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■ 「陰陽頭」と「堕ちた天秤の騎士」の会議場

1 名前:◆GAinErMg8k :2011/07/03(日) 21:54:17

 この場は余と柳生友景以外の立ち入りは認めぬ。
 汝の頭が飾りでないならば理解するがよい。

2 名前:◆GAinErMg8k :2011/07/03(日) 21:56:06
サブタイトル案

火事と喧嘩は江戸の華〜ウホッ男祭りだよ全員集合〜

もしくは

魑魅魍魎やぎゅう☆まぎか

3 名前:柳生友景:2011/07/03(日) 22:34:33
>サブタイトル
【げにも見事な】火事と喧嘩は江戸の華〜ウホッ男祭りだよ全員集合〜【若竹ぶり】

開口一番なれど、柳生大戦争的に斯く添削すると、まさに「さぶ」たいとるとならんや。
ああ……薔薇の復讐とは左様な神秘的な寓意が、
 
 
 
(上記数行はなかった事にするが如き雅な微笑を浮かべながら)
――扨(さて)。
すれ建立の儀、忝く。また、改めて宜しくお願い申し上げる。

まず、そちらはフリメルダどのとの闘争がお有り故、当方との詳しい打ち合わせはそれが落
着してからでも構いませぬ。同時並行では、そちらに負担であろうから。
 

4 名前:<呪われし公子>ゲイナー ◆GAinErMg8k :2011/07/07(木) 22:31:31
 遅くなったが改めてよろしく頼むぞ極東の魔人よ。
 ではすまぬが汝の言葉に甘えさせてもらうとしよう。しばらくは<剣聖>
との闘争に専念させてもらう。

 ただ、忘れぬよう度々やりたいネタをこの場に記させてもらうこととする。

法の剣
・単純な「停滞」にするか、ルシファー猊下関連で「光を齎すもの」とするか。

血を飲むことによる能力付与。
・DIOの「世界」は間違いなく使う。

魔術
・悪魔召還

5 名前:柳生友景:2011/07/08(金) 22:28:20
では、御武運をば。
……ふむ。当方のネタは、あるような、ないような。
まあ所詮は柳生的必殺技なれば、いずれチャンチャンバラバラの内にて。

>法の剣
一つお尋ねするが、これは「夢盗人の娘」に出てくる、<法>の女公爵ミッゲアより下賜さ
れし剣、ストームブリンガーの力を吸収していた代物でしょうか?

>魔術
>・悪魔召還
式神召喚にて対抗する手も、あるかもしれず。対手によりけりですが。

6 名前:<呪われし公子>ゲイナー ◆GAinErMg8k :2011/07/09(土) 13:15:29
>白い剣
余がミッゲアより賜った剣はエネルギー吸収型ゆえ黒の剣とかぶる。
ゆえにほかのものを用意するつもりだが、候補としては

1・白き狼の息子の最終決戦で使用したもの。厳密に言えばそれの真作。
2・特殊能力のない剣。強力なだけのただの魔剣。
3・TRPG版の法の設定を引っ張ってきて、超常の存在を許さぬ法の武器とする。
4・「軍犬と世界の痛み」のルシファー猊下つながりでライトブリンガー(光を齎すもの)。

上記のいずれかあたりを考えておる。

7 名前:柳生友景:2011/07/09(土) 22:11:42
成る程。詳しい説明、痛み入る。
上記1〜4いずれでも、相手取るには面白き哉。
そちらの新訳しりーずは、丁度いま「スクレイリングの樹」を読んでいる途中ゆえ、闘争が
始まるまでには「白き狼の息子」や「軍犬と世界の痛み」なども読了できましょう。

しかし黒の剣、白の剣、ラグナロクにアルテマウェポンと神剣魔剣が乱舞せし一連の戦い
なれば、わたしの佩刀も無銘ではかえって礼を失するであろう歟(か)。
なので、ヒノカグツチの剣(真・女神転生シリーズ準拠)あたりを使うやもしれませぬ。
厨的な箔付けなれど、問題がないようならば。

8 名前:柳生友景:2011/07/09(土) 22:13:27
ついでに、闘争の副題を真面目に考えると、

Tomokage Yagyu vs Gaynor 〜Saber 2(Again)〜

Never Saber Never Again

Gaynor Only Lives Twice

タネローンはおれのもの

ゲイナーちゃん2 〜メルニボネ柳生の逆襲〜


どこが真面目なのか! というものも混じっているが、気にしてはいけませぬ。

9 名前:<呪われし公子>ゲイナー ◆/GAynorYPA :2011/07/24(日) 13:32:02

 約半数がネタではないか!

 ・・・しかし、そろそろ闘争の題名も考えねばな。さて、どうしたものか。上記の中では、
余としてはNever Saber Never Againが一押しだが。

>武装
 ヒノカグツチの剣か。よいではないか、使うがよかろう。多少のねつ造など演出の範囲内よ。

 汝との戦いの初期装備は妖刀「七胴落し」で行かせてもらう。アウトレンジでの戦いから始
まるようならば、TRPG版の通常兵装である混沌の弓も持ちよるつもりであるが。
 それに汝との戦いでは混沌の魔術だけではなく法の魔術もつかわせてもらうつもりだ。

 服装は・・・そうだな、「モモ」の灰色の男を思わせるグレーのスーツ風の姿にするか。

10 名前:柳生友景:2011/07/24(日) 23:46:28
「白き狼の息子」まで読み終え候。「軍犬〜」は未だしにて。
しかし、この新訳三部作は「ゲイナーとクロスターハイムのサーガ」とも評すべけんや。
>>4で仰られた、
>血を飲むことによる能力付与。
成る程、この事であったか……と頷ける。


闘争の題名、拙案の採用は面映き事。わたしとしては「魑魅魍魎やぎゅう☆まぎか」でも
構わぬが……。

ヒノカグツチは、では使わせて頂こう。
闘争の中盤ほどに武装変更の腹積もりにて、当初は普通の刀で戦う予定です。
……ほう、神林長平と。流石に思わぬ所から持って来られる。
わたしは接近戦・遠距離戦どちらでも構わぬ故、そちらのやり易き方にて。

魔術戦、並びに「たすけてモモ!」風味なこーでねいとに関しても、承った。

11 名前:<呪われし公子>ゲイナー ◆/GAynorYPA :2011/07/25(月) 01:10:07
>ゲイナーとクロスターハイムのサーガ
 うむ。かの三部作は余がチャンピオンでクロスターハイムが英雄の介添人といっても過
言ではない。

>血を飲むことによる能力付与。
 正確には「血を飲むことによって、その個人もしくはその血統のものしか使えない武器
が使えるようになる」なのだが、「なじむ。実になじむぞ!」がやりたいので拡大解釈し
て使わせてもらう。

12 名前:<呪われし公子>ゲイナー ◆/GAynorYPA :2011/07/27(水) 20:01:40
 導入ネタ。

 時は幕末。
 黒船の来航によって徳川泰平の世がまさに終わらんとする動乱の時代。
 血で血を洗うこの激動の世に流れ着いたゲイナー。

 そこにて平将門の存在を知り、その怨霊の力を利用せんと企む。
 平将門の復活の起爆剤とするために、まずは封印されていた髑髏検校の遺灰を手に
入れるゲイナー。続いて怨霊復活の儀式をせんとするまさにそのとき、世界の危機に
いにしえの世より柳生友景が呼び出される。

 まあ、そんなところか。

13 名前:柳生友景:2011/07/28(木) 00:23:05
(陰スレの方を見遣りつつ)
黄宮卿は何をやっておいでか。
しかし、喚ぶ方喚ばれる方の双方で斯くも「お前か」と嘆じ合うような召喚関係は、ちょっと
他に見当たらないな。

>導入ネタ
おお、幕末。良いですね。
復活の儀式まさにたけなわ、な時にわたしが転移してくる感じでしょうか。
また、わたしへの依頼の向きは、崇徳上皇に<天秤>の霊告が下り……というようなもの
を考えていたが、そちらからすればフリメルダどのとの前戦から引き続いて「ンモー、また
<天秤>!」という事はあるかもしれぬ。

「軍犬〜」を読みながらふと思った事だが、例えば真の依頼人はルシファー猊下という線
は可能だろうか?
世界の痛み≠ニなり得る将門復活による大破壊を防ぎ、天界復帰への好材料としたい
猊下の意向を崇徳院が汲んで、という……。
結局それもまた、<天秤>の意思なのかもしれぬが。

「恥というものを知らぬ後人の捏造」「妄誕の域を出ない謬説」という感じではありますが、
取り合えず、恐る恐る提案まで。

14 名前:<呪われし公子>ゲイナー ◆/GAynorYPA :2011/07/28(木) 23:21:16
>「お前か」と嘆じ合うような召喚関係
 最終的な敵はセイバーでもアーチャーでもなく互い自身というのが目に見えておるな。
最終的に立ち会うまでは、いかに令呪を使わずにすませるか、いかに令呪を使い切らせるか
の心理戦になるであろう。

>真の依頼人はルシファー猊下
 それはよい考えだ。世界を癒す責務を負うているルシファー猊下にとって、将門の復活は見
過ごせぬことであろう。だがエルリック皇子や天秤の騎士たちが訪れるには因子が足らぬ故、
汝に白羽の矢が立ち崇徳上皇を通して世界を救う役目を任せた、といったところか。
 ならば余の使う白の剣は「聖杯ルシファー」としよう。猊下の力の一部を込めて鍛えられた
聖剣だ。展開によっては己の剣に裏切られるという「戦士」の業を余も体験することとなるであろう。

15 名前:柳生友景:2011/07/29(金) 00:33:49
>いかに令呪を使い切らせるかの心理戦
……割と真面目に見たく候。
しかし、白子の皇子を呼んでこなければなりませぬな。「わたし」の任には余るが。

>犯人はヤs……ではなく猊下
この案で宜しゅうございますか。忝き事。
流れとしては、まさに仰られる通り。実際に猊下自身にご登場願うか、それとも崇徳上皇
との会話でその介在を説明するに留めるかは、まあ今後の考えどころでしょうか。

「聖杯ルシファー」で猊下の力と猊下の代理人たるわたしがぶつかり合うのも、実に面白
い。
「互いに相争う矛盾が故の<混沌>」といった趣もございますな。

因みに余り関係ないが、「軍犬〜」は1631年が舞台なので、フォン・ベック伯とわたしは、
ほぼ同時代人だったりするのですね。

16 名前:柳生友景:2011/08/05(金) 21:59:43
そういえば申し上げていなかった。わたしが幕末へゆく方法。
募集すれで少し触れた通り、山田風太郎「柳生十兵衛死す」のネタを使う所存にて。
 
過去を演じ、過去を再現する夢幻能の極まる所、世界は過去そのものとなり、それを見
る観客もまた過去に送り込まれる――というのがその仕掛けです。
この航時機(たいむましん)としての理を用いて、逆方向即ち未来へ転移せんという、云
わば「幕末へ翔ぶ夢幻能」でしょうか。
能の舞い手であるシテは崇徳上皇に演じて頂こうかと。
 
原典だと、シテも一緒に時間移動する事になりますが、今回上皇は舞うだけで留守番で
す。幕末へ赴くのはわたしのみ。

また将門復活の儀式の場へ出現する際は、所謂「たーみねーたー」のように現れようか
と思案している。
当然、全裸ではありませぬ。
 

17 名前:<呪われし公子>ゲイナー ◆/GAynorYPA :2011/08/12(金) 22:18:57
導入案β版
>>

 江戸城より北東、鬼門たる艮(うしとら)の方角にその神社は在った。
 神田明神。かつて関東にユートピアを築き上げようとし、夢半ばにして倒れた男が祀られた場所。
 今ではその存在は神霊として祭り上げられ、江戸の霊的守護の要として長らくこの都を鎮守していた。
 荒ぶる魂を神として祭り、その加護を受けるのはこの国ではよく在ることだ。

