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■ RHマイナス板専用テストスレッド

1 名前:名無し客スナイパーカスタム:04/09/22 02:20
様々な書き込みテストにご使用ください。

235 名前:名無し客スナイパーカスタム:05/04/09 17:07


236 名前:名無し客スナイパーカスタム:05/04/09 17:08

 
   ←かき氷シロップメロン味


237 名前:名無し客スナイパーカスタム:05/04/09 17:08

  
    ←かき氷シロップメロン味


238 名前:名無し客スナイパーカスタム:05/04/09 17:09

.  
.  


239 名前:名無し客スナイパーカスタム:05/04/09 22:33
                  ,. -一   ̄ ̄`  - 、
                  /             \
               |====ミx,、、_        \
            、__>ァ¬一ァ―r¬ミi、         \
               ̄7'/'/ ////  ,ハヘ.,ニヽ、     }
               // / /:,'/,'  '  i┴`≠| i }`T''トrイ
             //i , ; !:!:|  !:/  |Tヽ | ,ハ. l. l. }::|
              | i {. { l | トi;、/_ヽ | \ ヽ!ノi. }:| :! l :|
             N.\ヽ.ヽ.ヽi!.≡≡  ≡≡ ji. |,リノ ' , |
                >ト、_トトr""      ""´イ/',.イ/ :/
                 /:イ ハトゞゝ   「`7   ≦,イィ1 イ /|
     _. --- 、    /〃 ,'// /:/_>  `   イ //ノ ,ハ{ノ!


240 名前:名無し客スナイパーカスタム:05/04/17 09:02
中国人はガキ

241 名前:名無し客スナイパーカスタム:05/04/21 21:50
>>1
>>2
>>3

242 名前:名無し客スナイパーカスタム:05/04/23 01:07
http://www.jfast1.net/~charaneta/ikkokuRH/img/1095787239/242.jpg (14KB)

テスト

243 名前:あぼーん:あぼーん
あぼーん

244 名前:あぼーん:あぼーん
あぼーん

245 名前:名無し客:2005/04/26(火) 06:17:41
更に書き込みテスト

246 名前:名無し客:2005/04/26(火) 06:27:49
テスツ

247 名前:名無し客:2005/04/26(火) 14:51:01
テスト

248 名前:名無し客:2005/04/26(火) 16:10:14
……随分と留守にしてしまったわね。
ひと月ぐらいは空けちゃったかしら?
家屋に限らずこういう場所って、人が居ないと、たとえ何もされてなくても老朽化していくものだから…。


それじゃ、>>548も待っててくれた事だし…レス、するわね。

>>527 おとこのこって、なにあげたらうれしいかな?
あら……ひょっとして好きな子でも出来た、>527?

そうねえ…男の子と一概に言っても
うちのシャノンみたいなのも居れば、ヒタカさんやレオくん、それにクリスみたいな子も居る訳だし。
やっぱり分からないうちは、一概には決めかねるわね。

それなら、やっぱりその子の好きなものや、趣味の分野の品物を贈ればいいんじゃないかしら。
自分が贈答品プレゼントを贈りたくなるほど想っている相手なら、そのぐらいはわかるでしょう?

>>529 暗黒騎士オズ
襲い掛かって来たから、仕方なく倒しちゃったけど……
この人、襲う相手を間違えたんじゃないかしら?

パシフィカ――<廃棄王女>を狙って来たにしては、「姉さんの仇」というのもおかしな話だし。
今までに撃退した職業的暗殺者の中に、この人のお姉さんでも居たら話は別だけど、今のところ思い当たる節もないし…

とりあえず気を失っているだけだから、簡単な手当てをして、置いていきましょうか。
シャノンが上手い具合に手加減してくれたことに、感謝するべきね。

>>530 一万年間闘っていたら疲れたよ、姉ちゃん…
――まあ、一万年も……。

私達の<封棄世界>の神だったシリア・マウゼルも、
五千年もの間、自分の精神が磨耗していく苦しみに堪えてきたって言う話だったけど…その倍とはね。
まだまだ私達の世界の常識だけでは計り知れない事も有るっていう事なのかしら。

――そうね、一万年も戦い続ければ、やっぱり疲れるわよね。
貴方は、よく戦った。
だから、もう―――休んでいいの。

>>531 姉ちゃんなんて大嫌いだー
………そう。
なら気が済むまで、貴方の思うようにしていいわ。


……でもね、これだけは覚えておいて。
私はいつでも、貴方達の味方だから。
そしてこれは義務でもなんでもなくて、私がそうしたいからそうしているの。

>>535 姉ちゃんのパンツはいいにおいがする……
ふぅん、そう……それは良かったわね。

――壁よ・阻め。
(防性魔法< 塞壁ミズガルズ>起動、防御結界の壁で>>535を跳ね飛ばし)

雷槌ミョルニルよ・撃て。
(< 雷槌ミョルニル>の電撃を>>535に撃ち込み)


炎の民よ・踊れ。
(さらに<炎陣ムスペル>の爆炎の壁で、>>535を薙ぎ払って)

其は天を焦がす偉丈夫・まといしものは青白き稲妻・雷の荒ぶる支配者よ・
    轟くものよ・戦士の誓いと盟約の元に・我は汝を召喚す――――出でよ、<>
(とどめに、無闇に爽やかな笑みを浮かべた雷の巨人を作り出し、背後にはべらせて)


……それで。
何か言うべき事があるんじゃないかしら>>535?(にっこり

249 名前:名無し客:2005/04/26(火) 16:14:41
……随分と留守にしてしまったわね。
ひと月ぐらいは空けちゃったかしら?
家屋に限らずこういう場所って、人が居ないと、たとえ何もされてなくても老朽化していくものだから…。


それじゃ、>>548も待っててくれた事だし…レス、するわね。

>>527 おとこのこって、なにあげたらうれしいかな?
あら……ひょっとして好きな子でも出来た、>527?

そうねえ…男の子と一概に言っても
うちのシャノンみたいなのも居れば、ヒタカさんやレオくん、それにクリスみたいな子も居る訳だし。
やっぱり分からないうちは、一概には決めかねるわね。

それなら、やっぱりその子の好きなものや、趣味の分野の品物を贈ればいいんじゃないかしら。
自分が贈答品プレゼントを贈りたくなるほど想っている相手なら、そのぐらいはわかるでしょう?

>>529 暗黒騎士オズ
襲い掛かって来たから、仕方なく倒しちゃったけど……
この人、襲う相手を間違えたんじゃないかしら?

