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■ 吸血大殲 夜族達の総合闘争会議室 其の五

1 名前:弓塚さつき ◆zusatinwSI :2005/09/14(水) 04:32:37
ここは吸血大殲の闘争会議を行う場所だよ。
基本的に、第三者の口出しは厳禁。
闘争とは、その当事者によって進められるモノだからね。
文句、感想、突っ込みも、本スレで脚光が浴びるときを待ってるように。

長引きそうな闘争は、各自専用のスレを立てることをお薦めするね。
そっちのほうが、やりやすいはずだから。

466 名前:或る修験者 ◆7ZyGl16f7Y :2008/05/04(日) 22:32:08
 
お待たせ致した。
……何やら「反逆」の二文字が我が頭に浮かんだが、気にされぬよう…(何
 
 
居合いを合し打ち…すなわち返す刃を添えていなし、連撃(ちぇーんこんぼ)に
よる押しの一手に入った、と云う流れとなる。

貴殿に極めて軽く傷を負わせてしまったが、服と肌が浅く切れたゆえ支障はない筈…
支障あれば何なりと申されよ。

467 名前:[-{}@{}@{}-] 趙雲子龍 ◆NoudaTUIBI :2008/05/04(日) 22:39:45
 確認が遅れた事をお詫びしておきましょう。

 そして――特に問題はありません。
 三十分ほどお待ち下さい。

468 名前:[-{}@{}@{}-] 趙雲子龍 ◆NoudaTUIBI :2008/05/04(日) 23:19:41
 
 飛び散る火花/必殺/必倒の一太刀――防がれる。
 動揺の色――なし。
 それも当然――常に必殺=幻想/常勝こそを望むべき=二の太刀、三の太刀と――寸断。
 返す相手の一刀――一振り/二振り/三振り。
 
 少女の一刀よりも派手さはない――しかし確実な一手/多くの武士を斬ってきた事を匂わせるに足る連撃。
 重く/速く/鋭く――白銀のきらめきが残す軌跡=もはや視認不能。
 常人ならば三度死ぬ/達人なれど二度は死ぬ/況や少女は生き残れるか?
 
 華奢な腕/脚/体躯――それをとっても荒事には不向き。
 彼の悪鬼――どれをとっても少女に劣る所なし=殺人の業を背負うに足る。
 ならば少女は無残と散り――その純潔を散らすであろう/ただ一度の死によって。
 
――――されど。
 
 少女の体は舞う――潜り込む様に。
 内へ/中へ――刃物の間合いを潰すかのように=自らの攻撃もまた不能。
 悪鬼の徒手空拳による迎撃/恐らくはないと判断/人体切断の余韻を愉しむタイプ/間違った選択肢であれば
その段階で待つのは死/少女は進む/躊躇――まったく感じられず。
 恐怖/畏怖/絶望――感じられず/ここに到ってもなお無貌/まるで慌てる事が罪と言わんばかり。
 
 紅く染まるブラウス――切口から覗く白と赤のコントラスト/極めて背徳的/ちらりちらりと覗く下着がより一層
引き立てる――余談/バスト89/収まる下着――清楚に白。

 出血のある今/少女にとって長期戦は不利/体格――或いはモノとしての違い――の違いからも同じ事を推察。
 少女にとってのこの戦/短期決戦/結論=多少の怪我は致し方なし。
 もとより闘士として生きる彼女/染み一つない珠の肌――無縁の代物。
 
 一つ/二つ/三つ――次々と増えて行く裂傷/致命傷だけを回避=成功。
 肌を這う紅い筋――右肩/右頬――左太腿。
 
 ついに少女は到達/暴風の中心/刃を滑るように駆け/少女の視界/反転。
 重力の枷/放棄=飛翔/悪鬼の腕に絡む蜘蛛の糸=少女の絹糸の如き髪/刹那の間を生み出す事に成功/少女
の好機には十分/翻る太刀/先ほど掠めたと同じところに直撃/悪鬼に対するダメージ――不明のまま。
 
 悪鬼を背に少女の着地/同時に納刀/愛刀はあるべき場所へ。
 無防備な背中/少女の思考――勝利を欲す/なれば罠。
 
 悪鬼に何処まで通ずるか――未だ不明。
 分の悪い賭け――己が部を信ずれば悪くはない/不敵な微笑。

469 名前:[-{}@{}@{}-] 趙雲子龍 ◆NoudaTUIBI :2008/05/04(日) 23:22:30
 イメージとしては、腕を蹴って上空へ。その腕に髪が絡みついて一時的な行動不能。初撃と同じところへ一太
刀――背後に回って納刀。隙だらけ、となります。
 ダメージ描写は適当にお願いしますね。
――他? 何かありましたか?(何

470 名前:或る修験者 ◆7ZyGl16f7Y :2008/05/04(日) 23:29:09

確認致した。
……はて、何もありはせんが(何
 
では、暫し待たれよ。

471 名前:ビシャモン ◆7ZyGl16f7Y :2008/05/05(月) 00:21:46
>>
 
   
華は、散らされてこそ美しい。
柔らかい肉に刻まれ増える紅い筋。ゆえに、鬼は呵呵大笑する。
徐々に露わとなる珠の肌。ゆえに、鬼の獣欲は加速する。
哄笑―――追い詰める鬼は、女を膾に斬り殺したいと強く願う。
啜る血のぬめりを望む。
死を欲する。
殺を渇望する。
 
しかし。
正義、忠義、信念。全てを有して死線を潜る少女が一人。
恐れを知らぬものは、愚者たり得るのか?
それとも尊ぶべき存在なのか?
趙雲子龍が、今死地に舞う。
――――いわば、飛翔。もはや、飛翔。
迎撃の切り下ろしを越え、剣閃を越え、死線を越えた飛龍の太刀が、今再び鬼を捉える。
鬼の頭が僅かに揺らぎ、呪詛を言祝ぎ―――だが、鬼は振り向きはしない。
 
女は、鬼の背後に降り立った。
鬼は、少女の背後に陣取った。
嗚呼しかし、二人は振り向かない。
視線の先にあるものは、互いの背に相対する対手のみ。
繰り出すものは
 

        「般若」といふもの

        般若は甲冑の名にしてたましひ喰らふ異形とす。
        しかるに嗤ふ鬼の貌となりしを般若胴といふ事は
        奥羽に一組の胴丸甲冑を着込みし侍の 怨霊とばし絡めるをみて
        あらおそろしのはんにや鎧やといへるより転じてかくは称せしにや


  
喰われた魂魄、罠となる。
ハンニャ鎧に咀嚼された魂は、捕食者の下僕となって飛来する。
夜を裂き、音もなく、その怨念によって獲物を絡めどる為に。虚空より出て絡め取る。
 
 
  
    鬼悲悲悲悲悲 鬼ィー悲ッ悲ッ悲ッ悲ッ悲…… 


―――そして鎧が、裏返る。
兜が、首が、大袖が、腕が、小手が、その手に握る一振りの刃が。
胴体以外の全てが回り、返り、裏返り、鬼炎の持つ手が繰り出される。
肩が、伸びる。
肘が、伸びる。
腕が、伸びる。
刀が、跳ねる。
鬼が、首を真後ろに回した鬼が、哂う。
  
    
    口惜しい喃? 悔しい喃? じゃが、此処は血を血で洗う戦場ぞ!  
 