 夜。煌煌と満月の輝く怪しい夜。
 夏も盛りだというのに、なぜか風は酷く冷たい。
 背筋に寒気が走り、魂魄すら震わせるように冷たい。

 その境内に3つの黒い人影があった。地面に直接に座し忌まわしき祝詞を唱える3つの影。みな
闇よりも黒い外套に身を包み、フードを目深にかぶっているため性別はおろか体格すらもわからな
い。いや、その外套の下に在るモノが本当に人であるかすらわからない。むしろ魑魅魍魎である方
がふさわしいのではないか。そんな考えすら浮かび上がってくる。

 そう、そんな考えが浮かび上がってくるほどにその場の雰囲気は尋常ではなかった。瘴気とも妖
気とも云える禍々しい空気があたりには漂い、地獄の亡者がうめくかの様な不気味な音が聞こえて
くる。その場所は既に半ばこの世ではなくなっていた。此岸と彼岸、現世と幽世、陽と陰、光と影、
その中間であり境界である場所、その双方が入り交じった場所と成り果てていた。

 理由は明白であった。境内にいる三つの人影。ソレが行っている術式によるものだ。
 御社殿へ向かい逆三角形となるように三者は位置していた。御社殿と三者を線で結べばちょうど
正方形が作れる方となる。その正方形の中、三者の間には大きく緻密で美しい魔法陣が描かれてい
た。ルーンにラテン語、アラビア文字に漢字、アルファベットにひらがなカタカナ、象形文字に楔
形文字、果てはこの世界のものではない言語まで、数多の言語、無数の図形を用いて描かれた魔法
陣だ。水銀で描かれた部分も在れば、人間の血液で書かれた部分も在り、さらには未知なる霊薬を
用いて書かれた部分も在った。
 巨大な樹木の年輪のように何重にも重ねて描かれた魔法陣。その中心には一振りの刀が在った。
古い作りの刀だ。三尺近くもある刀身は鍔元のみが湾曲する極端な腰反りで、刀身と柄が一体の構
造となっていた。その金属製の柄には古代の毛抜の様な肉抜きが透かし彫りで施されている。それ
ゆえにこの刀は毛抜形太刀とよばれていた。
 ソレは黎明期の日本刀。起源たる刀。この社の主が作らせた、反りを持った最初の日本刀だ。
 遥か昔に作られた刀だというのに、その刀身は今まさに鍛え上げられ、磨き上げられたかのよう
に輝いていた。ぬめぬめとてらてらと怪しい輝きを放っていた。拵えは新たに作られたもののよう
で、ふんだんに金が用いられ、伝説の神獣たる麒麟が描かれていた。

 その刀を囲むように四方に鏡が配置されている。東の青竜、南の朱雀、西の白虎、北の玄武、四
神をかたどった彫刻を背面に施された霊鏡だ。
 その外側には七つの宝玉(オーブ)が備え付けられている。貪狼、巨門、禄存、文曲、廉貞、武
曲、破軍、北斗七星を模した七つの宝玉が、正七角形を描く位置に備え付けられていた。
 さらにその外側には黒い剣が、八振りの黒い剣が正八角形を描く位置に、いや八芒星を描く位置
に突き立てられている。これは混沌の偉大なる八柱たる地獄の大公を現していた。
 そして最外周には白い剣が、九振りの白い剣が九芒星を描く位置に突き立てられている。これは
法の高貴なる九柱たる恒常の王族を現している。

 数多の力ある品によって築き上げられたこの魔陣。これはこの社に祭られた神を現世にふたたび
おろさんとするがための魔陣であった。ただし、その属性を反転し―――いや本来在るべき姿へと
戻しというべきか?―――荒ぶる神、怨霊として復活させるための儀式であった。

 希代の英雄平新皇将門を。

18 名前:<呪われし公子>ゲイナー ◆/GAynorYPA :2011/08/12(金) 22:20:24
>>

 境内に響いていた声、三つの影が唱和していた呪文がぴたりと止んだ。三者のうち隨神門を背に
していた人物がうつむいていた顔をわずかに上げ口を開いた。深みのある男の声がその口より漏れ
出てくる。

「ここから先はおれだけで充分だ。魔人よ、お前は外の連中を片付けてこい。この世界の術者も思
いのほかやる。このままでは儀式が終わる前に決壊が破られる」

 その言葉に男からみて右手側にいた影が立ち上がった。そして外套を脱ぎ捨てる。中から現れた
のは空色のエプロンドレスをまとった長いブルネットの髪の少女だ。その顔立ちは人形のように整っ
ており美しいが、同時に人形のように生気がない。肌は病的に青白く、目の下には深い隈ができて
いた。なによりその病んだもの特有の瞳はみているだけでこちらの精神までが悪夢と狂気の世界に
捕われそうだ。

「いいわ。わたしが片付けてきてあげるわ」そういうと少女は口元に淡い笑みを浮かべ先を続けた。

「この国では勝ったら相手の首を切り落とすのでしょ?だったら、首をはねてしまいましょう!」

 狂った様な洪笑とともに、少女はその場を後にした。それをみていたもう一人が立ち上がり、少
女の立ち去った方向を遠く覗き込む様な仕草をして、笑いまじりの言葉を紡ぐ。

「比叡や高野、そして成田の高僧にお庭番に裏柳生、有名どころの人斬り全部に浅葱色のダンダラ
までがそろってやがる。どれだけ正史をねじ曲げれば気が済むんだいアンタは」

 「歴史の流れなど知ったことか。おれは目的さえ果たせれば因果の帳尻などに興味はない。それ
はお前も同じだろう?悪魔よ」

 いまだ座したままの相手に対し、立ち上がった男は外套を脱ぎ捨てそのにやけ笑いを月影の下に
さらす。東洋人の男だ。年の頃は30代といった所か。整った顔立ちながら、うさんくさいにやけ
笑いがそれを帳消しにしていた。男はシルクハットにタキシードといった正装をしていた。だがそ
の無精髭もあいまって、身につけているもの全てがどこかくたびれ胡散臭い。まるでそれが偽りの
姿であるかのようだ。

「違いねぇ。俺もちまちま整っているよりも、混沌としている方が、白と黒のマーブルが好みなん
でね。いい感じに混ざってきやがった」

 うそぶくようにそういって、男はその服装には似合わぬ腰に剣帯を使って佩いた打刀の柄に手を
這わすと北東の方向に鋭い視線を送る。

「それじゃぁ俺は向こうを片付けてくらぁ。あっちはアリスちゃんだけで何とかなりそうだからな。
・・・しかし加藤ちゃんも大概しつこいねぇ。この期に及んでまだきやがったよ」

「くれてやった鎌の分は働いてこい。あれはおれが集めた力ある品の中でも五指にはいる代物だからな」

 振り向かずに手を振るとシルクハットをかぶった悪魔は軽い足取りで前へと進む。と、急に足を
止め前を向いたまま、わずかに真剣さを含んだ声でささやく。

「気づいてると思うが時間の流れが渦巻いてやがる。くるぜ何かが。多分アンタのご同類が。過ぎ
た過去よりこの未来へ」

 それだけ云うと、そのまま男は夜の闇へと消えていった。

 最狂の未知能力者(スペックホルダー)と再凶の魔法使い(スペルスリンガー)。彼が辺獄で見
つけた最悪の仲間たち。その二人が去った後の境内で男は儀式をただ一人で進める。この国を奈落
堕ちに出来るだけの力を持つ怨霊を呼び出さんがために。

19 名前:<呪われし公子>ゲイナー ◆/GAynorYPA :2011/08/12(金) 22:23:29

とりあえずの導入案だ。
メフィストフェレスの口調はうろ覚えなので後で修正する。

いろいろと返したいことはあるのだが、今日はこれから少々出かけるためこれで失礼させてもらおう。

20 名前:柳生友景:2011/08/12(金) 23:00:44
むむう。
げにむせるほどの魔気と妖気が、曼荼羅的に一致せし導入と申すべけれ。
あのアリスと天魁星のすぺくたーという、御供の人選にも驚きを禁じ得ませぬ。
 
今宵は、ではこれにて。了解仕った。
しかしこの「毛抜形太刀」――もしや『将門の刀』にあらざるや?

21 名前:<呪われし公子>ゲイナー ◆/GAynorYPA :2011/08/13(土) 22:03:00
 上記導入の後に髑髏検校の遺灰を用い、ドーマンセーマンを魔法陣に書き加え・・・という
展開を考えている。もしくはアリスをオミットし、かわりに髑髏検校自身にこの儀式に加わっ
てもらうかだが。そもそも当初に考えて導入ではクロスターハイムと髑髏検校とおれの3者での
黒ミサ風復活の儀式だったのだ。しかしそれはあまりにも地味であるし、せっかくなのでクロ
スオーバーを多用したいと考えアリスと天魁星に出番を願った。
 髑髏検校その人がでる場合ならば、土方や以蔵との会敵場面だけでも書くやも知れぬ。

>お供
 アリスの方はマッドネス・リターンズ発売記念のサービスの様なものだな。天魁星の方は前々
から少年漫画臭を消し去って、ゴシック風のアレンジを加えて使ってみたいと考えていた。

>将門の刀
 そのとおりだ。贄として阿弖流為やその他様々な怨霊を喰らわせ妖刀として復活を遂げた新皇
が刀だ。怨霊将門の力を刀に封じ、それを意のままに操らんとする意図である。
 今の所ただの小道具のつもりだが、最終的にどちらかが使っても良いとも思っている。

22 名前:柳生友景:2011/08/14(日) 01:26:23
>将門の刀
ああ、成る程。いえ、例えばヒノカグツチを使わぬ場合に、闘争の中盤か終盤、わたしの刀が
折られるなり何なりしてぴんちな時に、目覚めかけた将門公の意思が「わがねむりをみだす
なかれ」と佩刀をわたしに賜る……ような流れは可能であろうかと、少々考えていたのです。
 
そちらでお使いになるも良いでしょう。わたしには、ヒノカグツチもございますれば。
 
 
で、そのヒノカグツチの出し方について。
朝廷の武器庫・石神神宮に保管されていたものを、崇徳院が今回の為に取り寄せるも、わた
しが転移する時までに用意が間に合わなかった為、わたしの転移予定地、即ち神田明神の地
底深くへ埋めさせておいた――という流れがひとつ。
 
闘争の中盤か終盤、わたしの刀が折られるなり何なりしてぴんちな時に、「ヒノカグツチ! おま
えの主が危ない!」「ヒノカグツチ! 今こそ我を救え!」と叫ぶや、大地をずもももと割って
紅き神剣が現れ……おや、どこかで見たような台詞だな。
別にヒノカグツチ百万の兄弟を喚んだりはしませぬが。
 
しかし、何やら「スパロボα外伝で、未来のマウンテンサイクルに埋まっていたマジンカイザーと
真ゲッター」的風情もあるような、ないような。
 
何かそちらの思案に差し障りがあるようなら、これは取り下げます。
ご一考下されたく。
 

23 名前:名無し子猫:2011/08/14(日) 01:35:40
 
 
  
 
 
  
  時を超えよ 空を駆けよ
  この世(ほし)の為
 
 
 
 
 
.