パシフィカ――<廃棄王女>を狙って来たにしては、「姉さんの仇」というのもおかしな話だし。
今までに撃退した職業的暗殺者の中に、この人のお姉さんでも居たら話は別だけど、今のところ思い当たる節もないし…

とりあえず気を失っているだけだから、簡単な手当てをして、置いていきましょうか。
シャノンが上手い具合に手加減してくれたことに、感謝するべきね。

>>530 一万年間闘っていたら疲れたよ、姉ちゃん…
――まあ、一万年も……。

私達の<封棄世界>の神だったシリア・マウゼルも、
五千年もの間、自分の精神が磨耗していく苦しみに堪えてきたって言う話だったけど…その倍とはね。
まだまだ私達の世界の常識だけでは計り知れない事も有るっていう事なのかしら。

――そうね、一万年も戦い続ければ、やっぱり疲れるわよね。
貴方は、よく戦った。
だから、もう―――休んでいいの。

>>531 姉ちゃんなんて大嫌いだー
………そう。
なら気が済むまで、貴方の思うようにしていいわ。


……でもね、これだけは覚えておいて。
私はいつでも、貴方達の味方だから。
そしてこれは義務でもなんでもなくて、私がそうしたいからそうしているの。

>>535 姉ちゃんのパンツはいいにおいがする……
ふぅん、そう……それは良かったわね。

――壁よ・阻め。
(防性魔法< 塞壁ミズガルズ>起動、防御結界の壁で>>535を跳ね飛ばし)

雷槌ミョルニルよ・撃て。
(< 雷槌ミョルニル>の電撃を>>535に撃ち込み)


炎の民よ・踊れ。
(さらに<炎陣ムスペル>の爆炎の壁で、>>535を薙ぎ払って)

其は天を焦がす偉丈夫・まといしものは青白き稲妻・雷の荒ぶる支配者よ・
    轟くものよ・戦士の誓いと盟約の元に・我は汝を召喚す―――

……出でよ、<>♪
(とどめに無闇に爽やかな笑みを浮かべた雷の巨人を作り出し、背後にはべらせて)


……それで。
何か言うべき事があるんじゃないかしら
>>535(にっこり

250 名前:名無し客:2005/04/27(水) 01:26:34
test

251 名前:名無し客:2005/04/27(水) 01:31:20
トライアル

252 名前:名無し客:2005/04/27(水) 18:29:47
((;゚Д゚))
((;゚Д゚))

253 名前:水野蓉子 ◆SA/8YOUKOU :2005/04/29(金) 09:29:48
テスト、ね。

254 名前:あぼーん:あぼーん
あぼーん

255 名前:あぼーん:あぼーん
あぼーん

256 名前:あぼーん:あぼーん
あぼーん

257 名前:あぼーん:あぼーん
あぼーん

258 名前:あぼーん:あぼーん
あぼーん

259 名前:あぼーん:あぼーん
あぼーん

260 名前:あぼーん:あぼーん
あぼーん

261 名前:あぼーん:あぼーん
あぼーん

262 名前:さすらいの板メンテナー ★:2005/05/02(月) 18:57:01
ううむ。
どうもこのスレだけID出ちゃいますねぇ。
さくっとID出てる分だけ消しちゃいましょう。

263 名前:さすらいの板メンテナー ★:2005/05/02(月) 18:58:20
……あれ?
なんで今は大丈夫なんだ?
まあいいや、消しちゃいまーす。

と、いうことで、>>254-262は削除となりました。


264 名前:名無し客(¥50):2005/05/03(火) 16:50:50 ID:???
串規制テスト

265 名前:名無し客(¥50):2005/05/05(木) 01:33:46 ID:???
テスト

266 名前:名無し客(¥50):2005/05/05(木) 01:48:05 ID:???
テスト。

267 名前:名無し客(¥50):2005/05/05(木) 01:52:47 ID:???
テスト


268 名前:名無し客(¥50):2005/05/05(木) 01:53:44
再度テスト。

269 名前:名無し客(¥50):2005/05/05(木) 01:53:57
もう一度。

270 名前:◆t8f5urBnSI :2005/05/05(木) 20:55:41
テスト

271 名前:◆ukV5mIgD.Q :2005/05/05(木) 20:56:55
再テスト

272 名前:◆Kj4JCJfnRU :2005/05/05(木) 20:58:24
再々テスト

273 名前:名無し客(¥50):2005/05/06(金) 03:28:47
test

274 名前:名無し客(¥50):2005/05/16(月) 00:32:04
<font color=#FF00FF>テスト</font>

275 名前:名無し客(¥50):2005/05/16(月) 01:24:41
テスト

276 名前:名無し客(¥50):2005/05/16(月) 20:30:47
テストします

277 名前:◆LasOiegeiI :2005/05/18(水) 04:10:26
テストっと

278 名前:名無し客(¥50):2005/05/18(水) 04:12:55
てすと

279 名前:名無し客(¥50):2005/05/18(水) 04:13:32
てすとですよ

280 名前:名無し客(¥50):2005/05/18(水) 04:13:50
試験

281 名前:名無し客(¥50):2005/05/18(水) 04:19:57


282 名前:名無し客(¥50):2005/05/18(水) 04:21:36
書き込めない?

283 名前:シン・アスカ ◆LasOiegeiI :2005/05/18(水) 21:11:14
テストも俺のお家芸だな!!

284 名前:名無し客(¥50):2005/05/18(水) 23:54:56
test

285 名前:名無し客(¥50):2005/05/24(火) 20:28:21
test

286 名前:名無し客(¥50):2005/05/28(土) 04:00:54
 「気遣いは有り難いが、サングラスこ    れは俺のトレードマークみたいなモンなんでね…ずっとかけ続けてる所為かもう慣れてる。」

287 名前:デストロイ名無し客:2005/06/05(日) 19:30:26
タグテスト

288 名前:◆KAHO3vheno :2005/06/24(金) 22:31:44
テスト

289 名前:花穂 ◆KAHO3vheno :2005/06/24(金) 22:34:52
えっと……これでいいのかなぁ?

290 名前:デストロイ名無し客:2005/06/24(金) 23:44:31
test

291 名前:青銅名無し客:2005/06/26(日) 02:27:49
test

292 名前:青銅名無し客:2005/06/26(日) 02:28:36
testテスト

293 名前:◆R/pPANZERI :2005/06/28(火) 23:08:18
書き込みテスト

294 名前:◆R/pPANZERI :2005/06/28(火) 23:08:53
もう一回

295 名前:◆R/pPANZERI :2005/06/28(火) 23:12:10
テスト

296 名前:青銅名無し客:2005/06/28(火) 23:48:35
テスト

297 名前:青銅名無し客:2005/06/28(火) 23:49:49
テスト♪

298 名前:白金名無し:2005/06/28(火) 23:55:34
テストパピコ。

299 名前:白金名無し:2005/06/28(火) 23:56:43
もう一度テストパピコ。

300 名前:青銅名無し客:2005/06/29(水) 00:04:26
テスト。

301 名前:白金名無し:2005/06/29(水) 00:34:19
テストパピコ。

302 名前:青銅名無し客:2005/06/29(水) 00:38:14
テスト

303 名前:孤高の紫炎 ◆Iori/GPRcE :2005/06/29(水) 22:33:28

 
 ス
 ト


304 名前:青銅名無し客:2005/07/05(火) 20:03:27
テスト

305 名前:青銅名無し客:2005/07/05(火) 20:06:35
もいちど

306 名前:青銅名無し客:2005/07/05(火) 20:20:36
書き込みテスト

307 名前:青銅名無し客:2005/07/16(土) 09:24:13
書き込みテスト

308 名前:ヘアバンドの女子大生:2005/07/16(土) 23:29:58
最終調整…ね。

三人「ハイッ! ハイッ! ハイハイハイッ!
    ハイッ! ハイッ! ハイハイハイッ!
       ハイッ! ハイッ! ハイハイハイッ!」

私達の威勢のいい掛け声が、熱気渦巻くイベントホールに木霊する。
イベントホールに集う私達黄薔薇三姉妹は、今日は多少緊張した面持ちで、
背の高い緞帳を潜り抜けて舞台に立つ。
舞台上の私達の心身を包むのは、深い色の制服(夏服)
声がガタガタ震えないように、顔に冷や汗をかかないように、ハイテンションで押し切るのが
こういう場の入場のたしなみ。もちろん、緊張のあまり足をもつれさせるて転ぶと言う失態をする
姉妹など存在し様もない。(あ、こういう展開も美味しかったかも)

