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■ 日守 秋星 vs 後藤
- 1 名前:田村玲子 ◆bOIWj9Hr0g :2008/11/25(火) 22:12:25
- このスレは日守さんと後藤さんの闘争スレよ。
よって第三者の書き込みは遠慮してもらうわ。
- 2 名前:名無し子猫:2008/11/25(火) 22:38:27
- さて、導入部だけどお互い現代日本が舞台なので
二人の出会い自体は難しくないと思うわ。
ただ、何処で出会うか、戦うか、というのはとても重要だから
まずそれを決めようと思うんだけど、これについて何か案があるかしら?
- 3 名前:田村玲子 ◆bOIWj9Hr0g :2008/11/25(火) 22:41:16
- 書き込み失敗1
名前欄が未記入だったわ。
- 4 名前:日守 秋星 ◆g.FomaLl7. :2008/11/26(水) 01:45:59
- まずは相手してくれてありがとうございます。今後ともよろしくお願いしておきます。
いやー、本当に相手が居て良かった。
一週間とか放置されたら陰スレで暴れだす所でした!
>>2
導入について。
基本、後藤さんは悪魔憑きじゃないんで興味ありまセン!
と言う事で、後藤さんが誰かを殺してるのを見たオレを消そうとする方向がいいです!
というか殺してください(ぉ
そりゃもう、2,3回ぐらいは!
それでですね先生。こういうの考えてみたんですが……
・導入1(後藤くん執筆)場所:どこかのビルの屋上。
戦う理由:そこでの殺人を見られた後藤くんが偶然居合わせた目撃者を消すため。
・導入2(オレ執筆)場所:どこか死に易そうな場所。地下鉄の駅とか。
戦う理由:偶然、目撃者が生きてるのを見つけた後藤くんが再び消すため。
・導入3決戦(それぞれ執筆思いのたけをぶつけよう!)場所:9巻の庁舎内
戦う理由:これ以上お仕事の邪魔をされたらかなわないので、手を出さないようにお願いしに行きます。
もちろん、他の方々も人間の皆さんもパーっと一緒に遊びまショウ!
どうですか、先生?
- 5 名前:田村玲子 ◆bOIWj9Hr0g :2008/11/26(水) 23:45:51
- 礼はお互い様よ。一人では闘争は成り立たないわ。
それに、私だって楽しいのよ。(まるで人間のような台詞だ。)
どうせやるなら良い闘争にしましょう。
それで導入なんだけど、姿を変えられる私達が、目撃者を殺すために
能動的に動くというのは少し厳しいわ。
むしろ日守さんが他者(チンピラ、パラサイト、悪魔憑き等々)を殺害して
その現場を後藤さんが目撃、追跡という形に出来ないかしら。
望み通り死ぬまで追いかけるわよ、彼はああ見えてもマメな性格だから。
地下鉄という場所は面白そうね。
危険な上に人間が沢山いるわ。
なるべく無関係な人間を巻き込む方向でいくというのは私も賛成よ。
- 6 名前:日守 秋星 ◆g.FomaLl7. :2008/11/27(木) 03:41:10
- 「バカな!? 貴様、なぜまだ生きている……!?」
森祭りの時の『オレ』も言われてるけど、オレである限りやっぱり上の台詞は言われたいワケですよ!
そこで考えたんですよ。二部構成、あるいは三部構成にしてはどうかってね。
それと後藤くんが能動的に動かざる得ない理由と……
必要以上の死亡確認をされないために広川市長を使うってのはどうですか?
流れとしてはこんな感じー
ステージ1高層ビルの屋上:後藤くんが誰かを殺害。で、広川さんとヤバ気な会話。
↓ ↓
だがしかし、あれれ!? 変な黒コートに見られてますヨ!
広川さんは人間なので見られちゃ困りますね?仕方ないので口封じー
↓ ↓
後藤くんも広川さんもオレ的にハズレなんですよねー
とっとと逃げたいけ高層ビルを一階一階降りてたら逃げれそうにないしー
仕方ねーので、上手く刺されてビルから落下。わー!やーらーれーたー!
↓ ↓
【閑話休題】
↓ ↓
ステージ2商店街の裏通りとか:オレ、お仕事中。
↓ ↓
後藤くん、オレ発見。人違いかも知れないけど殺しとくかー
↓ ↓
またもやオレ死亡!?確認の必要が無さそうな、あるいは確認出来無い死に方。
↓ ↓
【閑話休題2】
↓ ↓
最終ステージ:地下鉄構内または市役所庁舎。お仕事の邪魔されると敵わないので手を出さないようにお願いに行くオレ。
↓ ↓
やっとお互い殺す気でのバトル開始。いやいや序章が長い長いw
この流れでもわかるとおり、殺人鬼として指名手配されてるオレだけど無差別に誰でも殺すワケじゃないんですよー
なのでハズレなのが丸分かりなパラサイトを殺す理由がないしー
後藤くん、パラサイト以外の誰かを殺してるのを見たからって追ってこないでしょ?
で、こんな感じに構成してみました!
欠点は、ちょっと長くなりそうなトコロ?
>なるべく無関係な人間を巻き込む方向でいくというのは私も賛成よ。
酷いなー玲子サンは!
