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■ RHマイナス板専用テストスレッド

1 名前:名無し客スナイパーカスタム:04/09/22 02:20
様々な書き込みテストにご使用ください。

276 名前:名無し客(¥50):2005/05/16(月) 20:30:47
テストします

277 名前:◆LasOiegeiI :2005/05/18(水) 04:10:26
テストっと

278 名前:名無し客(¥50):2005/05/18(水) 04:12:55
てすと

279 名前:名無し客(¥50):2005/05/18(水) 04:13:32
てすとですよ

280 名前:名無し客(¥50):2005/05/18(水) 04:13:50
試験

281 名前:名無し客(¥50):2005/05/18(水) 04:19:57


282 名前:名無し客(¥50):2005/05/18(水) 04:21:36
書き込めない?

283 名前:シン・アスカ ◆LasOiegeiI :2005/05/18(水) 21:11:14
テストも俺のお家芸だな!!

284 名前:名無し客(¥50):2005/05/18(水) 23:54:56
test

285 名前:名無し客(¥50):2005/05/24(火) 20:28:21
test

286 名前:名無し客(¥50):2005/05/28(土) 04:00:54
 「気遣いは有り難いが、サングラスこ    れは俺のトレードマークみたいなモンなんでね…ずっとかけ続けてる所為かもう慣れてる。」

287 名前:デストロイ名無し客:2005/06/05(日) 19:30:26
タグテスト

288 名前:◆KAHO3vheno :2005/06/24(金) 22:31:44
テスト

289 名前:花穂 ◆KAHO3vheno :2005/06/24(金) 22:34:52
えっと……これでいいのかなぁ?

290 名前:デストロイ名無し客:2005/06/24(金) 23:44:31
test

291 名前:青銅名無し客:2005/06/26(日) 02:27:49
test

292 名前:青銅名無し客:2005/06/26(日) 02:28:36
testテスト

293 名前:◆R/pPANZERI :2005/06/28(火) 23:08:18
書き込みテスト

294 名前:◆R/pPANZERI :2005/06/28(火) 23:08:53
もう一回

295 名前:◆R/pPANZERI :2005/06/28(火) 23:12:10
テスト

296 名前:青銅名無し客:2005/06/28(火) 23:48:35
テスト

297 名前:青銅名無し客:2005/06/28(火) 23:49:49
テスト♪

298 名前:白金名無し:2005/06/28(火) 23:55:34
テストパピコ。

299 名前:白金名無し:2005/06/28(火) 23:56:43
もう一度テストパピコ。

300 名前:青銅名無し客:2005/06/29(水) 00:04:26
テスト。

301 名前:白金名無し:2005/06/29(水) 00:34:19
テストパピコ。

302 名前:青銅名無し客:2005/06/29(水) 00:38:14
テスト

303 名前:孤高の紫炎 ◆Iori/GPRcE :2005/06/29(水) 22:33:28

 
 ス
 ト


304 名前:青銅名無し客:2005/07/05(火) 20:03:27
テスト

305 名前:青銅名無し客:2005/07/05(火) 20:06:35
もいちど

306 名前:青銅名無し客:2005/07/05(火) 20:20:36
書き込みテスト

307 名前:青銅名無し客:2005/07/16(土) 09:24:13
書き込みテスト

308 名前:ヘアバンドの女子大生:2005/07/16(土) 23:29:58
最終調整…ね。

三人「ハイッ! ハイッ! ハイハイハイッ!
    ハイッ! ハイッ! ハイハイハイッ!
       ハイッ! ハイッ! ハイハイハイッ!」

私達の威勢のいい掛け声が、熱気渦巻くイベントホールに木霊する。
イベントホールに集う私達黄薔薇三姉妹は、今日は多少緊張した面持ちで、
背の高い緞帳を潜り抜けて舞台に立つ。
舞台上の私達の心身を包むのは、深い色の制服(夏服)
声がガタガタ震えないように、顔に冷や汗をかかないように、ハイテンションで押し切るのが
こういう場の入場のたしなみ。もちろん、緊張のあまり足をもつれさせるて転ぶと言う失態をする
姉妹など存在し様もない。(あ、こういう展開も美味しかったかも)

黄薔薇三姉妹

って、ひとりモノローグを思い浮かべている場合じゃ無いわね。
さて、威勢のいい掛け声と共に先頭を切って歩いているのは由乃ちゃん。
孫馬鹿って笑われるかもしれないけど、由乃ちゃんの笑顔の眩しさはリリアンでもトップクラスにあると思う。
由乃ちゃんの笑顔を前面に押し出しつつ、私達は当初決めた通りのポジションに付く。


309 名前:ヘアバンドの女子大生:2005/07/16(土) 23:31:04
さて、威勢のいい掛け声と共に先頭を切って歩いているのは由乃ちゃん。
孫馬鹿って笑われるかもしれないけど、由乃ちゃんの笑顔の眩しさはリリアンでもトップクラスにあると思う。
由乃ちゃんの笑顔を前面に押し出しつつ、私達は当初決めた通りのポジションに付く。
私たちより一歩前に由乃ちゃんが立ち、その真後ろに令が立つ。
そして令に隣に私が立ち―――ツカミへの準備を完了させる。

三人「ハイッ! ハイッ! ハイハイハイッ!
    ハイッ! ハイッ! ハイハイハイッ!
       ハイッ! ハイッ! ハイハイハイッ!」
三人「いよぉぉぉぉぉぉーーーーーーっ」

コントラバスからソプラノへ。
高低差をつけた掛け声を発しながら、声にあわせて令は由乃ちゃんを肩車し、
肩車をされた由乃ちゃんは令の頭に抱きつき、私は令の肩にしなだれる。

そして、

三人「ごきげんよう、黄薔薇三姉妹でーすっ」

私達は、私達の舞台の火蓋を気って落とした。


310 名前:ヘアバンドの女子大生:2005/07/16(土) 23:31:39
「はいっ、らっせぇーらぁっ、らっせぇらぁーっ
   らっせぇーらぁっ、らっせぇらぁーっ」

令がしゃがみこみ由乃ちゃんを降ろすと、私達は向って左側から『私、由乃ちゃん、令』の順番で並ぶ。
なお、身長差のせいで目立たないが令は私たちより三歩ほど後ろに立っている。これも、演出の為の伏線だ。
さぁ、いよいよネタの始まりだ。

江利子「ごきげんよう。黄薔薇さま(ロサ・フェティダ)こと、鳥居江利子でぇーす」
由乃「ごきげんよう。黄薔薇のつぼみの妹(ロサ・フェティダ・アン・ブゥトン・プティ・スール)こと、島津由乃でぇーす」

さぁ、そして今度は令の番。このツカミが成功するか否かは令次第なのである。
剣道の試合で見せる鋭い目つきで観客を睨みを効かせつつ、ツカツカと舞台中央に歩んでいく令に、

江利子「ああ、何だか男前な人が来たわよ」
由乃「いよっ、ミスターリリアン」

と私達二人は掛け声をかける。そして令は舞台中央、舞台の端ギリギリにたどり着き…

令「ごきげんよう、令さんです」

と精一杯の笑顔で観客に微笑みかける。
凛々しさを残した笑顔ではない、あくまで17の女子高生としての可愛らしい笑顔である。
ここからはノンストップで畳み掛ける。

江利子「うわ、可愛いらしぃっ」
令「愛読書は、コスモス文庫です」
由乃「うわ、ベタな夢見る少女」
令「趣味は編物です」
江利子「うわ、ベタな将来いいお嫁さんな女の子」
令「あ、後お菓子作りも得意です。今日は皆さまにカップケーキを焼いてきました」
由乃「うわっ、ベタな人気取り」
江利子&由乃「ベッタベタのボーイッシュに見えて実は可愛い女の子キャラだ―っ」


江利子「ハイッ! ドーンドーンドーン」
由乃「ベタベッタ」
江利子「ドッドーン ドッ ドーン」
由乃「ベタでーすっ」

私達が囃し立てている間に、令は手にしたカップケーキを客席に投げ込む。
流石に鍛えているだけあって、ケーキは観客席の中央から後方へと飛んでいく。うん、リハーサル通り。
当然、投げ込んでいるカップケーキは当然令のお手製である。
元ネタどおりの紙吹雪も考えたのだが、ツカミを考えているうちにこちらの方が令のキャラを生かせると
判断したので、こちらのパフォーマンスに決めたのだ。
令がカップケーキを用意した五個すべて投げ込んだのを見計らい、ベタベタコールを終了させる。
さぁ、ここからいよいよネタ。掴んだお客さんの心が離れる前にガンガンと攻勢に出て行く事にしましょう。



311 名前:ヘアバンドの女子大生:2005/07/16(土) 23:33:31
江利子「改めましてごきげんよう。最初に説明をさせていただきますが、黄薔薇三姉妹といっても本当の姉妹ではありません」
令「私と由乃は従姉妹同士なんですけどね」
由乃「ええ、こっちは正真正銘」
江利子「二人とも、場を混乱させるような物言いは止めて頂戴。
    要約して説明させていただきますと、リリアンには上級生が下級生を導く校風がありまして、
    その中でも特に強く結びついた上級生と下級生のカップルを姉妹(スール)と表現いたします」
由乃「ちなみに、ユニット名にある「黄薔薇」は山百合会…いわゆる生徒会幹部の名称で、他には「紅薔薇」「白薔薇」があります」
令「昔から、姉妹の関係は「包み込んで守るのが姉、妹は支え」と言われていますが」
江利子「『支え』ねぇ…。はぁ…。」
由乃「『守り』ねぇ…。はぁ…。」
令「いや、なんで二人で私のほうを見て溜息をつくんですかっ」
江利子・由乃「胸に手を当てて考えてみて?」
令「…orz」
江利子「ああ、そう言えば私達山百合会幹部に限って言えば「○薔薇ファミリー」って呼ばれる事も多いわね」
由乃「ちょっと待ってください、姉妹という関係でしたら問題は無いのですがファミリーと言う名称で呼ぶなら
   先ほどの立ち位置に異議があります」
江利子「さっきの立ち位置って、令があなたを肩車して私が令にしなだれるあれのことかしら?」
由乃「ええ、そうです。黄薔薇をファミリーに例える場合の理想的な立ち位置は…
   ほら、令ちゃん。舞台の上でいつまで落ち込んでいるの?」
令「え、あ、由乃」
由乃「話をちゃんと聞いていた? ほら、ちゃっちゃと立って。」
令「うん、こうかな?」
由乃「そう。それで私がこうやって令ちゃんの腕をとって…」
江利子「公衆の場は「令さま」もしくは「お姉さま」でしょう?由乃ちゃん。
    それで、私は何処に立てばいいのかしら?」
由乃「そこで、恨めしそうに立っていて下さい。
   べたべたな若夫婦とそれを恨めしく見ているお姑、
    この立ち位置こそが、『黄薔薇ファミリー』の名にピッタリじゃ無いですか?」
江利子「令、ちょっとこっちに来なさい」
令「は、はい。お姉さま」 由乃「あっ、ちょっと令ちゃん」
江利子「(令に腕を絡ませて)あら、お姑さんはどっちかしらね?
    大好きな従姉妹で幼馴染を、ふらっと現れた私に取られて悔し泣きするその姿。
    大切な息子を他所の女に取られて嫉妬するお姑さんにそっくりじゃ無い」
由乃「うーっ」
江利子「それじゃ、これから立ち位置はずっとこういう形にして、
    今度からユニット名を黄薔薇ファミ令「待ってください!」
私の腕を振り解いた令が叫ぶ
令「ちょっと待ってください」
由乃「令ちゃん…」江利子「令…」
令「少しは…少しは私の気持ちも考えてください。私の意見を聞いてください」
江利子「ごめんなさい、令」由乃「令ちゃん…ごめんね? 令ちゃんの気持ちを考えないで…でも…」
令「私は…私は…」
江利子&由乃「私は?」

312 名前:ヘアバンドの女子大生:2005/07/16(土) 23:34:36








令「私は、旦那さん役ではなく、お嫁さん役がやりたいんです!」

















しーーーーーーーーん









313 名前:ヘアバンドの女子大生:2005/07/16(土) 23:34:59
令の悲痛な叫びがそうさせたのか、それともあまりに思いつめた表情がそうさせたのか?
あるいはその両方なのか…とにかく、会場には張り詰めた空気が蔓延した。
…誰か、「あんたら、みんな女の子やないかぁ!」というツッコミを入れる人がいないのかしら?
ここまでは当然計算通り、わたしは由乃ちゃんと軽く目線を合わせ、



江利子&由乃「却下!」


と、冷たく突き放す。

令「ええっ、そんなぁ」
由乃「この3人を見たら、夫役は令ちゃんしかいないでしょう?」
令「でもぉ…。」
江利子「じゃぁ、審判にかけてみる?」
令「審判って?」

ばさぁぁっ
私は、あらかじめ舞台に仕込んでおいたマントがかかった物体のマントを取り外す。
そこに現れたのは、デジタル数字で100まで表示できる電光掲示板
疑問と抗議を挟まれる前に、

江利子「さぁ、会場の皆さん。令はこの中では夫役意外ありえないと思う人スイッチ・ON」

ちゃぁーちゃらちゃらちゃらちゃーらんちゃーらん
     ちゃぁーちゃらちゃらちゃらちゃーらんちゃーらん
         ちゃーちゃんちゃーちゃんちゃん

お昼休みのあの番組の効果音と共に電光掲示板に表れた数字は…
令「そんなぁ…」orz

100

江利子「まさか100を叩き出すとはね…」

当たり前の事だが、誰もスイッチを持っているわけはない。完全な仕込である。

由乃「大丈夫、令ちゃんはちゃんと由乃を貰ってくれるんでしょう? ほら、シャンとして」
令「私…お嫁にいけないのかなぁ…。」
江利子「大丈夫よ、令」
令「お姉さま!」
江利子「最近は、「おもなるおっと」と書いて、”主夫”って言うのも流行っているみたいだから」
令「うぅっ…うぅっ…。」

さて、これでネタ第一部終了。お客の様子は…よかった、そこそこ受けているみたいね。
さぁ、ここで間髪いれずに小休止を兼ねたネタ第2部に突入よ。

314 名前:ヘアバンドの女子大生:2005/07/16(土) 23:36:05
由乃「ところで令ちゃん? 私おなかすいちゃった。」
江利子「あのね、由乃ちゃん。今本番中…
令「はい、由乃。今日のおやつはプリンだよ」(舞台袖からクーラーボックスを持ち出し、中からプリンとスプーンを取り出し、渡す)
由乃「わーいっ、令ちゃんありがとう」
令「いえいえ、どう致しまし…どうしました?お姉さま?」
江利子「あのね、普通舞台の上でおやつは食べないでしょう?」
令「別にいいのではないですか? お姉さま。元ネタでも、普通に美味しくお菓子を食べるシーンとかありますし」
江利子「元ネタ言わない。だいたい…
令「あ、お姉さまの分もありますよ?」(きらきらときらめくゼリーとスプーンを取り出す)
江利子「え?」
令「ほら、お姉さまこの前メープルパーラーのパインゼリーが美味しかったって言っていたじゃ無いですか?
  それで、私もちょっと研究をしてみまして、全く同じとはいきませんでしたが、
  かなりいい線をいっている出来のものを創れるようになりましたので、ここに作って持って来ました。
  はい、どうぞ」
江利子「そう、じゃあ頂くわ」
由乃「んぐっ。って、黄薔薇さまも食べるんですか!。」
江利子「そういう由乃ちゃんだって、令お手製のプリンを食べているじゃ無い。あむっ」
令「あの、喧嘩しないで下さい。それじゃ、私も…

