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■ 名護啓介 VS 有角幻也 闘争会議室
- 1 名前:[-{}@{}@{}-] 名護啓介 ◆753/IdWG5E :2008/05/24(土) 20:35:46
- このスレは 私と彼―――有角幻也の闘争のための会議スレです。
それ以外の人間およびファンガイアの侵入、書き込みを禁止します。
- 37 名前:有角幻也 ◆rX9kn4Mz02 :2008/06/18(水) 01:50:06
- >>34-36
ひとまずレスの方が出来たのでな…叩き台も兼ねて上げて置く。
いかなる形にするにしろ、これなら最後の部分だけ代えれば問題ないだろう。
……長い上に好き勝手極まるのは無視しろ、そうした方が身の為だ。
…ともあれ、此方の姿勢は変わらん。
返答を待つとしよう。
- 38 名前:名護啓介 ◆753/IdWG5E :2008/06/20(金) 21:43:43
- こちらの都合でレスを確認するのが遅れました。
>>33
その提案を受け入れる形で構わないと思います。
私が先行して書いていたレスでは、あまり描写が膨らまないと感じていた所でしたから。
とりあえず、暫定案を受け入れる形で続くようにしていきます。
- 39 名前:名護啓介 ◆753/IdWG5E :2008/06/22(日) 20:18:30
- [導入7]
>>
全ては繊細に、かつ大胆に進んでいた。
有角には知らされぬ政府側との再調停―――両者一両損、となる条件で承認を得る。
今回の監査に関わる機関に対する飴とムチ―――今回の件に沈黙する方向で決着。
政府内の『青空の会』会員による工作―――有角幻也を孤立させることに成功。
権力とは、然るべき意図を持って振われた時、その威力を最大限に発揮するものだ。
名護は改めて、自分が所属する組織の力を思い知る。そして、それが自分の理想のために動く時を夢想する。
そして、今日という日は汚れ無き世界への第一歩が刻まれた記念すべき日になるだろう。
予定された会合の場所は、再開発計画が頓挫し放置されたままの区画。解体途中のまま中身が丸見えになっている廃墟やまだ使えそうな倉庫などが立ち並んでいる。
それは、『素晴らしき青空の会』が用意した“狩場”の一つでも有る。
自前の“狩場”を持つメリットは、幾つでも考えられる。マスコミ対策、民間人の被害を抑制する、待ち伏せ、などがあるだろうか。
こういった“狩場”は、嶋のポケットマネーによって買収され各地に点在している。
名護が選んだのは、特に人気が昼夜を問わず少なく、邪魔の入りにくい“狩場”だった。
有角を呼び出す為の餌は、「未知なる脅威に対する迎撃戦士」のデモンストレーション。
Intercept X Attacker―――ライダーシステム『IXA』の力を、その身で味わってもらう。
全てのお膳立ては整えられた。
あとは、この舞台に主役が降り立つだけだ。
次なる英雄劇の前座を勤め上げる、運命に弄ばれた喜劇の主役が。
- 40 名前:名護啓介 ◆753/IdWG5E :2008/06/22(日) 20:20:10
- >>
有角幻也―――アドリアン=ファーレンハイツ=ツェペシュが目指す、再開発計画が放棄された区画。
点在する廃墟の陰に、名護啓介は身を潜めていた。
名護が胸ポケットに収めていた携帯が、きっかり3コール着信音を鳴らし沈黙する
<まもなく目標が到着する>、という合図だ。
それから3分足らずで月明かりに照らされた廃墟に、人工の光が注ぎ込まれる。
ようやく来た、というべきか。それとも迷わずに来れたのか、というべきか。
ともあれ、肝心のキャストが揃ったことには変わりない。
有角が車から降りた事を確認し、名護もその姿を相手に見せる。
「―――お待たせ」
名護は精一杯の笑みを浮かべて有角に相対する。
