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■ とかげ
- 1 名前:◆MidianP94o :2008/08/29(金) 23:52:50
転生無限者【てんせいむげんしゃ】
生き続けるもの。
死に続けるもの。
無限に転生を繰り返すことで、死徒や妖魔とは異なる不老不死を可能とする。
死ねば肉体を離れ、新たな躯に憑いたり生まれ変わったりするため、追跡は
困難を極める。死徒27祖のひとりアカシャの蛇≠ェ有名だが、教会や協会は
他にもタイプの異なる数人の転生無限者を存在していることを確認している。
転生無限者が果たして人間なのか、それとも人外なのか。その定義は非常に
曖昧で、機関や研究者によって見解は異なる。
――――オーガスト・ダーレス『神秘学用語辞典』より
- 221 名前:とかげ ◆LIZARD.khE :2009/09/11(金) 22:45:25
- んで、つづき。
>>
かくして物語は終局へ向けて、疾走する。文字通りに地の果てまでも。
あちらこちらに火の手が上がるも、それは俺らの行く手を遮りはしない。
行く手を阻む物は何も見えない。ゆえに、ただ前へひた走るのみであり、希望の未来へれっつらごー……
か?
……はっ、まさか。
絶対的な大前提、「この期に及んで奴が諦めるはずがない」。ゴールするまでは、油断なんか出来ねえ。
ましてや姫さんはこいつの運転に手一杯だろう。だから警戒は俺の役目だ。
抜き身の月下美人を右にぶら下げて、何かあればすぐに斬りかかれるよう、油断無く周囲を見据える。
……その右腕だが、思ったより治りが早い。薄皮がだいぶ形成されてきて、痛覚が抑えられてきている。
ついでに全身を穿った荊の傷も、ほとんどが完治してきている。
こいつは、俺の現在の『依』である姫さんの後ろにぴったりくっついているせいか。
おまけにその姫さん自身も、希望が現実的になってきたとあって、かなり昂揚しているようだしな。
全身に力が行き渡る感覚。俺だって昂揚しようと言うものだ。
“共に外へと行ける”
くく、こいつが正真正銘のイーリンとリリーだったら、最高の絵面だったんだろうがな。
だが代役でも物語は物語だ。
ハッピーエンドを迎えてみせる。
警戒は怠らない、だが正直、何が来たって……負ける気はしねえ。雑魚の百や二百、斬り伏せてみせる。
――というその考えはやはりまだ甘かったのだと、僅かな後に思い知らされた。
初めは、奇妙な閉塞感だった。
前方には何もない。吹き上がる炎に煌々と照らされるその光景には未だ、俺らを阻む物は見えない。
だというのに、何か袋小路へ突き進んでいるかのような感覚に襲われる。
何なんだ。何があるってんだ?
前方。何もない。
後方。何もない。
右方。何もない。
左方。何もない。
下方。轍が刻まれるだけ。
上方。そもそも何もあるわきゃね……え、ええ!?
我が目を疑うとはこの事だ。
いや、実際には何があった訳じゃねえ。何もない。
――ただし、“地面があるのを除けば”、だ。
それは紛れもなく地面だった。何しろ気づけば、土くれや雑草までが見えるほどにその“地面”が
近付いてきていたからだ。
さらに程なくして、その“地面”がたわみ始める。
慌てて前方を見やれば、ゴールが待っているはずの地平線までもが歪んでいた。
……素直にゴールさせる気は毛頭ねえってか、おい!
「くそ――おい姫さん! しっかり運転してくれよ! こりゃこの先あんたのアクセルワークにかかってんぞ!」
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