24 名前:柳生友景:2011/08/14(日) 01:37:18
>>23 続き
 
 神韻たる能楽の謡(うたい)の声が響く。――闇の中だ。
 塊として掴み取れそうな、重く、濃密な闇である。灯りといえば燭台が一つあるきりだ。
 灯っているのは青白い鬼火であった。
 その冷たい炎は、果ても見通せぬ四方の闇をかえって色濃く際立たせていた。
 
 幽たり、また玄たる謡に合わせ、笛や鼓の音が流れている。姿は見えないが、闇の何処か
に囃子方が控えているらしい。
 鬼哭啾々――陰々とした調べの裡(うち)に、二人の人影がある。
 かそけき灯りにもかかわらず、それらは異様にくっきりと闇の中に浮かび上がって見えた事
だった。
 
 
 一人はシテ――能の舞い手だ。謡の声の主である。
 烏帽子に狩衣姿も高雅な四十年配の男性だった。能面はつけず、気品に溢れる素顔をさら
した直面(ひためん)だ。
 囃子方と同じく、シテの介添えであるワキの姿はない。だが見えぬ操り糸でぴんと縛られた
ような所作の一つ一つには、能楽の蘊奥に没入した凄みが漲っている。
 
 今一人は観客だった。シテから少し離れた所に座している。
 縹(はなだ)色――薄藍の直衣(のうし)も涼やかに、被った黒い冠では垂纓(すいえい)が
野鳥の尾羽のように垂れている。
 美しい人物であった。
 海底(うなそこ)の深みを思わせる瞳、高く通った鼻梁。微薫のような笑みが、朱唇にほんの
りと漂っている。
 華咲き乱るる宮中にあって、雲上人らと恋歌を交わした美姫とは、かくの如き貌(かんばせ)
だったのではないか。そんな匂うようなこの佳人は、しかし男であった。
 
 座したその脇には、公家風の態には似合わぬひと振りの刀が置かれていた。
 朱鞘の太刀だ。柄では白糸で編みこまれた小兎と、緑糸の亀の二つの紋様がのどかに駆け
比べをしている。
  
 
  ――信ずる者 其れ正義なれば
  まことの王侯なりけり
  夢見のままにありつる 我が妄想ならんや
 
 
 寂莫とした闇の世界の中で、シテの謡は妖々と続く。
 発祥から卑賤の芸とされた能ではあるが、観客ではなく、演者自身が斯くも貴顕である舞台
はそうはないだろう。
 なんとなれば、舞うのは日の本六十余州の魔界を統べる大首領――崇徳上皇その人であり、
見守るのはその股肱たる剣客にして術客、柳生友景(やぎゅう ともかげ)であった。
 

25 名前:柳生友景:2011/08/14(日) 01:39:44
>>24 続き
 
 時の車輪を数刻、遡る――。
 
 
 同じ闇の中に、友景と崇徳上皇はいた。座して相対している。
 
 現在――寛永元年、西紀に直せば1624年という暦も、この場では半ば意味を成さない。
 なぜなら此処は現世と隔絶した異空間――魔界であるからだ。
 日本国の妖魔が棲まいし常闇の封土、その最深部に設えられし内裏(だいり)であった。
 
 その主人たるが、優雅な笑顔をたたえている崇徳上皇である。
 かつて保元の乱にて後白河天皇に敗れ、讃岐に配流された果てに凄惨極まる最期を遂げた
崇徳院の亡霊は、その無限の怨念断ち難く、全ての魔怪化生を従える大魔縁へと堕したものの
――その後、数百年を経て二度目の「転向」を果たすことになる。
 
 友景も係わったさる一件により、妄執満ち満ちる己が浅ましさを自覚した上皇は、なんと正道
に立ち返ったのである。正気に戻ったといっていい。
 あまつさえ闇と寒さを支配する大魔王の立場から一転、日本の守護神たるを宣して、配下の
魔物どもを困惑せしめたものだった。
 新生したこの崇徳上皇の意を受け、鎮護国家の任を賜ったのが、誰あろう柳生友景であった。
 
 
 柳生友景。またの名を幸徳井(こうとくい)友景。南都の人。
 剣名一世を風靡した柳生新陰流の太祖・石舟斎の甥である。新陰流の中でも一といって二と
ない大剣士である彼には、今一つ類い稀なる天稟が備わっていた。
 霊的能力である。
 よくする陰陽道の実力は、養子に入った幸徳井家を、斯界の名門・土御門家の代わりに陰陽
頭(おんみょうのかみ)の地位へ就かしめる事に成功する。後水尾天皇の宮中にあって、彼は
全ての陰陽師の統帥となったのである。
 
 こうして魔界の内裏に平然と参内しているのは、しかし持って生まれた霊能だけによるもので
はない。
 崇徳上皇へ仕える過程で、友景はその眷属たる魔界衆三万六千と五百二十九匹と交合した。
そのおぞましき結縁は、美しき肉体を半人半魔の夜族へと変生させたのだった。
 

26 名前:柳生友景:2011/08/14(日) 01:41:10
>>25 続き

「主上、わたしを召されたは、またぞろ朝鮮の魔の手が――という訳ではございませぬようで」
 
 玲瓏たる剣豪陰陽師は穏やかに口を開いた。
 十数年に渡る暗闘の末に、友景は朝鮮の有する日本国侵略秘密機関、再東征中書省を壊
滅させている。現時点において、かの国が日本への謀略を企む背景はないといってよかった。


「さなり」と上皇も頷く。「此度の陰謀、国を揺るがす驚天の大事とは申せ、この世の事ではな
い。未だ来たらざりし――未来にて起こる出来事なのじゃ。およそ三百年も後に、喃」
「さ、それは」

 友景は首をかしげた。霊的国防に携わる陰陽師のトップとして、彼は日本の領域内に霊的
防諜網を張り巡らせている。
 しかし流石に未来へのカバーまでは想定の範囲外だし、そもそも出来よう筈もない。
 
「そなたの言は判る。常ならば、朕も未来に生ずる悪しき種を刈れと命じはせぬ。
 それに第一、未来は未来、過去は過去。彼我は別個の世界であり、有態にいえば関係はな
い。枝葉が枯れたとて、必ずしも幹や根が朽ちる事なきが如く。
 いや、いずれが主か従かは問わぬ。問題は、此度に限ってはそれが起こり得るという事じゃ。
 行く末が絶たれるは、来し方たる今生をも遡って破壊する仕儀なれば」
 
 
 ――実にこの時、上皇は時空連続体の崩壊について示唆したのだった。
 そんな「未来」に発生する概念は知らず、しかし陰陽の徒として備える隠秘学の智識によっ
て、友景は上皇の云わんとする所を完璧に把握した。

「さる御方が」と上皇は語を継いだ。「朕にそれを知らせてくれた。その大事を企みし敵の存在
もじゃ」 
「その敵とは、如何なる者にて?」
「異界、異形の術客」

 上皇は断言し、その「敵の陰謀」を語り出した。
 
 
 ――上皇は語り終えた。
 燭台は、相変わらず寒々しい光を灯している。現実世界ならば蝋燭はその長さを半減させて
いたであろう。それほど長い、上皇の話であったのだ。

「戦いは恐らく厳しいものとなろう。しかし、友景よ。この任、見事果たしてくれるか?」
 
 その龍顔に、後代の子孫にして、彼が現世にて供奉する後水尾帝の英邁なる血脈を見――
天皇の陰陽師、柳生友景は花のような笑顔で両手をつかえた。
 
 
「我が一命に代えましても、必ずや」
 

27 名前:柳生友景:2011/08/14(日) 01:44:33
>>26 続き
 
「そなたには苦労をかける喃」
 
 崇徳上皇はうるんだような眼差しを友景に向けた。
 
「ご案じ召されますな。友景は主上の臣、院宣を果たすは当然にて。
 されど、如何にして未来世界へ赴けばようございましょう。かの朝鮮妖術には、時空間の移動
を可能にする秘術があるとは伝え聞きますが」
 
 友景にその技はない。上皇は自信ありげに言った。
 
「されば、能を遣う」
「能――」友景は美しい眉宇を顰めた。「それは、夢幻能をという事でございましょうや?」
「流石は友景じゃ」
 
 上皇は莞爾と微笑んだ。
 
「能とは畢竟、変身のわざなり。演者は亡霊に成り変わり、その語る亡霊の世界、つまり過去世
を現世に生じさせしむる芸術である。
 この機能極まり、過去世となった舞台を観る者は、過去へと飛ぶも同義ならん。
 此度はそれを逆手に用い、以ってそなたに時空を渡らせる<径>と成そうよ」
 
 
 ――旅の僧侶の前に亡霊が現れ、過ぎ去りし日の物語を語るのが、夢幻能と呼ばれる即興演
劇の基本的構図だ。
 その構図が真の意味で完成した舞台、これを見る観客は過去を見る事になる。つまりは過去
の世界そのものへ送り込まれると云っても過言ではない。
 それは能を航時機(タイムマシン)となさしめる可能性への言及に他ならなかった。
 そのシステム、本来は過去へと飛ぶ処理方向を変換させて、観測者たる友景のみを未来へと
転送(ワープ)させる。上皇の意図はそういう事であった。
 
 
「――あの御方より、三百年後の未来については伺っておる」
 
 友景は少し双眸を光らせた。
 魔界の大皇(おおきみ)たる崇徳院その人をして、礼を以って語るあの御方≠ニは、そも何
者なのか?
 
「未来へ翔ぶ夢幻能を演じる事に関しては仔細ない。敵の術客が企みし儀式の場へ、直接そな
たを渡せられるであろう。
 また聞説(きくなら)く、変身の芸である能に依って時空を渡れるは、同じく変身の力を、つまり
別の自分に成り変われる力を持つもののみ、と。
 時に陽中の陰と変じ、また陰中の陽と化す神妙剣、陰ノ流レ――新陰流を極めたそなたなら
ば、己が霊力の後押しによって、必ずや未来へと翔べよう」
「成る程。ではシテは真逆?」
「無論、朕が」
 

28 名前:柳生友景:2011/08/14(日) 01:46:35
>>27 続き 

 そして、時は現在に戻り――。
 
 
  我 生くこと好みたり
  蒼茫たりしか 宇(そら)よ宙(とき)よ
 
 
 不意に友景は幻怪な感覚に襲われた。
 
 体が引かれている。汀(みぎわ)に佇立させた踝が、寄せては返す波にさらわれそうになるよ
うな、眩暈にも似た感覚だ。
 魂はそこに残っているのに、体だけがひと呼吸先へずれる。――先へ?
 そう、未来へ。
 すぐに体と魂は一致するが、何とも名状し難い感覚の「ずれ」幅は段々大きくなってゆく。
 
 気づけば、上皇の舞う姿が眼前から消えていた。謡や囃子方の楽の音すらも、いつの間にか
途切れ途切れになっている。
 あるのは果ても底も知れぬ暗闇だけだ。
 
 
 加速だ、と友景は声に出さず呻いた。
 上皇が消えたのではない。消えたのは恐らく自分の方だ。過去から未来へと、常に同じ速度
で流れ続ける時間が、その速度を大幅に速めたが故の現象なのだ。それ即ち、
 
 ――宇宙の法則が乱れる!
 素破、と友景は片膝を立てた。素早く朱鞘の愛刀を引っ掴む。
 同時に空間を満たしていた何かが決壊した。
 
 溢れ出した何かは、濁流のような勢いで友景の全身を撃った。
 それは水でもない、大気でもない。
 時間だ。時間そのものなのだ。
 ああ、その圧の奇怪さよ。全身が際限もなく延ばされるかと思えば、逆に折り畳まれ、薄紙よ
りもなお縮められるかのような。――
 
 人間はこのような時間の移動を現す言葉を持たない。どのような言語にも、この現象を表す
べき言葉はない。
 
 
 須臾(しゅゆ)の間か、それとも永遠も半ばを過ぎた頃か。
 暗闇の果てに光が見えた。隧道の出口のように、ぽつんとした一点だったそれは、異様な速
さでその径を増していく。
 それは金と銀との燦然たる輝きだ。同時に赤と青は競うように彩を成し、かと思えば緑や橙、
紫が見た事もない古代生物の交接のようにうねってはためく。
 混淆し、一瞬たりとも一つ色にとどまらぬ、色という色のそれは乱舞だ。
 異次元の色彩であった。
 
