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■ 日守 秋星 vs 後藤

1 名前:田村玲子 ◆bOIWj9Hr0g :2008/11/25(火) 22:12:25
このスレは日守さんと後藤さんの闘争スレよ。
よって第三者の書き込みは遠慮してもらうわ。

15 名前:田村玲子 ◆bOIWj9Hr0g :2008/11/30(日) 23:26:56
ミス2 スペースが開いていない。

情報をありがとう。
29歳の男性を表現するのにキュートという単語が適切かどうかは置いておいて。
なるほど顔も割れているわけね。
20人も殺した殺人犯なら私達は兎も角、広川さんは顔と名前くらいなら知っている、か。

それと遅くなったけど>>13>>14がこちらの導入案よ。

16 名前:日守 秋星 ◆g.FomaLl7. :2008/12/02(火) 01:29:15

速いかと問われれば否と答えよう
疾いかと問われれば、やはり否と答えよう

造り上げられた競技車両に速度では及ばない
それでも何かを掛け算すれば匹敵しよう
命を賭けろ
アクセルを緩めるな ブレーキを踏むな
悲鳴を上げる原動機に更なる燃料を送れ

恐れる理性に狂気を過給
命懸けで不滅を奔る 灼熱の最高速―フォウマルハウト―




日守秋星は改造人間である。
異名はまだない。
色の抜けた長髪を風になびかせ、夏でも黒いコートをひるがえし、目を隠すサングラスの下には酷薄に嗤う乱杭歯。
殺した相手は両手両足の指にあまり、殺人鬼として指名手配され、吸血鬼と噂される。
つまり異名はと問われれば、即ち殺人鬼であり吸血鬼。

しかし日守秋星の異名は、いまだ無い。
趣味で殺人鬼をやっている節もある日守秋星にとって、そのまんま殺人鬼と呼ばれたり、
安直で地味な吸血鬼などという異名では、なんと言うかイマイチ派手さにかける。

そこで白羽の矢を一方的に立てられ、拒否権も無く日守に付きまとわれる哀れな一般人が一人。
その哀れでどうしようもなく悲惨な一般人が、何の因果か持ち前の人の良さで黒コートの怪人のプレゼンをしたのが昨晩。
『臓腑スクム』なる意味不明だがインパクトだけは最高峰な異名を押しのけ、その日、日守秋星は生涯最高の異名を得る事になった。
しかし――


未だ、日守秋星には名乗り上げるべき異名(コトバ)がなかった。




17 名前:日守 秋星 ◆g.FomaLl7. :2008/12/02(火) 01:30:02
街を見下ろす高い塔という物は権力の象徴。
見下ろす事でしか己を確認出来無い哀れな為政者たちは常に其処を求めて来た。
だが、それとは別の理由で其処を求める者も居る。
それは煙と同列に扱われる程の軽薄さと、煙と同列に扱われる程の自由を持つ者。
すなわち――

「あとは、こう――観客の目に焼きついて毎晩悪夢に見ながら憧れてしまうようなポーズと名乗り上げですよ」

――バカである。


煙とバカは高い所へ登ると言うが、その通り日守秋星は高い所が大好きだった。
高い所に昇れば他人を見下ろせるから気持ち良い。ははは人がゴミのようだー!
などという理由ではなく、この雄大な景色に比べれば人間なんてちっぽけなモノだぜー。とか。
あまつさえ、空がこんなに近いの!ふふふ鳥になったみたいだわ!なんて理由でもない。
ただ単に、高い場所は他に視界を遮るものがなく――■が良く見える。

「やっぱ、何度でも蘇るって台詞は必須ですよー」

この街でも高いビルの集まる辺りで、一際高い高層ビル。
その屋上の、さらに出来るだけ高くと言う事で、給水タンクの上……
の更に上。タンク内に藻が生えないように太陽光を遮る為のカバーを組む鉄骨の上に腰掛たりしながら、
鼻歌で『今日もどこかでデビルマン』などを歌いながら、バカは■を見る。

「こう、オレのアイデンティティ……アイディンテイテ?なんかそう言うのに関るって言うかー」

バカはバカらしく、鼻歌交じりにバカな悩みを真剣に考えながら独り言をブツブツと呟き、その間中ずっと――
■を見ていた。

例えば、このビルにも■は見える。
震度7の地震に耐え、長周期地震動すら考慮された最新の耐震免震技術を投入されたビルでさえ、
存在している限り■はある。
当然、不死を謳う日守秋星自身にも■はある。
このビルの■が現出すれば、その上にいる自分は当然のように■ぬだろうし、
眼下に広がる街も■で溢れるだろう。

「カッコよく名乗りたいしー、ここはオレじゃなくて我とか言った方がいいかも。うんいいな!」

ビルの下を歩く人たちに、崩れたコンクリートが降り注ぎ、潰されて■人が出る。
割れたガラスが落下して、不運な通行人を切り裂き、また■ぬ。
破片に衝突した車が歩行者に突っ込み■ぬ。
その衝撃で運転手が■ぬ。ああ、シートベルトをしてるから■なないか?
でも、エンジンが燃えて、火に包まれて、やっぱり■ぬ。

横倒しに倒壊したビルが他のビルを押し倒し、さらに■は拡大していく。
ああ、世の中はこんなにも■に易い。
日守秋星は常に、0.2秒先の■を夢想していた。
そんな彼の脳内妄想に比べれば、目の前にある■なんて比べるべくもない。
ビル倒壊なんて言う大災害に比べれば、女が一人食われるのなんて騒ぐこともない事だ。
だから。

「それに『血』ってキーワードは外せまセン!」

日守秋星はあくまでマイペースにバカをしながら、死を見つめていた。


18 名前:日守 秋星 ◆g.FomaLl7. :2008/12/02(火) 01:36:31
>>13>>14の導入案を受けてのオレの導入案>>16>>17です。
うん、すごくイマイチ。
何だろう?日守秋星の在り方と居場所の説明だけで、こんなに長くてなんというかバカだなー

どうですか先生?
これで目が合って開始ってトコで良いですかー?
それとも、こっちの導入で目が合う所まで書いてしまった方が良いですかー?