オレは無関係な哀れな犠牲者を犠牲者らしく丁重に殺して悦ぶような悦楽殺人者じゃないですよー
ホントだよーウソじゃないぞーウソを吐いてもトモダチだー毛虫には尻尾がないぞー
でも、それをするなら最終ステージは市役所庁舎がベストかなー?
基本、敵意の無い人とか戦意喪失した人には興味ありまセン!
でもでも、あえて一般市民の方を守ろうとしるワケでもないし、地下鉄でも犠牲者は出るでしょう!
- 7 名前:田村玲子 ◆bOIWj9Hr0g :2008/11/27(木) 21:15:45
- OK,了解したわ。
確かに広川さんが見られた場合だと追いかける理由は十分ね。
こちらには反対する理由もないので>>6方向で導入に入ろうと思うわ。
- 8 名前:日守 秋星 ◆g.FomaLl7. :2008/11/27(木) 22:11:05
- 今日、寄生獣7〜10巻読んだー
ブックオフで立ち読みなのがカッコつきませんが後藤くんにかんしては完璧です!
というか、マズい事にオレって後藤くんの天敵じゃん!?
『燃やす』のは禁じ手――というか禁則事項――というか反則――というかダメ出し?は違うか。
とにかく、こっちは特殊能力の一つを封印指定しまーす。
いやいや、ホント10巻読んで良かった良かった……危うく一撃死させる所ですよ。
まー、そういうワケでこっちの準備は整いました。
たしか玲子先生はDDD読んでねーですね?
案を練る上で分からない事があれば何でも聞いてください!
謎とかー?
疑問とかー?
不思議とかー?
ドラえもん99のひみつ道具とかー?
- 9 名前:日守 秋星 ◆g.FomaLl7. :2008/11/28(金) 21:49:40
- 会議室スレとか見て来たんだけどさー
導入ってどうしたら良いんですか。いや、完成形は見てるけど、作っていく過程がよくわからないのです。
ちょうど料理の本を見て、作り方も知ったし食べたことあるんで味もわかってるけど、基本的なことがわからないので大さじ小さじって何ですかーみたいな。キツネ色になるまで焼くっていうのも良く分からないよなー
この場合、こちらから草案をあげた方が良い?
玲子先生の書くのを見てから対応するのを書いたら良い?
悪いね。こんな初歩的なこと聞いちゃってさー
- 10 名前:田村玲子 ◆bOIWj9Hr0g :2008/11/29(土) 01:09:38
- 天敵だから面白いのよ。こういうのはね。
それと封印する必要はないと思うわ。刺されて燃やされるのはやられたほうが悪いわけだし。
二つ聞きたいことがあるんだけどまず、あなたの得物と攻撃方法について
杭というものは戦闘時いつの時点で発熱発火するのか、教えてもらいたいわ。
二つ目、警察機関が得ているあなたについての情報(殺害方法、不死性についてなど)
聞いてばかりで悪いけれどお願いするわ。
導入についてなんだけど、出来れば最初に書かせてもらえると助かるわ。
- 11 名前:日守 秋星 ◆g.FomaLl7. :2008/11/29(土) 21:33:18
- ほほーなるほどー。それって経験則?達観?一般論?なんでもいいか。
面白いのが一番大事だしー
えー、では質問に答てしまいます!玲子サンだけに話すんだからなー皆にはナイショだぞー
まず、得物。
形状的には『鉄パイプを斜めに切り落としたような物』とも『杭』とも『カタナ』とも表現されてるんで、鉄パイプを斜めに切り落としたような形状の杭をカタナみたいに振り回してるんだと思うんですよ。
こう、ヤンチャな少年時代に風呂敷をマントにして野原を走り回った夏が過ぎ風邪をひきーだっけ?そんな感じ。
使い方は突く刺す斬ろうとするけど斬れてなーいなどなど。
その他の攻撃方法は普通に肉弾戦ですよ?
火を噴いたりとかビームを出したりとか体の一部とか全部とか恥部が変化したりしまセン!
発火のメカニズムというか仕組みというか、ああ、一緒だっけ?そういうのはよくわかりません!
得物そのものがアリカ先生の手みたいなモノで出来ていて、悪魔付きを燃やすのか、
普通のテクノロジー?現代科学で出来る範囲とかで作られた発火装置付きなのか……
はたまたオレの悪魔付きとしての能力なのかはハッキリしてないのです!
まあ、オレ自身がそう言うのはナンですので悪魔付きとしての能力という事にしておきます。
鉄パイプ状の得物を通して自身の血を送り込み、発火させる悪魔付きですヨ。
シンカー相手に『くそったれな血を燃料に使う命要らずがオレ以外にも居ようとはね』とか言ってたんで間違いないでしょう!
……なんかオレ、痴呆症の老紳士みたくなってないか?
不死性に関しては簡単ですよ。
人間ってのはもともと死ににくい生き物なんだから死なない様にしてるだけですよ。
首を刎ねられたり心臓を潰されたりしたら死ぬでしょ。ふつー。
オレだって死にますよ。悪魔付きは頑丈に出来てるって言っても限度がありますって。
まあもっとも――
D判定と言われる化物どもなら心臓がなくても生きる奴もいるかも知れないが――
オレなんて全然不死じゃないですよ。
ただ不滅だったんで不死身の吸血鬼なんて呼ばれただけですって。
警察とか医学会とかで悪魔付きはちゃんとした病気と認識されてるんで、普通に殺したら死ぬことは知られてるハズです!
