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■ 吸血大殲 夜族達の総合闘争会議室 其の五

83 名前:ハイネ ◆DOGS.MVbhk :2006/11/04(土) 21:10:52
ハイネVS遠野四季

 Deadly and Dogs(仮)



 時計の針はその日の終わりを告げ、既に日付も変わっている、三咲町の駅。
 その地下鉄ホームから発車する回送の電車に、乗り込もうとする複数の人影がある。


 数日前、三咲町のとある暴力団事務所に、取引を持ち掛けてきた華僑達がいた。

 ――――某所で買い取った『前時代の遺児』を売り払いたい。

 四季のない街の地下で生まれた、華やかなりし頃の遺伝子工学の産物。肉体の情報を著しく組み替えられた彼等彼女等の身体には、純粋な人間には存在しない動物の部位があった。
 相対的に見て愛らしく美しい外見を持つ彼等は、特殊な趣味を持つ好事家達によって"収集"され、或いは慰み者となり、或いはその下衆な趣味の前に命を散らす。

 当然この国の法律では人間として認められているので売買は禁じられているが、それを掻い潜る者もまた存在する。そして、この取引を持ち掛けられた方も、また持ち掛けられた方も、そういった非人道的な行為に関して、一切良心の呵責を感じない者達だった。


 取引は終電後の地下鉄で行われる事になっていた。

 具体的な方法はこうだ。

 まず、『購入資金』を持ったヤクザ側が、三咲町に停車した電車の最後尾に乗る。
 続いて『商品』を持っている華僑側が、隣の南社木市で最前車両に乗り込む。
 二組は丁度真ん中の車両で品を交換して直進、ヤクザは最前車、華僑は最後尾に行く。そしてそれぞれ、次とその次の駅で降りて、取引は終了――――とこういう事だ。

 当然、車掌や駅員は買収されており、互いの組の予備員がそれぞれの駅で部外者を入れないように見張っているので、回送電車に乗り込んでも不審がられる事はない。

 本来ならば厳重に警戒されたホテルなどに行けばいいのだろうが……お互いそれほど大きな組織でもない。余計な邪魔が入らないようにするなら、この辺りが妥当だった。


 そして結論からいえば……二つの組は、この車両に乗り込む事すら出来なかった。

 何故なら両方とも――――



 乗り込む前に全滅させられたからである。

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