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■ 吸血大殲 夜族達の総合闘争会議室 其の五

1 名前:弓塚さつき ◆zusatinwSI :2005/09/14(水) 04:32:37
ここは吸血大殲の闘争会議を行う場所だよ。
基本的に、第三者の口出しは厳禁。
闘争とは、その当事者によって進められるモノだからね。
文句、感想、突っ込みも、本スレで脚光が浴びるときを待ってるように。

長引きそうな闘争は、各自専用のスレを立てることをお薦めするね。
そっちのほうが、やりやすいはずだから。

120 名前:遠野四季 ◆n1oSGIvcA6 :2006/11/08(水) 02:12:15
……結局、本屋に行く暇が無かったオレ。
明日こそは―――と願いつつ、レスに取りかかる。

121 名前:遠野四季 ◆n1oSGIvcA6 :2006/11/08(水) 03:02:44
「かはァっ!」

 口蓋から溢れ出た血塊が青白い肌を朱に染める。立て続けに撃ち込まれた
6発もの弾丸は、彼の体内を掻き回し内臓を肉片に変えた。
 引きつる狂気の笑み。体内に刻まれた、先と合わせて合計10発の銃痕。常人
ならまず助からない負傷だ。さしもの殺人鬼もたまらず血反吐を吐き散らす。

 ―――が、対するカウボーイの攻撃はこれに留まらない。
 肩から迸る激痛。一度殺した程度では物足りないというのか、二挺拳銃の青年
は素早く抜き出したナイフでシキの解体に取りかかった。
 肩に突き立った刃は内側の弧を描いておりまるで鎌のようだ。
 だが、禍々しい刃の輝きはとても農耕機具には見えない。人体を攻撃する
という単一目的のために製造された武器特有の、洗練された輝きを有している。

 距離をゼロに縮めて、密着する二人。ともに白髪で、極端に青白い肌を持ち、
赤い双眸を持つ―――特徴だけを捉えたアルビノの模造品だ。差異と言えば、
服装と―――方や刃を肉に埋め、肉に刃を埋められ。その程度の違いしかない。
 二人の間から、沈黙が流れた。
 車輪がレールと噛み合う金属音。割れたガラスから流れ込む風音。車両が揺れ、
僅かに軋む音。そういったもので世界は満たされた。
 一人の青年の死が空間を満たす、そう思われた瞬間

「―――ざァんねん」

 ぎょろり、と血色の瞳がカウボーイを睨んだ。
 同時に彼の全身から刃が生えた。
 比喩ではない。文字通り青年の身体から無数の刃が飛び出したのだ。
 血色の刃が。
 
 体外に流れ出た自身の血液を、自在に形状変化した後に硬質化させるという、
遠野の魔性の血を色濃く受け継ぐシキだからこそ許された魔技―――《血刀》。
 彼は自身の血を流せば流すほど、より多くの武器は纏うことになるのだ。
 シキ特有の体質《拒死性肉体》――傷ついた箇所を再生するのではなく、そ
のままの状態でも生きていけるように肉体を組み替える体質――だからこそ可
能な自傷の技といえた。
 遠野シキとカウボーイの不死性は、その根本的な性質が違うのだ。

 二挺拳銃の青年の反撃は、シキに意識を遠ざけるほど膨大な出血を許した。
 故に、硬化した血刀の数も同様に数多。
 剣山の如く鋭く伸び上がった血色の刃は、容赦なく青年の全身を貫いた。
 むろん、これで終わらせるつもりなどシキにはない。

「―――ひははははは、砕けろ!」

 青年を刃で抱き締めた恰好のまま、背後へ振り回す。
 力に任せて割れた窓から車外へ―――投げ付けた。

122 名前:遠野四季 ◆n1oSGIvcA6 :2006/11/08(水) 03:03:27
オレも相手が不死身だと思って好き勝手やっているな。
言葉通り砕ける必要はもちろんない。うまく回避しろ。

123 名前:ハイネ ◆DOGS.MVbhk :2006/11/09(木) 03:56:53
ハイネVS遠野四季
「Deadly and Dogs」

 男が動かなくなる。白目を剥いた男の口と、ナイフで袈裟に抉った胴体から、ドス黒い血反吐
が大量に噴き出して、俺の腕から胸までをべったりと染める。
 ナイフを抜いて一歩下がる。男は動きを止めて、窓枠にぐったりと凭れ掛かっている。

 これでもう確実に死んだだろう、と思った次の瞬間、

 「――――ぁ?」

 身体中に鋭い痛み。見れば、俺の全身を紅い刃が貫いている。

 『―――ざァんねん』

 気が付くと、血の色だか何だかよく判らない色の瞳が、俺の方を睨んでいた。

 「そ、うだっ、た……」

 こいつは先刻、投げ付けた血を針に変えた。原理は知らないが、奴はそういう事を出来る。

 迂闊にもほどがある自分から離れていく血液ですら、固体に出来る能力を持つというのに、
これほど近くにいて、それと同じ事が出来ないなんて事がある訳ない――――

 「ごぼ」

 右肺、肝臓、左腎臓、胃と十二指腸、左上腕、右前腕と右手甲、それに心房と上大静脈だっ
たか、その間辺りを断ち切られて、俺まで血反吐噴くハメになった。

 『ひははははは、砕けろ!』

 奴は調子に乗って俺の身体を掴むと、ぐるりと位置を入れ替えた。
 人間一人を軽々と投げるなんて、随分と力持ちだな、と何処か他人事のように思う。

 そうして、俺は電車の外に放り出され、

124 名前:ハイネ ◆DOGS.MVbhk :2006/11/09(木) 03:58:23
ハイネVS遠野四季
「Deadly and Dogs」

 ――――気が付くと闇の中にいた。

 自分の手さえ確認出来ない真っ暗闇。
 上か下か左か右か、動いているのか止まっているのかも判らない。

 尤も俺には、自分が闇の中を堕ちているという、自覚があった。

 「……何、これ」

 呟いてみるが、答える者はなく、音の反響すらない。
 余程広い空間なのか……それとも?

 「なんだっけ」

 前にもこんな事があった気がする。

 一ヶ月前、一週間前?
 或いは


 ――――横たわる***の骸の傍らに立って、黒い狗が笑う――――


 『よぉ、飼イ主』

 「……またか」

 何時の間にか"ソイツ"はそこにいた。

 俺の頸に巻いた包帯を、解こうとするヤツ。
 "ソイツ"は自分によく似ていたが、勿論、「俺じゃない」と判っている。

 「早えんだよ、お前。もうちょっと感慨とか抱かせろよ」

 俺はまだ、彼女の名前すら呼んでいないっていうのに。

 『オイオイ、あんな名前も知らねえジャリにボコられる奴の台詞じゃねえな』

 …………。

 『おら。ま、俺もちょっと混ざってやっからよ』

 "ソイツ"はどう見ても俺とは似ていない笑みを浮かべ、首の包帯を全て解いた。

 『ケケッ。どっちが本物だかも判らねえクセに』

 ――――暗転。

125 名前:ハイネ ◆DOGS.MVbhk :2006/11/09(木) 03:59:10
ハイネVS遠野四季
「Deadly and Dogs」

 「黙れよ、クソ狗」

 ハイネ――――或いはそれに類する何か――――は空いている手で窓枠を掴んだ。
 銀髪がトンネルの壁に擦れて焦げ臭い臭いを発したが、気にせず身体を車内に戻す。

 自分の状態を確認……ルガーは床に転がっている。モーゼルもホルスターにある。ナイフは
外に飛んでいってしまったが、それは別に大した問題じゃない。
 身体の方も問題ない。男の放った血の刀に刺し穿たれた身体は既にほぼ修復され、体内に
潜り込んだ他者の血も「喰って」しまったから、また貫かれる事もない。

 「あぁ。気に入ってたのによォ、この服は」

 ボロボロの服を眺めたハイネは、可笑しそうに唇の端を歪め、顔についた血を舐める。

 「コイツはメチャ赦せんよ――――なぁ!?」

 吼えるように叫んだハイネは、先刻とは比べ物にならない――――それこそ、人外の知覚を
持つ筈の鬼ですら反応を赦さない速度で男の眼前に駆け寄った。
 そのまま男の後頭部を鷲掴みにして、車両の床に思い切り叩き付ける。ごぉん、という重い
音と共に、尋常ならざる腕力で叩き付けられた金属の床がへこむ。

 ハイネの背骨に埋め込まれた『ケルベロスの脊髄』は、彼の肉体限界を"後先考えず"最大
限まで引き出す――――例え己の力に肉体を破壊されようとも。

 「アハハッ!」

 狂った笑いを上げながら、ハイネは男の頭を座席横の鉄パイプに叩き付け、割れていないガ
ラスに叩き付ける。相手の如何なる抵抗も、最早彼を止める事は出来ない。

 ――――ケモノの強さとは、自身の死を厭わぬ愚か者の強さだ。

 「お、か、え、し」

 自動ドアを男の顔面で使い物にならなくしたハイネは、男の鳩尾目掛けて強烈な膝蹴りを放
った後、最後に男の身体を運転席に向かって投げ付けた。
 濡れ雑巾のような音を立てて男の身体が運転席に消えたが、その身の内に黒い狗を宿した
少年は、そのぐらいの暴虐で獲物を取り逃してやる積もりはなかった。