しかもオレ、一度入院して検査されてるんでB判定とC判定の間ぐらいという、
普通の人間に近い身体の弱い悪魔付きだってバレてますしー
まあ、なぜ生死不明な状況下から生還し続けてるかは知られて無いです。
不死性についてはこんな感じで、次ぎはその他の情報。
20人以上を殺害した殺人鬼として指名手配されてます!
身長は高く、細身だけど武道家みたく引き締まった身体をして手が大きく、
いつも黒のロングコートをはおって色の抜けたロンゲで乱杭歯がキュートな29歳♥
あと、一応言っておくなら腕力も体力も速度も殺傷能力も後藤くんの方が上だね。
真正面から戦ったら、こりゃ、しんどいだろうなー
こんなもんで良いかい?
あと、導入は了解ですんで、お手本を見せてください先生!
- 12 名前:◆bOIWj9Hr0g :2008/11/30(日) 23:04:24
- なぜかも知らずこの世へと
いずこからか水のごとく流れ着き
荒野を吹き抜けるようにこの世から
いずこへとも知らず風のごとく去る。
― ウマル・ハイヤーム
その種は突如として発生した。
生物の進化系の統樹のどこにも配置できない、完全なる新種。
その種の性質が解明されていくにつれて、人々はそれを人類の天敵や
増えすぎた人間達への自然の制裁などと呼んだ。
いかにも人間本位で傲慢な考えである。
この地上で最も繁栄しているのは目に見えぬ細菌達であり
肉眼で確認できるものに限定した場合でも地球の覇者は昆虫達であり
哺乳類にまで絞ったところで、多様性という面から見ればホモ・サピエンス以外の種が滅んだヒト属は
増えすぎるどころか滅ぶ手前にあると言えるだろう。
だが、滅びに瀕しているとはいえ、人類はこの新たな隣人に比べればまだ幸せである。
なぜなら彼らは、自らの肉体のみでは生存する事すらできず、個体数は人間に比べて圧倒的に少数であり、その上生殖能力すらない。
それでも彼らは一握りの力と得たばかりの知恵を絞り、懸命に今日を生きていた。
……人に寄り添い、その生命が尽きるまで。
- 13 名前:◆bOIWj9Hr0g :2008/11/30(日) 23:11:06
- なぜかも知らずこの世へと
いずこからか水のごとく流れ着き
荒野を吹き抜けるようにこの世から
いずこへとも知らず風のごとく去る。
― ウマル・ハイヤーム
その種は突如として発生した。
生物の進化系の統樹のどこにも配置できない、完全なる新種。
その種の性質が解明されていくにつれて、人々はそれを人類の天敵や
増えすぎた人間達への自然の制裁などと呼んだ。
いかにも人間本位で傲慢な考えである。
この地上で最も繁栄しているのは目に見えぬ細菌達であり
肉眼で確認できるものに限定した場合でも地球の覇者は昆虫達であり
哺乳類にまで絞ったところで、多様性という面から見ればホモ・サピエンス以外の種が滅んだヒト属は
増えすぎるどころか滅ぶ手前にあると言えるだろう。
だが、滅びに瀕しているとはいえ、人類はこの新たな隣人に比べればまだ幸せである。
なぜなら彼らは、自らの肉体のみでは生存する事すらできず、個体数は人間に比べて圧倒的に少数であり、その上生殖能力すらない。
それでも彼らは一握りの力と得たばかりの知恵を絞り、懸命に今日を生きていた。
……人に寄り添い、その生命が尽きるまで。
- 14 名前:◆bOIWj9Hr0g :2008/11/30(日) 23:11:51
- 田宮良子と名乗る個体は、寄生生物の中でも知的好奇心が強く、何事にも興味をもち様々な実験を行っていた。
性交をして子供を作る試みや、寄生生物の、寄生生物による、寄生生物のための町づくり計画もその一つである。
そんな彼女?はまた一つ実験を行おうとしていた。
実験素材の前で、これから行う実験の趣旨を仲間達に説明し始める。
「ところでもう三度も失敗しているが、本当に可能なのか?」
「私の予測が正しければ、可能なはずよ。
それに失敗の原因は分かっているわ、五体もの仲間を同時に寄生させると、仲間同士の連結ががとても難しくなるの。
それでも3度目は13時間は上手くいっていたわ。今度こそ『後藤』が完成するわよ。」
「なんでもいいが、付き合わされる身にもなってくれ。」
「じゃあ早速はじめましょう。」
実験素材は田宮良子の顔がゴムのように変形したのを見た。
次の瞬間、零れていく視界から自分の胴体を見た。
転がり落ちた先で、同じく切り落とされた手足を見た。
次第に消えていく意識の中で、田宮良子の言葉を聞いた。
「さあ、早くして、血液がもったいないわ。」
屋上のドアを開けると、広川の視界にパイプ椅子に座りスーツを着た男の背中が飛び込んできた。