江利子&由乃「駄目よ!」

令「えぇっ」
江利子「んっ、誰か一人はボケかツッコミをしていないと観客の皆さまが退屈するじゃ無い。あむっ」
令「だ、だって…」
由乃「『だって』、じゃ無いわよ。私は今プリンを食べるのに忙しいの。だから令ちゃん、場のつなぎをお願い。はむっ」
令「そんなぁ…私が作ったんだよ…プリンも…ゼリーも…」
江利子「そんなぁ…じゃ無いの。それとも何? 令は黄薔薇三姉妹としての責務を放棄するの?むぐむぐっ」
令「いや、黄薔薇さまだって責務を放棄しているじゃ無いですか」
由乃「分かってないわね? 元ネタのグループだって、一人がお菓子を美味しそうに食べている間に
   のこり二人が場を盛り上げているじゃ無い! 忘れたの!。カツッカツッカッ」
令「いや、忘れてはいないけど…私一人じゃどうにも」
江利子「そんな情けない妹を持った覚えはないわ、令。カツッカツッカッ」
由乃「ふぅーっ、やっぱり令ちゃんのお菓子は最高! はいっ、これ容器とスプーン」
令「うん…」(だまってクーラーボックスにそれを戻す)
江利子「こればっかりは由乃ちゃんに同感ね。はい、これもお願い」
令「はい…」(だまって(ry

さぁ、舞台はこれから一気にオチに突入。令、すべてはあなた次第よ。


315 名前:ヘアバンドの女子大生:2005/07/16(土) 23:37:38
由乃「ところで令ちゃん、さっきの続きになるんだけど、ちょっと確認したい事があるの?」
江利子「ああ、私もちょうど令に確認したい事があるわ。」
令「あ、あの…なんでしょう?」

江利子&由乃「どっち?」

令「あの、どっちって?」
由乃「私と」
江利子「私。令はどっちを選ぶの?」

令「えぇっ!」

(令の右袖と手首をガッチリと掴むと、それらを自分の方へ引っ張りながら)
由乃「私よね? 令ちゃん。」
(令の左袖と手首をガッチリと掴むと、それらを自分の方へ引っ張りながら)
江利子「あら、私よね? 令」

令「痛い、痛い!」

江利子「あら、由乃ちゃん。あなたがあんまり引っ張るから、令が痛がっているじゃ無い。
    由乃ちゃんは時代劇がすきなんでしょう? 大岡越前くらいは知っているわよね?」
由乃「あの話は、引っ張られているのが弱い子供だったから成り立つ裁きです。
   令ちゃんはもう大人です。引っ張られるがままじゃなく、嫌な方をちゃんと振りほどくはずです」

令「痛い痛い痛い!」

由乃「令ちゃん、痛いのが嫌なら黄薔薇さまなんか早く振りほどいてこっちに来て!」
江利子「令、さぁ、過去を振りほどいて、私と一緒にこっちに来なさい」

令「痛い痛い痛い痛い! これ以上は止めて」
由乃「私、絶対令ちゃんを話さない」
江利子「私も、例え振りほどこうとしても絶対に食いついて見せるわ」

令「だめ、これ以上引っ張られると千切れちゃう―ッ」

316 名前:ヘアバンドの女子大生:2005/07/16(土) 23:38:15
令が叫ぶと同時に、
ビリビリビリビリビリーッ
会場中に、何かが引きちぎられる音が響き渡る。

キャ――――――――――――ッ
絶叫に似た悲鳴が、イベントホールに木霊する。

そう、左右から強く引っ張られたせいで令の制服は真っ二つに裂けたのだ。

317 名前:ヘアバンドの女子大生:2005/07/16(土) 23:38:45
令の絶叫の『ッ』が後部座席を突き抜けようとしたころ、場の雰囲気は一転した。
江利子「ハイッ、ドーンドーンドーン」
令「ベタベッタ」
江利子「ドッ ドーン ドッドーン」
令「おちでーすっ」
そう、もみ合いの末に令の制服が破れると言う、このハプニングこそが落ちなのである。
由乃ちゃんは、あらかじめ用意したオチ用のカップケーキ5個を客席に投げている。
モーションはいいんだけどいかんせん基礎体力が無い。
ケーキは客席前列に投げられているようだ。うん、計算通り。

ケーキを投げ終えた由乃ちゃんがこっちに来て、三姉妹が一列に並ぶと
江利子「ドーン ドーン ドーンッ」
由乃「ベタベッタ」
江利子「ドッ ドーン ドッドーン」
令「へくちっ」
江利子「ドーン ドーン ドーンッ」
由乃「ベタベッタ」
江利子「ドッ ドーン ドッドーン」
令「オチでーすっ」

こうして三人並び、少しづつ少しづつ舞台袖に消えていくのが当初の予定だったんだけど…
ちょっとした悪戯心が浮んできて…私はそれを実行する事にした。

江利子「ドーン ドーン ドーン」
由乃「ベタベッタ」
江利子「ドッ ドーン ドッドーン」
そして、令の「へくちっ」を無視して令の腕に抱きつき
江利子「私達、ベッタベタでーすっ」
と大声で叫んでみた。さぁ、由乃ちゃんはどう出るか?
江利子「ドーン ドーン ドーン」(あ、怒っている怒っている)
由乃「ベタベッタ」(ここは普通にこなしているわね)
江利子「ドッ ドーン ドッドーン」(さぁ、どうでるのかしら? 由乃ちゃん)
令「落ち由乃「私達の方が、ベッタベタでーすっ」

うんやってくれる、由乃ちゃん。それでこそ、私の愛する孫。令を取り合うのも張り合いが出てくるわ。

どーん どーん どーん べったべった どっ どーん どっどーん
黄薔薇姉妹はべったべたでーすっ。

そんなことを考えながら、私は令の腕に抱きつきながら舞台袖へと下がっていった。
(黄薔薇三姉妹 完)

318 名前:ヘアバンドの女子大生:2005/07/16(土) 23:47:45
気になった所があるから、再確認。

「ごきげんよう、令さんです」

と精一杯の笑顔で観客に微笑みかける。
凛々しさを残した笑顔ではない、あくまで17の女子高生としての可愛らしい笑顔である。
ここからはノンストップで畳み掛ける。

江利子「うわ、可愛いらしぃっ」
「愛読書は、コスモス文庫です」
由乃「うわ、ベタな夢見る少女」
「趣味は編物です」
江利子「うわ、ベタな将来いいお嫁さんな女の子」
「あ、後お菓子作りも得意です。今日は皆さまにカップケーキを焼いてきました」
由乃「うわっ、ベタな人気取り」
江利子&由乃「ベッタベタのボーイッシュに見えて実は可愛い女の子キャラだ―っ」

319 名前:青銅名無し客:2005/07/18(月) 08:29:36
書き込みテスト

320 名前:青銅名無し客:2005/07/18(月) 16:48:20
>>461
聖!?しばらく顔を見せないと思ったら…風邪を引いたのなら連絡くらいなさい!
そうすればすぐに看by…な、なんでもないわ。
とにかく、あまり心配かけるんじゃないの。分かった?








…どうしてこういう言い方しかできないのかしら、私。(´・ω・`)ショボーン

321 名前:青銅名無し客:2005/07/20(水) 21:44:21


322 名前:青銅名無し客:2005/08/25(木) 13:31:57
あ〜テステステス

323 名前:青銅名無し客:2005/08/28(日) 23:15:18
>>21
なんだそれは?


死への憧れの表明か?喜んで手伝ってやるぞ

324 名前:青銅名無し客:2005/08/28(日) 23:47:59
>>23
思わないな。
そもそもわれらの紋章に限らず、紋章のモチーフによく使われる有翼竜、一角馬などの幻想の生き物は全て人が滅ぼしたモノであろ?

そもそも紋章に選ばれたのは八頸竜ガフトノーシの姿に八つの門を持つ帝都
の姿を投影したからだ。
八頸竜の運命に憧れたわけじゃないぞ。


それに、母都市が生み出した神話において礎になった八頸竜がわれらの象徴として甦るのはある意味象徴的であろ?


325 名前:青銅名無し客:2005/09/06(火) 20:08:27
test

326 名前:青銅名無し客:2005/09/07(水) 01:13:50
 島の一番の高台に立って、俺は沈む夕日を見ていた。
 黄色い球体が、水平線でゆがんで潰れ、消えてゆくそのさまと、
 夕日が作る長い長い影が、島のすべてを覆い、飲み込み、おぼろな闇に沈んでいく様を、見ていた。

 黄色い輝きのすべてが没し、闇が完全に辺りを覆ってようやく、
 俺は自分が己でも気づかぬうちに、食い入るようにそれに見入っていたことに気づいた。

 静かに、息を吐き出す。
――途端、血臭が鼻腔を刺した。

 丘から見下ろすだけで、死骸がゴロゴロと目に入る。
 日が暮れるのを待っていましたとばかりに、そいつらは蠢きだしていた。

 この島は、今、どこでもこうだ。地相は最悪、積層都市の最下層並み。
 生者と死者と魔物を一緒くたにし、幾人もの贄を得て、
 殺し合いという名の祭祀を執り行おうとしている輩がいるらしかった。

 俺も贄のうちの一人というわけだ。
 気に入らないが、まあ、いい。俺は俺で、俺のゲームを始める。

 生者をすべて吸血鬼にしてしまえば、そいつらはさぞ慌てるだろうさ。

「マクスウェル、休暇をやるよ」
 その呟きを開始の合図に、俺は獲物を求めて闇の中へと踏み入った――

327 名前:青銅名無し客:2005/09/07(水) 01:14:27
 最初の獲物はグールに襲われていた。
 森の外れ、屍人に追われて運悪く崖下に追い詰められていたのだった。

 おやおや、かわいそうに。
 見れば整った顔立ちだ。ここまで走り続けてきたのだろう。
 こわばった表情、押し殺された怯えの表情。
 こりゃ、味のわかんねぇグールにくれてやるのはもったいない。

 グールをどかしてコナかけようかと思った瞬間、
 気合の声がほとばしった。

――おやおや。
 追い詰められた鼠の逆襲だ。振り下ろされた木刀の一撃は、グールの頭骨をものの見事に砕いていた。
 頭部をほとんど破砕させ、動きを止めた死者を前に、少女は荒い息をついていた。

 木刀を構えた姿がなんとも様になっている。
 凛々しいねぇ。

 俺は足音をしのばせ、いまだ呼吸を整えている少女の後ろに回った。
 驚かせたくなったのだ。

「大丈夫かい、おじょうちゃん?」
 彼女の背後、数歩のところで俺はそう、声をかけた。

328 名前:◆LOSJACkEtA :2005/09/07(水) 03:13:00

 水平線の彼方へと沈んでいく太陽を背景に、メリーベル号はようやく、軍艦島と呼ばれる
小島の港へと、進入を果たしていた。

 船から渡されたスロープを伝い、車体をゆっくりと、船上から港へと進ませる。
 ハンドルを握りながら、上陸作業を続けている船員に視線を走らせる。
 が、目に入る表情はすべて、判で押したかのように引きつり、どこかおびえを感じさせるも
のばかり。まあ無理もないとは思う――上陸前に、あんな話をされてしまっては。

 事前にされていた説明通り、つい先日まで誰かに管理されていた形跡はあるものの――
しかし、施設周辺ににぽつぽつと転がっている、身じろぎひとつ無い人影が、その状況が既
に過去のものであると、明確に物語っていた。

 ぱっと見た限りで、五から六。
 恐らくはこの港の施設要員だったのだろうが、季節は夏、既にそれらが腐敗を始めている
現実を見てしまえば、そんなことを確かめる気も起きない。
 潮に混じって鼻をつく異臭に顔をしかめつつ――しかし、やはり信じられないという思いも
含めて、知らず俺は独りごちていた。

「この様子じゃ、本当に全滅してるっぽいな――いやはや、一体何が起こったんだか」

 今回の仕事は、かみ砕いて言えば『調査』だ。
 とある企業の所有する――していた小島の調査。元々はどこかの政府機関が研究施設
として使っていた島を買い取り、倉庫として使っていた云々……と言うことだったが、正直な
所、あまりよく覚えていない。
 まあともかく、その島が、二週間ほど前に突如連絡を絶ったのだそうだ。
 何かあったのかと不審に思い調査隊を派遣したものの、それ自体連絡を絶ち機関もせず。
 しまいには、島上空からの航空偵察にまで乗り出したらしい。

 そして彼らは――撮影された写真を見て仰天した。
 島全域に渡って、無数の死体が転がっていたのだ。倉庫移設、湾岸施設の運営に当たっ
て、島には数十人からの職員が生活していたと言うことだが、状況から見て既に全滅してい
る事は間違いがない。だが、一体何が原因で――――

 事態を重く見た社の上層部は、第三次の調査隊派遣を決定する。
 だがそれは、前回、前々回のような、定期査察に毛が生えたようなものではなく――
 重火器の携行すらも行う大がかりな代物だ。

 そして俺は、その携行される『重火器』のひとつとして雇われ、社内から島の様子をうかがっ
ている――と、そんなところだ。


 船員達とは違い、依頼を受けるときに予め、島の置かれている状況を聞いてはいたが……
実際に目の当たりにすれば、正直なところ驚きしか出てこなかった。

 ――が。
 そんな驚きは、次の瞬間、粉々に吹っ飛んだ。

「……これは」

 思わず車外に降りて、まじまじと観察したい衝動に駆られる――がそれは今、決してやっ
てはいけない行動なのは明白だった。

 今、眼下に転がる死体。
 そこには――前進が、なにものかに食い荒らされた痕跡が、まざまざと刻まれていた。

 何が起こったのかは、判りすぎるぐらい明白だった。つまり。つまり、この島は――!

 反射的に、急ごしらえで車内に設置された無線に怒鳴る。

「<メリーベル>、聞こえるか!? こちらはスタインバーグだ、島には絶対に降りるな!
 早く離脱の準備を。此処はもう、『汚染』されて――!」

 だが、言葉はそれ以上続かなかった。
 もっとも恐れいていた事態が――目の前で、起こってしまっていたからだ。
 先ほど見下ろしていたはずの喰われかけの死体が――立ち上がり、暗い眼窩をこちらに
向け、じっと、俺を見つめていたのだ。

「――――!」

 同時に。
 船の方から、散発的な炸裂音――銃声だ――が轟いている。
 はっと、海の方に目を向けた。
 太陽は既に沈みきり、その痕跡は水平線をうっすらと染める、紫色の帯だけだ。

「冗談――!」

 反射的にギアシフト、キャリアをバックさせる――が、背後からの鈍い衝撃に、無理矢理
それは中断された。
 のぞき込んだミラーには、やはりどす黒い血痕で全身を染めている、表情のない死者の
姿が――!