 ――あれが、三百年後の彼の地か。
 何故か友景は確信した。流れに逆らわず、寧ろその勢を利して混沌の光源へと跳躍する。
 
 
 鼓膜では、崇徳上皇が吟じる謡の声が、幽かな耳鳴りのように木魂していた。
   
 
 
  時を超えよ 空を駆けよ
  この世の為
  熱く燃ゆるべし 涙流すべし
  明日といふ日に
 
 
  柳生陰陽剣 友景
  柳生陰陽剣 友景
 

29 名前:柳生友景:2011/08/14(日) 01:48:26
では、わたしの側の導入草案にて。
余りに、余りにも長いのはこれ全て導入の所為にて、請う、御寛恕を。
またこの嘘能は、何せ、ことは躇錯剣(ちょさくけん)に絡む問題ゆえ、詳しい次第は申され
ぬが、仮面ライダーBLACKのおーぷにんぐにて候。
 
そちらの御意見・御要望・急度叱りなどを考慮しつつ、後で少し手を入れるやもしれません。

30 名前:柳生友景:2011/08/14(日) 01:58:44
>> 

 ――友景の脳裏で、出立前に崇徳上皇と交わした会話が蘇る。
 
 
「異界、異形の術客が企てしは、将門の覚醒(めざめ)よ」
「平将門公の……!」
 
 友景の表情が緊張の色を帯びた。
 人も知るように、平新皇将門は平安時代、関八州にユートピア建設を夢見て朝廷へ弓引い
た英雄だ。事破れて処刑された後も、怨念の塊でありながら、不可解にも関東を鎮護する大
地霊となったという。
 そしてこの最大の御霊は、今も江戸の地の底深く、冥府の眠りを貪っているのだった。
 
「確かに、ひとたび将門公が目覚めれば、その祟りは四百余州を焦土と変じせしめましょう。
 また霊的次元のみならず、果てしなく遠く、限りなく近い異世界(とつくに)すらも滅却させる
は必定。
 しかし公は、死せるが如きとこしえの眠りについていると聞き及びます。生半に喚び起こす
真似は叶いますまいが」
「その事よ。されば敵は、不知火検校、またの名を髑髏検校と申す妖人に目をつけたそうな」
「不知火検校? 聞かぬ名でございまするな」
「まだ生まれてはおらぬ者じゃもの、その名ではな」

 あっさりと上皇は言った。――島原は原城にて、江戸期を通じ最大の切支丹反乱が起こる
のは、もう少し先の話である。
 その旗頭となった美貌の天童が、呪詛と妄執の余り魔界へ転び生まれるのも。
 
 
「その者、恨(ハン)極まるが故に血吸い鬼へと転化≠オて後、徳川家への復讐を果たすべ
く江戸を襲ったが、智勇の士らの活躍により滅ぼされたという。――これもまた、未来の物語
よ。敵が白羽の矢を立てたるは、彼の者の遺灰。
 それに籠りし怨念を駆って将門を喚ぶ腹じゃ」
「さまでの存在なれば、その呪怨、将門公の眠りを覚ます火種としては十分でありましょうな」
 
 怨念を抱いて眠る将門を目覚めさせる起爆剤として、同じく怨念の余り真祖となった長生者
(エルダー)髑髏検校の骸を使う。――実に悪魔的な着想と言えた。
 
「その術客とやら、既に呪われし遺灰を手中に収め、将門復活の祭祀を執り行わんと致しおる
とか。急ぐ、事は急ぐぞ、友景よ」
 
 
 友景は小さく、だが力強く頷いたのだった――。
 

31 名前:柳生友景:2011/08/14(日) 02:00:43
ついでに、将門公や髑髏検校云々のはなしを後々の回想しーんとして出すならば、という例。
ルシファー猊下関係は、また別になりましょう。これまたそちらの御意見を賜った上で、改め
るはやぶさかではございませぬ。
 
>アリスをオミットし、かわりに髑髏検校自身にこの儀式に加わってもらうか
こちらの案ですと、髑髏検校のくだりは改める必要がありますね。いえ、別にさしたる手間で
はないので、どちらでも構いませぬ。
紅一点の魔人アリスは、いかにも美味しゅうございますが。
 
>土方や以蔵との会敵場面
斯様な奇想が、これまた美味しいのが困りもの。
「サンクチュアリ」の鬼使いの土方辺りで構わぬのなら、当方の側にて出したい所だが……。
長くなるでしょうね。

32 名前:<呪われし公子>ゲイナー ◆/GAynorYPA :2011/08/21(日) 11:45:29

すまぬな。少々具合を崩していて返答が遅くなった。

>ヒノカグツチ
>未来のマウンテンサイクルに埋まっていたマジンカイザーと真ゲッター
こちらとしては問題ない。好きにやるがよかろう。

>将門の刀
これもそちらで使ってかまわぬよ。
余には法と混沌の二振りの魔剣があるゆえに。

>髑髏検校
ならば彼のものの復活はこの闘争の後、「それはまた別のお話」という
かたちとしようぞ。闘争の後誰もいない神田明神にたたずむ麗しき魔人
というのもわるくはなかろう。

導入案の修正はもう少し待ってもらいたいが、タイトルの案はいくつか考えた。
以下の通りだ。

33 名前:<呪われし公子>ゲイナー ◆/GAynorYPA :2011/08/21(日) 11:50:11

<題名>
HAPPY VICTIMS

<序文>
誰も彼も嬉々として 地獄に向かって突撃していく
いったい誰があの中で皆殺しの野で
あの中で生き残るというのだ
きっと 誰も彼も嬉々として 死んでしまうに違いない
誰彼の中で

平野耕太「HELLSING」


<題名>
黄金律

<序文>
Do unto others as you would have them do unto you
(だから、人にしてもらいたいと思うことは何でも、あなたがたも人にしなさい。)
新約聖書「マタイによる福音書」7章12節


<題名>
The Four Freedoms

<序文>
Each according to the dictates of his own conscience
(彼自身の良心に従って)


これらを先に出た案と組み合わせて使いたいと思っているのだが・・・。

34 名前:柳生友景:2011/08/21(日) 23:58:55
お身体はくれぐれも大事になされませ。
そうでなくても、季節がら暑気がたまらぬのだから。
ゆるりと待ちおり候わば、請う、急がるる勿(なか)れ。
 
 
>ヒノカグツチ
>将門の刀
左様ですか。では、如何致そうかな。
どちらか一択か、二刀を使うか。ふむ……。
卒爾ながら、この件については今暫く考えさせて頂きたく。
 
髑髏検校の扱いは、ではそのように。
題名と序文は、こはまたどれも中々意味深そうなものばかり。どの組み合わせでもよろ
しいかと。
フリメルダどのとの戦いの序文は聖書よりの一節なれば、こちらも聖書から引用された
ものの方が足並みは揃っておりましょうか。
また不見識ですが、「四つの自由」とはルーズベルト大統領の?
 

35 名前:<呪われし公子>ゲイナー ◆/GAynorYPA :2011/08/25(木) 20:10:55

 結界の外にて。

 神田明神の外。異界の術者が邪悪なる儀式を取り仕切る結界の外。そこには1000を
超える数の僧侶が集結していた。いずれも日の本全土より呼び集められた当代きっての法
力の持ち主たち。彼らは明神をとり囲むようにして座を組み陣を作りただひたすらに祈り
経を唱える。彼らの組む陣は兵法によるものではなく、しかるに通常の戦を想定してのも
のではない。明神の境内にいる3匹の魔物に対してであり、また神田明神の主それ自体が
怨霊として復活を遂げた場合に備えてのものである。無数の僧侶たちが形作るその陣形。
それは明神を取り囲むようにして展開された立体曼荼羅。かくのごとく力強く神々しいそ
の光景ですら、明神に祀られたあの存在が復活するやも知れぬという事実の前ではあまり
にもはかなく心細い。

 それでも、いやそれゆえに術者たちは己の持てる力のすべてを振り絞って経を唱える。
敵の張り巡らした結界を打ち破り境内の邪教の儀式を止めさせんと、それが間に合わず万
が一怨霊が復活してしまった場合には命をかけてそれが引き起こす魔導災害を鎮めんと、
ただひたすらに経を唱える。この国のために。この国に住む者たちの明日のために。額に
汗を浮かべ、命を削りながら、心を一つにし経を唱える。

 僧侶たちの思いのごとき熱気がその場に充満していた。

 そのときだった、境内よりくすくすと小さな笑い声が聞こえてきたのは。みれば笑い声
とともに、降り注ぐ月影のもと一人の少女が境内より歩み出る。それは空色のエプロンド
レスをまとった少女。黒い髪に生気のない青白い肌を持った幽鬼のような美しい少女。黒
く深い隈と暗く濁った瞳を持つ狂気の魔人。

 その姿を目にし、僧侶たちのそばに控えていた侍たちが抜刀し前に出る。いずれも食い
扶持にあぶれた浪士などではない、かねてより幕府に仕える選び抜かれた精鋭たちだ。月
光に輝く抜き身の刃を目にしても、少女の笑いは止まらない。それどころかドレスの裾を
つまみ優雅に一礼。満面の狂笑で武士たちにこたえる。

「いつもはわたしがねだってばかりだから、今日はわたしがおとぎ話をしてあげるわ」

 その言葉とともに、何も持っていなかったはずの左手の中に一冊の本が現れる。大きな
本だ。革張りでふちを金属で補強された分厚い本。表紙にはただ「不思議の国(アンダーグラウンド)」
とのみかかれている。それは彼女の力の象徴。堕ちた天秤の騎士によって具体化された
彼女の力の証だ。

 白い右手がいとおしそうに表紙を撫で、そのページをめくる。すると突然強風にあおら
れたかのように、本のページが次々とめくり上げられていき、ページ一枚一枚が本よりは
がれて宙に舞う。何枚も何十枚も何百枚も何千枚も、尽きることなく無尽蔵に宙を舞う。

 紙吹雪。

 白の乱舞が世界を覆い、その場にいる者全ての視界を塞ぐ。
 闇に閉ざされた視界に少女の声が聞こえてくる。

「アリスもそのまま、ウサギの穴に飛び込みました。
 どうやってその穴から出て来られるかなんて、アリスはまったく考えていません。
 ウサギの穴は深い井戸のようで、アリスはどんどん落ちていきました。
 もう、止まろうにも止まりません。」


 突如、平衡感覚が崩れた。とっさに踏ん張ろうとするが、両の足は何も捕えることはな
い。驚き目を見開くとそこは暗い穴の中。異国風の机や食器とともにどこまでもどこまで
も堕ちて行く。

「亀に追いつけぬアキレスのように、永遠にどこまでも堕ち続けなさい」

 ぞっとする様な笑みを浮かべ、犠牲者たちに向けそうささやく少女。彼女の立つ空間も
もはや先ほどまでの明神の前ではない。ゆがみ狂った狂気の世界。悪夢のごときサイケデ
リックなおとぎの森に少女は立っていた。転移の魔術でも次元の跳躍でもない。彼女の狂
気と妄想が現実を浸食した結果だ。現実を自分の世界へと作り替える最悪の異能だ。

 満足そうにしていた少女の顔が急に曇った。一瞬いらだつ様な表情を見せたがすぐに思
い直したかの様な満面の笑みを作る。再び彼女の右手が本にのび、いとおしそうにその表
面をなで回す。そして忌み名を四つ囁く。

「ブランシェ」

 その言葉とともに現れたのは血のように赤い唇と、 雪のように白い肌、黒檀のように
黒い髪、 そして暗闇のように真っ黒な心を持ったお姫様。魔女の血筋の末にして、夢幻
の住人の住まう御伽の国のなかですら最も美しいと呼ばれる白い雪の姫。

