだぜい!って感じに派手に行きたいところだな。

38 名前:両儀式 ◆w7RsINNERs :2018/07/17(火) 22:55:17
 ああ、楽しかった。
 でもそれはそれとして写真は消せ(真顔)

>夏バテ
 こっちも似たような状態だし、気にしなくていいぜ。
 というか、明らかに異常だからな……オレが参るくらいの暑さとかそうそう無いのに。
 待たせてるのはこっちも同じだしな、気長に待ってるから安心してくれ。

39 名前:デッドプール ◆zZQX9NVr63/V :2018/08/06(月) 01:52:19

死ねないのに忙殺されながら生存報告。
―――俺ちゃん、生きてます。


いや、マジ遅くなって申し訳ない。
ようやく時間が取れて9割ほど書けたんで、明日というか次の晩には
仕上げてレスを上げておくよ。

それにしても(メモ帳を見ながら)、3〜4レス分は我ながらなげえな!
ほとんどビョーキだなこれ!俺ちゃんにはすげえ今更な話だけど!

<だが省略は難しいと思ってるな?>

……マジ誠に遺憾ながらなー。
とりあえず次の晩ざっと見て、完成したら上げて様子見てみるか。

40 名前:両儀式 ◆w7RsINNERs :2018/08/06(月) 22:40:53
はいはい、こっちも生存報告―――すっかり忘れてたな。
裏側で色々とやってたけどまあ、表に出てないんじゃ同じか。
悪かったな。

長くなるのは別に困らないから安心しろ。
私も下手するとそのくらいまで伸びそうになるからな―――。
原作の文体、作風を意識しとかないと歯止めがかからなくなるというか。


41 名前:両儀式 ◆w7RsINNERs :2018/08/06(月) 22:42:58
こっちも生存報告。
裏側で色々と動いてたけど、表に出てないんじゃ同じだな。
まあ、ともかく、元気だよ。

レスについては了解、というかすごい書き込んできたな―――。
オレも負けてられないって奴だなコレ。
ともあれ、楽しみに待ってるよ。


42 名前:両儀式 ◆w7RsINNERs :2018/08/06(月) 22:43:55
あれ、二重投稿になっちまった。
板の方の応答遅いな―――まあ、気にしなくていい。

43 名前:デッドプール ◆zZQX9NVr63/V :2018/08/06(月) 23:00:49


Soupe -Continuation-


 
  ―――崩れる床を、女が馳せる。


サプライズとアレンジを交えたアンコール。
紙一重の回避/揺らぐ体勢に狂う照準/ガバメントカスタムの残弾掃射=成果はオケラ。
俺の狙いを外さすとは大したもんだ/思うより前に銃は廃棄。 
再度クイックドロウの要領で二本目のサイ/順手の二刀流=
ガードアンドカウンター。
絡め取りからの攻撃パターンは7通り。刺さったナイフで2つ増えた。


  ―――そこで間隙。


感激じゃない、隙が出来たって意味だ。
相手が目を瞑る。視線からは予測不可?冗談、“サイ”はとっくに投げられた。
付け焼刃は体格と手数と不死身で押し切れる。既にナイフは受け止めた。


  ――――つまりは、油断だ。


俺は元々細かくアドをコントロールするタイプじゃない。
基本近接乱戦は再生能力で押し切るタイプ、だからってワケじゃないが。
手放されたナイフ/翻る赤コート=僅かなレンジ外。
サイは届かねえナイフは絡んだまま持ち替えは間に合わないコンマの隙。


   ――――ここで、暗転。


伸びるチョップ。首を通り抜ける鋭い一筋。
ビューティフル。目を見開いて見惚れて惚れ惚れ口端は歪んだまま。
『首を切られた』、そんな実感を抱いて意識が落ちていく。



    ――――そう、ここで一旦俺は死んだ。
    ここまでがあらましだ。
    

44 名前:デッドプール ◆zZQX9NVr63/V :2018/08/06(月) 23:01:58


――――死に近づくと、最近は決まってここに来る。
とはいえ必ずここって訳じゃない。
場所はダンスホールやらシャワールームやら古こけた神殿まで様々だ。
あくまで最近はここってだけのコト。俺の潜在意識とやらが望んでいるのか。
思春期のガキめいて色ボケしたフロイトなら知ってるんだろう。