喰屍鬼(グール)……!」

 遠くから響く銃声と、無線から垂れ流される空電ノイズ。何が起こっているのかは、もはや
考えるまでもない。

「……邪魔だ!」

 ドアを蹴り開けて、一番最初の死体を吹き飛ばす。
 既に身のこなし、なんて単語は衣のととともにどこかに忘却していたらしいグールは、
抵抗らしい抵抗もせずに地面へと崩れ落ちる。

 同時、抜きはなった拳銃を動く死体の頭部へと照準、立て続けに45マグナム弾を3発、
一気に叩き込む。粉砕された頭部から凝固仕掛の血液と、腐りかけの脳漿がコンクリート
へとぶちまけられるが、悠長にそんなものを見ている暇はない。
 びくびくと、痙攣を続ける死体をそのままに、ギアシフト、アクセルを踏み込む!

 急加速した車体に引き摺られ、キャリアコンテナ部に取り付いたグールが地面に削り取ら
れていく。さらに加速、いよいよ耐えられなくなったのか、取り付いていた三体の死体は、
車体表面に腐った皮膚だけを残して、無様に地面へとたたきつけられていた。

 とりあえず息をつく――が、安心なんてしていられない。

「くそったれが――何が事故だ」

 恐らくは。島に滞在していた全職員が、同じ事になっているのだろう。
 そして俺達よりも前に、島に訪れたという調査員達も。

 この島は――吸血鬼に、汚染されている。

(初期位置:A-3 湾岸部→B-3 居住区へと移動中)

329 名前:◆HORAIgd3qU :2005/09/07(水) 21:38:53


 ひどく薄暗い月だけが見える曇り空の下、ほとんど光の差さない夜の竹林は何処までも
無気味だった。

 すでに妖怪が跳梁跋扈するはずの領域は恐ろしいほど静かで、動くものが全く見えない。
まるで全てが息を潜めて眠っているようにも思える。
 ただ、その例えはどこか正しくて、どこか間違っている。
 息を潜めているのは確かだ。しかし、眠っているのではないだろう。

 ―――私たちに怯えているのかもしれないのだから。

 足場と視界の悪い中、私は駆けながら苦笑した。
 確かに怯えられて当然かもしれない。私たちがいつもこの竹林で夜中にやっていることに巻き込まれてしまえば、死体か灰しか残らない。低級の妖怪であればなおさらだ。

「……にしても、何処まで引っ張っていく気よ、あいつ」

 かすかに速くなっている息の合間を縫って呟く。
 輝夜。私の怨敵であり、月より来た姫君。そして今宵、いつものように殺しあう相手。
 その姿はすでに見えていない。すっかり闇の中である。
 その後を正確に付いていけるのは、気配を辿っているからだ。
 ただ、おかしなことに。まったく立ち止まる様子はなかった。

「まったく、どういう了見なのよ。疲れるじゃない」

 というより、さすがに疲れた。
 だから私は一際強く地面を蹴り、“翼”を広げた。
 赤く紅く輝く、燃え盛る不死鳥の羽根。
 同時に暗かった森が赤く照らされ、さらに速く景色が流れていく―――
 と、そこで気づいた。

「………ありゃ?」

 空中で急制動をかけて、地面に降りて燃え盛る翼をしまった。

 ―――竹林じゃない。

 景色が何時の間にか、鬱蒼とした森へと変わっていた。踏みしめる土の柔らかさは、腐葉土が積もっているからだろう。
 どういうことだろうか、と考えて、すぐに至った。

「………やられた」

 そう、私は結界の外へと出てしまっていたのだ。
 たぶん、こうだ。
 偶然結界の綻びを見つけた。面白そうだったので私が飛び込むように仕向けた。
 すごい。たった一行で済んだ。

「……あーいーつーはー!!」

 おもわず地団駄を踏むが、それでどうにかなるわけでもない。
 急に景色が変わったところをみると、どこか別の場所に飛ばされたように見える。
 潮の薫りがかすかにする。海沿いか小さな島、だろうか。

「まあ、とりあえずはどうにか戻んないと―――」

 むう、と眉根を潜めて周りを見渡す―――
 酷く、嫌な感覚。

「……なによこれ。死体だらけってことなの。それに……この昏い気配」

 かすかに感じる死臭。そして―――覚えのある妖気。
 思い出す。
 これほど弱いものではなかったが、似たようなものを以前感じたことがある。
 つまりは―――今現在、この場所には吸血鬼が跋扈している。現在進行形で。

「冗談……。ついてないにもほどがあるわ」

 苛立ち混じりに呟いて、現在の自分の戦力を確認。
 攻撃用の札と投擲に使う小柄の数は―――多少減っているが弾幕張れる程度には十分。体力もほとんど残っていて、スペルカードも三枚ほどある。この場から離れるには十分すぎるくらいだ。

「よし。なんとか帰らないとね―――幻想郷に」

 一つ頷いて、私は駆け出した。
 とりあえずは周囲の様子を把握できる、開けていそうな場所へ。

(初期位置:B-1 森林地帯 B-2 空港跡へと移動中)

330 名前:◆HORAIgd3qU :2005/09/07(水) 21:42:35


 ひどく薄暗い月だけが見える曇り空の下、ほとんど光の差さない夜の竹林は何処までも
無気味だった。

 すでに妖怪が跳梁跋扈するはずの領域は恐ろしいほど静かで、動くものが全く見えない。
まるで全てが息を潜めて眠っているようにも思える。
 ただ、その例えはどこか正しくて、どこか間違っている。
 息を潜めているのは確かだ。しかし、眠っているのではないだろう。

 ―――私たちに怯えているのかもしれないのだから。

 足場と視界の悪い中、私は駆けながら苦笑した。
 確かに怯えられて当然かもしれない。私たちがいつもこの竹林で夜中にやっていること
に巻き込まれてしまえば、死体か灰しか残らない。低級の妖怪であればなおさらだ。

「……にしても、何処まで引っ張っていく気よ、あいつ」

 かすかに速くなっている息の合間を縫って呟く。
 輝夜。私の怨敵であり、月より来た姫君。そして今宵、いつものように殺しあう相手。
 その姿はすでに見えていない。すっかり闇の中である。それでも迷わずに後を付けられるのは、かすかに残った気配―――魔力だの妖気だのを辿っているから。
 ただ、おかしなことに。
 あいつにまったく立ち止まる様子はなかった。

「まったく、どういう了見なのよ。疲れるじゃない」

 というより、さすがに疲れた。
 だから私は一際強く地面を蹴り、“翼”を広げた。
 赤く紅く輝く、燃え盛る不死鳥の羽根。
 同時に暗かった森が赤く照らされ、さらに速く景色が流れていく―――
 と、そこで気づいた。

「………ありゃ?」

 空中で急制動をかけて、地面に降りて燃え盛る翼をしまった。

 ―――竹林じゃない。

 景色が何時の間にか、鬱蒼とした森へと変わっていた。踏みしめる土の柔らかさは、
腐葉土が積もっているからだろう。
 どういうことだろうか、と考えて、すぐに至った。

「………やられた」

 そう、私は結界の外へと出てしまっていたのだ。
 たぶん、こうだ。
 偶然結界の綻びを見つけた。面白そうだったので私が飛び込むように仕向けた。
 すごい。たった一行で済んだ。

「……あーいーつーはー!!」

 おもわず地団駄を踏むが、それでどうにかなるわけでもない。
 急に景色が変わったところをみると、どこか別の場所に飛ばされたように見える。
 潮の薫りがかすかにする。海沿いか小さな島、だろうか。

「まあ、とりあえずはどうにか戻んないと―――」

 むう、と眉根を潜めて周りを見渡す―――
 酷く、嫌な感覚。

「……なによこれ。死体だらけってことなの。それに……この昏い気配」

 かすかに感じる死臭。そして―――覚えのある妖気。
 思い出す。
 これほど弱いものではなかったが、似たようなものを以前感じたことがある。
 つまりは―――今現在、この場所には吸血鬼が跋扈している。現在進行形で。

「冗談……。ついてないにもほどがあるわ」

 苛立ち混じりに呟いて、現在の自分の戦力を確認。
 攻撃用の札と投擲に使う小柄の数は―――多少減っているが弾幕張れる程度には十分。体力もほとんど残っていて、スペルカードも三枚ほどある。
 この場から離れるには事足りるだろう。

「よし。なんとか帰らないとね―――幻想郷に」

 一つ頷いて、私は駆け出した。
 とりあえずは周囲の様子を把握できる、開けていそうな場所へ。

(初期位置:B-1 森林地帯 B-2 空港跡へと移動中)

331 名前:◆HORAIgd3qU :2005/09/07(水) 21:44:49


 ひどく薄暗い月だけが見える曇り空の下、ほとんど光の差さない夜の竹林は何処までも
無気味だった。

 すでに妖怪が跳梁跋扈するはずの領域は恐ろしいほど静かで、動くものが全く見えない。
まるで全てが息を潜めて眠っているようにも思える。
 ただ、その例えはどこか正しくて、どこか間違っている。
 息を潜めているのは確かだ。しかし、眠っているのではないだろう。

 ―――私たちに怯えているのかもしれないのだから。

 足場と視界の悪い中、私は駆けながら苦笑した。
 確かに怯えられて当然かもしれない。私たちがいつもこの竹林で夜中にやっていること
に巻き込まれてしまえば、死体か灰しか残らない。低級の妖怪であればなおさらだ。

「……にしても、何処まで引っ張っていく気よ、あいつ」

 かすかに速くなっている息の合間を縫って呟く。
 輝夜。私の怨敵であり、月より来た姫君。そして今宵、いつものように殺しあう相手。
 その姿はすでに見えていない。すっかり闇の中である。
 それでも迷わずに後を付けられるのは、かすかに残った気配―――魔力だの妖気だのを
辿っているからだ。
 ただ、おかしなことに。
 あいつにまったく立ち止まる様子はなかった。

「まったく、どういう了見なのよ。疲れるじゃない」

 というより、さすがに疲れた。
 だから私は一際強く地面を蹴り、“翼”を広げた。
 赤く紅く輝く、燃え盛る不死鳥の羽根。
 同時に暗かった森が赤く照らされ、さらに速く景色が流れていく―――
 と、そこで気づいた。

「………ありゃ?」

 空中で急制動をかけて、地面に降りて燃え盛る翼をしまった。

 ―――竹林じゃない。

 景色が何時の間にか、鬱蒼とした森へと変わっていた。踏みしめる土の柔らかさは、
腐葉土が積もっているからだろう。
 どういうことだろうか、と考えて、すぐに至った。

「………やられた」

 そう、私は結界の外へと出てしまっていたのだ。
 たぶん、こうだ。
 偶然結界の綻びを見つけた。面白そうだったので私が飛び込むように仕向けた。
 すごい。たった一行で済んだ。

「……あーいーつーはー!!」

 おもわず地団駄を踏むが、それでどうにかなるわけでもない。
 急に景色が変わったところをみると、どこか別の場所に飛ばされたように見える。
 潮の薫りがかすかにする。海沿いか小さな島、だろうか。

「まあ、とりあえずはどうにか戻んないと―――」

 むう、と眉根を潜めて周りを見渡す―――
 酷く、嫌な感覚。

「……なによこれ。死体だらけってことなの。それに……この昏い気配」

 かすかに感じる死臭。そして―――覚えのある妖気。
 思い出す。
 これほど弱いものではなかったが、似たようなものを以前感じたことがある。
 つまりは―――今現在、この場所には吸血鬼が跋扈している。現在進行形で。

「冗談……。ついてないにもほどがあるわ」

 苛立ち混じりに呟いて、現在の自分の戦力を確認。
 攻撃用の札と投擲に使う小柄の数は―――多少減っているが弾幕張れる程度には十分。
体力もほとんど残っていて、スペルカードも三枚ほどある。
 この場から離れるには事足りるだろう。

「よし。なんとか帰らないとね―――幻想郷に」


 一つ頷いて、私は駆け出した。
 とりあえずは周囲の様子を把握できる、開けていそうな場所へ。


(初期位置:B-1 森林地帯 B-2 空港跡へと移動中)

332 名前:青銅名無し客:2005/09/07(水) 22:22:35
茂みを掻き分けて、森の中へ飛び込む。
後ろは見ずに走る。
枝が頬を打って、草の葉が腕に赤い線を引く。
それでも走って、転がっていた1m程の枝を拾うと、多少心の余裕が出来た。

「……何、あれ……一体何なの?」

荒く、喘ぐように息を吸いながらようやくそう口に出す。
人に見えた。見えたけれど、あれは違う。
皮膚は腐れ落ちて赤黒い肉が露出していて、目は白く濁っていた。
爪は剥がれ、崩れた唇の間から疎らに抜け落ちた歯が覗いていた。
どう見ても、生きていなかった。
動く死体……俗に言うゾンビなのだろうか。
考えてみれば、私も映画や何かと同じように襲われている。
多分、捕まれば結末も同じだろう。

「はあっ、はっ……!」

追われるままに逃げて、森を駆け――視界が急に開ける。
自然と足は止まった。

「崖……?!」

梢の下からふらふらと進み、辺りを見回す。
……森伝いに逃げるか、それとも迂回してもう一度森に入るか。
逡巡していると、がさがさと音が聞こえた。
反射的に、手の中の棒を握り締める。
何とか怯ませて、その隙に振り切れれば――――
祥子の所へ早く戻らないといけないんだから。
覚悟を決めて、青眼に構えた枝を動く死体に向けた。

「――――はぁっ!」

無防備に伸びてきた右腕を狙って、加減せずに打ち込んだ。
最悪でも骨折で済む、そう考えて。
それが甘い考えだったのは、すぐに思い知らされた。

「っ――嘘!?」

まともに入ったはずなのに、動きは止まらない。
左腕を枝で払って、後ろに距離を取る。

声が掛かったのは、その瞬間。

驚きよりも先に危機感に襲われて、私の体は振り向きざまに枝を打ち振るっていた。

333 名前:『深緑の智将』グリニデ(M) ◆BECoOlA3c2 :2005/09/07(水) 22:58:00
――――満点の星空。
それが私がこの夜に、最初に見た光景だった。

「……ここは、一体何処なのだ……?」
私の勢力圏であった“黒の地平”は、配下の魔物が吐き出す黒煙によって
既に20年以上、陽光も、月光も差し込む事がない。

「『地脈の扉』の暴走か……?」
魔人(ヴァンデル)が使用する、遠距離を行き来するための転移装置。
それが地脈の扉だ。

だが、私の覚えている限りでは地脈の扉を使ったのは大分前の事。
最近は『世紀の大偉業』の実現に向けて“あの部屋”に篭っていたのだからあり得ない。

「……ダンゴール、ダンゴールは居ないのか?」
自分に付き従う腹心の魔物の名を呼ぶ。
だが答えは返ってこない。

ややもすると、把握できぬ状況に対し湧き上がる、己の中の興りに気付く。
「落ちつけ……このような時こそBe Cool(ビィ クール)Be Cool(ビィ クール)にだ…!」
興奮を、怒りを感じる時私はこう唱える。
理性的に、節度有る知性的な魔人(ヴァンデル)として振舞いつづけるために。
そして、あの“獣”の姿を見ぬ為に……!