黄薔薇三姉妹

って、ひとりモノローグを思い浮かべている場合じゃ無いわね。
さて、威勢のいい掛け声と共に先頭を切って歩いているのは由乃ちゃん。
孫馬鹿って笑われるかもしれないけど、由乃ちゃんの笑顔の眩しさはリリアンでもトップクラスにあると思う。
由乃ちゃんの笑顔を前面に押し出しつつ、私達は当初決めた通りのポジションに付く。


309 名前:ヘアバンドの女子大生:2005/07/16(土) 23:31:04
さて、威勢のいい掛け声と共に先頭を切って歩いているのは由乃ちゃん。
孫馬鹿って笑われるかもしれないけど、由乃ちゃんの笑顔の眩しさはリリアンでもトップクラスにあると思う。
由乃ちゃんの笑顔を前面に押し出しつつ、私達は当初決めた通りのポジションに付く。
私たちより一歩前に由乃ちゃんが立ち、その真後ろに令が立つ。
そして令に隣に私が立ち―――ツカミへの準備を完了させる。

三人「ハイッ! ハイッ! ハイハイハイッ!
    ハイッ! ハイッ! ハイハイハイッ!
       ハイッ! ハイッ! ハイハイハイッ!」
三人「いよぉぉぉぉぉぉーーーーーーっ」

コントラバスからソプラノへ。
高低差をつけた掛け声を発しながら、声にあわせて令は由乃ちゃんを肩車し、
肩車をされた由乃ちゃんは令の頭に抱きつき、私は令の肩にしなだれる。

そして、

三人「ごきげんよう、黄薔薇三姉妹でーすっ」

私達は、私達の舞台の火蓋を気って落とした。


310 名前:ヘアバンドの女子大生:2005/07/16(土) 23:31:39
「はいっ、らっせぇーらぁっ、らっせぇらぁーっ
   らっせぇーらぁっ、らっせぇらぁーっ」

令がしゃがみこみ由乃ちゃんを降ろすと、私達は向って左側から『私、由乃ちゃん、令』の順番で並ぶ。
なお、身長差のせいで目立たないが令は私たちより三歩ほど後ろに立っている。これも、演出の為の伏線だ。
さぁ、いよいよネタの始まりだ。

江利子「ごきげんよう。黄薔薇さま(ロサ・フェティダ)こと、鳥居江利子でぇーす」
由乃「ごきげんよう。黄薔薇のつぼみの妹(ロサ・フェティダ・アン・ブゥトン・プティ・スール)こと、島津由乃でぇーす」

さぁ、そして今度は令の番。このツカミが成功するか否かは令次第なのである。
剣道の試合で見せる鋭い目つきで観客を睨みを効かせつつ、ツカツカと舞台中央に歩んでいく令に、

江利子「ああ、何だか男前な人が来たわよ」
由乃「いよっ、ミスターリリアン」

と私達二人は掛け声をかける。そして令は舞台中央、舞台の端ギリギリにたどり着き…

令「ごきげんよう、令さんです」

と精一杯の笑顔で観客に微笑みかける。
凛々しさを残した笑顔ではない、あくまで17の女子高生としての可愛らしい笑顔である。
ここからはノンストップで畳み掛ける。

江利子「うわ、可愛いらしぃっ」
令「愛読書は、コスモス文庫です」
由乃「うわ、ベタな夢見る少女」
令「趣味は編物です」
江利子「うわ、ベタな将来いいお嫁さんな女の子」
令「あ、後お菓子作りも得意です。今日は皆さまにカップケーキを焼いてきました」
由乃「うわっ、ベタな人気取り」
江利子&由乃「ベッタベタのボーイッシュに見えて実は可愛い女の子キャラだ―っ」


江利子「ハイッ! ドーンドーンドーン」
由乃「ベタベッタ」
江利子「ドッドーン ドッ ドーン」
由乃「ベタでーすっ」

私達が囃し立てている間に、令は手にしたカップケーキを客席に投げ込む。
流石に鍛えているだけあって、ケーキは観客席の中央から後方へと飛んでいく。うん、リハーサル通り。
当然、投げ込んでいるカップケーキは当然令のお手製である。
元ネタどおりの紙吹雪も考えたのだが、ツカミを考えているうちにこちらの方が令のキャラを生かせると
判断したので、こちらのパフォーマンスに決めたのだ。
令がカップケーキを用意した五個すべて投げ込んだのを見計らい、ベタベタコールを終了させる。
さぁ、ここからいよいよネタ。掴んだお客さんの心が離れる前にガンガンと攻勢に出て行く事にしましょう。



311 名前:ヘアバンドの女子大生:2005/07/16(土) 23:33:31
江利子「改めましてごきげんよう。最初に説明をさせていただきますが、黄薔薇三姉妹といっても本当の姉妹ではありません」
令「私と由乃は従姉妹同士なんですけどね」
由乃「ええ、こっちは正真正銘」
江利子「二人とも、場を混乱させるような物言いは止めて頂戴。
    要約して説明させていただきますと、リリアンには上級生が下級生を導く校風がありまして、
    その中でも特に強く結びついた上級生と下級生のカップルを姉妹(スール)と表現いたします」
由乃「ちなみに、ユニット名にある「黄薔薇」は山百合会…いわゆる生徒会幹部の名称で、他には「紅薔薇」「白薔薇」があります」
令「昔から、姉妹の関係は「包み込んで守るのが姉、妹は支え」と言われていますが」
江利子「『支え』ねぇ…。はぁ…。」
由乃「『守り』ねぇ…。はぁ…。」
令「いや、なんで二人で私のほうを見て溜息をつくんですかっ」
江利子・由乃「胸に手を当てて考えてみて?」
令「…orz」
江利子「ああ、そう言えば私達山百合会幹部に限って言えば「○薔薇ファミリー」って呼ばれる事も多いわね」
由乃「ちょっと待ってください、姉妹という関係でしたら問題は無いのですがファミリーと言う名称で呼ぶなら
   先ほどの立ち位置に異議があります」
江利子「さっきの立ち位置って、令があなたを肩車して私が令にしなだれるあれのことかしら?」
由乃「ええ、そうです。黄薔薇をファミリーに例える場合の理想的な立ち位置は…
   ほら、令ちゃん。舞台の上でいつまで落ち込んでいるの?」
令「え、あ、由乃」
由乃「話をちゃんと聞いていた? ほら、ちゃっちゃと立って。」
令「うん、こうかな?」
由乃「そう。それで私がこうやって令ちゃんの腕をとって…」
江利子「公衆の場は「令さま」もしくは「お姉さま」でしょう?由乃ちゃん。
    それで、私は何処に立てばいいのかしら?」
由乃「そこで、恨めしそうに立っていて下さい。
   べたべたな若夫婦とそれを恨めしく見ているお姑、
    この立ち位置こそが、『黄薔薇ファミリー』の名にピッタリじゃ無いですか?」
江利子「令、ちょっとこっちに来なさい」
令「は、はい。お姉さま」 由乃「あっ、ちょっと令ちゃん」
江利子「(令に腕を絡ませて)あら、お姑さんはどっちかしらね?
    大好きな従姉妹で幼馴染を、ふらっと現れた私に取られて悔し泣きするその姿。
    大切な息子を他所の女に取られて嫉妬するお姑さんにそっくりじゃ無い」
由乃「うーっ」
江利子「それじゃ、これから立ち位置はずっとこういう形にして、
    今度からユニット名を黄薔薇ファミ令「待ってください!」
私の腕を振り解いた令が叫ぶ
令「ちょっと待ってください」
由乃「令ちゃん…」江利子「令…」
令「少しは…少しは私の気持ちも考えてください。私の意見を聞いてください」
江利子「ごめんなさい、令」由乃「令ちゃん…ごめんね? 令ちゃんの気持ちを考えないで…でも…」
令「私は…私は…」
江利子&由乃「私は?」