PS
インフルエンザで考えがまとまりません。タミフルー

19 名前:田村玲子 ◆bOIWj9Hr0g :2008/12/02(火) 23:31:45

田宮良子と名乗る個体は、寄生生物の中でも知的好奇心が強く、何事にも興味をもち様々な実験を行っていた。
性交をして子供を作る試みや、寄生生物の、寄生生物による、寄生生物のための町づくり計画もその一つである。

そんな彼女?はこれからまた一つ実験を行おうとしていた。
捕らえた実験素材の前で、ホワイトボードに図と文字を書き込み
これから行う実験の趣旨を仲間達に説明し始める。

「一つの体に5体、これにより頭部及び、四肢は完全に寄生部分となるわ。
 加えて余すところなく全身を硬質部分で被うことが可能。単純な戦力でいえば我々の中でも……。」

説明の途中で、4つの目をギョロつかせた老人風の男が疑問を口にした。

「それは以前も聞いた。それよりも、もう三度も失敗しているが、本当に可能なのか?」
「私の予測が正しければ、可能なはずよ。
 それにもう失敗の原因は分かっている、五体もの仲間を同時に寄生させると、仲間同士の連結ががとても難しくなる。
 それでも3度目は13時間は上手くいっていたわ。大切なのは練習。要は慣れよ。」

若者風の男が唐突に大口を開けて豪快に笑った。

「ハハハハッハハハ。もう説明はいいから、早くやりましょうよ!」

田宮良子が実験素材に向き直り、無表情のまま実験の開始を告げた。

「じゃあ始めましょうか。」

実験素材は逃げようともがいたがけれども、生憎ときつく縛られたロープに綻びなどはなく
咥えられた猿轡のせいで、大声を上げることも出来ず
結局、この素材が最後の瞬間に出来た事は、迫り来るモノを見る事だけだった。

まず実験素材は田宮良子の顔がゴムのように変形したのを見た。
次に、零れていく視界から自分の胴体を見た。
その後は転がり落ちた先で、同じく切り落とされた手足を見た。
次第に消えていく意識の中で、田宮良子の言葉を聞いた。



20 名前:田村玲子 ◆bOIWj9Hr0g :2008/12/02(火) 23:32:40
屋上のドアを開けると、広川の視界にパイプ椅子に座りスーツを着た男の背中が飛び込んだ。
奇妙な光景だったが、広川は動じずにビジネスマン風の男に声をかけた。

「ああ、やっと見つけたよ、後藤さん。」

後藤と呼ばれた男は、くちゃくちゃと口に含んだ食べ物を咀嚼しながら振り返ると
じっと男を見つめてから食べ物を飲み込み、口を開いた。

「どうした、ボス。」

「食堂≠フ件で相談がある。」
「何か問題でも起こったのか?」
「いや、そうじゃない。以前議題に上がった食堂≠フ数についてなんだが、現状ではまだ数が多いようで
 こちらの方でも利用状況を把握しきれていないんだ。
 そこでもう一度数を減らそうと思うんだが、一番食欲のある後藤さんなら、どれくらい必要か聞いておきたくてね。」

面倒くさそうに後藤が答えた。

「貯蔵庫≠設置する案も出ているんだろう?それが通れば三つもあれば十分だ。」
「ふむ、それくらいなら把握は容易いな。貯蔵庫≠ノついてはまだ未定だが。」
「貯蔵庫≠フ管理はどうする気だ?」
「交代で見張りをつける形になるだろうな。後藤さんにもやってもらうよ。」

地面に落ちている左腕を拾い、その白い細腕を肩の付け根からゴリゴリと齧りながら、後藤が呟いた。

「……我々もやる事が人間染みてきたな。」


「で、ここも閉鎖するのか?」
「予定ではそうだ。」
「そうか、残念だ。ここは景色が良くて、気に入っていたのだが。」
「なに、立ち入るだけなら自由だよ。」
「見晴らしのいい場所で食事したいんだ。ところで、選挙の方はどうだ?」
「市民の反応は上々だ。特に若い女性からの反応が良い。」

そこまで言って、広川は後藤が食べている腕に気がついた。
もう掌から肘の部分までしかないが、恐らくは女性のモノと思われる。

「だからしばらくは女性は控えてくれると助かる。」
「安心しろ、本人は19歳と言っていた。」
「そうか、なら良いが。」

後藤が腕を食べるのを広川は興味深く見つめていた。

21 名前:田村玲子 ◆bOIWj9Hr0g :2008/12/02(火) 23:48:15
>>14を若干修正して、二つに分割。

そう?良い導入だと思うし、長さも気にする程でもないわ。
特に意見がなければ、こちらのレスは視認する段階に入ろうと思うけど、如何?

それとインフルエンザは侮ってはダメよ
外出も控えて、薬を飲んで安静に、部屋の中でもマスクをしなさい。

22 名前:日守 秋星 ◆g.FomaLl7. :2008/12/03(水) 17:32:14
>>21
なんで?って聞かれると困るけどさ。>>14の方が好きだったような……
いやホント、特に理由はないんだけどー

うい。じゃあ視認してくだサイ!
穴が開くくらいオレを見てぇぇぇっ!