 落としたルガーを拾ってマガジンを交換し、腰のホルスターに差してあったモーゼルも取り出
す。空弾倉の代わりに突っ込んだのは、二十連発のロングマガジンだ。

 モーゼルM712シュネルフォイアーのセレクターを、セミからフルに切り替える。
 そして両手の銃を運転席に向け、トリガーを――――引かずに、ゆっくりと歩き出す。

 「締めにしようぜ、ブラザー」

 そう言って歩き出したハイネは、全ての銃弾を男の頭に叩き込む積もりでいる。

 ――――どんな生き物だって、頭が無くなれば生きていけない。

126 名前:ハイネ ◆DOGS.MVbhk :2006/11/09(木) 04:03:21
そろそろあk……げふんげふん……幕引こうと思って、滅茶苦茶やった。長え。

血を「喰う」辺りは自分でも暴走し過ぎたかなー、と思わないでもない。
狗と混じると身体能力が上がる、ってのもありがち、と思わないでもない。
っつーか、全体的にやり過ぎた感がフルチャージで……正直スマンカッタ

まぁ、やりすぎってんなら書き直せばいいよネー。ネー?(自信なさげ

127 名前:遠野四季 ◆n1oSGIvcA6 :2006/11/09(木) 05:02:46
確認した。好き勝手は……まあ、お互い様だからな。
全然問題ねえが―――もう幕引きか?
いや、オレは構わないけどな。
頭無くなれば、さすがのオレでも死ぬし。多分。

レスは明日書く。適当に待っていてくれ。

128 名前:遠野四季 ◆n1oSGIvcA6 :2006/11/10(金) 23:54:38
ちっ。週末突撃しちまったか。
悪いがレスは日曜まで待ってくれ。

129 名前:ハイネ ◆DOGS.MVbhk :2006/11/10(金) 23:57:53
判ったけど。
日曜、ってか日曜と月曜の間に当たる午前0時以降は俺いないからなー。

130 名前:遠野四季 ◆n1oSGIvcA6 :2006/11/10(金) 23:59:06
ああ、分かった。できるだけ早く返せるよう努力する。

131 名前:弓塚さつき@代貼り ◆zusatinwSI :2006/11/29(水) 06:22:26 0
花が開く。

夜空の黒を花火の光が一瞬包み込み、そしてまた黒に戻る。
その様は、まさに一時しか咲かない花のようで、だからわたしは、

「――ああ、だから『花火』というのね」

という、よく分からない感想を漏らしていた。





今日は花火大会の日。
そう言って嬉しそうに新聞の挟み込みチラシを持ってきたのは幹也だった。
結局それからすったもんだの末、何故か事務所の面子総動員で出かけるハメになった。
案外お祭り好きの面子が揃っているのかもしれないと、なかば自嘲もこめて思う。
かくいうわたしも例外ではないと、着ていく服を選んでいる時に気づいてしまったから。

そしてわたしは今、幹也たちと別れて一人で歩いている。
幹也と式が二人揃っている姿を見たくなかったから。
けどそれはひょっとしたら――式の、夜の徘徊へのかすかな憧憬だったのかもしれない。

夜の街は、まったく別な貌。
そこはまるで、初めて来た、見知らぬ場所。

行き交う人を、わたしは誰も知らない。
行き交う人も、わたしが誰か知らない。
こんなにも大勢の人がいるのに。
こんなにも、人で埋まっているというのに。
わたしが黒桐鮮花(わたし)であることを知る人は、誰もいない。
それは、礼園という限られた空間では、決してありえないこと。

だからわたしは、少しだけ愉快な気分になった。
まるで子供の頃、こっそりと草むらに入っていった時のような高揚感を胸に抱き。
黒桐鮮花、ではなく、無色透明な誰か、として、
知らない街の知らない人の間を、ただ徘徊する。
あまりに不安定で、不安な。
だけれどあまりに自由な。
不安と期待の間を綱渡りしながら、わたしは歩く。
かすかにステップを踏んで。


――そう、わたしは今自由。
そして一人。
まわりにはこんなに人がいるのに。
けれど彼らはわたしを知らない、わたしは彼らを知らない。
知らないということは、いないということと同じ。
だからわたしはこの大勢に包まれて、孤独になれる。

それは一時の孤独。一時の幻想(ユメ)
前も同じようなことをしたことがあった。
けどその時はすぐに終わってしまった。見知った顔に出会ってしまったから。
でも今日は、この幻想(ユメ)はもう少し長く続いてくれるだろう。
今日はもう、誰にも会うことがないだろうから。



空を飛ぶことにあこがれた人のように、自由な夜空を見上げてみた。
また一つ、大輪の花がはじけて消えた。

132 名前:弓塚さつき@代貼り ◆zusatinwSI :2006/11/29(水) 06:22:59 0
>>642 黒桐鮮花vs弓塚さつき 其の導入

 今夜はやけに人が多い。週末だと考えても異常だ。夜になれば、真っ当な人間なんて
滅多に通らないこの路地裏にまで、幸せそうな顔をした男女が幾人も迷い込んでくる。
 自分の世界に土足で入られた気がして、何人かは狩った。
 でも、そんな憤りが虚しくなるくらいにヒトは続く。中には場違いな浴衣姿の子もいて、
末期に見たある男の服装から、わたしは逃げるようにその場を去った。

 なんで、今日に限って―――

 その理由を知ったのは、頭上で唐突に大輪の花が咲き誇ったときだ。
 ビルとビルの間から広がる夜の空が光に侵されている。
 わたしは未だ慣れることのできない明かりに目を細めながら、それを見上げた。

 ああ、今日は、そうか―――

 地域の花火大会。隅田川や東京湾なんかに比べると、とってもちっぽけな規模だけど。
 毎年恒例となっているそれに風流を求める地元の人間は多い。
 わたしも、かつてはその一人だった。

 毎年欠かさず行っていたよね。
 中学二年生までは両親と。それからは、決まった友達と。
 確か、二年前―――高校に入り立ての夏。隣のクラスの男の子に誘われたっけ。
「一緒に行きませんか」って。
 突然だったし、恥ずかしかったし、人の目も気になって。わたしはイヤだった。
 でも、わたしとその男子の中を取り持としてくれた友達の手前もあったから。
 渋々了承したんだよね。
 あの時は、ほんとイヤだったな。結局、まともな会話なんて一つもなくて。ぎこちなく
気まずい空気のまま、花火大会を終わらせて。やっぱり友達や家族と行くのが一番だって、
改めて理解したんだ。

 ああ。
 そんな日々があった。
 あったんだ。

 次々と咲いては散っていく光の明暗。咲けば咲くほどに、わたしの眠らせた記憶が甦り、
散れば散るほどに現実を思い知らされる。
 そのあまりの眩しさに―――わたしは目を背けた。

133 名前:弓塚さつき@代貼り ◆zusatinwSI :2006/11/29(水) 06:24:26 0
 どん、どん、と地面に轟く火薬音。
 耳を塞いでも、壁の厚い廃ビルに逃げ込んでも途絶えてくれない。
 耳からではなく、お腹から響いてくる。

 いい加減にやかましく苛立たしい。でも、この音からは逃れられない。
 ならば、別の方法で怒りを発散するべきだと、と言う答えにわたしは行き着く。
 だから、路地裏に迷い込んできた兎が一匹、二匹。吸って散らかした。
 わたしは遊びをこれしか知らない。
 今夜はヒトが多い。更にもう一匹、吸ってみた。
 その間も、頭上で咲いた花がわたしを照らす。

「……退屈」

 お腹、減ってないのに食事をしても満たされるわけがない。
 でも、わたしはこれしか遊びをしらない。
 どうしようかと考えあぐねながら、わたしは繁華街の一角、雑居ビルの路地裏を歩いた。
 普段なら、街灯の明かりばかりが頼りなく闇を照らす場所だ。
 いまは光の花のせいで、唐突に昼に変わっては、夜に沈んでいる。

134 名前:弓塚さつき ◆zusatinwSI :2006/11/29(水) 06:32:39 0
あ……わたし、一人称だ。
すっごく新鮮だよ……。
でも舞台が夏祭りって、もう12月になるのにね(汗

取りあえず、何かあったら書き込んで欲しいな。>鮮花ちゃん

135 名前:遠野シキ ◆74/8MAH2os :2006/11/29(水) 22:31:02 0
>>125

ハイネvs遠野四季
「Deadly and Dogs」

「ひひひ」

 笑いが勝手に溢れた。

「やった。確実に殺っちまったぜ。このオレが! ―――ひひひ、オレがオレ
がオレが殺っちまったんですよオレが!」

 ひひ。ひははは。笑いが零れる。止まらない。
 喉をかきむしった。爪が皮膚を裂き肉を削ぐ。
「ひはは」それでも止まらない。ごぽりごぽりと指の隙間から鮮血が漏れる。
 たまらなく愉快だった。

  こんなに自分とそっくりな、
  自分自身とでも言うべき、
  自分を、
  殺してやったんだ!