312 名前:ヘアバンドの女子大生:2005/07/16(土) 23:34:36








令「私は、旦那さん役ではなく、お嫁さん役がやりたいんです!」

















しーーーーーーーーん









313 名前:ヘアバンドの女子大生:2005/07/16(土) 23:34:59
令の悲痛な叫びがそうさせたのか、それともあまりに思いつめた表情がそうさせたのか?
あるいはその両方なのか…とにかく、会場には張り詰めた空気が蔓延した。
…誰か、「あんたら、みんな女の子やないかぁ!」というツッコミを入れる人がいないのかしら?
ここまでは当然計算通り、わたしは由乃ちゃんと軽く目線を合わせ、



江利子&由乃「却下!」


と、冷たく突き放す。

令「ええっ、そんなぁ」
由乃「この3人を見たら、夫役は令ちゃんしかいないでしょう?」
令「でもぉ…。」
江利子「じゃぁ、審判にかけてみる?」
令「審判って?」

ばさぁぁっ
私は、あらかじめ舞台に仕込んでおいたマントがかかった物体のマントを取り外す。
そこに現れたのは、デジタル数字で100まで表示できる電光掲示板
疑問と抗議を挟まれる前に、

江利子「さぁ、会場の皆さん。令はこの中では夫役意外ありえないと思う人スイッチ・ON」

ちゃぁーちゃらちゃらちゃらちゃーらんちゃーらん
     ちゃぁーちゃらちゃらちゃらちゃーらんちゃーらん
         ちゃーちゃんちゃーちゃんちゃん

お昼休みのあの番組の効果音と共に電光掲示板に表れた数字は…
令「そんなぁ…」orz

100

江利子「まさか100を叩き出すとはね…」

当たり前の事だが、誰もスイッチを持っているわけはない。完全な仕込である。

由乃「大丈夫、令ちゃんはちゃんと由乃を貰ってくれるんでしょう? ほら、シャンとして」
令「私…お嫁にいけないのかなぁ…。」
江利子「大丈夫よ、令」
令「お姉さま!」
江利子「最近は、「おもなるおっと」と書いて、”主夫”って言うのも流行っているみたいだから」
令「うぅっ…うぅっ…。」

さて、これでネタ第一部終了。お客の様子は…よかった、そこそこ受けているみたいね。
さぁ、ここで間髪いれずに小休止を兼ねたネタ第2部に突入よ。

314 名前:ヘアバンドの女子大生:2005/07/16(土) 23:36:05
由乃「ところで令ちゃん? 私おなかすいちゃった。」
江利子「あのね、由乃ちゃん。今本番中…
令「はい、由乃。今日のおやつはプリンだよ」(舞台袖からクーラーボックスを持ち出し、中からプリンとスプーンを取り出し、渡す)
由乃「わーいっ、令ちゃんありがとう」
令「いえいえ、どう致しまし…どうしました?お姉さま?」
江利子「あのね、普通舞台の上でおやつは食べないでしょう?」
令「別にいいのではないですか? お姉さま。元ネタでも、普通に美味しくお菓子を食べるシーンとかありますし」
江利子「元ネタ言わない。だいたい…
令「あ、お姉さまの分もありますよ?」(きらきらときらめくゼリーとスプーンを取り出す)
江利子「え?」
令「ほら、お姉さまこの前メープルパーラーのパインゼリーが美味しかったって言っていたじゃ無いですか?
  それで、私もちょっと研究をしてみまして、全く同じとはいきませんでしたが、
  かなりいい線をいっている出来のものを創れるようになりましたので、ここに作って持って来ました。
  はい、どうぞ」
江利子「そう、じゃあ頂くわ」
由乃「んぐっ。って、黄薔薇さまも食べるんですか!。」
江利子「そういう由乃ちゃんだって、令お手製のプリンを食べているじゃ無い。あむっ」
令「あの、喧嘩しないで下さい。それじゃ、私も…

江利子&由乃「駄目よ!」

令「えぇっ」
江利子「んっ、誰か一人はボケかツッコミをしていないと観客の皆さまが退屈するじゃ無い。あむっ」
令「だ、だって…」
由乃「『だって』、じゃ無いわよ。私は今プリンを食べるのに忙しいの。だから令ちゃん、場のつなぎをお願い。はむっ」
令「そんなぁ…私が作ったんだよ…プリンも…ゼリーも…」
江利子「そんなぁ…じゃ無いの。それとも何? 令は黄薔薇三姉妹としての責務を放棄するの?むぐむぐっ」
令「いや、黄薔薇さまだって責務を放棄しているじゃ無いですか」
由乃「分かってないわね? 元ネタのグループだって、一人がお菓子を美味しそうに食べている間に
   のこり二人が場を盛り上げているじゃ無い! 忘れたの!。カツッカツッカッ」
令「いや、忘れてはいないけど…私一人じゃどうにも」
江利子「そんな情けない妹を持った覚えはないわ、令。カツッカツッカッ」
由乃「ふぅーっ、やっぱり令ちゃんのお菓子は最高! はいっ、これ容器とスプーン」
令「うん…」(だまってクーラーボックスにそれを戻す)
江利子「こればっかりは由乃ちゃんに同感ね。はい、これもお願い」
令「はい…」(だまって(ry

さぁ、舞台はこれから一気にオチに突入。令、すべてはあなた次第よ。


315 名前:ヘアバンドの女子大生:2005/07/16(土) 23:37:38
由乃「ところで令ちゃん、さっきの続きになるんだけど、ちょっと確認したい事があるの?」
江利子「ああ、私もちょうど令に確認したい事があるわ。」
令「あ、あの…なんでしょう?」

江利子&由乃「どっち?」

令「あの、どっちって?」
由乃「私と」
江利子「私。令はどっちを選ぶの?」

令「えぇっ!」

(令の右袖と手首をガッチリと掴むと、それらを自分の方へ引っ張りながら)
由乃「私よね? 令ちゃん。」
(令の左袖と手首をガッチリと掴むと、それらを自分の方へ引っ張りながら)
江利子「あら、私よね? 令」

令「痛い、痛い!」

江利子「あら、由乃ちゃん。あなたがあんまり引っ張るから、令が痛がっているじゃ無い。
    由乃ちゃんは時代劇がすきなんでしょう? 大岡越前くらいは知っているわよね?」
由乃「あの話は、引っ張られているのが弱い子供だったから成り立つ裁きです。
   令ちゃんはもう大人です。引っ張られるがままじゃなく、嫌な方をちゃんと振りほどくはずです」

令「痛い痛い痛い!」

由乃「令ちゃん、痛いのが嫌なら黄薔薇さまなんか早く振りほどいてこっちに来て!」
江利子「令、さぁ、過去を振りほどいて、私と一緒にこっちに来なさい」

令「痛い痛い痛い痛い! これ以上は止めて」
由乃「私、絶対令ちゃんを話さない」
江利子「私も、例え振りほどこうとしても絶対に食いついて見せるわ」

令「だめ、これ以上引っ張られると千切れちゃう―ッ」

316 名前:ヘアバンドの女子大生:2005/07/16(土) 23:38:15
令が叫ぶと同時に、
ビリビリビリビリビリーッ
会場中に、何かが引きちぎられる音が響き渡る。