『笑うという行為は本来攻撃的なものであり、獣が牙を剥く行為が原点である』
そんな言葉が、名護の脳裏を過ぎった。そうだ。俺はこの男に牙を剥くのだ。
笑顔に、より一層の険が刻まれたように感じた。
ふと、有角の足となった車を一瞥する。
ランボルギーニ・ミウラ。数十年前のスーパーカーの熱狂に身を焦がした者ならば垂涎の対象といえる名車だが、名護には何の感慨も浮かばない。
音楽と同じ、世の中の為にはならないモノ。ただ、それだけだ。
「約束通り、デモンストレーションを開始しましょう」
名護は、ベストの裏ポケットからメカニカルな造形のナックルダスターと思しきものを取り出し右手に装着した。
それは、『イクサナックル』と呼ばれる『素晴らしき青空の会』が開発した電磁ナックルだ。瞬間最大電圧5億Vとという雷に匹敵する電撃を発生させる、強力な武器。
「―――俺の手で、貴様を滅ぼすという最高のデモンストレーションを」
名護は、ランボルギーニのボンネットにイクサナックルを向けて、グリップ基部に設けられたトリガーを引いた。
現代の自動車は、ドライバーが考えている以上にコンピューターの恩恵を受けている。特に、燃料噴射制御装置とABSは車載コンピューターに依存したシステムの代表格といえるだろう。
燃料噴射制御装置とは、単体で燃焼することが出来ないガソリンと燃焼させるための空気を理想の比率で混合するシステムである。
そして、ABS(Anti-lock Brake System)は急ブレーキをかけた際にタイヤホイールがロックしないように制御するシステムである。
―――ではこの二つのシステムが、もしも走行中に、同時に壊れた場合自動車はどうなってしまうのだろうか?
まず、燃料噴射制御装置の故障によってエンジンに送り込まれるはずのガソリンと空気の混合気体の供給が断絶され、エンジンは活動することが出来なくなる。
これによってタイヤホイールは回転力を失い、急速かつ強力なエンジンブレーキを発生させることになる。
そして、急ブレーキ時に効果を発揮するABSも機能しなければただの飾りでしかない。結果、車体は横方向へと大きく滑る。そして制御不能のスライド状態は、熟練のドライバーでも対応は難しいという。
では、停車中にこれらのシステムが壊れた場合はどうなるか。
答えは簡単だ。エンジンを動かす力を失った自動車は、たちまち鉄の箱と成り果てる。
名護は、イクサナックルから放たれる電磁波によって有角が運転してきたランボルギーニの車載コンピューターの電子回路に致命的な損傷を与えたのだ。
有角にとって幸いだったのは、走行中ではなかったというべきか。
「―――これで、貴様の逃走手段は断ち切ったぞ、有角幻也」
既に、嶋が手配した人員によってこの付近一帯は包囲されている。そして名護の移動手段となる『戦獅子』も配置済みだ。
仮に有角が自分の足で逃げ出したとしても、名護は直ちに追撃することが可能となっている。
もはや、蜘蛛の巣に絡め取られたも同然といえよう。
「いや……ドラキュラが一子、アドリアン=ファーレンハイツ=ツェペシュ」
======
>>34-36の続きになります。
この後、変身→戦闘開始の流れに入っていく事になると思います。
- 41 名前:有角幻也 ◆rX9kn4Mz02 :2008/07/05(土) 00:51:23
…済まんな、反応が遅くなった。
既に状況は確認している。だが、どう返すかで今まで難航していてな。
どうにか方法は思いついたので今週末には形に出来るはずだ。
悪いが、後もう少しだけ待ってもらいたい。
…それとお前に女難の相が出ているが、これは私の関わるべきことでもないな。
- 42 名前:有角幻也 ◆rX9kn4Mz02 :2008/07/22(火) 01:18:50
- >>
突如襲来した瞬間電圧5億ボルトの電撃。
落雷に匹敵する電圧を秘めた鋼拳がランボルギーニに走る。