 確信に満ちた勝利。
 分泌される興奮。
 全身を犯す陶酔。
 こぼれる笑み。
 ひひひ。

 ―――その全てが、次の瞬間には否定された。

「あ?」
 窓枠にかかる手。思わず右手を確認。よし健在。と言うことは、
「キサマ、まだ……!」

 異能、血刀発動―――喉から溢れる血塊が針山を形作る。
 何度でも蘇れば良かった。そのたびに滅ぼしてやる。
 四季にはそれだけの覚悟があり、また時間もあった。

 ―――が。

 暗転。
 次に衝撃。次も衝撃。遅れて痛みがやってくる。「ひああああ!?」
 抵抗の余地を一切見いだせない。
 殺意すら感じる暇を与えられず、ただ衝撃と痛みが繰り返し交錯する。
 怒涛の破壊。頭蓋骨が砕け粉塵と化してもまだ止まらない。

「ひああああ! やめて、やめて、やめてやめてやめてやめてやめてやめて!」

 死が限界まで近接する。生死の境界線―――踏み越えぬよう必死で留まった。
 時には激痛の海の中で反撃も試みた。
 車両中にまき散らされた血が刃となって青年を貫いた。
 確認の術は無かったが手応えはあった。
 しかし青年は止まらなかった。

136 名前:遠野シキ ◆74/8MAH2os :2006/11/29(水) 22:32:47 0
>>135

「ひああああ! バケモノめ、バケモノめ。あの女、オレをはめやがった。こん
なのは聞いていない。こんな奴がいるだなんてオレはまったく聞いていない!
ひははは! やめろ、やめてくれ、やめてやめて、ひはあはっはははぶ―――」

 悲鳴/哄笑―――唐突に途絶えた。
 錯乱による狂気で満たされていた車両が、硝煙に駆逐される。
 声が途切れた理由は単純だった。シキの口が吹き飛ばされたのだ。
 雨よと降り注ぐ拳銃弾によって。

 40発近くの9ミリ弾を浴びせかけられて、シキの頭部は完全に消失する。
 脳髄も牙も喉も呼吸器も全て肉片と化した。
 さしもの《拒死性肉体》でも、思考を司る脳髄の代換えはきかない。
 頭を無くした幽鬼は、前のめりにどうと崩れ落ちるとそのまま沈黙した。
 首からは血が滾々と湧き出している。
 シキが墜ちた地―――操縦室を朱で満たそうかと言うように。

 ぴくり、と屍の中指が動いた。
 この時、遠野シキの自我はもうここに存在していなかった。
 どこか別の高次元へと旅立っている。
 だが《拒死性肉体》は―――魂の死は許しても肉体の死は許さなかった。
 不死の肉体が、頭を欠損しても生きられるよう自分の身体を作り替える。
 絞り出された生命の残滓―――許された延命の時間は僅か数秒。
 この時、シキだった者≠ヘ何を選択し、何を求めたか。
 肉体に細胞レベルで遺された怒り、憎しみ、焦燥。
 全てを殺し尽くせ。
 それが遺伝子に刻み込んだ遠野シキのダイイング・メッセージだった。
 シキだった者はそれを忠実に従う。彼に思考の余地はない。

 この抜け殻は自身の中に残った全てを解放し尽くした。

 約5リットル―――全血液の変質。
 あらゆる朱が刃と化し、所構わず牙を突き立てた。
 シキ自身も自らの血刀に貫かれ、それが更に出血を促し自分を刻む。
 血池に変わった操縦室は原形を留めぬほど蹂躙され、操縦盤は全壊。
 床を突き抜けた血刀は車両の前輪をも穿ち―――脱線を誘発させる。
 世界が縦に揺れた。
 シキだったものは自身の血刀によって体内器官の8割と決別を告げ、
脱線の衝撃に任されるがまま―――車外へと、闇へと踊り消えた。

【遠野四季→死亡】

137 名前:遠野シキ ◆74/8MAH2os :2006/11/29(水) 22:34:09 0
よう、待たせちまったな。
こんな所だ。脱線自爆っていう置き土産を遺したが、まぁ好きに捌いてくれ。
で、テキトーにエピを書いて締め、だな。
まぁ元々練習闘争だ。
んな大層なエピを用意する必要はないと思うぜ?

138 名前:シュレディンガー准尉:2007/03/16(金) 01:50:050
まあ、和風って言っても確かに難しいよねー。

実際、僕もあまり考えちゃいない。
キャラチョイスが和風ってのは割と前提条件だろうけどね。
のばらはその点吸血だし弱いし雰囲気重視だしで選んだよ。

イメージとしてあるのは何処かの武家屋敷? 廃村?
で全体として静な感じかなー。
マトリックス避け、MAPWの連発なんて無縁の世界みたいな?

妹紅お姉さんは何か抱いてるイメージある?

139 名前:『紅の自警隊』 藤原 妹紅 ◆zPhoEniXzw :2007/03/16(金) 01:56:210
 そうね―――強いて言うと。

・畳返しで飛び道具防御
・アクション一本で無く、静と動の対比
・障子に灯篭の光で影+返り血がかかって真っ赤に染まる
・見栄を切る
・朧月夜の暗闘
・妖怪大戦争(何)

 ……くらいかしら。
 まあどれもやってやれないことは、無いかなあ。

 場所はどっかの旅籠。
 私は旅に出てて、偶然吸血事件が起きてるとうわさの町で一泊する。
 そこであんたが襲いかかってくる―――とかおおまかに考えてみたけどどうかしら。
 そっちのイメージも聞いて摺り合わせようかな、なんて思ってるけど。

140 名前:シュレディンガー准尉:2007/03/16(金) 02:10:220
なるほどなー。

旅、旅ねえ。
あー、妹紅お姉さんは幻想郷にたどり着く前は、
全国放浪してたんだよね?

その時ぐらいの時間軸でいいんじゃない?
余り度が過ぎない程度のレシオ調整にはなるだろうし。

のばらはそれだと実は制作年代に破綻をきたす恐れがあるけど、
それは窓から投げ捨てとく。
面白さ、楽しさの前には細かい矛盾(細かくない)なんてまさに戯言だし。

141 名前:『紅の自警隊』 藤原 妹紅 ◆zPhoEniXzw :2007/03/16(金) 02:25:190
 まあ、そういう「解釈」ではある。
 それなりに信憑性はあるけどね。
 私は、そういうことにしてる、ってことで。>放浪

 ……ただ、幻想郷に入ってからの方が丸くなってる、と思う。
 放浪中は遊び無しのガチで戦ってたわけだし。
 そう言う意味じゃ幻想郷入ってからの方がバランス調整としてはいいかも。
 現代、って時間も使えるわけだし。
 こっちも物見遊山って核は変わらないし。

 どうだろ、その辺。

142 名前:シュレディンガー准尉:2007/03/16(金) 02:46:470
尖っていた方が僕としては面白いとは思うけど、うーん。

実際時間軸なんてどうでもいいというか、
ガス灯が出てきたら和風っぽくないだろというのが僕のイメージ(超偏見

妹紅おねーさんは妹紅おねーさん自身でくるのは確定として、
どう煮詰めるかなが課題か。
物見遊山はどちらにしても決まりだね?

逆転の発想としてそんなのは書かないというのもある。
一気呵成に勢いでやるならこれもありかな。

うん、そーだね。
とりあえず導入だけ書いてみるかな。
問題あるなら後から治せばいい、最初だしね。

…………でどう?