キャ――――――――――――ッ
絶叫に似た悲鳴が、イベントホールに木霊する。

そう、左右から強く引っ張られたせいで令の制服は真っ二つに裂けたのだ。

317 名前:ヘアバンドの女子大生:2005/07/16(土) 23:38:45
令の絶叫の『ッ』が後部座席を突き抜けようとしたころ、場の雰囲気は一転した。
江利子「ハイッ、ドーンドーンドーン」
令「ベタベッタ」
江利子「ドッ ドーン ドッドーン」
令「おちでーすっ」
そう、もみ合いの末に令の制服が破れると言う、このハプニングこそが落ちなのである。
由乃ちゃんは、あらかじめ用意したオチ用のカップケーキ5個を客席に投げている。
モーションはいいんだけどいかんせん基礎体力が無い。
ケーキは客席前列に投げられているようだ。うん、計算通り。

ケーキを投げ終えた由乃ちゃんがこっちに来て、三姉妹が一列に並ぶと
江利子「ドーン ドーン ドーンッ」
由乃「ベタベッタ」
江利子「ドッ ドーン ドッドーン」
令「へくちっ」
江利子「ドーン ドーン ドーンッ」
由乃「ベタベッタ」
江利子「ドッ ドーン ドッドーン」
令「オチでーすっ」

こうして三人並び、少しづつ少しづつ舞台袖に消えていくのが当初の予定だったんだけど…
ちょっとした悪戯心が浮んできて…私はそれを実行する事にした。

江利子「ドーン ドーン ドーン」
由乃「ベタベッタ」
江利子「ドッ ドーン ドッドーン」
そして、令の「へくちっ」を無視して令の腕に抱きつき
江利子「私達、ベッタベタでーすっ」
と大声で叫んでみた。さぁ、由乃ちゃんはどう出るか?
江利子「ドーン ドーン ドーン」(あ、怒っている怒っている)
由乃「ベタベッタ」(ここは普通にこなしているわね)
江利子「ドッ ドーン ドッドーン」(さぁ、どうでるのかしら? 由乃ちゃん)
令「落ち由乃「私達の方が、ベッタベタでーすっ」

うんやってくれる、由乃ちゃん。それでこそ、私の愛する孫。令を取り合うのも張り合いが出てくるわ。

どーん どーん どーん べったべった どっ どーん どっどーん
黄薔薇姉妹はべったべたでーすっ。

そんなことを考えながら、私は令の腕に抱きつきながら舞台袖へと下がっていった。
(黄薔薇三姉妹 完)

318 名前:ヘアバンドの女子大生:2005/07/16(土) 23:47:45
気になった所があるから、再確認。

「ごきげんよう、令さんです」

と精一杯の笑顔で観客に微笑みかける。
凛々しさを残した笑顔ではない、あくまで17の女子高生としての可愛らしい笑顔である。
ここからはノンストップで畳み掛ける。

江利子「うわ、可愛いらしぃっ」
「愛読書は、コスモス文庫です」
由乃「うわ、ベタな夢見る少女」
「趣味は編物です」
江利子「うわ、ベタな将来いいお嫁さんな女の子」
「あ、後お菓子作りも得意です。今日は皆さまにカップケーキを焼いてきました」
由乃「うわっ、ベタな人気取り」
江利子&由乃「ベッタベタのボーイッシュに見えて実は可愛い女の子キャラだ―っ」

319 名前:青銅名無し客:2005/07/18(月) 08:29:36
書き込みテスト

320 名前:青銅名無し客:2005/07/18(月) 16:48:20
>>461
聖!?しばらく顔を見せないと思ったら…風邪を引いたのなら連絡くらいなさい!
そうすればすぐに看by…な、なんでもないわ。
とにかく、あまり心配かけるんじゃないの。分かった?








…どうしてこういう言い方しかできないのかしら、私。(´・ω・`)ショボーン

321 名前:青銅名無し客:2005/07/20(水) 21:44:21


322 名前:青銅名無し客:2005/08/25(木) 13:31:57
あ〜テステステス

323 名前:青銅名無し客:2005/08/28(日) 23:15:18
>>21
なんだそれは?


死への憧れの表明か?喜んで手伝ってやるぞ

324 名前:青銅名無し客:2005/08/28(日) 23:47:59
>>23
思わないな。
そもそもわれらの紋章に限らず、紋章のモチーフによく使われる有翼竜、一角馬などの幻想の生き物は全て人が滅ぼしたモノであろ?

そもそも紋章に選ばれたのは八頸竜ガフトノーシの姿に八つの門を持つ帝都
の姿を投影したからだ。
八頸竜の運命に憧れたわけじゃないぞ。


それに、母都市が生み出した神話において礎になった八頸竜がわれらの象徴として甦るのはある意味象徴的であろ?


325 名前:青銅名無し客:2005/09/06(火) 20:08:27
test

326 名前:青銅名無し客:2005/09/07(水) 01:13:50
 島の一番の高台に立って、俺は沈む夕日を見ていた。
 黄色い球体が、水平線でゆがんで潰れ、消えてゆくそのさまと、
 夕日が作る長い長い影が、島のすべてを覆い、飲み込み、おぼろな闇に沈んでいく様を、見ていた。

 黄色い輝きのすべてが没し、闇が完全に辺りを覆ってようやく、
 俺は自分が己でも気づかぬうちに、食い入るようにそれに見入っていたことに気づいた。

 静かに、息を吐き出す。
――途端、血臭が鼻腔を刺した。

 丘から見下ろすだけで、死骸がゴロゴロと目に入る。
 日が暮れるのを待っていましたとばかりに、そいつらは蠢きだしていた。

 この島は、今、どこでもこうだ。地相は最悪、積層都市の最下層並み。
 生者と死者と魔物を一緒くたにし、幾人もの贄を得て、
 殺し合いという名の祭祀を執り行おうとしている輩がいるらしかった。

 俺も贄のうちの一人というわけだ。
 気に入らないが、まあ、いい。俺は俺で、俺のゲームを始める。

 生者をすべて吸血鬼にしてしまえば、そいつらはさぞ慌てるだろうさ。

「マクスウェル、休暇をやるよ」
 その呟きを開始の合図に、俺は獲物を求めて闇の中へと踏み入った――

327 名前:青銅名無し客:2005/09/07(水) 01:14:27
 最初の獲物はグールに襲われていた。
 森の外れ、屍人に追われて運悪く崖下に追い詰められていたのだった。

 おやおや、かわいそうに。
 見れば整った顔立ちだ。ここまで走り続けてきたのだろう。
 こわばった表情、押し殺された怯えの表情。
 こりゃ、味のわかんねぇグールにくれてやるのはもったいない。

 グールをどかしてコナかけようかと思った瞬間、
 気合の声がほとばしった。

――おやおや。
 追い詰められた鼠の逆襲だ。振り下ろされた木刀の一撃は、グールの頭骨をものの見事に砕いていた。
 頭部をほとんど破砕させ、動きを止めた死者を前に、少女は荒い息をついていた。

 木刀を構えた姿がなんとも様になっている。
 凛々しいねぇ。

 俺は足音をしのばせ、いまだ呼吸を整えている少女の後ろに回った。
 驚かせたくなったのだ。

「大丈夫かい、おじょうちゃん?」
 彼女の背後、数歩のところで俺はそう、声をかけた。

328 名前:◆LOSJACkEtA :2005/09/07(水) 03:13:00

 水平線の彼方へと沈んでいく太陽を背景に、メリーベル号はようやく、軍艦島と呼ばれる
小島の港へと、進入を果たしていた。

 船から渡されたスロープを伝い、車体をゆっくりと、船上から港へと進ませる。
 ハンドルを握りながら、上陸作業を続けている船員に視線を走らせる。
 が、目に入る表情はすべて、判で押したかのように引きつり、どこかおびえを感じさせるも
のばかり。まあ無理もないとは思う――上陸前に、あんな話をされてしまっては。

