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■ RHマイナス板専用テストスレッド

144 名前:名無し客スナイパーカスタム:04/12/25 03:05
>>222 サンタさん
……。

君は今年一年、いい子にしていたかな?
パパとママの言う事をちゃんと聞いて、お手伝いも頑張ったかな?

―――そうか。いい子だ。
サンタさんはキチンと君の行動を見ているから、きっと目が覚めたら素敵なプレゼントを
枕元に置いておいてくれるだろう。だから安心して眠るといい。
メリー、クリスマス。



 【12月25日AM2:00】

 (ちゃらっ・ちゃらっ♪【侵入音】)


―――まったく。最近の家屋は煙突が無くて困るな。
いや、服が煤だらけになるのも、それはそれで困りものなのだが。
窓を割っては泥棒と間違われるし、そうかといって壁をすり抜けてはプレゼントを持ち込めん。
結果として、こうして10秒で玄関をピッキングして侵入する羽目になる。
さて、この子の欲しいモノは特撮モノの剣か。女の子のくせに勇ましい事だ。
尤も最近の特撮はビジュアルに凝っているらしいから、この子が欲しがるのも無理はないようだがね。
まあ私の手に掛かれば、市販の物などよりも余程本物らしい物を用意することなど、造作もない。

……しかしこの子の部屋にも、リビングにもクリスマスらしい飾り付けが何もされていない。
不憫な事だ。大方両親が忙しく、ロクに祝いも出来ないのだろう。
仕方あるまい。
少々サービスをしておくとしようか。


       我がツリーは捩れ狂う
     I am the bone of my sword...

                      クリスマスツリー
                     飾り付けられた樅の木!

(イメージ画像:ttp://phantom002.sakura.ne.jp/fate/img/Another_626.jpg)

凛に頼まれて試してみた甲斐もあったな。
いいクリスマスを過ごせよ。



            ――――そうして。
                  少女の部屋にはプレゼントとツリーが残され、
                  それを発見した両親は、
                  銃刀法に抵触するプレゼントを警察に届け出ましたとさ。





【舞台裏・アーチャーの本音】

(イメージ画像:ttp://shorthope.sakura.ne.jp/ill_html/rakugaki32.html)

―――やれやれ。本来ならば聞かぬつもりだったのだがね。
あんな笑顔でサンタ呼ばわりされては聞き入れぬわけにもいくまい。
つくづく私も甘いな。


ああ、オレとて最初は信じていたさ。
瞼の裏に焼きついた衛宮切嗣の町内会サンタ役姿に憧れ、
自分も切嗣と同じ正義の味方なのだから、クリスマスにはよい子にプレゼントを届けねばならんとな。

だが実際はどうだ。全国に子供など数万と居るし、一晩で回る事など不可能だ。
そもそも全国にサンタを信じている子供が何人居る?
全体の10%に満たないとしても、彼らは全国に散らばっている。
目に映る範囲でも点在していたし、更には信じているかどうかを確かめる術もなかった。
届けられるのは精々百件程度、圧倒的に貰えない子供の方が多い現実を突きつけられた。
頑張れば頑張るほど、希望を踏みにじられる存在は増え続けていった。
これほど己の無力を嘆いた事は無かったよ。


…………ある年のクリスマス・イブの事だ。
オレは例によって少年少女の希望するプレゼントを買う為に奔走していた。

―――ふと、ショー・ウィンドウを見たんだ。
間に合わぬと、全ては届けられないと諦観と無念で憔悴しきった自分と、
その後ろで楽しそうに、心底楽しそうに、イチャつくカップルの姿を見たんだ。

愕然としたよ。
ああ、なんでオレはこんな無駄な事をやっているんだ、とね。
いや、薄々感付いてはいたのだろう。
12月に入ると同時に一日の休みもなく、プレゼントを買う為に日払いのバイトを詰めていたはいいが、
似たような者達は全員彼女にプレゼントを買う為に働いていた。
周りからは何度も訊かれたさ。

「エミヤ、おまえそんなにバイト入れてるけど、クリスマスに婚約指輪でも買うのか?」

とな。
どうして答えられる。自分はサンタなので子供達へのプレゼント資金です、などと!
理想は遠く、気恥ずかしく、自分だけが分かっていればいいと沈黙で答え続けた。
オレは一度として彼女とクリスマスなど過ごした事はなかった。
いつだって子供達の為に奔走するクリスマスだった。
それで

「わたしと子供達、どっちが大切なんですか、先輩!」

と詰め寄られ、離れていった彼女も居たよ。
でも止められなかった。
だってそうだろう?
それを認めては、今までそれで別れてきた彼女達がなんだったのか、
分からなくなってしまうんだから。

ああ、そうだ。違う。
俺が信じてきた正義の味方は、サンタクロースは!
こんな憔悴しきったオレなどでは、断じてない!

クリスマス・イブは彼女とデートをし、
夜になれば速やかに全員にプレゼントを届ける存在の筈だ。
そんな甘い夢を犠牲にしてまで、走り続けたオレは一体なんだったのだ!


……英霊となってからもそれは変わらなかった。
もうどうしようもなかった。どうしたって自分は変えられない「存在」になってしまっていた。
延々と見せ付けられる。
意味もなく盛るカップルを、意味もなくイチャつくカップルを、意味もなく引っ付くカップルを!
そしてどうやっても届けきれない無数のプレゼントを!!

だから殺したさ。
年末調整とかこけて世に下れば、その場に居たカップルは速やかに全員殺した。
事のついでだからと、カップル滅殺の為に街一つ焼き払った事もある。
それでも変えられない。
サンタクロースのエミヤシロウはどうやっても変えられない。
未来永劫自分の愚かさを、間違いを見せられ続ける。
届け切れなかった無念と一緒に。



だからな、君ら。
クリスマスの私の前に立つな。
邪魔をすれば殺す。目の前で盛っても殺す。
私が必死になってプレゼントを届けているときに、イチャついていれば無理矢理殺す。
いいか、死にたくなくば――――


           クリスマスの英霊エミヤ守護者に近付くな。



                             (こんな現実、あっていい筈がない

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