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■ 月下の蜘蛛は露となり―――それでも彼女は笑うのか?

48 名前:七夜志貴 ◆nb.mURders :2007/02/19(月) 00:39:430
 惨劇の舞台は不協の和音ともに幕を上げ、余韻を残したままに閉幕へと胎動を始める。
 ざくり、ザクリと神経を殺ぎ落として行くような憐憫にも似た殺意に身を委ね、役者はただただ
物語の筋書きに沿って進行し、己を喰らい他者を喰らう為に侵攻を開始―――――。
 感覚が研ぎ澄まされ、神経を肉の上に貼り付けたかのような錯覚すら覚える。今の俺であれ
ばざらついた空気に紛れる原子の一つ一つを肌で感じ取れるのではないだろうか?

 それにしてもこの行為は――― 一種の信仰に似ている。
 親交を深める為に、親交を断絶する殺し合い。

 闘争の本義とは他人を自分だけのモノにする為の、究極の独占欲。究極の加虐欲。
 加虐は被虐に通じ、殺すコトと殺されるコトは同義であり、愛するコトと愛されるコトは対であり、
死と生は流転と廻り、ありとあらゆるモノは表裏一体で正しい形となる。


   例えば俺に殺意があるのなら―――例えば相手にも殺意があるというコトであり。
   例えば俺に愛情があるのなら―――例えば相手にも愛情があるというコトであり。
   例えば俺が死神であるならば―――例えば相手もまた、死神であるというコトだ。


 月の光は紅く、視界の先に移るモノも全て赤に染められ、煌々と輝く宝玉の数々は極彩色と夜
空を彩る星の瞬き。
 純粋なる殺意の結晶はどの星よりも眩く輝きを放ち、どんな生物をも、どんな生命さえも、有象
無象の区別なく破壊に破壊を重ね、壊滅という言葉では足りぬほどに残骸を生み続けるだろう。

 嗚呼―――――だがしかしだ、お嬢さん。
 なにも壊れるモノは壊れ易いモノから容易く壊れるワケではなく、頑丈であれば頑丈であると思っ
ていたものほど容易く欠け、折れ、朽ち果てるモノなんだよ?
 完全にして無欠なんて言葉はこの世にはありはしない。なにもかもは最終的には朽ち果て風化
してしまうのだから―――――。

「は―――――容易い。次の夜を望むなら、ヤマの問い掛けを微塵と砕く力を持つコトだ」

 縦、横、斜―――――縦横無尽に駆け巡る宝玉の数々も、避けられるように僅かな隙間がある
のだから始末に終えない。まあもっとも―――――”殺して”しまえばそれまでの話なんだが。
 不規則に見えるという規則性さえ判れば生身の人間すら踏破可能なモノを、人間の極端である
吾に避けきれぬ筈がなく、瞬く星も蜘蛛の巣に絡め捕られた蝶に過ぎぬ。

 余り舐めてもらっては困るよ。
 三次など随分昔に蹂躙し尽くしているのだから―――――!

 開けた視界に納まる愛しき愛しき紅の君よ。
 オマエの幼い頃など知らぬ。
 俺好みの女なのかも知らぬ。
 成長など望む訳もない。

―――――ただ甘美な、悦楽と共に舞い降りる死と共に眠り、安らかな寝顔を見せておくれ。

 地を這う疾走のベクトルを空を駆けるベクトルに変換し、頭上から狙うは心の臓。   /想像だけで。
 射抜き取り出しその鮮血を撒き散らし、キャンパスを思うがままに塗りつぶそう。   /脳が、脊髄が、
 それで一枚の絵が完成するんだからね――――。                     /蕩けそうだ。

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