143 名前:『紅の自警隊』 藤原 妹紅 ◆zPhoEniXzw :2007/03/16(金) 03:16:080
 そうね。まずはやってみてから、ってところかな。
 とりあえず導入は適当に書いてみるわね。
 すり合わせはそれからでもいいし。

 時間軸は―――こっちは割と融通利くからそっちに合わせたいところね。
 それに現代でも灯篭使ってるところくらいある(何)

 ま、おおむね賛成、ってところでいいかしらね。
 それに幻想郷入り、ってのも現代付近のことだし。
 その直前とか、ってことでも悪くはない。

 それじゃ、今夜はコレで。
 おやすみ。

144 名前:『紅の自警隊』 藤原 妹紅 ◆zPhoEniXzw :2007/03/22(木) 03:14:130
 あ、そうだ。
 そっちの「のばら」っての。
 どう言うのか良く分かんないんだけど、掻い摘んで教えてもらって良いかな。

145 名前:シュレディンガー准尉:2007/03/23(金) 17:10:110
そうだねー。
東方スレに今参加してるメディを毒真紅とするなら、
のばらは和真紅かな。
ただし毒真紅と違って性格はかなり悪い、
この辺は真紅にそっくりだ(酷

稀代の人形師音吉が作った人形で血が動力源。
特に異能力者の血ほど良いらしい。
原作だと性格ヘタレなマスターの方が圧倒的に強い(駄目

武装は伸縮自在の爪。
雑魚の式神なら即座にミンチにしてしまえるくらい。
でもネームド敵キャラには大抵やられるという或る意味典型的(何
上で言った「弱い」ってのはそういう意味だったりする。

146 名前:シュレディンガー准尉:2007/03/23(金) 17:12:090
後原典は掲載紙が代わったり、単行本が予告されてから、
一年以上出ていなかったりと最近は何かと不遇。
だから僕も把握し切れてない部分もあるかもしれない。
闘争開始までには何とかするけどね。

147 名前:『紅の自警隊』 藤原 妹紅 ◆zPhoEniXzw :2007/03/24(土) 02:41:000
 ん、なるほど。故に雰囲気重視か。
 戦うとなると屋内だからこっちも制限受けるし、面白くなりそうね。
 ……さすがに他人の建物に火をつけたらまずいし(何)

148 名前:シュレディンガー准尉:2007/03/24(土) 03:28:270
色々考えてるけど世界最強(笑)とアホメイドと不幸吸血鬼(偽)を抱えてるから、
もうちょっと待ってもらえると助かるかな。
このペースでいくと3月の本当に終わりか、4月初旬かなあ(死

149 名前:『紅の自警隊』 藤原 妹紅 ◆zPhoEniXzw :2007/03/25(日) 01:13:180
 ……やー、大回転だねえ。
 まあうん、こっちものんびりやりたいし、まだレスも全部終わってないし。
 慌てることもないでしょ。そのくらいでも都合は良いわよ。
 後は即興みたいにして長引かせないようにするだけだもの。

 まー、練るところは練りたいけどね、あはは。

150 名前:シュレディンガー准尉:2007/03/25(日) 21:33:460
http://charaneta.just-size.net/bbs/fupbbs/obj/obj334_1.jpg
http://charaneta.just-size.net/bbs/fupbbs/obj/obj334_2.jpg
http://charaneta.just-size.net/bbs/fupbbs/obj/obj334_3.jpg

のばらの画像。
二番目は血をすわずに動き出す前、このときはサイズが小さい。
三番目が初戦闘でバイオレンス。
最初は流石に派手に強かった(*気のせいでした^^

身長は150センチ程度で13歳の女の子ぐらい。
制作年代は江戸時代より前。
尚、これは4巻までの情報だね。

4巻の引きでのばらの秘密編の導入に突入したところで
つづくで3年、5巻発売予告から一年半立ってしまった^^

とりあえず補足はこれくらい。

後僕が闘争で決めてることはマスターは出さない。
出すと滅茶苦茶になるし雰囲気もへったくれもなくなるから。
この作品の黄金パターンはすったもんだあって、
話の最後にヘタレマスターの双頭のおろちが
今回の騒動の原因をとりあえずぱっくんちょしときますね><
だからねー。
ついでに僕は米は大嫌いなんだ(←1番の理由

三九六は終わったし、アホメイドは週1のノルマをこなしたから、
何とか間に合わせるつもりだよ。

151 名前:『紅の自警隊』 藤原 妹紅 ◆zPhoEniXzw :2007/03/26(月) 22:34:390
 オーライ。ありがと。
 あとは接点だけど、どうしようか。
 こっちは積極的に戦う理由が乏しいから難しいところなのよね。

152 名前:シュレディンガー准尉:2007/04/17(火) 19:17:480
ゴメンなさい
今端末がクラッシュ中で戻れるのに後一週間かかります(死
こっちから申し込んで不義理にも程があるけどホントゴメンナサイ。

153 名前:ゼアド ◆BLOODlbo6s :2007/04/19(木) 02:54:080

……少々、失礼致します。
実はこの場をお借りして、良ければお頼みしたい事がございまして。
いえ、というのは他でもありません。
吸血大殲祭り「悪魔城御前死合 血狂ひ」。
私どもも尽力してはいるのですが……何分、伝手もなければ、城主を含めて人外の方ばかり。
私どもだけでは運営による負担もあり、こと広報といったものを十二分に果たせぬのが現状。
……いやはや、情けないとは正にこの事。面目の次第もございません。


―――そこで、です。
引いては『最後の大隊』のシュレディンガー准尉殿……。
勝手な頼みではございますが、広報として協力していただけはしませんでしょうか?
いやいや、といっても何ら強制をするものではございません。
広報用に以下のトリップを用い、一刻館内にて自由に広報をしていただければそれにて結構。
無論、端末が回復すればで構いません。

トリップ『◆H70ToFESTA』
トリップキー『#krNlUXsd』

身勝手なお願いの上で恐縮ですが、承諾して頂ければこれぞ幸い。
宜しければ、なにとぞご一考の程をお願いする次第です。
 

154 名前:シュレディンガー准尉:2007/04/19(木) 23:09:270
見た。

端末が戻ってくるのが火曜だからそれ以降なら引き受けようか。
この前妹紅おねーさんや小悪魔とやった様な奴でいいんだよね。

155 名前:シュレディンガー准尉:2007/04/19(木) 23:14:260
幾つか気がついた点。

日程の早期決定。
これは必須、ただでさえ過去に無い形式なんだ。
固めれる分は固める事。

祭時に会議室みたいなのを立てるかどうか。
個人的には不要と思うけど、初心者の参加者が居る事を考慮してまあ立ててもいいか。

対戦カードの決定はどうするのか?
トーナメントな以上決めないといけないわけで。

更に長期日程に及ぶ祭りなので参加者の都合で一回の闘争のみということも考えられる。
この措置はどうするのか。

今ざっと気づいたのはこんなところか。
又明日この時間にチェックするから何かあればヨロシク。

156 名前:ゼアド ◆BLOODlbo6s :2007/04/19(木) 23:55:470

>>154-155
……おお、受けて下さいますか。それは真に何より。
ええ、無論火曜からで構いません。
城主に代わり深く感謝の意を申し上げます。

ttp://charaneta.sakura.ne.jp/test/read.cgi/ikkoku/1176475265/33-34

質問の委細に関しては、先程上げられた告知を見ていただければお分かになるかと…。
補足しますれば、組み合わせの決定は参加者同士による申告式をと考えております。
とはいえ、拗れや炙れが出ることもございましょう。
その場合は、運営を円滑とするため主催側が舵取りを行わせていただく所存です。
そして組み合わせの決定次第、トーナメント表を作る……といった流れとなります。

まぁ…表は直ぐにでも作り始めると致しましょう。
告知の補足もしておかなければなりません。それでは、また後ほど……。

157 名前:ゼアド ◆BLOODlbo6s :2007/04/20(金) 00:03:170

……ああ、私とした事が忘れておりました。

>ご両名
出来ましたら、祭りが終わるまで本スレでの闘争は控えて頂きたければと。
今より告知致しますが、祭りの一環に私用する予定もございますので……。
まこと勝手な頼みにて恐縮ですが……どうかご理解の程を。

158 名前:シュレディンガー准尉:2007/04/22(日) 22:52:070
おk

らしいけど、ってか責任は全面的に僕にあるんだけど(死
闘争は祭り終了後ってことでいいかな(滅死

159 名前:シュレディンガー准尉 ◆SatooB.weA :2007/05/14(月) 02:28:450


  とおりゃんせ とおりゃんせ
  ここはどこの細道じゃ 天神様の細道じゃ
  ちょっと通してくだしゃんせ
  ご用のないもの通させぬ
  この子の七つのお祝いにお札を納めに参ります
  行きはよいよい帰りは怖い
  怖いながらも とおりゃんせ とおりゃんせ…


旦那さんはこの歌は知っとるかね。
妾(わらわ)は女郎として此処に入れられてはじめて知ったわ。
そいで歌の意味を聞いて嗚呼ともう一度溜息をついたわ。

旦那さんは歌の意味を知っとるって?
そういや旦那さんとこは庄屋やって分限者(*金持ちの意)らしかね。
ほいじゃ妾と違って学もあるわな。
妾は、ほほ、女郎になるまで学どころか数を拾までも勘定しきれんかったよ。
女郎は牛馬とおんなしや言うがありゃ嘘や。
牛馬は数なんぞ数え切れんし、糞尿は垂れ流しで酷いもんや。
崩れかけた牛小屋で住んじょった妾がその辺良く知っちょる。
此処は天井もあるし、雨風も凌げるやろ、どう考えても女郎の方が恵まれちょるわ。



……妾について聞きたい?
旦那さんも変わっちょるねえ。
まあ、眠れんちゅうならひとつ寝物語でもするわ。

さっきの歌やけど、あれは間引きされた子等を悼んだ歌らしかね。
七つまでは子供は神様の預かりもんやけん、殺さん。
けどそれ以上やと飢饉が来りゃ口減らしや、天神様のお社の裏まで手を引いてや。
連れて行かれる子は祭やとはしゃいでよいよい。
帰りは当たり前やけど親一人や、後ろから子供が追いかけてくる様で怖い怖いとな。