 事前にされていた説明通り、つい先日まで誰かに管理されていた形跡はあるものの――
しかし、施設周辺ににぽつぽつと転がっている、身じろぎひとつ無い人影が、その状況が既
に過去のものであると、明確に物語っていた。

 ぱっと見た限りで、五から六。
 恐らくはこの港の施設要員だったのだろうが、季節は夏、既にそれらが腐敗を始めている
現実を見てしまえば、そんなことを確かめる気も起きない。
 潮に混じって鼻をつく異臭に顔をしかめつつ――しかし、やはり信じられないという思いも
含めて、知らず俺は独りごちていた。

「この様子じゃ、本当に全滅してるっぽいな――いやはや、一体何が起こったんだか」

 今回の仕事は、かみ砕いて言えば『調査』だ。
 とある企業の所有する――していた小島の調査。元々はどこかの政府機関が研究施設
として使っていた島を買い取り、倉庫として使っていた云々……と言うことだったが、正直な
所、あまりよく覚えていない。
 まあともかく、その島が、二週間ほど前に突如連絡を絶ったのだそうだ。
 何かあったのかと不審に思い調査隊を派遣したものの、それ自体連絡を絶ち機関もせず。
 しまいには、島上空からの航空偵察にまで乗り出したらしい。

 そして彼らは――撮影された写真を見て仰天した。
 島全域に渡って、無数の死体が転がっていたのだ。倉庫移設、湾岸施設の運営に当たっ
て、島には数十人からの職員が生活していたと言うことだが、状況から見て既に全滅してい
る事は間違いがない。だが、一体何が原因で――――

 事態を重く見た社の上層部は、第三次の調査隊派遣を決定する。
 だがそれは、前回、前々回のような、定期査察に毛が生えたようなものではなく――
 重火器の携行すらも行う大がかりな代物だ。

 そして俺は、その携行される『重火器』のひとつとして雇われ、社内から島の様子をうかがっ
ている――と、そんなところだ。


 船員達とは違い、依頼を受けるときに予め、島の置かれている状況を聞いてはいたが……
実際に目の当たりにすれば、正直なところ驚きしか出てこなかった。

 ――が。
 そんな驚きは、次の瞬間、粉々に吹っ飛んだ。

「……これは」

 思わず車外に降りて、まじまじと観察したい衝動に駆られる――がそれは今、決してやっ
てはいけない行動なのは明白だった。

 今、眼下に転がる死体。
 そこには――前進が、なにものかに食い荒らされた痕跡が、まざまざと刻まれていた。

 何が起こったのかは、判りすぎるぐらい明白だった。つまり。つまり、この島は――!

 反射的に、急ごしらえで車内に設置された無線に怒鳴る。

「<メリーベル>、聞こえるか!? こちらはスタインバーグだ、島には絶対に降りるな!
 早く離脱の準備を。此処はもう、『汚染』されて――!」

 だが、言葉はそれ以上続かなかった。
 もっとも恐れいていた事態が――目の前で、起こってしまっていたからだ。
 先ほど見下ろしていたはずの喰われかけの死体が――立ち上がり、暗い眼窩をこちらに
向け、じっと、俺を見つめていたのだ。

「――――!」

 同時に。
 船の方から、散発的な炸裂音――銃声だ――が轟いている。
 はっと、海の方に目を向けた。
 太陽は既に沈みきり、その痕跡は水平線をうっすらと染める、紫色の帯だけだ。

「冗談――!」

 反射的にギアシフト、キャリアをバックさせる――が、背後からの鈍い衝撃に、無理矢理
それは中断された。
 のぞき込んだミラーには、やはりどす黒い血痕で全身を染めている、表情のない死者の
姿が――!

喰屍鬼(グール)……!」

 遠くから響く銃声と、無線から垂れ流される空電ノイズ。何が起こっているのかは、もはや
考えるまでもない。

「……邪魔だ!」

 ドアを蹴り開けて、一番最初の死体を吹き飛ばす。
 既に身のこなし、なんて単語は衣のととともにどこかに忘却していたらしいグールは、
抵抗らしい抵抗もせずに地面へと崩れ落ちる。

 同時、抜きはなった拳銃を動く死体の頭部へと照準、立て続けに45マグナム弾を3発、
一気に叩き込む。粉砕された頭部から凝固仕掛の血液と、腐りかけの脳漿がコンクリート
へとぶちまけられるが、悠長にそんなものを見ている暇はない。
 びくびくと、痙攣を続ける死体をそのままに、ギアシフト、アクセルを踏み込む!

 急加速した車体に引き摺られ、キャリアコンテナ部に取り付いたグールが地面に削り取ら
れていく。さらに加速、いよいよ耐えられなくなったのか、取り付いていた三体の死体は、
車体表面に腐った皮膚だけを残して、無様に地面へとたたきつけられていた。

 とりあえず息をつく――が、安心なんてしていられない。

「くそったれが――何が事故だ」

 恐らくは。島に滞在していた全職員が、同じ事になっているのだろう。
 そして俺達よりも前に、島に訪れたという調査員達も。

 この島は――吸血鬼に、汚染されている。

(初期位置:A-3 湾岸部→B-3 居住区へと移動中)

329 名前:◆HORAIgd3qU :2005/09/07(水) 21:38:53


 ひどく薄暗い月だけが見える曇り空の下、ほとんど光の差さない夜の竹林は何処までも
無気味だった。

 すでに妖怪が跳梁跋扈するはずの領域は恐ろしいほど静かで、動くものが全く見えない。
まるで全てが息を潜めて眠っているようにも思える。
 ただ、その例えはどこか正しくて、どこか間違っている。
 息を潜めているのは確かだ。しかし、眠っているのではないだろう。

 ―――私たちに怯えているのかもしれないのだから。

 足場と視界の悪い中、私は駆けながら苦笑した。
 確かに怯えられて当然かもしれない。私たちがいつもこの竹林で夜中にやっていることに巻き込まれてしまえば、死体か灰しか残らない。低級の妖怪であればなおさらだ。

「……にしても、何処まで引っ張っていく気よ、あいつ」

 かすかに速くなっている息の合間を縫って呟く。
 輝夜。私の怨敵であり、月より来た姫君。そして今宵、いつものように殺しあう相手。
 その姿はすでに見えていない。すっかり闇の中である。
 その後を正確に付いていけるのは、気配を辿っているからだ。
 ただ、おかしなことに。まったく立ち止まる様子はなかった。

「まったく、どういう了見なのよ。疲れるじゃない」

 というより、さすがに疲れた。
 だから私は一際強く地面を蹴り、“翼”を広げた。
 赤く紅く輝く、燃え盛る不死鳥の羽根。
 同時に暗かった森が赤く照らされ、さらに速く景色が流れていく―――
 と、そこで気づいた。

「………ありゃ?」

 空中で急制動をかけて、地面に降りて燃え盛る翼をしまった。

 ―――竹林じゃない。

 景色が何時の間にか、鬱蒼とした森へと変わっていた。踏みしめる土の柔らかさは、腐葉土が積もっているからだろう。
 どういうことだろうか、と考えて、すぐに至った。

「………やられた」

 そう、私は結界の外へと出てしまっていたのだ。
 たぶん、こうだ。
 偶然結界の綻びを見つけた。面白そうだったので私が飛び込むように仕向けた。
 すごい。たった一行で済んだ。