ともあれ、最近はお決まりの場所に俺は来ていた。
知らないようで知ってるアパート。
昔の住処に思い出というリフォームが施された理想の風景。
キッチンの向こうに日の当たるリビング。木漏れ日のような優しい光を浴びて、
『彼女』はそこのチェアに腰かけている。
恋人のヴァネッサ……じゃない。あいつは変幻自在百面相のミュータントで、
俺の恋人という顔すらも偽りだった。
それを知ったのは死別したと思った少し後だったが。
そこにいるのは、そんな彼女とは比べ物にならないほど誠実だ。
第一、偽るような面相がない。シンプルにしてミステリアスなドクロの美女。
死の神デス。世界の死を司る女神様にして、俺の永遠のステディーだ。

「デス!」

駆け寄ろうとする、手を伸ばす。
ああ、分かってる。絶対に届きやしない。
リビングとキッチンを隔てる透明な壁。ガラス1枚程度にしか見えないくせに
分厚いアクリルの万倍にも感じる絶望的な質量。
そのデタラメな硬さと厚さに俺の体は弾かれる。もう何十回と味わった絶望だ。

―――不死の呪い。
俺と彼女の仲に嫉妬したタイタンの怪物が掛けた、世界で最も凶悪な呪い。
この呪いのせいで、俺は死後の安寧すら奪われた。たとえ体を粉々にされても時間をかければ元通り。
死なない傭兵は死ねない体に。死にたい男は死ねない男に。
つまり、愛する女性と永遠に添い遂げられない不死身の化け物になり果てた。
俺が不死身である限り、いや。この呪いがある限り、俺に本当の安らぎは訪れない。
もう分かり切ったことだ。
生きてる限り俺の人生はどこまで行ってもクソ地獄。安らぎは死の世界にしかない。

だというのに、俺は。
自分のほんのささやかな望みすら、愛する女と一緒に居たいという願いすら。
…………いや。

「心配するなよ、子猫ちゃん。
 これで82、いや85だっけ?これまで散々失敗して失望させちゃったかもだけどさ。
 今回こそはダイジョーブ!マジ自信あるから!このまえ会心の出来だったエンチラーダよりすげえくらい!
 だってナイフと腕一本でここ直行だぜ?あと一歩でそのクソ壁も突っ切れる。
 そう、やっと死ねるんだ。本物の死を味わって、そして君と添い遂げられる。
 なんならヤマトナデシコのお土産付きだ。無理心中みたいに連れてくるけど俺に
 免じて仲良くしてやってくれよ。そんときゃ三人で楽しもうぜ?」
 
……いや、ようやく願いはかなう。ここまで俺の読みが当たっているというのなら。
あいつはきっと、呪いという神様だって殺してみせる。
だから、曇り顔の彼女(デス)には笑顔とエールを。彼女には毎回そうしてるけどな。


「約束するよ、今度こそ本当の約束だ。
 次に会う時は、絶対に『グッバイ』じゃなくて『ハロー』だって」


―――そして最高の殺し合いをして、殺し殺されて必ず戻ってくる。
自分にできる最高の笑顔で誓う、最初に誓った愛の言葉を。
新たな誓いを付け加えて。


―――そこでタイムリミット。  
チンとタイマーめいた軽い音。
オーブンが開いてホットなタコスが出てきて―――そいつがこの世界のトリガー。
蘇生というプロセスが完了し、俺の意識はくそったれな現世に送還される。

乱暴に弾き出せれる感覚。
光一つない水の中、おぼれる暇もない速さで俺の存在はゴミみたいに流されて―――


45 名前:デッドプール ◆zZQX9NVr63/V :2018/08/06(月) 23:08:45

                 Poisson



目覚めた場所はキッチンだった。
デカい業務用冷蔵庫にオーブン、コンロ、調理器具…俺が用意したもう一つの仕事場だ。
因みに“元”メインステージは丁度真上。どうやら一階まるまるブチ壊されたらしい。
フロアが軽く崩落したのは催眠でも錯覚でもなかったようだ。


「――――何だよ、5秒も経ってねえ感じか?
 サノスの野郎呪いすぎだろ、どんだけ余裕ねえんだよ」


軽口、悪口、飛び起きる。さながらバネ仕掛けのトイ・ピエロのように。
気配はすぐそこにあった。相手は俺をほんの少し見失っただけ。
パラパラ落ちる破片は事件経過がまだ数秒程度であることを知らせている。
というより、これが数秒じゃなかったら俺は今ごろ念入りに刻まれてるだろう。


「ああ、返事はいらないぜお嬢ちゃん。
 …正直、これで死なないのは半分くらいイレギュラーだ。つーかバグだよ」


吐き捨てながら無意識に首筋を触る。
拾い上げて力任せに据え付けた自分の“首”の、首筋を。
この光景、相手にとっちゃ俺が不死身の無敵マンに見えるんだろうがな。
しかし残念。本来そこまでノータイムに理不尽じゃない。
普通ならヒーリングファクターだろうと首をはねられたら1アウトだ。
たとえ不死の呪いが発動しても本来は遅効性。
短くて半日、長けりゃ数か月。即座に蘇生なんて事はない―――そう、本来なら。