………ここが誰の勢力圏かは知らぬが、人跡がある以上は魔物も魔人も居る事には違いないだろう。
―――そして、我等のゲームの標的である人間も。

「フ、フフッ……予想さえ出来ぬ状況ではあるが、この私の智略の限りを尽くし、戦果を挙げ帰還すれば
『ゴール』もより近付くに違いない……!」

―――魔人(ヴァンデル)の指導者にして、究極の栄光。それが八輝星だ。

幾度と無く夢に描き続けたゴールへ、どのような手段を用いてでも辿りつく。
―――それこそが、全ての魔人の目的にして、存在理由なのだから。

(初期位置:C-1 森林地帯→B-1森林地帯に向けて移動)

334 名前:青銅名無し客:2005/09/08(木) 00:08:49

 屍が月明かりの下に集い、その屍を貪る塵。
 それを目にした途端、頭の中では殺せと言う爆音が上がる。
 血が滾る、血が暴れる、血が表へと溢れそうになる。

 理性の枷を頑丈に。本能を殺げ。蛇を駆逐し勾玉を胸に。
 屍が物語るのは惨劇の幕開け。
 踊る役者は本能に襲われ続ける獣。

 塵が向かってくる。生きた血肉でも欲しいのだろうか。
 餌と狩人を間違えるとは、何処までも愚かな塵の群れ。
 右手を―――それが当然だと言うように―――振るい、一つの塵を片付ける。
 真紅の噴水は狂ったように水を吹き上げ続け、狂宴の開始を告げる雨となる。

 左手は紫炎の帳を降ろし、塵の焼ける匂いが充満していく。
 悲鳴は聞こえない。ただ聞こえるのは己が内に眠る声。


 ――――――――――――――舞台の幕は、上がったばかりだぜ?
 久しぶりに表に出させてくれよ。『お前』だけいっつも満足しやがって。
 『俺』にも血を、肉を、悲鳴を、くれよ。『お前』だけがそれを好きな訳じゃないんだ。
 『俺』にも殺させろころさせろコロサセロ殺―――――――――――――――

 「貴様は黙っていろ…そしてこれは、全て俺の物だ」

 それにしてもあの女。何が楽な仕事だ。
 血に染まるような仕事は楽な仕事とは言わんと事を、報酬を受け取る際に教え込もう。
 調査結果はオロチではない異常事態。こう告げればそれで終わり。
 まあ兎に角、此処から出ねばならんか…

 自分の中に篭るのは一瞬。次の塵の処理。処理してはまた次。
 これも業務の一環。だから―――殺して、殺して、殺して、殺して、殺す。
 本能と理性が合致していれば、血に狂う事も早々あるまい。
 暴力を振るう吐き気は問題だが、それは成功報酬に上乗せすれば良い。

 そう言えば事態が異常ならば治めて来いとも言っていたか。
 面倒だが、殺し続ければ良いだけ。ならば簡単だ。
 月明かりの下、紅く染まり続ければ良いのだから。

 「クックックックックッ…ハッハッハッハッハッ…ハァーハッハッハッハッハッ!」
 ―――――――――――――――結局同じだな、『俺』も『お前』も


 (B-2で待機)
 

335 名前:青銅名無し客:2005/09/08(木) 03:03:59


 波が運び、また持っていく漣のうねりとその男の寝息は、ほぼ完全な同調を見せていた。
 ――と云っても、此処は海辺からかなり隔たっている。波濤の音は遥か遠い。
 にも拘らず、である。寄せては返す律動に合わせ、太鼓腹は膨らんでは引っ込み、波うちを
繰り返していた。


 男が寝そべっているのはビーチチェアの上だ。すぐ脇にはビーチパラソルと、炭酸水の瓶や
アイスボックスが載った丸テーブルが置かれているが、パラソルが防ぐべき陽はとうに沈み、
氷は全てぬるい水になっていた。
 おまけにここは砂浜ですらない。整備という作業が停止してから随分経つ、朽ちかけた滑走
路なのだ。

 開けたコンクリートの平野に他の人影はなく、とうに役目を終えた管制塔にも灯りはない。
 ただ夜の虫達だけが静かに歌う中、男は熟睡しているようだった。
 年は中年以上、体重も平均以上であろう。肉体は肥えに肥えている。
 唯一、躯に纏った男子用のスクール水着がはちきれそうである。――年甲斐もなく、という評
が適切かは定かではないし、そもそも誰も評したくないだろう。

 ただ小奇麗にオールバックに撫でつけた髪や、外へ向かって筆先のように尖る両鬢の毛は、
精気みなぎる中華系の風貌と相まって、如何して只者に見えはしない。
 閉じられた両目は、更に黒い丸眼鏡で覆われているので、どんな眼をしているのかは定かで
なかった。

 唐突に、寝息はぴたりと止んだ。
 呼吸・瞑想等の肉体操作により、精神と太極天地との合一を計る内丹術の息吹きを止め、太
った男はのろのろと身を起こす。
 側のテーブルに手を伸ばし、ミネラルウォーターの瓶を取った。

「少シ、寝過ごしたカ」

 長時間放置された炭酸水は、もう味気ないガス抜き水になっている。それを一息で飲み干す
と、男は顔をしかめた。
 首を曲げ、手足の関節を曲げてほぐす。
 きゅうりをへし折るような、小気味良い音が連続する。


 椅子から下り、ラジオ体操の如き運動を始めたこの太っちょは、実は当代比類無き攻夫の大
達人である。
 また斯界有数の霊幻道士でもあり、そしてここが一番重要なのだが――数千年を閲した生ける
尸(しかばね)の祖の一人なのだった。あまりそうは見えないが。

 ラジオ体操を「第二」に移行し始めた馬呑吐(マー・トンツー)氏は、おおどかに呟いた。


「いや――そろそろカネ?」

(初期位置:B-2 空港跡)

336 名前:宇佐見 蓮子 (M) ◆0mM.SPARK2 :2005/09/08(木) 04:57:36
「……う、ん……?」

……暗がりの中で、目が覚めた。
あれ、電気どこ……っていうか、そもそもうちのベッドじゃないし。

ごつごつとした地面、辺りに響く声。
やがて目が慣れてきて……ここ、洞窟?
あれ、なんでこんなところで寝てるんだっけ……?
確か、えーっと。


 メリーとの待ち合わせに遅れそうだった、いつも通り。
 空を見ぃ見ぃ、時間を確認……うわ、予定より五分も遅れてる!
 遅刻遅「刻〜!」……はい?

 声がしたので隣を見れば――――うさ耳。うさ耳少女。おんなじように走ってる。
 いや何この未知との遭遇。いつ境界を割ったって?
 とりあえずなんだか、同じ方向に走っている。まさか目的地が一緒って訳もないだろうけど。
 でも必然、足の速い向こうを追いかける形になって、そして同じ角を曲がって
 そして、そしたら、足下が――――?


……なんか、はめられた?
落とし穴に落ちたような気がする。いやあんな道のど真ん中に落とし穴なんてあるはずないんだけど。
やっぱり知らない間に境界を越えてた? 私じゃメリーみたいに見えないからなぁ。
でもそうすると、ここは一体?
……とりあえず、外に出てみよっと。

そんなわけで私は、その洞窟? の外に出てみた。
まあ、この雰囲気なら森とかでも広がってるんだろうって思ってたわ。深く考えてなかった。
実際、その予想は当たってたし。


――物言わぬ死体と、物言う死体というおまけ付きで。


なによ、これ。なんの冗談よ。
それとも夢? メリーみたいに現実に繋がる夢でも見てるっての?
いやまさか。そんなはずはないわ。
でも、実際に目の前にいるこれは……


――逃げよう。
そうだ逃げよう。こんなものに付き合ってられない。
早くメリーのところに行かないと。このままじゃ大遅刻だもの。
地を蹴って駆け出す。駆けながらどうにか空を見上げる。
星が瞬いてる、月が照らしている。すなわち今は夜で、そして……


……時刻は午後十時前。ここは軍艦島と呼ばれる孤島。
手元にあって役立ちそうなのは、いつも持ち歩いてるカメラだけ。

たったこれだけで――――私は、逃げる。


(開始位置、A-1「坑道跡入口」→移動予定、B-1「森」)

337 名前:エリ・カサモト ◆SV001MsVcs :2005/09/08(木) 12:22:19

「試作兵器での降下作戦?」

 朝一で上の人間に呼ばれ、ノコノコやってきたアタシに命ぜられたのはそんな任務への従事だった。
「そうだ。次世代主力戦車の降下強襲実戦試験をやってもらう」
 どっしりとしたデスクに両肘をついて口元で手を組み、佐官クラスのお偉いさんは言った。
「お言葉ですが、あの機体は既に実戦を経て『現主力戦車に劣る』との結論が出ています。そんな機体で降下強襲作戦など、私に死ねとおっしゃるので?」
 そう、アタシは実際にその機体に乗ったことがある。ロールアウト直後に敵に鹵獲された機体を奪還する際に搭乗した。
 酷い性能だった。見掛け倒しもいいところで、「これなら初期型のメタスラの方がマシだぜ」なんて声もあがった。
「確かに。『新型なのに現用機以下の役立たず』と酷評された機体だ。…だが、この機体は違う」
 自信ありげにお偉いさんは言った。
「違う?」
「マルコ・ロッシ少佐を筆頭とする君ら四人の酷評を受けて兵器開発部が再設計を行ったのだ。コンセプトは同じだが他は完全に別物だよ」
 誇るように言うお偉いさん。どうだか。開発者サイドの言葉は額面どおりにとっちゃいけないってのが現場の声だ。
 例えばドロップショットとかサンダークラウドとか。
「欠点は全て改善されている。あとは運用して実戦データを取り、さらに煮詰める段階だ」
 で、その実戦における生贄にアタシが選ばれたわけだ。開発部め、よっぽど扱き下ろされたのが気に入らなかったんだな。
「これは正規の命令だ。納得いこうといくまいと君は命令に従わざるを得ない」
 お偉いさんのサングラスが光を反射する。どんな目でアタシを見てるのか窺えない。
「作戦前に技術士官から説明を受けておきたまえ。話は以上だ」
 そう言ってお偉いさんはアタシへの命令伝達を終えた。



 そして今、アタシは投下用パレットに固定された新型メタルスラッグの中で発艦を待っている。

 降下予定地より離れること数十キロ。洋上に浮かぶ輸送艦。
 スラグフライヤーに投下用パレットと新型とアタシを載せ、作戦開始と同時にテイクオフ。
 あとは実戦の経過をコーヒー片手に観戦。戦闘終了後におっとり刀で回収。それが仕事らしい。

「うーん…これ本当に飛べるんでしょうか? 発艦失敗で海にドボンなんて嫌ですよ」
 通信機から不安げなフィオの声。スラグフライヤーのパイロットはフィオだ。
 降下予定地までアタシを運び、必要があれば支援を行う。
 それが今回のフィオの仕事。
「重量配分とフライヤーの出力計算ぐらいやってるでしょ。大丈夫よ。…多分」
「多分ってなんですかぁ!」



 作戦開始時刻になった。

 ガッチガチに固定した荷物を背にスラグフライヤーは無事に発艦。
 発艦時にフィオは割と本気でビクビクしていた。

 投下予定地点は軍艦島、座標は『B-1』の森林地帯だ。

 南方より島へ侵入。妨害は今のところなし。
「なんだってこんな辺鄙なところで実戦ができるんだか」
 軍艦島って立ち入り禁止じゃなかったっけ? なんでグールが湧くのよ? どうしてそれを察知できたわけ?
 疑問は尽きない。
「そもそも実戦試験なのに相手がグールってどうなのよ」
 まあ、あんまりヤバイ奴が相手だと今度は帰ってこれなくなるかもしれないんだけどさ。
「油断してると痛い目見ますよ。…もうすぐ降下地点です」
 通信機からフィオの声。
「油断なんかしないわよ」
 簡単にチェックを行う。異常なし。
「降下高度まであと40秒です! 急いでチェックを!」
「もう済んでる」
 口にガムを放り込む。風船一つ。
「降下高度です! 投下します!」
 フィオの声とともに爆砕ボルトが炸裂。
 結合を解かれた投下パレットはスラグフライヤーと切り離され、たちまちのうちに地上に落ちていく。

 ―――はずだった。
 がこっ、という嫌な音。何かがフライヤーに引っかかったらしい。
「こ、高度がどんどん下がっ! いやあああ落ちるぅうううううう!!!」
 フィオの通信機越しの悲鳴がキンキン響く。
 アタシも冷や汗をかきながらスラッグのモニターをオン。外部情報を収集。
 ワイヤーが一本、半千切れでフライヤーに引っかかっていた。
「こいつか!」
 ハッチを開いて身を乗り出す。高空の夜気と風がびゅうびゅうと吹き付ける中クラシックマーダーを抜いた。
 銃声三つ。 半千切れワイヤーから全千切れワイヤーへ。
 アタシは急速落下を始める機体から危うく投げ出されそうになりながらも辛うじて堪え、ハッチを閉めた。
 程なくしてパラシュートが展開され、一気に減速がかかる。
 地上が近づき、パレットで地を滑りながら着地。爆砕ボルトが再び炸裂し、今度は用済みのパラシュートを切り離す。
 パレットが止まったところで三度爆砕ボルトが弾け、新型メタルスラッグを拘束から解き放つ。

「機関始動! 作戦開始!」
 エンジン音を響かせ、鋼の塊が地上を疾駆する。

 ……やべ、降下地点ズレまくり。

(初期位置:B-1「森林地帯」(降下失敗)からA-1「坑道跡入口」付近に降下完了)




338 名前:◆mSTYrlov6I :2005/09/08(木) 16:14:04
 人工の光が無い夜。人以外のモノしか、音を立てない森の中。
 一寸先は闇、と言われる。
 人は闇に灯りを点し、駆逐してきた。なぜなら見えないと云うことは、人間にとってとても恐ろしいことだったから。

「えー、うなぎー、八目鰻だよー」

 人の畏れる闇夜の静寂を台無しにしながら、人の畏れる妖怪が月明かりの下を練り歩く。

「混じりモノもあるけど、取りあえず夜盲には効くよ〜。ビタミンAたっぷりだよ〜」

 すでに宣伝ですらない、堂々とした詐欺の告白。いや、これでは最早詐欺ですら有るまい。口上の意味を、考えてから
口にしているかすら疑わしかった。
 堂々とした犯罪の暴露を、がらがらと屋台が引きずられる音が追いかける。灯りなどどこにもなかったはずの視界に
近付くと唐突に現れた紅提灯には、力強い筆致で「八目鰻」と。

「効かなくても、私が夜盲を解除するよ〜。……おっかしいなあ、今日はお客が来ないや」

 この店主、種族を夜雀、名をミスティア・ローレライと称する。少女の形をしてはいるが、世紀を渡って生きる歴とした
妖怪だ。
 夜雀は歌で人を狂わせ、夜道に惑わせる。人の夜目を効かなくし道に迷わせる怪異が、夜目に効くと八目鰻を売っている
のだ。毒を撒いて解毒剤で儲けるようなものである。
 むしろ客が来る方が、本来おかしい。
 おかしいのだが、店はなぜか繁盛している。おかしな妖怪がやっている商売故に、おかしな事も起こるのかも知れない。