あと余談だけど、今年のインフルエンザは三種類ぐらい同時に流行ってるんだって。
お陰で血液検査しなきゃ注射も打てないそうで……
血液検査の結果が出る頃には治ってるっての!
そんなワケで、もしレスが途絶えたら肺炎とか併発してると思うんで戻るまでまっててください。

23 名前:田村玲子 ◆bOIWj9Hr0g :2008/12/05(金) 00:09:00

「ところで、今気がついたんだが、あの人は人間か?」

広川は、給水タンクの上を見上げ、ポツリと呟いた。

「人間だ。」
「おかわり、かな。」
「違う。結果的にはそうなるだろうがな。おれよりも先に居た。」
「さっさと処理してくれないと困るな。ここから逃げられないにしろ、携帯電話で通報されたらどうする気だ。」
「電話を取り出す前に仕留めるさ。それに、あいつは110番などできんよ。」
「なぜ?」
「ここからでは顔までは見えんか?指名手配犯だ。あの顔は交番で見かけた。容疑は殺人が20件ほど。」

広川が思考巡らすと一人の名前が浮かんできた。

「……日守 秋星?」
「そうだ。」
「殺人犯がこんなところで何をしているんだ?」

後藤は残った掌を一口で飲み込み、ガリガリと噛み砕く。

「知るか。人間の事はあんたの方がずっと詳しいだろう。」
「どうかな。」
「……やはりよく分からんな。人間は。」

後藤はそう一言漏らし、立ち上がって鉄骨に腰掛けながら独り言を喋る男を見据えた。

「同族が食われるのを見て、全く動じないとは、なかなか大物だな。」
「いや、精神に異常をきたしてるのかも知れん。手配犯は普通、屋上のような逃げ場のない場所には立ち入らない。」
「あいつがもしドラックの使用者だったら処理を頼む。食いたくない。」
「分かった、君は気にせずやってくれ。」

広川が言葉を言い終わると、後藤は日守に向かってゆっくりと歩み始めた。

24 名前:田村玲子 ◆bOIWj9Hr0g :2008/12/05(金) 00:14:10
かかった時間の割りに出来が……。細かいところは要修正ね。
まあ、とにかく>>23が次レス案よ。

12月中は私も忙しくなりそうだから気にしなくて良いわ。
ゆっくりと養生しなさい。

25 名前:日守 秋星 ◆g.FomaLl7. :2008/12/05(金) 22:40:34
>>23
校舎の屋上で一服しながら不良やりながらでも期末試験は受けとかないと大学入って遊べないなー
などと考える、昭和の時代に硬派を謳った不良が見たら激怒しそうな今風のヤンキーのように座ったまま呆けている日守秋星の前で事態は進行していく。
しかし彼は無視している訳ではなかった。
女性の腕をポリポリと齧る……ゴリゴリと咀嚼する男と平然と会話する男。
そんなものを見たところで、特に関係の無い話しは関係の無いコトと割り切って、気にしていないだけだ。
だが……

「おかわり、かな。」
「違う。結果的にはそうなるだろうがな。おれよりも先に居た。」

などと会話されれば話しは別だ。

「むう。そう言えば腹が減ったなー
 最後にまともな飯たべたのいつだっけ?今朝は早起きな爺様と鉢合わせしちまいましたしー」

ひい、ふう、みい、と指折り数えて18時間も食べてない事に気づき、自覚したなら早く飯を食わせろと腹の虫がグー……
ハラペコで電車に乗っている時にどこからともなくケンタッキー州の鳥唐揚げの匂いが漂ってきました。うわ、たまんねーって程度の影響を与える事態ではあるらしい。

そんな日常よくある光景を堪能しつつ平和だなぁと彼が感想を抱いていると、男のうち一人が近付いてきた。
明らかな殺気を纏い近寄る男に、彼は片手を上げて挨拶する。
もちろんヤンキー座りのままで。

「ん?なんですか?あ、お邪魔でした?食事を見られるのが嫌なタイプ?居る居る!新婚ほやほやの愛妻弁当を見られるのが恥ずかしくて、でもちょっぴり見て欲しくて回りを気にしながら隠すでもなくコッソリ食べたいとか、でも実は夫婦喧嘩の真っ最中で自作日の丸弁当ですから見ないでーのような?ダメですよー日本男児たるもの堂々と食べないと!」

などと陽気に……というか馴れ馴れしくも語りかけながら。

「でもまあ、安心してくだサイ!オレもハラペコなのでそろそろお暇しようと思っていた所です」

26 名前:日守 秋星 ◆g.FomaLl7. :2008/12/05(金) 22:48:59
ほぼ大丈夫。OKOK。
あ、OKOKって横にしてみると肩車っぽいよなー。というか組み体操?

というわけで次レス案が>>25です。
薬キマッてんのかコイツという不陰気(←なぜか変な変換でた)を出したくて出したくて、
なかなか出来無いなーと思ってたんですが、伝わってるみたいで安心しましたよ。
というか原典読んだんデスカー?
薬物中毒者うんぬんって言われてるシーンあるしー

27 名前:田村玲子 ◆bOIWj9Hr0g :2008/12/07(日) 16:56:13
>>25

日守 秋星
男性。
推定身長180cm〜190cm程度。推定体重最高で100kg程度。
年齢不明、20代後半。
体格、年齢からおそらく人間の中では高水準の身体能力の持ち主。
武器の所持、不明。ライフル等は持っていない、刃物所持の可能性は大いにありうる。
備考、殺人犯。

……問題ない。
後藤より右足及び左足へ―前進

表情一つ変えずに後藤は距離を縮めていく。
後藤にとって、この仕事は人間が家畜を捌く行為と同じでしかない。
しかもこれから捌く動物は見たところ自分より小さく、角も牙も持っていない。
怖れる理由などなかった。

近づき始めると、餌が話しかけてきた。
「でもまあ、安心してくだサイ!オレもハラペコなのでそろそろお暇しようと思っていた所です」

どうもこの場から生還する気らしい。

「楽観が過ぎるな。わざわざ逃がすと思うのか?」

後藤より右足及び左足へ―筋力調整、跳べ

ギュッと何かが引き締まる音がしたかと思うと、後藤の両足が力強く地面を蹴り上た。
助走をつけずにゆうに10mは跳躍し、日守のいる鉄骨の上まで一気に降り立つ。

「無駄な努力だが、もがきたければもがけ、後悔のないようにな。」

後藤より右手へ―硬化、伸張、貫き手。


ヒュッと風を斬り裂いて、後藤の右手が蛇のようにうねった。

28 名前:田村玲子 ◆bOIWj9Hr0g :2008/12/07(日) 17:12:19
>>26
次レス案>>26
取り合えず攻撃させて貰ったわ。

残念だけど原典はまだ見てないわ。
広川と後藤の会話はあなたのレスを見て
純粋にジャンキーに似てると思ったからよ。

実際に中毒者というわけではないわよね?