本当は違うんよ――――妾の村では違っちょった。
そんな七つまでも生きられりゃせんもん、股座から引っ張り出されてすぐぽいや。
糞尿の桶に血塗れのままぽいと放り出されて仕舞い、親の方は見向きもせん。
飢饉でなくとも皆食う物に困る通称日照り村や。
楽しみと言えば股座に突っ込む事ぐらいで結果投げられる子ばかり増えていくんや。
じゃから、天神様のお社の裏なんて連れて行くなんてこともないんやな。
こないな子潰しの後始末が妾の仕事やった。

川にぽい、川にぽい、川にぽい…………山には投げんかったねえ。
川は皆流してくれる、実際はそんな事はないんやけど少なくとも山よりはマシや。
汚れた真っ赤なおべべは水が洗い流してくれる。
泣く声もさらさら歌う水音に混じって少しは綺麗に聞こえるわ。
それに水子って言うくらいやからな、水の中に還してやった方がとなあ。

そやけど、やっぱり気持ちいい光景やない。
大体、投げられても殆ど皆生きとるんや。
其れから数日かけてゆっくり渡っていくんよ、三途の河をな。
そいでもおぎゃあおぎゃあ泣いてその声が段々小そうなって……ぶつりはまだ幸せな方やで。

まず水に飲まれて溺れるな、これがけっこう多いわ。
泣いて泣いて涙をさんざ流して溺れての最期、こないなくしゃくしゃの最期の顔は
どれだけ見たかわかりゃせんわなあ。

で、これからが本題や。
或る時、いつもどおりに赤子はぽいしに、向こうのの川縁に人形が投げられとった。
これが割と大きくってな、しかもえらく綺麗な、精巧な人形やった。
はじめ妾が誰か倒れてると勘違いしてくらいにな。
ちいと考えれば妾の村にあないな高そうな牡丹の着物を来てるのなんておるわけがなかし、
皺だらけの女しかおらん日照り村に皺ひとつない女なんてありえんわ。
そんなこつで人じゃないと思う妾も大概やがな、そう思わせるものがあったんよ。

何でこないなもんが投げられとったかわかりゃせんかったが、勿体無いとは思ったわ。
といっても川は妾みたいな子供が渡れるほど浅くも緩くもなかった、雨上がりやったし。
橋まで結構あったんやけどひとつ決心して人形のところに行くことにしたんや。
―――――それが全部はじまりやったわ、妾も未だ夢かって思うくらいのな。



十分ちょいかかって橋を渡ってから其処までついた時、周りはかわっとった。
最初に見たのは血色の川辺………まあこれは実は珍しい事じゃないんよ。
狗や狐とかには投げられた赤子は格好のご馳走や。
さっき弱ってぶつりは幸せといったやろ?
生きたまま獣に食われるのに比べれば余程幸せや。
獣やし、お行儀とかはありはせん、さんざ血肉は食い散らかすわで
川辺が紅くなるなんて珍しくないんよ。
ほほ、妾も行儀でいえば獣どうこういえんけどな、箸は此処に来る前までは満足に使えんかったし。

もっと凄いのもあるんよ?
赤ん坊が赤ん坊を食おうとする、なんてのもあんまし無いけどあるんや。
流れてきてぶつかった赤ん坊をまだ元気のある赤ん坊がその指にしゃぶりついてがぶり、なんてな。
旦那さん、餓鬼ってこういうのをいうんかねえ………あ、話の続きな。
急かさんでも夜は長いから大丈夫や。

ま、そんな訳で別に赤いからぐらいじゃ妾はきょうさめん。
妾が肝を抜かれたのは、『立っていた』んよ、投げられて地面に倒れていた人形がな。
良く見るとな、人形の周りには狗だったものが散乱しとる。
嗚呼、そういえば何時もより紅い訳やと得心したわ。
赤子の他に狗どもの血肉までも一緒に散乱すりゃその分もっと赤くなるわ。

綺麗やったなあ、妾は多分これからもあないな綺麗なものは見る事はないわ。
そう人形は艶やかに笑ってつぶやいたんよ。

 「人になれず、肉になって、血のユメを見る……気分はどう?」

しんと周りが黙ったわ。
川のざわめきも、風のささやきも、虫の啼き声も、他の水子達の泣き声も。
くすくすって人形の哂いだけがずっとずっと続いて
………そうしてざっと地面を踏みしめる音が聞こえて…………………………


160 名前:シュレディンガー准尉 ◆SatooB.weA :2007/05/14(月) 02:32:320
書いたよー。

アンチヒロイックらしいから(何が)、こっちはさらに違うものにしてみたつもり。
視点はとある女郎の回想から。

死ぬほど貧しい口減らしが当たり前の村。
捨てられた赤子が獣の餌になって血が撒き散らされて、
捨ててあった人形もといのばらがそれを吸って動き出した、みたいなー。

最後の足音は一応妹紅おねーさんを想定してるつもりだけどどうかなー?

161 名前:『蓬莱の人の形』藤原 妹紅 ◆zPhoEniXzw :2007/05/14(月) 07:37:510
 ……や、あまりにもすごすぎてちょいと混乱したわ。
 ともあれ、分かった。うん、オーライ。こりゃ負けてられないね。
 一週間以内には書き上げておくよ。

162 名前:『蓬莱の人の形』藤原 妹紅 ◆zPhoEniXzw :2007/05/19(土) 22:02:060
 ……あー、悪い。いらん用事が入ったから二、三日遅れるかも。
 待たせて悪いね。

163 名前:シュレディンガー准尉 ◆SatooB.weA :2007/05/19(土) 22:47:050
んー、急がなくて良いよ。
納得いくまでやってくれて構わないよ。

164 名前:『蓬莱の人の形』藤原 妹紅 ◆zPhoEniXzw :2007/05/26(土) 15:52:440



藤原物語序


 余、たまたま怪しき閑話在りて、ここに記す。
 羅子は水滸を撰して三世唖児を生み、紫援は源語を著はして、一旦悪趣に堕するは、け
だし作り話にて世を惑わせし業の故也。雨月は雉鳴き龍戦ふ杜撰なる話にて、もとより当
に信と謂はざるべきものなりて、悪趣免れけり。余、これより語りし閑話は何れも偽り無
き事ゆえ、剪枝畸人とは違う異種にて悪趣免れんと思すなり。いみじくも浅ましく恐ろし
き話にて、目に見し地獄を語らんとす。之摘読せし者は、斯く浅ましき様を覚え、神仏に
祈り、慎ましやかに暮らせん。蓬莱遊人書す。




 暁に 負いし陽炎 胸焦がし
   茜差す日の 暮れ行く道へ


 §


 昇る日は、日照りの香りを宿したり。
 河辺は水子の霊と血肉で赤く冷たく染まり、この世ならざる光景を浮かべり。
 見る者、年の頃は若きと見ゆれども、目鋭く、歳経た獣の如し。
 網笠を外せば、絹の糸零れ、白き顔現れ、其の者白子と思しけれ―――



「いつの間に餓鬼道地獄に迷い込んだのかね、私は」

 旅の道すがら水を欲し、川べりを辿って清流を求めれば、出たのは悪鬼悪霊の類。川上
から流れてゆく赤子水子を見る限り、ろくでもないとは思ったが、まさか浮世に地獄が落
ちるとはさすがに思わなかった。続く日照りがそれだけ苦役ということだろう。
 遠めには、干からびた村が見える。ほとんど生きては居まい。居ても半死半生だろう。

「―――あさましい」

 胸元を血で汚し、周囲に肉を散らばせた餓鬼。
 河を紅くしているのはそいつの仕業に相違ないだろう。曇り眼鏡を外してみれば、その
美貌神妙なる人形。されど、行いは浅ましき餓鬼道なり。手に取れるもの全てを喰らい、
餓え続ける苦の輪廻。それこそ餓鬼道。

 さて、ここで取れる道は二つ。
 目の前の鬼を調伏するか、それとも見てみぬ振りをするか。
 正直を謂えば、面倒は御免という処。降る火の粉は払うが、自ら撒くこともあるまい。
 しかし―――首筋を焼けるような悪寒が走っている。
 それが、背を向けて去ることを許さない。

 一体何だというのか。あの人形は―――

 知らず、私は懐で符を握っていた。
 不動明王。炎を以って悪鬼を駆逐する護符である。
 大抵の妖怪であれば、一撃で退散するものだった。


165 名前:『蓬莱の人の形』藤原 妹紅 ◆zPhoEniXzw :2007/05/26(土) 15:54:380
 まあ、こんな感じ。
 とある説話の一説、見たいな感じでオープニング作ってみた。

 ぶっちゃけ古文の部分は適当だから信用しないでね(何)