奇妙な光景だったが、広川は動じずにビジネスマン風の男に声をかけた。
「ああ、やっと見つけたよ、後藤さん。」
後藤と呼ばれた男は、くちゃくちゃと口に含んだ食べ物を咀嚼しながら振り返ると
じっと男を見つめてから食べ物を飲み込み、口を開いた。
「どうした、ボス。」
「食堂≠フ件で相談がある。」
「何か問題でも起こったのか?」
「いや、そうじゃない。以前議題に上がった食堂≠フ数についてなんだが、現状ではまだ数が多いようで
こちらの方でも利用状況を把握しきれていないんだ。
そこでもう一度数を減らそうと思うんだが、一番食欲のある後藤さんなら、どれくらい必要か聞いておきたくてね。」
「貯蔵庫≠設置する案も出ているんだろう?それが通れば三つもあれば十分だ。」
「ふむ、それくらいなら把握は容易いな。貯蔵庫≠ノついてはまだ未定だが。」
「貯蔵庫≠フ管理はどうする気だ?」
「交代で見張りをつける形になるだろうな。後藤さんにもやってもらうよ。」
地面に落ちている左腕を拾い、その白い細腕を肩の付け根からゴリゴリと齧りながら、後藤が呟いた。
「……我々もやる事が人間染みてきたものだ。」
「ここも閉鎖するのか?」
「予定ではそうだ。」
「そうか、残念だ。ここは景色が良くて、気に入っていたのだが。」
「なに、立ち入るだけなら自由だよ。」
「見晴らしのいい場所で食事したいんだ。ところで、選挙の方はどうだ?」
「市民の反応は上々だ。特に若い女性からの反応が良い。」
そこまで言って、広川は後藤が食べている腕に気がついた。
もう掌から肘の部分までしかないが、恐らくは女性のモノと思われる。
「だからしばらくは女性は控えてくれると助かる。」
「安心しろ、本人は19歳と言っていた。」
「そうか、なら良いが。」
後藤が腕を食べるのを広川は興味深く見つめていた。
- 15 名前:田村玲子 ◆bOIWj9Hr0g :2008/11/30(日) 23:26:56
- ミス2 スペースが開いていない。
情報をありがとう。
29歳の男性を表現するのにキュートという単語が適切かどうかは置いておいて。
なるほど顔も割れているわけね。
20人も殺した殺人犯なら私達は兎も角、広川さんは顔と名前くらいなら知っている、か。
それと遅くなったけど>>13>>14がこちらの導入案よ。
- 16 名前:日守 秋星 ◆g.FomaLl7. :2008/12/02(火) 01:29:15
速いかと問われれば否と答えよう
疾いかと問われれば、やはり否と答えよう
造り上げられた競技車両に速度では及ばない
それでも何かを掛け算すれば匹敵しよう
命を賭けろ
アクセルを緩めるな ブレーキを踏むな
悲鳴を上げる原動機に更なる燃料を送れ
恐れる理性に狂気を過給
命懸けで不滅を奔る 灼熱の最高速―フォウマルハウト―
日守秋星は改造人間である。
異名はまだない。
色の抜けた長髪を風になびかせ、夏でも黒いコートをひるがえし、目を隠すサングラスの下には酷薄に嗤う乱杭歯。
殺した相手は両手両足の指にあまり、殺人鬼として指名手配され、吸血鬼と噂される。
つまり異名はと問われれば、即ち殺人鬼であり吸血鬼。
しかし日守秋星の異名は、いまだ無い。
趣味で殺人鬼をやっている節もある日守秋星にとって、そのまんま殺人鬼と呼ばれたり、
安直で地味な吸血鬼などという異名では、なんと言うかイマイチ派手さにかける。
そこで白羽の矢を一方的に立てられ、拒否権も無く日守に付きまとわれる哀れな一般人が一人。
その哀れでどうしようもなく悲惨な一般人が、何の因果か持ち前の人の良さで黒コートの怪人のプレゼンをしたのが昨晩。
『臓腑スクム』なる意味不明だがインパクトだけは最高峰な異名を押しのけ、その日、日守秋星は生涯最高の異名を得る事になった。
しかし――
未だ、日守秋星には名乗り上げるべき異名(コトバ)がなかった。
- 17 名前:日守 秋星 ◆g.FomaLl7. :2008/12/02(火) 01:30:02
- 街を見下ろす高い塔という物は権力の象徴。
見下ろす事でしか己を確認出来無い哀れな為政者たちは常に其処を求めて来た。
だが、それとは別の理由で其処を求める者も居る。
それは煙と同列に扱われる程の軽薄さと、煙と同列に扱われる程の自由を持つ者。
すなわち――
「あとは、こう――観客の目に焼きついて毎晩悪夢に見ながら憧れてしまうようなポーズと名乗り上げですよ」
――バカである。
煙とバカは高い所へ登ると言うが、その通り日守秋星は高い所が大好きだった。
高い所に昇れば他人を見下ろせるから気持ち良い。ははは人がゴミのようだー!