「……あーいーつーはー!!」

 おもわず地団駄を踏むが、それでどうにかなるわけでもない。
 急に景色が変わったところをみると、どこか別の場所に飛ばされたように見える。
 潮の薫りがかすかにする。海沿いか小さな島、だろうか。

「まあ、とりあえずはどうにか戻んないと―――」

 むう、と眉根を潜めて周りを見渡す―――
 酷く、嫌な感覚。

「……なによこれ。死体だらけってことなの。それに……この昏い気配」

 かすかに感じる死臭。そして―――覚えのある妖気。
 思い出す。
 これほど弱いものではなかったが、似たようなものを以前感じたことがある。
 つまりは―――今現在、この場所には吸血鬼が跋扈している。現在進行形で。

「冗談……。ついてないにもほどがあるわ」

 苛立ち混じりに呟いて、現在の自分の戦力を確認。
 攻撃用の札と投擲に使う小柄の数は―――多少減っているが弾幕張れる程度には十分。体力もほとんど残っていて、スペルカードも三枚ほどある。この場から離れるには十分すぎるくらいだ。

「よし。なんとか帰らないとね―――幻想郷に」

 一つ頷いて、私は駆け出した。
 とりあえずは周囲の様子を把握できる、開けていそうな場所へ。

(初期位置:B-1 森林地帯 B-2 空港跡へと移動中)

330 名前:◆HORAIgd3qU :2005/09/07(水) 21:42:35


 ひどく薄暗い月だけが見える曇り空の下、ほとんど光の差さない夜の竹林は何処までも
無気味だった。

 すでに妖怪が跳梁跋扈するはずの領域は恐ろしいほど静かで、動くものが全く見えない。
まるで全てが息を潜めて眠っているようにも思える。
 ただ、その例えはどこか正しくて、どこか間違っている。
 息を潜めているのは確かだ。しかし、眠っているのではないだろう。

 ―――私たちに怯えているのかもしれないのだから。

 足場と視界の悪い中、私は駆けながら苦笑した。
 確かに怯えられて当然かもしれない。私たちがいつもこの竹林で夜中にやっていること
に巻き込まれてしまえば、死体か灰しか残らない。低級の妖怪であればなおさらだ。

「……にしても、何処まで引っ張っていく気よ、あいつ」

 かすかに速くなっている息の合間を縫って呟く。
 輝夜。私の怨敵であり、月より来た姫君。そして今宵、いつものように殺しあう相手。
 その姿はすでに見えていない。すっかり闇の中である。それでも迷わずに後を付けられるのは、かすかに残った気配―――魔力だの妖気だのを辿っているから。
 ただ、おかしなことに。
 あいつにまったく立ち止まる様子はなかった。

「まったく、どういう了見なのよ。疲れるじゃない」

 というより、さすがに疲れた。
 だから私は一際強く地面を蹴り、“翼”を広げた。
 赤く紅く輝く、燃え盛る不死鳥の羽根。
 同時に暗かった森が赤く照らされ、さらに速く景色が流れていく―――
 と、そこで気づいた。

「………ありゃ?」

 空中で急制動をかけて、地面に降りて燃え盛る翼をしまった。

 ―――竹林じゃない。

 景色が何時の間にか、鬱蒼とした森へと変わっていた。踏みしめる土の柔らかさは、
腐葉土が積もっているからだろう。
 どういうことだろうか、と考えて、すぐに至った。

「………やられた」

 そう、私は結界の外へと出てしまっていたのだ。
 たぶん、こうだ。
 偶然結界の綻びを見つけた。面白そうだったので私が飛び込むように仕向けた。
 すごい。たった一行で済んだ。

「……あーいーつーはー!!」

 おもわず地団駄を踏むが、それでどうにかなるわけでもない。
 急に景色が変わったところをみると、どこか別の場所に飛ばされたように見える。
 潮の薫りがかすかにする。海沿いか小さな島、だろうか。

「まあ、とりあえずはどうにか戻んないと―――」

 むう、と眉根を潜めて周りを見渡す―――
 酷く、嫌な感覚。

「……なによこれ。死体だらけってことなの。それに……この昏い気配」

 かすかに感じる死臭。そして―――覚えのある妖気。
 思い出す。
 これほど弱いものではなかったが、似たようなものを以前感じたことがある。
 つまりは―――今現在、この場所には吸血鬼が跋扈している。現在進行形で。

「冗談……。ついてないにもほどがあるわ」

 苛立ち混じりに呟いて、現在の自分の戦力を確認。
 攻撃用の札と投擲に使う小柄の数は―――多少減っているが弾幕張れる程度には十分。体力もほとんど残っていて、スペルカードも三枚ほどある。
 この場から離れるには事足りるだろう。

「よし。なんとか帰らないとね―――幻想郷に」

 一つ頷いて、私は駆け出した。
 とりあえずは周囲の様子を把握できる、開けていそうな場所へ。

(初期位置:B-1 森林地帯 B-2 空港跡へと移動中)

331 名前:◆HORAIgd3qU :2005/09/07(水) 21:44:49


 ひどく薄暗い月だけが見える曇り空の下、ほとんど光の差さない夜の竹林は何処までも
無気味だった。

 すでに妖怪が跳梁跋扈するはずの領域は恐ろしいほど静かで、動くものが全く見えない。
まるで全てが息を潜めて眠っているようにも思える。
 ただ、その例えはどこか正しくて、どこか間違っている。
 息を潜めているのは確かだ。しかし、眠っているのではないだろう。

 ―――私たちに怯えているのかもしれないのだから。

 足場と視界の悪い中、私は駆けながら苦笑した。
 確かに怯えられて当然かもしれない。私たちがいつもこの竹林で夜中にやっていること
に巻き込まれてしまえば、死体か灰しか残らない。低級の妖怪であればなおさらだ。

「……にしても、何処まで引っ張っていく気よ、あいつ」

 かすかに速くなっている息の合間を縫って呟く。
 輝夜。私の怨敵であり、月より来た姫君。そして今宵、いつものように殺しあう相手。
 その姿はすでに見えていない。すっかり闇の中である。
 それでも迷わずに後を付けられるのは、かすかに残った気配―――魔力だの妖気だのを
辿っているからだ。
 ただ、おかしなことに。
 あいつにまったく立ち止まる様子はなかった。

「まったく、どういう了見なのよ。疲れるじゃない」

 というより、さすがに疲れた。
 だから私は一際強く地面を蹴り、“翼”を広げた。
 赤く紅く輝く、燃え盛る不死鳥の羽根。
 同時に暗かった森が赤く照らされ、さらに速く景色が流れていく―――
 と、そこで気づいた。

「………ありゃ?」

 空中で急制動をかけて、地面に降りて燃え盛る翼をしまった。

 ―――竹林じゃない。

 景色が何時の間にか、鬱蒼とした森へと変わっていた。踏みしめる土の柔らかさは、
腐葉土が積もっているからだろう。
 どういうことだろうか、と考えて、すぐに至った。

「………やられた」

 そう、私は結界の外へと出てしまっていたのだ。
 たぶん、こうだ。
 偶然結界の綻びを見つけた。面白そうだったので私が飛び込むように仕向けた。
 すごい。たった一行で済んだ。