29 名前:日守 秋星 ◆g.FomaLl7. :2008/12/10(水) 01:44:29
>>27

「楽観が過ぎるな。わざわざ逃がすと思うのか?」

靴の下にバネでも付いているような、予備動作無しの跳躍で日守秋星と同じ足場に立つ男。
待ち受ける秋星は、いつの間にかゆらりと幽鬼の様に立つ。
強いビル風に黒いコートをはためかせ、右手には釣り竿の様な包みを……持っていなかった?

「無駄な努力だが、もがきたければもがけ、後悔のないようにな。」
「おっと、忘れ物忘れ物っと。」

ヒュッと風を斬り裂いて――――
得物を持つ為に再びしゃがんだ秋星の頭の上を後藤の右手が蛇のようにうねった。

「いやいや、これを忘れるなんてどうかしてます。もう年齢かなー?老化現象?平和呆け?ああボケはいつものことかー」

シュンと風を巻き込んで後藤の右手が巻き戻る。
ん、何だ? と日守秋星は後藤を見上げるが特に変化は無いように見える。
何か違和感はあるものの何もないのを気にしても仕方が無いと、よっこらせと声をかけて立ち上がった。

「いやホント、アンタら――どうみてもハズレっぽいんで無駄な殺生はしたくないんですよ
 ここで見た事は忘れてあげますんで、アンタらもオレを忘れて科学薬品(化粧品)に塗れたジャンクフード(女)でも
 食べながら、毒々しい世の中での生を謳歌しっちゃってくだサイ!」

30 名前:日守 秋星 ◆g.FomaLl7. :2008/12/10(水) 01:53:32
>>28
次レス案>>29
ちょっと中途半端かとも思ったが、台詞で切ってみた。
もう一行動してもよかったんだけどねー

当然、薬物中毒者じゃありまセン!
あんなのダメだよー性能落とすだけだよー
まあ、ドーパミンとかアドレナリンとかエンドルフィンとかはザブザブでてるかも知れ無いけどね。
もし後藤くんが臭いとかでそれを感じられるなら、薬物中毒者と間違えるかもしれない。

31 名前:名無し子猫:2008/12/14(日) 08:48:05
>>29
――――――――――――!

必殺の刃が当たるすんでのところで、獲物はひょいと身を屈めた。
空振り。この初めての体験に、ほんの一瞬だが、後藤は僅かに混乱した。
だが次の瞬間には思考をまとめ、動揺から立ち上がる。
老化だのボケだのと自虐するこの獲物は、一見とぼけているが……
もしかしたら、自己の狩猟本能を満たしてくれる素材なのかも知れない。
「……まぐれでなければいいがな。」

偶然にせよ、故意にせよ、避けたのならなら次手で確実に仕留める、より速くより強くより多数で。
結局のところそれだけの話だ。
獲物は何かを拾い上げ、またこちらに語りかけてきた。あくまでも飄々とした態度は崩さずに。
「食欲だけが生ではない。運動も必要だ。それにしても、大きく出たな。」
後藤より左腕へ―硬化、伸張、刃数三

異様な音を立てて、後藤のスーツの左腕部分が弾けとぶ。
再び、蛇が秋星を襲った。
ただし今度は後藤の肘から先が三つ又に別れ、一箇所ではなく足、胴、頭の三箇所を切り裂くために。
避けろ、避けて見せろよ、殺人鬼。

32 名前:田村玲子 ◆bOIWj9Hr0g :2008/12/14(日) 08:51:58
書き込みミス3
>>31は私よ
専ブラの調子がおかしい…?

そろそろ反撃かしら。

33 名前:日守 秋星 ◆g.FomaLl7. :2008/12/17(水) 01:21:06
>>31
「食欲だけが生ではない。運動も必要だ。それにしても、大きく出たな。」

言うや否や後藤のスーツが弾け、左腕が在った筈の場所から飛来する刃が三つ。
獰猛な毒蛇が獲物に飛襲する様に伸びたそれは、伸長と言うより飛翔に近い。
それが三つ。
それぞれが別方向へと伸長し同時に襲い掛かるのだ。
どれほどの反射神経を持ってしても、その全てを回避するのは不可能だろう。
当たれば死を招き、回避し難い攻撃……
人はそれを必殺と言う。

――しかし。

「――――ハッ!」

日守秋星は笑っていた。
自らに向けられた確実に死を与える必殺の攻撃を前に、いつものように――
いつもより、さらに口の端を吊り上げ、不敵に嗤っていた。

いつもと変わらぬ危機感のない装丁で、迫り来る三つの刃を見つめる。
達人のみが至る境地。
一瞬である筈の時間が数分に匹敵するほど伸びた世界で、
迫り来る刃のそれぞれの軌道を読み、半瞬先の到達点を予測する。
足、胴、頭の三箇所に分散した同時攻撃のごく僅かな到達時間の差を確認。
その針の先のような極瞬に――――

「ひぎぃぃぃぃぃぃぃぃ――ッ!?」

ものの見事に全てを喰らって、鉄骨から転がり落ちた。ドサッ!



「なんだよーソレ反則だろーハズレのくせにそんなの反則だろー」

頭から赤い噴水をだし、左の大腿から下は真っ赤に染まり、腹からだくだくと流れるモノを左手で押さえながら、
右手に持った得物を支えになんとか立ち上がる秋星。
強がって減らず口を叩いていても、まさに満身創痍。
なのに、まだ――――

「ダメだぜ、お兄ちゃん。野生の動物は食後の運動なんかしまセン!余計な運動して無駄なカロリー消費するのは人間のする事だ――って人間か」

後藤の異様を目の当たりにし、それによって瀕死の重傷を負いながらも、
まだ狩り取る相手ではない、ただの人間と言う。

「でもまあ、こっちは余計なカロリー消費したくないんで――――」

死にかけた身体を押して片手で得物を構える。
――ギチリ――
と全身の筋肉を撥条にして狙いを定めるそれは、
野生の肉食動物が獲物に飛び掛る準備の撥条ようと言うより、
はじけた瞬間の弾機。

「ここらでサヨナラです!」

その相反する静と動が正しく動へと移行した。


34 名前:日守 秋星 ◆g.FomaLl7. :2008/12/17(水) 01:31:01
>>32
もしかしてA Bone2ですか?
オートアップデート入って無い?
アップデートされると名前欄入れ直さないと空白になるらしいデスヨ。

で、次ぎレス案は>>33です。
転げ落ちたオレに追い打ちかけないのは後藤くんらしくないっていうなら

>ものの見事に全てを喰らって、鉄骨から転がり落ちた。ドサッ!