などという理由ではなく、この雄大な景色に比べれば人間なんてちっぽけなモノだぜー。とか。
あまつさえ、空がこんなに近いの!ふふふ鳥になったみたいだわ!なんて理由でもない。
ただ単に、高い場所は他に視界を遮るものがなく――■が良く見える。
「やっぱ、何度でも蘇るって台詞は必須ですよー」
この街でも高いビルの集まる辺りで、一際高い高層ビル。
その屋上の、さらに出来るだけ高くと言う事で、給水タンクの上……
の更に上。タンク内に藻が生えないように太陽光を遮る為のカバーを組む鉄骨の上に腰掛たりしながら、
鼻歌で『今日もどこかでデビルマン』などを歌いながら、バカは■を見る。
「こう、オレのアイデンティティ……アイディンテイテ?なんかそう言うのに関るって言うかー」
バカはバカらしく、鼻歌交じりにバカな悩みを真剣に考えながら独り言をブツブツと呟き、その間中ずっと――
■を見ていた。
例えば、このビルにも■は見える。
震度7の地震に耐え、長周期地震動すら考慮された最新の耐震免震技術を投入されたビルでさえ、
存在している限り■はある。
当然、不死を謳う日守秋星自身にも■はある。
このビルの■が現出すれば、その上にいる自分は当然のように■ぬだろうし、
眼下に広がる街も■で溢れるだろう。
「カッコよく名乗りたいしー、ここはオレじゃなくて我とか言った方がいいかも。うんいいな!」
ビルの下を歩く人たちに、崩れたコンクリートが降り注ぎ、潰されて■人が出る。
割れたガラスが落下して、不運な通行人を切り裂き、また■ぬ。
破片に衝突した車が歩行者に突っ込み■ぬ。
その衝撃で運転手が■ぬ。ああ、シートベルトをしてるから■なないか?
でも、エンジンが燃えて、火に包まれて、やっぱり■ぬ。
横倒しに倒壊したビルが他のビルを押し倒し、さらに■は拡大していく。
ああ、世の中はこんなにも■に易い。
日守秋星は常に、0.2秒先の■を夢想していた。
そんな彼の脳内妄想に比べれば、目の前にある■なんて比べるべくもない。
ビル倒壊なんて言う大災害に比べれば、女が一人食われるのなんて騒ぐこともない事だ。
だから。
「それに『血』ってキーワードは外せまセン!」
日守秋星はあくまでマイペースにバカをしながら、死を見つめていた。
- 18 名前:日守 秋星 ◆g.FomaLl7. :2008/12/02(火) 01:36:31
- >>13>>14の導入案を受けてのオレの導入案>>16>>17です。
うん、すごくイマイチ。
何だろう?日守秋星の在り方と居場所の説明だけで、こんなに長くてなんというかバカだなー
どうですか先生?
これで目が合って開始ってトコで良いですかー?
それとも、こっちの導入で目が合う所まで書いてしまった方が良いですかー?
PS
インフルエンザで考えがまとまりません。タミフルー
- 19 名前:田村玲子 ◆bOIWj9Hr0g :2008/12/02(火) 23:31:45
田宮良子と名乗る個体は、寄生生物の中でも知的好奇心が強く、何事にも興味をもち様々な実験を行っていた。
性交をして子供を作る試みや、寄生生物の、寄生生物による、寄生生物のための町づくり計画もその一つである。
そんな彼女?はこれからまた一つ実験を行おうとしていた。
捕らえた実験素材の前で、ホワイトボードに図と文字を書き込み
これから行う実験の趣旨を仲間達に説明し始める。
「一つの体に5体、これにより頭部及び、四肢は完全に寄生部分となるわ。
加えて余すところなく全身を硬質部分で被うことが可能。単純な戦力でいえば我々の中でも……。」
説明の途中で、4つの目をギョロつかせた老人風の男が疑問を口にした。
「それは以前も聞いた。それよりも、もう三度も失敗しているが、本当に可能なのか?」
「私の予測が正しければ、可能なはずよ。
それにもう失敗の原因は分かっている、五体もの仲間を同時に寄生させると、仲間同士の連結ががとても難しくなる。
それでも3度目は13時間は上手くいっていたわ。大切なのは練習。要は慣れよ。」
若者風の男が唐突に大口を開けて豪快に笑った。
「ハハハハッハハハ。もう説明はいいから、早くやりましょうよ!」
田宮良子が実験素材に向き直り、無表情のまま実験の開始を告げた。
「じゃあ始めましょうか。」
実験素材は逃げようともがいたがけれども、生憎ときつく縛られたロープに綻びなどはなく
咥えられた猿轡のせいで、大声を上げることも出来ず
結局、この素材が最後の瞬間に出来た事は、迫り来るモノを見る事だけだった。
まず実験素材は田宮良子の顔がゴムのように変形したのを見た。
次に、零れていく視界から自分の胴体を見た。
その後は転がり落ちた先で、同じく切り落とされた手足を見た。
次第に消えていく意識の中で、田宮良子の言葉を聞いた。
「さあ、早くして、血液がもったいないわ。」
- 20 名前:田村玲子 ◆bOIWj9Hr0g :2008/12/02(火) 23:32:40
