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■ 吸血大殲 夜族達の総合闘争会議室 其の五

84 名前:ハイネ ◆DOGS.MVbhk :2006/11/04(土) 21:12:45
>>83
「Deadly and Dogs(仮)」

 俺達の街とは違う何処か無機質な地下鉄のホームで、連続した銃声が響いていた。

 「……散れ」

 俺はモーゼルのトリガーを引いて、最後に残った中華野郎の胴体に銃弾を叩き込み、悲鳴
を上げて倒れたそいつの顔面を蹴り付けて完全に黙らせる。

 辺りには同じように銃弾を喰らって、死んだり死ななかったりして動けなくなっている連中が
山ほどおり、あまり心地良いとはいえない血の臭いが立ち上っている。

 「……終わったか、ハイネ?」

 銃の弾倉を交換していると、何処からか眼帯をつけた赤ロン毛の男が現れた。

 「てめぇ、バドー! 何処隠れてやがった!?」

 俺はそいつに掴み掛かって殴ろうとしたが、背後に控えていた子供を見て拳を引いた。

 質素だが生地の薄いゴシックドレスに身を包んだ、淡い金髪の少女だ。華奢な身体と端整な
顔は人形じみていて、どちらかといえばあまり元気がない。
 街に置いてきたアイツを思い出す。しかし、顔はあまり似ていないし、背中から白い羽が生え
た「翼種」じゃなくて、頭に角のある「羊属」だ。アイツじゃない。
 唯、アイツに似ている奴が死ななくて済んだのだから、気分が悪くない……事もない。

 「いや、その、目標の保護?」

 「何で疑問形なんだよ」

 「そんなカリカリすんなよ。怖がってるじゃねえか」

 バドーの後ろに隠れていた「羊属」が、怖がるような目を向けた。そんなに険を込めた積もり
はなかったが、怯えるぐらいには怖かったかもしれないと思うと、何だかバツが悪い。

 「まぁ、な……それより仕事も終わったし、とっとと帰ろうぜ」

 「いや待て待て。情報では後少しでこいつらの取引先が来るハズだ」

 そういえばそんな話になっていた事を思い出して、俺はその面倒臭さに吐きそうになった。
 面倒な事この上ないが、こういう連中は面子を重んじる。自分達の取引が全く関係ない第三
者に潰されたと知ったら……しかも商品を持ち逃げされたと気付いたら。

 「まず間違いなく追い掛けてくるだろうな」

 「ゲッ、マジかよ……」

 となると、どちらかが時間を稼いで、もう片方が「羊属」を連れて逃げるしかないが。

 「……俺はイヤだ。たまにはお前がやれよ」

 「そうしたいのはやまやまだけどな。お前、この子連れて逃げれんの?」

 「う……」

 確かに俺は全く戦えない奴を連れて、追手を気にしながら、痕跡を消して逃げる……なんて
芸当は出来ない。そして比較でいうなら、そういう真似はバドーの方が得意だし。認めたくない
が、戦うのだとしてもバドーよりは俺がやった方が幾らかマシなんだろう。

 「あぁ、クソ……判ったよ。俺がやりゃあいいんだろ?」

 結局俺が折れるしかなかった。流石にこんなところで仕事が失敗するとかは厭だし。

 「頼むぜ、相棒」

 「こんな時だけ相棒扱いすんな」

 駅のホームから去っていく相棒に吐き捨てて、俺は電車がやって来るのを待った。

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