で切っても良いかなーとも思います。
そんときゃ、それで修正しまショウ!

このまま行くなら、後半が反撃。
反撃しないで、ここでは如何にやられ捲るかって考えてたんだけど、
反撃期待してるみたいなんで反撃です。

ただ、後藤くんに攻撃してるワケじゃないので、身構えても良いけど回避したり喰らったりしないでください!
何企んでるんだって!?
それは秘密です!
次の行動は決めてあるので、後藤くんの行動次第じゃ不可避な状態になってしまうかもとだけ言って置きましょう!

35 名前:田村玲子 ◆bOIWj9Hr0g :2008/12/21(日) 21:01:26
次レス案1様子見

>>33

後藤の異形の腕を見ても秋星は些かも動揺しない。
いやそれどころか、迫り来る刃を前に口の端を吊り上げ、微笑するのを後藤は確かに見た。
来るか。
この人間の抵抗を後藤は期待していた。
だが3箇所の同時攻撃は全て当たり、無様な叫び声をあげて秋星は落下する。
期待は見事に裏切られた……かに思えた。

…… 無様な叫び声をあげて ・・・・・・・・・・

はじめ抱いた違和感は警戒心へと変わり、後藤は落下する秋星への追撃を躊躇った。

こいつは生きている。
少なくとも頭への一撃は―不完全ながら―避けられた。
決まりだ、こいつはただのバカではない。それどころか人間にしてはやる方だ。

眼下では死にかけた体に鞭をうち、秋星は再び立ち上がっていた。
そればかりか、足元が覚束ないこの状態で、得物を構えた。
「面白い。人間は自身の身体能力を発揮しきれないという話を聞くが、例外もいるらしいな。
 まだ俺を人間と呼ぶほど意識の方曖昧のようだが。」


後藤は靴を脱ぎ捨てて、今度は両足を変形させた。
飛び掛る態勢を察して、軟体生物のように足を鉄骨に絡まらせると、蝙蝠のようにぶらんと逆さ吊りの状態で身構える。

後藤より両腕―刃数三

威嚇するように6枚の刃を展開し、秋星の攻撃に備える。
「来い。」

秋星という撥条が弾けた。

36 名前:田村玲子 ◆bOIWj9Hr0g :2008/12/21(日) 21:04:41
次レス案2追い討ち

>>33

後藤の異形の腕を見ても秋星は些かも動揺しない。
いやそれどころか、迫り来る刃を前に口の端を吊り上げ、微笑するのを後藤は確かに見た。
来るか。
この人間の抵抗を後藤は期待していた。
だが3箇所の同時攻撃は全て当たり、無様な叫び声をあげて秋星は落下する。
期待は見事に裏切られた……かに思えた。

……無様な叫び声をあげて?

はじめ抱いた違和感は警戒心へと変わり、後藤は落下する秋星への追撃を躊躇った。

こいつは生きている。
少なくとも頭への一撃は―不完全ながら―避けられた。
決まりだ、こいつはただのバカではない。それどころか人間にしてはやる方だ。

高揚感が後藤を支配する。
湧き上がるのは性欲と食欲の入り混じったような奇妙な欲求。
それは人間を食い殺すために生まれてきた種の本能。
統一体となった事で、より肥大化した狩猟本能。
より上等な食物を求めるように。
より上等な異性を求めるように。

より上等な獲物を後藤は求めていた。

鈍い音を立てて、鉄骨がひしゃげた。
どんな獣よりも力強く、機械を思わせる正確さで後藤は秋星に飛び掛った。

37 名前:田村玲子 ◆bOIWj9Hr0g :2008/12/21(日) 21:14:00
>>34
いやjaneのはずだからそれはないと思うわ。
無意識に消したのかしら。

それで>>35>>36が次レス案ね。>>35で一部ミスがあるけど
>決まりだ、こいつはただのバカではない。それどころか人間にしてはやる方だ。
どちらもここまでは一緒よ

>>35>>33そのままの場合。
>>36>>33で転がり落ちてすぐ追い討ちをかけた場合。
どちらにしようかしら。

反撃の話題を振っておいて何だけど、私は>>36の方が好みねえ。

38 名前:日守 秋星 ◆g.FomaLl7. :2008/12/25(木) 23:31:57
>>36

ものの見事に全ての攻撃を喰らって、鉄骨から転がり落ちた秋星に後藤が追い打ちをかける。
高級時計の歯車がカチリと噛み合う正確さで。
野生の肉食獣の獰猛な俊敏さで。
その双方を秋星は持ち合わせていない。
子供の読み上げる数え歌のようなアバウトさと、動物園のぐうたら獅子のノロマな動き……
頭から赤い噴水を噴きだし、左の大腿から下は真っ赤に染まり、腹からだくだくと流れるモノを左手で押さえながら
無様に横たわる状態から、その追い打ちを避けられるはずはない。

避けられる筈など無いのだが――

「とぅわあああああぁぁぁぁりゃぁぁぁぁぁ――――ッ!」

掛け声一閃、奇跡が起きた!
それは九死に一生を拾うことわざの通り九割……
否、九割九分九厘まで避けられる筈の無い死を回避した瞬間だった。
スーツ姿で手を変形させる奇怪な中年男にパンクな兄ちゃんが襲われてゴロゴロと転がって逃げた瞬間でなければ
どこぞの奇跡体験仰天番組に取り上げられても不思議のない、かけちなしの紙一重。
ゴロゴロゴロと転がりすぎて給水タンクの鉄骨に頭をぶつけたのはご愛嬌……