「怪物(ネームレス・ワン)」

 その言葉とともに現れたのは異形の怪物。2メートルを超える背丈とつぎはぎだらけの
体を持つ醜い巨人。屍を継ぎ合わせて作られた科学のゴーレム。名前はまだない。

「輝夜」

 その言葉とともに現れたのはかくも美しき東洋の姫。空より舞い降りた異世界の住人。
輝く夜のごとく美しく、それに比例する高慢さをもった麗しき魔人。

「人狼(ロボ)」

 その言葉とともに現れたのは猟師風の衣装ををまとった一人の青年。その顔は気さくそ
うだが、その瞳だけは狡猾そう。彼は狼。赤ずきんの狼であり、オカミと三匹の子豚のオ
オカミであり、狼と七匹の子山羊の狼でもある。物語の中の災厄としての象徴たる狼。

 少女の呼びかけに応えしは四人。いずれも劣らぬ魔人たち。御伽噺の世界の忌まわしき住人たち。

 少女は呼び出した魔人たちに笑いながら告げる。

「食べ残しが何人かいるわ。物語に取り込まれきっていない手強そうなのが。あなたたち
で片付けなさい。一人残らず首をはねてしまいなさい」

 その言葉にオオカミは一礼してきびすを返し、輝夜は凍える様な眼差しで少女を一瞥す
ると不満げに去って行き、怪物はその巨体に哀愁を漂わせながら場を後にする。ただ一人
ブランシェと呼ばれた少女のみがその場に残った。

「何をしているの?早くいきなさい!」

 手にした本をたたきながら少女は叫ぶ。それを見て忌々しげな表情を浮かべながら白く
て赤い黒の姫は足を進め、すれ違い様に少女に耳打ちする。

「すぐに取り代わって差し上げるわ」

 吐き捨てる様な言葉とともに姫はその場を後にする。

 こうして誰もいなくなり、その場に残るは少女一人。
 そして少女は振り返る。その手に在るのはもはや本ではない。禍々しく光る一振りのナイフ。

「あなたの相手はわたしがしてあげるわ」

 狂った様な洪笑とともに、その場に現れた人影に対し、少女はナイフを振りかぶる。

36 名前:<呪われし公子>ゲイナー ◆/GAynorYPA :2011/08/25(木) 20:37:09
 この後に「結界の外?」「結界の内」と続き余の導入は終了となる。
済まぬが完成まではもうしばらく待ってもらいたい。週末までにはな
んとか書き上げるつもりだ。

>題名
こちらも少し考えさせてもらいたい。

>自由
言論の自由、信仰の自由、窮乏からの自由、恐怖からの自由
というあれだな。今回は状況的な皮肉を込めてこれを選んでみた。

37 名前:<呪われし公子>ゲイナー ◆/GAynorYPA :2011/08/28(日) 22:18:47
 ・・・・・・すまぬ。この週末はレスに費やそうと決めていたのだが己に負け、
「空海と密教美術展」および「ドラキュラ」を見に行ってしまった。

 すまぬがもうしばらくまってくれ。精神の栄養を補充したおかげで、良いレス
がかけそうな気はするのだ。

38 名前:柳生友景:2011/08/29(月) 00:00:22
いや、左様な事ならどんどん己に負け続けて頂きたく候。
空海展は、実はわたしもゆく積りでおりますが、何しろ国宝と重文の大々行列との
事ゆえ、見ごたえも相当なものでしょうね。
寡聞にして存じませなんだが、ドラキュラの方はみゅうじかるの「女ドラキュラ」でし
ょうか。これまた何やら凄いようで……。
 
ヒノカグツチの件ですが、剣戟で使うのはこれ一本としたく。
将門の刀の方は、剣戟には用いませぬが、よろしければ大がかりな陰陽術や召喚
などの霊的補助具として使わせて頂けたら、と考えております。
展開次第ですけれど。

39 名前:<呪われし公子>ゲイナー ◆/GAynorYPA :2011/09/01(木) 21:09:22


 結界の内にて。

 二人の魔人が去り往きて、ただ一人残りしは、闇より深い漆黒の外套に身を包んだ人物。声
からすれば男だろうが、その目深にかぶったフードのせいで顔を伺うことは出来ない。

 結跏趺坐を組んだ男は、袖のない外套の前のあわせより諸手を出す。その手は穢れない純白
の手袋により覆われている。闇の中に白がひらめき、複雑怪奇な印を組む。そして静謐な夜風
の中、流れ出すのは禍言を詠う声。

「はじめに言葉あり。言葉は力なり。言葉は世界なり。言葉により世界は名付けられたり。姿
をあらわしたり。姿を定めたり。本質を決定されたり。世界は言葉にて作られたり。ゆえに我、
いまこの場にて言の葉の力もちい、新たなるカタチを定めたり。」


 力ある言葉とともに、男の両手にはめた穢れない純白の手袋に焼け焦げるようにして黒い汚
れが奔り図形を刻む。それは十字。神の子が磔刑にされた十字架を模した図形。聖なる印。し
かしそれは、逆しまに刻まれし十字。呪わしき逆十字。男の唱える呪文とともに黒い逆十字は
血の色に変わり爛々と輝く。

 逆しまなる十字を刻まれた手が、何処かより一つの壷を取り出す。何の変哲もない蓋付きの
壷、それは骨壺だった。そう、ありきたりの骨壺だ。ただ変わったところが在るとすれば、蓋
の部分に無数の呪符が貼付けられているところだろうか。
 それは封印であった。その符の一枚一枚に強力な念が込められており中に在るモノを厳重に
封じていた。中にいるもの、外に出てはならぬもの、滅ぼしきれぬものを。

「取るがいい。これは汝の体である。」

そういうと男は、いとも無造作に、幾重にも張り重ねられた呪符をむしり取る。馬鹿馬鹿しい
ほどに容易くあっさりと。呪符に込められた霊力すらも男にとっては何ら障害でもないかのようだ。

 行き場をなくした霊力が物理現象と化し、男の指の間を帯電したかのように鋭い光が瞬き火
花が散る。だが男は気に留める様子もなく祭司を続ける。むしり取った呪符を握りつぶし、焼
き尽くして消滅させると、骨壺の蓋を取り中身を月影のもとにさらす。中には細かで滑らかな
白い砂の様なものが詰め込まれていた。
 それは遺灰だ。この江戸に恐怖をもたらし、日の本の国を転覆せんとした魔人の残り香。怨
霊、髑髏検校の遺灰だった。

 男は遺灰の入った壷を厳かな手つきで地面に置くと、次に古びた杯を外套の内より取り出す。
質素で素朴な小振りなゴブレットだ。その木製の杯には、深紅の液体がなみなみと注がれていた。

 男の口元が笑みの形に歪む。

「汝、己の羽を喰らい飼いならされよ。」

 赤い液体がなみなみと注がれた杯を男は諸手で高々と掲げる。杯に注がれた深紅の液体。そ
れは血液だった。こことは異なる場所、こことは異なる時間、こことは異なる世界より持って
きた天草四郎その人の血液。

「飲むがよい。これは多くの人のために流された汝の血、契約の血である。」

 その言葉とともに杯の中身を壷の中の遺灰へと注ぎ込む。 赤き血が白き遺灰に吸い込まれ
ていく。どんどん、どんどん吸い込まれていく。木彫りの杯の内より流れ出る深紅の血液は、
中身がとうに空となっている量を過ぎても流れ出ることを止めはしない。封印を解かれた骨壺
の中の純白の遺灰は、注ぎ込まれる己の血を無尽蔵に吸い込んでいき溢れ出すことはない。

 ちょうど人一人分の血液が注ぎ込まれたころであったろうか、唐突に変化が訪れた。その結
果は迅速にして奇怪。あまりにもおどろおどろしく禍々しいものであった。


 遺灰が波打った。その表面にさざ波が立ち、波紋が疾走する。溢れ出す力が、山吹色の波紋
となって疾走する。そして、その表面に歪んだ不気味な死者の顔が現れる。怨嗟と憎悪に歪ん
だ、あまりにも禍々しいデスマスクが。

 宗教者は云う。われわれは、キリストの人間性に属する肉と血を受けるとき、神の霊を受け
るのだと。人間のからだだけでなく、神のからだを受け、人間の血と魂、人間の心と思いだけ
でなく、神の血と魂、神の心と思いも受けるのだと。ならば怨念に染め上げられ反キリストと
化した聖人が、己の肉と血を受けるとき、いかなる霊を受けるのだろうか。

「呪われよ呪われよ呪われよ!
 神よ神よ、何ぞ彼を見捨てもうたか!!
 神よ神よ、何ぞ彼を見捨てもうたか!!!」


 忌まわしき祝詞とともに、遺灰の表面に現れたデスマスクが怨嗟のうめき声を上げる。魂消
えるような叫び声をあげる。叫び声とともに怨念に満ちた霊力が骨壺より溢れ出し、地に刻ま
れた魔法陣のうえを走った。憎しみの魔力は漆黒の雷となり魔陣に新たな印を刻む。5つの頂
点を持つ星のカタチだ。
 それを見て満足そうに男はうなずく。

「時は満ちた。この地に眠る怨霊よ。汝が同胞の声を聞け。怨嗟に満ちた声を聞け。圧政を憎
み新たな国を作らんとし、破れ怨霊と化した汝が同類の声を聞け。其方の相似の慟哭を聞けよ!」

 その言葉とともに男は両の手を前方へと突き出す。するとその手にはめた白手袋に刻まれた
図形が形を変えた。それは先ほど大地に刻まれた図形と同じ形。背徳の逆十字から五芒星、否、
忌わしきドーマンセーマンと呼ばれる外道印へと。

「三界の狂人は狂せることを知らず 四生の盲者は盲なることを識らず

 生まれ生まれ生まれ生まれて生のはじめに暗く

 死に死に死に死んで死の終わりに冥し

 ならばよい。それでよい。

 汝、彷徨いしもの。彷徨いしものはやすらぐことを知らず
 汝、生ける死人。生ける死人は死せることを知らず。

 ならば汝、冥府にとどまる事なかれ。彼岸でやすらぐ事なかれ。
 ゆえに汝、死せる事なかれ。此岸に再び舞い降り来れ。

 目覚めよ将門!平新皇将門よ!目覚めこの世に災いもたらせ!!」


 その言葉とともに禍々しい羅刹風が巻き起こり、魔陣より瘴気が溢れ出す。瘴気は風に乗り天
に届き、闇色の雲を呼び寄せる。天は逆巻き暗雲が立ちこめ、雷鳴が轟く。

 そして、千を越えるかという雷の雨が大地に降り注いだ。

40 名前:<呪われし公子>ゲイナー ◆/GAynorYPA :2011/09/01(木) 21:18:56

 悪魔対魔人は本番開始までには書き上げておく。直接この闘争には関わらぬ故に構わぬだろう。
故にこちらの導入はここまでとする。以降はそちらの登場をへて闘争開始となるか。

 空海展は、実によかった。像も素晴らしいが曼荼羅が圧巻であったよ。「女ドラキュラ」は前半だけならば
ダンスオブヴァンパイアに勝るとも劣らぬできであった。後半の展開がやや駆け足気味だったことが残念でな
らないが、それでも今年見た作品の中では一番をつけられるであろう。今年の始めに観た「わが友ヒットラー」を
超えるできであった。

>ヒノカグツチ
>将門の刀
 了解した。

41 名前:柳生友景:2011/09/02(金) 01:18:13
導入については了解しおり候。……改めて通して読むと凄まじい妖気にて。
実地に御覧になった空海展の験力が、最後に炸裂していますね。秘蔵宝鑰的に。
 