 
ハンニャの体は肉体にはあらず。
喰らった亡霊を拠り集めて形作られた霊の体、かりそめの体。
すべてがまやかしの体であれば、少女を罠に嵌め殺すのもまた、容易。
 
 
  ―――目じゃ! 耳じゃ! そして首じゃァーッ!!
 
 
少女を怨霊が縛り、無軌道に躍る刃が、三度。
少女を怨霊が縛り、蛇のようにうねる刃が、三度。
 
 
―――見ろ。
此れが「ハンニャ」だ、「ビシャモン」だ。
その鬼、その邪鬼、他にはいない。

472 名前:或る修験者 ◆7ZyGl16f7Y :2008/05/05(月) 00:29:33
 
お待たせした。
 
……先ずは説明いたそう。
最初に仕掛けたものは「絡め魂」という。
怨霊を飛ばし、獲物の自由を奪う業よ。お主ならば気を発すれば蹴散らせよう。
ビシャモン本体は胴体以外で振り向き、腕を伸ばして顔に三連……。
蛇のごとき軌道だが、凌がれよ。
 
 
…因みに、痛みがないだけで効いてはおる筈だ。
加えて、これで彼奴の本体が甲冑だと察しがつこう。

473 名前:[-{}@{}@{}-] 趙雲子龍 ◆NoudaTUIBI :2008/05/05(月) 00:36:00
 確認しました。
 
――それでは、三十分ほどお待ちを。

474 名前:[-{}@{}@{}-] 趙雲子龍 ◆NoudaTUIBI :2008/05/05(月) 01:15:03
 
「――ッ……ンッ……クッ――」
 
 少女から漏れる苦悶の吐息/眼に見えぬ何かでの緊縛/腕を/脚を/胸を/胴を/体中余す事なく締め付け/
時に緩み/されど抜けられず/抱擁にも似た拘束。
 切なげに漏れる吐息――状況が状況であれば余りに甘美/響く下卑た哄笑/ラブシーンであれば台無し/
しかしながらここは戦場=適当=適切/少女の方が不適当。
 
 拘束=好機/これを見逃す武士=存在する筈もなし。
 迫り来る兇刃/精巧に作られた人形のような貌を目掛け/死を運ぶ軌跡は蛇の如く/舐めるなどと言った可
愛げ――無し。
 
「―――――破ッ!」
 
 掛け声/丹田で生成された氣の爆発的循環/少女の四肢=活動再開。
 金縛り――数多の武に於ける活用例=皆無ではない/心の一方=代表例。
 瞬間催眠/可能性=否定不能。
 その他の可能性――悪鬼の特性。
 
 少女/反転/迫り来る刃を視認+その特性の把握。
 解に到る為の思考/死地からの脱出――同時進行。
 
 迫る一の太刀は既に目前/ほぼ同時に三つの着弾を予想/双眸の僅か一寸先に刃/状態を逸らす事で回
避/二の太刀/複雑な軌道――更に伸びる腕/逸らした状態を更に後ろへ/僅かに毛髪を掠めるのみ/更に
伸びる三の太刀/既に逸らす事も敵わぬ上体/少女は両手を地面へ添えるように後方宙返り/ローファーの
靴底で兇刃と軽く口付け/着地と同時に疾走の開始=反抗の狼煙。
 
 悪鬼――人の型/推測――その甲冑こそが本体?
 垣間見えた中身/深く深い虚無――人の感情の行き着く先/死と共に訪れる病的なまでの虚無。
 
 如何に倒す/命題。
 少女の思考――形在るモノはいずれ滅びる。
 
 単純明快な解/故に難題。
 
 少女の疾駆/腕の戻りよりも速く/疾く。
 一度目の疾走すら超える速度で/更に加速/僅かな出血とは言え数は多い/自然治癒――人間である少
女に望めるはずもない/原形を失いつつある制服/スカートには深いのスリット/隠しようもなく上下で揃った
下着は露/ブラウス――ノースリーブに/華奢な肩/掴めば折れてしまいそう/覗く下着――疾駆に合わせて
揺れる双丘/その全て=少女の意識外。
 
 望みは一つ――悪鬼の打倒。
 一つ目の斬撃より速く抜かれた刀/抜かば斬れ――真理。
 
 祈りにも似た抜刀――朱塗りの甲冑へと到る。

475 名前:[-{}@{}@{}-] 趙雲子龍 ◆NoudaTUIBI :2008/05/05(月) 01:15:58
 あまり補足は必要ないかと思いますが――必要であれば聞いて下さい。
 デザイン? 何の事ですか?(何

476 名前:ビシャモン ◆7ZyGl16f7Y :2008/05/05(月) 02:23:11
>>
 
 
怪異すら我が物とする鎧の悪鬼。
それでも希望を持ち続けようとする少女は、踏みにじられることを望む美しき草花か?
  
―――少女がやってくる、
悪鬼の眼前に。
少女がやって来る、刹那の隙に。
少女がやって来る、斃す為に。
少女がやって来る、己の信念の為に。
 
前よりも疾く、前よりも鋭く最速で駆け抜ける。
――――趙雲子龍、一人の武人がやって来る。
 
 
       良かろゥ!そのかッ首、飛ばしてやるから安心せい!!
   
ならば応、と全身の向き直った鬼が笑む。
全てを以って嬲り尽くさんと鬼が、ハンニャが、ビシャモンが。刃紋を歪ませ哂う鬼炎と共に。
先刻を凌ぐ、故の正しく神速の前に。
先刻を超える、故に鬼の打ち込みを凌ぐほどの剣速を前に。
 
疾風を越えた居合いは烈風。
動くは腕(かいな)、達人の足運びは地を、大地を、地表を滑る。
されど先は取れず、僅かに鬼の剣捌きは及ばず。
止まるさまは刹那、ぴたりと運ぶ足を止め、刀身を縦に凌ぐを狙う。
されど敵は止まらず、走る剣先が鬼を呑み込むように鈍色の軌跡、胴へひらめく。
 
   
そう、鬼を呑み込むように鈍色の軌跡、胴へひらめく。
―――されど、見よ。
 
             『鬼炎』
 
引かば押し、押さば引く転(まろばし)の恐ろしき発露を。
斬撃の重さに刀身は軋み、宿る邪気が悲鳴を上げるのも構わず。まるで構わず。
逸れた一閃に胴を薙がれ、本体たる胴丸の鬼顔が抉られるのも厭わず。
沈み込み、柔(やわら)の要領で回転し、その果てにぎらぎらと輝く鬼刃を構えるその姿。
そして鬼の体躯もろとも跳ね昇る鬼炎の刃。ならばこれは、雌伏を潜った鬼炎の復讐か。
鬼のごとき物の怪が、悪鬼羅刹が持ちえぬはずの業が飛ぶ。
刹那に受け、刹那に返し。寸毫の時を置かぬ返しの太刀、返しの奥義。
 
             『斬ッ、とくらァ!!』
 
 
鬼炎の斬撃、『鬼炎斬』が少女に逆襲する。交差法の太刀筋が、そのまま少女に晒される。
しかし、遠い。
間合いは僅か、ゆえに遠く。
服を裂くには近く、肉を裂くには近く、されど肉を、骨を断つには遠い。
 
             して、    
 
しかし、遠い。
間合いは僅か、だから遠く。
反撃の太刀には遠く、殺すには遠く、されど―――止めるには至り、嬲るには、至る。
構えた剣指を振り下ろしたならば、するりと仕上げは片付き申す。
 
 
                ―――其処へ直れィ!
 