166 名前:シュレディンガー准尉 ◆SatooB.weA :2007/05/27(日) 00:17:190
ふむふむふむふむ。

おkおk。

進行形式は半リアルタイムでいいかなー?
一日か二日に1レスずつ返していくので。
出来たら本スレに貼り付けていくみたいな。

リアルタイムは主に僕の方で無理があるんだよね。
方言変換でやたら手間取るし(死


167 名前:シュレディンガー准尉 ◆SatooB.weA :2007/05/27(日) 00:23:190
適当に補足。

のばらはかなり殺気立ちやすいけどそれだけじゃ殺りあう契機にはならない。
なので最初のレスで既に動機は仕込んでおいた。

生まれたばかりなのにすぐ死に行く命の血を吸って復活したから。
ずっと生を謳歌している者が憎らしい、そんな感じで襲わせるつもりー。
血は全ての命の通貨だからね(何

168 名前:『蓬莱の人の形』藤原 妹紅 ◆zPhoEniXzw :2007/05/27(日) 05:20:240
 ん、そうね。そのペースで大丈夫かな。
 ちょっと遅れるかもしれないけど。
 最近眠気がこらえられなくてねー。気がついたら朝に(何)

 ともあれ、そっちから仕掛けてくるのは了解。
 のんびり待ってるわ。

169 名前:シュレディンガー准尉 ◆SatooB.weA :2007/05/28(月) 02:02:290
ふむう。

ずさっちん闘争が終結してから張り始めるかなー?
あ、明日か明後日には言ったとおりこっちに返しとくから安心しといていいよー。
ずさっちん闘争が終わってから纏めて貼るとしようか。

170 名前:『蓬莱の人の形』藤原 妹紅 ◆zPhoEniXzw :2007/05/30(水) 02:28:180
ちょっと反応遅れた。

うん、了解。
のんびり行こう。

171 名前:シュレディンガー准尉 ◆SatooB.weA :2007/06/01(金) 04:43:210
ごめん。
これだけ教えて。
妹紅おねーさんの格好はどうなってるかな?
永夜抄のあれ?

172 名前:『蓬莱の人の形』藤原 妹紅 ◆zPhoEniXzw :2007/06/01(金) 11:27:170
 んー、この時代にブラウスとモンペはないからなあ。
 普通に男装してると思って頂戴。胸は晒しで押さえてるから目立たない。
 髪はポニーテールスタイルで。丁髷にも見えなくは無い(何)

173 名前:シュレディンガー准尉 ◆SatooB.weA :2007/06/03(日) 17:32:460
強訴谷に迷うてやってくるなんてなあ。
ほんに運の無い人もいたもんや。
旦那さんはその意味じゃ運が良かね。
妾がなんぼ醜女と言うてもオカイチョウすれば何も変わらん。
見れば地獄、踏み入れて極楽や。踏み入りても地獄な妾の村とは違うわ。

うん、その迷い人はどげしたかて?
生きとう人間やよ。
何や、当たり前の事を言うなって顔しとるねえ。
そいけど、旦那さん、妾の村、生きとうか死んどうか分からん者ばかりやったから。
ひどか時は食うに食われず草木彫りつくしゃ壁土まで剥がして皆口にするんや。
さっき崩れかけた牛小屋に住んどうたと言うだろ?
妾が剥がしたせいで危うく崩れかけるところやったんよ、ほほ。


迷い人が生きとうって思うたのはな、目にしかと光がおうたことやな。
まだひとつ大きゅう理由があるんやけど………
……………旦那さん、少し話変わるけんど、妾達をどう思うかね?
外で妾達が客引きに格子から手を伸ばす光景がどう見えるんか。

さいやきょうてえんか。大目に見てつかあさいよ。
妾達もあないに手を伸ばして旦那さんみたいなお客さんを引かんといかんのよ。
客取れんとお内儀(かみ)さんにえろういちゃう目に合わさるう。
ほんで、そのきょうてえ様をちいとくわしゅう聞かせてもらえん?

白い手だけが伸びてくう?
格子の奥がくろうて見え辛いからきょうてえ?
何本も手が蛇みとうにふらふらと人をおがくしとる様に見ゆう?
そうやねえ……………

174 名前:シュレディンガー准尉 ◆SatooB.weA :2007/06/03(日) 17:34:150


   ………何本も手が伸びていたんよ。
   こまいこまい手がふよふよな。

   「ねえ。うらやましいって言ってる。聞こえる?」

   赤子の手がうっすらそよそよ宙をただよっとるんよ。
   肉の手やない、幽かな手、手、手。

   「のうのうと生きてられるあんたがねたましいって言ってるよ」

   いっち妾のことかと思うたけどちごうた。
   手のゆらゆら漂う方向も、人形の目も嘲りも、迷い人を向いとうた。

   なして妾を水子等は、人形は見もせずに、手どもも掴もうとせんやったのかねえ。
   妾も生きてない、死んどるって思われたやろか。
   其れは其れであんまし喜べんなあ。
   まあ、女郎にならんかったら今妾は飢え死んどうてもおかしうなかったけどな。

   「血の海から産まれて、泥水の海で捨てられ溺れ、無念の海で泳ぎ続ける……」

   青白い手どもがわらわら迷い人を掴もうとしとるんよ。
   何やろうねえ、砂糖にあつまろう蟻か灯火にあつまろう蛾、そないな光景。

   「そんな自分達から見たら何人分も何倍も生を謳歌しているあんたが許せないだって。
    はははははっ!」

   そん時背がひやりとしたわ。
   水子の手がひとつ妾をすうっと通り抜けていったんや。
   それがすごう氷みとうにちべたかったんよ。
   遊郭の格子から伸ばす肉の手どもとちごうてなあ。

   ……投げるために川に行く時もちいとずつ温かさを赤子はのうなってゆく。
   泣いて泣いて泣き疲れてちべとうなって命がのうなっていくんよ。
   そないしてよーに温かさのうなかすとああもちべとうなるやな。

   「ねえ、あんた。せっかくだし―――この子達の為に死んでやったら?」

   その声を合図にか、あの手どもがいくつもいくつも迷い人に流れていったわ。

175 名前:シュレディンガー准尉 ◆SatooB.weA :2007/06/03(日) 17:40:040
遅れたー、ごめん(土下寝
どうもしっくりこなくてさ。

妹紅おねーさんの描写はあんまりしてない。

簡単に言うと水子たちの手がうようよとおしよせてる?
尚、こんな表現はのばらの原典には一切無い。
――――でも東方にはあるよね。
主に妖々夢5面と6面で幽霊ががんがんふよふよ(何
その辺を意識してみました。
これは弾幕はじゃないけど大量にまとわりつかれると死ぬ、みたいな?

176 名前:『蓬莱の人の形』藤原 妹紅 ◆zPhoEniXzw :2007/06/03(日) 20:47:490



 人形、託言を騙りて笑ふと、あやしき手、白き人を招きて、むなしき人にせむとして集
き寄せ返しける。そのさまいとあやしくおそろしきものなれど、驚き恐れ給はず、人形に
歩みたりける。白き手、その足を掴みて引きけるが、



「……物言わぬ死人が言葉を吐くかね。それはあんたの言葉だ。こいつらじゃない」



 くれないのほむら、足元より噴き上がりて手を払いける。いと畏くも清らなる火、彼の
人を取り巻きて、鷹の形を成せば、心静かに肩に止まれり。


「……この時勢、生まれてすぐ死ねる方が楽じゃないか? 生きていても飢えと乾きに苦
しみ続けにゃならん。なら、来世に望みを繋ぐ方がマシさ。咎なくて死すのはある意味で
幸福だよ。少なくとも、お前みたいな浅ましい姿にはならんからな」


 いまいましきと思しければ、白き人、人形を指差し―――


「とっとと通り過ぎてやろうと思ったけど、気分が悪いから止めだ。
――――――燃えちまえ」


 燃ゆる鷹を放ち、かからせたり。


177 名前:『蓬莱の人の形』藤原 妹紅 ◆zPhoEniXzw :2007/06/03(日) 20:49:290
 ……どうでもいいけど水子の概念って明治からなのよね。
 こっち、あとで冒頭部分書き直さないと。雰囲気も合わせたいし。

 とりあえず、まとわり付いて来たのを焼き払って、そっちに攻撃。
 カイザーフェニックスみたいなもんだと思ってくれれば(何)

178 名前:シュレディンガー准尉 ◆SatooB.weA :2007/06/03(日) 22:03:100
早っ。


おねーさんの古文てきとー発言以上に僕の時代考証は適当なんだ(駄目
真面目に考証しだすと格子から手をのばす云々もかなり怪しくなる。
まあ、地方ではありえた話だろうけど吉原の作法だとありえない。

今なら直せるし、ずさっちんが終わるのはおそらく今夜中だろう。
といっても終わったら直ぐ貼るって訳でもないしね、満足するまでどうぞー。

179 名前:シュレディンガー准尉 ◆SatooB.weA :2007/06/03(日) 22:09:540
後妹紅おねーさんはのばらを甘く見てる。
何しろベースは1話と2話だけなんだ^^(後は使い物にならなかったともいう