空海展は楽しみなことです。
今様の浄瑠璃については詳しくないが、三次元もよきもののようですな……げに美は、
武に等しく力あるものならんか。
 
こちらの導入は、若干ですが微修正させて頂きます。
そういえば、戦いの初手はあうとれんじ≠ゥらになされるか?
そちらには混沌の弓ありとの事だが、わたしにも「式を打つ」(帝都物語の加藤保憲よ
ろしく、懐紙を投げて霊的武器に)等の他にも手立てはある故、問題はございませぬ。

42 名前:<呪われし公子>ゲイナー ◆/GAynorYPA :2011/09/02(金) 21:25:26

 ああ、ならばやはり初手は距離をとった位置から始めるとするか。
 剣聖との戦いが初手から近接での切り合いなのでそれと対比する意味でも良かろうよ。

 とは言うものの、数十メートルから100メートルも在れば充分であろうから、余の
いる隨神門側とは真逆の御社殿側にでも現れてくれば良いだろう。
 無論、汝にほかの考えが在るならばそれ優先で構わぬが。

43 名前:柳生友景 ◆YAGYUbJ766 :2011/09/03(土) 00:00:57
>>26 続き
 
「そなたには苦労をかける喃」
 
 崇徳上皇はうるんだような眼差しを友景に向けた。
 
「ご案じ召されますな。友景は主上の臣、院宣を果たすは当然にて。
 されど、如何にして未来世界へ赴けばようございましょう。かの朝鮮妖術には、時空間の移動
を可能にする秘術があるとは伝え聞きますが」
 
 友景にその技はない。上皇は自信ありげに言った。
 
「されば、能を遣う」
「能――」友景は美しい眉宇を顰めた。「それは、夢幻能をという事でございましょうや?」
「流石は友景じゃ」
 
 上皇は莞爾と微笑んだ。
 
「能とは畢竟、変身のわざなり。演者は亡霊に成り変わり、その語る亡霊の世界、つまり過去世
を現世に生じさせしむる芸術である。
 この機能極まり、過去世となった舞台を観る者は、過去へと飛ぶも同義ならん。
 此度はそれを逆手に用い、以ってそなたに時空を渡らせる<径>と成そうよ」
 
 
 ――旅の僧侶の前に亡霊が現れ、過ぎ去りし日の物語を語るのが、夢幻能と呼ばれる即興演
劇の基本的構図だ。
 その構図が真の意味で完成した舞台、これを見る観客は過去を見る事になる。つまりは過去
の世界そのものへ送り込まれると云っても過言ではない。
 それは能を航時機(タイムマシン)となさしめる可能性への言及に他ならなかった。
 そのシステム、本来は過去へと飛ぶ処理方向を変換させて、観測者たる友景のみを未来へと
転送(ワープ)させる。上皇の意図はそういう事であった。
 
 
「――あの御方より、三百年後の未来については伺っておる」
 
 友景は少し双眸を光らせた。
 魔界の大皇(おおきみ)たる崇徳院その人をして、礼を以って語るあの御方≠ニは、そも何
者なのか?
 
「未来へ翔ぶ夢幻能を演じる事に関しては仔細ない。敵の術客が企みし儀式の場へ、直接そな
たを渡せられるであろう。
 また聞説(きくなら)く、変身の芸である能に依って時空を渡れるは、同じく変身の力を、つまり
別の自分に成り変われる力を持つもののみ、と。
 時に陽中の陰と変じ、また陰中の陽と化す神妙剣、陰ノ流レ――新陰流を極めたそなたなら
ば、己が霊力の後押しによって、必ずや未来へと翔べよう」
「成る程。ではシテは真逆?」
「無論、朕が」
 
 さらりといってのけた崇徳院は、口元に滋味溢るる微笑をそよがせた。
 
「そして今一つ、そなたに託すべき品がある。――」
 

44 名前:柳生友景 ◆YAGYUbJ766 :2011/09/03(土) 00:07:43
とりっぷ、を身につけし候。
そして>>27を最後のみ微修正した>>43に差し替えます。
他には、こちらの導入の修正はありません。
 
では初めは距離を取ってという事で。ほほう、割と離れていますね。
いや、何の問題もない。それでゆくに如かずです。こちらの出現位置は社殿の隅の
ほう、取り敢えずお互いに視認はできないような地点で問題ありませぬか?
他のご希望あらば、疾くそれに沿いましょう。

45 名前:<呪われし公子>ゲイナー ◆/GAynorYPA :2011/09/04(日) 16:49:22
>お互いに視認はできないような地点
余はいっこうに構わぬ。来るが良かろう。

46 名前:柳生友景 ◆YAGYUbJ766 :2011/09/05(月) 00:35:10
>>
 
 一颯の風が流れた。小指の先程もない、ささやかな紫電も。
 絶え間ない断末魔のような暴風も、降り注ぐ雷雨の狂奔も、これらとは関係はなかった。
 なぜなら、この風を起こし、この雷を発せしめた源は、現世の何処でもなかったから。
 
 
 時ならぬ魔の嵐に音を立てて軋む神田明神、その社殿裏手の一隅である。
 と、件の風雷は爆発した。高く床板を張った回廊の下方、地面と接する辺りだ。
 上空のそれにも引けを取らぬ青白い呪的電荷(プラズマ)が幾条も弾け、うねる。
 
 異様な雷の中心で、突如黒い点が生じた。
 米粒ほどのそれは、紙上に垂らした墨汁のようにその奇怪な領域を広げ、瞬く間に直径数メ
ートルもの完全な球体を成す。
 
 黒き球は、だが現れた時と同じ様に不意に消えた。
 同時に風も雷も止んだ。空で暴れ散らしている同類は、まるで治まる気配はなかったが。
 黒き球と接していた地面や社殿の床板の一部が、綺麗な弧を描いて削り取られている。消え
去る際、まるで球体がその空間ごと毟っていったかのようであった。
 
 この怪球が消失した跡地に、一人の人影がうずくまっている。
 駆け巡る稲光が、縹(はなだ)色の直衣と、冠で揺れる垂纓(すいえい)とを照らし出した。
 

47 名前:柳生友景 ◆YAGYUbJ766 :2011/09/05(月) 00:37:32
>>46 続き
 
 ……ふしぎな感覚であった。
 虚空を水平にながれているようでもあり、無限の天空へのぼってゆくようでもある。ま
だ経験したことのないほどの暴風に吹き飛ばされているようでもあり、鼓膜が凍結したよ
うな無音の外界にとりかこまれているようでもある。五彩の世界が無数にはためきすぎて
いったようでもあり、ただ灰色の雲霧がぼうぼうと飛び去っていったようでもある。
 ただそのあいだ、耳の奥に、笛と鼓と、そしてとぎれとぎれの謡の声が、耳鳴りのよう
にたえずきこえていた。
 その音と声がしだいにかすかになり、ふっと消えて、意識がもどってきた。
 
 
 ――柳生友景は目を開いた。
 ゆっくりと立ち上がる。体のどこにも異常はない。腰に差した朱鞘の一刀もだ。
 
 異常なのは周囲の方だった。
 神田明神へは、友景も詣でた事はある。江戸城築城に伴い、遷座されたばかりの社へである。
 一見、その折と同じと見えつつも、実際にはかなり景観が異なっている、と感じ、まさにこれこ
そが時間の壁を超えた証左なりと友景は頷いた。
 此処こそが彼の地――数百年後の神田明神だ。崇徳上皇の夢幻能は成功したのだ。いや、それよ
りも。――
 
 友景は闇天を仰いだ。その間にも、凄まじい風は付近の木立を折れんばかりにしならせ、友景
の直衣の袖を、冠の垂纓を翻させる。
 天が怒号し、地がどよもす。荒れ狂う雷神達の魔宴は、断じて天然自然が織り成す気象では
ない。
 何より噎せ返らんばかりの魔気、邪気、妖気。――これらを引き起こしている詳しい術式は不
明だが、その求めんとする方向性だけは判り過ぎるほど判った。

「まず――」と、嘆息が洩れる。「天魔外道の所業だな。一刻も早く止めねばなるまい」
 
 麗しき影は歩き出した。邪悪な渦を巻く霊動の中心、境内の方へ。
 凛冽たる決意の表明とは裏腹に、その足取りは歌合わせに赴く宮中びとの如く、あくまで雅や
かであった。
 

48 名前:柳生友景 ◆YAGYUbJ766 :2011/09/05(月) 00:41:54
空海展、非常に面白く観て来ました。曼荼羅図は確かに圧巻でしたよ。
書については全く詳しくないが、さくさく書いたような華麗な筆致に、大師の人柄がしのばれるよ
うな思いがしたことです。
 
 
では、上記のように。因みに「柳生十兵衛死す」より、一部流用した箇所があります。
そちらのいる境内の方へ向かっています。そちらの次レスあたりで「何奴!」的に会敵してしまう
ような感じでしょうか。それとも、もうわんくっしょん置いた方が宜しいか?
 
と、大体導入が終わった所ですが、今後は如何致しましょう?
フリメルダどのとの戦いもいよいよ佳境なれば、なし崩し的にこちらとも二正面作戦だと、そちら
の負担が大きいのではと。
本番はあちらが片付くまで一旦停止する方向でも、わたしは何ら構いませぬ。

49 名前:<呪われし公子>ゲイナー ◆/GAynorYPA :2011/09/05(月) 22:46:43

 剣聖との戦いはひと月ほど停滞している状態ゆえ、汝との闘争をひとまずは進めようと思う。
ただし剣聖との闘争が再度動き出した際には、すまぬが一旦停止とさせてもらいたい。

>空海展
 ああ、あれは素晴らしかった。出来ればこの闘争にも生かしたいものよ。

>次レスあたりで「何奴!」的に会敵
 この案でいこうと思う。明日の夜までには書き上げようぞ。

50 名前:柳生友景 ◆YAGYUbJ766 :2011/09/05(月) 23:14:26
闘争の進め方は、了解致しおり候。
次れすについても、同じく。ゆるりとなされませ。

51 名前:<堕ちた天秤の騎士>ゲイナー ◆/GAynorYPA :2011/09/06(火) 22:06:09

 突如、結界の内に気配が生じた。あり得ぬことであった。侵入されるかもしれないという予
想はしていた。だが侵入の過程を察知させることなく、結界内に侵入されてしまうのは予想外
であった。

 男の力を持ってすら察知させぬほどの技量に優れた高位の術者か。否。おそらく結界破りの
たぐいの術式ではないのだろう。そしてこの結界は空間転移もほぼ完全に防ぐことが出来た。
ならば残るは時間移動だ。時間の前には空間も物理的障壁の意味をなさない。ただし、時間移
動は人の身には余る術式。しかるにそれを防ぐ術式もまた人の手には余った。

 まあ、いずれにせよ相手が相当の術者か、上方世界の神々に匹敵する様な後ろ盾を得ている
か、あるいはその両方であるのかは間違いない。油断できる相手ではあるまい。

 気配の主は近づいてくる。一歩一歩、この魔界と化した境内の中を儀式の中心たる男のもと
に向かって。

 味方ということはなかった。この世界で彼の同胞は、先ほど境内を後にした二人のみ。なら
ば近づいてくるものは敵でしかなく、そして敵はこの境内に充満する憎悪の魔力にさらされて
もなお、怯え逃げることなく、その中心へと近づいてくる。

「手間が省けるな」

 男はそう嘲笑(わら)うと、ゆらりと幽鬼のように立ち上がった。

 空を見上げる。大気が渦巻き恐るべき早さで雲が流れ螺旋を描く。上空の雲は紫電をはらみ
つつも、時折鳴動するのみで雷が降り注ぐことはなかった。

 地を見下ろす。刻まれ魔陣は黒き光りを放ち、高密度の魔力を内包している。壷の中の魔人
は金切り声で呪わしき祝詞を奏でていた。

 どうやら凪にはいったようだ。後はこのまま放っておけば、徐々に高まっていく魔力が臨界
点を超え、望むべきものが降臨するはずだ。

 外套のあわせより右腕を出す。そこには一本の煙草が指の間に挟まれていた。男が何事かつ
ぶやくとその先端に火が付き燃え上がる。火のついた煙草を口元に運ぶと大きく吸い込み、う
まそうに紫煙を吐き出した。