「……あーいーつーはー!!」

 おもわず地団駄を踏むが、それでどうにかなるわけでもない。
 急に景色が変わったところをみると、どこか別の場所に飛ばされたように見える。
 潮の薫りがかすかにする。海沿いか小さな島、だろうか。

「まあ、とりあえずはどうにか戻んないと―――」

 むう、と眉根を潜めて周りを見渡す―――
 酷く、嫌な感覚。

「……なによこれ。死体だらけってことなの。それに……この昏い気配」

 かすかに感じる死臭。そして―――覚えのある妖気。
 思い出す。
 これほど弱いものではなかったが、似たようなものを以前感じたことがある。
 つまりは―――今現在、この場所には吸血鬼が跋扈している。現在進行形で。

「冗談……。ついてないにもほどがあるわ」

 苛立ち混じりに呟いて、現在の自分の戦力を確認。
 攻撃用の札と投擲に使う小柄の数は―――多少減っているが弾幕張れる程度には十分。
体力もほとんど残っていて、スペルカードも三枚ほどある。
 この場から離れるには事足りるだろう。

「よし。なんとか帰らないとね―――幻想郷に」


 一つ頷いて、私は駆け出した。
 とりあえずは周囲の様子を把握できる、開けていそうな場所へ。


(初期位置:B-1 森林地帯 B-2 空港跡へと移動中)

332 名前:青銅名無し客:2005/09/07(水) 22:22:35
茂みを掻き分けて、森の中へ飛び込む。
後ろは見ずに走る。
枝が頬を打って、草の葉が腕に赤い線を引く。
それでも走って、転がっていた1m程の枝を拾うと、多少心の余裕が出来た。

「……何、あれ……一体何なの?」

荒く、喘ぐように息を吸いながらようやくそう口に出す。
人に見えた。見えたけれど、あれは違う。
皮膚は腐れ落ちて赤黒い肉が露出していて、目は白く濁っていた。
爪は剥がれ、崩れた唇の間から疎らに抜け落ちた歯が覗いていた。
どう見ても、生きていなかった。
動く死体……俗に言うゾンビなのだろうか。
考えてみれば、私も映画や何かと同じように襲われている。
多分、捕まれば結末も同じだろう。

「はあっ、はっ……!」

追われるままに逃げて、森を駆け――視界が急に開ける。
自然と足は止まった。

「崖……?!」

梢の下からふらふらと進み、辺りを見回す。
……森伝いに逃げるか、それとも迂回してもう一度森に入るか。
逡巡していると、がさがさと音が聞こえた。
反射的に、手の中の棒を握り締める。
何とか怯ませて、その隙に振り切れれば――――
祥子の所へ早く戻らないといけないんだから。
覚悟を決めて、青眼に構えた枝を動く死体に向けた。

「――――はぁっ!」

無防備に伸びてきた右腕を狙って、加減せずに打ち込んだ。
最悪でも骨折で済む、そう考えて。
それが甘い考えだったのは、すぐに思い知らされた。

「っ――嘘!?」

まともに入ったはずなのに、動きは止まらない。
左腕を枝で払って、後ろに距離を取る。

声が掛かったのは、その瞬間。

驚きよりも先に危機感に襲われて、私の体は振り向きざまに枝を打ち振るっていた。

333 名前:『深緑の智将』グリニデ(M) ◆BECoOlA3c2 :2005/09/07(水) 22:58:00
――――満点の星空。
それが私がこの夜に、最初に見た光景だった。

「……ここは、一体何処なのだ……?」
私の勢力圏であった“黒の地平”は、配下の魔物が吐き出す黒煙によって
既に20年以上、陽光も、月光も差し込む事がない。

「『地脈の扉』の暴走か……?」
魔人(ヴァンデル)が使用する、遠距離を行き来するための転移装置。
それが地脈の扉だ。

だが、私の覚えている限りでは地脈の扉を使ったのは大分前の事。
最近は『世紀の大偉業』の実現に向けて“あの部屋”に篭っていたのだからあり得ない。

「……ダンゴール、ダンゴールは居ないのか?」
自分に付き従う腹心の魔物の名を呼ぶ。
だが答えは返ってこない。

ややもすると、把握できぬ状況に対し湧き上がる、己の中の興りに気付く。
「落ちつけ……このような時こそBe Cool(ビィ クール)Be Cool(ビィ クール)にだ…!」
興奮を、怒りを感じる時私はこう唱える。
理性的に、節度有る知性的な魔人(ヴァンデル)として振舞いつづけるために。
そして、あの“獣”の姿を見ぬ為に……!

………ここが誰の勢力圏かは知らぬが、人跡がある以上は魔物も魔人も居る事には違いないだろう。
―――そして、我等のゲームの標的である人間も。

「フ、フフッ……予想さえ出来ぬ状況ではあるが、この私の智略の限りを尽くし、戦果を挙げ帰還すれば
『ゴール』もより近付くに違いない……!」

―――魔人(ヴァンデル)の指導者にして、究極の栄光。それが八輝星だ。

幾度と無く夢に描き続けたゴールへ、どのような手段を用いてでも辿りつく。
―――それこそが、全ての魔人の目的にして、存在理由なのだから。

(初期位置:C-1 森林地帯→B-1森林地帯に向けて移動)

334 名前:青銅名無し客:2005/09/08(木) 00:08:49

 屍が月明かりの下に集い、その屍を貪る塵。
 それを目にした途端、頭の中では殺せと言う爆音が上がる。
 血が滾る、血が暴れる、血が表へと溢れそうになる。

 理性の枷を頑丈に。本能を殺げ。蛇を駆逐し勾玉を胸に。
 屍が物語るのは惨劇の幕開け。
 踊る役者は本能に襲われ続ける獣。

 塵が向かってくる。生きた血肉でも欲しいのだろうか。
 餌と狩人を間違えるとは、何処までも愚かな塵の群れ。
 右手を―――それが当然だと言うように―――振るい、一つの塵を片付ける。
 真紅の噴水は狂ったように水を吹き上げ続け、狂宴の開始を告げる雨となる。

 左手は紫炎の帳を降ろし、塵の焼ける匂いが充満していく。
 悲鳴は聞こえない。ただ聞こえるのは己が内に眠る声。


 ――――――――――――――舞台の幕は、上がったばかりだぜ?
 久しぶりに表に出させてくれよ。『お前』だけいっつも満足しやがって。
 『俺』にも血を、肉を、悲鳴を、くれよ。『お前』だけがそれを好きな訳じゃないんだ。
 『俺』にも殺させろころさせろコロサセロ殺―――――――――――――――

 「貴様は黙っていろ…そしてこれは、全て俺の物だ」

 それにしてもあの女。何が楽な仕事だ。
 血に染まるような仕事は楽な仕事とは言わんと事を、報酬を受け取る際に教え込もう。
 調査結果はオロチではない異常事態。こう告げればそれで終わり。
 まあ兎に角、此処から出ねばならんか…

 自分の中に篭るのは一瞬。次の塵の処理。処理してはまた次。
 これも業務の一環。だから―――殺して、殺して、殺して、殺して、殺す。
 本能と理性が合致していれば、血に狂う事も早々あるまい。
 暴力を振るう吐き気は問題だが、それは成功報酬に上乗せすれば良い。

 そう言えば事態が異常ならば治めて来いとも言っていたか。
 面倒だが、殺し続ければ良いだけ。ならば簡単だ。
 月明かりの下、紅く染まり続ければ良いのだから。

 「クックックックックッ…ハッハッハッハッハッ…ハァーハッハッハッハッハッ!」
 ―――――――――――――――結局同じだな、『俺』も『お前』も


 (B-2で待機)
 

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