 
亡霊に動かされる石が、足下の低きを舞う。足を止めた少女の脛を。
そしてくず折れるを待たず、石が、石が、そして石が。
すべての邂逅より早く、既に切り出された石段が降り注ぐ。
咎人を責める閻魔を気取り、罪を裁く法を騙り、絶対忠義に圧し掛かる。
 
             
     ワシは人斬りが好きでのゥ、三度のメシより好きでのォ――― 


その様は、正に石の責め苦を積む拷問。
最悪の私刑罰、閻魔石の布陣が今趙雲の運命を窮地に追い込む。
 

     さぁて袈裟懸け、胴斬り、カブト割り! 望みの太刀、馳走してくれるワァ!!
 
ゆらりと舞い降り、歪に笑んだ刃が光る。              
この罠、正に目論見通り。

477 名前:或る修験者 ◆7ZyGl16f7Y :2008/05/05(月) 02:32:50
 
ふむ……。
お主の嗜好に油を注いだ気もするが…彼奴のやった所業ゆえ、許せ(何だと
  
瞬転鬼炎斬(通称:一発ガーキャン)でお主の抜きつけに応じ、追い討ちに
切り出しておいた石段で責める…いわば即席で石積みの刑に処すといった算段よ。
返しの刃はお主の攻めを止めるのが目的、浅手か皮一枚と目算しておる。
石段は亡霊の念で動いている…そう覚えておけば良い。
分からぬ事があれば何なりと聞かれよ。 
 
 
……それと、流石に夜も更けた。
聞く事がなくば、今宵は此処までにしておきたいが如何か?

478 名前:或る修験者 ◆7ZyGl16f7Y :2008/05/05(月) 02:36:51
 
ふむ……伸ばした腕が何の事もなく戻っておるな。
腕が戻りきらぬ、すなわち不完全な形で斬り返したゆえ浅手と心得ていただきたい。
次に会うまでには修正しておこう。

479 名前:[-{}@{}@{}-] 趙雲子龍 ◆NoudaTUIBI :2008/05/05(月) 03:35:56
 
 流石に驚愕の色を隠せない表情/奇跡/頭に浮かんだその言葉を消去。
 再び刃は倒すべき相手を見失う/返す太刀が振り下ろされる/硬直――全力の弊害。
 
 少女の武/悪鬼には届かず。
 悪鬼の武/少女へと達する。
 
 振り下ろされる刃/服+躯――浅く薙ぐ。
 薄っすらと血の滲む肌――今では無傷の部分を探す方が難しい/外気に晒される乳房――不完全な露出/
幸か不幸か/ボタンを止めずにシャツを羽織ったかのよう/ある意味では蟲惑的/この状況で傷一つなく微笑め
ば健全な男子――欲望を抑えられる可能性=皆無。
 少女は一向に気にした様子も見せず/悪鬼を無貌の仮面で見つめ続ける。
 
 不意に走る衝撃――少女に浮かぶ苦悶の表情/苦痛に喘ぐくぐもった声/膝から崩れ落ちる少女/冷静な判
断――機動力の低下=骨に異常発生/確信に足るほどの衝撃。
 次いで石+石+石――数え上げるのも面倒なほど飛来/綺麗に切り揃えられた石+石+石――恐らく重さから
形まで同一/無駄な職人芸/かつて存在した責め苦の再現。
 
 少女の体に圧し掛かる石/冷ややかな感触/冷静に分析――十を超えたところで圧死。
 少女の手には刀/されど腕の力だけで切断は不可能/少女は余りに華奢/豊かな肢体を持つとは言え腕力
ガ強い訳ではない/身のこなし+スピード/合わせて初めて常人以上。
 
 漏れる少女の苦悶の声/一つ/また一つ/悪鬼――哄笑。
 切なげに漏れる苦悶の声/一つ/また一つ/悪鬼――兇刃を構え。
 息も絶え絶え/未だ手放さぬ愛刀/一つ/また一つ/「鬼」――怒りを露に。
 
 唐突に響く破砕音/悪鬼の哄笑+少女の苦悶以外の音/発生源――不明/否。
 少女に積み上げられたヤマの石/一つ/また一つ/破砕――その存在すらなかったかのように。
 
 漏れる純粋な怒り/安眠を妨げられた猛獣の怒り――此処に眠るは誰か。
 寄せられた様々な信仰/決して暴君としての姿だけではなかった――故に没後/恨む事なく眠る/それでも
衰える事なく集まる信仰。
 ただし――安眠を妨害したモノ/信仰を穢すもの/例外なく牙を剥く「鬼」。
 
 一つ/また一つ――悪鬼の太刀が振り下ろされるその刹那/少女――解放
 速く/鋭く/重く――金剛石すら断ち割らんとする一撃/少女――転進。
 
 速く/鋭く/重く/より疾く――闇すら切裂かんと翻る刃/少女――納刀。
 速く/鋭く/重く/より鋭く――闇すら穿たんとする刺突/少女――抜刀。
 
 光すら断たんとする縦一文字の斬撃/音が後から聴こえるほどに研ぎ澄まされた抜刀。
 
「鬼」は静かに見守るのみ――ただの気紛れと言わんばかりに。

480 名前:[-{}@{}@{}-] 趙雲子龍 ◆NoudaTUIBI :2008/05/05(月) 03:37:41
 折角の将門塚ですので、将門公に御出演いただきました。名は伏せて在りますが。
 やっている事は芸がないので説明するまでもないでしょうが。
 何か御質問等があれば、明日、お答えしましょう。
 
 それでは、私も失礼を。

481 名前:或る修験者 ◆7ZyGl16f7Y :2008/05/05(月) 23:02:16
>>476 修正
 


 
怪異すら我が物とする鎧の悪鬼。
それでも希望を持ち続けようとする少女は、踏みにじられることを望む美しき草花か?
  
―――少女がやってくる、
悪鬼の眼前に。
少女がやって来る、刹那の隙に。
少女がやって来る、斃す為に。
少女がやって来る、己の信念の為に。
 
前よりも疾く、前よりも鋭く最速で駆け抜ける。
――――趙雲子龍、一人の武人がやって来る。
 

       良かろゥ!そのかッ首、飛ばしてやるから安心せい!!
   