「ん、あれ?」

 ふと何かに気付いて、夜雀が辺りを見回す。忽然と居場所が変わっている。月の位置も、木々の位置も、そもそも生えて
いる種類からして異なっている。

「もー、私が道に迷ってどうするんだか。私は迷わせる方なのに〜」

 そうは言ってみたものの、居場所がどこだかすらさっぱり判らない。それでも先ほどまでいた場所と全く異なることは、
疑いようもなかった。なぜなら、

「むむ、こいつは臭いわ〜。ゲロ以下の匂いがぷんぷんするわ〜」

 こんな下品な匂いは、長らく嗅いだことがなかった。少なくとも幻想郷では、吸い殻をポイ捨てするようなマナーの悪い
者など覚えがない。

「んじゃここは外かな? って吸い殻に聞いてもしょうがないか〜」

 目の前を彷徨く吸い殻、喰屍鬼グールである。腐りかけ、あるいは腐りきった腐臭が鼻を突く。喰屍鬼からは、夜雀の姿は見えて
いない様子である。
 無数の羽音が集う。
 それらは夜に全くそぐわない、雀の群れだった。しかしその羽音の群れは、雀にそぐわぬ凶暴な光をその目に宿している。
 猛禽ですらない、魔物の視線。
 夜盲の領域であたり包み込ませていた使い魔たちは、どうやら一緒にここへと飛ばされたようである。夜盲の妖力も途切れ
ていない。

「こーら。吸い殻相手にがっつかないの〜。ちゃんとエサあげてないと思われるじゃない」

 夜雀は興奮している眷属へ、たしなめるように言葉を掛ける。

「慌てなくても、外ならきっと新鮮なのが手に入るわ〜。人口問題、ってやつの解決を手伝ってあげましょ?」

 そこで、ふと気付いたように屋台を覗き込む。

「……、まあ八目鰻も売りながらね」

 今日はまだ売れていなかった。


(初期位置:B-1「森林地帯」に出現)

339 名前:ダン・スミス ◆jcr2KGh37s :2005/09/09(金) 01:37:20
その男は廃墟の町で二体の死人に挟まれていた。
女には不自由しないような端正な顔立ちをしており、その喪服のような黒いスーツと
気の弱い者が触れたならば一瞬で気を失いかねないような妖気がなければ、
堅気の人間にも見えただろう。
しかも、この「前門の虎、後門の狼」というような、異常事態の中でも汗ひとつ掻いていないのだ。

「来な」
男の端正な顔が笑顔で醜く歪む。
そして、男の声と同時に二体の死人が同時に襲い掛かった。

「この人物です。」

「・・・・・こいつは誰だ?何処にいる?」

「名前はコタケ・ハジメ、職業は海賊のリーダーで元自衛隊員。
退役後、この島を基地にして海賊行為を働いており、私の調べではこの島の東にある
居住区域跡に巣があるものと・・・・・。」

「・・・・・わかった。やってみよう」


――――――――お兄さんたち、噛み付く相手を間違えたな・・・・・
(初期位置:B-3「居住区跡」に出現)


340 名前:カサンドラ・ジル・ウォーロック(M) ◆CASAWrQoKs :2005/09/09(金) 02:22:23
夜。
それは雲間にありながらも、見事に見事に欠けたる所なき満月の夜。
何処と称すも野暮なくらいの、どこぞの海の洋上にて。


「ザザ、我等の家マ イ ・ ホ ー ムまではあとどの位になる?」

海上を走るは、ひとつの大型クルーザー。
操舵席にて舵を取る、さえない男の頭の上から、けだるげな女の声がかかる。

「そーだねー、あと八時間って所か、お姉ちゃん。
 この調子なら、あんたがそのままのんびり甲板で寝転がってて、お日様拝んで灰になるまでには着くと思うよ」

その蟲惑的ともいえる美しい声にニコリともせず、不機嫌に皮肉を返す男。
見ればその顔は慢性的な疲労とストレスですさんでおり、目の下には少々クマまでできている。
そのぼやく口元からは、犬歯にしては少々長すぎる白い歯をのぞかせて。

「おお、これは怖い怖い。 何か嫌な事でもあったのかな?
 我が愛すべき弟よ、お姉ちゃんでよければ相談に乗るぞ? あははははっ」

それとは対照的におどけた様子で、からからと無邪気に笑う声の主。
長く艶のある黒髪に美しく整った顔、妖艶さとしなやかさを併せ持ったその容姿。正しく絶世の美女と言えただろう。
ただし弟と同じく、長すぎる犬歯と、白を通り越して蒼白に至った肌――
そして闇に輝く翠の瞳がなければ、の話だが。

そんな女の言葉に、ついに弟と呼ばれた男――ザザが爆発する。

「……ああそうかい聞いてくれるってかい、じゃあ言ってやるっ。
 いい加減その『可愛い弟』に何時間船運転させ続ければ気が済むんだ、カーサ!
 こちとら特区のドンパチからここまで、ずーっと一人で操縦してるんだぞっ。
 しかも疲労困憊の体に鞭打って」

……そう、彼らは人間とは違う黒い血を持つ存在――吸血鬼。
それもかつて香港を壊滅に追いやった吸血鬼禍の大本たる始祖・九龍王の血を引く
世界の忌むべき吸血鬼『九龍の血統』の直系である。

「あっはっは。何かと思えばそんな事かい、気にするな。
 これも我が血統の長兄としての役割役割。兄や姉ってのは何かと損な役回りなのさ」
「今の今まで優雅に吸血しょくじしてゴロ寝してたくせによく言うね!?
 そんなお兄ちゃんが頑張ってるのに、ハンスもマーベリックも高いびきこいてやがるし」
「仕事量考えれば当然だろう? その約二名はともかく私やヤフリーは一番頑張ったんだからね」
「俺もあんたらと同じくらい頑張ったんだけど…」
「お前は体をとっかえひっかえできるんだからいいだろうに。運動量も私やヤフリーよりは下だ」
「ぐぅ……あーくそ、マジに次男坊ってのは損な役割だねえ畜生っ」
「後で起きたら代わってもらえ。さて、と……」


――そんな恐ろしい肩書きに似合わない馬鹿話を、屋根越しに吸血鬼の兄姉が続ける中。
呪われた姉弟達を乗せたクルーザーは、一つの島の岸壁に差し掛かる。

「灯台か……こんな寂れたところにもあるんだねえ」

その崖の上には、一つの大きな灯台が。
何の変哲もない、標準的な海を照らす灯台である。だがしかし――

「ふむ……この島、結構面白いことになってるようだね」
「……お姉ちゃん、余計な火遊びは火傷の元だ。 『銀刀』相手に学習したばっかだろ」

吸血鬼ゆえのデタラメな性能の感覚網が、島の異様な気配を察知する。
ただし姉と弟では、浮かべる表情に天と地の開きがあったが。
そして―――

「あいにく私はその火遊びが大好きなんだよ、ザザ」
姉は甲板のデッキチェアから身を起こすと脇にあった刀をつかみ、身構え。

「ちょっと待ったカーサ! あんたまさかやっぱり――
「腹ごなしだ――ちょっと遊んでくる。
 お前は弟達と先に帰ってろ、私は私で勝手に帰るから!」

クルーザーの甲板から、月夜の空に身を躍らせる長姉の影。
船体から灯台までの、何十メートルもの距離を苦もなく飛び越える『黒蛇カーサ』を見届けて。

「あーはいはいやっぱりそうかい、勝手にどうぞお姉様。
 こっちも勝手にやりますよう、だ」

九龍九姉弟の次男坊――『渡り歩く者』策士ザザは、呆れた顔でぼやくのだった。


(初期位置:外海からC-3『灯台』に着地成功、上陸)

341 名前:黒桐鮮花 ◆.a6n7AZAKA :2005/09/09(金) 03:23:20
――わたしがわたしであるのは、何故だろう。

気がつくと、わたしはここにいた。
何故――ああそうだ、確かとっさにボートを借りてこの島に来たのだ。
いや違う、問題なのは「何故いるか」ではない。
何故わたしがここに来たいと思ったか、だ。
何故。

――それはわたしが、たった一人の「特別」な存在だからだ。

そうだ、港からわたしは島を見ていた。
そして一人の人影を見てある衝動――そう、これは衝動としか言いようが無い――が湧き上がってくるのを感じた。
そのままわたしは、それに突き動かされてこの島に来た。                      何故。

――では、もし「わたし」が二人いたなら?

そうか、彼女はわたしだからだ。
何の脈絡も無く思い、思うとそれが本当だと判った。
あの人影はわたしだ。
わたしが二人いる、それはあってはいけないことだ。
わたしが、本当の「わたし」なのだから。
……そうか、この気持ち。
こういう気持ちを、式はずっと抱えていたのね。
そう、わたしは今――

――嘘のわたしを殺すしかない。

――人を殺したいと思っている。



 (現在地:A−3 港から少し歩き出したところ) 

342 名前:◆OClOnGFAng :2005/09/09(金) 04:01:49
導入2修正版

 最初の獲物はグールに襲われていた。
 森の外れ、屍人に追われて運悪く崖下に追い詰められていたのだった。

 おやおや、かわいそうに。
 見れば整った顔立ちだ。ここまで走り続けてきたのだろう。
 こわばった表情、押し殺された怯えの表情。
 こりゃ、味のわかんねぇグールにくれてやるのはもったいない。

 足音を忍ばせて近寄った。
 グールをどかしてコナかけようかと思った瞬間、
 気合の声がほとばしった。

――おやおや。
 追い詰められた鼠の逆襲だ。振り下ろされた木切れの一撃が、死者の左腕を叩きのめした。
 いい動きだ。凛々しいねぇ。
 だが、死人を相手にするなら、手加減は無用だった。
 案の定、浅ましき死者はひるみもせずに、手を伸ばす。
 痛みなんぞ感じないのだから当たり前だ。

「助けがいるかい、おじょうちゃん?」
 彼女の背後、数歩のところで俺はそう、声をかけた。
 王子様の役どころで、ちょいとからかうのも悪くない。


343 名前:◆OClOnGFAng :2005/09/09(金) 04:02:55
吸っちゃったレス。問いへの答えを埋めてくんねーかな。

 振り下ろされた木切れがびしりと俺の額を打つ。
 こめかみの皮膚が裂けて血が一筋流れ落ち、サングラスが飛んだ。
 おそらくはその流血に、木切れを振り下ろした当人が一瞬、戸惑うのがわかった。
 それは、生きるか死ぬかの瀬戸際じゃ、もってはいけない迷いだ。
 その一瞬で俺には十分過ぎた。
 吸血鬼の赤い瞳で彼女を見据えた。哀れな少女の魂を縛った。
 腕を取って懐に手繰り寄せ、彼女を片手で抱えたまま、体を入れ替えてグールの頭部をつかんだ。

「わりーな、セイギのミカタでなくってよ」
 そういって俺は力を込めた。
 法外な握力に、死者の頭部はあっけなく潰れ、返り血が俺と彼女を濡らす。
 恐怖と魅了に縛られた彼女の耳元で、俺はくつくつと笑った。

――――――――――――――――――

「名前は?」
 後ろから抱きすくめたまま、俺は彼女に問うた。
「」
「いい名前だな」
 細い答えに満足する。

「夢は?」
 意地悪く続けた問いに、
「」
「ふうん……」
 縛られて、彼女は答えを返す。

「帰りを待っている人はいるかい?」
 残酷な問いに。
「」
「大事な人か?」
 こくりと頷く。俺はそれを見て忍び笑いをもらした。

「名前も、夢も、帰りを待つ人も、もうお前には必要の無いものだ」
 残酷な宣告。

 少女の頬に添えた手に、あふれた涙が触れた。
 指先のその熱さに、俺の口の端は吊り上った。


「みな」
 彼女のうなじに頬を寄せ、

「忘れて」
 舌先で、血脈を探り――

「しまえ――」
 牙を、潜らせた。

 瞬間、俺の腕の中で、彼女の体はびくりと跳ねた。
 なおも酷く震え続ける肢体を、なだめるように抱きすくめ、
 牙をさらに深く、埋める。

 血潮が、溢れた。
 嗚咽とも喘ぎともつかない細い吐息を耳にしながら、
 俺はそれを、少女の生命を、すすり、飲み干した。

344 名前:麻宮アテナ:2005/09/09(金) 04:09:33
 今朝の気分はなんとなくママレードです。
いつもどおりに朝おきて、運動して、シャワー浴びて、
ママレードな朝食。食べたら今日も楽しい学校!
甘くて苦いママレードをのせて、焦げかけのトーストをかじったら
なぜか不意に胸がときめきます。

 ……ちがう。ときめきとかじゃなくて、胸騒ぎ。
何かがおこりそう。こういう予感は外れたことがない。
急いで制服に着替えていると、さっそく身体が光に包まれてきます。
テレポートするときみたいな光。だれかに呼ばれてる……!?

 「ちょっと……! 服着る時間くらい……!」

 あわてながらなんとかソックスに足をとおして、
テーブルの上の携帯電話を短縮ダイヤル。

 「RRRRRR……RRRRRR……」

 コールしている間に光はどんどん強くなって、
もう目をあけていられない。理香ちゃん早く出て!

 「……はい神聖不可侵の柏崎理香ですけど」
 「私今日病欠するからあとお願い!」
 「おもいきり元気よく言ってんじゃねえっ!」

 そこで通話は強制的に寸断され……、

 ……目をあけるとそこは、やっぱり知らない場所でした。
ふ〜んだ。どうせこんなことだろうと思いましたよ。

 (現在地:たぶんA1のあたり。目の前に森?)