換装させた最新式の電装系が仇となったか、壮健なるミウラの鼓動は沈黙した。
狂気に見舞われたかと言わんばかりの突然な凶行。ほくそえむのは、そう――――名護啓介。
かつて幻也に氷の侮蔑を投げかけられた男。
絶対正義という硬く歪な礎を、ドライアイスの刃で抉られた男。
そして後に知らされた、『素晴らしき青空の会』が誇るゴミ処理のエース。
この唐突な裏切り劇の颯爽たる主役。
「――――やはりそういう事か」
だが幻也はその凶行に際して尚、氷の平静さを崩しはしない。
まるで全てを見通していたかというように。幻也、美しき男は名護啓介を静かに見据える。
「最初に会ったときからおかしい所があるとは思っていたが、此処までとはな。
だが、それも今の行動でようやく得心がいった」
男―――名護啓介の言葉を遮るように。
幻也、その冷徹なまでの言動は相手の顔色をうかがいすらしない。
アドリアン=ファーレンハイト=ツェペシュ。
絶対優位を得たがゆえの優越感を見せる男が言い放った、有角幻也の本来の名。
それを看破された動揺など存在すらしないように。
いや、事実―――幻也、かのドラキュラが一子には動揺という感情などありはしなかった。
奥底に隠すのはただ、一種の納得。
何ゆえ己が狙われたのか、その理由を得心するに至った際の感情のみだ。
そう、名護啓介の言葉は真実であった。
有角幻也とは、彼が今の時代に存在するために用意した仮の名に過ぎない。
彼は人間ではなかった。
わが身を災厄にまで落とし世界を呪った魔王の子、最悪の吸血鬼“ドラキュラ”の実子。
それが幻也が隠す真実だった。
しかし彼には素性を偽ってまでやるべき事があった。
それも眠るには短すぎる年月を、四半世紀近くを雌伏せねばならぬ理由があった。
そう、たとえ彼の正体を知ったハンターに命を狙われ続けようとも。
罪と罰の十字架を背負い続けてでも抗わねばならない理由が、見届けねばならない事があるのだ。
「お前が私を狙った理由は分かっている。
いや、疑念があったというべきか。流石にすぐには信じる事は出来なかった。
しかし―――――」
そう言うや否や幻也は、無造作に懐から黒い携帯電話を取り出した。
淀みない操作で行ったのはメモリーに記憶させたデータの再生。
ASV液晶の光情報が闇を照らし、選択された映像と音声が流れ始める。
そこには、
『貴様、命が惜しければ私の言うことを聞きなさい』
「――――名護啓介。
まさか、ファンガイアと通じるところまで堕ちていたとはな」
再生された声音と光景の再現。
そこから聴こえたのは紛れもなく目の前の男、名護啓介の声だった。
- 43 名前:有角幻也 ◆rX9kn4Mz02 :2008/07/22(火) 01:19:35
- >>
人々を悪から守るべきハンターが、よりにもよってその人々を牙にかける、倒すべき存在と通じていたのだ。
それも罪を疑うべくもない悪党を相手に、組織の中枢を担う人間がだ。
利害の一致、己の保身、一つの目的を果たすための共謀。
世界においてありふれた歪みの一つでありながら、表に出たならば糾弾されるべき“不正”。
それが殺戮者と、それを追う者とによって行われるならば、その罪は他の何よりも重い。
「念のために言っておくが合成の類ではない。
れっきとした、偶然監視カメラに捉えられていた映像だ。信じがたい事だがな」
この背信行為の決定的証拠となる映像は、その実半分が捏造だった。
ただしその半分―――唇の動きから再現された音声を除いた一切は紛れもない真実でもある。
幻也の言うとおり、合成やCGによって作られた映像ではなかった。
全ては名護と吸血種とのこの会話が、とある街頭の監視カメラに捉えられていたことから始まる。
監査への準備を始めた頃から収集した情報の中に、この映像が紛れ込んでいたのだ。
まさに何万分の一にも満たない確率によって撮影された衝撃的映像。
これが幻也の手に渡ったのは偶然と、オカルト関連の疑いがある映像資料は