ならば応、と全身の向き直った鬼が笑む。
全てを以って嬲り尽くさんと鬼が、ハンニャが、ビシャモンが。刃紋を歪ませ哂う鬼炎と共に。
先刻を凌ぐ、故の正しく神速の前に。
先刻を超える、故に鬼の打ち込みを凌ぐほどの剣速を前に。
 
疾風を越えた居合いは烈風。
たもとに戻り動くは腕(かいな)、鬼の達人が足運びは地を、大地を、地表を滑る。
されど先は取れず、僅かに鬼の剣捌きは及ばず。
止まるさまは刹那、ぴたりと運ぶ足を止め、刀身を縦に防ぐを狙う。
されど敵は止まらず、走る剣先が鬼を呑み込むように鈍色の軌跡、胴へひらめく。
 
   
そう、鬼を呑み込むように鈍色の軌跡、胴へひらめく。
―――されど、見よ。
 
             『鬼炎』
 
引かば押し、押さば引く転(まろばし)の恐ろしき発露を。
斬撃の重さに刀身は軋み、宿る邪気が悲鳴を上げるのも構わず。まるで構わず。
逸れた一閃に胴を薙がれ、本体たる胴丸の鬼顔が抉られるのも厭わず。
沈み込み、柔(やわら)の要領で回転し、その果てにぎらぎらと輝く鬼刃を構えるその姿。
そして鬼の体躯もろとも跳ね昇る鬼炎の刃。ならばこれは、雌伏を潜った鬼炎の復讐か。
鬼のごとき物の怪が、悪鬼羅刹が持ちえぬはずの業が飛ぶ。
刹那に受け、刹那に返し。寸毫の時を置かぬ返しの太刀、返しの奥義。
 
             『斬ッ、とくらァ!!』

 
鬼炎の斬撃、『鬼炎斬』が少女に逆襲する。交差法の太刀筋が、そのまま少女に晒される。
しかし、遠い。
間合いは僅か、ゆえに遠く。
服を裂くには近く、肉を裂くには近く、されど肉を、骨を断つには遠い。
 
             して、    

しかし、遠い。
間合いは僅か、だから遠く。
反撃の太刀には遠く、殺すには遠く、されど―――止めるには至り、嬲るには、至る。
構えた剣指を振り下ろしたならば、するりと仕上げは片付き申す。
 

                ―――其処へ直れィ!
 

亡霊に動かされる石が、足下の低きを舞う。足を止めた少女の脛を。
そしてくず折れるを待たず、石が、石が、そして石が。
すべての邂逅より早く、既に切り出された石段が降り注ぐ。
咎人を責める閻魔を気取り、罪を裁く法を騙り、絶対忠義に圧し掛かる。
 
             
     ワシは人斬りが好きでのゥ、三度のメシより好きでのォ――― 


その様は、正に石の責め苦を積む拷問。
最悪の私刑罰、閻魔石の布陣が今趙雲の運命を窮地に追い込む。
 

     さぁて袈裟懸け、胴斬り、カブト割り! 望みの太刀、馳走してくれるワァ!!
 
ゆらりと舞い降り、歪に笑んだ刃が光る。              
この罠、正に目論見通り。

482 名前:ビシャモン ◆7ZyGl16f7Y :2008/05/05(月) 23:04:24
>>
 
 
     愚怒ゥゥゥ!? 一体何が、何が起こり
 
 
悪鬼の非道な責め石は、怒れる鬼神によって粉砕された。
龍穴の主(あるじ)たる武将は、祟り、怒り、鬼という穢れを否定する。
そして龍を宿す転生(てんしょう)の武将は、走り、奔り、鬼という存在を今、凌駕する。
 
            怒腐ゥ!? 
      
嗚呼、鬼が削れる、抉られる、炸裂する。 
抜刀が閃光を呼び、刺突が神速を呼び、剣閃が衝撃を呼ぶ。
妖刀村正の激しい剣戟が、般若の鎧を蝕んでいく。
因果応報の太刀が躍り、舞い、そして吹き飛ばす。
繚乱する剣筋が鬼の笑いを吹き散らし。いま応報は、因果を凌駕する。
 
 
     ―――愚ッ怖ッ怖ッ怖、お主、謀ったのゥ。謀ッて呉れたのゥ?
  
しかし、凌駕されて尚、鬼は立つ。
乾坤一擲の剣(つるぎ)に押され、圧され、鬼の相貌を切り崩されて、尚。
鬼は伽藍の鎧を組みなおし、構え直し、二間向こうに笑い立つ。
外道な鬼と吐き捨てて、下衆な化生と揶揄される。
 
        ―――その顔、その肌、そのハラワタァ全て
 
鬼畜、悪鬼、ど腐れ。
やいのやいのと呼ばれ忌み嫌われる魑魅魍魎、絶対大義を嘲笑す。
勝機見たりと確信し、必ず殺すと意を決す。
そして、今。
 
           ―――斬る! 
 
 
正に一矢を報われたビシャモンの殺意が、般若の怒りが。
古流の奥義と人を超越する力によって、霞まんほどの疾走を放つ。放たれる。
大地を滑る疾走が、妖刀鬼炎が、風すらも破る重圧となって突き進む。
そして、夜風にその呻きを乗せる妖刀の切っ先が趙雲に、今
 
               ―――斬る!
  
振るわれなかった。
刃に篭もった殺気の代わり。繰り出されたのは拳、当身、そう、一撃。
鬼は、鎧。
鬼は、刀。
鎧ハンニャは血を喰らう。そう、紛れもない己の意志で。
妖刀鬼炎は血を啜る。そう、紛れもない己の意思で。
袈裟懸けに感じる殺意は消えず。だが、虚を突いて繰り出されたのは当身、そう、組討。
逆袈裟に変わる殺気と混ざり。だが、拳で生まれた間隙を突いたのは当身、脛を打つ踏み足払い。
しかし虚実から絡め取る鬼の組み打ちは、しかし次なる地獄への道標。
 
 
                   ―――斬る
 
 
刹那の時間が、感覚によって引き伸ばされる。
そう選択せねばならない死の予感が、絶対の死に繋がる選択が突きつけられる。
  
突き刺す殺意は、両断の意を隠しもしない。
 
         一つ、返す刃は白羽抜きから躍る鬼炎の刃。
         瞬時に伸び、縦横にしなる腕(かいな)が掻っ捌く。
         抜刀時にして居合い切る、胴泣き別れる「合死打ち」。 
 
縦横に走る殺気は、三通りの死を予告する。

         一つ、耐える体躯に柔らの崩し。
         瞬時に掴み下から上へ、泳いだ胴に鬼炎斬。
         崩しの刹那に泣き別れ、二枚に下ろす「切り捨て御免」。
 
手を読ませる為の気配は、逃れられない地獄を見せる。
 
         一つ、屈む体に飛ぶ切っ先。
         髷解き、耳削ぎ、兜割り。瞬時に繰られる三連殺。
         一の拍子に剣線三度、脳漿吹き出る「お面頂戴」。
        
 
                      ―――斬る 
 
 
地獄。地獄。地獄。
いずれを選び取るべきか?
違えれば死、誤れば死、読みきれなくば死す。
地獄への道。
  
 
                        斬る斬る斬るッ!!
 