- 屋上のドアを開けると、広川の視界にパイプ椅子に座りスーツを着た男の背中が飛び込んだ。
奇妙な光景だったが、広川は動じずにビジネスマン風の男に声をかけた。
「ああ、やっと見つけたよ、後藤さん。」
後藤と呼ばれた男は、くちゃくちゃと口に含んだ食べ物を咀嚼しながら振り返ると
じっと男を見つめてから食べ物を飲み込み、口を開いた。
「どうした、ボス。」
「食堂≠フ件で相談がある。」
「何か問題でも起こったのか?」
「いや、そうじゃない。以前議題に上がった食堂≠フ数についてなんだが、現状ではまだ数が多いようで
こちらの方でも利用状況を把握しきれていないんだ。
そこでもう一度数を減らそうと思うんだが、一番食欲のある後藤さんなら、どれくらい必要か聞いておきたくてね。」
面倒くさそうに後藤が答えた。
「貯蔵庫≠設置する案も出ているんだろう?それが通れば三つもあれば十分だ。」
「ふむ、それくらいなら把握は容易いな。貯蔵庫≠ノついてはまだ未定だが。」
「貯蔵庫≠フ管理はどうする気だ?」
「交代で見張りをつける形になるだろうな。後藤さんにもやってもらうよ。」
地面に落ちている左腕を拾い、その白い細腕を肩の付け根からゴリゴリと齧りながら、後藤が呟いた。
「……我々もやる事が人間染みてきたな。」
「で、ここも閉鎖するのか?」
「予定ではそうだ。」
「そうか、残念だ。ここは景色が良くて、気に入っていたのだが。」
「なに、立ち入るだけなら自由だよ。」
「見晴らしのいい場所で食事したいんだ。ところで、選挙の方はどうだ?」
「市民の反応は上々だ。特に若い女性からの反応が良い。」
そこまで言って、広川は後藤が食べている腕に気がついた。
もう掌から肘の部分までしかないが、恐らくは女性のモノと思われる。
「だからしばらくは女性は控えてくれると助かる。」
「安心しろ、本人は19歳と言っていた。」
「そうか、なら良いが。」
後藤が腕を食べるのを広川は興味深く見つめていた。
- 21 名前:田村玲子 ◆bOIWj9Hr0g :2008/12/02(火) 23:48:15
- >>14を若干修正して、二つに分割。
そう?良い導入だと思うし、長さも気にする程でもないわ。
特に意見がなければ、こちらのレスは視認する段階に入ろうと思うけど、如何?
それとインフルエンザは侮ってはダメよ
外出も控えて、薬を飲んで安静に、部屋の中でもマスクをしなさい。
- 22 名前:日守 秋星 ◆g.FomaLl7. :2008/12/03(水) 17:32:14
- >>21
なんで?って聞かれると困るけどさ。>>14の方が好きだったような……
いやホント、特に理由はないんだけどー
うい。じゃあ視認してくだサイ!
穴が開くくらいオレを見てぇぇぇっ!
あと余談だけど、今年のインフルエンザは三種類ぐらい同時に流行ってるんだって。
お陰で血液検査しなきゃ注射も打てないそうで……
血液検査の結果が出る頃には治ってるっての!
そんなワケで、もしレスが途絶えたら肺炎とか併発してると思うんで戻るまでまっててください。
- 23 名前:田村玲子 ◆bOIWj9Hr0g :2008/12/05(金) 00:09:00
「ところで、今気がついたんだが、あの人は人間か?」
広川は、給水タンクの上を見上げ、ポツリと呟いた。
「人間だ。」
「おかわり、かな。」
「違う。結果的にはそうなるだろうがな。おれよりも先に居た。」
「さっさと処理してくれないと困るな。ここから逃げられないにしろ、携帯電話で通報されたらどうする気だ。」
「電話を取り出す前に仕留めるさ。それに、あいつは110番などできんよ。」
「なぜ?」
「ここからでは顔までは見えんか?指名手配犯だ。あの顔は交番で見かけた。容疑は殺人が20件ほど。」
広川が思考巡らすと一人の名前が浮かんできた。
「……日守 秋星?」
「そうだ。」
「殺人犯がこんなところで何をしているんだ?」
後藤は残った掌を一口で飲み込み、ガリガリと噛み砕く。
「知るか。人間の事はあんたの方がずっと詳しいだろう。」
「どうかな。」
「……やはりよく分からんな。人間は。」
後藤はそう一言漏らし、立ち上がって鉄骨に腰掛けながら独り言を喋る男を見据えた。
「同族が食われるのを見て、全く動じないとは、なかなか大物だな。」
「いや、精神に異常をきたしてるのかも知れん。手配犯は普通、屋上のような逃げ場のない場所には立ち入らない。」
「あいつがもしドラックの使用者だったら処理を頼む。食いたくない。」
「分かった、君は気にせずやってくれ。」
広川が言葉を言い終わると、後藤は日守に向かってゆっくりと歩み始めた。
- 24 名前:田村玲子 ◆bOIWj9Hr0g :2008/12/05(金) 00:14:10
- かかった時間の割りに出来が……。細かいところは要修正ね。
まあ、とにかく>>23が次レス案よ。
12月中は私も忙しくなりそうだから気にしなくて良いわ。