そうだな、二日後ぐらいを目処にで。
それまでに妹紅おねーさんの導入改定ができたら張ってしまおう。
張ってしまえば後は尻に火がつくからね。
これは僕には凄く重要だ(死

180 名前:『蓬莱の人の形』藤原 妹紅 ◆zPhoEniXzw :2007/06/03(日) 23:24:550
 いやまあ、正味六時間くらい寝るのに時間使ったんだけどね。
 久しぶりに古語辞典見ながら。
 もしかしたらまた後で加筆するかも。

 まあ、導入改定はなるべく早めに作れるようにするよ。頑張る。

 あとのばらがどれだけ強いか楽しみ。
 遠慮なく来てねー。むしろいきなり死なせる勢いで(何

181 名前:シュレディンガー准尉 ◆SatooB.weA :2007/06/04(月) 00:32:030
加筆上等。
どんどんやっちゃってよ。

のばらはだから弱いってば^^
まーそれを補うだけの何かは持ち合わせているつもりだから
泥舟タイタニックにでも乗ったつもりでいてくれれば。



結論:大沈没、むざーんむざーん、だって大殲だもの

182 名前:シュレディンガー准尉 ◆SatooB.weA :2007/06/04(月) 00:36:210
ずさっちんは今夜中はなさそうだな。

ついでだ。微妙に気になるんだけど、まー分からなかったらそれでいい。
極めて近く限りなく遠い何処かの王様発言見られてる?(何

183 名前:シュレディンガー准尉 ◆SatooB.weA :2007/06/07(木) 12:39:370


 空ろなる身に紅さす
 千代に千代に覚め憶ゆるは苦患の世





 紅から流れるる想い憂し痛し辛し
 抱かるるべき手は股より転がり落ちし時より既に無し
 母求め小さき手を伸ばさんとするも虚を泳ぐのみ
 黒洞々たる泥の中へと棄てられ幾許

 耳に聞こゆる唸り
 眼もしかと開かぬ身に感ずおどろおどろし気色
 鼻に流れるる其の息はいと臭くゆゆし

 ぎゃあと泣く
 ぐじゅるぐじゅる。裂かるる白き肉
 ぶしゅるぶしゅる。流れ出る赤き命
 ぎゃあと哭く

 腸(はらわた)を食われ犯され穢されおぼゆ事は憂し痛し辛し
 果てに願ふは切に死にたし死にたし生きたし





 のばらなる身に命さす
 千代に千代に覚め憶ゆるは無間の世




184 名前:シュレディンガー准尉 ◆SatooB.weA :2007/06/07(木) 12:40:360


    沸き立つ炎の鳥を見、餓鬼驚いて

   『火? あのもんも人じゃらん!?』

    否。之はただの炎に非ず
    硝子の瞳に煌々と映るは瑞々しき命の顕れ
    妬し憎しと内から外から響く声にくすりと頷き応ず

    幾日も雨風に晒れ震へて弱りて仕舞いにぶつん
    泥水に飲まれ溺れて足掻きてもがきて挙句ごぼり
    地べた這いずりて生を求むも川へ水取りの村人の足でぐしゃ
    百に一度二度、実の父母の足でぐしゃ、曰く嗚呼気持ち悪いと躯(むくろ)を更にげしり
    他畜生の餌となる赤子も数多くがぶり

    かかる死を迎えし千々の手が幽らり幽らりと燃ゆる生を摘み取らんとし
    赤く虚ろへと染まりて皆ぎゃあぎゃあと死して再び末魔を断たる




    鷹が食らいつき、じゅうと血肉が焼ける様いと臭く餓鬼は顔顰め

    『………毛色悪かね、肉が焼こう臭いは…………肉?
     焼けちょうのは赤子と狗どもで…………人形は………あ??』

    あはははと空から哂ふ

    妬し憎し
    己の頭をはじめがぶり撫でたものは畜生の牙にて母の手で無し
    撫でられ頭蓋がぐにゃり割れだらり漏れ出た桃色の脳髄をずるずる吸わる
    いっそ最後まで食ろうてくれりゃ楽にもなろうものを所詮畜生
    半ばで飽きて次は畜生腹へ飛び付きぐちゃりぐちゃり食わる
    殺せ殺せと泣いた所で畜生故聞く耳持たず
    しばし後に畜生にようやく喉元断たれ、嗚呼、生きたかったと最期思ひて闇へぶつん

    妬し憎し
    勝手抜かす女の頭をざくり撫で
    女の頭蓋ががんと割れたら漏れ出た紅色の脳髄を半分ずるり地べたに吸わせ
    続け様女のさぞ白かろう腹にずぶずぶ爪を突きたて腸を引きずり出し
    最期苦悶を詠う女の喉をぶつんと締め………

    ひやうふつと想いに応じた爪が一筋命の塊たる女の頭に堕つ

    ざん



185 名前:シュレディンガー准尉 ◆SatooB.weA :2007/06/07(木) 12:44:550
カイザーフェニックスに飛び込み大パンチ(何


>>183の似非古文調はのばらが目覚めた時の一人称
>>184の似非擬古文調が現在進行形の一人称

女郎語りでもよかったけど延々だと芸がなさそうだしね。
女郎一人称語り、のばら台詞のスタイルから
のばら一人称語り、女郎台詞のスタイルにシフトしてみた。
今後は使い分ける可能性があるかな。

186 名前:シュレディンガー准尉 ◆SatooB.weA :2007/06/17(日) 06:27:520
っと。

これから25日ぐらいまではまともに動けないからじっくり練ってもらっていいよ。
見たところこの闘争以外にもたくさんあるみたいだしね。
おねーさんが納得いくものをね。

187 名前:『蓬莱の人の形』藤原 妹紅 ◆zPhoEniXzw :2007/06/17(日) 22:56:370
 §


 昇る日は、日照りの香りを宿したり。郷の河辺は赤子の霊と血肉で赤く冷たく染まり、
この世ならざる光景を浮かべり。まさしく餓鬼道と思しき景色なり。歩み来たりて見る者、
年の頃は若きと見ゆれども、目鋭く、歳経た獣の如し。網笠を外せば、絹の糸零れ、白き
顔現れ、其の者白子と思しけれ―――



「いつの間に餓鬼道地獄に迷い込んだのかね、私は」

 水を欲し、川べりを辿って清流を求めれば、悪鬼悪霊の類、群れ成してけり。川上より
流れてゆく赤子水子を見て、あさましきかなと思ひたれど、ゆめゆめ浮世に地獄が落ちる
とはさすがに思わざりけり。旱母の降りけるはかくも苦しき。遠目には小さき村見えたる
が、すでに死したると思しけり。

「―――あさましい」

 紅く汚れし餓鬼を見て心悪しく思ひたる。
 河紅きはかの仕業に相違なし。あやまたず見れば、美貌神妙なる人形なれど、行いは浅
ましき餓鬼道なり。手に取れるもの全てを喰らひ、餓え続ける悪しき夢と思しける―――


188 名前:『蓬莱の人の形』藤原 妹紅 ◆zPhoEniXzw :2007/06/17(日) 22:58:030
うーん、すこし量が足りないかな。
とりあえず、>>164導入の書き直し。
またもう少し足すかもしれないけど、今はこれで。

もうちょい資料用意しとかないとなあ。

189 名前:『蓬莱の人の形』藤原 妹紅 ◆zPhoEniXzw :2007/09/05(水) 10:33:190
 さて、と。なんとか時間取れるようになったから再開したいところだけど。

 んー、なんというかちとアレよね。噛み合ってない気がする。
 変に凝りすぎて軸がぶれてると言うか。
 私がそっちの文体に合わせた方が統一感取れるかも知れない。

 一応、こっちはまだ古文調で書いてはいるけど。
 ものすごく時間かかるのが欠点なのよね、これ(苦笑)

190 名前:シュレディンガー准尉 ◆SatooB.weA :2007/10/22(月) 00:51:29
うっわ。
返答まで余裕で一ヶ月あいてるね。
全くひどい奴もいたもんだ(死

三ヶ月、諸事情つなぐ事が出来なかった、ゴメン。

ふむむむ。
確かに「らしく」ないかもしれないねー。

いっそのことリセットって手もあるよ。
好きなところからやりなおすって手もね。
セーブからやり直しなんて今や常識。
僕としては妹紅おねーさんが全力出してもらえるなら、それでいいからね。

191 名前:弓塚さつき ◆zusatinwSI :2008/02/12(火) 21:06:23

⊂(゚ー゚*⊂⌒`つ≡≡≡≡≡≡≡≡

192 名前:弓塚さつき ◆zusatinwSI :2008/02/12(火) 21:06:48

じゃあ、改めまして。
わざわざ足を運んでもらってありがとうございます。
王さまの貴重な時間を割いてもらったんだから、
がんばって退屈させないようにしますっ。

それで、状況なんだけど。
導入を見てもらえば分かるけど、もう始まってます。
すでにさつきは満身創痍です。
死にそうです。血だらけです……。

さつきは追われるヒト。
英雄王さまは追うヒト。
さつきは必死に逃げて、
英雄王さまはいたぶるように追ってくる。
それだけ、だよ……です。

逃亡戦……追撃戦……になる、のかな。
でも、よくある「策を練って逃げながら戦う」って
いうのは考えていないよ。
弓塚さつきは最弱で、英雄王さまは最強なんだっていうのを
強調したいだけの闘争かな。