 
 
道―――どちらを尊ぶべきか? 
死を前にどうあるべきか?
渇ききった地獄、しのぐのは命か?

483 名前:或る修験者 ◆7ZyGl16f7Y :2008/05/05(月) 23:17:46
 
……済まぬ、遅参致した。
詰まるところ、仕切り直しの早駆けから虚を突いた打撃、踏み足、そして三択となる。
(※すなわち原典でいうダッシュ小パンチ→小キック→三択)
いわば殺気で剣筋をあえて晒し、読まれるのを逆手に取って三様の攻めをお主にわざと予見させた…
という事だな。
 
逃げるか、打ち込めば切り返しから掻っ捌き。(目押し→居合い切り)
動かなくば組み打ちから切り上げ両断(コマンド投げ)
跳ぶか屈めば昇り飛びからの三連撃。(しゃがみ崩し)
 
 
次を含め二手で、彼奴の手札は最後。
内訳として「次で居合い切り(掻っ捌き)→最後の鬼札」と予定しておる。
存分に彼奴の技を打ち破られよ。

484 名前:[-{}@{}@{}-] 趙雲子龍 ◆NoudaTUIBI :2008/05/05(月) 23:31:56
 確認させていただきました。
 今から動く事になりますので、暫しお待ちを。

485 名前:[-{}@{}@{}-] 趙雲子龍 ◆NoudaTUIBI :2008/05/06(火) 00:15:10
 
 刃/悪鬼に到達――戦意の喪失=確認できず。
 少女の戦意/下降――どころか高揚/初めて届いたと言っても過言ではない一撃/打倒に届かずとも千里の
道を歩む道標――繋がる太刀/止まらぬ剣戟。
 薙がれる甲冑/それでも損傷は目立たず――少女の衣服/もはや襤褸切れもかくやといった具合。
 
 それは余す事なく互いの状況を解説/余力を残す悪鬼/もはや突けば倒れる少女――在り方の違いに潜む
壁=余りに巨大。
 それでも少女は止まる事なく力を振るう/一度止まればもう二度と動けぬと言った鬼気/一度止まれば慰み物
にされた遺志に申し訳が立たないという決意。
 
 上質の絹糸の如き髪――もはや乱れに乱れ廃屋の蜘蛛の巣と言った風情。
 陶器を思わせる滑らかな肌――珠の汗が浮かび、紅の蛇が存分に舌を這わしている。
 精巧に作られた人形のような貌――肌と同じく汗が浮かぶ/されど一切崩れぬ表情。
 
 一つ/二つ/三つ/刃を重ね続ける――まるでそれしか知らぬように/踊るような優美さ――未だ消えず。
 隙なく差し込まれる連撃/されど悪鬼の武――衰える事なし。
 
 差し込まれた拳/流れるように脚を払う。
 崩れた体勢/浮かぶ苦悶/悪鬼にとって好機/殺気から読む三つの選択肢――どれもが死の予言。
 
 少女の状況――言うまでもなく、不利。
 これまでとの大きな違い――悪鬼の余裕、皆無。
 
 真剣勝負――悪鬼の刃が今まさに牙を剥く/少女にとっては致命/されど臆する事なく前へ――前へ。
 退かば我が身の誇りは地に堕ちる/退かば我が身の終わりが見える/退かばこの身の大義は成らぬ。
 
 
                       退かば主が大義を貶める――!!
 
 
 少女は思い出す。
 柔らかな笑みを/誰にも差し伸べられる手を/誰かが傷つく事を恐れる優しさを/誰かの為に立とうとする勇気
を/三国一の徳を持つ――彼女の主を。
 
 私闘――少女はそう定義付けその身一つ/その心一つ/覇気を持って悪鬼に挑み続けた。
 されどこの躯は主が為に/少女は己の死すら彼女に差し出した。
 ならばこの躯/少女の物に在って少女の物に在らず/この体は主が物。
 
 生きて帰らねばならない――その一念が少女に活力を与える。
 退こうとする己を立ち上がらせる/奮い立たせる/前進を続ける。
 
「成都学園が二年。趙雲子龍――推して、参る」
 
 宣告を楔に/己が名に恥じぬよう少女――趙雲子龍は刃を振るう。
 斬り返された先に見える絶対の死すら恐れぬ不屈の意思/神速の刃は鋭さと重さを増し刹那を滑る/残光す
ら残さぬままに/斬光の如く。

486 名前:[-{}@{}@{}-] 趙雲子龍 ◆NoudaTUIBI :2008/05/06(火) 00:17:26
 三つの選択肢のうち一つ目を取った、となりますか。
 後名乗りを上げてみました。本スレ掲載時にはこのレスまでは「少女」としておく事になるでしょう。
 
 それでは、また待機しております故、御要望、御質問等があれば随時お答えします。

487 名前:或る修験者 ◆7ZyGl16f7Y :2008/05/06(火) 00:24:39
 
委細、承知した。
それがしが会得した、否……彼奴が抜き済み居合いの秘剣、仕掛ける所存。
  
これより正しく正念場……暫し待たれよ。

488 名前:ビシャモン ◆7ZyGl16f7Y :2008/05/06(火) 01:22:06
>>
 
 
趙雲子龍。
少女が、背負っていた自らの宿命に奮い立つ。
武人が、秘め続けた自らの名を宣告する。
趙雲子龍。
背負うものの為に子龍、あえて地獄へ向かう。
 
    ――――我が名は「ビシャモン」!
 
            悪霊ザムライ、ビシャモンよォ!
                 
  
その果てに、何があるのか?
何も在りはしない。否、無いからこそ求める。
全ては、求め続ける。
鬼も。
人も。
鬼は死を求め、求め、蠢く。
ハンニャ、否。鬼炎、否。悪霊侍ビシャモンが、死を求め続けて力を込める。
人は生を求め、求め、進む。
少女、否。女、否。趙雲子龍が、生を求めて死地を、前へと進む。
 
     
     一太刀!
 
 
嗚呼、剣が舞う。
子龍の繰り出す剣が舞う。無明の刃が、光が舞う。
嗚呼、剣が飛ぶ。
鬼の繰り出す剣が飛ぶ。異形の刃が、悪鬼が狂う。
突き出される白刃(しらは)と白刃(しらは)。交差する白刃と白刃。
交わる刃紋と刃紋の渦が、夜空の月に照らされ光を反射する。
 
 
        そして二太刀!   
 
 
刹那にすら満たない刹那に今吹き荒れようとする刃と刃。
だがそれでも鬼は、武人は、次への渇望を抱き刹那を駆ける。
すなわち死風に逆らって進む者が、二人。
逆らって進む者、二人。
 
剣を弾かれた鬼の腕(かいな)が伸び、撓み。鬼の背に、更なる鬼の姿が浮かぶ。
鞭を持つごとく構え、剣指を掲げ見据える構え。
侍が覚えた奥義、鬼の鎧が記憶する秘伝。そう、抜きながらにして“抜刀”する居合いの構え。
一度に五方をすら掻っ捌く、魔剣の構え。
違えず読むのは返しの刃。
趙雲子龍の覇気、伝達される切っ先の流れ。必殺を予見せずにはいられない、戦意の流れ。
 
―――そして。
     
 
   
         チェストォォーーーーーッ!!  
            