その一生に一度あるか無いかという、たまたま運が良くて死を免れただけの回避に――カツン――という小さな異音。
避けるだけで精一杯。それすらも有り得ない筈だった回避に……
それ以外の行動行う余裕など無いはずの回避の中に、小さな回避以外の音が混じる。


39 名前:日守 秋星 ◆g.FomaLl7. :2008/12/25(木) 23:40:12
>>37
せっかく好みだと言うんで>>36を採用しての次ぎレス案>>38です。
ただ避けただけかって?
いえいえ、ちょっと伏線張ってます。

あと、後藤くんが野生動物的な感覚でオレを上等な獲物と位置づけたなら、たぶん期待はずれです。
確かに普通の人間より速くて頑丈で正確かもしれませんが、所詮獲物は獲物。後藤くんには遥かに劣ると失望するでショウ。
今回の回避も日守秋星という動物の俊敏さでは避けられる筈の無いモノだからネ!

40 名前:田村玲子 ◆bOIWj9Hr0g :2008/12/29(月) 00:26:38
>>38

ごぉん。
全身の体重を乗せた後藤の拳が、コンクリートを打ち抜いた。
戦い…いや狩りを眺める広川はインパクトの瞬間、ほんの少しだが確かに地が揺れるのを感じていた。
「だが、空振りか……随分、粘るな。」
その時、広川はハッと何かに気がついた。
携帯電話を取り出し、仲間に連絡を入れる。
「もしもし、草野さん?すまないが服を一揃い持ってきてくれないか。」


飛び掛った後藤が迫り来る僅かな間に、秋星は奇声を上げてゴロゴロと転がって後藤の着地点から退避していた。
チッと腹立たしげに舌を打ち、拳を引き抜くと同時に相手に警告を発した。
「逃げるだけでは勝てんぞ!偶然もそうは続かん!」
それに逃げるだけの鼠に価値はない。
猫にとっては咬みつく鼠ほど甚振り甲斐があるものだ。
もっとも、わざわざ咬みつかせてやる義理もない。

脳から体に電気信号が走ように、後藤が体へと命令を下す。
後藤より右腕へ―硬化、最大伸張、刃数一

こいつの足は傷を負っている、簡単には立ち上がれん。
また転がって逃げるか、それともダメもとで向かってくるか。
そのどちらかだろう、ならば、どちらでもいいように殺す。
立ち上がる前にだ、これ以上余計な真似もさせん。
広げた刃を横薙ぎに振るう。

ヒュッと風が舞い、給水タンクに斬り込みが走った。

41 名前:田村玲子 ◆bOIWj9Hr0g :2008/12/29(月) 00:37:46
>>39
ありがとう。やっぱり追い打ちをかけた方が後藤さんらしいと思うから助かるわ。
後藤さんのモチベーションは普通の人間よりは期待してるというところかしら。
伏線が何か検討もつかないけど、とりあえず攻撃。
がっかりかどうかは次の秋星さん行動で決まると思うわ。

42 名前:日守 秋星 ◆g.FomaLl7. :2009/01/07(水) 02:52:47
>>40
その一生に一度あるか無いかという、たまたま運が良くて死を免れただけの回避に更に追い打ちがかけられる。
例えるなら自転車で爆走中に飛び出してきた老婦人の押す乳母車を咄嗟に避けたら、
避けた先が車道を走る自動車の前だったような……
それも昼間の国道。
走っていたのは大型ダンプカー。
しかも過積載の上に速度超過。
そして正面衝突。
もうブレーキをかけても無駄。避ける間もありません。
あと出来る事と言えば人生最後の瞬間を出来るだけ有意義にドラマティックな走馬灯を眺めて楽しむ事ぐらい。
その確実な死の直前に――――

―――― ギンッ ――――

異音。

宙を舞う赤い飛沫。

断ち切られた肉片がコンクリートに落ちる鈍い音。

そして静寂。

高層ビルの屋上を薙ぐ風すら凪いだような、完全なる無音の中、
百パーセント確実な死であった筈の後藤の刃は、
・  ・  ・  ・  ・ ・  ・  ・  ・
偶然ささっていた秋星の得物に当たり、なまじ高速で振られていた腕は自らの速度で両断されていた。

「ぅお!? これはラッキー!」

九死に一生についで十死に無生の奇跡の前にすら、まだとぼけた様子で喜ぶ秋星。
だが、人生楽ありゃ苦もあるのである。ピキキ

「え? ええぇぇぇっ!? ぅえええええええええぃ!?」

驚いている間にも後藤の刃に付けられた斬り込みから亀裂がピキっと走って。
ピキピキピキピキっと走り続けて給水タンク幾何学模様を描いていく。
それを、とう!とばかりに刺さっていた得物を引き抜いてトドメを刺し――――

直後、決壊したタンクからの大量の流水に飲まれていた。


43 名前:日守 秋星 ◆g.FomaLl7. :2009/01/07(水) 03:00:55
>>41
予定していた反撃しました。次ぎレス案>>42です。

偶然ささっていたの上の・は要修正?秋星だけに修正?
いやいや、そんなダジャレの前に遅くなってどうもすみまセン!
ついでに勝手に腕落としましたすみまセン!
しかも、次ぎか次ぎの次ぎぐらいで逃亡します!
場面を変えて仕切り直しという事で。次ぎは商店街だっけ?