「だが知ってるか?いい男ってのはピンチをチャンスに変えるもんだ。
 不測の事態も機転と『コンナコトモアロウカト』の仕込みで切り抜ける。
 ああ、つまり何が言いたいかっていうとだ」


神経血管延髄と癒着する首、不快すぎて慣れ親しんだ再生のクチャゴリ感。
だが再生する内側に反して鮮やかすぎる切り口は開いたまま。
動くのに支障はないが、当の切り口が癒着するにはまだまだ掛かりそうだった。

胸中で抱くのは期待と落胆、つまりは良いニュースと悪いニュースだ。
先ずはグッドニュースから。
「死」の魔眼とやらは、俺の不死にバッチリ効いた。
しかしそこでバッドニュース。
そのおかげか不死の呪いは健在どころか強まってやがる。
恐らくは今までのどの時よりも。


「鉛玉(アモ)のアミューズにオードブル。サイとコンビのサラダも、
 崩落添えた首はねスープも平らげた。となりゃ、後は分かるだろ」


どうするか?決まってるだろ。ここまでは予想どうり、だから続けるだけさ。
短くも濃厚なひと時で、人殺しも経験してねえ彼女を殺し屋にレベルアップさせる。
死ねない俺を殺せる究極の“殺人鬼(マーダーレディ)”に。

軽く嘯き自分の心にスイッチ入れて、右手はそっと背に回す。
鯉口鳴らさず柄をグリップ、チラ見せの刀身は今、鈍く光を反射してるんだろう。
我ながらキマッてる光景だ。
少しだけ振り向く。横目に、体制を整え警戒してる相手が見える。
こんだけ軽口を叩いてりゃ見つけてくれると思ってたが案の定。
ツイている―――そう思ったのも瞬間、俺のモーションは静から動へ。


「―――ようく味わいな」


46 名前:デッドプール ◆zZQX9NVr63/V :2018/08/06(月) 23:12:17

―――ショウダウン。

カンフーのようにバトンのように軽快に、鋭く閃くまるでデイウォーカーのように流麗に。
体捌きによる抜刀から回転、剣劇めいた刃の軌跡がトリプルに弧を描く。
抜いたのは片方。抜いたのは片方。これだけじゃ分からない?仕方ねえな。
つまりカタナを抜いたのは右手、そしてナイフを引き抜いたのはもう片方の手だ。
つまりマイレバーに刺さっていたナイフをスロー、行き先はキッチンの一角。
そこにはちょっとした仕掛けがある。
元は会場の――そうだよ、台無しにされたステージの予行演習で仕掛けたやつだ。
残しといて良かったぜ。


「こっから先は『メインディッシュ』だ!」


――そしてお待たせショウタイム。
オーブンロッカー戸棚に隅から冷蔵庫どいつもこいつもオープンセサミでハローアロー!
矢にトゲに包丁ナイフに槍と鉄パイプ、おっとこいつは据え付けたマシンガンから
サプライズ弾幕だ嬉しいね振り子にバネにスリングボウガン火炎瓶もバクハツだ
ありとあらゆるギミックであらゆる凶器が矢鱈メッタラデタラメ感激雨アラレと
直線回転超無軌道と飛び出しホラホラボサっとしてたら危ないぜザクザク刺さっちまう
ほら俺のようにさあハイHiHIGH HIGH HAHAHAHA!!!


誰彼構わず降り注ぐブービートラップ、引っ繰り返ってブチマケ回るビックリ箱のおもちゃ箱。
そんな騒がしいガーニッシュを添え物に突き進む。
手にした特性のオモチャ――両刃のチタン合金製カタナを振るってだ。
回転を軸に下から上に螺旋を描いて右から左にレフトにライト。
矢が掠めた中スイッチングで足狙い、火の粉を後目に脇から首に。
刺さった斧を蹴り上げて更に蹴り足でフェイント、スチレットが横っ面にぶっ刺さるのを
無視して回って剣を回して腿脇狙いは動脈そして頸動脈――――。

何回雑に刺さったか、もしくは切られたか罠を食らって自爆したか。
そんな事はどうだっていい。
集中するのは一点だ、両儀式という俺を殺せる女の一挙一動のみだ。
横合いの一撃を食らいながらそれすらも利用しながら、徐々に徐々に追い詰める。
そうメインディッシュを味わうように。

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