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■ ヤルダバオトvsスペシネフ “修羅”対“死神”
- 1 名前:名無し客スナイパーカスタム:04/10/02 01:58
- 『此処より先は死地である。
足を踏み入れるもの、心せよ。
仮令その身が修羅に千切られ、その魂魄が死神に刈り取られようと
一切は汝の不覚が成す処と知るべし』
修羅聖戦の儀 百殺闘場心得
- 5 名前:フォルカ=アルバーグ:04/10/02 02:22
- 事の発端は一つ。所謂救難信号と呼ばれる願いの声であった。
自分と同じくこの世界に来ている筈の、修羅の軍勢を追って彷徨う旅の最中のことだ。
修羅を追う、その目的の為に一度は捨て置く事も考えたが…
半時の後、発信源であるその廃墟にフォルカ、そしてヤルダバオトは居た。
修羅とは戦いにのみ生きる者達。もしかしたら、信号は修羅に襲われた者が発したものかもしれぬ。
そう結論つけての事だ――最も、救いを求めるものを捨てては置けないという感情もあったが。
だが、辿り着いた先には居る筈の生者や修羅は影もなく…代わりに一体の巨大な死神が存在していた。
「…どうやら、当たりという訳か」
背骨に直接氷柱を差し込んだような、強い悪寒が背筋を凍らす。
己でも気付かぬうちに額には冷や汗が滲んでいた。
その原因はモニター正面に映った死神が発している巨大すぎる「殺気」。
本来、果て無き戦いの世界に生きていたフォルカにとって殺気とは、
日常の域にまで浸透した極めて自然なものに過ぎない。
だが、今モニター正面の「死神」から感じる陰惨な気配は只事ではなかった。
今まで感じた誰よりも強く、暗く、純粋な憎悪。
それも単体ではなく、数多くの怨念を感じるのは錯覚ではあるまい。
まるでこの死神が、刈り取った幾多の怨霊を糧としているかのようにも見えた。
己以外の全てを…いや、己自身すらも殺し尽くさんとばかりの憎しみ。
最早、それは憎悪の枠を超えた一種の狂気であった。
「…だが、俺にはやらねばならない事がある」
受ける殺気を闘志に変えて、フォルカは両の拳を静かに構える。
と同時にヤルダバオトの拳も滑らかに持ち上がり、寸分狂わずに同じ構えを取った。
「此処で召されるわけにはいかないんでな。
貴様には悪いが…」
その、次瞬。
「―――押し通らせて貰う!」
紅き機神が地を馳せる。
獣のしなやかさを秘め、血の通った人間の如き滑らかさで、勢いが乗った拳を突き出す。
修羅の機体は人機一体。
機体をただの機械としてではなく、己の力を伝える映し身とする。
闘争だけを唯一の価値とする、修羅という戦士達の狂的な技術の具現がそこにはあった。
かくて紅の修羅と、白露と蒼穹で彩られた異相の死神。
両者の戦端は、修羅の拳撃にて開かれた。
- 6 名前:フォルカ=アルバーグ:04/10/02 02:37
- >>5修正
事の発端は一つ。所謂救難信号と呼ばれる救いを求める声であった。
自分と同じくこの世界に来ている筈の、修羅の軍勢を追って彷徨う旅の最中でのこと。
修羅を追う、その目的の為に一度は捨て置く事も考えたが…
信号を受信して半刻の後、発信源であるその廃墟にフォルカとヤルダバオトは居た。
修羅とは戦いにのみ生きる者達。もしかしたら、信号は修羅に襲われた者が発したものかもしれぬ。
そう結論つけての事だ――最も、救いを求めるものを捨てては置けないという感情もあったが。
だが、辿り着いた先には居る筈の生者や修羅は影もなく…代わりに一体の巨大な死神が存在していた。
「…どうやら、当たりという訳か」
背骨に直接氷柱を差し込んだような、強い悪寒が背筋を凍らす。
己でも気付かぬうちに額には冷や汗が滲んでいた。
その原因はモニター正面に映った死神が発している凄まじい「殺気」であった。
本来戦いに生きていたフォルカにとって、「殺気」とは日常の域にまで浸透した、
極めて自然なものに過ぎない。
だが、今モニター正面の「死神」から感じる陰惨な気配は只事ではなかった。
今まで感じた誰よりも強く、暗く、純粋な憎悪。
それは最早、憎悪の枠を超えた一種の狂気。
己以外の全てを…いや、己自身すらも殺し尽くさんとばかりの憎しみ。
それも一人分ではなく――まるで数百人もの憎しみを受けているかのような圧迫感。
フォルカに、業深き元修羅に、いまにも地獄の責め苦を与え惨殺せんとする凄まじい邪気である。
「…だが、俺にはやらねばならない事がある」
受ける殺気を闘志に変えて、フォルカは両の拳を静かに構える。
と同時にヤルダバオトの拳も滑らかに持ち上がり、寸分狂わずに同じ構えを取った。
「此処で召されるわけにはいかないんでな。
貴様には悪いが…」
その、次瞬。
「―――押し通らせて貰う!」
紅き機神が地を馳せる。
獣のしなやかさを秘め、血の通った人間の如き滑らかさで、勢いが乗った拳を突き出す。
修羅の機体は人機一体。
機体をただの機械としてではなく、己の力を伝える映し身とする。
闘争だけを唯一の価値とする、修羅という戦士達の狂的な技術の具現がそこにはあった。
かくて紅の修羅と、白露と蒼穹で彩られた異相の死神。
両者の戦端は、修羅の拳撃にて開かれた。
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