ゆっくりと養生しなさい。
- 25 名前:日守 秋星 ◆g.FomaLl7. :2008/12/05(金) 22:40:34
- >>23
校舎の屋上で一服しながら不良やりながらでも期末試験は受けとかないと大学入って遊べないなー
などと考える、昭和の時代に硬派を謳った不良が見たら激怒しそうな今風のヤンキーのように座ったまま呆けている日守秋星の前で事態は進行していく。
しかし彼は無視している訳ではなかった。
女性の腕をポリポリと齧る……ゴリゴリと咀嚼する男と平然と会話する男。
そんなものを見たところで、特に関係の無い話しは関係の無いコトと割り切って、気にしていないだけだ。
だが……
「おかわり、かな。」
「違う。結果的にはそうなるだろうがな。おれよりも先に居た。」
などと会話されれば話しは別だ。
「むう。そう言えば腹が減ったなー
最後にまともな飯たべたのいつだっけ?今朝は早起きな爺様と鉢合わせしちまいましたしー」
ひい、ふう、みい、と指折り数えて18時間も食べてない事に気づき、自覚したなら早く飯を食わせろと腹の虫がグー……
ハラペコで電車に乗っている時にどこからともなくケンタッキー州の鳥唐揚げの匂いが漂ってきました。うわ、たまんねーって程度の影響を与える事態ではあるらしい。
そんな日常よくある光景を堪能しつつ平和だなぁと彼が感想を抱いていると、男のうち一人が近付いてきた。
明らかな殺気を纏い近寄る男に、彼は片手を上げて挨拶する。
もちろんヤンキー座りのままで。
「ん?なんですか?あ、お邪魔でした?食事を見られるのが嫌なタイプ?居る居る!新婚ほやほやの愛妻弁当を見られるのが恥ずかしくて、でもちょっぴり見て欲しくて回りを気にしながら隠すでもなくコッソリ食べたいとか、でも実は夫婦喧嘩の真っ最中で自作日の丸弁当ですから見ないでーのような?ダメですよー日本男児たるもの堂々と食べないと!」
などと陽気に……というか馴れ馴れしくも語りかけながら。
「でもまあ、安心してくだサイ!オレもハラペコなのでそろそろお暇しようと思っていた所です」
- 26 名前:日守 秋星 ◆g.FomaLl7. :2008/12/05(金) 22:48:59
- ほぼ大丈夫。OKOK。
あ、OKOKって横にしてみると肩車っぽいよなー。というか組み体操?
というわけで次レス案が>>25です。
薬キマッてんのかコイツという不陰気(←なぜか変な変換でた)を出したくて出したくて、
なかなか出来無いなーと思ってたんですが、伝わってるみたいで安心しましたよ。
というか原典読んだんデスカー?
薬物中毒者うんぬんって言われてるシーンあるしー
- 27 名前:田村玲子 ◆bOIWj9Hr0g :2008/12/07(日) 16:56:13
- >>25
日守 秋星
男性。
推定身長180cm〜190cm程度。推定体重最高で100kg程度。
年齢不明、20代後半。
体格、年齢からおそらく人間の中では高水準の身体能力の持ち主。
武器の所持、不明。ライフル等は持っていない、刃物所持の可能性は大いにありうる。
備考、殺人犯。
……問題ない。
後藤より右足及び左足へ―前進
表情一つ変えずに後藤は距離を縮めていく。
後藤にとって、この仕事は人間が家畜を捌く行為と同じでしかない。
しかもこれから捌く動物は見たところ自分より小さく、角も牙も持っていない。
怖れる理由などなかった。
近づき始めると、餌が話しかけてきた。
「でもまあ、安心してくだサイ!オレもハラペコなのでそろそろお暇しようと思っていた所です」
どうもこの場から生還する気らしい。
「楽観が過ぎるな。わざわざ逃がすと思うのか?」
後藤より右足及び左足へ―筋力調整、跳べ
ギュッと何かが引き締まる音がしたかと思うと、後藤の両足が力強く地面を蹴り上た。
助走をつけずにゆうに10mは跳躍し、日守のいる鉄骨の上まで一気に降り立つ。
「無駄な努力だが、もがきたければもがけ、後悔のないようにな。」
後藤より右手へ―硬化、伸張、貫き手。
ヒュッと風を斬り裂いて、後藤の右手が蛇のようにうねった。
- 28 名前:田村玲子 ◆bOIWj9Hr0g :2008/12/07(日) 17:12:19
- >>26
次レス案>>26
取り合えず攻撃させて貰ったわ。
残念だけど原典はまだ見てないわ。
広川と後藤の会話はあなたのレスを見て
純粋にジャンキーに似てると思ったからよ。
実際に中毒者というわけではないわよね?
- 29 名前:日守 秋星 ◆g.FomaLl7. :2008/12/10(水) 01:44:29
- >>27
「楽観が過ぎるな。わざわざ逃がすと思うのか?」
靴の下にバネでも付いているような、予備動作無しの跳躍で日守秋星と同じ足場に立つ男。
待ち受ける秋星は、いつの間にかゆらりと幽鬼の様に立つ。
強いビル風に黒いコートをはためかせ、右手には釣り竿の様な包みを……持っていなかった?