         怒ッ刃ァァァーーーーーーーッ!!
    
 
 
 
 
迸るは、剣閃。
流れ出づるは―――――。 

489 名前:或る修験者 ◆7ZyGl16f7Y :2008/05/06(火) 01:25:17
 
それがしの予見通り、掻っ捌きと相成った。
次で彼奴の攻めは終わりとなる。
 
……魔道に堕ちた抜き身居合いの秘剣、お主の剣をもって存分に破られよ。 

490 名前:或る修験者 ◆7ZyGl16f7Y :2008/05/06(火) 01:30:29
 
ふむ…少々、説明が足らなんだな。
 
詰まるところは、超速度の連続横薙ぎよ。
呼吸さえ見切れば交差法の一太刀で敗れる、その程度の太刀筋と心得られるがよかろう。

491 名前:[-{}@{}@{}-] 趙雲子龍 ◆NoudaTUIBI :2008/05/06(火) 02:20:59
 
 星の瞬きの如く駆ける刃/それに映る己/走るのは刃ではなく己と言う示唆。
 伝わる思い/限りなく生を求め/限りなく死を求め・人の為に/己が為に――限りなく対極。
 
 子龍――呼吸すら忘れた剣鬼の如し/ほぼ無意識で動く刃――気心の知れたダンスパートナーのように手と手
取り合い踊り続ける/生死を賭す/忘れさせるほど優雅に。
 絡み合う刃は接吻/辿る軌跡は愛撫/同調する呼吸は睦言――互いに互いを知ればこその剣戟。
 
 死闘――交わらぬ筈の他者が唯一同じ思考+呼吸+行動を辿る奇跡。
 奇跡といえど唾棄すべき悪行――何人も犯しては成らぬ他人の命。
 
 しかし一度刃を交えたならば/敵と認識したならば/打ち倒さぬ道理はない。
 神罰/天罰/人罰――恐れずに前進/それしか知らぬようにただひたすらに。
 
 生きる事=前へ前へと進み続ける事――言葉にすれば単純/それが難しいからこそ人は迷い、退き、道を見失う。
 子龍――既に道標を得、目的に向かってまい進する答えを得ている/故に悩まず進み続ける事ができる/全幅の
信頼を寄せる事ができる主に仕える至上の喜び=傷付く事+死地に赴く事+死――恐れるまでもない/それを再確認。
 
 悪鬼の咆哮/同時に刃を納刀――実際には抜刀したまま/見慣れた構え/見慣れた呼吸/見慣れた間合い/弾き
出される答え――神速を冠するに相応しい居合い。
 悪鬼の納刀に生まれる刹那の間/子龍もまた納刀――本来の意味で/必殺には必殺で迎え撃つべくと同調。
 
 鏡合わせのような錯覚/体躯の差・姿形・宿る意思――どれもが対極に在りながら、そのどれもが寸分違わず相
似となる矛盾。
 
 子龍――満身創痍/鎖骨に浮かぶ紅の印/既に隠しようが無いまでに露出された形の良い乳房――呼吸のたび
に大きく上下/瑞々しい弾力=触れるまでもなく理解/引き締まったウエスト――普段拝む機会の無い臍の直ぐ上に
は赤黒い痣/スラリと伸びる脚――脛に腫れ+鬱血の痕=恐らくは骨折/満足な踏み込み――期待できず。
 
 それでも子龍――敗北の可能性を否定/万全であれば・相手が相手だから――そんな言い訳/戦場では通じず。
 己を奮い立たせる為にひたすらに勝利を願う/祈る/掴む。
 
 そのための一閃。
 ただ一度きりの刃で良い/ただ一度限りの刃で充分に効果を為せば。
 
 思考――始動――交差。
 悪鬼――神技とも言える抜刀/数えるのも馬鹿らしくなるほどの横薙ぎ+横薙ぎ+横薙ぎ/まさしく悪鬼/その業人
智を超え神へと到り悪鬼と堕ちる/修羅道の果て。
 
 普段は閉じられた双眸/サファイアの如き輝きの中にて一際強い輝きを示す覇気/刹那と刹那との間/死中に活
を見出し一閃。
 その輝き――眼にも映らぬ銀弧/酷く優美な――殺人術。

492 名前:[-{}@{}@{}-] 趙雲子龍 ◆NoudaTUIBI :2008/05/06(火) 02:23:45
 居合いには居合いで、と言う事です。
 無駄な部分に力を入れて頭を悩ませたと言う事は決してありません。
 
――時間も時間です。そろそろ終わりとしましょうか

493 名前:或る修験者 ◆7ZyGl16f7Y :2008/05/06(火) 02:31:24
 
―――仔細、確認致した。
見事、正に魔剣を破るに相応しき太刀筋よ。
これで彼奴も最後の“手”を晒さざるを得まい……。
勝利は直ぐそこと、左様心得られたく。
 
 
うむ、承知した。
では今宵はこれまで、次にて全て終わりとしよう……御免。

494 名前:ビシャモン ◆7ZyGl16f7Y :2008/05/06(火) 21:26:54
>>
        
  
嗚呼―――もはや、何も言うまい。
 
          
       流れ出ずるは、悪霊。
       天翔(あまかけ)る龍の牙が、鎧の鬼を斬り抜ける。
       嵐を潜った龍の太刀。鋼鉄魂魄、鋼と邪気、鎧と霊を破壊した。
       胴にある鬼の左目が潰れ、拵えられた牙は折れ、鬼の相貌が大きく裂ける。
       刀、すっぽ抜け彼方に。手足、繋ぎ止められず大地へ。鬼の具足が、力を失い散乱する。

 
           
語るべき言葉、此処に在らず。
話すべき相手、此処に居らず。
 
        
       慟哭。
       引き裂ける寸前の鬼、ハンニャが断末魔の叫びを上げる。
       いや、違う。
       引き裂ける寸前の鬼、ハンニャが言葉ならぬ呪詛を雄たけぶ。                  
       嗚呼殺す、殺す、殺してやると。
       引き裂ける寸前の鬼、ハンニャの口から巨大なる腕、巨大なる拳が伸びる。        
       広げられた巨大な腕、蒼く大きい鬼の腕。一本の、全てを捻り潰す鬼の腕が伸びる。


  
 
腕。
ただ、前を向き。ただ、握り潰す。
 
鬼。
ただ、前を向き、握り潰す。

495 名前:或る修験者 ◆7ZyGl16f7Y :2008/05/06(火) 21:32:10
 
これにて彼奴が最後の一手となる。
「鬼首捻り」…胴鎧にある鬼の口から巨大な腕を生やし、握り潰すという悪足掻きよ。
彼奴もお主の太刀で朽ちる寸前、これさえ凌げばお主の勝ちだ。
なにとぞ最後の一押しで破ってもらいたい。 