それじゃあ、よろしくお願いします(ぺこり


193 名前:弓塚さつき ◆zusatinwSI :2008/02/12(火) 21:09:49

あ、あと。
いちおう、英雄王さまの服は私服verってことで……
お、お願いしまーす。

194 名前:英雄王:2008/02/12(火) 21:16:54
 
 此方でキャップは使えんのでな。
 間違いなく我は我だ。
 
 今から書く。
 三十分かそこら待っているがよい。

195 名前:英雄王:2008/02/12(火) 21:50:58
 
 分割すべきだったか――まあいい。
 読めば判るであろう。が、不足があれば何なりと聞くがよい。
 

196 名前:弓塚さつき ◆zusatinwSI :2008/02/12(火) 21:54:52

確認しました!
さすがは英雄の王さま……ほんとにレスが速いよっ。
さつきもがんばってすぐに返します!
……で、でも、さすがに一時間ぐらいかかると思うんだ。
ちょっとだけ待っててー。

197 名前:弓塚さつき ◆zusatinwSI :2008/02/12(火) 22:41:18

お待たせ!
そういうことで、ゾンビ地雷だよ。
通りかかったら「うぅ」とか呻いて、足を引っ張るんだ。
……バイオハザードで、そういうゾンビさんいなかったっけ?
もしいたら、イメージはそれで!

……貧弱な攻撃でごめんなさい!

198 名前:英雄王:2008/02/12(火) 22:44:41
 
 確認した。
 フン――まあ、良かろう。
 三十分を目安に書き上げるつもりだ、くつろいでおくが良い。

199 名前:英雄王:2008/02/12(火) 23:16:32
 
 金塊が飛んで行ったと思えば良かろう。
 まあ、読めば判るだろうが。
 
 グールは踏み潰した、グールと認知しないままに。
 モブはこんな扱いでも良かろうて。

200 名前:弓塚さつき ◆zusatinwSI :2008/02/12(火) 23:56:21

お待たせ!
今度もゾンビ攻撃だよ。
今度はたくさん持ってきたよ。
でもやっぱり雑魚なんだよ。

これも一掃してくれると、
次でわたしはほんとうに追い詰められちゃうって感じかな。
迫り来る絶望!

―――でも、金塊って……。
そ、そういう武器があるんデスか?
変わった名前の武器……。

今夜はそろそろ限界かな?

201 名前:英雄王:2008/02/12(火) 23:59:26
 
 金塊は金塊だ、それ以上でもそれ以下でもない(何
 
 まあ、冗談はさて置き。
 我としては怠惰に眠り惚けたい気分なのでな。
 
 明日は割と時間に融通が利く、昼間のうちにでも上げておこう。
 という訳で我は眠る。
 貴様も休むが良い。

202 名前:弓塚さつき ◆zusatinwSI :2008/02/13(水) 00:02:00

うん!
わたしももう、これぐらいでギブーギブーだから。
ちょうど良かったよ。

それに、思った以上に進んだもん。
このペースなら、明日か明後日には終わっちゃいそうなくらい(汗

じゃあ、また明日!

203 名前:英雄王:2008/02/13(水) 18:04:05
 
 上げておいた。
 アイデンティティを奪う行為をしてみた、反省など我がする筈もない。
 
 何かあれば呼べ、適当に暇を潰している。

204 名前:弓塚さつき ◆zusatinwSI :2008/02/13(水) 19:48:52

お待たせ! ワンテールでもさつきはさつきだよ。
……その前の食屍鬼攻撃のほうに、描写の力を入れちゃったけど(汗

そういうことで、さつきはボロ切れみたいに道路に転がって、
呆気にとられているって感じかな。
今回はなにもしてないね……。
遠慮なく攻撃してきて、いいよ。

205 名前:英雄王:2008/02/13(水) 19:56:07
 
 ふむ――確認した。
 まあ、例によって例の如く三十分ほど待っているが良い。

206 名前:英雄王:2008/02/13(水) 20:28:30
 
 上げておいた。
 まあ、特に説明も要らぬであろう。
 
 我は夕食を取る。
 焦らずに書いて置くことだ。

207 名前:弓塚さつき ◆zusatinwSI :2008/02/13(水) 21:31:58


お待たせ!
そういうことだから、今度は右足を捨てて逃亡再開だよ。
と言っても、ずりずりといもむしみたいに進むだけだから、
逃げられるはずなんて無いよね。

……えーと。
予定通り、そろそろクライマックスかな。
わたしはこのまま逃げ続けます。
街の外を目指して逃げます。
逃避のための全力ダッシュです。
本気、出します。

だから次で必殺技の枯渇庭園も発動させちゃいます。
逃げる、ために。

やりたいことはー。
Fate/Zeroの英雄王さまvs征服王さんの正反対なんだ。
あの戦いでも、征服王さんは最後まで止まらなかったよね。
あれと同じで、さつきも止まりたくないんだ。
ただ、さつきの場合は全力で逃げるため、だけど。
背中を見せて全力逃避。
どんな攻撃をされても逃げ続ける、って感じかな。

208 名前:英雄王:2008/02/13(水) 21:36:10
 
 ふむ――了解した。
 適当に書いてくる。
 
 三十分ほど待っているコトだ。

209 名前:英雄王:2008/02/13(水) 22:01:52
 
 書き上げた。
 イヂメろとのコトなので徹底的にな。
 
 後の展開に関しては適当に合わせる。
 好きにするが良い。

210 名前:弓塚さつき ◆zusatinwSI :2008/02/13(水) 22:03:23
かくにーん! じゃあ、ちょっと時間をもらうね!

211 名前:弓塚さつき ◆zusatinwSI :2008/02/13(水) 22:58:05

お待たせ!
ヨクワカンナイ固有結界を発動したよ。
わたしの躯で欠けちゃった部分は、
砂が義体みたいになってくれているって感じかな。
そんな能力じゃなかった気がするけど?
あんまり気にしないで!

わたしが視ている沙漠は、幻視みたいなものだから、
もちろん他のひとには見えませーん。

良かったら、ちょっとだけ本気を見せてください。
そろそろ終わりが近いデスっ。

212 名前:英雄王:2008/02/13(水) 23:01:02
 
 また三十分ほど待て。
 
 しかし――まあ、そうだな。
 最後くらいはまじめにやるか。

213 名前:英雄王:2008/02/13(水) 23:30:49
 
 固有結界のみを破壊したと思えば良かろう。
 
 後はハッタリだけだ。
 どう解釈しようが構わん。

214 名前:弓塚さつき ◆zusatinwSI :2008/02/13(水) 23:33:23

ま、まさか、わたしなんかに乖離剣を使ってくれるなんて……
喜ぶべきなのかな……泣くべきなのかな……。
全力過ぎるよ英雄王さま……さすがデス。

取りあえず、今日はもう疲れたから切り上げたいと思うんだけど。
明日は何時ぐらいからいますか?
たぶん、わたしのほうが早いから、
英雄王さまがこっちに来る前に上げておきたいんだけど。

215 名前:英雄王:2008/02/13(水) 23:37:28
 
 ふむ――我の帰宅時間、か。
 恐らくではあるが――二十一時には顔を出せるのではないかと思うがな。
 最悪でも二十二時といったところだ。
 
 まあ、最悪でも上がってさえいれば一つは返す事が出来る。
 此方の都合は勘定するまでもあるまい。

216 名前:弓塚さつき ◆zusatinwSI :2008/02/13(水) 23:38:51

わっかりましたー。
じゃあ、それまでに上げておくね。
あとはもう終わらせるために終わるだけだから、
急がなくても安心安心。
じゃあ、お疲れ様です! また明日!

217 名前:弓塚さつき ◆zusatinwSI :2008/02/14(木) 19:17:38

お待たせさまですっ。
そういうことだから、上げておいたよ。
一人称だから分かりにくいけど、
ようするにずるずると這って逃げようとしているんだ。
……って、わたしってばそればかり(汗

良ければ、わたしの背中に王の財宝をバビってください。
わたしは次で串刺しにされてゲームオーバーになりたいと思いまーす。

218 名前:[-{}@{}@{}-] 英雄王:2008/02/14(木) 21:45:10
 
 確認はした――が、思考が胡乱でな。
 暫く体を休めてからだ。
 
 一時間ほど見ておけ、恐らくそれ以上は待たせん。

219 名前:[-{}@{}@{}-] 英雄王:2008/02/14(木) 22:58:10
 
 待たせたな。
 少々規制やら何やらに巻き込まれていたようだ。
 
 決定的な事は何一つとして書いていない。
 好きなように料理するが良い。

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