彼の手へ渡すよう、内調経由で民間の警備会社との契約を結んでいたからに他ならなかった。
無論、これだけではどうとでも言い逃れは出来るだろう。
だが幻也の知る“証拠”、彼の口から語られるはこれだけではなかった。
「無論これだけではない。
今まで私が集めた情報の中には、お前の行動に懐疑的な声も数多くあった。
一つ、3月9日。“キバ”と交戦中だったファンガイアを見逃した。
後のそのターゲットは更に人間を襲い、犠牲者の数は更に増加した。
ファンガイアを追撃可能なタイミングだったにも関わらずだ。
もう一つ、4月6日。ファンガイアと交戦中だった“キバ”を襲撃。
“キバ”を撤退させるも、当のファンガイアは完全に見逃す。
それこそ、完全に目もくれずにな。
この件とは無関係な不祥事を除いたとしても、既に二つだ。
そして、さっきの映像にあったファンガイアとの取引現場。
お前にかけられた疑惑を立証するには十二分だ、違うか?」
一度目は偶然であったとして。
二度目は奇跡であろうとしても。
しかし三度目となれば、これは既に理由のある必然ではなかろうか。
幻也を罪を問うため待ち構えた名護啓介に、幻也は逆に問いかける。
『Intercept X Attacker』装着者に問題があるのではないか―――ここ数日間に行った独自調査
の最中に得た、組織の成果に不満を持つ『青空の会』後援者たちの疑念をそのままに。
事実、監査に至った一因として組織内部からの声があったのも確かだった。
自分たちを護るべき側の人間が、その実役割を果たしていないのではという疑いの声。
組織の後援者から秘密裏に収集した数々、そして名護直属の上司にあたる嶋護―――
嶋財閥総帥にして『素晴らしき青空の会』トップ―――を経て、組織の協力者からもたらされた
情報が裏づけとなっていた。
一切の敵意も、戸惑いも、合切の殺意も無視して有角幻也の言葉は続く。
一触即発の状況に反してどこまでも冷静沈着に、的確に発言を続ける様はかえって異様。
道化の演ずる喜劇というには異質な空気。
もしこの舞台に観客がいたとするならば、どこか空寒いものを感じずにはいられなかったであろう。
「今更言うまでもないが、監査は『Intercept X Attacker』装着者本人もその対象に含まれている。
これは組織の内外から上がった声だ。
現装着者であるお前の行動が最近、こと目に余るとは聞かされていたが…ここまでとはな。
当然だが、これは重大な背任行為だ。
不祥事というレベルすら軽く超えている、組織への裏切りそのものといっていい」
曰く。
この件は既に双方へ資料を送っている。
曰く。
その上で改めて政府と『素晴らしき青空の会』に報告する。
曰く。
調査の途中で掴んだ、嶋財閥側、組織に属する政治家達の不正証拠と共に。
そう極めて淡々と幻也は告げる。
黒に最も近い灰色の真実。飾るのは白々しいまでのセリフの数々。
投げかけた幻也の言葉には、真実もあれば嘘もあった。まさにハッタリと言うに相応しい。
いや、そもそも名護啓介が本当に裏切ったという証拠は存在しない。
それでも幻也が断罪を語り、茶番のような真似を続けるのは理由があった。
すなわち必要な情報を、彼にとって必要な事柄を引き出すという理由が。
- 44 名前:有角幻也 ◆rX9kn4Mz02 :2008/07/22(火) 01:21:36
- >>
幻也の上司が符丁まで使って危機を伝えたという事は、もはや政府との密約が交わされている
と考えるべきだった。
密約とは即ち、幻也―――否、アドリアンの抹殺。
恐らくは彼の命を取引材料として、監査の再調停が行われたのだろう。
珍しい事ではない。政府側からしてみれば、幻也は優秀だが得体の知れない男だ。
しかも内調特務という存在はその性質上、政治家や官僚の秘密を握る事を生業とする。
時には事件の証拠、また時には組織が利を得るための取引材料として。