496 名前:[-{}@{}@{}-] 趙雲子龍 ◆NoudaTUIBI :2008/05/06(火) 21:35:57
 丁度良いところに確認できたようです。
 そうですね――二十二時半頃には上がるかと思いますのでお待ちを。

497 名前:[-{}@{}@{}-] 趙雲子龍 ◆NoudaTUIBI :2008/05/06(火) 22:28:13
 
 斬――と音が響く/悪鬼の躯するりと崩れ。
 残――と音が響く/子龍の心未だ崩れず。
 
 完全な決着/見届けるまでは油断すまい――一時たりとも目を逸らさぬまま/さながら彫刻のよう。
 ボロボロと何かが剥がれ落ちて行く/決して眼には見えず――衣服のように判り易ければ/多少の恨み言。
 それもその筈/少女の衣服――既に原形を留めず/勝負には勝ったが試合には負けた気分。
 
 崩落――慟哭と共に。
 崩れる/崩れる/崩れた――呆気ない終わり。
 
―――――と、成る筈もなく。
 
 突如生える腕――子龍のウエストより一回りは太い/破壊+暴力/無言のままに雄弁に語る。
 子龍――慌てる事なく落ち着いた対処/不意に鈍痛/腫れ上がった脛に再び石が舞う/遅れる初動――刹那の
間/それだけで十分だと言わんばかりに――拘束。
 
 締め上げられる咽――人の力を超えた握力/ミシリミシリと締め上げる音が聞こえる。
 口からだらしなく垂れる唾液/切なく喘ぐようなか細い呼吸――聴き様によっては嬌声にも/見る見るうちに朱に
染まる顔/紫に色を変える唇/だらりと垂れ下がった腕――その手は未だ愛刀を手放さず。
 
 窒息までの時間――それよりも速く首の骨が限界を迎える=死。
 此処に来て動かす事の出来ぬ死を突き付けられる/それでも未だ手放さぬ愛刀=死へ立ち向かう意思。
 
 痛み+苦しみ=働かぬ思考。
 手に/ヒュゥヒュゥと音の漏れる咽/刃/白くか細い首/脚/締め付ける万力の如き腕/自由に。
 
 腕を伸ばす/刃を持った手を腕の下へ/もはや悪鬼の腕を振り解けるほどの力は無いと判断――両手で刃を
支える事に成功。
 メシリと響くくぐもった厭な音――短く上がる悲鳴/辛うじて上げた腕に震えが走る。
 チャンスは一度きり/五分五分――七分は負けるであろう賭け/今はそれに頼るより他に術――無し。
 
 朱に染まった顔――一変して白へ/病的な白さ/血走った眼に浮かぶ涙――次々と頬を伝う/倒錯的な美しさ/
悪鬼の笑みが浮かぶよう。
 震える両手/しっかりと刃を握り締め上げる腕に添える/腕力だけでの両断=言うまでもなく子龍には不可能。
 ならば――刃+己を信じる他、無し。
 
 蹴り上げる――ヒラリと舞う筈のスカートも今では襤褸切れ。
 蹴り上げる――スラリと伸びた脚を一直線に。
 蹴り上げる――鍛え抜かれた脚力/その割りに柔らかそうな太腿+脹脛。
 
 蹴り上げる――刃の峰を一直線に。

498 名前:[-{}@{}@{}-] 趙雲子龍 ◆NoudaTUIBI :2008/05/06(火) 22:30:22
 宣言通りですね――もう少し速いのが理想でしょうが。
 
 要するに、刃を絞め上げた腕の下に沿え蹴り抜いた、と言う事になります。
 切り落とせなければ此方のデッドエンド、という訳ですね。
 
 それでは、次手を待ちましょう。

499 名前:或る修験者 ◆7ZyGl16f7Y :2008/05/06(火) 22:33:05
 
確認致した。
では――――暫し待たれよ。

500 名前:ビシャモン ◆7ZyGl16f7Y :2008/05/06(火) 23:36:57
>>
 
 
絶体絶命の窮地。満身創痍の体。乾坤一擲の刃。
死中に活を求むる子龍の信念が、渾身の刃が、眩いまでの光を放つ。
  
 
  ―――"敵”は、あそこだ。
  ―――"悪鬼”は、あそこだ。
 
 
刃、荒ぶる感情のまま鬼の腕(かいな)に潜る。
潜り、走り、止まらず、断つ。
一念の刃が、もはや同じく創痍の腕を、巨大なはずの腕を断つ。
叫びなく地に落ちる「般若」の本体、伽藍と大きな音を立てる、牙を砕かれ地に堕ちる。
  
 
  ―――"敵”は、あそこだ。
  ―――"贄”は、あそこだ。
 

 
             ク、カカ、ヒヒャヒャヒャヒャ 
 
されど鬼、もぞりと蠢く。 
具足、音もなく動く。刀、音もなく動く。手足、音もなく蠢く。
四散したはずの全身が、手足が、兜が。般若胴の一点へ徐々に寄り集まる。
僅かに残った霊力、魔力、尽き果てかけるをより集め。かくも浅ましく、そしてかくもおぞましく。
 
 
  ―――“敵”は、
 
            鬼ッ悲悲悲悲悲、苦ッ禍ッ禍ッ禍ッ禍
 
 
嗚呼、鬼が立つ。立ってしまう。
全てに絶望を与えるため、全てを地獄に送るため、殺すため、喰らうために。
鬼が哂う。刀を振り上げる。
いまにも砕け、崩れ落ちそうな体はしかし、しかし朽ちはしない。
少女を哂い、大義を哂い、信念を哂う鬼が。刀を振り上げる。
 
 
  ―――“敵”は、
 
            ワシは死なん 

そう、鬼が哂う。
刀を振り上げる。
骸を哂い、歴史を哂い、心を哂う鬼が、刀を振り上げる。
 
 
  ―――“敵”は、
 
            我が名は“ハンニャ”
 
 
今、鬼が哂う。
刀を振り下ろす。
戦いを哂い、死者を哂い、主(あるじ)を哂う鬼が、刀を
 
 
  ―――“敵”は、
 
           永遠に殺し   
 
 
刀、
此処は、
鬼が哂うこの場所は、
 

501 名前:ビシャモン ◆7ZyGl16f7Y :2008/05/06(火) 23:37:43
>>
 
 
 
 
          そして呪“敵”は貴様だ。
                
 
 
  
                “咎”は、貴様だ。

  
 
 

502 名前:◆7ZyGl16f7Y :2008/05/06(火) 23:38:51
>>
 
 
―――嗚呼、見よ。あれを見よ。
 
 
腕。
ハンニャの首より湧き出た腕が、亡霊の顔を掴む。
腕。
更に伽藍より飛び出した腕が、鬼の兜を握り砕く。
 
腕。
腕が覆う。
腕。
腕が掴む。
腕。
甲冑の隙間から、罅割れから、鬼の足元から生える無数の腕が、鬼を掴む。
 
腕、腕、腕、腕。
亡者の腕が、鬼に殺された無念の魂が、鬼が穢した主(ぬし)の怒りが。
鬼を引きずりこむ、体を引き千切る。
鬼を、奈落の底へ連れてゆく。
  
腕。
無間の腕が鬼を引き裂く。
罅割れた傷を広げ、引き裂いてゆく。
腕。 
無限の腕が鬼を引きずる。
足を掴み、具足を砕き、鬼を引きずり込んでゆく。
腕。
無尽の腕が、鬼を包む。
内側から外側から、刀の持つ腕を絡めとり、呪詛も叫びも埋もれてゆく。
 