44 名前:田村玲子 ◆bOIWj9Hr0g :2009/01/13(火) 22:57:29
>>42

方法は分からない。
ただ鈍い痛みが、反撃を受けた事を告げていた。
後藤を始めとする寄生生物達にとって、痛覚とは単なる情報に近い。
痛みそのものより、攻撃を受けたという事実が驚愕、恥辱、憤怒といった感情を呼び起こす。
ギリッと後藤の中で、何かの糸が張り詰める。
人の姿の奥底、巧妙な擬態の中に潜む後藤という名の怪物がチラリと顔を覗かせた。
しかし、精神の糸が千切れる前に理性が本能を飲み込み、後藤は瞬時に最良の決定を下す。

何も問題はない。

「やれ。」

後藤の言葉を受けると分断されたはずの右腕が動き出し、新たに浮かび上がった目でギョロリと目標を睨みつけると
得物を引き抜こうとする秋星を背後から斬り付ける。
そのままピョンピョンと弾けるように飛び回り、撥ねられた右腕は、元の位置に収まった。

「どうだ三木?」
「浅いねぇ。水がクッションになっちゃった。そもそも重さも足りないし。」
「そうか。最後まで粘る奴だな。なかなか楽しかったぞ。」

後藤より右足へ―硬化
「死因は飛び降り自殺でいいな?殺人鬼。」

流れる水に足をとられぬように、軸足に力を込め
人がサッカーボールを蹴るように、食人鬼は高く振り上げた右足を、勢いよく振り下ろした。

45 名前:田村玲子 ◆bOIWj9Hr0g :2009/01/13(火) 23:12:39
>>43

次レス案>>44
怒るのはまだちょっと早いかと思って、ここは抑えてみたわ。
少しだけ「蹴り殺してやるッ!このド畜生がァ―――――――ッ」も考えたのは秘密よ。


二回戦は商店街周辺ね。
まだ一回戦も終わってないけど
こちらの導入はどちらから入ろうかしら?

46 名前:日守 秋星 ◆g.FomaLl7. :2009/01/15(木) 01:59:38
>>44

「なあぁぁぁぁぁがぁぁぁぁれぇぇぇぇぇえええっるぅうぅうぅうぅうぅうぅうぅうぅうぅ!」

大洪水の中、生命体の未来をかけて大波に抗うノアの箱舟のごとく……
いや、それは大袈裟。精々が大雨の日の道端の側溝に流される煙草の吸殻のように、
溢れ出た給水タンクの水に飲まれる秋星。

タンクhが崩壊した瞬間、流されまいと手を伸ばしたのか、
それとも引き抜こうとしたのか、未だタンクに突き刺さる得物に手を伸ばす。
足元をすくおうとする流水に耐えて一歩、ぷるぷると手を一杯に伸ばしながら、もう一歩。
とう!と気合を込めて得物を掴んだ瞬間――

「っ……!?」

背中に走る痛みに顔を歪ませ、それでもなお不敵な笑みを浮かべたまま
サングラスの端から彼はそれを見た。

「ちょ……そんなのアリですか!?」

なんと表現していいのか、それは手だった。
成人男性の右手、としか形容出来無い確かな右手だった。
ただ、自立行動しながら指先を刃物に変形させて飛び掛り秋星の背中を斬り付けただけの右手だった。

激しい痛みに耐えかね、突き刺さる得物に身体を預けるように膝をつきかけた……
だが、流れる水の圧力を舐めてはいけない。
腰が水流の中に入った瞬間、一気に増えた対水面積に流水が猛威を奮い秋星を押し流す。
その暴力に頼りの綱の得物はあっさりと抜け……

「なあぁぁぁぁぁがぁぁぁぁれぇぇぇぇぇえええっるぅうぅうぅうぅうぅうぅうぅうぅうぅ!」

大洪水の中、生命体の未来をかけて大波に抗うノアの箱舟のごとく……
いや、それは大袈裟。精々が大雨の日の道端の側溝に流される煙草の吸殻のように、
溢れ出た給水タンクの水に飲まれたのである。


水は高い所から低い所へ流れる物である。
そして、ここは高層ビルの屋上。周囲はすべて低い所な訳で。
ぐるり一周は転落防止のフェンスに囲まれているものの、水には関係なく零れ落ちていく。
しかし、水ではない秋星はフェンスの隙間を抜けることはなく、
それはもう、大雨の日の道端の側溝に流される煙草の吸殻が
グレーチングに引っ掛かるように流水に踊っていた。
そこへ――

「死因は飛び降り自殺でいいな?殺人鬼。」

流れる水に足をとられぬように、軸足に力を込め
人がサッカーボールを蹴るように後藤は高く振り上げ……

「死因は飛び降り自殺でいいな?殺人鬼。」
「いや、確かに一番近い逃げ道ですけど!!」

自殺なんてのは人生からの逃げであって、この場からの逃走じゃないじゃないかな?
と、この期に及んでまだ、そんな余裕を見せた感想などいだく秋星だった。

47 名前:日守 秋星 ◆g.FomaLl7. :2009/01/15(木) 02:05:04
>>45

次ぎレス案46です!
特に何もしてないんで、どうぞ蹴り落としちゃってください。

>少しだけ「蹴り殺してやるッ!このド畜生がァ―――――――ッ」も考えたのは秘密よ。
そんなオイシイセリフは、こっちが本気になるまで取っておいて欲しいな、お兄さんは!
「いや、それは無理――」
と余裕の笑みを保ったまま、たんたんと事実を告げるように言い放ってあげマス!

>こちらの導入はどちらから入ろうかしら?
はい!はい!は〜い!
オレやってみたいです先生!

48 名前:田村玲子 ◆bOIWj9Hr0g :2009/01/18(日) 23:28:50
>>46

<bババン</b>

しなる足を鞭のように振るい、後藤は秋星を蹴り飛ばした。
秋星の体は子供が無造作に投げた人形のように軽々と飛び上がり、ゆうに5〜6メートルは浮かび上がっただろう。
吹き飛ばされた体は容易にフェンスの外側へ放り出された。
度々くだらない救命番組でとりあげられる奇跡とやらが起きない限り、秋星に待っているのは絶対なる死だ。
もっとも蹴り上げた時に骨の砕ける感触がした。地面に叩きつけられる前に死んでいたのかも知れない。
今となってはどうでも良い問題だったので、後藤はそこで思考を打ち切った。