どの道、秘密を握られる側にとって厄介な存在には違いはない。
そしてその邪魔者をわざわざ始末してやるというのならばと、黙認する人間もまた多い。
今回はそれを『素晴らしき青空の会』が持ちかけたであろうと、幻也には容易に想像ができた。
命を無視された人間――――内調特務がそう呼ばれる理由の一つが、こういった政府内の
敵の多さでもあるのだから。
だがこの程度の危難、彼は幾度となく切り抜けてきた。
孤立無援。命の危機に陥るのは幻也のようなエージェントにとっては良くある事だ。
政府内の工作、官僚の圧力、幾重にも仕掛けられた罠と放たれた刺客。
のみならず彼特有の敵―――教会の狂信者、無法者のハンター、魔道を奉じる異端教団、幾多の
吸血鬼とその信奉者たち。
これら人と人外による襲撃の全てを退けて、有角幻也という男は今ここにいる。
「――――全くな。何が『絶対正義』だ。正義が聞いて呆れる。」
物言わぬ廃墟で演じられる舞台演劇。
降り注ぐ青き月光は歪みなく、今の演目は有角幻也の一人がたり。
台詞は言われるのではない聞かせるもの、そう心得てか朗々と美しき男の即興は、夜の闇に染み渡る。
その黒衣、懐の奥にはそう。
次なる役者の演技を今か今かと待ちわびる、テープレコーダーの音なき胎動。
法が証拠と認める二つ。紅いスカーフに隠された超小型電子カメラの無垢な眼差しと共に。
「念の為だが、この場合黙秘権は不利になるだけと言っておこう。
ファンガイアへの寝返り―――この疑惑に対して、納得のいく説明を聞かせてもらおうか」
タネを隠すは役者のたしなみ。幻也の魔術/隠器術によって完全に秘匿されている観客達。
それらと共に幻也は待つ。
名護啓介というどんでん返しな喜劇の主役、この即興へいかなる台詞を返すのか。
- 45 名前:有角幻也 ◆rX9kn4Mz02 :2008/07/22(火) 01:44:00
-
――――もはや返す度に言っている気もするが。
済まんな、また遅く(ry
だが、おかげで光明は見えた。
(今までの753のシーンと録画した25話のデータを懐に入れて)
…という訳で説明させてもらうとしよう。
このまま私の正体を認めれば、勝ったところで狙われる身になるのは目に見えているのでな。
悪いが、少しばかり酷い手を使わせてもらった。
要するに、お前の罪状を捏造してのハッタリと挑発だ。
ただし突き出した証拠(音声以外)と疑惑、提出したという事実は本物―――といった所か。
タグを使っている部分は故意でやっている挑発だと、そう思ってくれていい。
「目に余る」というのは誰の言葉か、そして「お前」自身が何をしてきたか…
そういった其方の(原典における)情報を吟味してのものだ。
とりあえず、どういった反応を取るにしろ戦端を開くには問題ないだろう。
―――二重の理由で私を殺さなければいけなくなった。これは事実だとしてもな。
その時、お前ならばどう動くべきか。お前が名護啓介なら分かる筈だ。
- 46 名前:有角幻也 ◆rX9kn4Mz02 :2008/07/22(火) 02:06:07
-
……これだけでは分かりにくいか。
詰まるところ、此方が生き残るための大義名分を作った。という事だ。
お前がファンガイアと通じているという罪状を捏造し、あえて挑発する。
レコーダーとカメラを(厨だろうが魔術で隠匿して)隠し持った状態でな。
そしてお前が私の命を狙う以上、既成事実の上では口封じと見なされる訳だ。
(私を見逃したら見逃したらで、お前自身の査問が行われるのは想像に難くない)
後はお前の(捏造された)裏切り行為を焦点に再々調停へ持ちかける。
…再々調停の部分が色々と無茶だが、そこは政府側と組織の不正を掴んだ等でどうにかなるだろう。
それと余談だが、私のレスで致命的な間違いがあったので修正しておく。
といっても内閣調査室関連の事だ。お前のレスとは関わりがないので問題はない。