「ひとまずはこれで良い。・・・あとは時が満まで、暇つぶし(Kill time)でもするか」

 その言葉が終わるかどうかといった時、緩やかで雅な足取りを持って男の前に姿をあらわし
たものは、花のかんばせを持つ麗しき佳人。この国の、ただし現在より昔の術者の装束に身を
包んだ魔性の美貌を持つ人物。服装もその美貌も現実離れしており異界と化したこの場にはふ
さわしいが、腰に差した朱鞘の一刀のみがふさわしからぬ生々しい現実を感じさせた。

 闇色の外套をまとった男は佳人に対し滔々と語りかける。

「ようこそ忌まわしき怨霊の復活の儀へ。貴様が何者かは知らぬし、招待した訳でもないが折
角の客人だ、歓迎はしよう。おれはゲイナー。<天秤の騎士>にして<法>と<混沌>を従え
たるもの。客人よ、貴様は何者だ?何が目的でおれの領域へと来た?」

 嘲りを含んだ男の声が瘴気に満ちた境内に響き渡った。

52 名前:<堕ちた天秤の騎士>ゲイナー ◆/GAynorYPA :2011/09/06(火) 22:09:29
 後で多少の修正は加えるがこんなところだ。見ての通りおれのレスでは攻撃は仕掛けていな
い。遅くても次のターンには仕掛けるつもりだが、勿論そちらから仕掛けてもかまわん。

53 名前:柳生友景 ◆YAGYUbJ766 :2011/09/07(水) 00:32:22
>>
 
 その問いには答えず、雨露を帯びた梨花もかくやの美貌は、じっと黒衣の男に向けられている。
 友景が足を止めたのは、黒衣の男の数十メートル手前だ。常人なら衰弱死しかねない高濃度
の妖気が充満した広い境内には、彼ら以外の人影はない。
 暫時の後、開いた紅い唇は、はたして全く別の事を言った。
 
「残賊生じて忠信亡(ほろ)ぶ、か。――人は知らず、汝の性(さが)こそ悪なり。異界、異形の術
客よ」
 
 兵法者は、思無邪(おもいよこしまなき)をもって本となす――なべて武芸の達者が備える曇り
なき眼は、容貌も定かならぬこの怪人物こそ誅すべき大敵と看破したのである。
 典雅とすら言える声で呼びかけながら、対手(あいて)からすれば自分も異界、異形の術客
だろうな、と友景は内心苦笑する。
 
「陰陽師、柳生友景。そなたの野望を阻む為、将門公のおん眠りを醒まさせんが為、推して参り
候。――」
 
 
 不意に、直衣の右袖の中から、小鳥のように飛び出したものがある。
 それらは三枚の白い懐紙だった。それぞれ中央に黒く描かれているのは五芒の星印――土御
門家に連なる陰陽道では晴明判紋と呼ばれる魔除けの印だ。
 右手に収まった三枚の懐紙へ、フッと息を吹きかけ、友景はひと打ちに投じた。と、それらは矢
のように宙を走ったのである。薄紙とも思えぬ速度であった。
 
 これは陰陽道では「式を打つ」と称される法である。式といい、式神と言う。つまり目に見えぬ鬼
神力を行使する技術だ。
 魔を遣い、魔を封じる業こそ、日本史上最大の白魔術(ホワイト・マジック)たる陰陽道の根幹な
のだ。
 命中した相手を、それが人間ならば容易く薙ぎ倒す程の霊力が籠められた三枚の呪符は、死
を告げる凶鳥のように闇を駆けた。黒衣の男目がけて。

54 名前:柳生友景 ◆YAGYUbJ766 :2011/09/07(水) 00:35:27
では、こちらで先手を取らせて頂いたが、よろしいかな。小手先の技なので、お好きに裁いて頂きたい。
やはり仕掛けるのはそちらの次レスで、というご希望あらば、問題なく直しましょう。
わたしもどっちに致すか迷いましたる故に。
 
しかし、袖口からしゅるしゅる何かを出さないと死ぬ病に罹っているようです、わたしは。

55 名前:<堕ちた天秤の騎士>ゲイナー ◆/GAynorYPA :2011/09/09(金) 22:07:13
>>

 飛来する3枚の呪符を前にしても、ゲイナーの口元に浮かぶ薄笑いは消えはしなかった。尊
大なまでに悠然と、右手に持ったままの煙草を式神へと爪弾く。緩やかな放物線を描いて宙を
舞う一本の煙草。それが呪符に最も接近した瞬間、込められた魔力が現界する。煙草の蛍火が
突如はじけ、燃え盛る灼熱の焔と化し、周囲の大気ごと飛来する式神を薙ぎ払い焼き尽くす。

 『カタタルの炎』。地水風火の四大の精霊王の一柱、<炎の王>カタタルの霊力をこの世界
に呼び起こす精霊魔法の一つだ。並の術者が使ったところでランタン代わりにしかならないが、
ゲイナーほどの高位の術者の手によれば、ひと一人焼き尽くすのには充分な威力を発揮する。
相手が霊的存在であろうとそれは同じことだ。炭化し燃え墜ちる2つの式神。2枚の呪符。

 そう、燃え尽きたのは2つだけだった。一枚の呪符が炎の防壁をくぐり抜け、疾く鋭くゲイ
ナーに襲いかかる。やや驚いたように方眉を吊り上げるも、慌てず白手袋に包まれた右手を翻
す。その甲に刻まれた刻印が流れるように変化。ドーマンセーマンから『悪魔罠(デーモント
ラップ)』に似たものへと素早く形を変える。飛来する式神をその右手で難無く掴み取ると、
即座に『悪魔罠』が呪符に込められた術式を拘束し動きを封じる。そして手袋の図形が再びドー
マンセーマンに変わるのと同時に、半紙を墨汁に浸したかのように、呪符の色が純白から漆黒
へと染め上げられてゆく。

カエサルのものはカエサルに、神のものは神に返すべし・・・返すぞ」

 笑いを含んだその声とともに、手にした呪符を『陰陽師』柳生友景へと投げ返す。混沌の魔
力を無理矢理上乗せされた呪符は、先に勝る速度で飛翔。それだけではない。飛翔しながらそ
の姿を変えていく。おぞましい異形へとかえていく。それは鴉の頭をもつ小悪魔(インプ)。
陰陽師の使う術の中に、式を打ったあいてに式を返す『式神返し』なる術があるという。人を
呪えば穴二つ。手順こそ大きく違えど、これもまたまさに『式神返し』であった。

 赤い瞳を血走らせ、嘴からよだれを垂らしながら、本来の主へと、変わり果てた式神が牙を剥く。

56 名前:<堕ちた天秤の騎士>ゲイナー ◆/GAynorYPA :2011/09/09(金) 22:12:38
 所詮は有象無象の使い魔だ、適当にあしらってくれ。
 おれは次のターンで手袋と外套を脱ぎ捨てる予定だ。弓を使うか魔術を使うかは展開次第だが。

 ・・・弓を使うとしたら長財布でも取り出すように、懐からこう指の間に挟んで(どうやら同じ病気のようです)

57 名前:柳生友景 ◆YAGYUbJ766 :2011/09/10(土) 01:29:24
>>
 
 『返って』襲い来る己が使い魔を前に、友景の右手は刀印を結んだ。人差し指、中指のみを立て、
他の指は握り込んだ結印の形である。

「臨・兵・闘・者・皆・陣・裂・在・前」
 
 一気呵成に唱えられる呪言と共に、刀印が閃いた。宙空に縦四本、横五本の格子状の軌跡が刻
まれる。
 同時に、槍の穂先に等しい嘴をかざして飛び込んできた異形の式神は、弾かれたように動きを止
めた。きょろきょろと不審げに周囲を見回す。
 友景は平然とした態だ。手を伸ばせば届く至近距離にありながら、魔物の血走った目にはかつて
の主人が映っていないようであった。
  
 友景が唱えたのは九字である。陰陽道に伝わる悪魔祓いの秘法だ。
 これは本来、神山幽谷の果てを目指す修行者が唱える呪である。幾つもの異層を抜け、異界に
至る為の技なのだ。
 この場合、友景は己を異なる次元へ転移させたのだった。目の前にいながら、別の層にいる友景
の姿を魔物は認識できないのだ。――もっとも、友景自身も式神へ触れる事はできないが。
 
 困惑の唸り声を上げて、式神は右往左往している。つ、と進んだ直衣はその傍を通り抜けざま、
  
「オン・キリキャラ・ハラハラ・フタラン・バソツ・ソワカ」
 
 九字の効能を解除する真言が唱えられた刹那、月下に銀蛇が舞った。
 
 
 この世のものならぬ絶叫を上げて、式神は腰の辺りで両断されて大地に転がった。
 二つ目の呪い穴を埋め、友景は歩みを止めずにぶんと一刀を血振りした。横薙ぎの抜き打ちを放
った刀身から、ねばっこい異界の血が飛び散った。
 口中に一掬の甘露をふくんででもいるかのような、もの柔らかな笑みを浮かべつつ、友景は黒衣の
男との距離を滑るように詰める。
 足元が砂地であったとしても、摺り跡ひとつ残さなかったに違いない。ある高みに至った剣術者のみ
が成し得る足さばきがそれである。

58 名前:柳生友景 ◆YAGYUbJ766 :2011/09/10(土) 01:32:59
式神返しをあしらい、距離を詰めつつあります。
弓か魔術かであれば、できればで構いませぬが弓を希望致したい所。
少々やってみたい「かうんたぁ」技がございますれば。
 
うむ、各々の浪漫という名の病気がゆえに必須の有り様ですね。
……おや、これと似た会話は以前誰かとしたぞ。

59 名前:柳生友景 ◆YAGYUbJ766 :2011/09/11(日) 22:24:33
>>
 
 『返って』襲い来る己が使い魔を前に、友景の右手は刀印を結んだ。人差し指、中指のみを立て、
他の指は握り込んだ結印の形である。

「臨・兵・闘・者・皆・陣・裂・在・前」
 
 一気呵成に唱えられる呪言と共に、刀印が閃いた。宙空に縦四本、横五本の格子状の軌跡が刻
まれる。
 同時に、槍の穂先に等しい嘴をかざして飛び込んできた異形の式神は、弾かれたように動きを止
めた。きょろきょろと不審げに周囲を見回す。
 友景は平然とした態だ。手を伸ばせば届く至近距離にありながら、魔物の血走った目にはかつて
の主人が映っていないようであった。
 
 友景が唱えたのは九字である。東洋オカルティズムに名高い魔除けの秘呪だ。
 これは本来、神山幽谷の果てを目指す修行者が唱える呪である。幾つもの異層を抜け、異界に
至る為の技なのだ。
 この場合、友景は己を異なる次元へ転移させたのだった。目の前にいながら、別の層にずらされ
た友景の姿を魔物は認識できないのだ。――もっとも、友景自身も式神へ触れる事はできないが。
 
 困惑の唸り声を上げて、式神は右往左往している。つ、と進んだ直衣はその傍を通り抜けざま、
  
「オン・キリキャラ・ハラハラ・フタラン・バソツ・ソワカ」
 
 九字の効能を解除する真言が唱えられた刹那、月下に銀蛇が舞った。
 
 
 この世のものならぬ絶叫を上げて、式神は腰の辺りで両断されて大地に転がった。たちどころに、
魔物は断裁された漆黒の呪符へと変わる。
 二つ目の呪い穴を埋めた友景は、歩みを止めずに右手の一刀をぶんと血振りした。横薙ぎの抜
き打ちを放った刀身から、ねばっこい異界の血が飛び散った。
 口中に一掬の甘露をふくんででもいるかのような、もの柔らかな笑みを浮かべつつ、友景は黒衣
の男との距離を滑るように詰める。
 足元が砂地であったとしても、摺り跡ひとつ残さなかったに違いない。ある高みに至った剣術者の
みが成し得る足さばきがそれである。