345 名前:ファントム&グリフォン(M):2005/09/09(金) 05:17:38
ファントム&グリフォン ファントム導入


――――“そこ”は、魔界と人界の狭間にて。

瘴気濃く、腐臭が漂う闇夜の世界。
巨大な門より数間離れた時空の“孔”、その前に幾つかの魔影が集う。

「―――では、我が隊は手筈どおり偵察と後詰めを。
 一番槍の手柄はご両名にお譲りする。……それで宜しいか?」

その正体は鎧を纏った赤き悪魔と、

『ハハッ、かつての闘志も臆病風に吹き消されたか?
“紋章に導かれし赤き魔物”よ?
 まあ、せいぜい空の上から俺の勇姿を見ているがいい。
 貴様とグリフォンの分の獲物も、全てこの俺が仕留めてやる。
 ガハハハハハハハハ…!!』


巨躯を揺らして嗤う大蜘蛛と、

『フン…ファントムよ、貴様こそ気をつけるのだな。
 事は貴様の快楽だけに留まらぬ。
 全てはムンドゥス様の計略、それを忘れるな』


岩山のごとく揺るがぬ巨大な怪鳥であった。

「……“魔界村”の、でもある。
 御両名ともお忘れになられぬよう」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

事の発端はとある“島”にある。
魔界村と共闘関係にあるドルアーガ子飼いの道化―――
もう一人の『ジョーカー』から齎された情報。
その島の正体は諸説ある。
ドルアーガの腹心と言われた悪魔アンシャーの仕業か。
或いは魔界、ドーマ家の当主が仕掛けた計略か。
一つだけ明らかなのは、そこが所謂“蟲毒”を目的とした祭祀用の
結界であるという事。力のある者を集めて互いに喰らいさせ合い、
その末に生じた怨嗟と妄念を糧に空間の位相―――それこそ次元の
壁すら歪ませる力を秘めた“魔力”を生成させる代物だ。
そして今、その“結界”は胎動を始めていた。蟲毒の材料たる数々の生贄と共に。

『誰が用意したかは知らんが、チャンスなのは違いねえ…。
 忌々しい“結界”をぶち壊せるならそれで十分よ』


儀式の完成は膨大な魔力の生成のみならず、物質界…人間界と魔界を隔てる
結界の破壊も意味する。
この好機、未だ次元の穴を抜けられぬ魔帝ムンドゥスが見逃す筈もない。
ドルアーガに仕える丸っこい『道化』を仲介役とし。
使者としてわざわざ参じて。人間界を行く術を持つ魔界村と同盟を結び。

『全ては“あの方”と我々の為とはいえ、回りくどい真似はしたがな…!
 まあいい。後は好きにやるだけだ…そうだろう、虫ケラ!!』


醜悪で巨大な蜘蛛――ファントムの視界を埋めるのは哀れな犠牲者。
蚤の糞ほどの理性もない、下級悪魔にも劣る生きた死体が群がってくる。
恐怖など微塵もなく、唯々獲物を貪りたい欲望に駆られた虫ケラ達。
そんな愚かしい連中を見て、ファントムは巌の巨体を揺らして愉しそうに嘲笑う。

喰いたいか、俺の中身を食いたいか。
死んじまった生ゴミが。
片腹痛い。俺を誰だと思ってる。
喰うのは貴様らゴミじゃねえ。

喰うのは俺で、喰われるのはテメエ等だ。

『ディナータイムの始まりだぜ、クソども!
 行儀よくする時間は終わりだ……犯りたい放題犯ってやる!!』


地の底から響くとは正にこの事か。
マグマの血潮が興奮に滾る。飯の時間には丁度いい。
蹂躙しろ。
破壊しろ。
撃砕しろ。

全てを。目に映る全てを。
顎(あぎと)を鳴らし驀進する。
その太く巨大な前肢で、殺人的な重量で、破滅的な熱量で。
潰せ、壊せ、砕いて擂って潰して潰せ。
一切合財、前に広がる何もかも。

(場所:B2西端から中央の飛行場へ接近中)

346 名前:青銅名無し客:2005/09/09(金) 10:39:22
 忘れられた島。
 かつては一定の文化水準を誇っていたこの地も、今では見る影もなく。
 ただただ廃墟とありし日々。
 悠久の眠りに就くが如く、静寂の毎日を過ごす。

 だが今宵、ついに目覚めの時に至り。
 廃墟と化した街に跋扈する生ける屍。外様の戦士は海港より現る。
 寂れきった空港。管制塔が捉えたのは、夜族の来訪だった。
 そして、己を知らぬ少女達は森へと迷い込む―――

 竜は地下で、その全てを関知していた。
 五感の調子はすこぶる良好だ。聴覚は地上の足音の一切を聞き漏らさず、視覚は地下隔壁
を透かして、島全土が見渡せそうな勢いである。
 そして、心の臓と呼ばれし身体の核。飢えているが―――だからこそ、動作は正常。
 眠りの時も、終わりが近い。
 幸い、力となる餌は地上に溢れている。あれほどまでに高純度なエネルギーなら、幾ばく
の補給も要さずに己を"稼働"まで持ち込めるだろう。

 竜は猛り、分厚い天井の隔壁越しに、空を見上げた。
 この鋼鉄の壁と、更に重ねられた100メートルの土の壁。
 それを抜ければ、己が望む場所がある。
 全てはその時のために。

 竜は哭いた。その重厚な雄叫びは島の大地を揺るがし、月夜に轟く。


<ニュークリアドラゴン・グラウスヴァイン>
 召喚式超巨大核兵器。体内に大型の核融合反応炉を持つ最凶のドラゴン。
 気性は動物的で至って凶暴。
 あらゆるエネルギー取り込むことが可能。
 召喚直後は不足したエネルギーを求めて彷徨う。
 身体にエネルギーが満ちたとき、己の本分を全うし爆砕四散する。


(初期位置:地下兵器庫 待機中)

347 名前:青銅名無し客:2005/09/09(金) 10:39:46
(軍艦島上空、ハインドから実況生中継)

 え、えぇー、せ、セラスです。
 英国国教騎士団所属の"掃除屋"セラス・ヴィクトリアですっ。
 わ、わたしは、い、いま、今回の祭りの舞台となる無人島の上空数百メートルの位置
から、ヘリコプターで島全土を睥睨していますっ。
 ま、まだ闘争の時を迎えてはいないためか、島は闇に包まれてマス。
 人の気配はありません……。
 あっ、見てクダサイ。船が、港に近付いていマスっ!
 まるで暗黒色の海に溶けるように、静かに船が入港していきますっ。
 ま、間違いないデス。やはり、この島こそが戦争の舞台。
 いま、この時刻よりカイーナの地となるであろう、血祭りの地なんデスっっっっ!!


 あ―――はい、分かりました。
 み、皆さん! い、いま局長……インテグラさまと連絡がつきました!
 これより、大殲一同を代表してマスターが……
 マスター・アーカードが、開幕の宣誓を行うらしいデスっ。

 で、では、カメラをマスターに返しまーす。


 と、と言うかデスねー。
 わ、わたし、ここからハルコンネンで超々上空遠距離精密射撃支援攻撃を行えば、
けっこう良いトコロまで進めるんじゃないかしらー。
 ……と思っているんデスけど、どうでしょー。
 あ、アリーマーさん辺りと空中戦をしてみたり―――

 え、ガス代勿体ないから戻ってこい……?
 そんなぁー。

(位置:島上空 ヘリで実況生中継)


348 名前:青銅名無し客:2005/09/09(金) 10:40:07
 或る廃ビルの屋上。廃れた街並みと、その向こうの森林、海を一望する赤い影。
 それはおもむろに右腕を月に向けて掲げると、
 静かに、しかし低く轟く声で島全土に言葉を放った。

「私は、
 すべての闘争狗を代表し、
 我々大殲の名誉のため、

 飽いた永遠の時間にまばゆく輝く、
 一瞬の生命の煌めきに敬意を払いつつ、

 多情なる人の性、無情なる夜の闇を尊重し、
 さらにこの血の歓喜をより広いところへと伝えるためにも、

 この荒廃した島の舞台で、
 一挙一動その全て乾坤一擲、
 己の存在の全てを叩き込み、

 いまここに、闘争を、
 一心不乱な闘争を。

 そして、
 吹き荒ぶ血の旋風を巻き起こすことを誓おう。





              ―――英国国教騎士団ゴミ処理屋、アーカード」

349 名前:セラス・ヴィクトリア ◆g4BCFhuKeI :2005/09/09(金) 10:52:17
>>346
核ドラゴンの導入を、私的解釈で作ってみました。
参加者への説明はまりべーさんに任せますっ(丸投げ

>>347>>348
選手宣誓というか、開始の切っ掛けというか。
これを発端に開始、を考えて書いてみました。

わたし、祭り開始時刻には間に合いそうに無いので、
まりべーさん、代理貼り付けお願いします♪

350 名前:セラス・ヴィクトリア ◆g4BCFhuKeI :2005/09/09(金) 10:53:27
HNは>>346はグラウスヴァイン>>347がわたし。>>348がマスター。
で。
お願いします!

351 名前:タバサwithタオ ◆3VTTABASAI :2005/09/09(金) 14:44:19
「……話には聞いていましたが、酷い有様ですね」
 研究所からの長旅を終えた箒を鞄にしまいながら、私はぽつりと呟いた。

 数日前、私の研究所にやって来た、素性も顔も分からない者――覆面を被っていたが、その言動と瞳は、記憶にあった。私の記憶が確かならば、『世界の盟主』を自称する国家に属する、かなり高位の科学者だ――からの、『“軍艦島”と呼称される島に蔓延る不死者の殲滅、及び立ち入った者の可能な限りの排除』と言う依頼を、私は数秒の思案の後に受けた。

 殲滅させる自信があった訳ではない。が、依頼者の言う『頭を潰した程度では滅ぼせない』不死性に、私の知識欲が疼いたからだ。

 可能であれば一体くらいは捕獲したい。捕獲が叶わぬならば、せめて肉片の一つも持ち帰りたい。
 そんな思いを胸に、私は居住区域と思しき地点に降り立った。

「凄い臭い……それに、なんか嫌な感じ……」
 草色の甲冑に身を包んだ少女――タオが辺りを見渡しながら、そんな感想を漏らす。
 幸いと言うべきか、私達のいる付近には生者はもとより、不死者の影もない。
あるのは血痕と思われる染み、散乱した家財道具、弾痕の残る家屋。そして……腐臭。

「ここにいた人達……みんな死んじゃったのかな……?」
「恐らく……と言うより、ほぼ確実でしょうね」
「どうして、こんな事に……」
「それを知るために、ここにいるのです。答えは、自ずと導かれます」
 タオと言葉を交わしながら、私は首から下げた竜眼のペンダントを食い入るように見つめていた。

 見たもの全てを記憶する竜眼のペンダントは、同時に波動や魔力を感知するものでもある。
その竜眼がこの島に降り立つ以前、島の上空にいた頃から、異常な波動を感知していた。

 この一件、科学による人為的な事象としての側面だけではなく、真理学で言うところの『邪悪な意思』の部分も含んでいる……そんな気がしてならなかった。

(現在地:B-3 居住区跡)

352 名前:バタリアン ◆DEAD.xOMy6 :2005/09/09(金) 16:03:42
「……脳…みそ……」
「 ……脳みそ…くれ……」


血に餓えた亡者たちの呻き声が、荒涼とした夜空にこだまする。
島の至る所を徘徊する生ける屍たちが、今日もどんよりと濁った瞳で、獲物を求めてさまよい歩く。
半ば腐乱し、汚れきった身体を駆り立てるのは死者であることの際限なき苦痛。
劣化して脆くなった骨を折ってしまわないように、硬直した筋繊維が千切れないように、ゆっくりと歩くのが
ここでのたしなみ。 もちろん、生者さながらにバタバタと走り去るなどといった活きのいい死者など……


ドドドドドド……

中年女性バタリアン「脳みそ! 脳みそ! 脳みそのバーゲンざます!
          あれもこれもみーんなみんなわだじのものざますよぉぉぉぉぉ!!!!」


……ま、まあ、このような例もあるということで。
グローバル化、多様化の趨勢は冥府から蘇った死者達の間にも浸透しているのだから。
多分、きっと、おそらくは。

トライオキシン245。
某超大国が密かに研究していたこの物質は、生命活動を停止した生体組織を再活性化させて
死者を蘇らせるという効果がある。
冷戦が終結し、世紀が代わった今日でさえ、一度使用されればたちまち墓穴育ちの純粋発酵しすぎた
ゾンビ達が箱入りで出荷されるという危険なBC兵器である。

遠洋の孤島。 外界から隔絶されたこの場所で、神に見離された第二の生に目覚めてしまった骸たち。
際限なく襲う苦痛を僅かに和らげるという人間の脳みそを求めて、今日も彼らは彷徨い歩く……。


(現在位置:島内全域を徘徊中)



353 名前:バタリアン ◆DEAD.xOMy6 :2005/09/09(金) 16:04:43
「あぁぁぁぁ……」
「うぅぅぅぅぅぅぅ………」

海から吹き付ける湿度の高い風が運んでくるのは、苦痛に喘ぐ男女の声。
その数は幾十か、幾百か、それとも幾千か。
数えきれない無数の呻きが、喘ぎが、怨嗟の声が森の中を経巡って埋め尽くしていた。

声の主たち――樹々の間を彷徨い歩く無数の生ける屍たち――は皆、一様に『或る物』を、
彼らを際限なく苦しめ続ける死の痛みを僅かなりとも和らげることができる唯一つの物を求めて
今日も闇夜の中を徘徊する。


「……おぉぉ…あぁ…」

夜道を仄かに照らす月に向かって吠えるのは、青ざめた顔の作業服姿。
血の気というものをまるで感じさせない肌のあちらこちらには紫色の死斑が浮き、瞳には白い膜がかかっている。
作業服の大半を染める赤茶けた染みは、凝固して変色した血液に相違あるまい。



「欲しい……が…欲し…い……」

全身の骨が折れているのだろうか。
あちこちが奇妙な方向にねじ曲がり、奇怪な昆虫のような姿勢で地面を這う女が
ずるずると音をたてながら呻きを漏らす。


「…痛い…ヒュー…とても痛い……
 ……を……ヒュー…れ…」

腐敗し、爛れきった皮膚から腐汁の糸を滴らせた老人が、もはや殆ど機能しない声帯で
求めるものの名を呟く。
ヒューヒューと鳴る喘鳴に混じって発音される固有名詞、それは……


「……脳…みそ」

「……脳みそだ」

「……脳みそ! 脳みそをくれ!!」


生者の脳みそを求めて止まぬ屍達の妄執の声が、風に乗って樹間を吹き抜けた。



(現在位置:B-1 森の中を徘徊中)

354 名前:バタリアン ◆DEAD.xOMy6 :2005/09/09(金) 16:05:18
生ける屍と化した者の中には生前の記憶や思考をとどめた物もいる。
ただ闇雲に生者の姿を求めて徘徊するをよしとせず、より効率よく獲物をおびき寄せる罠を張り巡らせる者もいる。
岬の灯台に入り込んだ幾人かもまた、そんなグループの一つであった。

「灯…台……
 灯り…つける…… 脳みそ…たくさん来る……」

錆び付いた配電盤のスイッチがONになると、無人の灯台の発電機が回りだす。
ブーンと低く唸るような音が鳴り始めてから数秒、死に絶えていた施設に
再び生命が吹き込まれていく。
殺風景なコンクリートの天井から吊り下げられた裸電球が二、三度瞬くと
建物の内部を支配していた暗闇は人工の光にその座を明け渡した。

「灯り…灯…り……
 脳みそ… 脳みそ来る……」

「…来たら…このハンマーであたま、割る……
 脳みそ! 白い脳みそ!」

ねじ曲り、黒く変色した指先が更に幾つかのスイッチを押してまわる。
ガコン、と建物のどこかで錆びた機械が動きだすと、灯台はかつてそうであったように
夜の闇を行く者達を導く光の筋を再び夜空へと投げかける。
その光の導く先は、航海と生命の安寧か?

