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■ とかげ
- 165 名前:とかげ ◆LIZARD.khE :2008/12/13(土) 22:34:42
- >> 続き
つまり、こいつの燃料は歴として存在している。この<針の城>の住人……それこそ、さっき
虫どもに食い尽くされた凶手みてえな奴らを、体どころかその魂まで食い尽くしてこの魔列車
とやらは走っている、というわけだ。
耳を澄ませば、燃える音に混じって怨嗟が聞こえる。
目を懲らせば、炎の向こうに苦痛の形相まで見えてきそうだ。
全く、どこまでも胸糞悪い……こんなもんに俺らは乗って、あの脳天気な馬鹿と付き合って、
さらには弁当まで食ってた、なんて反吐が出るぜ。
もっとも、俺は正義の人でも何でもねえ。この機関そのものは悪趣味極まりねえが……
別に義憤に駆られて、こいつをぶっ壊してやるなんて義理も俺にはない。
そもそも今はこいつを走らせなきゃならねえんでな。俺がこいつを止めちゃ意味がねえんだ。
だから、その代わりに……
「恨みを晴らさせてやろうじゃねえか。こいつで更に燃えちまえよ、オーバーヒート寸前までな!」
再び“とかげの刺青”を右手に持っていく。
そしてその口を開けるように、拳を開き……さっき食った虫共の魔力を、炉へ向けて解き放つ。
――そら、食いついた!
そりゃあそうだろう、自分らを殺った元凶が目の前に現れたんだ、怨嗟が燃え上がらねえ
わけがねえ!
さしずめ、飛んで火に「入らせる」夏の虫、ってわけだ! ははは!
さあ、こいつで更に燃えてしまえ、そうして列車を加速させろ。
あとは姫さんが、上手くやってくれるだろうからな。
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