「無駄な努力だが、もがきたければもがけ、後悔のないようにな。」
「おっと、忘れ物忘れ物っと。」
ヒュッと風を斬り裂いて――――
得物を持つ為に再びしゃがんだ秋星の頭の上を後藤の右手が蛇のようにうねった。
「いやいや、これを忘れるなんてどうかしてます。もう年齢かなー?老化現象?平和呆け?ああボケはいつものことかー」
シュンと風を巻き込んで後藤の右手が巻き戻る。
ん、何だ? と日守秋星は後藤を見上げるが特に変化は無いように見える。
何か違和感はあるものの何もないのを気にしても仕方が無いと、よっこらせと声をかけて立ち上がった。
「いやホント、アンタら――どうみてもハズレっぽいんで無駄な殺生はしたくないんですよ
ここで見た事は忘れてあげますんで、アンタらもオレを忘れて科学薬品(化粧品)に塗れたジャンクフード(女)でも
食べながら、毒々しい世の中での生を謳歌しっちゃってくだサイ!」
- 30 名前:日守 秋星 ◆g.FomaLl7. :2008/12/10(水) 01:53:32
- >>28
次レス案>>29
ちょっと中途半端かとも思ったが、台詞で切ってみた。
もう一行動してもよかったんだけどねー
当然、薬物中毒者じゃありまセン!
あんなのダメだよー性能落とすだけだよー
まあ、ドーパミンとかアドレナリンとかエンドルフィンとかはザブザブでてるかも知れ無いけどね。
もし後藤くんが臭いとかでそれを感じられるなら、薬物中毒者と間違えるかもしれない。
- 31 名前:名無し子猫:2008/12/14(日) 08:48:05
- >>29
――――――――――――!
必殺の刃が当たるすんでのところで、獲物はひょいと身を屈めた。
空振り。この初めての体験に、ほんの一瞬だが、後藤は僅かに混乱した。
だが次の瞬間には思考をまとめ、動揺から立ち上がる。
老化だのボケだのと自虐するこの獲物は、一見とぼけているが……
もしかしたら、自己の狩猟本能を満たしてくれる素材なのかも知れない。
「……まぐれでなければいいがな。」
偶然にせよ、故意にせよ、避けたのならなら次手で確実に仕留める、より速くより強くより多数で。
結局のところそれだけの話だ。
獲物は何かを拾い上げ、またこちらに語りかけてきた。あくまでも飄々とした態度は崩さずに。
「食欲だけが生ではない。運動も必要だ。それにしても、大きく出たな。」
後藤より左腕へ―硬化、伸張、刃数三
異様な音を立てて、後藤のスーツの左腕部分が弾けとぶ。
再び、蛇が秋星を襲った。
ただし今度は後藤の肘から先が三つ又に別れ、一箇所ではなく足、胴、頭の三箇所を切り裂くために。
避けろ、避けて見せろよ、殺人鬼。
- 32 名前:田村玲子 ◆bOIWj9Hr0g :2008/12/14(日) 08:51:58
- 書き込みミス3
>>31は私よ
専ブラの調子がおかしい…?
そろそろ反撃かしら。
- 33 名前:日守 秋星 ◆g.FomaLl7. :2008/12/17(水) 01:21:06
- >>31
「食欲だけが生ではない。運動も必要だ。それにしても、大きく出たな。」
言うや否や後藤のスーツが弾け、左腕が在った筈の場所から飛来する刃が三つ。
獰猛な毒蛇が獲物に飛襲する様に伸びたそれは、伸長と言うより飛翔に近い。
それが三つ。
それぞれが別方向へと伸長し同時に襲い掛かるのだ。
どれほどの反射神経を持ってしても、その全てを回避するのは不可能だろう。
当たれば死を招き、回避し難い攻撃……
人はそれを必殺と言う。
――しかし。
「――――ハッ!」
日守秋星は笑っていた。
自らに向けられた確実に死を与える必殺の攻撃を前に、いつものように――
いつもより、さらに口の端を吊り上げ、不敵に嗤っていた。
いつもと変わらぬ危機感のない装丁で、迫り来る三つの刃を見つめる。
達人のみが至る境地。
一瞬である筈の時間が数分に匹敵するほど伸びた世界で、
迫り来る刃のそれぞれの軌道を読み、半瞬先の到達点を予測する。
足、胴、頭の三箇所に分散した同時攻撃のごく僅かな到達時間の差を確認。
その針の先のような極瞬に――――
「ひぎぃぃぃぃぃぃぃぃ――ッ!?」
ものの見事に全てを喰らって、鉄骨から転がり落ちた。ドサッ!
「なんだよーソレ反則だろーハズレのくせにそんなの反則だろー」
頭から赤い噴水をだし、左の大腿から下は真っ赤に染まり、腹からだくだくと流れるモノを左手で押さえながら、
右手に持った得物を支えになんとか立ち上がる秋星。
強がって減らず口を叩いていても、まさに満身創痍。
なのに、まだ――――
「ダメだぜ、お兄ちゃん。野生の動物は食後の運動なんかしまセン!余計な運動して無駄なカロリー消費するのは人間のする事だ――って人間か」
後藤の異様を目の当たりにし、それによって瀕死の重傷を負いながらも、
まだ狩り取る相手ではない、ただの人間と言う。
「でもまあ、こっちは余計なカロリー消費したくないんで――――」
死にかけた身体を押して片手で得物を構える。
――ギチリ――
と全身の筋肉を撥条にして狙いを定めるそれは、
野生の肉食動物が獲物に飛び掛る準備の撥条ようと言うより、
はじけた瞬間の弾機。
「ここらでサヨナラです!」
その相反する静と動が正しく動へと移行した。
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