否。

光に導かれし先には亡者の妄執が招く冥府の海が昏い顎を開いて待ち受けているのだ。


(現在位置:C-3灯台内部にて待ち伏せ中)



355 名前:青葉マサヒメ ◆o73xs6sP76 :2005/09/09(金) 17:23:58
とある一角の島に、一機の小型の航空船が不時着する。
その船、大和の神戸商人団の航空船である、それが原因不明のエンジントラブル
が発生し…この島へ不時着した訳なのである。

その不時着した船の中に、青葉の君主、「青葉マサヒメ」の姿があった。
この船の持ち主が、かつての仲間であり、友人だったのを機に…かつての仲間達と
激務の合間を縫って…1〜2日、羽を伸ばしに西洋の国に行く筈だったのだが…この予定がの事

どうなるのか…しかも、この島全体から妙な気が感じられる。
船もヤマト達が修理に掛かりっきりで、今すぐ出れそうに無い…そう考えた
マサヒメは、そこら辺の森を探索してみる事にしたのだが…。

「ぶっちゃけ…妙な森ですね、あわわっ…やっぱりお兄さん連れて
 行ったほうが良かったかな?如何なのかなっ?」

不気味な森は…その島全体のフインキを表していた。
思わず少し、びびる彼女であったが……そこで、珍しい花を発見する。

「んっ……この花、見た事が無い花ですね…あっ!!あんな所にも」

そう言い、次々と新種の花を発見する。
しかし、彼女が次に気付いた時、何処かしら…森の中で、見知らぬ場所だった。
帰り道する解らなくなってしまったようで。

「もしかして、私…迷子になったって奴ですかっ!?不味いなぁ…如何しよう」

それに気付き、あたふたするマサヒメ…取り合えず落ち着こう。
こう言う時は、感情に任せて慌てると、さらにとんでもない事に成りかねない。

「……取り合えず、落ち着かないと…丁度遅かれ早かれ…ここを調査しないと
 そう、皆が言っていましたし…皆を探すついでにこの島を調査する事にしましょうか」

そうと決めると、その辺の木に、鉄扇子で傷を付けながら進むマサヒメ。

「道知るべを付けて置いて……さらに、迷ったら洒落になりませんからね」


(現在位置:A-1地点の森深くを徘徊中)

356 名前:青葉マサヒメ ◆o73xs6sP76 :2005/09/09(金) 17:27:14
>>355

取り合えず、コレが導入部分です。
実際使う時が来るのかどうか、微妙ですけど。

357 名前:青銅名無し客:2005/09/09(金) 18:14:40

軍艦島!!

この、時間から取り残された土地の底に
響き続ける怨嗟の声を誰が知る!!

過去七百人を殺し、死刑執行されること十三回。
だがそのことごとくを生き延びた悪魔の化身を誰が知る!!

蠢き回る屍ども。
その狂気に満ちた光景は、
血に彩られた恐るべき祭りの序曲でしかないのか。




「……ハァ、ハァ、ハァ………」

ゆらりゆらりと動き回る醜悪な影から
必死に逃れようとする男の名はジャッカル。
決して清廉潔白とはいえぬこの男の不幸は、
ここ軍艦島を隠れ家のひとつとしていた時からすでに始まっていたのか。


「……ば、バケモノを倒すには、バケモノだ。
 それっきゃねぇ…………」


懐から取り出された、一本の鍵。
果たして、それは男の生命を救う切り札となり得るのか。
やがて男は辿り着く。
飛行場、管制塔の地下深く。
そこに静かに鎮座する、開かずの扉に。


「今こそ蘇れ」

そう、男は知っていた!!
扉の向こうで呻き続ける巨大な気配の正体を。
今解き放たれる、規格外の怪物。
その名は―――――――


悪魔の化身(デビル・リバァァース)



358 名前:青銅名無し客:2005/09/09(金) 18:15:39

開け放たれた扉の先は暗闇の中。
だがジャッカルには見える。
否、この場に居さえすれば、見えずとも観えるであろう。
その圧倒的な存在感に、気づかぬ者のあるものか。


「う、うぅぅぅ、暗い………暗い、所……嫌い………」

木霊する苦悶の声は聞く者の心臓を抉り出さんばかり。
だがジャッカルは引き下がれない。
すぐ背後には、迫り来る悪鬼死霊の類。
ここで下がればむさぼり喰われる。


「よ、よく無事だった、わが弟よ!!」

「おぉ……おと、うとぉ…?」

「今ここから出してやるからな、兄さんと一緒に光の差す場所へ行くんだ」

見え見えのクサイ芝居!!
だがデビルリバースは、この甘ったるい台詞に騙されることを
ジャッカルは確信していた。
手にした最後のダイナマイトに着火、天井に向かって放り投げる。


「見ろ、これがおまえの望んだ空だーーーーーっ」

爆裂。
崩れ落ちた瓦礫の後に、ぽっかりできた天の穴。
そこから差し込む日の光――――――


「…………し、しまった、夜だった」

「ウ、ウ、う、う、う、う、う、う、う、う」

「ま、待て、話せばわかるぞ弟よ、な、な、な、な?」

「うごぉ!!」

闇の中から伸びてきた手。
それを見た時すでに、ジャッカルは赤いしぶきとなっていた。
そして巨人は跳躍する。
光無き空に。


「お お お お お」

倒壊した管制塔から飛行場に。
地響きをもたらしながら着地した悪魔の化身は、
漆黒の夜空を背に、仁王の姿を取った。

歴史に抹殺された殺戮の業、羅漢仁王拳。
五千年の時を経て、今まさに、目覚めの刻を迎える!!



359 名前:青銅名無し客:2005/09/09(金) 19:23:37
この島にやってきたのは、吸血行為の後、静養も兼ねて暫らく姿をくらます為。
とうの昔から廃墟しか残っていないこの島は、絶好の潜伏場所――――だったはず。

それがどうだ。
島中にこだまする死者より生者への呪いの呻き。
生者から死者への冒涜的な悪態。
汚らわしい腐臭と愛すべき血の香り。

自分と同じ闇の住人が跋扈し、下等な人間どもがそれに立ち向かう。
どうやら、この島で休養はとれないようだ。

「ひひひ だが、それはそれで面白そうじゃないか。それに私が負けるはずがない。」


―――――――――そうだろう、お母さん。

この島でもたっぷりと血を吸おう。
そうすれば、私はもっともっと強くなるはずだ!

(現在地:B-3 居住区域を捜索)


360 名前:青銅名無し客:2005/09/09(金) 20:02:08
人に向けて本気の剣を振るった事ならもちろんあった。
稽古と言えど手を抜いた事など無かったし、試合でなら尚更。
けれど、それは全て剣道と言う約束事の内での事。
防具もつけていない相手の面を本気で打つ、などと言う事は間違ってもした事が無い。

「あ……?」

……いいや、無かった。
だから私は、私の剣で血を流す人を見て――――



          その紅い視線に、魂を絡め取られた。



声だけが頭に響く。
名を問われた。「支倉令」と答えた。
夢を問われた。「皆と、ずっと幸せに過ごしたい」と答えた。
帰りを待つ人はいるかと問われた。「妹と、一緒に来た親友がいる」と答えた。
重ねられた問いには、頷いて返した。

その全てを、完全に否定された。

その言葉が、どうしようもない事実だと分かる。
魂を縛られていても、体が代わりに泣いてくれた。
痛みは無い。
ただ、血の流れていく感覚だけが、遠のいていく意識を満たしていた。


現在地:C-1「崖」

361 名前:紫木一姫:2005/09/09(金) 20:35:00
ぼーーー。あ。そう言えば、海から遠くに古ぼけた灯台が見えたです。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
東京タワー!!

ついつい綾取りなどして時間を潰してしまってたです。

え?─────これ、本番ですか?



─────────────。

(以上も以下も、ひとりごとデシタ★)
四神一鏡っていう概念…いえいえ、それ以前に首吊高校をご存知ですか?

え。まったく?…全然?コレッポッチも?
迂闊にも本気みたいですね。
がっかり。不安です不思議です増上漫の不甲斐なしです。
姫ちゃん、大ショックでした。研修旅行でこんな所に(罰ゲームのけっかですけど)来たことも
こんな事に意味が無いっていう、姫ちゃんの思ったとおりの事になった事実も。

<<坩堝>>の混沌時に置ける終焉の道を模索する。
目的は裏世界の秩序を維持する為に。
しゅだっは「殺してくること」「転がしてくること」「死んでくること」
簡潔な3点。そんなのをすげぇ解りやすく感受させられました。
サークルのりです。そんなコトばっかりに興味がある仲間内のイジメみたいな
ものなんですけど。

───嫌か、って?…はぁ当然、そんなの決まってるじゃないですか。

だから。姫ちゃん、今でもひとりぼっち。うう。
見る影もなく、強引に狡猾に策も無く充ても無く篭っちゃってるですし。あはは。

姫ちゃんは、不甲斐なくもそんな感じに笑っちゃったです。
誰も気付かれないだろう、この森の端の穴中でひっそりと。
それは、姫ちゃんだって少し寂しかったです。

ほら、またどこかで脳みそ〜とか言ってる怖いお化けがうろうろしてるです。
みんなも一人くらい食べられちゃったですか?
…1人は、やっぱり実感すると違いますね。
1人になってしまう事と、一人でいること。それは全然違うって考えたコト、ありますか?
ええそうです、違いは寂しい、っていうことなんでしょうねぇ。

『寂しい』ですけど、いつもの事です…そしてそんな風に世の中は回っていくんです。
ええ。なんとはなしに続くのです。同級生たちとも、もしかしたらずーっとはぐれちゃったままで。

…はぐれ。はぐ、れ────

あう。────これって、チャンスじゃないですか?
待てばガイルのピヨリありってこの事だと姫ちゃん、確信しちゃいました。
だから姫ちゃん、ちょっと下ボタン溜めが長かったですが。

研修旅行の輪の中から、夜に1人抜け出しちゃう気分で出発(でっぱつ)ごーごー。
着の身着のまま。制服に、頭に黄色のリボン。いつも通りの姫ちゃんです。
ひまつぶし七つ道具の一つ、剣玉をぶらぶらさせて、姫ちゃんは崖のほうに向かいます。

姫ちゃんみたいなの一人くらいなら見逃してくれてもいいと思いますですから。

うふふん。らんらん。

(紫木一姫、B−1端の森→C−1崖の方向へ) 

362 名前:アルビノ少女“山城友香” ◆0DYuka/8vc :2005/09/09(金) 20:56:15
―――――引き寄せられている。何かに。呼ばれている感覚がする。

夏も行ったある昼下がり。研究室の片隅でそんな感覚に襲われた。
いや、なんてことのない健康診断。私にとっては普通のこと。
たまたま、私のかかりつけの先生が、用事で研究室にいただけのこと。

先生から、問題なしって。いつもの診断結果を頂いて。私が帰ろうとしたときに。

不要な物が廃棄されているゴミ箱に不思議な物を見つけた。

絶対領域水着 -試作品-

そう言えば。今年は水着にと〜んと縁のない私。この前、流れるプールに行った時なんて。
力が抜けて、流されるままにぐ〜るぐると回ってしまう大失態。
それも我が眷族らしいと言えば眷族らしいのですが。何となく情けない。

学校のプールなんて100%出席できませんし。太陽怖い。太陽怖い。ついでに気温と体育の単位。
今年はあっという間に夏が過ぎていって。そう言えば夏らしいこと、あんまり出来てなかったな〜、って。

そんなわけで、この白い水着。廃棄されてるんなら、頂いても良いんですよね♪

と、言うわけで拝借。ご自由にお取りくださいなんて書いてないけど。廃棄されるよりはマシです。

で、帰りの電車の中で。付属の説明書を読んでみる。

    フリーサイズ水着の発展系。貴女の絶対領域を確保!ポロリもございません。
    伸縮自在の斎木インダストリー特製の素材により貴女の体型にぴったりフィット!

   ※なお、付属のパレオにはその機能はございません。ご了承ください。

    開発責任者 -M・K-

なんて、胡散臭い謳い文句が書かれている。ビキニの水着だと確かにそういう心配もあるんだろう。
まあ………体系的に敬遠してはいたんですが。来年当たりにでも着てみればいいやって思って。
たまには、冒険も必要ですよね。来年になれば胸だって………しょんぼり。

―――――とか、言いつつ。家について、つい着てしまいました。

確かに、フィットする生地と言うのは間違いがないみたいで。
私の体型でも、それなりにフィットする事だけは間違いないんですが。

やっぱり、少しだけ胸の当たりが寂しくて………も一つしょんぼり。

―――――また、引き寄せられる感覚。              厭ナ声ガ聞コエル
くらりと軽い目眩がして………そのまま、倒れ込む。

―――――気づけば、周りは荒れ果てた場所、目の前に砂浜。    此処ハドコ?

頭の中で厭な声が強くなる。本能が 蒼い血が 疼く。       コロセ!
聞こえない。聞こえないふりをして。砂浜を右往左往。       アタマガ痛イ

―――――灯台が見えた。夜の闇、空には大きな月。手かがりがあればって。
ほんの少しの希望を小さな胸に秘めて、夏の火に誘われる幽蛾のごとく、私は灯台を目指した。

〈現在位置C-2海岸→C-1灯台へ向けて移動中〉

363 名前:青銅名無し客:2005/09/09(金) 21:22:46


 そして人々は――ああ、人々は――
 尖塔に
 只ひとり住む人々は
 あのような低い単調な音をさせて
 鈴を鳴らし鳴らしては、
 人間の心に石を
 転がす誉(ほまれ)を覚える――

 彼等は男でもなければ女でもない――
 獣でもなければ人間でもない――

 彼等は吸血鬼。



 走りながらポーの詩を思い出す。確か『鈴の歌』。
 落ちついている訳ではなくて、混乱している。だからこんなことを考えてしまうのだろう。

 そう。私は、とても混乱している。
 それは追われているという恐怖の為であり、追っている相手が訳のわからない存在であると
いう不可解ゆえであり、そして。
 共に逃げている友人とはぐれてしまったという、この上ない不安からだった。

 酸素はいくらでもあるのに、欲しい分量はまるで賄えず、私は息を荒げて走り続ける。
 森は暗い。樹木の連なりは視界を遮り、それでなくてもこの暗闇の中では、自分がどこに向
かっているのかは全くわからない。
 森は怖い。暴力めいたものを感じるほどだ。樹木というものには、とかく優しげなイメージ
を抱きがちだけれど、それは単に思い込みでしかない。
 ここは人間の住む所ではなく、別の世界なのだ。
 おあつらえ向きな事に――確かに人ではない存在もいる。

 不意に、木々の間から声が聞こえてきた。脳味噌、脳味噌という合唱。
 追いかけてくる者達だ。近くはない。距離的には遠い。
 けれど、足は止まってしまった。


 目を瞑りたい。
 耳を塞ぎたい。
 座りこんでいたい。朝になるまで。

 でも、駄目だ。
 瞳を閉じても、闇はこちらを凝視している。
 聞こえないふりをしても、おぞましい声は叫び続けている。
 何より動かなければ、“何か”は向こうからやって来る。朝になる前に。


 私は再び走り出した。ここにはいない最愛の妹を想い、下草につまずきそうになりながら、
震える足を動かした。
 そして、ここのどこかにいる最愛の友人を想い、口には出さず彼女の名前を呼んだ。
 無事でいて、と祈る。

 元より宗教には敬意を持っている。
 それでも。
 マリア様の加護を、これほど真摯に願ったのは生まれて初めてだった。

(初期位置:B-1 森)