ひょいと高台から降りると、広川が話しかけてきた。
「てこずったな。」
「妙な相手だった。人間に攻撃を避けられたのは初めてだよ。バカの振りをしているが感覚が他の人間より鋭い。
 他にもあいつのような人間はいるのかも知れんな。」
「彼は吸血鬼と呼ばれていたそうだ。血啜る不死身の化物さ。」
「我々の仲間だな。握手して名刺を渡して、清き一票を、と言うべきだった。」
久々に体を動かしたので後藤は機嫌がよかった。流暢に口から皮肉が出る。
「投票権があるならな。後藤さんも大分、人間じみてきたよ。次は立候補してみるかい?」
「それは御免だな。」

しばらくして仲間が服を持ってくると、後始末を広川に全部押し付けて、すぐに後藤はその場を後にした。
秋星の死体が見つからないことを後藤が知ったのは、交戦から数時間後のことである。</bババン</b>

49 名前:田村玲子 ◆bOIWj9Hr0g :2009/01/18(日) 23:31:22
>>46

バグン

しなる足を鞭のように振るい、後藤は秋星を蹴り飛ばした。
秋星の体は子供が無造作に投げた人形のように軽々と飛び上がり、ゆうに5〜6メートルは浮かび上がっただろう。
吹き飛ばされた体は容易にフェンスの外側へ放り出された。
度々くだらない救命番組でとりあげられる奇跡とやらが起きない限り、秋星に待っているのは絶対なる死だ。
もっとも蹴り上げた時に骨の砕ける感触がした。地面に叩きつけられる前に死んでいたのかも知れない。
今となってはどうでも良い問題だったので、後藤はそこで思考を打ち切った。

ひょいと高台から降りると、広川が話しかけてきた。
「てこずったな。」
「妙な相手だった。人間に攻撃を避けられたのは初めてだよ。バカの振りをしているが感覚が他の人間より鋭い。
 他にもあいつのような人間はいるのかも知れんな。」
「彼は吸血鬼と呼ばれていたそうだ。血啜る不死身の化物さ。」
「我々の仲間だな。握手して名刺を渡して、清き一票を、と言うべきだった。」
久々に体を動かしたので後藤は機嫌がよかった。流暢に口から皮肉が出る。
「投票権があるならな。後藤さんも大分、人間じみてきたよ。次は立候補してみるかい?」
「それは御免だな。」

しばらくして仲間が服を持ってくると、後始末を広川に全部押し付けて、すぐに後藤はその場を後にした。
秋星の死体が見つからないことを後藤が知ったのは、交戦から数時間後のことである。

50 名前:田村玲子 ◆bOIWj9Hr0g :2009/01/18(日) 23:41:39
>>47

>>49こちらが次レス案ね。ミス4回目。
そちらの展開次第では最後の一行も消すわ。

あと、>>46の「死因は飛び降り自殺でいいな?殺人鬼。」は一回で良いと思うわよ。

では次の導入は任せるわね。

51 名前:日守 秋星 ◆g.FomaLl7. :2009/01/20(火) 23:28:30
>44

「なあぁぁぁぁぁがぁぁぁぁれぇぇぇぇぇえええっるぅうぅうぅうぅうぅうぅうぅうぅうぅ!」

大洪水の中、生命体の未来をかけて大波に抗うノアの箱舟のごとく……
いや、それは大袈裟。精々が大雨の日の道端の側溝に流される煙草の吸殻のように、
溢れ出た給水タンクの水に飲まれる秋星。

タンクhが崩壊した瞬間、流されまいと手を伸ばしたのか、
それとも引き抜こうとしたのか、未だタンクに突き刺さる得物に手を伸ばす。
足元をすくおうとする流水に耐えて一歩、ぷるぷると手を一杯に伸ばしながら、もう一歩。
とう!と気合を込めて得物を掴んだ瞬間――

「っ……!?」

背中に走る痛みに顔を歪ませ、それでもなお不敵な笑みを浮かべたまま
サングラスの端から彼はそれを見た。

「ちょ……そんなのアリですか!?」

なんと表現していいのか、それは手だった。
成人男性の右手、としか形容出来無い確かな右手だった。
ただ、自立行動しながら指先を刃物に変形させて飛び掛り秋星の背中を斬り付けただけの右手だった。

激しい痛みに耐えかね、突き刺さる得物に身体を預けるように膝をつきかけた……
だが、流れる水の圧力を舐めてはいけない。
腰が水流の中に入った瞬間、一気に増えた対水面積に流水が猛威を奮い秋星を押し流す。
その暴力に頼りの綱の得物はあっさりと抜け……

「なあぁぁぁぁぁがぁぁぁぁれぇぇぇぇぇえええっるぅうぅうぅうぅうぅうぅうぅうぅうぅ!」

大洪水の中、生命体の未来をかけて大波に抗うノアの箱舟のごとく……
いや、それは大袈裟。精々が大雨の日の道端の側溝に流される煙草の吸殻のように、
溢れ出た給水タンクの水に飲まれたのである。


水は高い所から低い所へ流れる物である。
そして、ここは高層ビルの屋上。周囲はすべて低い所な訳で。
ぐるり一周は転落防止のフェンスに囲まれているものの、水には関係なく零れ落ちていく。
しかし、水ではない秋星はフェンスの隙間を抜けることはなく、
それはもう、大雨の日の道端の側溝に流される煙草の吸殻が
グレーチングに引っ掛かるように流水に踊っていた。
そこへ――

「死因は飛び降り自殺でいいな?殺人鬼。」

流れる水に足をとられぬように、軸足に力を込め
人がサッカーボールを蹴るように後藤は高く振り上げ……

「いや、確かに一番近い逃げ道ですけど!!」

自殺なんてのは人生からの逃げであって、この場からの逃走じゃないじゃないかな?
と、この期に及んでまだ、そんな余裕を見せた感想などいだく秋星だった。



52 名前:日守 秋星 ◆g.FomaLl7. :2009/01/20(火) 23:35:26
>>50

おっと、これはミスでした!ごめんなサイ!
と言うわけで>>51が修正したものです。

>>49へのレスは色々考えてみたけど、蛇足っぽいので次の導入と合わせる事にしマス!
蛇足といえばツチノコには足があるんですよ!知ってました!?

じゃあ、導入っぽいの書いてるんで、くつろぎながら少々おまちを!

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