- 47 名前:名護啓介 ◆753/IdWG5E :2008/07/23(水) 22:13:15
- >>
「――――名護啓介。
まさか、ファンガイアと通じるところまで堕ちていたとはな」
有角が名護に続いて晒した手札。
それは、ファンガイアハンターとしての名護の立場を揺るがせる最悪のジョーカー。
キバを追い詰める為に、恵に執心するファンガイア・糸矢を脅迫し利用した一件を撮影した映像。
(……まさか、あの時の映像まで用意していたとはな)
名護は考える。背徳の証拠というべき映像を用意した有角の真意を。
あの映像が嶋の元に渡れば、名護はイクサの装着者として不適格と看做される。いや、それどころか『素晴らしき青空の会』を追放されかねない。
考えうる限りの最悪の未来。それだけは避けなければならない。
「今更言うまでもないが、監査は『Intercept X Attacker』装着者本人もその対象に含まれている。
これは組織の内外から上がった声だ。
現装着者であるお前の行動が最近、こと目に余るとは聞かされていたが…ここまでとはな。
当然だが、これは重大な背任行為だ。
不祥事というレベルすら軽く超えている、組織への裏切りそのものといっていい」
名護は、有角の言葉を半ば聞き流しながら思考を巡らせる。
心に想い描く未来を、その手に掴む為に。
第二に、有角が単身でこの場所に現れたというこの現実は、『青空の会』が持つ政治力の賜物であり、有角はそれを認識している節が有る。
有角が打った手は保身のため。名護のスキャンダルを切り札にして自身の有用性を示し、この先に生き延びる為の戦略。
「念の為だが、この場合黙秘権は不利になるだけと言っておこう。
ファンガイアへの寝返り―――この疑惑に対して、納得のいく説明を聞かせてもらおうか」
繰り返される有角の挑発的な言動の裏側にあるもの。
すなわち、ジョーカーだけでは完成しない手役を作り出したいという意図。
その手役が完成する時、名護の敗北は揺るがないものとなるだろう。
ならば名護の打つべき手は―――有角の手役の完成を阻むことに尽きる。
必要としないカードを送り込み、用意したジョーカーを無駄にする。それだけでいい。
「そんなことはありえないな」
名護は、有角の提示した映像そのものの信憑性を破壊することにした。
「第一、その映像が本物だとしよう―――だが、俺が言ったというその言葉のどこに、俺がファンガイアに寝返ったという文脈がある?」
あの映像は紛れもない本物であることは確かだ。しかし、名護の台詞そのものがおかしいのだ。
あの台詞をファンガイアが言っていたのであれば、名護の裏切りを造作も無く立証することが出来ただろう。
しかし、あの台詞を言っているのは名護だ。それは映像でも変わりはない。
「それに、俺がキバを狙うことは組織内でも認められている。22年前、キバが世界に対して何をしようとしたのか―――ドラキュラの息子である貴様が知らないわけがないだろう」
キバが、人類の敵と目される理由。それは過去に起こした事件にある。
そう、誰も過去からは逃れられない。
「証拠を捏造し、人類の敵であるキバを擁護してまで、俺を陥れようとするとはな……やはりその身体に流れている血は邪悪そのものということか」
名護は、確信した。自分の手札が、有角の手役を上回ったことを。
「もう、貴様の顔は二度と見たくない―――その忌まわしき命、神に返しなさい」
- 48 名前:名護啓介 ◆753/IdWG5E :2008/07/23(水) 22:17:34
- とりあえず、攻撃する為の理由付けを行うことで保身を図ってみました。
レコーダー類には気付かないままということにしてはいますが。
- 49 名前:名護啓介 ◆753/IdWG5E :2008/09/13(土) 22:30:17
>>
「――――名護啓介。
まさか、ファンガイアと通じるところまで堕ちていたとはな」
有角が名護に続いて晒した手札。