364 名前:青銅名無し客:2005/09/09(金) 21:50:51
「醜悪な」

蠢く屍生人ゾンビの群れ。
朽ちた灯台の上からそれを見下ろしながら、青年は独りごちた。

金の髪、蒼氷色アイスブルーの瞳、白皙の肌。
造化の神の手になる傑作のような、美貌の青年だ。

「彼の気紛れにも困ったものだが……この力、試すにはもってこいか」

流れる金の髪をかき上げ、トン、とステップを踏み、宙空へ。
青年の身体は重力に引かれながら、然してそれに従わない。
何故ならば、彼は因果の王、そして時間と重力を超越した存在。

「覇王の力、そしてこのアドルフ・ヒトラーの力……存分に試させて貰おう」

屍生人ゾンビの群れの直中に、アドルフは降りたった。
その背で、灯台の灯りがまばゆく輝く。
まるで、魔王の降臨を祝すかのように。


(現在位置:C-1灯台)

365 名前:上条当麻 ◆4kIcNrTOMA :2005/09/09(金) 22:02:48
目が覚めたら、そこは阿鼻叫喚の地獄でした。

なんてのはベタな物語フィクション)の中だけの話ではなかったのだ。
事実彼、上条当麻自身が、今そんな状況に直面してしまっているのだから。

上条当麻の実質の人生と言うのは、実は一ヶ月ほど前からしか無い。
その時期に起こったある事件と、とある事故の後遺症。
その所為で上条は以前の記憶を全て失ってしまっていたからだ。

しかし上条はその後の一ヶ月、消えてしまった記憶に倍するほどの、イヤな意味で「濃い」経験を、
色々とこなして来てはいた。
何せ彼の住んでいるのはある意味公然と「超能力開発」なんていう一般人からすれば馬鹿げた研究を続ける
『学園都市』の中であったし、
彼の同居人というのが頭の中に一〇万三〇〇〇冊の魔導書、、、、、、、、、、、、)を詰め込んでいるシスターだ。
一般の人からすればこれはもうそれだけで十二分に「非日常」であるし、そんな非日常な日常、、、、、、を過ごす
上条当麻の周囲で何も事件が起こらないはずがない、というのは誰もが予測のつくところであろう。


ただ。
そんな上条当麻であっても。

この現状には、流石にパニックを起こさざるを得なかった。


(おいおいどうなってんだこりゃ俺はアパートの中で寝てたはずじゃていうかインデックスはどこに
俺は何でこんなところにココはどこで俺は誰で何がどうなってうわつうか臭せぇ血ナマグセェ吐きそう
何でこんなに死体がゴロゴロしてるんだって一体何が誰がこんな事を――――――)


思考が全くまとまらない。纏めようとする気すら起こらない。
ただ何の説明も無く放り込まれた、彼にとっての別世界の感触、そして戦場の臭い、、、、、

その全てを身に受けて、上条当麻は。


「――――――――――――――――――――――――ッ、う」

空を、阿呆のように見上げて。


「う、ぅぁぁぁアアアアああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああッ!?」

ただ、絶叫していた。


(現在地:B3地区 居住区跡)

366 名前:カサンドラ・ジル・ウォーロック(M) ◆CASAWrQoKs :2005/09/09(金) 22:27:19
>>17
メートルにして三桁に届くか否かの距離を一足飛びに飛び越え、着地して一息つく。

「……さて、と」

跳躍の最高点に至ったところで、灯台の上に佇んでいた青年が視界に入る。
鼻持ちならない優男――といった風情だが、
少なくともただの優男はあんな所に登って、あまつさえ飛び降りなどしたりはするまい。

「……本当に面白いところだね、ここは」

投げ捨てな苦笑を浮かべると、私は目の前に立つ灯台に歩いていく。
灯台の出入り口ドア――ではなくその裏手、先ほどの青年が飛び降りた位置へ向かって。
始めは状況把握の為に登ろうかと思っていたが――気が変わった。

明らかに人間をやめたような連中の中に降り立った、あの青年に興味が沸いたからだ。

「――やあ、御機嫌よう。こんな月夜に一人で散歩?」

青年を取り囲むグール(?)どもの一角めがけて、力場思念を発動。
その包囲の一角に叩き込まれた念動力の砲弾が、生ける死体をダース単位で薙ぎ払う。

「気が合うね、私もなんだ」

大きく割れ広がった人垣――もといグール垣に足を踏み入れ、気さくな笑みで手を上げる。
さて、この青年の器は如何ほどのものだろうかね?

367 名前:アドルフ・ヒトラー ◆sLAdoLfKkE :2005/09/09(金) 22:53:37
>>58
「……退屈だな」

緊張の色も見せず、アドルフは屍生人 ゾンビ の攻撃を全て躱していた。
四方全てを囲まれているにも関わらず、だ。
そしてそれにさほどの労力も割いていないのは一目瞭然。
これが、魔王。これが、因果を統べるもの。

そうこうしているうち、暇に飽いたかアドルフが手を掲げる。
その掌に黒い、黒い……虚無が浮かぶ。
その時だった。
屍生人 ゾンビ の群れ、その一角が消し飛んだ。

「……ほう」

短く感嘆の声を漏らすアドルフ。
掌から虚無を消し、涼やかな眼差しを向ける。
その先には、一人の妖艶な女。

「ええ。今宵は良い月夜だ」

薄く微笑む。

「月が我らを引き合わせた、と言うところかな」

だが、その微笑みに隠して目を、牙を光らせる。
このようなところにいる女がただ者であろうはずもないのだから。

(現在位置:C-3灯台)

368 名前:神鏡 衝:2005/09/09(金) 23:02:16
―――超々弩級戦術支援母艦「セイングリード」ブリーフィングルーム


「衝、これは特異監査官の仕事範囲を超えているわ!」

「そんなことは関係ねぇっ!、倒すべき悪が居るっ、ならばそれを断つのが俺に与えられた使命だ。」

「でも、今回の事件は地球在来種及び地球人が開発した生物兵器によるものでしょう?」

「だったら、どうだって言うんだ!」

「この事件に首を突っ込むって言う事は、過剰干渉と見なされて特異監察官資格を剥奪、いやそれだけじゃない」
「諮問委員会にかけられて懲罰が確定、最悪死刑にされるかもしれないのよ。」

「だったら…だったら、黙って見てろって言うのか

「そうよ、衝。」
「今回は我慢して?私たちの使命は『惑星狩猟団クライオス』の撃破のはずよ」

「…わかった」

「じゃぁ、今帰艦の準備を…」

「おまえら二人はそこで待機してろ、俺一人で行く。
例え特異監察官資格を失おうとも、この覇王の力を失おうとも、たった一人になろうとも、
悪がそこにある限り、その罪はすべてこの手で断ぁぁつ!

「「あっ、衝」」



数秒後、地球に向けて一つの降下カプセルが射出される。(B-1森中央付近にカプセル落下)

369 名前:神鏡 衝:2005/09/09(金) 23:03:05
―――超々弩級戦術支援母艦「セイングリード」ブリーフィングルーム


「衝、これは特異監査官の仕事範囲を超えているわ!」

「そんなことは関係ねぇっ!、倒すべき悪が居るっ、ならばそれを断つのが俺に与えられた使命だ。」

「でも、今回の事件は地球在来種及び地球人が開発した生物兵器によるものでしょう?」

「だったら、どうだって言うんだ!」

「この事件に首を突っ込むって言う事は、過剰干渉と見なされて特異監察官資格を剥奪、いやそれだけじゃない」
「諮問委員会にかけられて懲罰が確定、最悪死刑にされるかもしれないのよ。」

「だったら…だったら、黙って見てろって言うのか

「そうよ、衝。」
「今回は我慢して?私たちの使命は『惑星狩猟団クライオス』の撃破のはずよ」

「…わかった」

「おまえら二人はそこで待機してろ、俺一人で行く。
例え特異監察官資格を失おうとも、この覇王の力を失おうとも、たった一人になろうとも、
悪がそこにある限り、その罪はすべてこの手で断ぁぁつ!

「「あっ、衝」」



数秒後、地球に向けて一つの降下カプセルが射出される。(B-1に落下)

370 名前:青銅名無し客:2005/09/09(金) 23:15:44
>>74
そして、脳裏に響く声。

(……テレパス? ほう、また別の客か)

目をやれば、そこにはこの夜に弾かれでもしそうなほど白い、少女。

「助けて欲しいのなら……と言いたいところだが」

声に出す。
夜に染みこむような美しく、禍々しい声。

そして、無造作に腕を振るう。

キュゴッ。

異音と共に、少女の前にあった屍生人 ゾンビ が消滅した。

「まずは邪魔者を消すとしようか」

悪魔が、優しく微笑んだ。


(現在位置:C-3灯台)

371 名前:青銅名無し客:2005/09/09(金) 23:26:43
テスト


372 名前:カサンドラ・ジル・ウォーロック(M) ◆CASAWrQoKs :2005/09/09(金) 23:52:04
>>74 山城
スクラムを組んで襲ってくる群れを、力場思念で塊ごと跳ね飛ばし。
その隙を突こうとするザコをかわして蹴り飛ばし。
時には視経侵攻で盾にしたグールを、そのまま砲弾として使いつつ。
そんな楽しい、ただしパートナーはともかくギャラリーが最悪なダンスの最中。


“――えっ〜と………、聞こえてますか?聞こえているようなら、助けてください!”

私の脳裏に、女の子の声が飛び込んでくる。
俗に言う念話という奴だ。
思念を辿った先にいたのは――力場思念を矢に変換して、グールの群れに応戦している娘。

“――ああ、それなら構わないさ”

と、こちらも念話で返す。
念話にも出さない心の内で、『後でキスさせてもらえれば』と付け加えて。


>>83 アドルフ
力場思念ハイド・ハンドで吹き散らした肉の壁から垣間見える、金髪の美青年。
これだけ大勢の死体もどきにあちこちから襲われながらも涼しい顔で、
触れることすら許さず避け続けている。

どう見ても人間に出来る動きではない。
吸血鬼 ど う ぞ くかと思いもしたが、吸血鬼独特の血の波動が感じられない。
私の感覚に届くその流れは、少なくとも私の知るいずれの血統、否、どの生き物のものでもなかった。

そして、一瞬だけ感じたあの空気。
あの“東の龍王”セイの得意とする奇問遁甲と同じ気配。
こいつもそれに通じている――?


「ええ。今宵は良い月夜だ」

次から次へと沸いてくる、私の興味と疑問と興味をよそに。
私のかけた挨拶に、男は第一印象そのままの優雅な笑みで応じる。
――これで口から牙が覗かず、目も一緒に笑っていれば百点だったのだが。


「月が我らを引き合わせた、と言うところかな」
「愛すべき、我等が魔性の月の配剤に乾杯、ってところかな。
 本来なら自己紹介で握手でもしたいところだが――――――っと」

そこへ文字通り割って入ろうとする、グールもどきの無粋な両手。

「人の逢瀬を邪魔するものは、馬に蹴られて何とやら、さ」

無粋な横槍を伸ばすその手を、本体ごと力場思念を絡ませた居合いで薙ぎ払う。
バラけたその体の後ろから、あとからあとから沸いてくるグールもどき。
避けるには易いが、鬱陶しくて仕方がない。


「ひとまずはこのお邪魔虫を一掃して、それからって事にしないかな?」

スクラムを組んで襲ってくる群れを、力場思念で塊ごと跳ね飛ばし。
その隙を突こうとするザコをかわして蹴り飛ばし。
時には視経侵攻で盾にしたグールを、そのまま砲弾として使い。

私はその金髪青年に、くだけた口調で提案した。

私の言か、少女の念か。
どちらにせよそれに応じるが如く、青年の手からあの感覚を再度感じ取る。

「まずは邪魔者を消すとしようか」

その言葉とともに腕が振るわれる。
少女に襲い掛かっていたグールもどきが、一瞬にして消滅した。


あのセイが得意とする奇問遁甲――それは空間を操る仙術の力。
体型は違うが、この男もそれに通じている……?

「……しつこいお誘いは嫌われるよ?」

また背後から襲ってくる屍肉喰らい。
疑問を即座に隅に追いやり、力場を込めた刀で粉砕しつつ、私は少女の側に寄り始めた。

(場所:C-3 バタリアン群と交戦中。 アドルフ、友香と共同戦線)

373 名前:バタリアン ◆DEAD.xOMy6 :2005/09/09(金) 23:52:55
>>57


「Brain……Brai…n…… Ouch!?」
「Ahhhhhh… acute…acu…te……Woh!」

予期せぬ方向からの予期せぬ一撃。
夜怪の放った妖気の渦は、的確に人体の急所にあたる箇所……頭部を、心臓を
穿っていく。

だが、脳細胞が腐りかけ朦朧とした意識のみが残る亡者たちは何が起こっているのか、
何者の仕業なのかを理解できようはずもない。
理解し、認識できることはただ一つ、頭部が四散し、胸板に風穴が穿たれたことによって
更なる苦痛がもたらされたということだけであった。

「Oh… No……
 No me……So……」

上顎から上を丸ごと失った亡者の一人が、故郷の言葉で苦鳴をあげる。

374 名前:アルビノ少女“山城友香” ◆0DYuka/8vc :2005/09/10(土) 00:15:26
一つ気づいたことがある。この化け物達のいくらかは、私のテレパスに感応している。
脳味噌、脳味噌って、あまりにもうるさいから。シャットアウトしたけれど。
と、言うことは………逆に攻撃のビジョンを送ったとしたら?

>>83
『助けて欲しいのなら……と言いたいところだが』

金髪碧眼の夜の主とも言うべき闇に溶けるような、それでいて禍々しい声。
そして、無造作に振るわれた手から放たれた 何か によって。

目の前の屍達が消える。得体の知れない恐怖と共に。今だけは最強の味方の登場。

そうして、繰り出された悪魔の微笑みに。

「あっ………そう言えば」

私、水着だったんだ。それも体型に不相応の白ビキニ。
なんて言う。見る方が見れば、ずれている、とか。また言われるんだろうな〜。

しょんぼりしながら、あたふた、おろおろ。

>>106
“――ああ、それなら構わないさ”

そんなテレパシー。見るに同族の方。しかも私よりもこのビキニが似合いそうな魅力的な女性。
そんな同族の方が、私と同じ力を使ってくることに。少しだけ助けられた。
なんだか、このテレパシーに。少しだけ寒気を感じたけれど。何だろう。このゾクッとする感じ。

―――――うん、私だって。まだまだ、出来る。だから。

力を溜めて。                        壊せないなら。

止まれ!止まれ!そんな幻視を送り込む。ある程度の屍が反応する。
集え。集え!そうして反応した屍を一点に集める。

そうして、また力を溜めて。               跳ばせばいい!

吹き跳ばせ!  相 転 移 !

目の前の屍達をまとめて別次元に吹き飛ばした。何処に出るかわからないのが難点だけど。
その刹那。力がある程度尽きたのか、その場にくてっとへたり込んだ。
お二方のやりとりを見るに、なんだか安心出来るような状況じゃないのだけれど。

〈現在位置C-3:灯台前にてバタリアンと交戦中〉
※〈吹き飛んだバタリアンはB-3地点にて出現〉

375 名前:宇佐見 蓮子 (M) ◆Yjx1oNMHJM :2005/09/10(土) 00:16:47
困ったときのトリップ判定。
大文字なら北、小文字なら南、数字と記号は無視して次の桁。

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