60 名前:柳生友景 ◆YAGYUbJ766 :2011/09/11(日) 22:25:24
大変不調法ですが、>>57>>59へ少々修正させて頂きたく候。
内容自体はさして変わってはおりませぬ。

61 名前:<堕ちた天秤の騎士>ゲイナー ◆/GAynorYPA :2011/09/13(火) 23:12:54
>>

 柳生友景と名乗った男の術を見て、ゲイナーはなにか懐かしいものを見る様に目を細めた。

「・・・こんな場所で目にするとはな」

 己を隣り合う別の次元へと移す技。それはゲイナーのかつての敵であり、またある意味兄弟
とも云える存在である妖精の公子、紅衣の公子が得意とした術であった。

 その術を、そして使い魔を一太刀で切り落とした体裁きを目にしゲイナーは思う。柳生友景
の術も剣も並の腕前ではない。片手間にいなせる相手ではなかろうと。それどころか誤れば、
時間をつぶすどころかこちらが潰されかねないと。

「よかろう、おれも自ら手を下すとしよう」

 そういうと襟元の留め金を外し、外套を脱ぎ捨てる。闇色の衣はするりと足下に滑り落ち、
その下より現れたのは、白でも黒でもない灰色の衣に身を包んだ男。ハンガリー風の美貌とギ
リシア彫刻の様な均整な肉体を持つ偉丈夫だった。
 黄金の髪に透き通る様な青い瞳、肌は白く、だが健康的に張りがある。身の丈はゲルマン系
にしてもかなりの長身の部類に入るであろう。おそらく190cmは下るまい。厚い胸板に引き締
まった腰回り、まるで古代のギリシア人が理想としたヘラクレスの様な均整のとれた肉体だった。

 チョークストライプのうっすらとはいった灰色の三揃えは、その肉体を引き立てるかのよう
に、細身で身体にフィットしている。その下に身につけたブロード地の白いシャツは、しなや
かな光沢を放っていた。そして襟元を飾るループタイには大振りなカーボナードがあしらわれ
ている。だが最も目立つのは、そして異彩を放つのはその腰元に吊った一振りの刀であろう。
剣帯をつかって身につけたその刀は鞘に納められていてもなお、瘴気とでも云うべき禍々しい
気配を放っていた。

 ゲイナーはその刀には手をかけず、左手を上着の懐の内へと入れる。そして長財布でも取り
出すかのように、人差し指と中指の間に弓を挟んで懐の内より抜き出した。それは禍々しいほ
どに美しい弓だった。そして同時に、不思議な形の弓であった。リムの両端に滑車がついてお
り、弦がその滑車を経由して張り渡されていた。この世界にはいまだ存在せぬが、後世ではコ
ンパウンドボウと呼ばれる形状の半機械式の弓であった。そしてそれはただの半機械式の弓で
はなかった。混沌の魔力の込められた混沌の弓だ。使い手次第では、ライフル以上の効果を発
揮する、混沌の魔弓であった。

 ゲイナーは、何処からか取り出した矢を弓につがえ弦を引く。キリキリと張りつめる様な音
を立て、限界まで弓が引き絞られる。魔弓が狙いし先は、美しき陰陽師。ただの一矢で射殺さ
んと、ひょうと放った。

62 名前:<堕ちた天秤の騎士>ゲイナー ◆/GAynorYPA :2011/09/13(火) 23:18:39
遅くなったが返した。
混沌の弓だがとりあえずは速いだけで特別変わった魔力はない。好きに返しすがいい。

>以前誰かとしたぞ
別の名で、別の顔で、別の転生のときに?

63 名前:柳生友景 ◆YAGYUbJ766 :2011/09/14(水) 01:13:09
>>
 
 火花の散るような一射の向こうに、輝かんばかりの美丈夫ぶりを目に映し、友景は幽かに頷く。
 
 彼の知識では、ゲイナーと名乗った金髪碧眼の男は南蛮人としか判らない。また、そのふしぎに
機能的な灰色の衣も、いかにも異国めいた装いと感得された事だった。
 ただ、男の美貌にはどこか拭い難い悪相が宿っていた。凶念があった。腰に帯びた一刀の妖気
も凌ぐ程の。――友景はゲイナーへの第一印象を再確認したのである。それが故の首肯であった。
 
 また一枚、同じ五芒星の懐紙が、今度は友景の左袖から滑り出た。
 虚空に一刀を振り下ろす。素振りの、しかし凄絶なその刃風に乗ってはばたくかのように、呪符
はふうわりと友景の前に出る。
 闇中を穿って飛来する対手の矢は、あやまたずその呪符を射た――というより、呪符が自ら矢
じりへ刺さりに行ったようにも見える動きだった。
 元よりただ一枚の紙である。いかなる翼あるものをも打ち落とす矢は難なく貫き、その同線上に
ある直衣の左胸もまた貫くであろう。
 
 星印を貫通した矢は、だが奇怪なり、突如逆走し、今来た射線を遡上して射手本人へと跳ね返
された!
 
 
 所謂「呪詛返し」の一法である。己に掛けられた害念を防ぎ、その力に自分の呪力を上乗せして
対手に送り返す迎撃魔術(カウンターマジック)。術の要諦自体は、今しがたゲイナーが『式神返し』
してみせたそれと同じだ。
 記紀に曰く――返し矢恐るべし、であった。
 
 射返されてゆく矢を追い、歩みを速めながら、

「……何とやらのものは何とやらに、と申したかな」

 優美この上ない術客は低い声でそう言った。

64 名前:柳生友景 ◆YAGYUbJ766 :2011/09/14(水) 01:18:10
弓矢を遣って頂き、感謝致します。
その矢を返しつつ、猶も接近中です。如何様にもお捌きあれ。
そろそろ近接戦または魔術戦であろうか? いずれの手でも構いませぬ。
 
>別の名で、別の顔で、別の転生のときに?
さなり。この前の転生のときでありましたろうか。
百万世界のたれに生まれ変わろうと、人は己が己である事からは逃れられぬのやもしれぬ。
……こう言うと格調高いですが、要は自分の趣味的な業からは足抜けできぬの謂いにて。ははは。

65 名前:<堕ちた天秤の騎士>ゲイナー ◆/GAynorYPA :2011/09/15(木) 01:13:57
>>

 それを防ぐことが出来たのは、二の矢を用意していたからに他ならなかった。たとえ一の矢
でしとめられずとも、二の矢によって必ず屠るという心の有り様が、結果として良い方につな
がった。
 「返された」矢をつがえた二の矢によって迎撃する。つんざく様な音がして、衝突せし2つ
の矢は、微塵となって砕け散る。

 生じた衝撃波により黄金の髪をなぶられながら、ゲイナーは混沌の弓を手の内で回転させた。
すると、弓は何処かへかき消える。さながら奇術のようだがそうではない、それは魔術だ。

 弓を仕舞った理由は単純だった。反射能力持ち(リフレクター)相手にいくら飛び道具を使
おうとも、意味はなくキリも無いからだ。・・・ならばこれで片を付けるとしよう。

 両の手にはめた手袋を脱ぎ捨てると、左の腰に吊った刀の鞘を左手で持ち、その柄に右手を
かける。そのまま左の親指で鍔を押し上げ鯉口を切ると、一息に刃を抜き放った。

 戒めより解き放たれ、抜き身となった一振りの刀。刃渡りは二尺三寸ほどか。刃紋は見る者
を冷ややかに見返す様な直刃。先ぞりになった刀身の、その切っ先は異様なまでに鋭い。これ
ならば容易く皮膚を食い破り、肉に深々と突き刺さることだろう。それは自らほのかに輝く様
な妖しの刃。銘は叩き潰されているが、試し銘は切ってあった。

 ゲイナーがこの世界にきて見つけた力ある品の一つ。村正の作とも云われる忌わしき妖刀。
その刀を手に堕ちた天秤の騎士は時を渡りし陰陽師へと、ゆっくりと歩み出す。歩きながら、
口内にて呪文を唱える。

菊理媛神よ。<法>の神が一柱よ。汝、縁を括るもの。汝、命を繋ぐもの。我は<法>の
代行者なり。我は<法>の体現者なり。汝が敵は我が敵。我の敵は汝が敵。我らが敵を砕く
ため汝が力を我に与えよ。我らが敵を括り捕えよ。菊理媛神。くくる姫よ。汝がその名前の
ごとく、括れ括れ我が敵くくれ。括れ括れすべてをくくれ。括れ括れ手足をくくれ。括れ括
れあの首くくれ。


 祝詞は神に聞き遂げられ、神威は疾く示される。虚空より現れたいくつもの帯が、麗しき
陰陽師の動きを括り止めんと幾重にも重なり襲いかかる。同時に堕ちた天秤の騎士が走った。
妖刀を腰だめに構え、銃弾のように陰陽師へと突撃する。そして心の臟めがけ、妖しき刃が
迸った。

66 名前:<堕ちた天秤の騎士>ゲイナー ◆/GAynorYPA :2011/09/15(木) 01:17:28
 魔術行使からの間合いを詰めての刺突だ。魔術を含め適当にさばいて構わん。それと、次
のターンで「七胴落とし」の真名を解放し切りかかる予定だ。まあ、そちらの出方次第だが。

67 名前:柳生友景 ◆YAGYUbJ766 :2011/09/16(金) 01:00:18
>>

 軟体動物の触手のように蠢いて、白魔の群れが来たる。友景の全身至る所に、それら妖かしの帯
どもは括り≠フ狙いを定めていた。

 友景は一刀を口元に持って行き、妙な真似をした。刀身を横咥えにしたのである。
 空いた両手は更に奇妙な仕種をした。
 左手は前方に突き出され、それに沿って右手が大きく後ろへ引き絞られる。仮に弓を持っていたな
ら、それに矢を番える動作だ。
 矢は生じた。
 青白く光る一本の矢が、両手の間に生じたのだ。霊力によって象(かたど)られた矢であった。
 
「千早振る 神の子供が 立ち出でて 弓弾く時は 悪魔たまらじ」
 
 口に刃物を含んでいるにしては確かな発音で、静かに神歌が誦されるや、存在しない筈の弦音も
高らかに旋光が疾った。
 友景が射た矢は、魔の布へ飛ぶ空中の一点で突如分裂した。速度はそのまま、数十本に増殖し
たのである。軍勢が射かける矢ぶすまに等しい光の雨は、魔の布全てを蜂の巣にし、そのまま大地
へと縫い付けた。
 
 
 海中でおどる海藻の林のように、地表でもがく白布のただ中を突っ切って、妖鋼が光芒となって殺
到した。
 ゲイナーの突きである。刺殺の妖気を濛と噴き上げる剣尖に臆さず、友景は愛刀を右手へ戻す。
 灰色の男≠ヨと、縹色の直衣は躍動した。右袈裟の斬殺弧を伴って。
 
 ともに術客にして剣客たる二人の魔人は一瞬交錯し、一瞬で飛び違って離れた。
 友景は電光の速度で振り向いた。白刃は自然と青眼についている。
 直衣の左胸が、わずかに切り裂かれている。刃物のような切り口だった。
 鋭利極まりない切り口で、黒ずんだ染みが緩々とその面積を広げつつあった。

68 名前:柳生友景 ◆YAGYUbJ766 :2011/09/16(金) 01:01:37
こちらも矢の妖術で布をやり過ごしつつ、少々斬られました。次から本格的に剣戟ですね。
最後の方、「七胴落とし」の真名解放に差し障るようでしたら、御指摘下されたく候。如何様にも
直します故に。

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