 
腕。
腕が沈む。
腕。
腕が沈む。 
腕。
腕が残らず地中に沈む。 
 
   
腕。
無数の腕が消え失せて、鬼の姿も消えうせた。
 

503 名前:或る修験者 ◆7ZyGl16f7Y :2008/05/06(火) 23:42:00
 
 
因果応報。
首塚を穢した彼奴の魂をもって、かの主(ぬし)の鎮魂とならん。
 
 
以上が、彼奴……ハンニャの最期となる。 


504 名前:[-{}@{}@{}-] 趙雲子龍 ◆NoudaTUIBI :2008/05/06(火) 23:58:55
――と言う事は、私のエピローグで終い、となりますね。
 しばしお待ちを。

505 名前:或る修験者 ◆7ZyGl16f7Y :2008/05/07(水) 00:11:47
うむ…左様。
最後の始末、頼み申す。

506 名前:[-{}@{}@{}-] 趙雲子龍 ◆NoudaTUIBI :2008/05/07(水) 00:29:21
 
 呆――と/無貌に無貌を重ねたような貌で宙空を見つめる。
 悪鬼/見る影も残さずに消滅/咽の痛み+傷の痛み+惜しみなく曝け出されてしまった肢体――幻では無いと
語る。
 小さく咽る/切なく呼吸に喘ぐ/上下する白い肩/合わせて揺れる胸/ペタリと擬音が付けるのが適当といった
具合にへたり込む/力の入らない四肢/ガシャリと音がして愛刀を手放した事に気付く始末――本当に、勝負
には勝ち試合に負けた/余りにも似合うその言葉に苦笑。
 
 なおも咽る/口の端からは唾液に変わり血液/内臓系の負傷ではない事を祈るばかり。
 口を伝う紅/咽を/胸を/腹を/臍を/白の下着にまでたどり着く――口元を拭う事を忘れるほどに放心。
 
 結局――子龍の為した事=無意味?
 得体の知れない何かが悪鬼を飲み込んだ――その事が非常に情けない。
 
 打倒すべき敵を取られ/助けられた事に礼も言えず/己が武の甘さを知り/無力を知る。
 誰にも敗れる事は許されない――そう固く誓った筈だ。
 
 結果的に生き残った――その事実は変えようもなく圧し掛かる。
 
 頬を伝う涙――未だ止まらず。
 頬を伝う涙――止まる事を忘れてしまったかのよう。
 
 頬を伝う涙――拭い去る。
 
 届かないと知ったなら/まだ先がある事を知っているのなら――涙を流すよりもする事がある筈だ/そう言い
聞かせる。
 誰に聞かせるでも無い誓い/他の誰の為でもない誓いを――その胸に刻み込む。
 
 そう――此処は奇しくも万夫不倒を成し遂げたと言われる者の墓標。
 供物・貢物持ち合わせてはいないがそれくらいの事は許してくれるだろう/暴君・暗君ではなかったのだから/
ないと伝え聞いているのだから。
 
「―――――要、精進ですね」
 
 立ち上がる――愛刀を拾い上げ。
 立ち上がる――鞘に戻す。
 立ち上がる――蹴り上げた時に曲がっていなかった事に安堵。
 立ち上がる――空を見上げれば満天の星。
 
 踏み出す――鈍い痛み。
 踏み出す――鋭い痛み。
 踏み出す――夜気が肌寒い。
 
 それでも――踏み出す。
 帰るべき場所/自分が居るべき場所/待ってくれている人が居る場所――其処へ向かって。
 
「―――――有難う、御座いました。次に訪れる時は手土産でも持ちましょう」
 
 澄んだ空気/静謐ともいえる無音の空間/何人の狼藉も赦さぬ厳粛。
 静かに――ただ静かに。
 
 眠りにつく猛獣の棲家のように――此処は平穏を取り戻した。

507 名前:[-{}@{}@{}-] 趙雲子龍 ◆NoudaTUIBI :2008/05/07(水) 00:31:07
 さて、こんなところでしょうか。
 そちらに余力があるようでしたら貼り始めますか?
 微修正しつつになるかと思いますので少し時間を頂く事になるかもしれませんが。

508 名前:或る修験者 ◆7ZyGl16f7Y :2008/05/07(水) 00:40:08
 
―――仔細、承知した。
それがしは構わぬ。では、お主が良くば貼り出すとしよう。
 
此方は僅かな修正あれど終えておいたゆえ、お主に時間は取らせる事はあるまい。

509 名前:[-{}@{}@{}-] 趙雲子龍 ◆NoudaTUIBI :2008/05/07(水) 00:41:28
 それでは、導入を貼ってきますので暫しお待ちを。

510 名前:[-{}@{}@{}-] 趙雲子龍 ◆NoudaTUIBI :2008/05/07(水) 00:53:09
 導入は終わりです。
 後はそちらを確認次第順次張り出していきますので、よろしくお願いします。

511 名前:或る修験者 ◆7ZyGl16f7Y :2008/05/07(水) 00:54:17
 
承知した。
では、此方も貼り出すと致そう。

512 名前:或る修験者 ◆7ZyGl16f7Y :2008/05/07(水) 01:01:56
 
それがしが方の導入は終わり申した。
……左様、伝達にまで。

513 名前:[-{}@{}@{}-] 趙雲子龍 ◆NoudaTUIBI :2008/05/07(水) 01:39:12
 お疲れ様でした。
 タイトルとレス番纏めに関しましてはこちらで勝手にさせて頂きました。
 
 お付き合いいただき、感謝いたします。
 それでは、またどこかで見える事を祈って。

514 名前:或る修験者 ◆7ZyGl16f7Y :2008/05/07(水) 01:45:06
 
……ふむ、手間を掛けてしもうたな。面目ない。
  
礼を申すはそれがしの方。
彼奴の調伏、受けていただき心より礼を申し上げる。
  
では、いずれ何処かでまみえんことを。
――――御免。

515 名前:レン ◆SL/QoWHITE :2009/11/13(金) 06:07:53
さて、では再開といきましょうか。


>>159が私の導入で、誤字脱字以外は今でも、特に変える事はないわね。
後はどこからやり直すかだけど、もう完全に最初からにするかしら。
それなら、貴方のターンからになるわね。

要望とか質問があるなら、何なりとどうぞ。

516 名前:レン ◆SL/QoWHITE :2009/11/13(金) 06:14:33
あ、再開日程だけど、実は闘争イベントを行うかどうか今悩んでるのよ。
その辺との兼ね合いでこちらの完全な再開を決めたいけどいいかしら。

イベントは一応今は12月上旬を考えてるわ。
それ以前にこっちを再開するなら可読性確保の関係で、最初の部分辺りは
こっちで水面下で開始となるわね。

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