それは、ファンガイアハンターとしての名護の立場を揺るがせる最悪のジョーカー。
キバを追い詰める為に、恵に執心するファンガイア・糸矢を脅迫し利用した一件を撮影した映像。
(……まさか、あの時の映像まで用意していたとはな)
名護は考える。背徳の証拠というべき映像を用意した有角の真意を。
あの映像が嶋の元に渡れば、名護はイクサの装着者として不適格と看做される。いや、それどころか『素晴らしき青空の会』を追放されかねない。
考えうる限りの最悪の未来。それだけは避けなければならない。
「今更言うまでもないが、監査は『Intercept X Attacker』装着者本人もその対象に含まれている。
これは組織の内外から上がった声だ。
現装着者であるお前の行動が最近、こと目に余るとは聞かされていたが…ここまでとはな。
当然だが、これは重大な背任行為だ。
不祥事というレベルすら軽く超えている、組織への裏切りそのものといっていい」
名護は、有角の言葉を半ば聞き流しながら思考を巡らせる。
心に想い描く未来を、その手に掴む為に。
第二に、有角が単身でこの場所に現れたというこの現実は、『青空の会』が持つ政治力の賜物であり、有角はそれを認識している節が有る。
有角が打った手は保身のために、名護のスキャンダルを切り札にして自身の有用性を示し、この先も生き続ける為の戦略の最善手。
この戦略をどのように崩すか、反撃の一手を打とうとしたその矢先。
痛烈無比にして、決定的な王手が楔のように打ち込まれた。
「――――全くな。何が『絶対正義』だ。正義が聞いて呆れる。」
「……黙れ」
―――貴様に何がわかる。
「念の為だが、この場合黙秘権は不利になるだけと言っておこう。
ファンガイアへの寝返り―――この疑惑に対して、納得のいく説明を聞かせてもらおうか」
「……黙れと言った」
―――貴様に、俺の正義の何が判る!
名護の抱く『絶対正義』、それは未だ完成されていない。
神ならぬ人間が完全な物を作り出す為には、様々な代償を払わなければならない。
『絶対正義』の完成のために必要な代償。それは『キバ』であり有角幻也である。
「俺に、同じことを、二度言わせるな……!」
名護の怒気を孕んだ言葉が、有角の追求を阻む。
俗に言う“逆ギレ”という行動である。この行動が己の不利益に働く可能性が高い事を承知で、名護は勝負に打って出たとも言える。
「俺がファンガイアに寝返った……だと? 誰が捏造したかも判らないような映像を根拠に?」
有角が、なぜ名護の自白を求めるような言動に出たのか。それは映像単体では証拠能力に欠ける、それ以外に無いと名護はこの瞬間に、確信した。
ならば、打つべき手はただ一つ。
有角の行動の信憑性を完全に破壊することに尽きる。
「そのような胡散臭い映像をわざわざ用意した努力に免じて偽証の罪は見逃そう……
だが、ミスは罪だ。貴様の犯した、“俺を陥れようとしたミス”という罪は償わなければならない」
かくして弾劾者は逆転し、咎の在処は流転する。
己の証明を立てる術は唯一つ。
「アドリアン=ファーレンハイツ=ツェペシュ……その命、神に返しなさい」
力で捻じ伏せ、奪うのみ。
- 50 名前:名護啓介 ◆753/IdWG5E :2008/09/13(土) 22:39:52
- >>47を修正しました。
取りこぼした『絶対正義』の下りが中心になるよう加筆しています。
少々間が空いてしまいましたが、これは私の不徳と言わざるを得ないでしょう。
一つ提案なのですが、この闘争が本編27〜28話に登場した棚橋による青空の会撲滅の陰謀に
関わって行く、というのはどうでしょうか。
そちらの機関が意趣返しのために棚橋に加担する、というように。
ただこの提案はエピローグに関わってくることなので、没にしても構いませんが。
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